(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954772
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/00 20060101AFI20211018BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20211018BHJP
B60Q 3/72 20170101ALI20211018BHJP
B60Q 3/76 20170101ALI20211018BHJP
B60Q 3/80 20170101ALI20211018BHJP
【FI】
B60Q1/00 G
B60Q3/217
B60Q3/72
B60Q3/76
B60Q3/80
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-120537(P2017-120537)
(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-6147(P2019-6147A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】高木 博康
【審査官】
當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第2674328(EP,A2)
【文献】
特開2008−265630(JP,A)
【文献】
特開2007−112251(JP,A)
【文献】
特開2015−012559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
B60Q 3/217
B60Q 3/72
B60Q 3/76
B60Q 3/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア又は窓の開度を検出する開度検出部と、
前記車両の室内に配置され、前記ドア又は前記窓に向かって光を照明する照明部と、
前記検出された前記ドア又は前記窓の開度に応じて、前記照明部の照明範囲及び照明位置の何れか一方若しくは双方を変更する制御部と、を備え、
前記照明部は、前記ドア又は前記窓の内側を照明し、
前記制御部は、前記照明部からの光が開いた前記ドア又は前記窓を通って車外を照明しないように、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度が大きくなるに従って照明範囲を小さくすることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度が大きくなるに従って前記照明部の照度を高くすることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
車両のドア又は窓の開度を検出する開閉検出部と、
前記車両の室内に配置され、前記ドア又は前記窓に向かって光を照明する照明部と、
前記照明部を制御する制御部と、を備え、
前記照明部は、照明範囲のうち、照度の高い高照度範囲と、照度の低い低照度範囲と、の大きさが各々調整可能であり、
前記制御部は、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度に応じて、前記高照度範囲及び前記低照度範囲の大きさを変更することを特徴とする車両用照明装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ドアの内側が前記低照度範囲となり、開いた前記ドアを通った車外が前記高照度範囲となるように、前記検出されたドアの開度が大きくなるに従って前記高照度範囲を拡大し、前記低照度範囲を縮小することを特徴とする請求項3に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ドア又は前記窓の内側が前記高照度範囲となり、開いた前記ドア又は前記窓を通った車外が前記低照度範囲となるように、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度が大きくなるに従って前記高照度範囲を縮小し、前記低照度範囲を拡大することを特徴とする請求項3に記載の車両用照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度が大きくなるに従って前記高照度範囲の照度を高くすることを特徴とする請求項3に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した従来の車両用照明装置としては、例えば、ドアの内側にLEDなどの光源を設け、ドアが開いたときに光源が点灯して足元を照らすものがある。
【0003】
しかしながら、単に足元を照らすだけでは、運転者へのもてなし感や車両への親近感の演出が足りない、という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、運転者へのもてなし感や車両への親近感を演出することができる車両用照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様である車両用照明装置は、車両のドア又は窓の開度を検出する開度検出部と、前記車両の室内に配置され、前記ドア又は前記窓に向かって光を照明する照明部と、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度に応じて、前記照明部の照明範囲及び照明位置の何れか一方若しくは双方を変更する制御部と、を備え
、前記照明部は、前記ドア又は前記窓の内側を照明し、前記制御部は、前記照明部からの光が開いた前記ドア又は前記窓を通って車外を照明しないように、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度が大きくなるに従って照明範囲を小さくすることを特徴とする。
【0008】
また、前記制御部は、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度が大きくなるに従って前記照明部の照度を高くしてもよい。
【0009】
本発明の第2の態様である車両用照明装置は、車両のドア又は窓の開度を検出する開閉検出部と、前記車両の室内に配置され、前記ドア又は前記窓に向かって光を照明する照明部と、前記照明部を制御する制御部と、を備え、前記照明部は、照明範囲のうち、照度の高い高照度範囲と、照度の低い低照度範囲と、の大きさが各々調整可能であり、前記制御部は、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度に応じて、前記高照度範囲及び前記低照度範囲の大きさを変更することを特徴とする。
【0010】
また、前記制御部は、前記ドアの内側が前記低照度範囲となり、開いた前記ドアを通った車外が前記高照度範囲となるように、前記検出されたドアの開度が大きくなるに従って前記高照度範囲を拡大し、前記低照度範囲を縮小してもよい。
【0011】
また、前記制御部は、前記ドア又は前記窓の内側が前記高照度範囲となり、開いた前記ドア又は前記窓を通った車外が前記低照度範囲となるように、前記検出された前記ドア又は前記窓の開度が大きくなるに従って前記高照度範囲を縮小し、前記低照度範囲を拡大してもよい。
【0012】
また、前記制御部は、前記検出されたドアの開度が大きくなるに従って前記高照度範囲の照度を高くするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明の態様によれば、運転者へのもてなし感や車両への親近感を演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の車両用照明装置を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す照明部の取り付け位置を説明するための説明図である。
【
図3】
図1に示す照明部及び駆動部の詳細を示す構成図である。
【
図4】第1実施形態における
図1に示す車両用照明装置の動作を説明するための説明図である。
【
図5】
図1に示す車両用照明装置の動作を説明するための図である。
【
図6】第2実施形態における
図1に示す車両用照明装置の動作を説明するための説明図である。
【
図7】第3実施形態における
図1に示す車両用照明装置の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を、
図1〜
図3に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態における本発明の車両用照明装置を示すブロック図である。本実施形態の車両用照明装置1は、
図4などに示すように、ドアとしてのスライドドア2を有する車両3に搭載されている。
【0016】
車両用照明装置1は、光源としての照明部11と、駆動部12と、カーテシスイッチ13と、開度検出部14と、マイコン15と、を備えている。
【0017】
照明部11は、LEDなどの光源を有し、
図2及び
図3に示すように、例えば投影形状が円形の光であるスポット光Lを照射する。照明部11には、例えば、機械的な絞りが設けられていて、その照射範囲を自由に調整することができる。本実施形態では、照明部11は、車両の天井に回転自在に支持されている。
【0018】
駆動部12は、
図3に示すように、第1回転軸Z1を中心に照明部11を回転させる第1回転モータM1と、第1回転軸Z1と交差する第2回転軸Z2を中心に照明部11を回転させる第2回転モータM2と、を有している。第1回転軸Z1及び第2回転軸Z2は、照明部11の光軸と交差している。これにより、駆動部12は、照明部11を360°可動できる。
【0019】
カーテシスイッチ13は、車両のドアの開閉に応じてオンオフするスイッチである。開度検出部14は、例えば、光センサなどから構成され、スライドドア2の開度を検出する。
【0020】
マイコン15は、CPU、ROM、RAMなどを内蔵して構成しており、車両用照明装置1全体の制御を司る。マイコン15には、照明部11及び駆動部12が接続され、これら照明部11及び駆動部12を制御する。また、マイコン15には、カーテシスイッチ13が接続され、カーテシスイッチ13のオンオフ情報が入力されている。また、マイコン15には、開度検出部14が接続され、スライドドア2の開度情報が入力されている。
【0021】
マイコン15は、カーテシスイッチ13のオンオフ情報に基づいて、スライドドア2が開かれていることを検出すると、照明部11及び駆動部12を制御して、開いたスライドドア2を通して車外が照明されるようにする。
【0022】
次に、上記概略で説明した車両用照明装置1の詳細な動作について、
図4及び
図5を参照して以下説明する。まず、マイコン15は、カーテシスイッチ13のオンオフ情報に基づいて、スライドドア2が開かれていることを検出すると、駆動部12を制御して、照明部11の照射方向がスライドドア2の内側に向くように駆動部12駆動する。
【0023】
次に、マイコン15は、スポット光Lの照射範囲が小さくなるように絞りの開口を小さくした後、照明部11を点灯させる。これにより、照明部11からのスポット光は、天井から開いたスライドドア2の隙間を通って車外に照射される。このとき、マイコン15は、スポット光Lの照射範囲を小さくして、スライドドア2の内側に当たることがないようにしている。その後、マイコン15は、開度検出部14により検出されたスライドドア2の開度が大きくなるに従って、絞り開口を大きくして照明範囲が大きくなるように照明部11を制御する。
【0024】
これにより、スポット光Lは、スライドドア2の内側に当たることなく、開いたスライドドア2を通って車外に照射され、スライドドア2を開くに従って照明範囲が徐々に大きくなる。このため、運転者へのもてなし感や車両への親近感を演出することができる。また、スポット光Lはスライドドア2の内側に当たらないので、無駄な光量を削減することができる。また、スライドドア2の内側に当たった光によってユーザが眩しさを感じるという事態を防ぐことができる。
【0025】
また、マイコン15は、スライドドア2の開度が大きくなるに従って、照明部11の照度が大きくなるように制御する。これにより、より一層、運転者へのもてなし感や車両への親近感を演出することができる。
【0026】
なお、上記照明部11として、絵などの投影画像を照射できるプロジェクタを用いてもよい。この場合、照明部11は、照明範囲が大きくなるに従ってその照明範囲に投影される絵も大きく表示するようにしてもよい。これにより、車外の照明範囲に投影された絵が切れて表示されることがない。
【0027】
また、上述した第1実施形態によれば、照明部11は、開いたスライドドア2を通って車外を照明していたが、これに限ったものではない。照明部11は、スライドドア2の内側を照明するようにしてもよい。この場合、マイコン15は、照明部11からの光が開いたスライドドア2を通って車外を照明しないように、検出されたスライドドア2の開度が大きくなるに従って照明範囲を小さくするように制御する。照明部11としてプロジェクタを用いれば、スライドドア2の内側に外部の透過像(カメラで撮影)を投影することもできる。
【0028】
また、照明部11は、窓の内側を照明するようにしてもよい。この場合、マイコン15は、照明部11からの光が開いた窓を通って車外を照明しないように、検出された窓の開度が大きくなるに従って照明範囲を小さくするように制御する。照明部11としてプロジェクタを用いれば、窓に情報を表示することもできる。そして、車両の走行中に窓が開いて照明部11からの光が車外に照射されることを防ぐこともできる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の車両用照明装置1の構成は、
図1〜
図3に示す第1実施形態の車両用照明装置1と同等であるため、詳細な説明を省略する。第2実施形態では、照明部11は、例えばプロジェクタなどを用いて、画像を投影することにより照明する行うものを用いている。照明部11は、画像を変化させることにより、照明範囲のうち、照度が高い高照度範囲R1(
図6)と、照度の低い低照度範囲R2(
図6)と、の大きさを自在に調整することができる。
【0030】
次に、上記概略で説明した車両用照明装置1の詳細な動作について、
図6を参照して以下説明する。まず、マイコン15は、カーテシスイッチ13のオンオフ情報に基づいて、スライドドア2が開かれていることを検出すると、駆動部12を制御して、照明部11の照射方向がスライドドア2の内側に向くように駆動部12を制御する。次に、マイコン15は、スライドドア2の内側が低照度範囲R2となり、開いたスライドドア2を通った車外が高照度範囲R1となるよう調整した後、照明部11を点灯させる。
【0031】
次に、マイコン15は、検出されたスライドドア2の開度が大きくなるに従って高照度範囲R1を縮小し、低照度範囲R2を拡大して、スライドドア2の内側が低照度範囲R2となり、開いたスライドドア2を通った車外が高照度範囲R1となる状態を維持する。
【0032】
これにより、照明部11からの光のうち、スライドドア2の内側に当たる部分の照度を低くすることができる。このため、無駄な光量を削減することができる。また、スライドドア2の内側に当たった光によってユーザが眩しさを感じるという事態を防ぐことができる。さらに、開いたスライドドア2を通って車外に当たる部分の照度を高くでき、しかも、スライドドア2を開くに従って照明範囲が徐々に大きくなる。このため、運転者へのもてなし感や車両への親近感を演出することができる。
【0033】
また、マイコン15は、スライドドア2の開度が大きくなるに従って、高照度範囲R1の照度が大きくなるように制御する。これにより、より一層、運転者へのもてなし感や車両への親近感を演出することができる。
【0034】
また、上述した第2実施形態によれば、マイコン15は、スライドドア2の内側が低照度範囲R2となり、開いたスライドドア2を通った車外が高照度範囲R1となるようにしていたが、これに限ったものではない。マイコン15は、スライドドア2の内側が高照度範囲R1となり、開いたスライドドア2を通った車外が低照度範囲R2となるようにしてもよい。このとき、マイコン15は、スライドドア2の開度が大きくなるに従って、高照度範囲R1を縮小し、低照度範囲R2を拡大する。
【0035】
また、マイコン15は、窓の内側が高照度範囲R1、開いた窓を通った車外が低照度範囲R2となるようにしてもよい。この場合、マイコン15は、開いた窓を通った車外が高照度範囲R1とならないように、検出された窓の開度が大きくなるに従って高照度範囲R1を縮小し、低照度範囲R2を拡大する。
【0036】
また、上述した第1及び第2実施形態によれば、駆動部12を設けて照明部11を駆動させていたが、これに限ったものではない。駆動部12は必須ではなく、照明部11をスライドドア2に予め向けて固定しておいてもよい。
【0037】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の車両用照明装置1の構成は、
図1〜
図3に示す第1実施形態の車両用照明装置1と同等であるため、詳細な説明を省略する。第3実施形態では、照明部11は、照度や照度範囲を調整できないものであってもよい。
【0038】
次に、上記概略で説明した車両用照明装置1の詳細な動作について、
図7を参照して以下説明する。まず、マイコン15は、カーテシスイッチ13のオンオフ情報に基づいて、スライドドア2が開かれていることを検出すると、駆動部12を制御して、照明部11の照射方向がスライドドア2の開いている部分に向くように調整される。その後、マイコン15は、照明部11を点灯させる。
【0039】
これにより、照明部11からのスポット光Lは、天井から開いたスライドドア2の隙間を通って車外に照射される。このとき、照明部11からのスポット光Lがスライドドア2の内側に当たることがない。マイコン15は、スライドドア2が開くに従って、スライドドア2の開方向と同じ方向に照明部11の照明位置を移動させる。
【0040】
上述した第3実施形態によれば、スポット光Lは、スライドドア2の内側に当たることなく、開いたスライドドア2を通って車外に照射され、スライドドア2を開くに従って照明位置が徐々に移動する。このため、運転者へのもてなし感や車両への親近感を演出することができる。また、スポット光Lはスライドドア2の内側に当たらないので、無駄な光量を削減することができる。また、スライドドア2の内側に当たった光によってユーザが眩しさを感じるという事態を防ぐことができる。
【0041】
なお、上述した実施形態によれば、照明部11は車両の天井に配置していたが、これに限ったものではない。照明部11の配置は、車両の室内で、かつ、スライドドア2を通して車外に光を照射できるような位置であればよい。
【0042】
また、上述した実施形態によれば、ドアとしてスライドドア2を一例にあげて説明していたが、これに限ったものではない。ドアとしては、ヒンジ式のドアであってもよいし、ガルウイングドアであってもよいし、バックドアであってもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、スライドドア2の開度に応じて、照明部11の照明範囲及び照明位置の何れか一方を変更していたが、これに限ったものではない。照明範囲及び照明一の双方を変更するようにしてもよい。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
2 スライドドア(ドア)
11 照明部
14 開度検出部
15 制御部
L スポット光(光)
R1 高照度範囲
R2 低照度範囲