(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基台と、先端側にリード線が接続される複数の異なる種類の接続端子をそれぞれ該先端側が前記基台の主面の一端側の端部から該主面に沿う方向に突出した状態で収容する複数の収容部と、を備えるカートリッジであって、
前記収容部は、前記基台の前記主面に所定の配列方向に沿って並列に配置されており、 前記接続端子の先端側と後端側との間の中間部を前記配列方向の両側から挟む側壁部を有し、該接続端子を保持する保持部と、
前記保持部の前記一端側の端部よりも他端側に配置され、前記接続端子の後端側に接触して、該接続端子の位置決めを行う位置決め部材と、
を備え、
前記位置決め部材は、前記接続端子と接触する側に、前記主面に向く傾斜面、または、前記主面に対向する天井部を備え、
前記位置決め部材は、前記基台の前記一端側と前記他端側とに回動可能である、
カートリッジ。
前記保持部は、前記基台の前記主面に対して垂直方向に移動可能に構成され、且つ、前記基台内から前記主面の方向に付勢されており、前記側壁部の間の底部は、前記基台の前記主面から突出可能、又は、外力によって前記基台の前記主面以下に移動可能である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の技術では、下記のような問題があり、その改善が求められていた。
例えば、酸素センサに組み付ける複数の接続端子として、熱処理が必要な接続端子を用いる場合には、通常は各接続端子毎に熱処理を行うので、各接続端子は1個ずつばらばらとなっている(即ち、バラ端子となっている)。
【0010】
そのため、複数の種類の接続端子をカートリッジの各収容部に収容する場合には、各接続端子毎にそれぞれ各収容部に収容する必要があるが、複数の種類の接続端子の位置決め(特に長尺の接続端子の後端側の位置決め)を、容易に且つ確実に行うことは簡単ではなかった。
【0011】
また、接続端子は、軽量であるので、複数の種類の接続端子を各収容部に収容した際に、各接続端子を確実に固定することは容易ではなく、例えば収容部内において、接続端子の一部が浮き上がることがあった。
【0012】
そのため、前記カートリッジを用いて、複数の種類の接続端子の先端側にそれぞれリード線を接続して加締め端子を製造する作業は容易ではないという問題があった。
本開示は、前記課題を解決するためになされたものであり、接続端子を収容部に収容した際に、接続端子を好適に位置決め及び固定できるカートリッジ、及び加締め端子を好適に製造できる加締め端子の製造方法、並びに加締め端子の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本開示の第1局面は、基台と、先端側にリード線が接続される複数の異なる種類の接続端子をそれぞれ先端側が基台の主面の一端側の端部から主面に沿う方向に突出した状態で収容する複数の収容部と、を備えるカートリッジに関するものである。
【0014】
このカートリッジでは、収容部は、基台の主面に所定の配列方向に沿って並列に配置されている。この収容部は、接続端子の先端側と後端側との間の中間部を配列方向の両側から挟む側壁部を有し、接続端子を保持する保持部を備えている。さらに、収容部は、保持部の一端側の端部よりも他端側に配置され、接続端子の後端側に接触して、接続端子の位置決めを行う位置決め部材を備えている。
【0015】
さらに、この位置決め部材は、接続端子と接触する側に、主面に向く傾斜面、または、主面に対向する天井部を備えている。
このように、本第1局面では、位置決め部材は、保持部の他端側に配置されており、接続端子の後端側に接触することにより、接続端子の位置決めを行うことができる。しかも、この位置決め部材は、接続端子と接触する側に、主面に向く傾斜面または主面に対向する天井部を備えているので、この傾斜面または天井部により、接続端子の後端側の動きを規制することができる。そのため、接続端子の後端側の位置決めを容易に行うことができるとともに、接続端子が保持部から浮き上がることを抑制して接続端子を好適に固定できる。
【0016】
これにより、カートリッジに複数の種類の接続端子を配置して、それぞれ加締め端子を製造する場合には、各接続端子の位置を精度良く定めることができる。そのため、各接続端子と各リード線との接続を容易に行うことができるので、各加締め端子を容易に製造することができる。
【0017】
(2)本開示の第2局面では、位置決め部材は、基台の一端側と他端側とに回動可能であってもよい。
このように、位置決め部材が、基台の一端側と他端側とに回動可能である場合には、接続端子の位置決めを好適に行うことができるだけではなく、収容部に接続端子を収容する作業や、収容部から接続端子を取り出す作業が容易である。
【0018】
例えば、保持部に接続端子を配置する前に、位置決め部材を他端側に回動させることにより、保持部に接続端子を容易に配置することができる。また、保持部に接続端子を配置した後に、位置決め部材を一端側に回動させることにより、接続端子の位置決めを好適に行うことができる。さらに、保持部から接続端子を取り出す前に、位置決め部材を他端側に回動させることにより、保持部から接続端子を容易に取り出すことができる。
【0019】
(3)本開示の第3局面では、収容部の一部又は全体は、基台に対して着脱可能であってもよい。
このように、収容部の一部(例えば位置決め部材或いは保持部)又は全体を、基台に対して着脱可能とする場合には、各接続端子の形状や寸法が異なっていても、少ない種類(例えば1種)の基台で対応できる。
【0020】
詳しくは、接続端子の形状や寸法が異なっている場合でも、その接続端子の形状や寸法に合わせた位置決め部材や保持部をカートリッジの基台に装着することにより、例えば、同じ基台を用いて各種の接続端子を取り付けることができる。これにより、カートリッジの適用範囲が広がるという効果がある。
【0021】
また、収容部が着脱可能である場合には、例えば収容部の一部が破損した場合などには、その破損した部分のみを取り換えれば済むという利点がある。
(4)本開示の第4局面では、複数の収容部をそれぞれ覆うように、各収容部毎に開閉可能な蓋体を設けてもよい。
【0022】
このように、複数の収容部をそれぞれ覆うように、各収容部毎に開閉可能な蓋体を設ける場合には、例えば複数の接続端子のうちの一つにリード線を加締める場合に、他の接続端子を蓋体で覆っておくことにより、他の接続端子が脱落することを抑制できる。
【0023】
つまり、ある接続端子にリード線を接続する場合には、他の接続端子を収容した収容部の蓋体を閉じておけば、他の接続端子が収容部から脱落しにくいという利点がある。
(5)本開示の第5局面では、保持部は、基台の主面に対して垂直方向に移動可能に構成され、且つ、基台内から主面の方向に付勢されて、側壁部の間の底部は、基台の主面から突出可能、又は、外力によって基台の主面以下に移動可能であってもよい。
【0024】
このように保持部が移動することにより、保持部に保持された接続端子の位置を調節できる。また、加締めの際に、加締め装置で接続端子を保持した状態で、保持部を基台側に移動させることにより、接続端子と保持部との間に間隔をあけることができる。よって、この状態で、好適に加締めを行うことができる。
【0025】
(6)本開示の第6局面は、第1〜第5局面のいずれかのカートリッジを用いて、接続端子の先端側にリード線を加締めにより接続した加締め端子を製造する加締め端子の製造方法に関するものである。
【0026】
この加締め端子の製造方法では、カートリッジの収容部に、接続端子を、接続端子の先端側が基台の一端側の端部から突出した状態で装着する。さらに、保持部の側壁部の間に、接続端子の中間部を嵌めると共に、接続端子の後端側に位置決め部材の傾斜面を当接させて、または、接続端子の後端側を位置決め部材の天井部と主面との間の領域に嵌めて、加締めを行う。
【0027】
このように、前記加締め端子の製造方法では、位置決め部材により、接続端子の後端側に位置決め部材の傾斜面を当接させることにより、精度良くまた容易に位置決めを行うことができるので、リード線を接続端子に加締めて固定する作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、位置決め部材により、接続端子の後端側を位置決め部材の天井部と主面との間の領域に嵌めることにより、精度良くまた容易に位置決めを行うことができるので、リード線を接続端子に加締めて固定する作業を容易に行うことができる。
【0029】
(7)本開示の第7局面は、第1〜第5局面のいずれかのカートリッジと、リード線とカートリッジに装着された接続端子とを加締めにより接続する加締め装置と、を備えた加締め端子の製造装置である。
この加締め端子の製造装置によれば、加締め装置を用いて、カートリッジに装着された接続端子とリード線とを加締めて接続することができる。
【0030】
<以下、本開示の構成について説明する>
前記「主面」とは、基台の表面のうち、接続端子が配置される側の表面を示し、基台が板状の場合には、厚み方向にある表面を示している。また、「主面に向く傾斜面」とは、主面に対して傾斜している面(但し主面と傾斜面とが90度未満)を示す。さらに、「主面に対向する天井部」とは、主面と天井部とが向かい合わせになっていることを示す。
【0031】
また、「加締め端子」とは、接続端子の先端側にリード線が加締めにより接続されたリード線ユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示が適用されたカートリッジ及び加締め端子の製造方法並びに加締め端子の製造装置について、図面を用いて説明する。
[1.実施形態]
[1−1.全体構成]
まず、本実施形態のカートリッジが用いられる加締め端子の製造システムの全体構成について説明する。
【0034】
図1に示すように、加締め端子の製造システム1は、カートリッジ(即ち空のカートリッジ)3に接続端子5(
図2参照)を収容した収容済カートリッジ6を、接続装置7、9、11、13、15に搬送し、各接続装置7〜15において接続端子5とリード線17(
図2参照)との接続が行われて再び空となったカートリッジ3を回収し、再度、接続端子5を収容するシステムである。
【0035】
この加締め端子の製造システム1は、前記接続装置7〜15に加え、後述するように、収容装置21、供給レーン23、回収レーン25、制御部27等を備える。以下、各構成について説明するが、これらの構成については、公知(例えば特開2014−55903号公報参照)であるので簡単に説明する。
【0036】
収容装置21は、空のカートリッジ3に接続端子5を収容する装置である。収容装置21は、テーブル31、回収部33、複数のロボットアーム35、供給部37を備える。
このうち、テーブル31は、テーブル31上に載置されるカートリッジ3を接続端子5の収容位置に配送する装置である。
【0037】
回収部33は、回収レーン25によって回収される空のカートリッジ3を蓄積する部位である。複数のロボットアーム35は、搬送対象の部材(例えば収容済カートリッジ6など)を保持して、目的とする位置に搬送する装置である。供給部37は、所定のロボットアーム35によってテーブル31から運び出される収容済カートリッジ6を、供給レーン23への供給前に一時的に蓄積する部位である。
【0038】
供給レーン23は、収容装置21によってカートリッジ3に接続端子5が収容された収容済カートリッジ6を、接続装置7〜15へ搬送する装置である。回収レーン25は、接続装置7〜15から接続端子5が抜き出された空のカートリッジ3を、収容装置21に搬送する装置である。
【0039】
制御部27は、各種センサから受信する通知信号に基づいて、各モータ(図示せず)や、各ロボットアーム35の駆動を制御する電子制御装置である。
接続装置7〜15は、
図2に示すように、作業者41が、リード線17と接続端子5とを接続して加締め端子(リード線ユニット)43を組立てる際に使用する装置である。なお、
図2では、接続装置7〜15の例として、接続装置7を例に挙げているが、他の接続装置9〜15も同様な構成である。
【0040】
この接続装置7は、作業台45上に、公知のように、蓄積部53及び回収部55に加え、後述する加締め装置51(
図15参照)を配置して、加締め端子43の組立てを円滑に行えるようにした装置である。
【0041】
[1−2.接続端子]
次に、カートリッジ3に収容される接続端子5について説明する。
本実施形態では、カートリッジ3に、種類(即ち形状及び寸法)の異なる複数(例えば6本)の接続端子5が収容される。なお、以下では、6種類の接続端子5のうちの3種の接続端子を例に挙げる。
【0042】
図3及び
図4に示すように、3種の接続端子5(即ち、第1、第2,第3接続端子61、63、65)は、それぞれ形状や寸法は若干異なるが、基本的にほぼ同様な構造の長尺の金属端子である。
【0043】
この第1〜第3接続端子61、63、65は、それぞれ、先端側(
図3及び
図4の下方)の先端部67、69、71と、後端側の後端部73、75、77と、先端部67、69、71と後端部73、75、77との間の中間部79、81、83とを有している。
【0044】
なお、第1〜第3接続端子61、63、65は、ほぼ同様な構成であるので、ここでは、第1接続端子61を例に挙げて詳しく説明する。
図4(a)に示すように、第1接続端子61の先端部67には、リード線17を外周側から押圧して保持するように、3対の爪部85を有している。
【0045】
図3(a)に示すように、第1接続端子61の後端部73は、第1接続端子61が後端側にて折り返された形状をしている。つまり、折り返された部分(折り返し部)87は、爪部85が突出する側(
図3(a)左側)に弓状に突出して、その先端は中間部79に達している。
【0046】
また、後端部73には、折り返し部87と反対側に突出する凸状係止部89が設けられている。この凸状係止部89は、第1接続端子61の幅方向(
図4(a)の左右方向)の一端(
図4(a)の右側)から、幅方向の右側に向かって突出する凸部である。
【0047】
なお、中間部79の幅方向の一端(
図4(a)の右端)には、折り返し方向に曲げられた帯状の側部91が設けられている。
また、
図4(b)に示すように、第2接続端子63の凸状係止部93及び側部95は、第1接続端子61とは異なり、幅方向(
図4(b)の左右方向)において、第1接続端子61とは反対側に設けられている。
【0048】
さらに、
図3(c)に示すように、第3接続端子65は、4対の爪部97を有している。この第3接続端子65の後端側では、折り返し部99は爪部97と反対側に折り返されている。なお、第3接続端子65には、第1接続端子61のような凸状係止部89及び側部91は設けられていない。
【0049】
[1−3.カートリッジ]
次に、上述した異なる種類の接続端子5を収容するカートリッジ3の全体構成について説明する。
【0050】
なお、以下では、平面視は、カートリッジ3を
図5に示す厚み方向(Z方向)から見た場合を示す。また、
図5のZ方向における上側を上とし(従って上側の面を上面とし)、下側を下と称する。X方向における左側を左とし、右側を右と称する。Y方向における手前側(即ち各接続端子5の先端が露出する側)を前とし(従って前側の面を前面(又は正面)とし)、その反対側を後とする(従って後側の面を後面とする)。
【0051】
図5及び
図6に示すように、カートリッジ3は、種類(即ち形状及び寸法)の異なる複数(例えば6本)の接続端子5を、予め決められた並び順にそれぞれ配置して収容する容器である。
【0052】
具体的には、カートリッジ3は、平面視で長方形の板状の底板101と、底板101上に配置された平面視が長方形の板状の基台103と、基台103の一方の主面である上面105に配置された複数の収容部107と、各収容部107の上側をそれぞれ覆う各蓋体109と、底板101上にて長手方向(X方向)の両側に配置された一対の搬送用係止部111、113とを備えている。
【0053】
このうち、例えば6個の収容部107には、それぞれ、上述した例えば6種の接続端子5が収容される。なお、
図6では、6種(即ち6本)の接続端子5のうち、3種(即ち3本)の接続端子5(詳しくは第1〜第3接続端子61〜65)を収容する場合を例に挙げて説明する。
【0054】
なお、
図6に示すように、一対の搬送用係止部111、113は、前後方向に延びる棒材111a、113aを備えている。従って、カートリッジ3を移動させる場合には、例えばロボットアーム35にて棒材111a、113aを把持することによって、カートリッジ3を搬送することができる。
【0055】
[1−4.収容部]
次に、収容部107の構成について説明する。
図6及び
図7に示すように、収容部107は、カートリッジ3の長手方向(
図7の左右方向)に沿って、複数個(例えば6個)が並列に配置されている。
【0056】
そして、各収容部107には、それぞれ各接続端子5が収容される。なお、
図6及び
図7では、6本の接続端子5のうち3本の接続端子5(即ち第1〜第3接続端子61〜65)を示している。
【0057】
各接続端子5が各収容部107に収容される場合には、各接続端子5の先端側は、基台103の上面105の正面側の端部から、上面105に沿うように外側(
図6のY方向の手前側)に突出した状態となる。なお、各接続端子5の先端側には、後述するように、それぞれリード線17が接続される。
【0058】
なお、各収容部107の構造は、各接続端子5の形状や寸法に応じて設定されているので、以下では、第1〜第3接続端子61〜65をそれぞれ収容する第1〜第3収容部121、123、125を例に挙げて説明する。
【0059】
<第1収容部>
最初に、第1収容部121について説明する。
図8に示すように、第1収容部121は、その上側にて第1接続端子61を収容する装置であり、正面側(
図8右下側)に第1保持部131を有するとともに、後面側(
図8左上側)に第1位置決め部材133を有している。
【0060】
なお、第1保持部131と第1位置決め部材133とは、ネジ等により基台103に組み付けられているが、基台103に対して、着脱可能となっている。
<第1保持部>
次に、第1収容部121の第1保持部131について説明する。
【0061】
第1保持部131は、
図9に示すように、Z方向に延びる柱状の部材であり、ばね部材132により、上方(矢印A方向)に付勢されている。従って、第1保持部131は、例えば上方より押圧することにより、所定の範囲で上下動可能となっている。
【0062】
この第1保持部131は、第1接続端子61を保持するために、基台103の上面105よりZ方向の上方に配置された上部機構135を有している。
上部機構135は、
図10(c)に示すように、上面105と平行に配置された板状部137と、板状部137からZ方向の上方に延びる一対の側壁部139、141とを有している。
【0063】
このうち、両側壁部139、141の対向する側面139a、141aは、上方が広がったV字を形成するように斜めに切り欠かれた傾斜面となっている。
なお、板状部137の下面137aと基台103の上面105との間には、所定間隔の隙間138がある。
【0064】
図10(b)に示すように、板状部137の表面の中央(X方向における中央部分)には、Y方向に延びる溝143が設けられている。そして、その溝143に第1接続端子61が嵌め込まれて、溝143の底部143a上に載置されるようになっている。なお、溝の底部143aが側壁部139、141の間の底部である。
【0065】
板状部137の幅方向(X方向)の一方(
図10(b)右側)の端部(即ち溝143の右側)には、その後端側に、下方(上面105側)に向かって斜めに切り欠かれた傾斜部145が形成されている(
図10(a)参照)。
【0066】
この傾斜部145の後端側は、第1接続端子61を上部機構135の溝143に載置した場合に、第1接続端子61の凸状係止部89が嵌り込むことができる長さとなっている。
一方、前記
図9に示すように、第1保持部131のうち、上部機構135より下方(
図9の下方)の下部機構147は、上部機構135より外径が小径であり、この下部機構147は、基台103の上面105に開口する収容孔149に摺動可能に収容されている。
【0067】
前記板状部137の正面側は、下部機構147(従って収容孔149)よりも正面側に突出し、板状部137の後面側は、下部機構147(従って収容孔149)よりも後面側に突出している。
【0068】
また、板状部137の下面137aは、基台103の上面105よりも、隙間138の間隔だけ離れている。従って、第1保持部131を上方から押圧した場合には、板状部137の下面137aは、基台103の上面105に到るまで下降するだけである。つまり、上部機構135(従って第1保持部131)は、隙間138の間隔だけ上下動可能である。
【0069】
なお、第1保持部131は、所定以上突出しないように、下部機構147には、側方に突出する規制凸部153(
図7参照)が設けてある。
<第1位置決め部材>
次に、第1位置決め部材133について説明する。
【0070】
前記
図9に示すように、第1位置決め部材133は、長尺の部材であり、その上部134(即ち上面105より上方に突出している部分)の正面側(
図9の左側)には、第1接続端子61の後端部分が嵌り込んで接触する凹状の位置決め部155が設けられている。
【0071】
なお、前記上部134のうち、凹状の位置決め部155より上側は、正面側に張り出しており、上面105に対向する天井部157となっている。
第1位置決め部材133は、軸部159を回転中心として矢印B方向又は矢印C方向に回動可能となっており、ばね部材161によって、矢印D方向に付勢されている。
【0072】
また、カートリッジ3の後面側には、第1位置決め部材133の下部に到る開口部163が設けてある。そして、この開口部163に配置されたロッド(図示せず)を矢印E方向に突出させることにより、第1位置決め部材133の上部134を矢印C方向に回動させることができる。つまり、第1位置決め部材133の位置決め部155を、第1接続端子61の後端側から離して、位置決めを解除することが可能となっている。
【0073】
<第2保持部>
次に、第2収容部123の保持部(即ち第2保持部171)について説明するが、基本的には、第1保持部131とほぼ同様であるので、異なる点を中心に簡単に説明する。
【0074】
図11に示すように、第2収容部123は、その上側にて第2接続端子63を保持する装置であり、正面側に(第1保持部131とほぼ同様な)第2保持部171を有するとともに、後面側に(第1位置決め部材133と同様な)第2位置決め部材173を有している。
【0075】
ここで、第1接続端子61と第2接続端子63とは、幅方向においてほぼ対称な構造であるので、第2保持部171もそれに対応した構造となっている。例えば、平面視で、上部機構175には、一対の側壁部177、179を備えるとともに、板状部181の中央には溝183が形成されている。また、溝183の幅方向における一方の側(
図11の左側)には、第2接続端子63の凸状係止部93が係止される傾斜部185が設けられている。
【0076】
<第3保持部>
次に、第3収容部125の保持部(即ち第3保持部191)について説明するが、第1保持部131と同様な箇所があるので、異なる点を中心に簡単に説明する。
【0077】
図12に示すように、第3収容部125は、その上側にて第3接続端子65を保持する装置であり、正面側に第3保持部191を有するとともに、後面側に第3位置決め部材193を有している。
【0078】
このうち、第3保持部191は、第1保持部131と同様に、板状部195と一対の側壁部197、199とを有しているが、板状部195の後端側は、第1保持部131と比べて短くなっている。
【0079】
また、第3位置決め部材193は、第1収容部121とは異なり、第3接続端子65と接触する部分(突出部201)のみが、正面側に向かって突出している。
なお、
図13に示すように、第3保持部191には、第3位置決め部材193の一部が嵌り込む溝203が設けられているが、この溝203は、第3接続端子65の下側に凸となる折り返し部93の形状に合わせて、第1保持部131と比べて深くなっている。
【0080】
[1−5.蓋体]
次に、蓋体109について説明する。
前記
図6及び
図9等に記載のように、蓋体109は、各収容部107の上側と正面側とを覆うように、各収容部107毎に配置されている。
【0081】
蓋体109は、側面側から見た形状がL字形状であり、収容部107の上方に配置された略長方形の上板材211と、上板材211の先端側から垂直に延びる略矩形状の前板材213とを備えている。この前板材213は、上板材211から垂直に一方の側(即ち蓋体109を閉じた際の下方)延びている。
【0082】
この蓋体109を閉じたときには、上板材211の後端部211aが基台103の後面より僅かに突出し、前板材213の先端側が、例えば板状部137の先端側の上面に当接するようになっている。
【0083】
また、
図6に示すように、上板材211の後端部211aは、基台103よりも後側に延びており、蓋体109を開いたときには、基台103の後面に当たるように構成されている。これにより、蓋体109は、90度より広く開くように(例えば100度程度開くように)されている。なお、後端部211aの幅方向の一方には、上板材211の幅が細くなるような切り欠き211bが形成されている。
【0084】
また、前記
図8に示すように、上板材211の後側の下面には、幅方向の両端に一対の側壁215、217が設けられている。また、各側壁215、217の左右方向の外側には、各側壁215、217と隣接して一対の支持部219、221が基台103上に立設されている。
【0085】
そして、一対の支持部219、221には、一対の側壁215、217を貫通するように軸部223が取り付けられており、この軸部223を中心として、蓋体109が前後方向(即ち矢印F、G方向:
図9参照)に回動可能となっている。
【0086】
また、軸部223には、円形のばね部材225が外嵌されている。このばね部材225の一端は基台103の上面105に係止され、他端は蓋体109の切り欠き211bに係止されている。これにより、蓋体109は、蓋体109を閉じる方向に付勢されている。
【0087】
なお、蓋体109を開いた場合には、蓋体109は垂直より若干後方に倒れるようになっており、それによって、蓋体109を開いた位置で固定される。一方、蓋体109を閉じた場合には、前記ばね部材225によって、閉じた状態を維持するように付勢されている。
【0088】
[1−6.加締め端子の製造方法]
次に、加締め端子の製造方法について、
図14及び
図15に基づいて説明する。
なお、各接続端子5に各リード線17を接続して各加締め端子43を製造する方法は、ほぼ同様であるので、ここでは、第1保持部131に保持した第1接続端子61にリード線17を接続して加締め端子43を製造する場合を例に挙げて説明する。
【0089】
図14(a)に示すように、蓋体109を開いた状態において、第1位置決め部材133の先端側を、矢印C方向に移動させた状態とする。詳しくは、ロッドを矢印E方向(
図9参照)に移動させることにより、第1位置決め部材133の先端側を矢印C方向に回動させて、位置決めしない開いた状態とする。
【0090】
そして、この状態で、第1接続端子61を、第1保持部131の一対の側壁部139、141の間に配置する。つまり、第1接続端子61を溝143に嵌めるようにして配置する。この配置の際には、第1接続端子61の爪部85及び折り返し部87が、同図の上側となるようにする。
【0091】
このとき、凸状係止部89は、傾斜部145より後方(
図14(a)の右側)に位置して、傾斜部145の後端に係止している。また、凸状係止部89の先端は、板状部137の下面137aより下方に突出して、基台103の上面105から突出する凸部105aに接触する。なお、接触することなく、僅かに離れた状態であってもよい。
【0092】
次に、
図14(b)に示すように、第1位置決め部材133の上部134側を、矢印B方向に移動させて、凹状の位置決め部155を、第1接続端子61の後端側の上部に当接させる。つまり、位置決め部155によって、折り返し部87の後端側を抑えるようにして、第1接続端子61の位置決めを行う。
【0093】
このとき、凸状係止部89は傾斜部145に係止しているので、第1位置決め部材133を第1接続端子61の後端側に当接させても、第1接続端子61は前方へ移動しない。
なお、ロッドを矢印E方向と反対側に移動させることにより、ばね部材161(
図9参照)の付勢力によって、第1位置決め部材133の先端側を矢印B方向に回動させて、位置決め状態とする。
【0094】
次に、
図14(c)に示すように、第1接続端子61の一対の爪部85の間に、リード線17を配置する。
次に、
図15(a)に示すように、爪部85の下方から、加締め装置51の一部(詳しくはアンビル233)を上昇させて、爪部85の下側に配置する。それとともに、爪部85の上方から、加締め装置51の一部(詳しくはクリンパ235)を下降させて、爪部85の上側に当接させる。このクリンパ235の下降により、アンビル233も、爪部85の下側に当接する。
【0095】
これにより、爪部85をアンビル233とクリンパ235とで挟む状態となる。つまり、アンビル233とクリンパ235とで第1接続端子61を保持した状態となる。
なお、加締め装置51及びカートリッジ3により、加締め端子の製造装置232が構成されている。
【0096】
このとき、
図15(b)に示すように、加締め装置51の一部(詳しくは第1押圧部材237)を下降させて、側壁部139、141(従って第1保持部131)を、僅かに下方に移動させる。
【0097】
また、ほぼ同時に、加締め装置51の一部(詳しくは第2押圧部材239)を下降させて、第1位置決め部材133を矢印C方向に回動させて、位置決めを解除する。
これにより、第1接続端子61は、溝143の底部143aから僅かに浮いた状態となる。
【0098】
また、第1接続端子61の凸状係止部89の下端の位置は、凸部105aにより規制されているので、第1保持部131が下方に移動すると、凸状係止部89は傾斜部145の後端から離れて、その係止が解除された状態となる。
【0099】
次に、この状態で、クリンパ235を下降させて、アンビル233とクリンパ235とによって、爪部85を押圧する。これにより、
図15(c)に示すように、爪部85を押し潰すようにして、リード線17を爪部85に接続して固定する。これによって、第1接続端子61にリード線17が接続された加締め端子43が得られる。
【0100】
その後、アンビル233とクリンパ235とを初期位置に移動させて分離する。また、前記分離からわずかに遅れて、第1押圧部材237及び第2押圧部材239が上方に移動し、第1保持部131及び第1位置決め部材133も元の位置に戻る。
【0101】
このとき、凸状係止部89と傾斜部145との係止は、解除された状態であるので、第1接続端子61の後端側は、溝143の底部143aから僅かに浮いた状態となっている。
また、アンビル233とクリンパ235とによって爪部85が押圧された時に、爪部85がクリンパ235に弱く固着された状態となるため、アンビル233とクリンパ235とを初期位置に移動させる際に、第1接続端子61の先端側が、上方に傾斜した状態となる。
【0102】
[1−7.効果]
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、各位置決め部材133、173、193は、各保持部131、171、191の後側に配置されており、各接続端子5の後端側に接触することにより、各接続端子5の位置決めを行うことができる。しかも、この位置決め部材133、173、193の上部134側には、各接続端子5と接触する側(即ち前側)に、凹状の位置決め部155が形成されている。詳しくは、位置決め部155の上部は、上面105に対向する天井部157となっている。
【0103】
従って、この位置決め部155(即ち天井部157)により、各接続端子5の後端側の動きを規制することができる。そのため、各接続端子5の後端側の位置決め及び固定を容易に行うことができるだけでなく、各接続端子61〜65が各保持部131、171、191から浮き上がることを好適に抑制することができる。
【0104】
これにより、カートリッジ3に複数の種類の接続端子5を配置して、それぞれ加締め端子43を製造する場合には、各接続端子5の位置を容易に精度良く定めることができる。そのため、各接続端子5と各リード線17との接続を容易に行うことができるので、各加締め端子43を容易に製造することができる。
【0105】
(2)本実施形態では、各位置決め部材133、173、193が、基台103の前後方向に回動可能であるので、各接続端子5の位置決めや、各収容部107に各接続端子5を収容する作業や、各収容部107から各接続端子5を取り出す作業が容易である。
【0106】
(3)本実施形態では、収容部107のうち、各位置決め部材133、173、193や各保持部131、171、191は、基台103に対して着脱可能である。
従って、各接続端子5の形状や寸法が異なっていても、少ない種類の基台103で好適に対応できる。詳しくは、各接続端子5の形状や寸法が異なっている場合でも、その接続端子5の形状や寸法に合わせた各位置決め部材133、173、193や各保持部131、171、191をカートリッジ3の基台103に装着することにより、同じ基台103を用いて各種の接続端子5を取り付けることができる。これにより、カートリッジ3の適用範囲が広がるという効果がある。
【0107】
また、収容部107の一部(例えば各位置決め部材133、173、193や各保持部131、171、191)が破損した場合などには、その破損した部分のみを取り換えれば済むという利点がある。
【0108】
(4)本実施形態では、複数の収容部107をそれぞれ覆うように、各収容部107毎に開閉可能な蓋体109を備えている。
従って、複数の接続端子5のうちの一つにリード線17を加締める場合に、他の接続端子5を覆うように蓋体109を閉じておくことにより、他の接続端子5が収容部107から脱落することを抑制できる。
【0109】
(5)本実施形態では、各保持部131、171、191は、基台103の主面(即ち上面105)に対して垂直方向に移動可能に構成され、且つ、基台103内から上面105の方向に付勢されている。
【0110】
このように各保持部131、171、191が移動することにより、各保持部131、171、191に保持された各接続端子5の位置を調節できる。また、加締めの際に、加締め装置51で各接続端子5を保持した状態で、各保持部131、171、191を下降させることにより、各接続端子5と各保持部131、171、191との間に間隔をあけることができる。よって、この状態で、好適に加締めを行うことができる。
【0111】
なお、各保持部131、171、191の底部の位置(従って、各溝143、183、203の底部143aの位置)は、基台103の上面105より上方の範囲であるが、基台103の上面105より下方に移動可能な構成とすることもできる。
【0112】
(6)本実施形態では、第1、第2接続端子61、63に、それぞれ凸状係止部89、93が設けられているので、第1、第2接続端子61、63を、それぞれ第1、第2保持部131、171に搭載した場合には、各凸状係止部89、93がそれぞれ各傾斜部137、185の端部に係止する。
【0113】
従って、第1、第2位置決め部材133、173が後方から当接した場合でも、各凸状係止部89、93によって、第1、第2接続端子61、63が前方に移動することを規制できる。
【0114】
なお、第1、第2保持部131、171を下降させた場合には、各凸状係止部89、93の先端側が基台103の上面105(詳しくは凸部105a)に当たって、各傾斜部137、185から外れて、その係止が解除される。従って、加締め後に、加締め端子43を第1、第2保持部131、171から容易に取り出すことができる。
【0115】
(7)本実施形態では、加締め端子の製造装置232を用いて、加締め端子43を製造する場合には、まず、カートリッジ3の各収容部107に、各接続端子5を、各接続端子5の先端側が基台103の前面から突出した状態で装着する。
【0116】
さらに、各保持部131、171、191の各側壁部139、141、177、179、197、199の間に、各接続端子5の各中間部79、81、83を嵌める。それとともに、各位置決め部材133、173、193の位置決め部155に、各接続端子5の後端側を当接させる。つまり、各接続端子5の後端側を天井部157と上面105との間の領域に嵌めて、加締めを行う。
【0117】
このように、各位置決め部材133、173、193により、各接続端子5の後端側の位置決めを行うことによって、精度良くまた容易に各接続端子5の位置決め及び固定を行うことができるので、リード線17を接続端子5に加締めて固定する作業を容易に行うことができる。
【0118】
[1−8.文言の対応関係]
本実施形態の、カートリッジ3、接続端子5、61、63、65、リード線17、加締め端子43、中間部79、81、83、基台103、上面105、収容部107、121、123、125、保持部131、171、191、位置決め部材133、173、193、241、側壁部139、141、177、179、197、199、天井部157、加締め装置51、加締め端子の製造装置232、傾斜面245は、それぞれ、本開示の、カートリッジ、接続端子、リード線、加締め端子、中間部、基台、主面、収容部、保持部、位置決め部材、側壁部、天井部、加締め装置、加締め端子の製造装置、傾斜面の、一例に相当する。
【0119】
[2.その他の実施形態]
尚、本開示は、前記実施形態等に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0120】
(1)例えば、前記実施形態では、第1、2接続端子として、凸状係止部があるものを例に挙げたが、凸状係止部を省略してもよい。
(2)前記実施形態では、6本の接続端子を収容するカートリッジを例に挙げたが、それに限定されることなく、2本以上の接続端子を収容するカートリッジを採用することもできる。
【0121】
(3)前記実施形態では、異なる6種の接続端子を例に挙げたが、2種以上の接続端子を収容するカートリッジを採用することもできる。
(4)前記実施形態では、6個の収容部の全てに蓋体を設けたが、一部の収容部のみに蓋体を設けてもよい。或いは、蓋体の無いカートリッジであってもよい。
【0122】
(5)位置決め部材や保持部の形状は、前記実施形態に限られるものではない。
例えば
図16に示すように、位置決め部材241の上部243の前方に、上方ほど前方側(即ち
図16の左側)に傾斜する傾斜面245を設けてもよい。この位置決め部材241の上部243が矢印B方向に回動して、傾斜面245が接続端子5(例えば第1接続端子61)の後端側の上部に接触することによって、接続端子5の位置決めを行うことができる。
【0123】
(6)前記実施形態では、上述した加締め端子の製造システムを用いて加締め端子を製造する例を挙げたが、それに限定されることはない。例えば、本開示は、作業台上に上述したカートリッジを載置し、作業者などによって、カートリッジの収容部に接続端子を収容し、加締め装置を用いて加締め端子を製造する場合にも適用できる。
【0124】
(7)なお、上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。