【実施例】
【0058】
(実施例1)
実施例2〜5に関する材料及び方法
1.1 材料
すべての化学薬品は、他に記載がない限りSigma-Aldrich社(オークビル、オンタリオ州、カナダ)から購入した。
【0059】
1.2 ヒト臍帯血由来のCD34+細胞の単離及び培養
CD34+細胞を、標準的な手順に従った正の選択によってヒト臍帯血から単離した。臍帯血の単一単位又はいくつかの単位からプールした精製CD34+細胞のいずれかを、24ウェルプレート中の1mLの適切な培養培地におよそ10
5細胞/mLの密度で播いた。培養全体をとおして希釈及び/又は培地交換によって10
5〜10
6細胞/mLの密度で細胞を維持した。
【0060】
培養及び巨核球系統への分化のために、精製CD34+細胞を、抗生物質及び前に記載した「BS1」サイトカインカクテル(Cortinら、2005年)を加えたStemSpan(商標)ACF培地(STEMCELL(商標)Technologies社、バンクーバー、ブリティッシュコロンビア州、カナダ)において培養し、6、10及び14日目に細胞カウントを行った。
【0061】
分化を制限しながらのCD34+細胞培養及び拡大に関して、StemSpan(商標)CC110サイトカインカクテル(STEMCELL(商標)Technologies社)を加えたStemSpan(商標)-ACF培地(STEMCELL(商標)Technologies社)において細胞を成長させ、4、7、10、14、17、及び21日目にカウントした。
【0062】
製造業者の説明書に従ってNucleoCounter(登録商標)NC-250(商標)Viability and Cell Count Assayシステム(ChemoMetec Inc社、デービス、カナダ)を使用して細胞数及び生存率を測定した。
【0063】
1.3 細胞表現型分析
細胞表現型は、以下の標識化一次抗体:CD34-FITC、CD45RA-APC、CD41a-APC、CD42b-PE、及びCD235-PEのパネルを使用し、示した日のフローサイトメトリーによって決定した。
【0064】
1.4 CFU-MKアッセイ
StemSpan(商標)ACF+BS1培養培地において成長させた細胞のアリコートを示した日に採取し、製造業者の説明書に従ってSTEMCELL(商標)Technologies社のMegacult(商標)Cキットを使用してCFU-MKを決定した。
【0065】
(実施例2)
軽度温熱及びピリミドインドール化合物PIC下における培養の組合せは、巨核球前駆細胞の拡大を増加させる
一般に実施例1.2に記載されるとおりに巨核球系統への分化のためにCD34+細胞を単離し、培養した。巨核球前駆(MKP)細胞拡大に対する軽度温熱及びピリミドインドール化合物の組合せの効果を決定するために、CD34+細胞を37℃又は39℃で、本明細書において「PIC」と呼ぶ35nM(最終濃度)のピリミドインドール化合物:
(1r,4r)-N1-(2-ベンジル-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン塩酸塩(「UM171」)
を加えた又は加えていない細胞培養培地の存在下において培養した。CD34+/CD41+MKP細胞の拡大を経時的に監視するために、実施例1.3に記載されるとおりフローサイトメトリーを使用した。
【0066】
図1に示されるとおり、PICの存在下(「37℃+PIC」)又は非存在下(「37℃」)において37℃で培養された細胞は、CD34+/CD41+MKP細胞の拡大が5倍未満であり、軽度温熱下におけるPICの非存在下(「39℃」)で培養された細胞も同様であった。興味深く、驚くべきことに、軽度温熱及びPICの組合せ(「39℃+PIC」)は、14日目までにほぼ100倍に達するCD34+/CD41+MKP細胞の拡大をもたらし、CD34+/CD41+細胞の純度は一般に40%を超えた(データは示していない)。これらの結果は、CD34+細胞のMKP細胞の拡大を刺激するピリミドインドール化合物と組み合わされた軽度温熱の強力な相乗作用を示している。
【0067】
(実施例3)
軽度温熱及びピリミドインドール化合物PIC下における培養の組合せは、更に均一な巨核球前駆細胞の集団をもたらす
実施例2で単離し、培養したCD34+細胞の更に完全な細胞表現型プロファイルを、実施例1.3に記載されるとおりのフローサイトメトリーによって6、10及び14日目に決定した。示した細胞表面マーカー又はマーカーの組合せを持つ細胞のパーセンテージを示すTable 1(表1)に結果の概要を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
Table 1(表1)に示されるとおり、軽度温熱下、PICの存在下における(「39℃+PIC」)CD34+細胞の培養は、6、10及び14日目に標準的な温度におけるPICの非存在下(「37℃」)若しくは存在下(「37℃+PIC」)でのCD34+細胞の培養よりも、又は軽度温熱下、PICを用いない(「39℃」)細胞の培養よりも大きな割合のCD34+/CD41+MKP細胞をもたらす。より詳細には、軽度温熱下、PICの存在下において(「39℃+PIC」)14日間培養したCD34+細胞は、76.5%のCD34+/CD41+MKP細胞をもたらした一方、PIC単独(「37℃+PIC」)又は軽度温熱単独(「39℃」)の使用はそれぞれ11%及び10%のCD34+/CD41+MKP細胞しかもたらさなかった。これらの結果は、巨核球前駆体の更に均一な細胞集団は、ピリミドインドール化合物及び39℃のインキュベーション温度の組合せによって変更された巨核球前駆体への分化に好都合な標準的な条件においてCD34+造血幹細胞を培養することによって得られることを示す。
【0070】
更に、Table 1(表1)に示されるとおり、39℃で、PICの存在下において成長させた培養物(「39℃+PIC」)には14日目に成熟巨核球に特有の表現型CD41+/CD42+の細胞が27%だけ含まれているが、39℃で、PICの非存在下において(「39℃」)成長させた培養物にはCD41+/CD42+成熟巨核球が68%含まれている。37℃で、PICの存在下において(「37℃+PIC」)成長させた培養物は、14日目に実質的にCD41+/CD42+成熟巨核球を含まないが、37℃で、PICの非存在下において(「37℃」)成長させた培養物にはCD41+/CD42+成熟巨核球が44%含まれている。これらの結果は、ピリミドインドール化合物が、成熟CD41+/CD42+巨核球段階前のCD34+細胞の温熱誘導分化を阻止し、且つ/又はCD34+/CD41+巨核球前駆体を優先的に拡大及び保持することを示唆する。したがって、いくつかの実施形態において、ピリミドインドール化合物は、除去されてもよく、細胞は軽度温熱の条件下において更に増殖させられてもよく、それにより更に同調した細胞集団を作製する。
【0071】
理論に縛られるものではないが、軽度温熱及びPICを組み合わせた場合に得られる細胞表現型の分布は、両作動体が相乗作用で前駆体レベルまでの巨核球系統へのCD34+細胞分化に向かわせ、それを維持するよう作用し、その結果、14日間の培養後、全集団の大部分の細胞がCD34+/CD41+MKPであることを強く示唆する。
【0072】
(実施例4)
軽度温熱及びピリミドインドール化合物下における培養の組合せは、CFU-MKの数を増加させる
実施例2に記載されているとおりに、単離及び培養した精製CD34+細胞から開始し、得られたCFU-MKの数に対する39℃のインキュベーション温度及びPICピリミドインドール化合物の単独の効果又は組合せの効果を、実施例1.4に記載されている標準的な前駆細胞アッセイによって分析した。
【0073】
図2に示されるとおり、39℃のインキュベーション温度及びPIC(「39℃+PIC」)の複合効果は、個々に試験したいずれかの条件(「39℃」又は「37℃+PIC」)と比較してより多いCFU-MKの数をもたらした。より詳細には、「39℃+PIC」に対して得られたCFU-MKの数は、培養物を37℃でPICとともに(「37℃+PIC」)成長させた場合に得られる数の2倍を超え、培養物を39℃でPICの非存在下において(「39℃」)成長させた場合に得られたCFU-MKの数の4倍を超えた。更に、39℃でPICとともに(「39℃+PIC」)培養した細胞から得られたCFU-MKの数は、個々に試験したいずれかの条件(「39℃」及び「37℃+PIC」)のCFU-MKの数を加えることによって得られる数よりも大きかった。これらの結果は、軽度温熱及びPICの組合せが、得られるCFU-MKの数を増加させるために相乗作用を示したことを示す。現行の技術はインビトロにおいてCFU-MKの可能性のある細胞を拡大することに対して非効率であるため、この予想外の効果は特に興味深い。
【0074】
(実施例5)
軽度温熱及びピリミドインドール化合物PIC下における培養の組合せは、未分化表現型を保持しながらのCD34+細胞の拡大を増加させる
CD34+細胞を単離し、前駆体への分化を制限しながら自己複製を維持するのに適した培地において培養した(実施例1.2に記載されているとおりのStemSpan(商標)CC110サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF)。CD34+細胞を37℃又は39℃で、35nM(最終濃度)のピリミドインドール化合物PICを加えたか、又はそれを含まない細胞培養培地の存在下において培養した。
【0075】
図3(A)に示されるとおり、37℃でPICを用いずに培養した細胞(「37℃」)は、培養中の任意の時点において中程度のCD34+細胞の拡大を得た。細胞培養培地にPICを加えると、21日目の拡大が100〜200倍に高まった。著しく、39℃でPICを用いずに培養した細胞(「39℃」)は、最小限のCD34+細胞の細胞拡大を得たが、39℃、PICの存在下において細胞を培養することによって(「39℃+PIC」)、CD34+細胞拡大の劇的な増加をもたらし、21日目に1000倍を超える拡大であった。これらの結果は、CD34+細胞の拡大に対する軽度温熱及びピリミドインドール化合物の強力な相乗作用を示す。
【0076】
拡大したCD34+細胞の細胞表現型プロファイルを、実施例1.3に記載されるとおりのフローサイトメトリーによって4、7、10、14、17、及び21日目に決定した。示した細胞表面マーカー又はマーカーの組合せを持つ細胞のパーセンテージを示すTable 2(表2)にその結果の概要を示す。
【0077】
【表2】
【0078】
Table 2(表2)に提示した表現型分析の結果は、軽度温熱とPICとを組み合わせた処理が巨核球及び赤血球(CD235+)系統への細胞の分化の向上につながらなかったことを示し、これは、「幹細胞性」がある程度維持されたことを示唆する。理論に縛られるものではないが、これらの結果をまとめて、軽度温熱をピリミドインドール化合物の使用と組み合わせると、ピリミドインドール化合物の分化抑制効果を保持する一方で、細胞のインビトロにおける拡大に対する39℃のインキュベーション温度の促進効果を同時に助長することを示唆する。
【0079】
図3(A)に提示されている結果は、CD34+細胞の全集団から導き出されている。CD34+/CD45RA-細胞の少数の集団は、本当の長期造血幹細胞(LT-HSC)であると考えられる。全細胞拡大の結果及びTable 2(表2)の結果を組み合わせると、CD34+/CD45RA-LT-HSCの絶対数及び拡大倍数を決定することが可能であった。
図3(B)に示されるとおり、CD34+/CD45RA-LT-HSCの拡大は、39℃でPIC化合物の存在下(「39℃+PIC」)において細胞を培養することによって大きく向上した。この結果は、軽度温熱及び造血幹細胞拡大のピリミドインドールアゴニストの相乗作用が、様々な目的のため、及びいくつかの造血系統の誘導のために活用できると予想されることを示す。
【0080】
(実施例6)
実施例7〜16に関する材料及び方法
6.1 CD34+細胞の供給源
本発明者らの病院の研究倫理委員会ガイドラインに従ってドナーから書面のインフォームドコンセントを得た後にヒト臍帯血(CB)を採取した。単核細胞(MNC)をFicoll-Hypaque(商標)密度勾配(GE Healthcare社)により最初に分離した後、-180℃でCryostor CS10(商標)培地(STEMCELL Technologies社)中で凍結保存した。6から8つのCBからの解凍したMNCをCD34単離前にプールした。CB CD34+細胞を、製造業者の説明書(STEMCELL Technologies社)に従ってEasySep(商標)CD34濃縮キットを使用した正の選択によって濃縮した。
【0081】
ヒト骨髄及びG-CSF動員末梢血CD34+細胞をAllCells社から購入した。
【0082】
6.2 培養及びCD34+濃縮細胞の巨核球系統への分化
ヒトCD34+濃縮細胞(純度≧90%)を、24ウェルプレートに100000細胞/mLで(1)OMPCサイトカインカクテル(Robertら、2011年)を加えたStemSpan(商標)ACF(ACF;STEMCELL Technologies社)、又は(2)BS1巨核球拡大及び分化カクテル(Cortinら、2005年)を加えたStemSpan(商標)SFEM(STEMCELL Technologies社)のいずれかから成る拡大培地中に播いた。OMPCは、35ng/mLトロンボポエチン(TPO、Feldan Therapeutics社)、10ng/mL幹細胞因子(SCF、Peprotech社)、及び11ng/mLヒトFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3、Peprotech社)から成る。BS1は、1ng/mL SCF、30ng/mL TPO、7.5ng/mL IL-6及び13.5ng/mL IL-9(Feldan Therapeutics社)から成る。
【0083】
実施例に示されるとおり、5%CO
2、37℃又は39℃の加湿雰囲気に培養物を維持した。3から4日毎に新しい培地により300000細胞/mLに細胞を希釈した。DMSOに溶解させることによってPIC及びPIC2の原液を調製し、その後、以下の最終有効濃度で培養細胞に直接添加した:PIC:35nM(実施例2を参照);PIC2:500nM(実施例7.4を参照)。
【0084】
6.3 CD34+濃縮細胞培養及びその赤血球系統への分化
ヒトCB CD34+濃縮細胞(純度≧90%)を、24ウェルプレートに100000細胞/mLで、20ng/mL SCF(Peprotech社)及び2U/mLエリスロポエチン(EPO、Feldan Therapeutics社)を加えたEaveの基本培地(イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、20% BIT (10ng/mLウシ血清アルブミン、10μg/mLウシ膵臓インスリン、200μg/mLヒトトランスフェリン;STEMCELL Technologies社)、0.1mg/mL低密度リポタンパク質(STEMCELL Technologies社)、50μM 2-メルカプトエタノール)から成る拡大培地中に播いた。実施例に示されるとおり、5%CO
2、37℃又は39℃の加湿雰囲気に培養物を維持した。3から4日毎に新しい培地により300000細胞/mLに細胞を希釈した。DMSOに溶解させることによってPICの原液を調製し、その後、35nMの最終有効濃度で培養細胞に直接添加した。
【0085】
6.4 自己複製に好都合な条件におけるCD34+濃縮造血幹細胞の培養
ヒトCD34+濃縮細胞(純度≧90%)を、24又は96ウェルプレートに500000細胞/mLで、CC110(STEMCELL Technologies社)若しくは100ng/mLヒトFLT3(Peprotech社)、100ng/mL SCF(Peprotech社)、50ng/mL TPO(Feldan Therapeutics社)及び10μg/mL低密度リポタンパク質(LDL、STEMCELL Technologies社)から成る自作の(HM)サイトカインカクテルのいずれかを加えたStemSpan(商標)ACF(ACF)、SFEM、又はSFEM II(STEMCELL Technologies社)から成る3つの拡大培地のうちの1つの拡大培地中に播いた。実施例に示されるとおり、5%CO
2、37℃又は39℃の加湿雰囲気に培養物を維持した。3から4日毎に新しい培地で500000細胞/mLに細胞を希釈した。DMSOに溶解させることによってPIC及びPIC2の原液を調製し、その後、以下の最終有効濃度で培養細胞に直接添加した:PIC:35nM;PIC2:500nM。
【0086】
6.5 培養細胞の分析
細胞数及び生存率を溶液18(Acridine Orange及びDAPI溶液、ChemomMetec社)を添加し、検出のためにNucleoCounter(商標)NC-250(ChemomMetec社)を使用することによって決定した。
【0087】
MK系統への分化に好都合な条件において拡大した細胞に対して、以下の抗体:CD34-FITC、CD41a-APC及びCD42b-PEを使用して表面マーカーを検出した。Immunotech社から購入したCD34-FITCを除くすべての抗体は、BD Biosciences社から購入した。生存率用色素として7AADを使用した。すべてのサンプルをAccuri(商標)C6フローサイトメーター(BD Biosciences社)で分析し、各サンプルに対して得られた少なくとも15000の生細胞事象の未処理データをFCS Express 5 Flow Research Editionソフトウェアで分析した。製造業者の説明書(STEMCELL Technologies社)に従って、MegaCult-C(商標)を使用して巨核球系コロニー形成単位(CFU-MK)をアッセイした。
【0088】
赤血球系統への分化に好都合な条件において拡大した細胞に対して、以下の抗体:CD34-FITC、CD71-APC及びCD235-PEを使用して表面マーカーを検出した。Immunotech社から購入したCD34-FITCを除くすべての抗体は、BD Biosciences社から購入した。生存率用色素として7AADを使用した。すべてのサンプルをAccuri(商標)C6フローサイトメーター(BD Biosciences社)で分析し、各サンプルに対して得られた少なくとも15000の生細胞事象の未処理データをFCS Express 5 Flow Research Editionソフトウェアで分析した。
【0089】
自己複製に好都合な条件において拡大した細胞に対して、以下の抗体:CD34-PE、CD45RA-FITC、及びCD38-BV421を使用して表面マーカーを検出した。Immunotech社から購入したCD34-PEを除くすべての抗体は、BD Biosciences社から購入した。製造業者の説明書に従ってALDEFLUOR(商標)キット(STEMCELL Technologies社)を使用してアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)陽性細胞の標識化を行った。生存率用色素として7AADを使用した。すべてのサンプルをFACS-Cy Flow MLシステム(Sysmex社)で分析し、各サンプルに対して得られる少なくとも15000の生細胞現象の未処理データをFCS Express 5 Flow Research Editionソフトウェアで分析した。
【0090】
6.6 CD41+細胞のマウスへの移植、及び骨髄生着の評価
7から9週齢の雌のNOD.Cg-Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ(NSG)マウスをJackson Laboratory社(バー・ハーバー、メイン州)から購入した。致死量以下で放射線照射したマウス(250cGy、
137Cs)に、BS1カクテルを加えたStemSpan(商標)SFEM培地において10日間拡大したCB CD34+濃縮細胞を尾静脈注射により静脈内に移植した。各実験には、骨髄生着に関する陰性対照としてPBSを注射したマウスを含めた。骨髄(BM)生着及びヒト血小板産生の評価のための実験群及び対照群は少なくとも6匹のマウスで構成した。大腿骨及び脛骨を洗い流し、以下の抗体:ヒトCD45-PE-Cy7、マウスCD45-PE、ヒトCD41-APC、ヒトCD33-APC、ヒトCD34-PE、ヒトCD235-PE、ヒトCD3-FITCを使用したフローサイトメトリーによって新たに単離したBM細胞を分析することによって、移植後12から16週間、マウスの骨髄におけるヒト細胞の生着について評価した。生存率用色素として7AADを使用した。製造業者の説明書に従ってBD Lysing溶液を使用して赤血球を溶解させた。
【0091】
6.7 移植マウスにおけるヒト血小板産生の分析
EDTAコーティングキャピラリー(Drummond社)を使用して麻酔をかけたマウスから後眼窩静脈叢血液を採取した。移植マウスにおけるヒト血小板産生の評価は、二つの別個の段階から構成した。第1に、ラット抗マウスCD41-FITC抗体で全血中のネズミの血小板を染色することによってネズミの血小板数を決定した。次に、サンプルをPBS/1%BSA中1/18000に最終希釈し、BD Accuri(商標)C6機器を使用したフローサイトメトリーによってネズミの血小板の濃度をアッセイした。第2に、多血小板血漿(PRP)中のヒト血小板の割合を測定した。PRPは、全血をPBS(1/2)で希釈し、800RPMで30秒間遠心分離することによって調製した。10マイクロリットルのPRPをマウス抗ヒトCD41-APC及びラット抗マウスCD41-FITC抗体で染色した。次に、サンプルをBD Accuri(商標)C6機器で分析した。ドット・プロットの血小板領域に少なくとも400000の事象を得た。
【0092】
6.8 自己複製に好都合な条件におけるCB CD34+細胞のインビトロの培養によって得た新しいCB CD34+細胞又はその後代のマウスへの移植、及び骨髄生着の評価
7から9週齢の雌のNOD.Cg-Prkdc
scid Il2rg
tm1Wjl/SzJ(NSG)マウスをThe Jackson Laboratory社(バー・ハーバー、メイン州)から購入した。致死量以下で放射線照射したマウス(250 cGy、
137Cs)に新しいCD34+濃縮CB細胞、又は12日間インビトロにおいて拡大されたそれらの全細胞の後代のいずれかを尾静脈注射によって静脈内に移植した。各実験には、骨髄生着に関する陰性対照としてPBSを注射したマウスが含まれた。実験群及び対照群は、少なくとも5匹のマウスで構成した。大腿骨及び脛骨を洗い流し、以下の抗体:ヒトCD45-PE-Cy7、マウスCD45-PE、ヒトCD33-BV421、ヒトCD19-FITC、ヒトCD34-PE、及びヒトCD3-FITCを使用したフローサイトメトリーによって新たに単離したBM細胞を分析することによって、移植後27週目にマウスの骨髄におけるヒト細胞の生着について評価した。生存率用色素として7AADを使用した。
【0093】
(実施例7)
軽度温熱及びピリミドインドール化合物下におけるCD34+/CD41+巨核球前駆体の拡大に対するCD34+細胞の異なる供給源の影響
7.1 軽度温熱及びPICを組み合わせた使用は、臍帯血CD34+細胞由来の巨核球前駆体の相乗的な拡大をもたらす
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCD34+濃縮細胞を得、実施例6.2に記載されているとおりに軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下においてOMPCサイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地中で培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0094】
図4は、14日間にわたって試験した異なる培養条件下におけるCD34+/CD41+細胞(巨核球前駆体)の拡大倍数を示す。これらの結果は、臍帯血CD34+細胞由来のCD34+/CD41+細胞の拡大に対する軽度温熱(39℃)及びPICを組み合わせた使用の相乗作用を示す。
【0095】
7.2 軽度温熱及びPICを組み合わせた使用は、動員末梢血CD34+細胞由来の巨核球前駆体の相乗的な拡大をもたらす
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒトG-CSF動員末梢血CD34+細胞を得、実施例6.2に記載されているとおりに軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下においてBS1巨核球拡大及び分化カクテルを加えたStemSpan(商標)SFEM培地中で培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0096】
図5は、14日間にわたって試験した異なる培養条件下におけるCD34+/CD41+細胞(巨核球前駆体)の拡大倍数を示す。これらの結果は、動員末梢血CD34+細胞由来のCD34+/CD41+細胞の拡大に対する軽度温熱(39℃)及びPICを組み合わせた使用の相乗作用を示す。
【0097】
7.3 軽度温熱及びPICを組み合わせた使用は、骨髄CD34+細胞由来の巨核球前駆体の相乗的な拡大をもたらす
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト骨髄CD34+細胞を得、実施例6.2に記載されているとおりに軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下においてBS1巨核球拡大及び分化カクテルを加えたStemSpan(商標)SFEM培地中で培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0098】
図6は、14日間にわたって試験した異なる培養条件下におけるCD34+/CD41+細胞(巨核球前駆体)の拡大倍数を示す。これらの結果は、骨髄CD34+細胞由来のCD34+/CD41+細胞の拡大に対する軽度温熱(39℃)及びPICを組み合わせた使用の相乗作用を示す。
【0099】
7.4 軽度温熱及びPIC2を組み合わせた使用は、臍帯血CD34+細胞由来の巨核球前駆体の相乗的な拡大をもたらす
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCD34+濃縮細胞を得、実施例6.2に記載されているとおりに軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物「PIC2」:
メチル4-((3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)アミノ)-9H-ピリミド[4,5-b] インドール-7-カルボキシレート(「UM729」)
の存在下若しくは非存在下においてBS1サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)SFEM培地中で培養した。
【0100】
細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0101】
図7は、14日間にわたって試験した異なる培養条件下におけるCD34+/CD41+細胞(巨核球前駆体)の拡大倍数を示す。これらの結果は、CB CD34+/CD41+細胞の拡大に対する軽度温熱(39℃)及びPIC2を組み合わせた使用の相乗作用を示す。
【0102】
(実施例8)
インビトロにおいて拡大されたMK前駆体の注入後のマウスにおけるヒト血小板の産生
実施例6.2に記載されているとおりに、軽度温熱下、MK前駆体の優先的な拡大に好都合な条件でインビトロにおいてCB CD34+細胞を拡大することによってヒトCD41+細胞を調製した。StemSpan(商標)SFEM培地には、インビトロにおける拡大のためにBS1サイトカインカクテルを加えた。実施例6.6に記載されているとおりに、培養の10日後に得た測定した用量のCD41+細胞をNSGマウスに移植した。
【0103】
実施例6.2に記載されているとおりにMK前駆体の優先的な拡大に好都合な条件でインビトロにおいて拡大したCB CD34+細胞の注入の5日後又は2.5週後のいずれかにおいてネズミの血液中のヒト血小板をカウントすることによってマウスにおけるヒト血小板産生を決定した。
図8及び
図9は、それぞれ5日目及び2.5週目のマウスにおける短期間のヒト血小板産生の結果を示し、図中、「MK-6M」:StemSpan(商標)SFEM+BS1カクテルを使用して作製した6百万のCD41+細胞の注入;「(MK+PIC)-1M」:PICを加えたStemSpan(商標)SFEM+BS1カクテルを使用して作製した百万のCD41+細胞の注入;「(MK+PIC)-6M」:PICを加えたStemSpan(商標)SFEM+BS1カクテルを使用して作製した6百万のCD41+細胞の注入;及び「PBS」:対照としてリン酸緩衝生理的食塩水の注入。ダッシュ記号の右にある数は、各条件に対するヒト血小板/血液μLの平均数を表す。
【0104】
(実施例9)
軽度温熱及びPIC下におけるCD34+細胞の拡大に対する赤血球分化培地の効果
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCD34+濃縮細胞を得、実施例6.3に記載されているとおりに、軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下において赤血球分化培地中で培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0105】
9.1 赤血球分化培地におけるCD71+細胞(赤血球前駆体)の拡大に対するPICの効果
図10は、14日間にわたって試験した異なる培養条件下におけるCB CD71+細胞(赤血球前駆体)の拡大倍数を示す。軽度温熱(39℃)の使用は、CD71+赤血球前駆体の拡大の増加をもたらした(
図10を参照、「37」対「39」、及び「37+PIC」対「39+PIC」)。しかしながら、PICの添加は、CD71+赤血球前駆体の拡大の低下をもたらした(
図10を参照、「37」対「37+PIC」、及び「39」対「39+PIC」)。
【0106】
図11は、14日間にわたって試験した異なる培養条件下における全細胞の拡大倍数(全細胞拡大)を示す。軽度温熱(39℃)の使用は、全細胞拡大の増加をもたらした(
図11を参照、「37」対「39」、及び「37+PIC」対「39+PIC」)。しかしながら、PICの添加は、全細胞拡大の低下をもたらした(
図11を参照、「37」対「37+PIC」、及び「39」対「39+PIC」)。
【0107】
9.2 赤血球分化培地におけるCD34+細胞(HSC)及びCD34+/CD71+細胞(赤血球前駆体)の拡大に対する軽度温熱及びPICの相加効果
図12及び
図13は、それぞれ14日間にわたって試験した異なる培養条件下におけるCD34+細胞及びCD34+/CD71+細胞(赤血球前駆体)の拡大倍数を示す。興味深いことに、これらの結果は、軽度温熱(39℃)及びPICの使用が赤血球分化培地におけるCB CD34+細胞(
図12)及びCB CD34+/CD71+細胞(赤血球前駆体)(
図13)の両方の拡大に対して相加効果があったことを示す。
【0108】
(実施例10)
軽度温熱及びPIC下におけるCD34+細胞(HSC)及びCD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)の拡大に対する様々なサイトカインカクテルの効果
実施例5で提示した結果は、軽度温熱(39℃)及びPICを組み合わせた使用が、商業的に入手可能なCC110サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地を使用した場合、分化を制限しながらCD34+細胞の拡大の増加をもたらしたことを示した。この実施例において提示した結果は、軽度温熱(39℃)及びPIC下におけるCB CD34+ HSCの相乗的な拡大が自作の(HM)サイトカインカクテルを使用して得られることを示す。
【0109】
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCB CD34+濃縮細胞を得、実施例6.4に一般に記載されているとおりに、軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下において自己複製に好都合な条件で培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0110】
図14は、CC110サイトカインカクテル(
図14A)又は自作の(HM)サイトカインカクテル(
図14B)のいずれかを加えたStemSpan(商標)ACF培地において培養したCB CD34+細胞(造血幹細胞)の拡大倍数を示す。
【0111】
図15は、CC110サイトカインカクテル(
図15A)又は自作の(HM)サイトカインカクテル(
図15B)のいずれかを加えたStemSpan(商標)ACF培地において培養したCB CD34+/CD45RA-(長期造血幹細胞:LT-HSC)細胞の拡大倍数を示す。
【0112】
Table 3(表3)は、自作の(HM)又はCC110サイトカインカクテルのいずれかを加えたStemSpan(商標)ACF培地におけるCB CD34+細胞の14日間の培養後の示したHSC部分集団のそれぞれのパーセンテージを示す。
【0113】
【表3】
【0114】
(実施例11)
軽度温熱及びPIC下におけるCD34+細胞(HSC)及びCD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)の拡大に対する様々な基本培地及びサイトカインカクテルの効果
この実施例において提示した結果は、軽度温熱(39℃)及びPIC下におけるCB CD34+ HSC及びCD34+/CD45RA- LT-HSCの相乗的な拡大が様々な商業的に入手可能な培地及び様々なサイトカインカクテルを使用して得られたことを示す。
【0115】
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCB CD34+濃縮細胞を得、実施例6.4に一般に記載されているとおりに、軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下において自己複製に好都合な条件で培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0116】
図16は、CC110サイトカインカクテル(
図16A)又は自作の(HM)サイトカインカクテル(
図16B)のいずれかを加えたStemSpan(商標)SFEM培地において培養したCB CD34+細胞(造血幹細胞)の拡大倍数を示す。
【0117】
図17は、CC110サイトカインカクテル(
図17A)又は自作の(HM)サイトカインカクテル(
図17B)のいずれかを加えたStemSpan(商標)SFEM II培地において培養したCB CD34+細胞(造血幹細胞)の拡大倍数を示す。
【0118】
図18は、CC110サイトカインカクテル(
図18A)又は自作の(HM)サイトカインカクテル(
図18B)のいずれかを加えたStemSpan(商標)ACF培地において培養したCB CD34+細胞(造血幹細胞)の拡大倍数を示す。
図18Cは、BS1サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)SFEM培地中、軽度温熱下、PICの存在下(「39」)若しくは非存在下(「CTL」)において培養したCB CD34+/CD45RA-細胞(長期造血幹細胞:LT-HSC)の拡大倍数を示す。
【0119】
Table 4 (表4)は、CC110又は自作の(HM)サイトカインカクテルを使用した様々な基本培地において培養したCB CD34+細胞からの長期造血幹細胞(LT-HSC)(CD34+/CD45RA-)の拡大倍数を示す。
【0120】
【表4】
【0121】
Table 5(表5)は、CC110又は自作の(HM)サイトカインカクテルを加えた様々な基本培地(SFEM、SFEM II、又はStemSpan ACF(ACF)培地)において14日間培養したCB CD34+細胞由来の示したHSC部分集団のそれぞれのパーセンテージを示す。
【0122】
【表5】
【0123】
図18Cは、BS1サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)SFEM培地において培養したCB CD34+/CD45RA-細胞(長期造血幹細胞:LT-HSC)の拡大倍数を示す。これらの結果は、巨核球前駆細胞(CD34+/CD41+)の拡大を促進することで公知の細胞培養培地が自己複製LT-HSCの拡大も可能にすることを示す。
【0124】
(実施例12)
CD34+細胞(HSC)、CD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)、及びCD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大に対する軽度温熱及びPIC2又はPICを組み合わせた使用の効果
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCB CD34+濃縮細胞を得、実施例6.4に一般に記載されているとおりに、軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PIC2の存在下若しくは非存在下において自作の(HM)サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地中で自己複製に好都合な条件において培養した(実施例7.4を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0125】
図19、
図20及び
図21は、それぞれ、培養の7、10、及び14日後のCD34+細胞(造血幹細胞)、CD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)、及びCD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大倍数を示す(Majetiら、2007年)。
【0126】
図22は、自作の(HM)サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地において14日間培養したCB CD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大に関する軽度温熱(39℃)及びPIC下における14日の培養後のCD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大倍数を示す。データは、4回の独立した実験の平均を示す。
【0127】
(実施例13)
動員末梢血(mPB)CD34+細胞(HSC)、CD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)、及びCD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大に対する軽度温熱及びPICを組み合わせた使用の効果
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒトG-CSF-動員末梢血CD34+濃縮細胞を得、実施例6.4に一般に記載されているとおりに、軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下において自作の(HM)サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地中で自己複製に好都合な条件において培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0128】
図23、
図24及び
図25は、それぞれ培養の10、14、及び17日後のCD34+細胞(造血幹細胞)、CD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)、及びCD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大倍数を示す。
【0129】
(実施例14)
骨髄CD34+細胞(HSC)、CD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)、及びCD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大に対する軽度温熱及びPICを組み合わせた使用の効果
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト骨髄(BM)CD34+濃縮細胞を得、実施例6.4に一般に記載されているとおりに軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下において自作の(HM)サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地中で自己複製に好都合な条件において培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0130】
図26、
図27及び
図28は、それぞれ培養の10、14、及び17日後のCD34+細胞(造血幹細胞)、CD34+/CD45RA-細胞(LT-HSC)、及びCD34+/CD38-/CD45RA-細胞の拡大倍数を示す。
【0131】
(実施例15)
CB CD34+/ALDH
Bright細胞の拡大に対する軽度温熱及びPICを組み合わせた使用の効果
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCB CD34+濃縮細胞を得、実施例6.4に一般に記載されているとおりに軽度温熱(39℃)の存在下若しくは非存在下及び/又はピリミドインドール化合物PICの存在下若しくは非存在下において自作の(HM)サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地中で自己複製に好都合な条件において培養した(実施例2を参照)。細胞数及び生存率を、実施例6.5に記載されているとおりに決定した。
【0132】
図29は、培養の21日後のCD34+/ALDH
Bright細胞の拡大倍数を示す。これらの結果は、軽度温熱及びPICを組み合わせた使用がHSCのこの部分集団の相乗的な拡大をもたらすことを示す。
【0133】
(実施例16)
軽度温熱及びPIC下、インビトロにおいて拡大したヒトCB CD34+細胞(HSC)の免疫不全マウスにおける移植及び生着
実施例6.1に記載されているとおりに、ヒト臍帯血(CB)からヒトCB CD34+濃縮細胞を得、実施例6.4に一般に記載されているとおりに軽度温熱(39℃)及びピリミドインドール化合物PICの存在下において自作の(HM)サイトカインカクテルを加えたStemSpan(商標)ACF培地中で自己複製に好都合な条件において培養した(実施例2を参照)。実施例6.8に記載されているとおりに、新しいCB CD34+細胞、又は12日間拡大したCB CD34+細胞を免疫不全マウスに移植した。
【0134】
PBSを単独で移植したマウスと比較して、インビトロにおいて拡大したCB CD34+細胞を移植したマウスの骨髄におけるヒトCD45+細胞のパーセンテージの増加が観察され、このことは、生着がうまくいったことを示す(データは示していない)。
(参考文献)