特許第6954894号(P6954894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6954894-自己推進型トローリーアセンブリ 図000003
  • 特許6954894-自己推進型トローリーアセンブリ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954894
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】自己推進型トローリーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20211018BHJP
   B62B 1/26 20060101ALI20211018BHJP
   B62B 7/00 20060101ALI20211018BHJP
   B62B 9/22 20060101ALI20211018BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20211018BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20211018BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   B62B3/00 B
   B62B1/26 Z
   B62B7/00 Z
   B62B9/22
   B60L9/18 P
   B60L7/14
   H02K21/22 M
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-511435(P2018-511435)
(86)(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公表番号】特表2019-513601(P2019-513601A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】SE2017050338
(87)【国際公開番号】WO2017176202
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年3月19日
(31)【優先権主張番号】1650459-9
(32)【優先日】2016年4月5日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521148304
【氏名又は名称】エレクトロ モビリティ ヨーロッパ アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】ELECTRO MOBILITY EUROPE AB
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(72)【発明者】
【氏名】アンダション、ロランド
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−134538(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第996217(EP,A1)
【文献】 特開2014−231240(JP,A)
【文献】 特開2014−136568(JP,A)
【文献】 米国特許第8033348(US,B1)
【文献】 特開2009−83774(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/063476(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0197271(US,A1)
【文献】 米国特許第5937961(US,A)
【文献】 特開平10−164804(JP,A)
【文献】 特開2016−17349(JP,A)
【文献】 特開平8−99538(JP,A)
【文献】 実開平4−31077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
B62B 1/26
B62B 7/00
B62B 9/22
B60L 9/18
B60L 7/14
H02K 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己推進型トローリーアセンブリ(100)であって、
バッテリー(156)と、
電気モータ(151、152;1)により駆動される少なくとも1つの車輪(111、112)と、ここで前記電気モータ(151、152;1)は前記バッテリー(156)により給電され、
少なくとも1つのトローリーの車輪(111、112)の回転位置または回転速度を検出するよう配設される回転位置または速度センサ(9)と、
ユーザインタフェース(153)と、および
前記ユーザインタフェース(153)からの入力に基づいて前記電気モータ(151、152;1)を調整するよう配設されて、特定の駆動パターンに基づいて前記車輪(111、112)の回転に作用する制御ユニット(150)と、を備え、
前記制御ユニット(150)は、前記回転位置または速度センサ(9)から読み出される情報、フリーホイール駆動パターン、および揺動駆動パターンに基づいて、少なくともフィードバック支援推進駆動パターンを実装するよう配設され、
前記駆動パターンのすべては、前記電気モータ(151,152;1)への異なる駆動電圧パターンを使用して実装され、および
前記電気モータ(151、152;1)は、固定子(2)が、対応する回転子(3)の極(7)の数の整数倍でない数の固定子(2)の極(7)を備え、前記固定子(2)の極(7)が、前記電気モータ(151、152;1)の角度方向周囲に順に搭載される、少なくとも3つの磁気的および電気的に同一のサブセット(8)に分割されるタイプである、
ことを特徴とする自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項2】
前記位置または速度センサ(9)は、前記制御ユニット(150)にモータ(151、152;1)の回転位置または速度情報を供給するよう配設されるホール効果センサである、
ことを特徴とする請求項1に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記自己推進型トローリーアセンブリ(100)は、子供用のベビーカーである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記自己推進型トローリーアセンブリ(100)は、液体試料用の運搬トローリーである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記制御ユニット(150)は、ユーザ設定可能な速度駆動パターンを実装するよう配設され、
前記制御ユニット(150)は、フィードバックループに基づいて、前記バッテリー(156)から前記モータ(151、152;1)へ供給される電圧を調整することにより、前記自己推進型トローリーアセンブリ(100)の速度を連続的に計測して、ユーザ設定速度と比較し、これにより、前記ユーザ設定速度を達成するよう配設される、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記ユーザ設定可能なスピード駆動パターンの前記フィードバックループはまた、モータ(151、152;1)の検出された電流使用に基づいて、モータ(151、152;1)の電力消費を調整し、これにより、増加した電流使用が増加した電力消費をもたらす、ことを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記ユーザ設定可能なスピード駆動パターンの前記フィードバックループはまた、前記ユーザ設定速度が所定の間接または直接の値の分超えた際に、ブレーキメカニズムを採用する、ことを含む、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記モータ(151、152;1)は、発電機モードで駆動されるよう配置され、
前記ブレーキメカニズムは、前記モータ(151、152;1)を前記発電機モードへ切り替え、生成された電圧を使用して、前記バッテリー(156)を再充電する、ことを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記発電機モードは、前記制御ユニット(150)が、前記モータ(151、152;1)の固定子(2)に対する前記モータ(151、152;1)の回転子(3)の強制回転による誘導電流の方向をアクティブに制御して、前記バッテリー(156)を再充電するために、前記バッテリー(156)へ前記電流を供給することにより、実装される、
ことを特徴とする請求項8に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記自己推進型トローリーアセンブリ(100)は、前記制御ユニット(150)により始動されるよう配設される機械的ブレーキを備え、
前記ブレーキメカニズムは、前記機械的ブレーキを始動する、ことを含む、
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記モータ(151、152;1)は、フリーホイールモードで駆動されるよう配設され、
前記制御ユニット(150)は、前記フリーホイール駆動パターンを実装する間、前記フリーホイールモードを作動するよう配設される、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記フリーホイールモードは、前記モータ(151、152;1)へ供給される電圧をスイッチオフすることにより実装される、
ことを特徴とする請求項11に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項13】
前記制御ユニット(150)は、前記自己推進型トローリーアセンブリの後方および前方回転の間を区別するよう配設され、
前記モータ(151、152;1)は、検出された回転方向に依存して、前記フィードバック支援推進駆動パターンの間、後方または前方に駆動されるよう配設される、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項14】
前記制御ユニット(150)は、前記センサ(9)の情報に基づいて、前記自己推進型トローリーアセンブリ(100)の回転方向を検出し、前記フィードバック支援推進駆動パターンを前記検出された回転方向で実装するよう配設される、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項15】
前記揺動駆動パターンは、前記制御ユニット(150)が、所定の回転パターンに基づいて、時間の関数として、前記モータ(151、152;1)を制御して前記自己推進型トローリーアセンブリ(100)を後方および前方に推進することにより、実装される、
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【請求項16】
前記自己推進型トローリーアセンブリ(100)は、デッドマンスイッチを備え、
前記制御ユニット(150)は、前記制御ユニットが給電され、および前記回転位置または速度センサ(9)からの情報が、前記自己推進型トローリーアセンブリが現在移動していることを示す際、前記デッドマンスイッチが作動した場合に、ブレーキメカニズムを適用するよう配設される、
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の自己推進型トローリーアセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己推進型(self-propelling)トローリーアセンブリに関し、特に、子供用ベビーカー(stroller)または液体試料用の運搬トローリーに関する。
【背景技術】
【0002】
トローリー(trolleys)のユーザは、しばしばその操作に問題があり得ることを体験する。これらを上り坂で押すまたは引く際、または実質的に平坦な地面上で重い荷物を運搬する際でさえ、ユーザは、大きなストレスを体験し得る。同様に、トローリーを下り坂で押す際、トローリーが手から離れて(coming loose)加速する(picking up speed)ことを防止するのに相当な力を要し得る。しばしば、身体を人間工学的に正しいまたはつらくない位置にしたままトローリーを引くまたは押すことは困難または不可能である。あるいは、トローリーのユーザは、そうした位置を維持するのに十分強くないかもしれない。
【0003】
特に、子供用のトローリーおよび液体試料用の運搬トローリーのため、例えば、医療または医薬産業内での使用のため、こうしたトローリーのユーザがトローリーを保持することができず手が離れれば、危険な状況(security risk)は深刻である。
【0004】
トローリーが自己推進型であって必要となる押す力を減少させることにより、一般により少ない労力で、そうしたトローリーを押すまたは引くことができることがまた、望まれている。
【0005】
子供用のトローリーおよび液体試料用の運搬トローリーのため、運搬される子供または液体試料を揺動(rock)できることがまた望まれており、前者の場合、子供を落ち着かせる(soothe)ためであり、後者の場合、例えば、試料が沈殿しないようにするためである。異なる揺動プログラムを使用してこうした揺動(rocking)が可能であることが望まれており、これにより、好適な揺動運動を、状況に応じて選択することができる。
【0006】
同時に、例えばユーザがより多くの運動をしたいと希望するとき、または小さなスペースで操作する際、トローリーが従来の電動でない(non-motorized)車輪付きの(wheeled)トローリーとして動作する、開放された(disengaged)、フリーホイール(惰性走行)(free-wheeling)モードを提供するニーズがある。
【0007】
これらの目的のすべては、トローリーアセンブリが環境上フレンドリーであり、生産するのにコスト効率がよくあるべきであるのと同時に、簡易、頑丈かつエネルギー効率のよい構造を使用し、柔軟性および最高の安全基準の双方を提供して、達成されるべきである。
【0008】
多数の自己推進型トローリーが提案されて、上記の課題のサブセットへの解決手段を提供している。これらのいくつかは、速度制御を備える子供用のトローリーを開示する米国特許第8499898 B2公報、子供用のトローリーで使用するための揺動機能を開示するPCT国際公開公報WO2014013482 A1公報、トローリー用のそれぞれ接続断可能なモータを開示する米国特許第5937961 A公報および米国特許第8033348 B1公報、および受動軸(被駆動軸)(driven shaft)に配置されるモータを開示する欧州特許出願公開公報EP 2019016 A2公報を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
こうして、本発明は、自己推進型トローリーアセンブリに関し、このトローリーアセンブリは、バッテリーと、電気モータにより駆動される少なくとも1つの車輪(wheel)と、ここでこの電気モータは前記バッテリーにより給電され、少なくとも1つのトローリー車輪の回転位置または回転速度を検出するよう配設される回転位置または速度センサと、ユーザインタフェースと、および前記ユーザインタフェースからの入力に基づいて前記電気モータを調整するよう配設され、特定の駆動パターンに基づいて前記車輪の回転に作用する(affect)制御ユニットと、を備える。
このトローリーアセンブリは、前記制御ユニットが、前記位置または速度センサからの情報、フリーホイール(free-wheeling)駆動パターン、および揺動(rocking)駆動パターンに基づいて、少なくともフィードバックに支援された推進駆動パターン(feedback assisted propulsion drive pattern)を実装するよう配設されることを特徴とする。
このトローリーアセンブリは、前記駆動パターンのすべては、前記電気モータへの異なる駆動電圧パターンを使用して実装されることを特徴とする。
このトローリーアセンブリは、電気モータが、固定子が、対応する回転子極(rotor poles)の数の整数倍でない数の固定子極(stator poles)を備え、かつ固定子極が、前記電気モータの角度方向周囲に順に搭載される少なくとも3つの磁気的および電気的に同一のサブセット(部分集合)(subsets)に分割されるタイプであることを特徴とする。
【0011】
以下、本発明を、本発明の例示的実施形態および添付図面を参照して、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係るトローリーアセンブリのモータの概略側面図である。
図2図2は、本発明に係るトローリーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、特定のタイプの電気モータ、すなわち、多数の固定子極を備える固定子および多数の回転子極を備える回転子を有するブラシレス電気モータを使用する。このタイプのモータでは、固定子は、対応する回転子の数の整数倍でない多数の固定子極を備え、および固定子極は、電気モータの角度方向周囲に順に(交互に)(one after the other)搭載される少なくとも3つの磁気的および電気的に同一のサブセットに分割される(subdivided)。好適には、固定子極は、固定子外縁(periphery)に沿って等距離に配置される。対応して、回転子極は、好適には、回転子外縁に沿って等距離に配置される。
【0014】
好適には、モータは、トローリーのそれぞれの車輪を直接駆動するよう配置される。例えば、モータは、車輪軸上に搭載され、この軸に対して車輪を駆動することができ、2つである場合、好適には、実質的に同一の複数のモータが、軸のいずれかの側部に搭載されることができ、それぞれ対応する1つの車輪を駆動する。この場合、問題となるそれぞれの車輪に関する位置センサデータを使用し、トローリーを転回(旋回)させる際にまた適切な自動推進を提供する、以下に述べるフィードバック制御メカニズムがそれぞれそうして駆動される車輪上に個別に実行されることが望ましい。
代替的に、このタイプのモータが搭載されて車輪軸を順に駆動し、2つの車輪を同時に推進することができる。2つ以上の車輪軸上の車輪がまた、対応する方法で、駆動されてよい。こうして、1つから少なくとも4つの間のモータが、1つのトローリーで使用されることができる。好適には、すべてのモータは、同一の制御ユニット(以下参照)により制御され、同一の制御ユニットと通信する。
【0015】
本願発明者は、本タイプのトローリーアセンブリを推進するためのこうした電気モータの使用が、多数の利点を達成することを見出した。
【0016】
第1に、こうしたモータは、非常に低いモータのコギング(脈動)(cogging)を実現し、これは、車輪の滑らかな回転を提供する。
【0017】
第2に、モータは、フィードバックアルゴリズムが、回転速度およびパターンの広範なスペクトラムに亘り、モータ自体からの回転位置のフィードバックを考慮することに基づいて、精度よく制御されることができる。
【0018】
第3に、モータは、生成された電流を使用してバッテリーを再充電する間、トローリーにブレーキをかける(braking)モータのための発電機(generator)として使用されることができる。
【0019】
第4に、モータはまた、ここで以下に説明するようなフリーホイール(惰性走行)(free-wheeling)機能を可能にする。
【0020】
同時に、それ自体が一般的に自己推進型トローリーアセンブリでの使用に好適である多くのタイプの電気モータがあり、例えば、従来のステッピングモータまたはあらゆる他のタイプの従来のブラシレスモータである。本願発明者は、これと対照的に、特定のタイプのモータが、ここに説明される多様なトローリーの機能に特によく適合するものであり、非常に簡易であるが頑丈な構造を、最小限の可動部品および磨耗細部で提供することを見出した。
【0021】
上記のタイプのモータ自体は、欧州特許EP0996217 B1公報から公知であり、これは特にここで、モータ自体に関する情報のため参照される。欧州特許EP0996217 B1公報の図2は、これはまた本出願の図1として編集されたバージョンで示されるが、固定子2および回転子3を有するそうしたモータ1を概略図示する。図において、回転子3は、固定子2を包囲し、しかしながら状況が逆であってもよいものと理解される。
【0022】
固定子2は、固定子極(stator poles)7を備え、回転子3は、回転子極(rotor poles)6を備える。極6,7の間に、例えば空隙などの間隙があり、これにより、極6,7は、互いに物理的に接触しない。これにより、モータ1は、実質的に摩擦なしで回転する。
【0023】
回転子極7は、好適には永久磁石の形式で、交互に並ぶS極4およびN極5の回転子極の対に分割される。
【0024】
モータは、好適には、モータ内部のAC/DC変換器を使用して、あるいは制御装置(以下参照)の部品として、あるいは制御装置により制御される外部部品として配置されるこうした変換器を使用して、交流が供給されるよう配設される。
【0025】
より正確には、固定子極7は、上記のAC/DC変換器(位相シフト回路を備えてよい)により、以下に従った直流電圧を供給される。
【0026】
【表1】
【0027】
一般的に、極性配置およびモータ1の極への給電の詳細に関する特定の参照が本明細書でなされる文献EP0291219 A1公報には、そうした位相値、固定子極7の数、および回転子極6の数をどのように選択するかが開示されている。
【0028】
同一の参照(A1,A3,A2等)を有するすべての極は、直列に、または好適には並列に接続されることができる。
【0029】
本願発明の目的に重要であるのは、固定子2が、対応する回転子極6の数(本実施形態の場合40の極6)の整数倍でない数の固定子極7(本実施形態の場合45の極7)を備えることであり、および固定子極7が、少なくとも3つの磁気的および電気的に同一のサブセット8またはコヒーレントゾーン(coherent zone)に分割されることであり、これらは、モータ1の角度方向周囲に順に搭載される。これはまた、固定子2が、その極7に対して5回の回転対称(five-fold rotation symmetry)で配置されると表現することができる。図1において、サブセット8は、5の数であるが、これらは少なくとも3である限り、より多くても少なくてもよいことが理解されるべきである。
【0030】
固定子極7をこうしたサブセット8で配置することによる、こうした異なる数の極6、7を使用することの組み合わせは、モータ1のより少ないコギングをもたらし、一方、本願発明の目的のためこうしたモータのすべての所望の特徴を、本願発明者による実地実験で、特に効率性、滑らかさ、ノイズレベルおよび正確性の観点から、極めて有利であると実証された方法で、サポートする。
【0031】
さらに、モータ1は、図1に概略図示されるように、ホール位置(hall position)センサ9を使用することをサポートする。位置センサ9は、モータの回転位置を検出するよう配設され、またはロジック(論理回路)を備えて、現在の回転速度の値を直接供給してよい。
【0032】
図2は、簡略な概観で、本発明に係るトローリー100を示す。上記のとおり、トローリー100は、子供用のトローリーまたはベビーカー、代替的に、液体試料用、例えば、医療、医薬または生化学分野での使用のための生物学または化学試験管試料用、の運搬トローリーであってよい。前者の場合、トローリー100の本体120は、子供用のシートまたはベッドを備えてよく、後者の場合、本体120は、試験管等のための区画(コンパートメント)を備えてよいことが理解されるべきである。
【0033】
トローリー100は、本発明に係る自己推進型トローリーアセンブリを構成し、バッテリー156と、少なくとも1つの対応する電気モータ151、512により駆動される少なくとも1つの車輪軸110と、を備え、電気モータ151、152は、バッテリー156により給電される。トローリー100の背面から示す図2において、1つの車輪軸110のみが図示されている。しかしながら、典型的には、2つの車輪軸が存在し、それらのそれぞれは、1つまたは2つのモータを使用して駆動されてよい。上記のとおり、1つの電気モータはまた、軸100全体を推進してもよい。
【0034】
上記した回転位置または速度センサ9は、好適には、上記モータ151、152のすくなくとも1つに、好適には、それぞれのモータ151、152に導入されて、上記モータ151、152の位置または速度を上記した方法で個別に計測する。センサ9は、トローリー100の少なくとも1つの車輪111、112または軸110の回転位置または回転速度を検出するよう配設される。
【0035】
ユーザインタフェース153は、好適には、機能スイッチ157、デッドマン(安全装置)(dead man’s)スイッチ154、およびユーザ速度設定コントローラ(control)155を備え、好適には、トローリー100のハンドルバー(handlebar)130上に配置される。デッドマンスイッチ154は、好適には、後述するように、モータ151、152の電力を使用してトローリーを推進させるため、保持または押下(pressed in)されなければならない。測定設定コントローラ155は、レバー、旋回可能なハンドル等であってよいが、ユーザに所望のトローリー100の速度を、例えば連続する許容範囲内の特定の値または所定の速度の離散集合からの1つの値に、設定させるよう配設される。
【0036】
トローリー100はまたは、上記本体120およびシャーシ(車台)(chassis)101を備える。
【0037】
トローリー100の制御ユニット150は、ユーザインタフェース153からの入力に基づいて電気モータ151、152を調整するよう配設されて、これにより、駆動パターンのセットの特定の1つに基づいて上記車輪111、112の回転に作用し、この駆動パターンは、好適には少なくとも3つの数である。
【0038】
より正確には、本発明によれば、制御ユニット150は、上記の位置または速度センサ9から読み出される情報、フリーホイール(free-wheeling)駆動パターン、および揺動(rocking)駆動パターンに基づいて、少なくともフィードバックに支援される(フィードバック支援)推進駆動パターンを実装するよう配設される。
【0039】
さらに本発明によれば、上記の駆動パターンのすべては、制御ユニット150が、電気モータ151、152に供給される電圧パターンを制御することにより、実装され、これにより、異なる駆動電圧パターンが、電気モータ151、152に異なる駆動パターンのため供給される。こうした駆動電圧パターンは、好適には、制御ユニット150内に配置される汎用プログラム可能ハードウエア回路内のソフトウエアに実装される。このハードウエア回路は、メモリ、マイクロプロセッサ、および電気通信手段を備える。制御ユニット150は、例えば無線または有線のデジタルインタフェースを使用して、ユーザインタフェース153、モータ151、152等と通信することが理解されるべきである。
【0040】
重要なことに、電気モータ151、152、および特に、トローリー100の1つまたは複数の車輪111、112を推進するために使用されるすべての電気モータは、上記したタイプであり、すなわち、固定子は、対応する回転子極の数の整数倍でない数の固定子極を備え、固定子極は、電気モータ151、152の角度方向周囲に順に搭載される、少なくとも3つの磁気的および電気的に同一のサブセットに分割される。
【0041】
こうしたトローリーアセンブリは、極めて簡易かつ頑丈な構造を提供し、それでもなお走行機能およびユーザ快適性の柔軟かつ広範な相(flora)を提供する。同時に、こうしたトローリーアセンブリは、そのように所望される場合、従来の非駆動型(non-driven)トローリーとして使用し、および容易に使用されるのに安全である。特に、モータ151、152は、変速機(ギアボックス)を必要とせず、それが好適である。
【0042】
好適な実施形態によれば、位置または速度センサ9は、制御ユニット150に回転モータ位置または速度情報を供給するホール効果(hall effect)センサである。
【0043】
上記のとおり、制御ユニット150は、上記の少なくとも1つの電気モータ151、152を介してトローリー100の車輪111、112に力を付与することにより、トローリー100の多数の駆動パターン(drive pattern)を実装するよう配設される。
【0044】
こうした駆動パターンの1つは、ユーザ設定可能な速度駆動パターンである。好適には、このパターンで、ユーザは、コントローラ155を介して、所望のトローリースピードまたは速度を設定する。例えば上記のコントローラ155がセットされ、および/または別個のパワーコントローラがスイッチオンされることにより、動作中(アクティブ)である際、制御ユニット110は、センサ9を使用して、トローリー100のスピードを連続的に計測し、フィードバックループに基づいて、バッテリー156からモータ151、152へ供給される電圧を調整することにより上記のユーザが設定するスピードと比較し、これにより、上記のユーザ設定スピードまたは速度を達成する。ユーザ設定速度は、コントローラ155を使用して、例えば「5m/s」等の数値として特定されてよく、あるいは、ユーザが例えば「低速」、「中速」、「高速」から値を選択することにより設定されてよく、この値は、その後、トローリー100の特定の速度に変換される。
【0045】
このユーザ設定可能なスピード駆動パターンのフィードバックループは、好適には、読み出された速度が減少し、および/またはユーザが設定した速度を下回る場合、それぞれのモータ151、152に供給される電圧を増加することを含み、および逆の場合も同じである。好適には、例えばPID(Proportional-Integral-Derivative)制御ループのような制御ループは、制御ユニット150に実装される上記のソフトウエアにより実装され、この制御ループは、トローリー100の速度を可能な限りユーザが設定した速度に近づくよう維持することを目的とする。こうしたフィードバックループの実装それ自体は、従来のものであってよい。
【0046】
しかしながら、制御ユニット150は、上記のとおり、異なる極に印加される位相差を持つ可変電圧を使用して、上記のとおり、固定子2の極7のそれぞれに印加される電圧を制御することにより、モータ151、152を制御する。これにより、滑らかでかつ連続して調整可能なフィードバック制御が提供され、結果として快適なユーザ体験がもたらされる。
【0047】
上記の電圧制御フィードバック制御ループと並列に、または好適には直列に、例えば、上記の電圧制御フィードバック制御ループの下流に、ユーザ設定可能なスピード駆動パターンフィードバック制御ループはさらに、検出された現在のモータ151、152の電流使用に基づいて、モータ151、152の電力消費を調整するフィードバックループを備え、これにより、電流使用の上昇は、電力消費の上昇の結果をもたらす。この追加的なフィードバック制御ループは、それ自体は従来のものであってよいが、好適には、モータ151、152自体の内部のモータ151、152の制御回路に実装される。
【0048】
こうして、制御ユニット150は、モータ151、152に供給される電圧を連続的に調整し、これにより、ユーザが設定した速度を達成する。同時に、モータ151、152の電流使用がモニターされ、モータ151、152の瞬間電力消費が、瞬間的に使用されている電流に基づいて調整される。これら2つのフィードバックループの組み合わせにより、トローリー100の速度の極めて効率的かつ滑らかな制御が提供される。好適には、モータ151、152の電力消費の後者のフィードバック制御ループはまた、モータ151、152の出力(power)がアクティブである限り、他の駆動パターンでも使用される。実際に、制御ユニット150により現在実装されている駆動パターンのタイプにかかわりなく、同様のモータの電流対電力(current vs power)のフィードバックループは、同様にアクティブであってよい。
【0049】
こうして、ユーザ設定可能なスピードフィードバック制御は、ユーザが設定したトローリー100のスピードに自動的に到達してこれを維持する。しかしながら、ユーザがトローリー100をユーザが設定したスピードより速く押そうとする際、または下り坂を走行中にトローリー100がユーザの設定したスピードを超えてスピードを上げた際、好適には、上記のユーザ設定可能なスピード駆動パターンのフィードバック制御ループはまた、ブレーキ(braking)メカニズムを採用する(engaging)ことを含む。
このブレーキメカニズムは、好適には、ユーザが設定したスピードが、所定の相対または絶対値分超えた場合に、自動的に起動される。ある実施形態において、所定の値は、絶対値「ゼロ」であってよく、これは、ブレーキメカニズムが、検出されたトローリー100のスピードが、ユーザが設定したスピードを超え次第、自動的に起動されることを意味する。トローリーのスピードはまた、センサ9を使用して読み出されることができることを理解すべきである。
【0050】
こうしたブレーキメカニズムのある好適な例において、モータ151、152は、発電機(generator)モードで駆動されるよう配設される。この発電機モードは、モータ151、152に関連して配置されるモータ151、152の制御回路、および/または制御ユニット150によるアクティブ(能動)制御(active control)を含み、このアクティブ制御は、制御ユニット150が、モータ151、152の回転子3の、モータ151、152の固定子2に対する強制回転(forced rotation)による誘導電流の方向を制御する。発電機モードはまた、制御ユニット150が、バッテリー156を再充電するため、上記電流をバッテリー156に供給することを含む。
換言すれば、制御ユニット150は、モータ151、152の回転の関数として、固定子2の極7へのおよびこれらからの電流方向をあるパターンで設定するよう配設され、これは、モータ151、152を駆動する際供給される電流に対応し、これにより、ネット(正味)(net)電流が、固定子2の極7から引き出されることができ、およびバッテリー156へこれの再充電のため供給されることができる。こうして、この好適なケースにおいて、上記のブレーキメカニズムは、制御ユニット150がモータ151、152を発電機モードへスイッチすること、および生成された電圧を使用してバッテリー156を再充電することを含む。
【0051】
こうしたブレーキメカニズムの他の好適な例において、トローリー100は、制御ユニット150により起動されるよう配設される機械的ブレーキ(不図示)を備え、および上記ブレーキメカニズムは、トローリー100のスピードが、上記のとおりユーザが設定したスピードを超えた際に、上記の機械的ブレーキを起動することを含む。ある好適なこうした機械的ブレーキは、上記制御ユニット150により印加される電圧による電気機械的力で押されることにより、少なくとも1つの車輪111、112が回転するのを、例えば、少なくとも1つの駆動モータ151、152の固定子2に対して回転子3が回転するのを防止することにより、機械的に防止する位置に入るスプリント(sprint)等である。こうして、検出されたトローリー100のスピードが、ユーザが設定したスピードに依存してよいある最大スピードを超えた場合、即時の停止が達成される。機械的ブレーキはまた、摩擦ブレーキを備えてよい。
【0052】
好適には、発電機モードブレーキメカニズムは、機械的ブレーキと結合し、これにより、機械的ブレーキは、発電機モードブレーキメカニズムがアクティブであるが、トローリー100のスピードが未だ、ユーザが設定したスピードに依存してよいある所定の値を上回る場合に起動される。
【0053】
他の駆動パターンは、フリーホイール(惰性走行)(free-wheeling)駆動パターンであり、このパターンにおいて、制御ユニット150は、車輪111、112へいかなる推進力も付与せず、同時に、モータ151、152の内部駆動摩擦を最小化するよう配設される。これにより、トローリー100は、従来の非電動推進型トローリーのように動作する。このフリーホイール駆動パターンは、好適には、制御ユニット150が、モータ151、152へ、対応するフリーホイール駆動モードを、好適にはモータ151、152へ供給される電圧を単純にスイッチオフすることにより、実装することにより起動される。
【0054】
特に、好適には、フリーホイール駆動パターンは、あらゆる部品、例えばモータ151、152自体、と機械的に開放される(disengaging)ことにより、起動されるものではない。むしろ、回転子3は、好適には、トローリー100がフリーホイールする際、固定子2に対して回転するよう配設される。
【0055】
特に好適な実施形態によれば、フリーホイール駆動パターンは、制御ユニット150への主電源がスイッチオフされている限り、アクティブである。これは、モータを上記のタイプのものとし、いかなる極6,7へも電圧を供給しない際、極めて低摩擦のフリーホイールを提供する。フリーホイール駆動パターンはまた、制御ユニット150への総電力(general power)がスイッチオンされた際にも、能動的にスイッチを操作することにより起動されてよい。さらに好適には、フィードバック支援駆動パターンは、駆動ユニット150への電力がスイッチオンされた結果として、自動的に起動されてよい。
【0056】
一般に、ユーザ設定スピードがゼロに設定される場合、制御ユニット150は、好適には、少なくとも1つの上記ブレーキメカニズムをトローリー100へ適用するよう配設され、これにより、トローリー100を、いくらかの力で押すまたは引くことなしに移動すること、またはユーザ設定スピードがゼロでない値に設定されることを避ける。
【0057】
好適には、少なくとも1つの車輪軸110がそうした軸110上のそれぞれの車輪111、112のために1つのモータ151、152を備える場合、それぞれのそうしたモータ151、152は、制御ユニット150により独立して制御され、フィードバック制御推進モードの間、問題となる車輪111、112のための上記のユーザ設定スピードを維持する。
【0058】
異なるタイプのフィードバック制御推進駆動パターンが、例えばコントローラ157を使用して、選択可能であってよい。例えば、最小スピード駆動パターンがまた、制御ユニット150により、上記したユーザ設定スピード駆動パターンに対応する方法で実装されてよい。
【0059】
さらに、好適な実施形態において、モータ151、152の駆動力が、制御ユニット150の制御によって、インタフェース153に備えられるユーザ制御(制御装置)(user control)、例えば回転ハンドルバー、に適用されるゼロでないトルクに関する情報を制御ユニット150へ供給するトルクセンサに少なくとも部分的に基づいて、適用される。この場合、制御ユニット150は、モータ151、152を制御して、ゼロでないトルクが検出される限り、ゼロでない駆動力を適用する。
好適には、こうした(ユーザにより)適用されるトルクは、制御ユニット150内の変換アルゴリズムにより、選択されるスピードに変換され、この変換アルゴリズムは、より速いトルクを、トローリー100の現在の回転スピードより速いスピードとして解釈する。換言すれば、ユーザは、より多くのまたはより少ないトルクを適用することにより、現在計測されるトローリーのスピードと比較して相対的に見れば、設定されたトローリーのスピードを制御することができる。
【0060】
これに替えてまたは加えて、押す力のセンサ(push force sensor)、例えばトローリー100のハンドルバー(handlebar)130に配置される、が配設されて、ユーザによりトローリー100に印加される押す力を直接検出し、ゼロでないそうした押す力がユーザにより印加される場合にのみ、制御ユニット150に、モータ151、152を介して車輪111、112へ駆動力を適用させてよい。この押す力のセンサは、デッドマンスイッチと同様であってよく、または後者の替わりに使用されてよい。上記のブレーキメカニズムはまた、トローリー100が駐車している際の安全メカニズムとして、少なくとも所定の最小の大きさであるそうしたトルクまたは押す力が適用されていない場合に、起動されてよい。
【0061】
ある好適な実施形態において、上記のトルクセンサは、後方および前方の方向のトルクの間を判別(識別)するよう配設されてよく、これにより、その/それぞれのモータ151、152は、トルクセンサにより検出される方向に依存して、上記のフィードバック支援推進駆動パターンの間、後方または前方に駆動されるよう配設される。
【0062】
代替的にまたはこれに加えて、制御ユニット150は、好適には、上記の位置または速度センサ9により供給される情報に基づいてトローリー100の進行方向(rolling direction)を検出し、検出された進行方向で、上記のフィードバック支援推進駆動パターンを実装するよう配設されてよい。
【0063】
好適には、ユーザ設定可能なフィードバック推進フィードバックパターンは、前方または後方推進のため、全体として、または実質的に同一に実装される。こうして、ユーザがトローリー100を前方に搬送して、引く力を使用して、トローリー100を停止させ、その後、さらに引いてトローリー100を後退(backwards motion)させた場合、制御ユニット150は、進行方向のこの変更を自動的に検出して、かわりに、トローリー100の後退を達成および維持する目的で、モータ151、152を調整する。目標とする後退スピードは、ユーザ設定の前方へのスピードと同様であってよく、または所定のあるいは前方推進の場合のユーザ設定スピードに比例する、より低いスピードであってよい。対応して、ユーザが再度、トローリー100を停止させ、これを前方に押すことを開始した際、制御ユニット150は再度、これを自動的に検出して、上記のとおり、ユーザ設定の前方へのスピードを目指す調整へスイッチする。
【0064】
好適には、プログラムスイッチ157がユーザにより使用されて、異なる駆動パターンの間をスイッチすることができる。そうした追加的駆動パターンの1つはまた、上記の揺動(rocking)駆動パターンであり、この駆動パターンは、制御ユニット150が、少なくとも1つのモータ151、152を制御して、時間の関数として所定の回転パターンに基づいて、トローリー100を後方および前方へ推進することにより実装される。
【0065】
好適には、例えばスイッチ157を使用して一旦トローリー100が停止すると(come to a standstill)選択可能である、複数のそうした揺動駆動パターンが利用可能である。それぞれのそうした揺動駆動パターンは、好適には、例えばスイッチ157を使用してユーザが揺動駆動パターンを終了するまで、無期限に(indefinitively)または所定の最大期間の間、トローリー100をある距離だけ前方または後方の一方向に駆動すること、その後、トローリー100をある距離だけ反対方向に駆動すること、等等を含む。
【0066】
好適には、異なるそうした揺動駆動パターンは、駆動方向および駆動スピードを切り替える際、方向および加速度の双方で駆動距離の異なる組み合わせを備える。ある好適な実施形態によれば、少なくとも3つの異なる揺動駆動パターンがあり、滑らかで遅い揺動パターン、好適には双方向において比較的長い駆動距離での、から、より急で(harsh)、速くかつよじれた(曲がりくねった)(quirky)揺動パターン、好適には双方向において比較的短い駆動距離での、まで徐々に変動する。
好適には、一連の揺動プログラムが実装されて、5cm未満の前方/後方運動から20cmより長い前方/後方運動まで、好適には関連した減少する揺動頻度および好適にはまたターン(turns)の間の進行スピード(rolling speed)で、変動することができる。
【0067】
通常、揺動駆動パターンは、トローリー100の真っ直ぐ前方および後方の駆動運動(driving motions)を備える。ある好適な実施形態によれば、少なくとも1つの揺動駆動パターンはしかしながら、1つの車輪151、またはトローリー100の片側の複数車輪を一方向に駆動し、一方、場合により、反対の車輪151または複数車輪を他のスピードでまたは他の方向へ駆動することを含み、これにより、横向きの(side-ways)回転運動を、好適にはトローリー100の急な方向転換(よじれ)(quirk)の形式で達成する。そうした横向き回転は、揺動駆動パターンそれ自体として実装されてもよいが、好適には、純粋な前方/後方運動に基づく他の揺動駆動パターンの一部として実装される。
【0068】
例えば、5回の前方/後方揺動ごとに、または不規則な間隔で、1回または複数の横向きの急な方向転換(quirk)が、制御ユニット150によりトローリー100に付与される。これは、より予測可能でなく一様でない揺動機能を提供し、子供および生物学的試料等の双方にとって有利であり得る。
【0069】
好適には、上記の揺動駆動パターンは、ここに開示されるすべての駆動パターンの場合のように、これらのプログラム間の機能上の相違に関して、ソフトウエアに、好適には純粋にソフトウエアに、実装され、および同一のハードウエアを使用して、制御ユニット150により実行される。
【0070】
上記のとおり、トローリー100は、好適には、デッドマンスイッチ154を備える。制御ユニット150は、制御ユニット150が給電され、上記の位置または速度センサからの情報が、トローリーが現在移動していることを示す場合、上記のタイプのブレーキメカニズムを適用するよう配設される。
【0071】
以上、好適な実施形態が説明された。しかしながら、当業者であれば、本発明の基本的な思想から離れることなく、開示された実施形態に対して多くの修正が可能であることは明白である。
【0072】
例えば、上記した機能の多く、少なくともバッテリー156、制御ユニット150、およびモータ151、152は、軸110に封入されることができ、その後好適な方法で、外部のユーザインタフェース153に接続されて、ハンドルバー130上に搭載される。こうして、既存のトローリーの既存の軸は、本発明の機能を提供する軸で置き換えることができる。結果として、既存のトローリーは、容易にアップグレードされて、本発明に係るトローリー100になり得る。
【0073】
上記とは別に、さらに多くの駆動パターンがある。例えば、ある駆動パターンは、起動された際、トローリー100を所定の距離前方へ推進して停止してよい。ダイブ(飛び出し)(dive)パターンが、それ自体は従来のものであってよいが、例えばWiFiインターネット接続上無線で、および制御ユニット150を使用する方法で、ソフトウエアをアップグレードすることにより、トローリー100に付加されてよい。
【0074】
揺動駆動パターンを実装する際、トローリー100がその停止位置から過度に移動するのを避けるため、そうした揺動駆動パターンは、好適には、30分以下の最大期間の間、常に実装される。しかしながら、特定のメカニズムを使用して、トローリー100を概略同一の位置に保つこともまた可能であり、その位置の周囲で揺動が実行される。
実施例は、下方を見下ろすデジタルカメラを配置して、トローリー100が移動するフロアの画像をキャプチャーし、従来の画像解析アルゴリズムを使用して、決定された固定参照位置に対するトローリー100の位置を連続的または間欠的に決定し、および揺動運動の間、車輪151、1523を補正する調整を付与し、これにより、時間軸上、トローリー100を上記固定参照位置に対して同一の位置に概略保つ、ことを含む。
【0075】
さらに、同一のシャーシ101上に、互換性ある(interchangeable)複数の本体120とともにトローリー100を配設することが可能であり、これにより、ユーザは、駆動パターンの異なるセットのためのサポートを必ずしも導入することなく、子供用の支持本体120および買い物用の運搬本体120の間を切り替えることができる。
【0076】
一般に、好適には、外部からモータに適用されるトルクを検出するため、および推進フィードバックメカニズムでの使用のため、モータ自体にはトルクセンサを導入しない。その理由は、上記のモータの電流対電力(current vs power)フィードバックループは、間接的に検出され外部から適用されるモータトルク、すなわち、計測されたモータ電流を介して間接的に計測されるトルク、に基づいて動作するフィードバックループとして、効果的に動作するからである。
【0077】
こうして、本発明は、上記に開示した実施形態に限定されず、添付クレームの範囲内で変更可能である。

図1
図2