(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954912
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】区画コーティングされた触媒されたモノリスの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 37/02 20060101AFI20211018BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20211018BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20211018BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20211018BHJP
B01D 46/00 20060101ALI20211018BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20211018BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20211018BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20211018BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20211018BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
B01J37/02 101D
B01J35/04 301E
B01J37/08ZAB
B01D39/20 A
B01D39/20 D
B01D46/00 302
B01D53/94 222
B01D53/94 241
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/10 A
F01N3/022 C
F01N3/28 301P
F01N3/035 A
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-535352(P2018-535352)
(86)(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公表番号】特表2019-512375(P2019-512375A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2017053981
(87)【国際公開番号】WO2017144493
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2020年2月21日
(31)【優先権主張番号】PA201600109
(32)【優先日】2016年2月24日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン・ケルド
【審査官】
森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−530614(JP,A)
【文献】
特表2011−525579(JP,A)
【文献】
特開2005−334801(JP,A)
【文献】
特開2012−035206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 39/20
B01D 46/00
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる触媒で区画コーティングされた、触媒化モノリスの製造方法であって、次の、
a) ガス透過性の隔壁によって分離された複数の長手方向の流路を有する多孔質モノリス基材を提供する工程であって、該モノリス基材は、第一の端面および該第一の端面からある距離にある第二の端面を有する、工程;
b) 第一のゾル溶液でコーティングすべきガス透過性の隔壁の第一の触媒区画における細孔容積に少なくとも相当する量の第一のゾル溶液を提供する工程であって、該第一のゾル溶液は、水溶性のまたは懸濁された一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の前駆体、および水溶性のまたは懸濁された、一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の前駆体または酸化物を含有し、該一つまたは二つ以上の前駆体または酸化物の少なくとも一つは懸濁され、かつ、一つまたは二つ以上の前駆体の少なくとも一つは該ゾル溶液中に溶解する、工程、
c) 第二のゾル溶液でコーティングすべきガス透過性の隔壁の第二の触媒区画における細孔容積に少なくとも相当する量の第二のゾル溶液を提供する工程であって、該第二のゾル溶液が、前記第一のゾル溶液中の触媒活性化合物とは異なる、一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の水溶性のまたは懸濁された前駆体、および、一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の水溶性の、または懸濁された前駆体または酸化物を含有し、該第二のゾル溶液中に、一つまたは二つ以上の前駆体または酸化物の少なくとも一つが懸濁され、かつ、一つまたは二つ以上の前駆体の少なくとも一つが溶解される工程、
d) 前記量の第一のゾル溶液を含有する容器内に多孔質のモノリス基材を実質的に垂直に置き、そして、前記第一の触媒区画に面する第一の端面を前記第一のゾル溶液中に浸漬する工程、
e) 第一の区画の細孔内へ真空または圧力を加えることなく、第一の端面から、透過性の隔壁の細孔内に毛細管力のみによって前記量の第一のゾル溶液を吸い上げる工程、
f) 続いて、多孔質のモノリス基材を反転させ、そして、前記量の第二のゾル溶液を含有する容器内に多孔質のモノリス基材を実質的に垂直に置き、前記第二の触媒区画に面する第二の端面を前記第二のゾル溶液中に浸漬する工程、
g) 第二の区画の細孔内へ真空または圧力を加えることなく、第二の端面から、透過性の隔壁の細孔内に毛細管力のみによって前記量の第二のゾル溶液を吸い上げる工程、および
h) そうしてコーティングされたモノリス基材を乾燥させてか焼する工程、
を含む、上記の方法。
【請求項2】
前記多孔質モノリス基材はウォールフローフィルターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一または第二のゾル溶液中の一つまたは二つ以上の触媒活性前駆体が、パラジウム、白金、ロジウム、バナジウム、モリブデン、タングステンの化合物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一または第二のゾル溶液中の一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体の前駆体が、アルミニウム、チタン、セリウム、ジルコニウム、シリコンの化合物およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記多孔質のモノリス基材が、金属またはセラミックである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記多孔質のモノリス基材が、コージエライトまたは炭化ケイ素またはチタン酸アルミニウムまたはムライトからなる、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の懸濁された前駆体、および一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の懸濁された前駆体または酸化物の粒度が、1〜500nmである、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の懸濁された前駆体、および一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の懸濁された前駆体または酸化物の粒度が、1〜100nmである、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
吸い上げ工程e、および/またはgが、一回または二回以上繰り返される、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
工程eとfとの間でモノリス基材を乾燥させるさらなる工程を含む、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
工程gの前に、乾燥したモノリス基材をか焼する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
過剰のスラリーを吹き飛ばす工程を含まない、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒
化モノリシック基材に関する。より詳細には、本発明は、区画コーティングされた、触媒
化モノリシック基材、またはモノリスの区画コーティングされた、触媒
化パティキュレートフィルターの、異なる触媒活性材料および金属酸化物触媒担体を含有する一つ超のゾル溶液をモノリス基材の異なる区画の細孔内への毛細管吸引による改良された製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
排ガス中の有害な化合物を触媒的に除去するために、エンジン排ガスの浄化に触媒
化モノリスが典型的に使用されている。リーンバーンエンジンからの排ガス中の粒子状物質を、適度なろ過で効率良く除去のために、触媒
化モノリスは、フロースルーフィルターとして使用される。
【0003】
最も一般的には、自動車用途に使用するために高いろ過効率を有するフィルターは、モノリシックハニカム体からなるウォールフロー型フィルターであり、粒子状物質は、ハニカム構造体の隔壁上または隔壁内に捕捉される。これらのフィルターは、ガス透過性の隔壁によって分離された複数の長手方向流路を有する。ガス入口チャネルはガス入口側で開放し、反対側の出口端でブロックされ、そして、ガス出口チャネルは出口端で開放し、入口端をブロックすることにより、ウォールフローフィルターに入るガス流は、隔壁を強制的に通って出口チャネル内に入る。
【0004】
煤粒子を捕捉することに加えて、パティキュレートフィルターは、典型的には、煤の燃焼、および健康および環境を危険にさらす代表的な化合物であり、排ガスから低減または除去すべき窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素および未燃焼炭化水素の除去において活性な触媒で触媒
化される。
【0005】
捕捉した煤を燃焼させるのに活性な、または、NOx、一酸化炭素および炭化水素を除去または無害な化合物に還元するのに活性な触媒は、それ自体が当技術分野で公知である。
【0006】
特許文献には、エンジン排ガスから有害な化合物を除去するための別個の触媒ユニットを含む多数の浄化システムが開示されている。
【0007】
また、炭化水素および粒子状物質の酸化を触媒する異なる触媒でコーティングされ、かつ、排ガス中に添加されたアンモニア自体またはその前駆体によるアンモニアとの反応によりNOxを選択的触媒還元(SCR)する多機能性排気ガスパティキュレートフィルターは従来知られている。
【0008】
既知の多機能性フィルターでは、異なる触媒は、フィルターの異なる区画において、セグメント的にまたは区画コーティングされている。
【0009】
モノリシックまたはハニカムモノリシック基材のウォッシュコーティングは、通常、スラリーをモノリシック基材のチャネルに注ぎ込むことによって、または一方の側の基板をウォッシュコートスラリー中に浸漬し、場合によっては反対側に真空を適用することによって、基材内にスラリーを取り込むことにより行うことができる。
【0010】
フィルター上の、異なる触媒のセグメント的または区画コーティングすることは、特に、フィルターが高価で、かつ、困難な製造プロセスである。
【0011】
区画コーティングは、モノリス全体に必要とされるよりも少ないウォッシュコートスラリーの用量を必要とする。一例として、第一の区画は基材の一方の端からコーティングされ、第二の区画は反対の端からコーティングされる。コーティングされる部分は、部分的にコーティング液に浸される。スラリーは、部材の上面に適用される真空によって所望のコーティングプロファイルレベルまで上昇する。過剰のウォッシュコートスラリーは、典型的には、エアーナイフを用いて吹き飛ばされる。
【0012】
流路のいくつかが端面で閉じられており、かつ、均一なコーティング分布を確保するためのエアーナイフは、フィルター壁によって妨げられるため、区画コーティングされたウォールフローフィルターのウォッシュコーティングは、制御が特に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
既知の技術と比較して、本発明は、触媒担体前駆体および金属触媒前駆体としての触媒成分を含有するゾル溶液を用い、そして、このゾル溶液を、毛細管力のみによってコーティングすべき区画の壁の細孔内に吸い上げ、それにより、過剰量のスラリーの適用を回避するためのより容易な方法を示唆する。
【0014】
ゾル溶液は、本発明の文脈において、水不溶性粒子の分散相と、水中の水溶性化合物の相との混合物である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
それ故、本発明は、異なる触媒で区画コーティングされた、触媒
化モノリスの製造方法を提供し、該方法は、
次の、
a) ガス透過性の隔壁によって分離された複数の長手方向の流路を有する多孔質モノリス基材を提供する工程であって、該モノリス基材は、第一の端面および該第一の端面からある距離にある第二の端面を有する、工程;
b) 第一のゾル溶液でコーティングすべきガス透過性の隔壁の第一の触媒区画における細孔容積に少なくとも相当する量の第一のゾル溶液を提供する工程であって、該第一のゾル溶液は、水溶性のまたは懸濁された一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の前駆体、および水溶性のまたは懸濁された、一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の前駆体または酸化物を含有し、該一つまたは二つ以上の前駆体または酸化物の少なくとも一つは懸濁され、かつ、一つまたは二つ以上の前駆体の少なくとも一つは該ゾル溶液中に溶解する、工程、
c) 第二のゾル溶液でコーティングすべきガス透過性の隔壁の第二の触媒区画における細孔容積に少なくとも相当する量の第二のゾル溶液を提供する工程であって、該第二のゾル溶液が、前記第一のゾル溶液の一つまたは二つ以上の触媒活性化合物とは異なる、一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の水溶性のまたは懸濁された前駆体、および、一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の水溶性の、または懸濁された前駆体または酸化物を含有し、該第二のゾル溶液中に、一つまたは二つ以上の前駆体または酸化物の少なくとも一つが懸濁され、かつ、一つまたは二つ以上の前駆体の少なくとも一つが溶解されるd) 前記量の第一のゾル溶液を含有する容器内に多孔質のモノリス基材を実質的に垂直に置き、そして、前記第一の触媒区画に面する第一の端面を前記第一のゾル溶液中に浸漬する工程、
e) 第一の区画の細孔内へ真空または圧力を加えることなく、第一の端面から、透過性の隔壁の細孔内に毛細管力のみによって前記量の第一のゾルを吸い上げる工程、
f) 続いて、多孔質のモノリス基材を反転させ、そして、前記量の第二のゾル溶液を含有する容器内に多孔質のモノリス基材を実質的に垂直に置き、前記第二の触媒区画に面する第二の端面を前記第二のゾル溶液中に浸漬する工程、
g) 第二の区画の細孔内へ真空または圧力を加えることなく、第二の端面から、透過性の隔壁の細孔内に毛細管力のみによって前記量の第二のゾルを吸い上げる工程、
h) そうしてコーティングされたモノリス基材を乾燥させてか焼する工程、
を含む。
【0016】
本発明で使用されるゾル溶液は、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニアの金属酸化物前駆体、溶解した触媒活性金属前駆体と組み合わせたシリカゾル、好ましくは、液体分散剤、典型的には酸の水溶液中の、パラジウム、白金、ロジウム、バナジウム、モリブデン、タングステンの化合物およびそれらの混合物から典型的に調製される。
【0017】
該ゾル溶液の調製は、モノマーを金属酸化物触媒担体の、および触媒活性金属化合物の前駆体として作用するコロイド溶液に転化することを含む。
【0018】
典型的な前駆体は金属硝酸塩および安定化された金属水酸化物またはオキシ水酸化物である。アンモニウム化合物は典型的な安定化剤である。ゾル溶液の酸性度は、ゾルは安定であり、かつ、ゲルを形成しないpH値に調整される。
【0019】
懸濁した前駆体の粒度は1〜500nm、好ましくは1〜100nmである。懸濁した前駆体のサイズは、モノリス壁の細孔径よりも著しく小さい、すなわち、典型的には、1〜30μmである。
【0020】
正確な量のゾル溶液を提供するために、モノリス基材のコーティング前に、モノリス基材中のコーティングすべき区画の細孔容積が測定される。細孔容積の測定は、当該技術分野で公知の慣用の方法によって実施される。
【0021】
本発明による方法により、端面に適用される真空または圧力のような外部の力の助けなしに、ゾル溶液中に浸漬された端面から上に向かって、基材の壁上のモノリス基材の区画内ではなく、モノリス基材の壁面上のモノリス基材のある距離または高さに、毛細管力のみによって、ゾル溶液を吸い上げて、モノリス基材の細孔内に吸着させる。基材の湿潤した端部から濡れている最先端までの湿潤した長さは、その基材の多孔度に依存する。湿潤した長さは、液体−空気表面張力にも依存する。液体−空気表面張力は、高められた温度で減少する。したがって、低温、最も好ましくは15〜30℃で湿潤工程を実施することが好ましい。
【0022】
既に上述したように、本発明による方法は、ウォールフローフィルターの異なる区画を、異なる種類の触媒または同じ種類の触媒を異なる濃度で含有するゾル溶液でコーティングするのに特に有用であり、
【0023】
吸い上げ工程は、一回または二回以上繰り返すことができる。
【0024】
異なる吸い上げ工程の間にモノリス基材を乾燥させ、かつ、か焼することが好ましい場合がある。
【0025】
マイクロ波の適用は、乾燥工程において有利に使用することができる。
【0026】
モノリシック基材は、全ての場合において、多孔質セラミック材料または多孔質金属材料から製造できる。
【0027】
好ましくは、モノリシック基材は、コージェライトまたは炭化ケイ素またチタン酸アルミニウムまたはムライトからなる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.異なる触媒で区画コーティングされた、触媒化モノリスの製造方法であって、次の、
a) ガス透過性の隔壁によって分離された複数の長手方向の流路を有する多孔質モノリス基材を提供する工程であって、該モノリス基材は、第一の端面および該第一の端面からある距離にある第二の端面を有する、工程;
b) 第一のゾル溶液でコーティングすべきガス透過性の隔壁の第一の触媒区画における細孔容積に少なくとも相当する量の第一のゾル溶液を提供する工程であって、該第一のゾル溶液は、水溶性のまたは懸濁された一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の前駆体、および水溶性のまたは懸濁された、一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の前駆体または酸化物を含有し、該一つまたは二つ以上の前駆体または酸化物の少なくとも一つは懸濁され、かつ、一つまたは二つ以上の前駆体の少なくとも一つは該ゾル溶液中に溶解する、工程、
c) 第二のゾル溶液でコーティングすべきガス透過性の隔壁の第二の触媒区画における細孔容積に少なくとも相当する量の第二のゾル溶液を提供する工程であって、該第二のゾル溶液が、前記第一のゾル溶液中の触媒活性化合物とは異なる、一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の水溶性のまたは懸濁された前駆体、および、一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の水溶性の、または懸濁された前駆体または酸化物を含有し、該第二のゾル溶液中に、一つまたは二つ以上の前駆体または酸化物の少なくとも一つが懸濁され、かつ、一つまたは二つ以上の前駆体の少なくとも一つが溶解される工程、
d) 前記量の第一のゾル溶液を含有する容器内に多孔質のモノリス基材を実質的に垂直に置き、そして、前記第一の触媒区画に面する第一の端面を前記第一のゾル溶液中に浸漬する工程、
e) 第一の区画の細孔内へ真空または圧力を加えることなく、第一の端面から、透過性の隔壁の細孔内に毛細管力のみによって前記量の第一のゾル溶液を吸い上げる工程、
f) 続いて、多孔質のモノリス基材を反転させ、そして、前記量の第二のゾル溶液を含有する容器内に多孔質のモノリス基材を実質的に垂直に置き、前記第二の触媒区画に面する第二の端面を前記第二のゾル溶液中に浸漬する工程、
g) 第二の区画の細孔内へ真空または圧力を加えることなく、第二の端面から、透過性の隔壁の細孔内に毛細管力のみによって前記量の第二のゾル溶液を吸い上げる工程、および
h) そうしてコーティングされたモノリス基材を乾燥させてか焼する工程、
を含む、上記の方法。
2.前記多孔質モノリス基材はウォールフローフィルターである、上記1に記載の方法。
3.前記第一または第二のゾル溶液中の一つまたは二つ以上の触媒活性前駆体が、パラジウム、白金、ロジウム、バナジウム、モリブデン、タングステンの化合物およびそれらの混合物からなる群から選択される、上記1または2に記載の方法。
4.前記第一または第二のゾル溶液中の一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体の前駆体が、アルミニウム、チタン、セリウム、ジルコニウム、シリコンの化合物およびそれらの混合物からなる群から選択される、上記1〜3のいずれか一つに記載の方法。
5.前記多孔質のモノリス基材が、金属またはセラミックである、上記1〜4のいずれか一つに記載の方法。
6.前記多孔質のモノリス基材が、コージエライトまたは炭化ケイ素またはチタン酸アルミニウムまたはムライトからなる、上記1〜5のいずれか一つに記載の方法。
7.前記一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の懸濁された前駆体、および一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の懸濁された前駆体または酸化物の粒度が、1〜500nmである、上記1〜6のいずれか一つに記載の方法。
8.前記一つまたは二つ以上の触媒活性化合物の懸濁された前駆体、および一つまたは二つ以上の金属酸化物触媒担体化合物の懸濁された前駆体または酸化物の粒度が、1〜100nmである、上記1〜6のいずれか一つに記載の方法。
9.吸い上げ工程e、および/またはgが、一回または二回以上繰り返される、上記1〜8のいずれか一つに記載の方法。
10.工程eとfとの間でモノリス基材を乾燥させるさらなる工程を含む、上記1〜9のいずれか一つに記載の方法。
11.工程gの前に、乾燥したモノリス基材をか焼する、上記10に記載の方法。