(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954925
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】部品実装機の撮像用照明装置
(51)【国際特許分類】
G03B 15/02 20210101AFI20211018BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20211018BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20211018BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20211018BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20211018BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20211018BHJP
H04N 5/235 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
G03B15/02 G
G03B15/00 T
G03B15/03 W
G03B15/05
G03B17/56 F
H04N5/225 600
H04N5/235 400
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-560301(P2018-560301)
(86)(22)【出願日】2017年1月6日
(86)【国際出願番号】JP2017000274
(87)【国際公開番号】WO2018127971
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2019年4月12日
【審判番号】不服2021-1519(P2021-1519/J1)
【審判請求日】2021年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】山蔭 勇介
(72)【発明者】
【氏名】川合 英俊
【合議体】
【審判長】
瀬川 勝久
【審判官】
松川 直樹
【審判官】
吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−224784(JP,A)
【文献】
特開2015−225764(JP,A)
【文献】
特開2013−156347(JP,A)
【文献】
特開2015−106603(JP,A)
【文献】
特開平08−219739(JP,A)
【文献】
特開2016−100293(JP,A)
【文献】
特開2000−338557(JP,A)
【文献】
特開2002−369044(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/103954(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B15/00-15/035
G03B15/06-15/16
H05K13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮像する撮像対象物を、前記カメラの光軸の周囲に配置した多数のLEDで照明する撮像用照明装置において、
多数のLEDを実装した平板状の4枚のLED実装基板と、
前記4枚のLED実装基板のLEDに流す電流を調整する電流調整装置とを備え、
前記4枚のLED実装基板は、前記撮像対象物側から見て前記カメラの光軸を中心とする四角枠状に配置され、且つ、各LED実装基板のLEDが前記撮像対象物に向くように所定角度で傾斜され、
前記電流調整装置は、前記各LED実装基板のLED実装エリアをそれぞれ複数の照明エリアに区分して、前記各LED実装基板のLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整し、
前記各LED実装基板には、前記各照明エリアの各LEDの光線を前記照明エリア毎に異なる角度で前記撮像対象物の中心側に向けるレンズ板が設けられている、撮像用照明装置。
【請求項2】
前記レンズ板には、シボ加工が施されている、請求項1に記載の撮像用照明装置。
【請求項3】
前記電流調整装置は、前記各LED実装基板のLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整する際に、前記撮像対象物の中心からの距離が遠くなる照明エリアほど大きい電流を流すことで、前記撮像対象物に対する前記各照明エリアの照明光の照度を均一化する、請求項1又は2に記載の撮像用照明装置。
【請求項4】
前記カメラのシャッタタイミングと同期させて前記各照明エリアのLEDをパルス点灯させると共に、前記撮像対象物の種類に応じて前記各照明エリアのパルス点灯のデューティを前記各照明エリア毎に個別に変更するパルス点灯制御部を備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像用照明装置。
【請求項5】
前記各LED実装基板のLEDを点灯させる照明エリアと点灯させない照明エリアとの組み合わせパターンである照明パターンを前記撮像対象物の種類に応じて変更する照明パターン変更部を備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の撮像用照明装置。
【請求項6】
前記カメラで撮像した画像を処理する画像処理装置を備え、
生産中に前記電流調整装置によって調整された電流を前記各照明エリアのLEDに流して前記撮像対象物を照明して前記カメラで撮像する生産時照明モードと、生産停止中に前記電流調整装置によって前記各照明エリアのLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整する電流調整時照明モードとを切り換える照明モード切換部を備え、
前記電流調整装置は、前記電流調整時照明モードでは、前記各LED実装基板のLEDを点灯させる照明エリアを1つずつ順番に切り換えて、1つの照明エリアの照明で前記撮像対象物となる基準治具を前記カメラで撮像してその画像を前記画像処理装置で処理して前記画像中の基準治具部分の輝度を判定して、その輝度が所定の基準輝度となるように当該照明エリアのLEDに流す電流を調整する処理を前記各照明エリア毎に実行することで、前記基準治具に対する前記各照明エリアの照明光の照度を均一化するように前記各照明エリアのLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整する、請求項1乃至5のいずれかに記載の撮像用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品実装機や外観検査機等に搭載したカメラで撮像する撮像対象物を、前記カメラの光軸の周囲に配置した多数のLEDで照明する撮像用照明装置に関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、部品実装機の撮像用照明装置は、撮像対象物の中心(カメラの光軸との交点)から各LEDまでの距離がほぼ均一になるように、LEDの配置を撮像対象物の中心を中心とする球面状の配置することが望ましい。しかし、LEDを実装する基板を球面状に形成したり、球面状の基板に多数のLEDを高精度で実装することは困難であるため、特許文献1(特開2015−106603号公報)に記載されているように、合計24枚のLED実装基板を8角形の椀状に配置した構成としたものが多い。
【0003】
しかし、この構成では、LED実装基板の枚数が多くなり、LED実装基板を取り付ける構造が複雑化して、製造コストが高くなったり、照明装置の設置スペースが大型化する等の欠点がある。
【0004】
そこで、特許文献2(特開2005−327968号公報)に記載されているように、4枚のLED実装基板をカメラの光軸を中心とする四角枠状に配置すると共に、撮像対象物であるBGA部品の各バンプ(半球状端子)の画像認識精度を高めるために、各バンプの外周部の照度が中心部の照度より高く且つ各バンプの外周部が全周にわたって均一に照らされるように、各LEDを配置するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−106603号公報
【特許文献2】特開2005−327968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2の構成では、撮像対象物であるBGA部品の各バンプの外周部の照度が中心部の照度より高く且つ各バンプの外周部が全周にわたって均一に照らされるように、各LEDを配置するようにしているため、撮像対象物がBGA部品のようなバンプ付き部品に限定されてしまい、それ以外の種類の部品の照明には使用できず、汎用性が低い。しかも、バンプ付き部品であっても、部品のサイズやバンプの位置の違いによっては、各バンプの外周部が全周にわたって均一に照らされるとは限らず、バンプの画像認識精度が低下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、カメラで撮像する撮像対象物を、前記カメラの光軸の周囲に配置した多数のLEDで照明する撮像用照明装置において、多数のLEDを実装した平板状の
4枚のLED実装基板と、前記
4枚のLED実装基板のLEDに流す電流を調整する電流調整装置とを備え、前記
4枚のLED実装基板は
、前記撮像対象物側から見て前記カメラの光軸を中心とする四角枠
状に配置され、且つ、各LED実装基板のLEDが前記撮像対象物に向くように所定角度で傾斜
され、前記電流調整装置は、前記各LED実装基板のLED実装エリアをそれぞれ複数の照明エリアに区分して、前記各LED実装基板のLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整する
ことを第1の特徴し、更に、前記各LED実装基板には、前記各照明エリアの各LEDの光線を前記照明エリア毎に異なる角度で前記撮像対象物の中心側に向けるレンズ板が設けられていることを第2の特徴とするものである。
【0008】
この構成では、4枚の
平板状のLED実装基板を四角枠状に配置して照明装置を構成しているため、照明装置の構成を簡単化して、低コスト化や省スペース化を実現できる。しかも、各LED実装基板のLED実装エリアをそれぞれ複数の照明エリアに区分して、電流調整装置によって各LED実装基板のLEDに流す電流を各照明エリア毎に個別に調整できるように構成しているため、各照明エリアの電流調整によって撮像対象物に対する各照明エリアの照明光の照度を各照明エリア毎に個別に調整することが可能となり、照明エリアの位置の違いによる照明光のばらつきを修正できると共に、撮像対象物の種類に応じて各照明エリアの照明光の照度を調整することも可能となり、照明装置としての汎用性を高めることができる。
【0009】
この場合、前記各LED実装基板には、前記各照明エリアの各LEDの光線を
前記照明エリア毎に異なる角度で前記撮像対象物の中心側に向けるレンズ板を設けると良い。このようにすれば、各照明エリアの各LEDの光を撮像対象物に対する照明光として効率良く使用できる。
【0010】
更に、前記レンズ板には、シボ加工を施しても良い。シボ加工によって各LEDの光を適度に拡散させて撮像対象物に対する照明光の細かなむらを無くすことができる。
【0011】
また、前記電流調整装置によって前記各LED実装基板のLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整する際に、前記撮像対象物の中心からの距離が遠くなる照明エリアほど大きい電流を流すことで、前記撮像対象物に対する前記各照明エリアの照明光の照度を均一化するようにすると良い。このようにすれば、4枚のLED実装基板を四角枠状に配置した構成であっても、撮像対象物に対する各照明エリアの照明光の照度を均一化することができる。
【0012】
更に、前記カメラのシャッタタイミングと同期させて前記各照明エリアのLEDをパルス点灯させると共に、前記撮像対象物の種類に応じて前記各照明エリアのパルス点灯のデューティ(LEDのオン時間)を前記各照明エリア毎に個別に変更するパルス点灯制御部を備えた構成としても良い。このようにすれば、パルス点灯により節電できると共に、撮像対象物に対する照明のバリエーションを増やすことができ、撮像対象物の種類に応じて、より適切な照明を実現できる。
【0013】
また、前記各LED実装基板のLEDを点灯させる照明エリアと点灯させない照明エリアとの組み合わせパターンである照明パターンを前記撮像対象物の種類に応じて変更する照明パターン変更部を備えた構成としても良い。このようにしても、撮像対象物に対する照明のバリエーションを増やすことができ、撮像対象物の種類に応じて、より適切な照明を実現できる。
【0014】
更に、生産中に前記電流調整装置によって調整された電流を前記各照明エリアのLEDに流して前記撮像対象物を照明して前記カメラで撮像する生産時照明モードと、生産停止中に前記電流調整装置によって前記各照明エリアのLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整する電流調整時照明モードとを切り換える照明モード切換部を備え、前記電流調整装置は、前記電流調整時照明モードでは、前記各LED実装基板のLEDを点灯させる照明エリアを1つずつ順番に切り換えて、1つの照明エリアの照明で前記撮像対象物となる基準治具を前記カメラで撮像してその画像を画像処理装置で処理して前記画像中の基準治具部分の輝度を判定して、その輝度が所定の基準輝度となるように当該照明エリアのLEDに流す電流を調整する処理を前記各照明エリア毎に実行することで、前記基準治具に対する前記各照明エリアの照明光の照度を均一化するように前記各照明エリアのLEDに流す電流を前記各照明エリア毎に個別に調整するようにしても良い。このように構成すれば、定期的に電流調整時照明モードに切り換えることで、各照明エリアのLEDの経時劣化等による照明光のばらつきを修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は一実施例におけるカメラと照明装置との取付構造を示す縦断側面図である。
【
図2】
図2は側射照明用の照明装置の構造を示す縦断側面図である。
【
図3】
図3は側射照明用の照明装置の構造をレンズ板を取り外した状態で示す平面図である。
【
図4】
図4はLED実装基板の照明エリアの配列パターンを示す図である。
【
図5】
図5は側射照明用の照明装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は各照明エリアのパルス点灯のデューティを各照明エリア毎に個別に変更する一例を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、部品実装機に適用して具体化した一実施例を説明する。
まず、
図1乃至
図3を用いてカメラ11と照明装置12,13の構成を説明する。
カメラ11と照明装置12,13は、図示はしないが、部品実装機に上向きに取り付けられ、部品実装機の吸着ノズルに吸着した部品(撮像対象物)をその下方から照明装置12,13で照明してカメラ11で撮像する。
【0017】
カメラ11の上方には、レンズユニット14が設けられ、このレンズユニット14の上方に同軸落射照明用の照明装置12を介して側射照明用の照明装置13(撮像用照明装置)が設けられている。同軸落射照明用の照明装置12は、図示はしないが、該照明装置12の側方からその中心(カメラ11の光軸)に向けて光を水平方向に放射するLED等の発光源と、その発光源の光を上方の撮像対象物に向けて直角に反射するハーフミラー等を備えた構成となっている。
【0018】
一方、側射照明用の照明装置13は、
図2及び
図3に示すように、多数のLED21を実装した4枚のLED実装基板22を、撮像対象物側から見てカメラ11の光軸を中心とする四角枠状に配置し、且つ、各LED実装基板22のLED21が撮像対象物に向くように各LED実装基板22を所定角度で傾斜させて取付部材23に取り付けた構成となっている。
【0019】
図4に示すように、各LED実装基板22のLED実装エリアがそれぞれ複数の照明エリア25に区分され、各LED実装基板22のLED21に流す電流を各照明エリア25毎に個別に調整する電流調整装置26(
図5参照)が設けられている。各照明エリア25には、それぞれ所定個数、例えば10個(=縦2個×横5個)のLED21が実装され、各照明エリア25の合計10個のLED21が配線パターン(図示せず)で直列に接続されている。各LED実装基板22の照明エリア25の配列パターンは、
図3、
図4の例では、照明エリア25が上下方向に例えば上段、中段、下段の3段に配置され、且つ、各段が上下2つの照明エリア25に分割され、各段にそれぞれ所定数、例えば横4個×縦2個=合計8個の照明エリア25が配置されているが、この配列パターンに限定されず、適宜変更可能である。
【0020】
図2に示すように、各LED実装基板22には、各照明エリア25の各LED21の光線を撮像対象物の中心側に向けるレンズ板27が取り付けられ、このレンズ板27によって各照明エリア25の各LED21の光が撮像対象物に対する照明光として効率良く使用されるようになっている。このレンズ板27は、透明樹脂等の透明材料で形成され、その表面にシボ加工が施されている。このシボ加工によって各LED21の光を適度に拡散させて撮像対象物に対する照明光の細かなむらを無くすようにしている。尚、
図3、
図4には、LED実装基板22がレンズ板27を取り外した状態で示されている。
【0021】
図5に示すように、電源回路部31から供給される電流は、各照明エリア25毎に電流調整装置26で個別に調整され、LED駆動回路部32によって各照明エリア25のLED21に流す電流がオン/オフされることで、各照明エリア25のLED21の点灯/消灯が切り換えられる。
【0022】
ところで、本実施例のように、4枚のLED実装基板22を四角枠状に配置した構成では、LED実装基板22の各照明エリア25と撮像対象物の中心(カメラ11の光軸との交点)との間の距離が一定ではなく、LED実装基板22の中心から横方向に離れた照明エリア25ほど、撮像対象物の中心までの距離が遠くなる。LED実装基板22の各照明エリア25のLED21の光が撮像対象物を照明する照度(明るさ)は、両者間の距離の2乗に反比例するため、LED実装基板22の全ての照明エリア25のLED21に同じ電流を流して発光させると、LED実装基板22の中心から横方向に離れた照明エリア25ほど、撮像対象物を照明する照度が低下する。
【0023】
そこで、本実施例では、電流調整装置26によって各LED実装基板22のLED21に流す電流を各照明エリア25毎に個別に調整する際に、撮像対象物の中心からの距離が遠くなる照明エリア25ほど大きい電流を流すことで、撮像対象物に対する各照明エリア25の照明光の照度を均一化するようにしている。このようにすれば、4枚のLED実装基板22を四角枠状に配置した構成であっても、撮像対象物に対する各照明エリア25の照明光の照度を均一化することができる。
【0024】
また、本実施例では、各LED駆動回路部32は、各LED実装基板22のLED21を点灯させる照明エリア25と点灯させない照明エリア25との組み合わせパターンである照明パターンを撮像対象物の種類に応じて変更する照明パターン変更部として機能する。これにより、例えば、撮像対象物の種類に応じて、各LED実装基板22の上段、中段、下段のいずれか1段の照明エリア25のみを点灯させたり、いずれか2段の照明エリア25を点灯させたり、3段全ての照明エリア25を点灯させたり、或は、各段の上側又は下側の照明エリア25のみを点灯させるというように、照明パターンを撮像対象物の種類に応じて変更することができて、撮像対象物に対する照明のバリエーションを増やすことができ、撮像対象物の種類に応じて、より適切な照明を実現できる。
【0025】
更に、各LED駆動回路部32は、
図6に示すように、カメラ11のシャッタタイミングと同期させて各照明エリア25のLED21をパルス点灯させると共に、撮像対象物の種類に応じて各照明エリア25のパルス点灯のデューティ(LED21のオン時間)を各照明エリア25毎に個別に変更するパルス点灯制御部としても機能する。
【0026】
この際、
図6に示すように、パルス点灯させる複数の照明エリア25の中で、パルス点灯のデューティが最も大きい照明エリア25のLED21のオン(点灯)タイミングt1 は、カメラ11のシャッタ開放タイミングt2 の直前であり、当該照明エリア25のLED21のオフ(消灯)タイミングt6 は、カメラ11のシャッタ閉鎖タイミングt5 の直後であり、当該照明エリア25のパルス点灯のデューティt1 〜t6 がカメラ11のシャッタ開放時間t2 〜t5 よりも若干長い時間となっている。他の照明エリア25のLED21のオン/オフ(点灯/消灯)タイミングt3 ,t4 は、カメラ11のシャッタ開放期間t2 〜t5 内に収まっており、当該他の照明エリア25のパルス点灯のデューティt3 〜t4 がカメラ11のシャッタ開放時間t2 〜t5 よりも短い時間となっている。
【0027】
このように、カメラ11のシャッタタイミングと同期させて各照明エリア25のLED21をパルス点灯させることで、照明装置13の消費電力を節電できると共に、撮像対象物の種類に応じて各照明エリア25のパルス点灯のデューティを各照明エリア25毎に個別に変更することで、撮像対象物に対する照明のバリエーションを増やすことができ、撮像対象物の種類に応じて、より適切な照明を実現できる。
【0028】
図5に示すように、各照明エリア25の電流調整装置26とLED駆動回路部32の動作は、部品実装機の制御装置35によって制御される。部品実装機の制御装置35は、カメラ11で撮像した画像を処理して撮像対象物(部品)を認識する画像処理装置としても機能する。
【0029】
更に、部品実装機の制御装置35は、照明装置13の照明モードを生産時照明モードと電流調整時照明モードとの間で切り換える照明モード切換部としても機能し、部品実装機の稼働中(生産中)は、生産時照明モードに維持して、各電流調整装置26によって調整された電流を各照明エリア25のLED21に流して撮像対象物を照明してカメラ11で撮像し、その画像を処理して撮像対象物を認識する。
【0030】
部品実装機の制御装置35は、各照明エリア25のLED21の発光特性の経時変化を補正するために、定期的に生産停止中に照明モードを生産時照明モードから電流調整時照明モードに切り換える。この電流調整時照明モードでは、各LED実装基板22のLED21を点灯させる照明エリア25を1つずつ順番に切り換えて、1つの照明エリア25の照明で撮像対象物となる基準治具(図示せず)をカメラ11で撮像してその画像を部品実装機の制御装置35で処理して前記画像中の基準治具部分の輝度を判定して、その輝度が所定の基準輝度となるように当該照明エリア25のLED21に流す電流を電流調整装置26によって調整する処理を各照明エリア25毎に実行することで、前記基準治具に対する各照明エリア25の照明光の照度を均一化するように各照明エリア25のLED21に流す電流を各照明エリア25毎に個別に調整する。この際、作業者が手作業で基準治具を照明装置13上面のカバーガラス36上などに載置するようにしても良いし、部品実装機の吸着ノズル(図示せず)に基準治具を吸着して照明装置13の上方に移動させるようにしても良い。或は、吸着ノズルを保持する実装ヘッド(図示せず)の下面側に基準治具を設けて照明装置13の上方に移動させるようにしても良い。
【0031】
このように、定期的に照明モードを電流調整時照明モードに切り換えて、基準治具に対する各照明エリア25の照明光の照度を均一化するように各照明エリア25のLED21に流す電流を電流調整装置26によって各照明エリア25毎に個別に調整するようにすれば、各照明エリア25のLED21の経時劣化等による照明光のばらつきを修正することができる。
【0032】
以上説明した本実施例によれば、4枚のLED実装基板22を四角枠状に配置して照明装置13を構成しているため、照明装置13の構成を簡単化して、低コスト化や省スペース化を実現できる。しかも、各LED実装基板22のLED実装エリアをそれぞれ複数の照明エリア25に区分して、各電流調整装置26によって各LED実装基板22のLED21に流す電流を各照明エリア25毎に個別に調整できるように構成しているため、各照明エリア25の電流調整によって撮像対象物に対する各照明エリア25の照明光の照度を各照明エリア25毎に個別に調整することが可能となり、照明エリア25の位置の違いによる照明光のばらつきを修正できると共に、撮像対象物の種類に応じて各照明エリア25の照明光の照度を調整することも可能となり、照明装置13としての汎用性を高めることができる。
【0033】
尚、本発明は、部品実装機に搭載した部品撮像用カメラ11の側射照明用の照明装置に限定されず、回路基板の基準マーク等を上方から撮像するマーク撮像用カメラの側射照明用の照明装置に適用して実施しても良く、また、部品実装機に限定されず、例えば、外観検査機や画像処理用部品形状データ作成装置等に搭載されたカメラの側射照明用の照明装置に適用して実施しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
11…カメラ、12…同軸落射照明用の照明装置、13…側射照明用の照明装置(撮像用照明装置)、14…レンズユニット、21…LED、22…LED実装基板、25…照明エリア、26…電流調整装置、27…レンズ板、31…電源回路部、32…LED駆動回路部(照明パターン変更部,パルス点灯制御部,照明モード切換部)、35…制御装置(画像処理装置)