特許第6954958号(P6954958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954958
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】搬送車システム
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20211018BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20211018BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   B61B13/00 A
   B65G1/00 501C
   B65G1/04 555Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-125805(P2019-125805)
(22)【出願日】2019年7月5日
(65)【公開番号】特開2021-11169(P2021-11169A)
(43)【公開日】2021年2月4日
【審査請求日】2020年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 暁治
(72)【発明者】
【氏名】神田 充啓
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 毅
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−078304(JP,U)
【文献】 特開2014−122115(JP,A)
【文献】 特開平02−083710(JP,A)
【文献】 実開平02−084908(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B65G 1/00
B65G 1/04
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行路を形成し、前記搬送車が読み取るマーカが配置された複数の板状部材と、
前記複数の板状部材の一部に設置され、前記搬送車が搬送する前記物品を受け渡す設備と、を備え、
前記板状部材は、少なくとも硬質で平板状の基材と、前記搬送車が走行可能な摩擦係数を有する表面部材とを積層して構成され、
前記表面部材の継ぎ目は前記基材の継ぎ目と異なる位置に配置され、
前記搬送車は、前記マーカを読み取ることにより自己位置を特定する搬送車システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送車システムであって、
前記走行路は、前記複数の板状部材の間に継ぎ目を有し、
前記設備が設置された板状部材は、前記搬送車が回転可能な領域に前記表面部材の継ぎ目と前記基材の継ぎ目のいずれもがないように配置される搬送車システム。
【請求項3】
請求項に記載の搬送車システムであって、
前記板状部材は、前記搬送車が走行可能な摩擦係数を有する表面を有する搬送車システム。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送車システムであって、
前記走行路は、所定の大きさの前記板状部材を組み合わせて床面に設置して構成される搬送車システム。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送車システムであって、
前記走行路は、前記基材と前記表面部材とを積層して構成される所定の大きさの板状部材を組み合わせて床面に設置して構成される搬送車システム。
【請求項6】
請求項1に記載の搬送車システムであって、
前記搬送車は、前記表面部材の継ぎ目以外の前記走行路において回転する搬送車システム。
【請求項7】
請求項5に記載の搬送車システムであって、
前記搬送車は、前記基材の継ぎ目ではなく、かつ、前記表面部材の継ぎ目ではない場所の前記走行路において回転する搬送車システム。
【請求項8】
請求項1に記載の搬送車システムであって、
前記マーカが前記表面部材の上に配置される搬送車システム。
【請求項9】
請求項2に記載の搬送車システムであって、
前記板状部材は、凸部、凹部及び切り欠き部の少なくとも一つを有し、
前記凸部、凹部及び切り欠き部の少なくとも一つは、床に固定的に設置された設備、柱及び壁の少なくとも一つと係合する搬送車システム。
【請求項10】
物品を搬送する搬送車と、
前記搬送車が走行する走行路を形成する複数の板状部材と、
前記複数の板状部材の一部に設置され、前記搬送車が搬送する前記物品を受け渡す設備と、を備え、
前記走行路は、少なくとも硬質で平板状の基材と、前記搬送車が走行可能な摩擦係数を有する表面部材と、前記基材と前記表面部材との間に硬質の中間部材を積層して構成され
前記中間部材は前記基材より薄厚であり、
前記中間部材の継ぎ目は前記基材の継ぎ目と異なる位置に配置される搬送車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫で搬送車によって物品を運搬する搬送車システムがある。本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2019−91273号公報)には、複数の搬送車と、制御部と、を有する搬送車システムであって、複数の搬送車に含まれる各搬送車は、物体を検知するセンサを有し、制御部は、複数の搬送車のうち第1の搬送車の位置を示す搬送車情報を保持し、複数の搬送車のうち第2の搬送車の識別情報及び位置が入力されると、第1の搬送車に前記第2の搬送車の存在確認の指示を送信し、存在確認の指示を受信した第1の搬送車は、センサによる計測を行って、行った計測の結果を制御部に送信し、制御部は、第1の搬送車から受信したセンサによる計測の結果に基づいて、入力された第2の搬送車の位置が正しいかを判定する搬送車システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−91273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の搬送車システムでは搬送車が走行する床面の平坦性が必要であるが、一般に工場や倉庫の床面の平坦性は低いものでしかない。このため、搬送車システムの適用範囲が限られていた。本発明は、工場や倉庫の床面を改修することなく、搬送車システムの導入を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、物品を運搬する搬送車と、前記搬送車が走行する走行路を形成し、前記搬送車が読み取るマーカが配置された複数の板状部材と、前記複数の板状部材の一部に設置され、前記搬送車が搬送する前記物品を受け渡す設備と、を備え、前記板状部材は、少なくとも硬質で平板状の基材と、前記搬送車が走行可能な摩擦係数を有する表面部材とを積層して構成され、前記表面部材の継ぎ目は前記基材の継ぎ目と異なる位置に配置され、前記搬送車は、前記マーカを読み取ることにより自己位置を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、床面の凸凹を改修することなく搬送車システムを導入できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例の搬送車システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例の搬送車及び走行路を示す図である。
図3】本発明の実施例の床面に設置された板状部材を示す図である。
図4】本発明の実施例の板状部材の構成例を示す図である。
図5】本発明の実施例の板状部材の構成例を示す図である。
図6】本発明の実施例の板状部材の床面への固定を示す図である。
図7】本発明の実施例の板状部材による走行路を工場に設置した例を示す図である。
図8】本発明の実施例の板状部材による走行路を倉庫に設置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施例の搬送車システムの構成を示すブロック図である。
【0009】
本実施例の搬送車システムは、全体制御システム100及び搬送車120を有する。図では1台の搬送車120を図示するが、複数台の搬送車120を設けてもよい。全体制御システム100と搬送車120とは、ネットワーク300を介して通信可能に接続される。ネットワーク300は、全体制御システム100と搬送車120との通信を可能にするものであればよく、一般的には、ネットワーク300の少なくとも一部は無線ネットワークである。例えば、ネットワーク300が図示を省略する無線基地局(例えば、WiFiアクセスポイント)を含み、搬送車120は当該無線基地局との間で無線による通信を行い、全体制御システム100は当該無線基地局との間で有線又は無線による通信を行ってもよい。
【0010】
搬送車120は、全体制御システム100から送信された指示に従って物品や移動棚5を搬送する。例えば、搬送車120は、物品や移動棚5を異なる場所(例えば、図7図8に示す置き台7やピッキングステーション6)へ搬送したり、コンベヤ8に乗せたり、コンベヤ8から降ろしたりする。
【0011】
全体制御システム100は、搬送車120と通信し、搬送車120を制御する制御用の計算機である。全体制御システム100は、搬送車120と通信可能であればよく、工場や倉庫の内部又は工場や倉庫の外部のいずれに設置されてもよい。
【0012】
搬送車120は、制御装置341、補助記憶装置342、台車343、駆動輪344、補助輪345及びセンサ346を有する。制御装置341は、搬送車120の走行等を制御する装置であり、通信管理部347、自己位置推定部348、駆動輪制御部349、センサデータ取得部350及び存在確認部351を有する。
【0013】
通信管理部347は、ネットワーク300を介して行われる全体制御システム100との通信を管理する。通信管理部347は、ネットワーク300を介して全体制御システム100と通信する通信装置(図示省略)を含んでもよい。自己位置推定部348は、環境地図352とセンサ346から取得したセンサデータとを照合することによって搬送車120の自己位置を推定する。駆動輪制御部349は、搬送車120が走行するために駆動輪344の回転を制御する。センサデータ取得部350は、センサ346が計測したデータを取得する。存在確認部351は、エラーによって停止した他の搬送車120の存在を確認する処理を実行する。
【0014】
制御装置341内の各部は、それぞれ専用のハードウェアによって実現されてもよいが、汎用のプロセッサ(図示省略)が主記憶装置(図示省略)に格納されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0015】
補助記憶装置342は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの記憶装置であり、制御装置341が実行する処理のために必要となる情報等を保持する。図1に示す補助記憶装置342は、環境地図352、計測データ353、経路データ354及び車体形状データ355を保持する。
【0016】
台車343は、制御装置341、補助記憶装置342及びセンサ346を搭載し、駆動輪344及び補助輪345が取り付けられる構造体である。図1では省略されているが、台車343には、さらに、搭載物を持ち上げるリフト、持ち上げた搭載物を回転させるターンテーブル、駆動輪344を駆動するモータ、及び、制御装置341及びモータ等に電力を供給する電池等が搭載されてもよい。
【0017】
駆動輪344及び補助輪345は、いずれも、台車343に取り付けられ、工場や倉庫の床面9に接地することによって、搬送車120を支持し、さらに、それぞれが回転することによって搬送車120が走行する。これらのうち、駆動輪344は、図示しないモータ等の動力源に連結され、当該動力源から伝達された動力によって回転することによって、搬送車120が移動する。
【0018】
センサ346は、搬送車120の周囲の状態を検知し、自己の位置を特定するための装置である。例えば、センサ346は、走行路10に設置されたマーカ12(図2参照)を読み取る。また、センサ346は、周囲の物体との間の距離を計測するセンサ(例えばレーザ距離センサ)でもよい。このようなセンサ346を用いて、搬送車120は、マーカ12を読み取って自己位置を特定したり、センサ346で計測した周辺環境の形状データと環境地図352との照合によって自己位置を特定する。
【0019】
図2は、本発明の実施例の搬送車120及び走行路10を示す図である。
【0020】
本実施例の走行路10は、工場や倉庫の床面9に複数の板状部材11を隙間なく設置して形成される。なお、板状部材11は、走行路10の部分のみに設置すればよく、床面9の他の部分に設置しなくてもよい。板状部材11は所定の大きさ(例えば、2m×1.2m)で構成されるので、走行路10の拡大に応じて板状部材11を追加設置し、走行路10の縮小に応じて板状部材11を撤去すればよく、レイアウトに従って走行路10を柔軟に変更できる。
【0021】
板状部材11の表面には搬送車120の走行をガイドするマーカ12が所定の間隔で配置されるとよい。前述したように、搬送車120は、マーカ12を読み取ることによって自己位置を特定して、全体制御システム100からの指示に従って走行可能である。
【0022】
図3は、本発明の実施例の床面9に設置された板状部材11を示す図である。
【0023】
工場や倉庫の床面9に凹凸があっても、床面9に板状部材11を設置して走行路10を形成するので、走行路10の平坦性が担保される。このように、板状部材11と床面9との間には隙間が生じる。このため、板状部材11は、搬送車120が乗った状態で搬送車120の走行に支障がない程度しか撓まない耐荷重性を有するように構成する。
【0024】
また、図示するように、搬送車120と物品を受け渡すコンベヤ8や置き台7(図7参照)は板状部材11の上に設置するとよい。板状部材11の上面は平坦性が担保されるので、コンベヤ8や置き台7を板状部材11の上に設置することによって、コンベヤ8や置き台7の傾きを防止でき、搬送車120とコンベヤ8や置き台7との高さの調整が容易になる。また、コンベヤ8や置き台7を板状部材11に固定することによって、床面9への設置工事が不要となり、床面9を傷つけることなくコンベヤ8や置き台7を設置できる。
【0025】
板状部材11は、搬送車120の重量で撓みにくい硬質材料であって、搬送車120の駆動輪344及び補助輪345との十分な摩擦を与え、走行によって摩耗しにくい材料を用いるとよい。板状部材11は、設置された床面9に固定されるとよい。例えば、コンベヤ8などの板状部材11の上に固定される設備と共に床面9にアンカーボルトで固定されてもよい。
【0026】
図4図5は、板状部材11の別の構成例を示す図である。
【0027】
例えば、図4に示すように、板状部材11は2層構造で構成してもよい。具体的には、板状部材11は、基材21及び表面部材23を積層して構成される。基材21は、合板(木材)や金属板(例えば鉄板)等の、搬送車120の重量で撓みにくい硬質材料で構成する。基材21は所定の大きさで構成し、搬送車120の走行方向の継ぎ目はステープルなどの固定部材24を用いて表面、裏面及び側面の1以上の面で連結するとよい。
【0028】
表面部材23は、搬送車120の駆動輪344及び補助輪345との十分な摩擦を与え、走行によって摩耗しにくい合成樹脂材料を用いるとよい。表面部材23は、例えば合成樹脂シートで構成するとよく、基材21に接着等の方法によって固定される。表面部材23の継ぎ目は、基材21の継ぎ目と異なる位置に配置するとよい。さらに、表面部材23の継ぎ目は、表面部材23を構成する合成樹脂材料で埋めて、段差が生じないようにするとよい。
【0029】
また、図5に示すように、板状部材11を3層構造で構成してもよい。具体的には、板状部材11は、基材21、中間部材22及び表面部材23を積層して構成される。基材21は、合板(木材)や金属板(例えば鉄板)等の、搬送車120の重量で撓みにくい硬質材料で構成する。基材21は所定の大きさで構成し、搬送車120の走行方向の継ぎ目はステープルなどの固定部材24を用いて表面、裏面又は側面の1以上の面で連結するとよい。中間部材22は、合板(木材)や金属板(例えば鉄板)等の、搬送車120の重量で撓みにくい硬質材料で構成する。中間部材22は基材21より薄厚でもよい。中間部材22は基材21を同じ大きさで構成してもよい。中間部材22と基材21とは接着等の方法によって固定される。中間部材22の継ぎ目は、基材21の継ぎ目と異なる位置に配置するとよい。
【0030】
表面部材23は、搬送車120の駆動輪344及び補助輪345との十分な摩擦を与え、走行によって摩耗しにくい合成樹脂材料を用いるとよい。表面部材23は、例えば合成樹脂シートで構成するとよく、中間部材22に接着等の方法によって固定される。表面部材23の継ぎ目は、中間部材22の継ぎ目と異なる位置に配置するとよい。さらに、表面部材23の継ぎ目は、表面部材23を構成する合成樹脂材料で埋めて、段差が生じないようにするとよい。
【0031】
板状部材11は、設置された床面9に固定されるとよい。例えば、コンベヤ8などの板状部材11の上に固定的される設備と共に床面9にアンカーボルトで固定されてもよい。また、図6に示すように、板状部材11に凸部31を設け、工場や倉庫の柱や床面9に固定される設備の脚と係合させて板状部材11の位置ズレを抑制してもよい。また、板状部材11に凹部32や切り欠き部33を設け、工場や倉庫の柱や床面9に固定される設備の脚と係合させて板状部材11の位置ズレを抑制してもよい。
【0032】
図7は、板状部材11による走行路10を工場に設置した例を示す図である。
【0033】
図示するように、搬送車120の走行領域である走行路10は、板状部材11を敷き詰めて構成されている。すなわち、板状部材11が設置されている場所が走行路10であり、搬送車120は走行路10の上を走行する。走行路10の端部又は途中には、コンベヤ8や置き台7が設けられており、搬送車120が走行路10上を移動してコンベヤ8や置き台7の間で物品(原材料、中間品、製品など)を運搬する。
【0034】
図8は、板状部材11による走行路10を倉庫に設置した例を示す図である。
【0035】
図示するように、搬送車120の走行領域である走行路10は、板状部材11を敷き詰めて構成されている。すなわち、板状部材11が設置されている場所が走行路10であり、搬送車120は走行路10の上を走行する。走行路10の端部又は途中には、移動棚5の置き場やピッキングステーション6が設けられており、搬送車120が走行路10上を移動して移動棚5をピッキングステーション6まで運搬する。
【0036】
図7図8に示す設置例において、搬送車120が回転する領域には、板状部材11の表面に継ぎ目が無いように板状部材11を配置するとよい。搬送車120の走行によって板状部材11の継ぎ目から表面部材23が剥離したり、板状部材11が欠けると、走行路10の段差が大きくなる。搬送車120が回転する領域に板状部材11の継ぎ目が無いように配置することによって、走行路10の劣化を抑制できる。また、搬送車120が回転する領域には、板状部材11の内層(基材21や中間部材22)にも継ぎ目が無いように板状部材11を配置するとよい。搬送車120が回転する領域は、例えば、走行路10の曲がり角である。また、搬送車120は、置き台7の下で方向を転換することがあり、置き台7の下の領域も搬送車120が回転する領域となる。
【0037】
以上に説明したように、本発明の実施例の搬送車システムは、物品を運搬する搬送車120と、搬送車120が走行する走行路10とを備え、走行路10は、搬送車120が走行可能な摩擦係数を有する表面を有する板状部材11で構成されるので、床面9に凸凹(溝、段差、割れ欠け、波打ち等)がある環境でも、床面9を改修することなく搬送車システムを導入できる。また、グレーチングの床面9でも搬送車システムを導入できる。床面9の凹凸を通過する際に搬送車120に加わる衝撃を低減でき、搬送車120の内部の精密機器の故障を抑制できる。また、工場や倉庫の借用期間終了後には板状部材11を撤去するだけで、容易に現状復旧ができる。
【0038】
また、走行路10は、少なくとも硬質で平板状の基材21と、搬送車120が走行可能な摩擦係数を有する表面部材23とを積層して構成されるので、搬送車120の重量で撓みにくく、搬送車120の走行に必要な摩擦力を確保できる。
【0039】
また、走行路10は、所定の大きさ(例えば2m×1.2m)の板状部材11を組み合わせて床面9に設置して構成されるので、走行路10を容易に設置及び撤去でき、搬送車システムを容易に移設できる。
【0040】
搬送車10は、表面の継ぎ目以外の走行路において回転するので、走行路10の劣化(例えば、搬送車120の走行による継ぎ目の拡大)を抑制できる。
【0041】
また、搬送車120は、基材21の継ぎ目ではなく、かつ、表面部材23の継ぎ目ではない場所の走行路10において回転するので、走行路10の劣化(例えば、搬送車120の走行による継ぎ目の拡大)を抑制できる。
【0042】
また、搬送車120が読み取るマーカ12を表面部材23の上に配置するので、搬送車120が走行路10の上を正確に走行できる。
【0043】
また、走行路10は、基材21と表面部材23との間に硬質の中間部材22を有し、中間部材22は基材21より薄厚であり、中間部材22の継ぎ目は基材21の継ぎ目と異なる位置に配置されるので、走行路10の強度を向上できる。
【0044】
また、板状部材11、凸部31、凹部32及び切り欠き部33の少なくとも一つを有し、凸部31、凹部32及び切り欠き部33の少なくとも一つは、床に固定的に設置された設備、柱及び壁の少なくとも一つと係合するので、板状部材11の位置ズレを抑制できる。
【0045】
また、搬送車120が運搬する物品を受け渡す設備(コンベヤ8、置き台7など)が板状部材11の上に設置されるので、コンベヤ8や置き台7の傾きを防止でき、搬送車120とコンベヤ8や置き台7との高さの調整が容易になる。
【0046】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0047】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0048】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0049】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0050】
7 置き台
8 コンベヤ
9 床面
10 走行路
11 板状部材
12 マーカ
21 基材
22 中間部材
23 表面部材
24 固定部材
100 全体制御システム
120 搬送車
300 ネットワーク
341 制御装置
342 補助記憶装置
343 台車
344 駆動輪
345 補助輪
346 センサ
347 通信管理部
348 自己位置推定部
349 駆動輪制御部
350 センサデータ取得部
351 存在確認部
352 環境地図
353 計測データ
354 経路データ
355 車体形状データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8