(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医療に関する包括的な包括システムにおいて、調剤業務を主導する拠点薬局に設置される拠点薬局端末と、前記拠点薬局を補佐する1以上のサテライト薬局に設置されて前記拠点薬局端末から指示を受信するサテライト薬局端末とを備える薬局連携システムであって、
前記拠点薬局端末は、
患者毎に、患者識別情報および患者属性情報を記憶する患者情報記憶手段と、
患者毎に、処方箋情報および薬剤服用歴情報を記憶する薬歴情報記憶手段と、
薬品毎に薬品に関する情報を記憶する薬品情報記憶手段と、
医師からの処方箋情報に基づいて、前記患者情報記憶手段、前記薬歴情報記憶手段、および前記薬品情報記憶手段から取得した情報を表示する表示処理手段と、
前記拠点薬局端末を操作する薬剤師の操作入力に応じて、前記表示処理手段に表示された情報を編集して、前記サテライト薬局の薬剤師が服薬指導時に従う服薬指導シナリオを作成する服薬指導シナリオ作成手段と、
前記服薬指導のシナリオを送信する送信手段と、
を備え、
前記サテライト薬局端末が、受信した前記服薬指導のシナリオを表示する薬局連携システム。
前記服薬指導シナリオが、前記表示処理手段に表示された情報から前記薬剤師によって選択された指導情報と、前記服薬指導における前記指導情報の患者への指導手引きと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の薬局連携システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0018】
<薬局連携システムの概要>
図1は、本発明に係る薬局連携システム1の概要を示す図である。薬局連携システム1は、地域包括ケアシステム2に複数設置されてもよいが1つであるのが望ましい。地域包括ケアシステム2内の患者の薬に関する情報を、一元管理することができるからである。なお、本発明において、薬局連携システム1は、地域包括ケアシステム2に設置されているが、それに限定されず、医療に関する包括的な組織に設置されればよい。
【0019】
薬局連携システム1は、拠点薬局20
、サテライト薬局30a,30b(以下、区別しない場合には単に30という)
、および施設70から構成される。そして、薬局連携システム1は、病院10a,10b(以下、区別しない場合には単に10という)と、患者80a〜80d(以下、区別しない場合には単に80という)の間に位置し、従来の調剤薬局の調剤業務を拠点薬局20とサテライト薬局30a、または拠点薬局20とサテライト薬局30bおよび施設70に分業させたシステムであって、トップダウン方式をとっている。ここで、施設70とは、医療専門職者が在籍する施設であって、例えば、介護施設40、訪問看護ステーション50、および訪問介護ステーション60等であり、これらの施設を区別しない場合に単に施設70という。そして、医療専門職者とは、看護師、介護福祉士、理学療法士、および作業療法士等である。
【0020】
すなわち、薬局連携システム1において、拠点薬局20が調剤業務を主導し、サテライト薬局30および施設70は、拠点薬局20からの指示に従って調剤業務を補佐する。具体的には、拠点薬局20が調剤業務に必要な情報を一元管理するとともに、専門性が高い業務を担って、サテライト薬局30および/または施設70に業務指示を出す。拠点薬局20の業務指示に従って、サテライト薬局30は患者または医療専門職者と対面する業務を行い、施設70は患者と対面する業務を行う。
【0021】
サテライト薬局30には、薬剤師が在籍する。そして、サテライト薬局30は、自らが調剤を行う調剤薬局であってもよいし、自ら調剤を行わない薬局や自ら調剤を行わず店舗も持たない無店舗薬局であってもよい。サテライト薬局30が調剤を行わない場合には、拠点薬局20が調剤を行い、サテライト薬局30は拠点薬局20から薬の提供を受ける。調剤を行わない薬局もサテライト薬局30となることができることにより、サテライト薬局30は、これまで薬局が少なかった住宅地等にも容易に設置することができ、患者そばに寄りそう薬局として機能することができる。
【0022】
サテライト薬局30aは、患者への情報提供および患者からの情報収集を薬剤師が行う薬局である。一方、サテライト薬局30bは、施設70に薬の配達を行う薬局であり、患者および/または医療専門職者への情報提供は薬剤師が行い、患者からの情報収集は薬剤師および/または医療専門職者が行う薬局である。
【0023】
拠点薬局20は、1以上の病院10、1以上のサテライト薬局30、および1以上の施設70と繋がっている。拠点薬局20は、病院10から処方箋を受信し、受信した処方箋を処理してサテライト薬局30への業務指示を作成する。ここで、処方箋は、拠点薬局20と病院10とが、ネットワークやクラウド(以下、ネットワーク等という)を介して端末同士が接続されて、処方箋情報として病院10から拠点薬局20へと送信されたり、患者80によって病院10から拠点薬局20へと配達されたりする。
【0024】
拠点薬局20は、サテライト薬局30とネットワーク等を介して端末同士が接続され、作成した業務指示をサテライト薬局30に送信し、サテライト薬局30から患者情報および薬剤服用歴情報(以下、薬歴情報という)を受信する。また、拠点薬局20は、施設70とネットワーク等を介して端末同士が接続され、業務指示を施設70に送信し、施設70から患者情報を受信する。受信した患者情報および薬歴情報は、拠点薬局20が保存管理する。そして、拠点薬局20は、保存管理する患者情報および薬歴情報を、必要に応じて、病院10にフィードバックする。更に、拠点薬局20は、病院10から受信した処方箋も保存管理し、必要であれば薬品情報も保存管理する。
【0025】
サテライト薬局30aは、患者80と直接的に繋がっている。サテライト薬局30bは、患者80と直接的、または医療専門職者を介して間接的に繋がっている。繋がりには、直接的な対面、電話等を介した間接的な対面、または両者の端末同士の接続による繋がりが含まれる。
【0026】
サテライト薬局30は、拠点薬局20からの業務指示に従って、患者80または医療専門職者(以下、患者80等という)との対面により、拠点薬局20の調剤業務の補佐を行う。具体的には、サテライト薬局30の薬剤師が拠点薬局20からの業務指示に従って、患者80等に問診、処方、および服薬指導を行う。ここで、拠点薬局20からの業務指示は、サテライト薬局30の薬剤師に判断の余地を残さないものであって、サテライト薬局30の薬剤師は業務指示に従って機械的に患者80に問診、処方、および服薬指導を行う。なお、自ら調剤を行う薬局の場合には、拠点薬局20からの業務指示に従って、調剤も行う。
【0027】
また、サテライト薬局30は、問診や処方および服薬指導等の際に、患者80から取得した情報を患者情報として拠点薬局20に送信する。なお、サテライト薬局30bは、患者80からの情報収集は薬剤師または医療専門職者が行う薬局であるので、サテライト薬局30bと繋がっている施設70、すなわち、サテライト薬局30bの薬剤師が患者80への問診や処方および服薬指導等を行う施設70は、医療専門職者が薬剤師に代わって患者80から取得した情報を患者情報として拠点薬局20に送信する。施設70から拠点薬局20に、患者情報を直接送信することで、ありのままの情報を拠点薬局20は取得できる。なお、この場合には、施設70の医療専門職者は、サテライト薬局30を介して、または拠点薬局20から直接受信した、拠点薬局20からの業務指示に従って、患者から情報を取得する。
【0028】
上述した薬局連携システム1において、拠点薬局20が1以上のサテライト薬局30に業務指示を行い、サテライト薬局30の薬剤師は業務指示に従って業務を行うために、薬剤師間および薬局間において、患者への薬学的情報の提供および患者情報および薬歴情報の収集における情報の質を均一化することができる。また、施設の医療専門職者は、サテライト薬局30を介して、または拠点薬局20から直接受信した、拠点薬局20からの業務指示に従って患者から情報を収集するために、施設の医療専門職者による患者情報の収集においても情報の質を均一化することができる。さらに、地域包括ケアシステム2内にある病院10からの処方箋や、質が均一化された患者情報および薬歴情報を、拠点薬局20が一元管理して、調剤業務に役立てることで、薬の有効性や安全性を高めることができる。
【0029】
<拠点薬局20の端末の機能構成>
図2は、本発明の実施形態に係る拠点薬局20の端末(以下、拠点薬局端末という)200の機能構成を示す図である。図に示すように、拠点薬局端末200は、病院10に設置された病院端末100、サテライト薬局30に設置されたサテライト薬局端末300、介護施設40に設置された介護施設端末400、訪問看護ステーション50に設置された訪問看護ステーション端末500、および訪問介護ステーション60に設置された訪問介護ステーション端末600、とネットワーク等を介して接続されている。
【0030】
なお、
図2において、病院端末100、サテライト薬局端末300、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、訪問介護ステーション端末600それぞれは1台しか図示していないが、複数台であってもよい。
【0031】
拠点薬局端末200は、拠点薬局20に設置された端末であって、調剤業務に必要な情報を一元管理する。また、拠点薬局端末200は、病院端末100から処方箋情報を受信し、サテライト薬局端末300および/または施設70の端末に送信する業務指示を作成する。更にまた、拠点薬局端末200は、サテライト薬局30の薬剤師(以下、サテライト薬剤師という)、または施設70の医療専門職者が業務指示に従って患者から取得した情報を、サテライト薬局端末300、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、および訪問介護ステーション端末600から取得する。
【0032】
拠点薬局端末200は、図に示すように、送受信部210、記憶部220、問診シナリオ管理部230、表示処理部240、服薬指導シナリオ作成部250、および更新部260を備える。図示しないが、拠点薬局端末200は、液晶ディスプレイ等である表示部、キーボードやマウス等である入力部も備える。
【0033】
送受信部210は、病院端末100から受信した処方箋情報を受信し、表示処理部240に送信する。また、送受信部210は、問診シナリオ管理部230から受信した問診シナリオ、並びに服薬指導シナリオ作成部250から受信した服薬指導シナリオおよび処方箋情報、をサテライト薬局端末300に送信する。また、送受信部210は、サテライト薬局端末300、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、および訪問介護ステーション端末600から受信した患者情報および/または薬歴情報を更新部260に送信する。
【0034】
記憶部220は、調剤業務に必要な情報を記憶しており、患者情報DB221、薬歴情報DB222、および薬品情報DB223、を備える。
【0035】
患者情報DB221には、患者情報として、患者を識別する識別情報および患者の属性に関する属性情報が格納されており、例えば、識別情報としては、患者の氏名、患者ID、性別、生年月日、住所、連絡先、保険証番号等の項目が含まれ、属性情報としては、患者の体質、既往歴、飲酒や喫煙等の嗜好品摂取状況、副作用、服薬状況、体調変化、残薬確認、併用薬、他科受診、飲食物、後発品の意向、職業、手帳の有無等の項目が含まれる。
【0036】
また、患者情報DB221には、問診時に、患者から取得した主観的情報と、薬剤師や医療専門職者が観察から得た客観的情報とが含まれる追加情報の項目も格納される。ここで、主観的情報には、具体的には、上述した患者情報DB221の各項目に該当しない患者が訴える体調に関する情報や、問診の中での雑談「仕事を始めた」や「スポーツジムを辞めた」の内容が含まれる。雑談の中に、調剤や服薬指導に必要な重要な情報が含まれる場合があるからである。客観的情報には、具体的には、患者から取得した検査結果値や、薬剤師や医療専門職者が観察して得た、顔色、肌艶、動作がスムーズかといった全身の状態が含まれる。
【0037】
薬歴情報DB222には、患者の処方箋情報、および薬剤師が行う調剤や服薬指導の内容の薬剤服用歴情報が格納されており、例えば、患者氏名、患者ID、処方箋情報、処方した調剤日、調剤した薬局、調剤された薬剤、服薬指導内容等の項目が含まれる。
【0038】
薬品情報DB223には、薬品の情報が格納されており、例えば、各薬品について、例えば、医薬品コード(薬価基準収載医薬品コード、YJコード、GS1コード、JANコード等)、薬品名、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、用法用量、効能・効果、副作用および相互作用、服用または保管取扱上の注意事項などの情報が格納される。薬品情報DB223は、各薬品の情報を記憶する製薬会社や医薬品卸売会社の端末から定期的に情報を取得するのが望ましい。また、記憶部220が薬品情報DB223を備えず、必要に応じて、都度、各薬品の情報を記憶する製薬会社や医薬品卸売会社の端末から取得してもよい。
【0039】
問診シナリオ管理部230は、サテライト薬剤師が調剤薬を患者に受け渡す前に、サテライト薬剤師および/または医療専門職者が患者に行う問診時のシナリオ(問診シナリオ)を管理する。問診シナリオは、問診事項と、患者への問診手引きと、を含む。なお、問診シナリオは、問診事項のみを含むものであってもよい。問診手引きは、問診時の手引きであって、例えば、患者が回答しやすい問診事項の質問の仕方、問診事項の質問順、問診事項の回答(以下、問診回答という)に応じた追加問診事項等が含まれる。サテライト薬局30bのサテライト薬剤師に対する問診シナリオの場合には、問診手引きに、サテライト薬剤師が患者から取得する問診事項の指定と、医療専門職者が患者から取得する事項の指定と、を含んでもよい。問診シナリオに問診手引きを含めることで、サテライト薬剤師および医療専門職者は患者への問診を機械的に行うことができ、患者から取得する情報の質を均一化することができる。
【0040】
問診事項は、患者情報DB221に格納する患者情報の各事項であって、例えば、患者の氏名、性別、生年月日、住所、連絡先、保険証番号、患者の体質、既往歴、飲酒や喫煙等の嗜好品摂取状況、副作用、服薬状況、体調変化、残薬確認、併用薬、他科受診、飲食物、後発品の意向、職業、手帳の有無、追加情報等が含まれる。問診回答は、問診を行ったサテライト薬剤師および/または医療専門職者が患者から聞き取った内容を記述する記述方式であってもよいし、予め用意された選択肢を選ぶ選択方式であってもよい。
【0041】
問診シナリオ管理部230は、病院端末100から受信した処方箋についての処方監査の完了が入力されたことに応じて、予め用意されている問診シナリオを送信する。また、問診シナリオ管理部230は、後述する表示処理部240によって表示部に表示された患者情報に基づいて、予め用意されている問診シナリオを拠点薬局20の薬剤師(以下、拠点薬剤師という)が変更した後に、変更後の問診シナリオを送信してもよい。表示部に表示された情報、すなわち患者の情報に基づいて問診シナリオを拠点薬剤師が変更することで、患者毎に問診シナリオをカスタマイズでき、患者固有の情報を取得することが可能になる。なお、拠点薬剤師が、一から問診シナリオを作成してもよい。
【0042】
表示処理部240は、処方箋情報を受信したことに応じて、処方箋情報を表示部に表示する。表示部に表示された処方箋情報について、拠点薬剤師は処方監査を行う。
【0043】
表示処理部240は、問診シナリオに従って問診した結果、すなわち、問診回答を、サテライト薬局端末300から受信したことに応じて、問診回答を表示する。また、表示処理部240は、問診回答の表示と併せて、送受信部210で受信した処方箋情報に基づいて、記憶部220の各DBから、情報を取得
して表示する。なお、問診シナリオが施設70に送信された場合には、問診回答は、サテライト薬局端末300だけでなく、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、または訪問介護ステーション端末600からも受信する。
【0044】
具体的には、表示処理部240は、処方箋情報の患者名および/または患者IDに基づいて、患者情報DB221から患者情報を取得する。なお、患者名のみで患者情報を取得しようとした場合、同姓同名がいるために二以上の患者情報が取得される場合には、一の患者情報が取得されるように、性別、生年月日、住所等を適宜条件に追加する。また、同様に、患者情報DB221で取得した患者情報のIDに基づいて、薬歴情報DB222から過去の処方箋情報および薬剤服用歴情報を取得する。更に、処方箋情報の薬品名に基づいて、薬品情報DB223から薬品情報を取得する。そして、表示処理部240は、記憶部220の各DBから取得した情報を、問診回答と併せて表示部に表示する。
【0045】
表示処理部240は、記憶部220の各DBから取得した情報を、調剤業務における薬剤師の業務を支援する従来のシステムを利用して、例えば、副作用を発生頻度順に表示したり(特許6516911号)、薬剤の重複使用を表示したり(特開2002−197188号公報)して、薬剤師がわかりやすいように編集して表示してもよい。
【0046】
なお、問診シナリオ管理部230で、予め用意されている問診シナリオを拠点薬局20の薬剤師(以下、拠点薬剤師という)が変更する場合には、表示処理部240は、問診回答をサテライト薬局端末300から受信するより前、処方監査の完了が入力されたことに応じて、また、拠点薬剤師からの表示指示の入力に応じて、送受信部210で受信した処方箋情報に基づいて、記憶部220の各DBから情報を取得し、表示部に表示する。
【0047】
服薬指導シナリオ作成部250は、拠点薬剤師により入力部に入力された情報に基づいて表示部に表示された情報を編集して、服薬指導シナリオを作成する。そして、服薬指導シナリオ作成部250は、作成した服薬指導シナリオと処方箋情報とを、送受信部210を介して、サテライト薬局端末300に送信する。
【0048】
服薬指導シナリオは、表示部に表示された情報のうち拠点薬剤師により選択された指導情報と、服薬指導における指導情報の患者への指導手引きと、を含む。なお、服薬指導シナリオは、指導情報のみを含むものであってもよい。
【0049】
指導情報には、処方箋に基づいて調剤された薬剤について、薬剤の情報、用法用量、保管方法、飲み合わせなどの服用に関する情報、副作用の情報が含まれる。具体的には、拠点薬剤師が、患者情報や薬歴情報に基づいて、薬品情報から指導情報とする情報を選択したり編集したりする。また、患者情報や薬歴情報から拠点薬剤師が患者に伝えるべきと判断した、生活上の注意事項等を含めてもよい。
【0050】
指導手引きは、服薬指導時の手引きであって、例えば、指導情報の伝える順、指導情報の重要度等が含まれる。服薬指導シナリオに指導手引きを含めることで、サテライト薬剤師は患者80への服薬指導を機械的に行うことができ、患者80に提供する情報の質を均一化することができる。また、指導手引きには、服薬指導時に患者から取得した情報(以下、患者付加情報という)、例えば、患者からの質問や要望、服薬指導した薬剤師への評価であって、問診時には取得されなかった情報を、指導終了後に拠点薬局20に送信する指示が含まれる。
【0051】
更新部260は、服薬指導が完了して、サテライト薬局端末300から患者付加情報を受信したことに応じて、問診回答および患者付加情報に基づいて患者情報DB221を、処方箋情報、服薬指導シナリオ、および調剤に関する情報に基づいて薬歴情報DB222を更新する。なお、更新部260は、患者情報DB221および薬歴情報DB222を同時に更新しなくてもよく、各情報の送受信や処理が完了したタイミングでその都度、患者情報DB221および薬歴情報DB222を更新してもよい。
【0052】
具体的には、更新部260は、サテライト薬局端末300、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、および訪問介護ステーション端末600の少なくともいずれか1つから受信した、問診回答に基づいて、患者情報DB221を更新する。また、更新部260は、サテライト薬局端末300から受信した、患者付加情報に基づいて、患者情報DB221を更新する。なお、患者付加情報は、患者情報DB221の追加情報に追加で格納される。
【0053】
更新部260は、病院端末100から受信した処方箋情報に基づいて薬歴情報DB222を更新する。更新部260は、服薬指導シナリオ作成部250で作成された服薬指導シナリオに基づいて、薬歴情報DB222を更新する。さらにまた、更新部260は、サテライト薬局30で調剤を行った場合には、サテライト薬局端末300から、処方した調剤日、調剤した薬局、調剤された薬剤といった調剤に関する情報を受信すると薬歴情報DB222を更新する。
【0054】
<薬局連携システムにおける調剤処理フロー>
図3は、本発明の実施形態に係る薬局連携システム1の調剤処理フローについて説明する。なお、調剤処理フローにおいて、四角で囲んだ処理は端末によるもの、長円で囲んだ処理は薬剤師によるものを示す。
【0055】
まず、ステップS1において、送受信部210が、病院端末100から処方箋情報を受信する。患者80がサテライト薬局30に処方箋を持参した場合には、サテライト薬局端末300から処方箋情報を受信し、拠点薬局20に持参した場合には、送受信部210は入力部を介して処方箋情報を受信する。
【0056】
次に、ステップS2において、表示部が処方箋情報を表示し、拠点薬剤師が表示された処方箋情報に対して、処方監査を行う。ここで、処方監査とは、薬剤師が、「処方箋の記載事項に漏れ・間違いがないか」、「処方内容が患者にとって適切かどうか(禁忌や重複投与がないか)」を確認し、疑わしい点がある場合には、処方箋の作成者に確認を行うことである。処方箋監査の完了が入力されると、ステップS3に進む。
【0057】
次に、ステップS3において、問診シナリオ管理部230が、送受信部210を介して、問診シナリオをサテライト薬局端末300に送信する。送信される問診シナリオは予め用意されたものであってもよいし、拠点薬剤師が予め用意された問診シナリオを変更したものや、一から作成したものであってもよい。
【0058】
次に、ステップS4において、サテライト薬局端末300が、拠点薬局端末200から受信した問診シナリオに従ってサテライト薬剤師が患者に問診した結果、すなわち、問診シナリオの問診回答を、拠点薬局端末200に送信する。なお、ステップS2からS4は順が入れ替わってもよい。
【0059】
次にステップS5において、拠点薬局端末200は、服薬指導シナリオを作成する。具体的には、まず、表示処理部240は、ステップS4でサテライト薬局端末300から送信された問診回答を受信したことに応じて、処方箋情報に基づいて、記憶部220の各DBから情報を取得し、取得した情報と受信した問診回答とを表示部に表示する。そして、服薬指導シナリオ作成部250は、拠点薬剤師により入力部に入力された情報に基づいて表示部に表示された情報を編集して、服薬指導シナリオを作成する。
【0060】
次に、ステップS6において、送受信部210が、処方箋情報とステップS5で作成された服薬指導シナリオとを、サテライト薬局端末300に送信する。
【0061】
次に、ステップS7において、サテライト薬局端末300が、受信した処方箋情報を表示部に表示し、サテライト薬剤師が調剤および調剤監査を行う。
【0062】
次に、ステップS8において、サテライト薬局端末300が、受信した服薬指導シナリオを表示部に表示し、サテライト薬剤師が服薬指導シナリオに従って患者に服薬指導を行い、ステップS7で調剤した調剤薬を患者に受け渡す。
【0063】
次に、ステップS9において、サテライト薬局端末300は、ステップS7で行った調剤に関する情報、およびステップS8の服薬指導の際に患者から取得した患者付加情報が、サテライト薬剤師により入力部を介して入力されたことに応じて、拠点薬局端末200に送信する。
【0064】
次に、ステップS10において、更新部260は、サテライト薬局端末300から患者付加情報を受信したことに応じて、問診回答および患者付加情報に基づいて患者情報DB221を、処方箋情報、服薬指導シナリオ、および調剤に関する情報に基づいて薬歴情報DB222を更新する。
【0065】
なお、本処理フローでは、拠点薬局端末200とサテライト薬局端末300との処理フローについて説明したが、施設70の医療専門職者が問診シナリオに従って患者に問診する場合には、ステップS3において、問診シナリオ管理部230は、送受信部210を介して、問診シナリオをサテライト薬局端末300を介して、または直接、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、および訪問介護ステーション端末600に送信する。そして、ステップS4において、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、および訪問介護ステーション端末600は、拠点薬局端末200またはサテライト薬局端末300から受信した問診シナリオに従って医療専門職者が患者に問診した結果を、拠点薬局端末200に送信する。
【0066】
以上、説明したように、本実施形態によれば、拠点薬局端末200から受信した問診シナリオおよび服薬指導シナリオがサテライト薬局端末300に表示され、問診シナリオおよび服薬指導シナリオに従ってサテライト薬剤師は機械的に問診および服薬指導を行うことにより、薬剤師間および薬局間において、患者への薬学的情報の提供および患者情報および薬歴情報の収集における情報の質を均一化することができる。また、介護施設端末400、訪問看護ステーション端末500、および訪問介護ステーション端末600といった施設70の端末に、問診シナリオが表示され、医療専門職者も機械的に問診を行うことができ、施設の医療専門職者による患者情報の収集においても情報の質を均一化することができる。
【0067】
さらに、サテライト薬剤師や医療専門職者は、問診シナリオおよび/または服薬指導シナリオに従って機械的に問診や服薬指導ができるため、的確に簡便に実施することができる。さらにまた、拠点薬局端末200が、問診回答や患者付加情報の情報を含む患者情報、および処方箋情報、服薬指導シナリオや調剤に関する情報を含む薬剤服用歴情報を一元管理し、調剤業務に役立てることで、薬の有効性や安全性を高めることができる。
【0068】
なお、本実施形態において、拠点薬局端末200は、問診シナリオ管理部230を備えているが、備えなくてもよい。その場合には、予め用意された問診シナリオをサテライト薬局端末300が記憶しており、それに基づいて、サテライト薬剤師は患者への問診を行う。
【0069】
なお、本実施形態において、患者は処方箋情報の送り先(または届け先)にサテライト薬局30を指定してもよいし、拠点薬局20を指定してもよい。患者が拠点薬局20を指定した場合には、拠点薬局端末200は、記憶部220にサテライト薬局の住所や最寄り駅といった位置情報を保存管理するDBを備え、拠点薬局端末200が患者の住所や病院の場所、およびサテライト薬局の位置情報から、患者に適したサテライト薬局30、例えば、患者自宅の最寄り駅または自宅に近いサテライト薬局30、を選択して、患者に案内してもよい。
【0070】
なお、本実施形態において、問診シナリオと服薬指導シナリオをサテライト薬局端末300に送信しているが、併せて調剤報酬データを送信してもよい。拠点薬局端末200で、サテライト薬局30での業務に対する調剤報酬を算定し、サテライト薬局端末300に送ることにより、サテライト薬剤師は問診および服薬指導のみを行えばよく、無店舗薬局が実現しやすくなる。
【0071】
なお、本実施形態において、拠点薬局端末200の記憶部220に、サテライト薬局30aの薬の在庫を記憶するDBを備え、拠点薬局端末200は服薬指導シナリオと併せて薬の在庫状況から調剤する商品名を指示してもよい。また、拠点薬局端末200は、サテライト薬局30aの薬の在庫を記憶するDBを管理し、薬の在庫が一定量を下回ると、製薬会社や医薬品卸売会社の端末に薬を自動で発注してもよい。
【0072】
なお、本実施形態において、服薬指導シナリオの内容は、拠点薬剤師が決定しているが、自動的に作成できるようにシステム化してもよい。例えば、拠点薬局端末200が、記憶部220の各DBの情報に基づいて拠点薬剤師が作成した服薬指導シナリオを学習して、自動的に作成できるようにしてもよい。
【0073】
なお、本実施形態において、拠点薬局端末200の記憶部220の情報を病院端末100に送信してもよい。それにより、調剤業務において取得した患者の情報を病院と共有することができる。
【0074】
なお、拠点薬局端末の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された拠点薬局端末に読み込ませ、実行することによって本発明の拠点薬局端末を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0075】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、
プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0076】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0077】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。