【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/無人航空機の運航管理システム及び衝突回避技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の飛行体の前記飛行計画に基づいて当該第1飛行体の飛行難度を特定し、且つ前記第2の飛行体の前記飛行計画に基づいて当該第2飛行体の飛行難度を特定する特定手段をさらに備え、
前記決定手段は、前記比較結果に加えて、さらに前記第1の飛行体の飛行難度と前記第2飛行体の飛行難度とに基づいて、前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
前記決定手段は、前記第1の飛行体の飛行計画の実行までの残り時間が所定時間以上である場合に限り、前記第2の飛行体の前記飛行計画を前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画として決定することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、測位等の計測性能が異なる複数の飛行体のそれぞれの飛行計画が申請され、これらの飛行計画に基づいて何れかの飛行体に対して飛行空域の割り当てが行われる場合がある。かかる場合、従来技術のように飛行空域の通信品質に応じて割当対象を決定するだけでは、飛行空域を有効に活用することが十分でない場合や、飛行空域の割り当てに起因して飛行体の計測性能を有効に活用することが十分でない場合があった。
【0005】
そこで、飛行空域の割り当てのために申請された複数の飛行計画の中から、飛行空域や飛行体の計測性能をより有効に活用可能にする飛行計画を決定することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画であって、複数の飛行体のそれぞれの飛行計画を取得する取得手段と、前記複数の飛行体のそれぞれの前記飛行計画のうち、第1の飛行体の前記飛行計画と第2の飛行体の前記飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により少なくとも一部が重複していると判定された場合、前記第1の飛行体の
水平方向と垂直方向のうち少なくとも何れかの1つの方向の測位性能と前記第2の飛行体の
水平方向と垂直方向のうち少なくとも何れかの1つの方向の測位性能との比較結果に基づいて、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画のうちから前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする。これにより、飛行空域の割り当てのために申請された複数の飛行計画の中から、飛行空域や飛行体の
測位性能をより有効に活用可能にする飛行計画を決定することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記第1の飛行体の前記飛行計画に基づいて当該第1飛行体の飛行難度を特定し、且つ前記第2の飛行体の前記飛行計画に基づいて当該第2飛行体の飛行難度を特定する特定手段をさらに備え、前記決定手段は、前記比較結果に加えて、さらに前記第1の飛行体の飛行難度と前記第2飛行体の飛行難度とに基づいて、前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画を決定することを特徴とする。これにより、飛行空域や飛行体の
測位性能をより有効に活用可能にする飛行計画を柔軟に決定することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記第1の飛行体の
前記測位性能と当該第1の飛行体の飛行難度との組合せと、前記第2の飛行体の
前記測位性能と当該第2の飛行体の飛行難度との組合せとのそれぞれが予め定められた割当条件を満たす場合に限り、前記比較結果に基づいて、前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画を決定することを特徴とする。これにより、飛行空域や飛行体の
測位性能をより有効に活用可能にするとともに飛行の安全性を向上する飛行計画を決定することができる。
【0010】
請求項
4に記載の発明は、請求項1乃至
3の何れか一項に記載の情報処理装置において、前記決定手段により決定された前記飛行計画に基づいて前記飛行空域を割り当てる割当手段をさらに備えることを特徴とする。これにより、決定された候補となる飛行計画に基づいて、より柔軟に飛行空域を飛行体に割り当てることができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画であって、第1の飛行体の前記飛行計画を取得した後に第2の飛行体の前記飛行計画を取得
する取得手段と、前記取得手段により前記第2の飛行体の前記飛行計画が取得された後に、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定
する判定手段と、前記判定手段により少なくとも一部が重複していると判定された場合、前記第1の飛行体の計測性能と前記第2の飛行体の計測性能との比較結果に基づいて、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画のうちから前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画を決定する決定手段と、前記第2の飛行体の前記飛行計画が取得されるより前に、前記取得手段により取得された前記第1の飛行体の前記飛行計画に基づいて前記飛行空域を割り当てる割当手段と、前記決定手段により前記第1の飛行体の計測性能と前記第2の飛行体の計測性能との比較結果に基づいて前記第2の飛行体の前記飛行計画が前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画として決定された場合、前記第1の飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てを取り消す取消手段と、を備えることを特徴とする。これにより、第1の飛行体に対して飛行空域が割り当てられている場合であっても当該飛行空域の割り当てを取り消すことができるので、当該飛行空域と少なくとも一部が重複する飛行空域を含む第2の飛行体の飛行計画を、当該飛行空域の割り当てに用いるための候補として柔軟に変更決定することができる。
【0012】
請求項
6に記載の発明は、請求項
5に記載の情報処理装置において、前記決定手段は、前記第1の飛行体の飛行計画の実行までの残り時間が所定時間以上である場合に限り、前記第2の飛行体の前記飛行計画を前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画として決定することを特徴とする。これにより、第1の飛行体の飛行計画の実行までの余裕を考慮して柔軟に飛行計画を決定することができる。
【0013】
請求項
7に記載の発明は、1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画であって、複数の飛行体のそれぞれの飛行計画を取得するステップと、前記複数の飛行体のそれぞれの前記飛行計画のうち、第1の飛行体の前記飛行計画と第2の飛行体の前記飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定するステップと、前記少なくとも一部が重複していると判定された場合、前記第1の飛行体の
水平方向と垂直方向のうち少なくとも何れかの1つの方向の測位性能と前記第2の飛行体の
水平方向と垂直方向のうち少なくとも何れかの1つの方向の測位性能との比較結果に基づいて、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画のうちから前記飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画を決定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項
8に記載の発明は、飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画であって、複数の飛行体のそれぞれの飛行計画を取得するステップと、前記複数の飛行体のそれぞれの前記飛行計画のうち、第1の飛行体の前記飛行計画と第2の飛行体の前記飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定するステップと、前記少なくとも一部が重複していると判定された場合、前記第1の飛行体の
水平方向と垂直方向のうち少なくとも何れかの1つの方向の測位性能と前記第2の飛行体の
水平方向と垂直方向のうち少なくとも何れかの1つの方向の測位性能との比較結果に基づいて、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画のうちから前記飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画を決定するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画であって、第1の飛行体の前記飛行計画を取得した後に第2の飛行体の前記飛行計画を取得するステップと、前記第2の飛行体の前記飛行計画が取得された後に、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定するステップと、前記少なくとも一部が重複していると判定された場合、前記第1の飛行体の計測性能と前記第2の飛行体の計測性能との比較結果に基づいて、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画のうちから前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画を決定するステップと、前記第2の飛行体の前記飛行計画が取得されるより前に、前記取得された前記第1の飛行体の前記飛行計画に基づいて前記飛行空域を割り当てるステップと、前記第1の飛行体の計測性能と前記第2の飛行体の計測性能との比較結果に基づいて前記第2の飛行体の前記飛行計画が前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画として決定された場合、前記第1の飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てを取り消すステップと、を含むことを特徴とする。請求項10に記載の発明は、飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てに用いるための飛行計画であって、第1の飛行体の前記飛行計画を取得した後に第2の飛行体の前記飛行計画を取得するステップと、前記第2の飛行体の前記飛行計画が取得された後に、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定するステップと、前記少なくとも一部が重複していると判定された場合、前記第1の飛行体の計測性能と前記第2の飛行体の計測性能との比較結果に基づいて、前記第1の飛行体の前記飛行計画と前記第2の飛行体の前記飛行計画のうちから前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画を決定するステップと、前記第2の飛行体の前記飛行計画が取得されるより前に、前記取得された前記第1の飛行体の前記飛行計画に基づいて前記飛行空域を割り当てるステップと、前記第1の飛行体の計測性能と前記第2の飛行体の計測性能との比較結果に基づいて前記第2の飛行体の前記飛行計画が前記飛行空域の割り当てに用いるための候補となる飛行計画として決定された場合、前記第1の飛行体を飛行させる飛行空域の割り当てを取り消すステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、飛行空域の割り当てのために申請された複数の飛行計画の中から、飛行空域や飛行体の計測性能をより有効に活用可能にする飛行計画を決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、飛行システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0018】
[
1.飛行システムSの構成及び動作概要]
先ず、
図1を参照して、無人で飛行可能な飛行体を所定の目的のために飛行させる飛行システムSの構成及び動作概要について説明する。所定の目的の例として、例えば、運搬、測量、撮影、点検、監視等が挙げられる。
図1は、飛行システムSの概要構成例を示す図である。
図1に示すように、飛行システムSは、大気中(空中)を飛行する無人航空機(以下、「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」と称する)1-n(1,2,3・・・)、運航管理システム(以下、「UTMS(UAV Traffic Management System)」と称する)2、及びポート管理システム(以下、「PMS(Port Management System)」と称する)3を含んで構成される。UAV1-nは、飛行体の一例である。UAV1-n、UTMS2、及びPMS3は、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。なお、UTMS2とPMS3とは、1つの管理システムとして構成されてもよい。
【0019】
UAV1-nは、地上からオペレータによる遠隔操縦に従って飛行、または自律的に飛行することが可能になっている。UAV1-nは、ドローン、またはマルチコプタとも呼ばれる。本実施形態においては、計測性能が異なる複数のUAV1-nが飛行することを前提とする。UAV1-nの計測性能は、UAV1-nのセンシング機能や測位機能等に基づいて指標化される。例えば計測性能は、高性能から低性能まで複数段階に区分されて表される。なお、高性能のUAV1-nは、高機能または高精度のUAV1-nということもできる。UAV1-nは、GCS(Ground ControlStation)により管理される。GCSは、例えば、アプリケーションとして通信ネットワークNWに接続可能な操縦端末に搭載される。この場合、オペレータは、例えば、操縦端末を操作してUAV1-nを遠隔操縦する人である。或いは、GCSは、サーバ等により構成されてもよい。この場合、オペレータは、例えば、GCSの管理者、またはサーバが備えるコントローラである。なお、UAV1の自律的な飛行は、当該UAV1が飛行制御を行うことによる自律飛行に限定されるものではなく、当該UAV1の自律的な飛行には、例えば飛行システムS全体として飛行制御を行うことによる自律飛行も含まれる。
【0020】
UTMS2は、管理サーバMSを含む1以上のサーバ等を備えて構成される。管理サーバMSは、情報処理装置の一例である。UTMS2は、UAV1-nの運航を管理する。UAV1-nの運航管理には、UAV1-nの運航計画の管理、UAV1-nの飛行状況の管理、及びUAV1-nの制御が含まれる。UAV1-nの運航計画とは、例えば、UAV1-nの出発地点(飛行開始地点)から目的地点(または経由地点)までの飛行経路(飛行予定経路)、及びUAV1-nの飛行スケジュールを含む飛行計画である。かかる飛行計画は、例えばUAV1-nを管理するGCSにより作成されてUTMS2へ申請(飛行計画申請)され、UAV1-nを飛行させる飛行経路を含む飛行空域の割り当てに用いられる。飛行経路は、例えば、その経路上の緯度及び経度で表され、高度を含んでもよい。UAV1-nの飛行スケジュールは、UAV1-nが出発地点、経由地点、及び目的地点のうち少なくとも何れか1つの地点に存在する飛行予定時刻(時間帯でもよい)の情報(以下、「時刻情報」という)を含む。時刻情報には、年月日が含まれてもよい。UAV1-nの飛行スケジュールは、UAV1-nが飛行経路上の各地点に存在する飛行予定時刻の時刻情報を含んでもよい。
【0021】
なお、飛行計画には、飛行経路に代えて、UAV1-nが出発地点から目的地点(または経由地点)までの間で飛行する飛行空域(飛行予定空域)が含まれてもよい。かかる飛行空域は、例えば行政区画などに基づき予め細分化された複数の飛行空域のうちから選択される。この場合の飛行スケジュールには、UAV1-nが飛行空域内に存在する予定時刻の時刻情報が含まれる。UAV1-nの飛行状況の管理は、UAV1-nの航空機情報に基づいて行われる。UAV1-nの航空機情報には、少なくともUAV1-nの位置情報が含まれる。UAV1-nの位置情報は、UAV1-nの現在位置を示す。UAV1-nの現在位置とは、飛行中のUAV1-nの飛行位置である。UAV1-nの航空機情報には、UAV1-nの速度情報等が含まれてもよい。速度情報は、UAV1-nの飛行速度を示す。
【0022】
PMS3は、1または複数のサーバ等により構成される。PMS3は、例えば、UAV1-nの目的地点(または経由地点)に設置された離着陸施設(以下、「ポート」と称する)を管理する。ポートの管理は、ポートの位置情報及びポートの予約情報等に基づいて行われる。ここで、ポートの位置情報は、ポートの設置位置を示す。ポートの予約情報には、ポートを予約したUAV1-nの機体ID、及び到着予定時刻の情報等が含まれる。UAV1-nの機体IDは、UAV1-nを識別する識別情報である。
【0023】
[
1−1.UAV1-nの構成及び機能概要]
次に、
図2を参照してUAV1-nの構成及び機能概要について説明する。
図2は、UAV1-nの概要構成例を示す図である。
図2に示すように、UAV1-nは、駆動部11、無線通信部12、センサ部13、及び制御部14等を備える。なお、図示しないが、UAV1-nは、水平回転翼であるロータ(プロペラ)、及びUAV1-nの各部へ電力を供給するバッテリ等を備える。駆動部11は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部11は、制御部14から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数のロータを回転させる。無線通信部12は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。
【0024】
センサ部13は、UAV1-nの水平方向と垂直方向のうち少なくとも何れかの1つの方向の測位性能を含む計測性能を決定づけるものであり、UAV1-nの位置、姿勢、及び進行方向等の制御に用いられる。高性能のUAV1-nのセンサ部13は、例えば、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)電波受信機、高度センサ、光学センサ、及び9軸センサを備える。ここで、QZSS電波受信機は、QZSSで利用される準天頂衛星(GPS衛星及び準天頂軌道の衛星)から発信された電波を受信する。高性能のUAV1-nのセンサ部13は、QZSS電波受信機により受信された電波に基づいてUAV1-nの現在位置を検出しUAV1-nの位置情報を得る。かかる位置情報により、高性能のUAV1-nは他のUAV-1等を含む物体との間で安全距離を保ちつつ飛行することが可能となる。また、GPS衛星からの電波に加えて準天頂軌道の衛星からの電波を利用することで、特に、GPS衛星からの電波が遮られる地域においてUAV1-nの位置の検出精度を高めることができる。さらに、準天頂軌道の衛星からの電波には補正信号(例えばCLAS(Centi meter Level Accuracy Service)等)が含まれてもよく、当該補正信号を用いることで、UAV1-nの位置の検出精度を高めることができる。なお、UAV1-nの現在位置は、UAV1-nの水平方向の飛行位置(緯度及び経度)、または、UAV1-nの水平方向の飛行位置と垂直方向の飛行位置(高度)である。さらに、高性能のUAV1-nのセンサ部13は、例えば気圧センサ等の高度センサによりUAV1-nの高度を検出することもできる。これにより、UAV1-nの位置の検出精度を高めることができる。
【0025】
また、高性能のUAV1-nのセンサ部13は、光学センサにより、そのセンシング範囲に存在する物体から反射または放射された光(赤外線や可視光線)を検出することで物体情報(例えば、画像情報)を得る。光学センサの例として、カメラ、レーザセンサ、またはLiDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging))が挙げられる。また、高性能のUAV1-nのセンサ部13は、9軸センサによりUAV1-nの向き等を検出することで回転情報を得る。9軸センサは、3軸角速度センサ(ジャイロセンサともいう)、3軸加速度センサ、及び3軸地磁気センサ(磁気センサまたは方位センサともいう)から構成される。回転情報には、3軸角速度センサにより検出された角速度(X軸まわり、Y軸まわり、及びZ軸まわりのそれぞれの角速度)、3軸加速度センサにより検出された重力加速度を示す3次元ベクトル、及び3軸地磁気センサにより検出された磁北を示す3次元ベクトルが含まれる。9軸センサを用いることで6軸センサを用いるよりもUAV1-nの姿勢の推定精度を高めることができる。ただし、高性能のUAV1-nのセンサ部13は、9軸センサの代わりに、6軸センサを備えてもよい。なお、センサ部13により得られた各種情報は、制御部14へ出力される。
【0026】
一方、中性能のUAV1-nのセンサ部13は、例えば、GPS(Global Positioning System)電波受信機、光学センサ、及び6軸センサを備える。ここで、GPS電波受信機は、GPSで利用されるGPS衛星から発信された電波を受信する。中性能のUAV1-nのセンサ部13は、GPS電波受信機により受信された電波に基づいてUAV1-nの現在位置を検出しUAV1-nの位置情報を得る。また、中性能のUAV1-nのセンサ部13は、高性能のUAV1-nのセンサ部13と同様、光学センサにより、そのセンシング範囲に存在する物体から反射または放射された光を検出することで物体情報を得る。また、中性能のUAV1-nのセンサ部13は、6軸センサによりUAV1-nの向き等を検出することで回転情報を得る。6軸センサには、3軸角速度センサ、及び3軸加速度センサから構成される。なお、中性能のUAV1-nのセンサ部13は、高度センサと9軸センサとの少なくとも何れか一方を備えてもよい。一方、低性能のUAV1-nのセンサ部13は、例えば、光学センサ(例えば、レーザセンサ)、及び6軸センサ(または、3軸センサ)を備える。低性能のUAV1-nのセンサ部13には衛星からの電波を受信する電波受信機が備えられていないので、低性能のUAV1-nが他のUAV-1等を含む物体との間で安全距離を保ちつつ飛行するために、低性能のUAV1-nは光学センサにより得られた物体情報に頼ることになる。
【0027】
制御部14は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び不揮発性メモリ等を備える。制御部14は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従ってUAV1-nの姿勢推定及び各種制御を実行する。ここで、UAV1-nの姿勢推定は、センサ部13から取得された回転情報に基づいて行われる。また、各種制御には、離陸制御、飛行制御、及び着陸制御が含まれる。これらの制御においては、UAV1-nの姿勢推定の結果、センサ部13から取得された各種情報(例えば、位置情報または物体情報)、及び飛行空域の割り当てに用いられた飛行計画が用いられて、ロータの回転数の制御、UAV1-nの位置、姿勢及び進行方向の制御が行われる。
【0028】
[
1−2.管理サーバMSの構成及び機能概要]
次に、
図3及び
図4を参照して管理サーバMSの構成及び機能概要について説明する。
図3は、管理サーバMSの概要構成例を示す図である。
図3に示すように、管理サーバMSは、通信部21、記憶部22、制御部23等を備える。通信部21は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ等を備える。記憶部22は、空域管理データベース(DB)221を備える。空域管理データベース221には、例えば行政区画などに基づき予め細分化された飛行空域毎に、空域ID、飛行空域の位置情報、飛行空域の割当情報、及び飛行空域下の人口情報等が対応付けられて格納される。
【0029】
ここで、空域IDは、飛行空域を識別する識別情報である。飛行空域の位置情報は、例えば、飛行空域の位置情報は、例えば飛行空域内の所定部分(例えば中心部分または境界部分)の緯度及び経度で表され、高度を含んでもよい。飛行空域の位置情報は、地図データに関連付けられてもよい。飛行空域の割当情報には、飛行空域へのUAV1-nの割り当て有無が含まれ、割り当て有の場合には当該割り当てられたUAV1-nの機体ID及び計測性能が含まれる。飛行空域下の人口情報には、例えば飛行空域下の人口密度や人が集めるイベント情報などが含まれる。飛行空域下の人口情報は、飛行空域におけるUAV1-nの飛行難度の特定に利用される。UAV1-nの飛行難度とは、UAV1-nのオペレーション、UAV1-nに与えられたミッション、及びUAV1-nの飛行により発生しうるリスクのうち少なくとも何れか1つに基づいて指標化されるパラメータである。例えば、飛行難度は高難度から低難度まで複数段階に区分されて表される。
【0030】
制御部23は、プロセッサであるCPU、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ等を備える。
図4は、制御部23における機能ブロック例を示す図である。制御部23は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、
図4に示すように、飛行計画取得部23a、計測性能特定部23b、飛行難度特定部23c、割当条件判定部23d、重複判定部23e、飛行計画候補決定部23f、飛行空域割当部23g、及び割当取消部23h等として機能する。飛行計画取得部23aは、取得手段の一例である。飛行難度特定部23cは、特定手段の一例である。重複判定部23eは、判定手段の一例である。飛行計画候補決定部23fは、決定手段の一例である。飛行空域割当部23gは、割当手段の一例である。割当取消部23hは、取消手段の一例である。
【0031】
飛行計画取得部23aは、例えばUAV1-nを管理するGCSにより送信された飛行計画申請から当該UAV1-nの飛行計画を当該UAV1-nの機体IDとともに取得する。飛行計画申請には、例えば、UAV1-nの飛行経路(または飛行空域)及び飛行スケジュールを含む飛行計画に加えて、当該飛行計画に係るUAV1-n(つまり、当該飛行計画を申請するUAV1-n)の計測性能を特定するための計測性能特定情報が含まれてもよい。計測性能特定情報には、例えば、UAV1-nの型式やUAV1-nのセンサ部13の仕様等が含まれる。また、飛行計画には、UAV1-nが物品を運搬するか否か、UAV1-nが物品を運搬する場合の当該物品の種別、UAV1-nが物品を運搬する場合に当該物品を上空から投下するか否か、UAV1-nが総重量(物品を輸送する場合、当該物品の重量を含む)、UAV1-nが編隊飛行するか否か、及びUAV1-nがオペレータの目視外で飛行するか否かのうち少なくとも一つの付随情報が含まれてもよい。なお、飛行計画取得部23aは、例えばUAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画を同じタイミングで取得する場合もあるし、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画を異なるタイミングで取得(例えば、UAV1-1の飛行計画を取得した後にUAV1-2の飛行計画を取得)する場合もある。
【0032】
計測性能特定部23bは、例えば計測性能特定情報に基づいて、飛行計画取得部23aにより取得された飛行計画に係るUAV1-nの計測性能を特定する。例えば、センサ部13が備える構成要素に対して予め割り当てられた点数を合計したスコアに対応する計測性能が特定されてもよい。一例として、QZSS電波受信機には20点、GPS電波受信機には10点、高度センサには5点、光学センサには5点、9軸センサには10点、6軸センサには5点というように各構成要素に対して点数が割り当てられる。また、計測性能が高性能から低性能まで3段階に区分されて表される場合、高性能のスコアの範囲は36点以上、中性能のスコアの範囲は16点以上35点未満、低性能のスコアの範囲は15点以下というように規定される。なお、計測性能特定部23bは、UAV1-nの型式または機体IDと計測性能との対応関係を規定するデータベースからUAV1-nの計測性能を特定してもよい。
【0033】
飛行難度特定部23cは、飛行計画取得部23aにより取得された飛行計画に基づいてUAV1-nの飛行難度を特定する。飛行難度は、予め定められた飛行難度判定基準が参照されることにより特定されるとよい。飛行難度判定基準は、例えば、飛行難度毎に該当する飛行要素を規定する。
図5は、飛行難度毎に該当する飛行要素を規定する飛行難度判定基準の一例を示す図である。
図5の例では、飛行難度は、高難度、中難度、及び低難度の3段階に区分されており、飛行難度毎に該当する飛行要素が規定されている。例えば、高難度には、「人口密集地の上空での飛行」、「イベント開催地の上空での飛行」、「過密空域での飛行」、「夜間飛行」、「特定種別の物品(例えば、危険物、または医薬品等の救援物資)を運搬する飛行」、「運搬する物品を上空から投下する飛行」、「総重量10kg以上での飛行」、「編隊飛行」、及び「オペレータの目視外で飛行(目視外飛行)」の飛行要素が対応付けられており、これらの飛行要素のうち、飛行計画に基づいてUAV1-nの飛行が1つ以上の飛行要素に該当すると判定された場合、当該UAV1-nの飛行難度は高難度として特定される。
【0034】
ここで、人口密集地(DID(Densely Inhabited District)ともいう)であるか否か、及びイベント開催地であるか否かは、飛行計画に含まれる飛行空域下の人口情報から(つまり、空域管理データベース221が参照されて)判定される。また、過密空域である否かは、飛行計画に含まれる飛行空域の割当情報から(つまり、空域管理データベース221が参照されて)判定される。また、夜間(例えば、17:00〜6:00の時間帯)飛行であるか否かは、飛行計画に含まれる飛行スケジュールから判定される。また、特定種別の物品を運搬するか否か、運搬する物品を上空から投下するか否か、総重量10kg以上であるか否か、編隊飛行するか否か、及びオペレータの目視外で飛行するか否かは、飛行計画に含まれる付随情報から判定される。
【0035】
一方、中難度には、「人口非密集地の上空での飛行」、「非過密空域での飛行」、「総重量5kg以上10kg未満での飛行」、及び「オペレータの目視外で飛行」の飛行要素が対応付けられており、これらの飛行要素のうち、飛行計画に基づいてUAV1-nの飛行が1つ以上の飛行要素に該当すると判定された場合、当該UAV1-nの飛行難度は中難度として特定される。ここで、人口非密集地であるか否かは、飛行計画に含まれる飛行空域下の人口情報から判定される。人口非密集地とは、人口密集地よりは人口密度が高くないが、過疎地よりは人口密度が高い地域である。また、非過密空域であるか否かは、飛行計画に含まれる飛行空域の割当情報から判定される。「オペレータの目視外で飛行」は、高難度にも対応付けられているので、このような場合、他の飛行要素とのAND条件で飛行難度が特定される。一方、低難度には、「過疎地の上空での飛行」、「山林の上空での飛行」、及び「オペレータの目視内で飛行(目視内飛行)」の飛行要素が対応付けられており、これらの飛行要素のうち、飛行計画に基づいてUAV1-nの飛行が1つ以上の飛行要素に該当すると判定された場合、当該UAV1-nの飛行難度は低難度として特定される。ここで、過疎地の上空であるか否かは、及びイベント開催地であるか否かは、飛行計画に含まれる飛行空域の位置情報と地図データから判定される。
【0036】
割当条件判定部23dは、飛行計画取得部23aにより取得された飛行計画に係るUAV1-nの計測性能(つまり、計測性能特定部23bにより特定された計測性能)と当該UAV1-nの飛行難度(つまり、飛行難度特定部23cにより特定された飛行難度)との組合せ(換言すると、計測性能と飛行難度との関係)が予め定められた割当条件を満たすか否かを判定する。例えば、計測性能と飛行難度とがそれぞれ3段階に区分される場合、計測性能と飛行難度との組合せは9パターンになる。割当条件は、これらの組合せのうち飛行空域の割り当て対象とする組合せを規定する。
【0037】
図6は、飛行空域の割り当て対象とする組合せの一例を示す図である。
図6の例では、飛行空域の割り当て可能とする組合せは、高性能かつ高難度、高性能かつ中難度、高性能かつ低難度、中性能かつ中難度、中性能かつ低難度、及び低性能かつ低難度になっており、これらの組合せが割当条件を満たす組合せとなる。このように、割当条件を満たす組合せに係るUAV1-nに対して飛行空域の割り当てが可能となる。換言すると、
図6の例では、高難度の飛行空域を中性能(または低性能)のUAV1-nが飛行することは拒絶されることになる。これにより、UAV1-nによる飛行の安全性を向上することができる。なお、
図6において、全ての組合せを割り当て可能とするように構成してもよい。この場合、割当条件判定部23dによる判定は不要である。
【0038】
重複判定部23eは、飛行計画取得部23aにより複数のUAV1-nのそれぞれの飛行計画が取得された場合、それぞれの飛行計画の少なくとも一部が重複しているか否かを判定(重複判定)する。ここで、飛行計画の少なくとも一部が重複しているとは、飛行予定時間帯(例えば、9:00〜9:30の時間帯)の少なくとも一部が重複し、且つ当該重複している飛行予定時間帯において飛行経路または飛行空域の少なくとも一部が重複していることを意味する。飛行経路の少なくとも一部が重複しているか否かは、飛行経路を中心軸とする所定幅の飛行空域内(境界を含む)の位置情報(緯度及び経度、または、緯度、経度及び高度)が比較されることで判定されるとよい。この所定幅は、飛行にあたり安全距離を確保するためのものである。一方、飛行空域の少なくとも一部が重複しているか否かは、当該飛行空域内(境界を含む)の位置情報が比較されることで判定されるとよい。なお、例えばUAV1-1の飛行計画が取得された後にUAV1-2の飛行計画が取得されるケースでは、重複判定部23eは、UAV1-2の飛行計画が取得された後に、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定することになる。
【0039】
図7は、飛行計画申請に含まれる飛行経路を中心軸とする所定幅の飛行空域が比較される様子を示す図である。
図7において、高性能のUAV1-1(第1の飛行体の一例)の飛行経路R1を中心軸とする所定幅W1は、中性能のUAV1-2(第2の飛行体の一例)の飛行経路R2を中心軸とする所定幅W2より狭くなっている。これは、高性能のUAV1-1の方が中性能のUAV1-2よりも飛行経路からのずれが少ないからである。
図7(A)の例では、同じ飛行予定時間帯においてUAV1-1の飛行空域AE1とUAV1-2の飛行空域AE2とは重複していないので、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画とは重複していないと判定される。一方、
図7(B)の例では、同じ飛行予定時間帯(例えば9:00〜9:30)においてUAV1-1の飛行空域AE1とUAV1-2の飛行空域AE2とは一部が重複しているので、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画とは重複(一部重複)していると判定される。
図8は、飛行計画申請に含まれる飛行空域が比較される様子を示す図である。
図8(A)の例では、同じ飛行予定時間帯においてUAV1-1の飛行空域AE15-AE18とUAV1-2の飛行空域AE23-AE26とは重複していないので、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画とは重複していないと判定される。一方、
図8(B)の例では、同じ飛行予定時間帯(例えば9:00〜9:30)においてUAV1-1の飛行空域AE15-AE18とUAV1-2の飛行空域AE23,AE24,AE21,AE17,AE14のうち、UAV1-1の飛行空域AE17とUAV1-2の飛行空域AE17とが重複しているので、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画とは重複(一部重複)していると判定される。
【0040】
飛行計画候補決定部23fは、重複判定部23eにより飛行計画の少なくとも一部が重複していると判定された複数のUAV1-nのそれぞれの計測性能を比較し、その比較結果に基づいて、複数のUAV1-nのそれぞれの飛行計画のうちから飛行空域の割り当てに用いるための候補(以下、「割当候補」と称する)となる飛行計画を決定する。これにより、飛行空域の割り当てのために申請された複数の飛行計画の中から、飛行空域やUAV1-nの計測性能をより有効に活用可能にする飛行計画を決定することができる。
図7(B)及び
図8(B)の例では、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画とが重複しているので、UAV1-1の計測性能(高性能)とUAV1-2の計測性能(中性能)とが比較され、計測性能が高い方のUAV1-1の飛行計画が、飛行空域の割当候補となる飛行計画として優先的に決定される。換言すると、計測性能が低い方のUAV1-2の飛行計画は拒絶される。なお、割当候補となる飛行計画としたのは、飛行計画候補決定部23fにより決定された飛行計画が最終的に飛行空域の割り当てに用いられないケースが想定されるからである。例えば、飛行計画候補決定部23fにより決定された飛行計画が決定された後に、当該決定された飛行計画と重複する別の飛行計画がさらに取得された場合、改めてUAV1-n間の計測性能の比較が行われるが、その結果、当該決定された飛行計画が拒絶されることがある。また、UAV1-1の計測性能とUAV1-2の計測性能とが同一である場合、先に申請されたUAV1-1の飛行計画が、飛行空域の割当候補となる飛行計画として優先的に決定されるとよい。
【0041】
なお、飛行計画候補決定部23fによる比較対象は、割当条件判定部23dにより割当条件を満たすと判定された組合せに係るUAV1-nの計測性能とするとよい。例えば、UAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画とが取得された場合、UAV1-1の計測性能及び飛行難度の組合せと、UAV1-2の計測性能及び飛行難度との組合せとのそれぞれが割当条件を満たす場合に限り、UAV1-1とUAV1-2の計測性能の比較が行われ、その比較結果に基づいて、飛行空域の割当候補となる飛行計画が決定される。これにより、飛行空域やUAV1-nの計測性能をより有効に活用可能にするとともに飛行の安全性を向上する飛行計画を決定することが可能となる。また、UAV1-1の計測性能及び飛行難度の組合せと、UAV1-2の計測性能及び飛行難度との組合せとの何れか一方のみが割当条件を満たす場合、UAV1-1とUAV1-2の計測性能の比較は行われず、割当条件を満たす方のUAV1-nの飛行計画が、飛行空域の割当候補となる飛行計画として決定される。また、UAV1-1の計測性能及び飛行難度の組合せと、UAV1-2の計測性能及び飛行難度との組合せとの双方ともに割当条件を満たさない場合、UAV1-1とUAV1-2の計測性能の比較は行われず、UAV1-1の飛行計画及びUAV1-2の飛行計画はともに拒絶される。
【0042】
また、飛行計画候補決定部23fは、UAV1-1とUAV1-2の計測性能の比較結果に加えて、さらにUAV1-1の飛行難度とUAV1-2の飛行難度とに基づいて、飛行空域の割当候補となる飛行計画を決定してもよい。これにより、飛行空域やUAV1-nの計測性能をより有効に活用可能にする飛行計画を柔軟に決定することができる。
図9〜
図11は、UAV1-1の飛行計画が取得された後にUAV1-2の飛行計画が取得された場合において、飛行空域の割当候補となる飛行計画が決定される際に参照される判定マトリクス(例1〜例3)を示す図である。
図9〜
図11に示す判定マトリクスの各フィールドには、先に申請されたUAV1-1の飛行計画と後に申請されたUAV1-2の飛行計画とのどちらが割当候補として優先されるか(または、どちらも割当候補には該当しないか)を計測性能と飛行難度との組合せ毎に示している。
【0043】
図9に示す判定マトリクスによれば、(a)UAV1-1の計測性能とUAV1-2の計測性能とが同一の場合は先に申請されたUAV1-1の飛行計画が優先されて割当候補となり、(b)UAV1-1の計測性能とUAV1-2の計測性能とが異なる場合は計測性能が高い方のUAV1-n(a or b)が優先されて割当候補となる。ただし、(c)
図6に示す割当条件を満たさない組合せに係るUAV1-1の飛行計画が拒絶されることを前提としている。
図9に示す判定マトリクスのフィールドにおいて、「先優先a」は、上記(a)に従って、先に申請されたUAV1-1の飛行計画が割当候補として優先されることを示し、「先優先b」は、上記(b)に従って、計測性能が高い方のUAV1-1の飛行計画が割当候補として優先されることを示す。また、「後優先b」は、上記(b)に従って、計測性能が高い方のUAV1-2の飛行計画が割当候補として優先されることを示す。また、「先のみc」は、上記(c)に従って、割当条件を満たさない組合せに係るUAV1-2の飛行計画が拒絶されるため、割当条件を満たす組合せに係るUAV1-1の飛行計画のみが割当候補となることを示し、「後のみc」は、上記(c)に従って、割当条件を満たさない組合せに係るUAV1-1の飛行計画が拒絶されるため、割当条件を満たす組合せに係るUAV1-2の飛行計画のみが割当候補となることを示す。また、「該当無c」は、上記(c)に従って、割当条件を満たさない組合せに係るUAV1-1及びUAV1-2の双方の飛行計画が拒絶されることを示す。
【0044】
一方、
図10に示す判定マトリクスによれば、(a)〜(c)に加えて、(d)先に申請された飛行計画に係るUAV1-1の飛行難度が低難度の場合は計測性能の比較は行われずに当該UAV1-1の飛行計画が優先されて割当候補となる。すなわち、
図10に示す判定マトリクスのフィールドにおいて、「先優先d」は、上記(d)に従って、先に申請されたUAV1-1の飛行計画が割当候補として優先されることを示す。これにより、UAV1-nによる飛行の公平性を確保することができる。また、
図11に示す判定マトリクスによれば、(a)〜(c)に加えて、(e)UAV1-1の計測性能とUAV1-2の計測性能とが同一の場合は双方の飛行難度が比較されて飛行難度が高い方のUAV1-nが優先されて割当候補となる。すなわち、
図11に示す判定マトリクスのフィールドにおいて、「後優先e」は、上記(e)に従って、飛行難度が高い方のUAV1-2の飛行計画が割当候補として優先されることを示す。これによれば、例えば、先に高性能のUAV1-nが飛行難度の低いミッションを申請していて、後から高性能のUAV1-nが飛行難度の高いミッション(例えば、人命救助のための医薬品等の救援物資の輸送)を申請した場合、後から申請された飛行難度の高いミッションが促進されることになるので、個人的な目的よりも公益性を担保することができ、その飛行空域やUAV1-nの計測性能をより有効に活用可能にすることができる。また、その飛行空域周辺の産業を活性化も期待できる。
【0045】
飛行空域割当部23gは、飛行計画候補決定部23fにより決定された飛行計画に基づいて飛行空域(つまり、申請された飛行経路を含む飛行空域、または申請された飛行空域)を割り当てる。これにより、飛行計画候補決定部23fにより決定された飛行計画に基づいて、より柔軟に飛行空域をUAV1-nに割り当てることができる。
図7(B)の例では、UAV1-1の飛行計画に基づき、UAV1-1に対して飛行空域AE1が割り当てられる。また、
図8(B)の例では、UAV1-1に対して飛行空域AE11-14が割り当てられる。こうしてUAV1-1に対して割り当てられた飛行空域の位置情報、及び当該飛行空域の割当情報(割り当てられたUAV1-1の機体ID及び計測性能を含む)が当該飛行空域の空域IDに対応付けられて空域管理データベース221に格納される。
【0046】
ところで、飛行計画候補決定部23fにより決定された、UAV1-1の飛行計画に基づいて、飛行空域割当部23gにより飛行空域が割り当てられた後に、当該飛行空域と少なくとも一部が重複する飛行空域を含む、UAV1-2の飛行計画が取得される(換言すると、UAV1-2の飛行計画が取得されるより前に、UAV1-1の飛行計画に基づいて飛行空域が割り当てられる)場合がある。かかる場合、飛行計画候補決定部23fは、UAV1-1の計測性能とUAV1-2の計測性能との比較結果に基づいて飛行空域の割当候補となる飛行計画を決定することになる。このとき、既に飛行空域が割り当てられたUAV1-1ではなくUAV1-2の飛行計画が飛行空域の割当候補となる飛行計画として決定された場合、割当取消部23hは、UAV1-1を飛行させる飛行空域の割り当てを取り消す。これにより、UAV1-1に対して飛行空域が割り当てられている場合であっても当該飛行空域の割り当てを取り消すことができるので、当該飛行空域と少なくとも一部が重複する飛行空域を含むUAV1-2の飛行計画を、当該飛行空域の割り当てに用いるための候補として柔軟に変更決定することができる。
【0047】
[
2.飛行システムSの動作]
次に、
図12を参照して、飛行システムSの動作について説明する。
図12は、管理サーバMSにより実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図12に示す処理は、例えばUAV1-2を管理するGCSにより送信された飛行計画申請が通信部21を通じて受信されたときに開始される。
図12に示す処理が開始されると、制御部23は、受信された飛行計画申請から例えばUAV1-2の飛行計画をUAV1-2の機体IDとともに取得する(ステップS1)。なお、ステップS1で取得された飛行計画及び機体IDは、例えばRAM上のバッファ領域に格納される。
【0048】
次いで、制御部23は、例えば飛行計画申請に含まれる計測性能特定情報に基づいて、ステップS1で取得された飛行計画(つまり、申請された飛行計画)に係るUAV1-2の計測性能を計測性能特定部23bにより特定する(ステップS2)。次いで、制御部23は、ステップS1で取得された飛行計画に基づいて、UAV1-2の飛行難度を飛行難度特定部23cにより特定する(ステップS3)。
【0049】
次いで、制御部23は、ステップS2で特定された計測性能と、ステップS3で特定された飛行難度との組合せが予め定められた割当条件を満たすか否かを割当条件判定部23dにより判定する(ステップS4)。制御部23は、UAV1-2の計測性能と飛行難度との組合せが上記割当条件を満たないと判定した場合(ステップS4:NO)、UAV1-2の飛行計画を拒絶するメッセージをUAV1-2を管理するGCSへ送信し(ステップS5)、
図12に示す処理を終了する。これにより、UAV1-2を管理するGCS側は、UAV1-2の飛行計画を見直すか、またはUAV1-2の計測性能を改善(例えば、機体変更)した上で、再度、飛行計画申請を行うことができる。
【0050】
一方、制御部23は、UAV1-2の計測性能と飛行難度との組合せが上記割当条件を満たすと判定した場合(ステップS4:YES)、ステップS6へ進む。ステップS6では、制御部23は、ステップS1で取得された飛行計画と少なくとも一部が重複している他の飛行計画が既に割当候補として決定されているか否かを判定する。かかる重複の判定は上述したように重複判定部23eより行われる。制御部23は、重複している他の飛行計画が割当候補として決定されていないと判定した場合(ステップS6:NO)、ステップS1で取得された飛行計画を飛行空域の割当候補となる飛行計画として決定し(ステップS7)、ステップS11へ進む。こうして決定された飛行計画には、割当候補になったことを示す情報が対応付けられてバッファ領域に格納される。
【0051】
一方、制御部23は、他の飛行計画(ここでは、UAV1-1の飛行計画とする)が既に割当候補として決定されている(さらに、当該他の飛行計画に基づいて飛行空域がUAV1-1に対して割り当てられている場合もある)と判定した場合(ステップS6:YES)、当該他の飛行計画の実行までの残り時間が所定時間(例えば、10分)以上であるか否かを判定する(ステップS8)。これにより、UAV1-1の飛行計画の実行までの余裕を考慮して柔軟に飛行計画を決定することができる。制御部23は、他の飛行計画の実行までの残り時間が所定時間以上でないと判定した場合(ステップS8:NO)、UAV1-2の飛行計画を拒絶するメッセージをUAV1-2を管理するGCSへ送信し(ステップS9)、
図12に示す処理を終了する。
【0052】
一方、制御部23は、他の飛行計画の実行までの残り時間が所定時間以上であると判定した場合(ステップS8:YES)、ステップS10へ進む。ステップS10では、制御部23は、上記他の飛行計画に係るUAV1-1の計測性能と、ステップS1で取得された飛行計画に係るUAV1-2の計測性能とを比較し、その比較結果に基づいて、飛行空域の割当候補となる飛行計画を飛行計画候補決定部23fにより決定し、ステップS11へ進む。こうして決定された飛行計画には、割当候補になったことを示す情報が対応付けられてバッファ領域に格納される。
【0053】
なお、ステップS10で決定された飛行計画が既に飛行空域が割り当てられた他の飛行計画(例えば、UAV1-1の飛行計画)でない場合、UAV1-1を飛行させる飛行空域の割り当てが割当取消部23hより取り消され、空域管理データベース221に格納された当該飛行空域の割当情報が更新される。
【0054】
ステップS11では、飛行空域の割当契機になったか否かを判定する。例えばタイマーにより設定された時間がカウントアップした場合、飛行空域の割当契機になったと判定される(ステップS11:YES)。この場合、制御部23は、ステップS7またはステップS10で決定された飛行計画に基づいて飛行空域を割り当て(ステップS12)、当該割り当てられた飛行空域の位置情報、及び当該飛行空域の割当情報を空域管理データベース221に格納して、
図12に示す処理を終了する。一方、制御部23は、飛行空域の割当契機になっていないと判定した場合(ステップS11:NO)、
図12に示す処理を終了する。飛行空域の割当契機になったか否かの判定は、
図12に示す処理が終了した後も行われる。
【0055】
なお、
図12に示す処理において、制御部23は、受信された飛行計画申請から例えばUAV1-2の飛行計画を取得してバッファ領域に格納した後、割当候補の決定契機になったか否かを判定し、割当候補の決定契機になったと判定した場合に、ステップS2へ進むように構成してもよい。この場合、割当候補の決定契機になったと判定されるまでの間に複数の飛行計画が取得されたとすると、制御部23は、それぞれの飛行計画についてステップS2〜S5の処理を行い、ステップS6において、それぞれの飛行計画の少なくとも一部が重複しているか否かを判定することになる。また、
図12に示すステップS10において、制御部23は、例えば
図9〜
図11に示す判定マトリクスに従って、計測性能の比較結果及び飛行難度に基づいて、飛行空域の割当候補となる飛行計画を決定してもよい。この場合、ステップS3の処理後、ステップS4及びS5の処理は行われずに、ステップS6へ進むように構成すればよい。
【0056】
以上説明したように、上記実施形態によれば、複数のUAV1-nのそれぞれの飛行計画を取得し、複数のUAV1-nのそれぞれの飛行計画のうちUAV1-1の飛行計画とUAV1-2の飛行計画との少なくとも一部が重複しているか否かを判定し、少なくとも一部が重複していると判定された場合、UAV1-1の計測性能とUAV1-2の計測性能との比較結果に基づいて飛行空域の割当候補となる飛行計画を決定するように構成したので、飛行空域の割り当てのために申請された複数の飛行計画の中から、飛行空域やUAV1-nの計測性能をより有効に活用可能にする飛行計画を決定することができる。また、上記実施形態によれば、例えば高性能のUAV1-1と低性能のUAV1-2とが共存する環境において、高性能のUAV1-nが低性能のUAV1-nに合わせて安全距離を必要以上に取らなくてもよいので、飛行空域の割り当てが非効率になることを防ぐことができ、UAV1-1の計測性能を十分に活かすことができる。
【0057】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。上記実施形態においては、2つのUAV1-nの飛行計画の重複判定、及び計測性能の比較結果に基づいて割当候補となる飛行計画を決定する例を示したが、3つ以上のUAV1-nの飛行計画の重複判定、及び計測性能の比較結果に基づいて割当候補となる飛行計画を決定してもよい。また、本発明は、UAV内に操縦者(パイロット)が存在しなくても飛行することができる有人航空機に対しても適用可能である。