特許第6955319号(P6955319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6955319インクジェットプリンターおよびインクジェット印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6955319
(24)【登録日】2021年10月5日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンターおよびインクジェット印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20211018BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   B41J2/01 129
   B41J2/01 125
   B41J2/01 501
   B41M5/00 100
   B41M5/00 120
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-63448(P2015-63448)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-182703(P2016-182703A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年12月19日
【審判番号】不服2019-15433(P2019-15433/J1)
【審判請求日】2019年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 博徳
【合議体】
【審判長】 藤本 義仁
【審判官】 清水 康司
【審判官】 畑井 順一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−117921(JP,A)
【文献】 特開2012−245676(JP,A)
【文献】 特開2005−298757(JP,A)
【文献】 特開2007−313718(JP,A)
【文献】 特開2012−166470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状の粒子である色材と、
重合によって硬化するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、
紫外線が照射されることによってモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方の重合を開始させる光重合開始剤と、
加熱されることによって揮発する揮発性有機溶剤とを少なくとも含有するソルベントUVインクを媒体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクのドット中の前記揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させる加熱手段と、
前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクの前記ドットに紫外線を照射することによって前記ソルベントUVインクを硬化させるUV照射手段とを備え、
前記加熱手段は、前記UV照射手段によって紫外線が照射されている最中の前記ドット中の前記揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させることで前記ドットの表面の平坦化であるレベリングを起こすことによって、前記色材を前記ドット内で前記表面の平坦面と略平行に整列させ、
前記UV照射手段は、前記揮発性有機溶剤の揮発によって生じる前記レベリングを許容するような強度の紫外線を、前記加熱手段によって加熱されている最中の前記ソルベントUVインクの前記ドットに照射することを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記色材は、鱗片状のアルミニウムの粒子であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記媒体に対して前記インクジェットヘッドを主走査方向に相対的に移動させて前記インクジェットヘッドによって前記媒体に前記主走査方向に印刷を実行する制御部を備え、
前記UV照射手段は、前記インクジェットヘッドによる前記主走査方向への1回の印刷の間に、この1回の印刷において前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクに紫外線を照射することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記インクジェットヘッドを搭載しているキャリッジを備え、
前記制御部は、前記媒体に対して前記キャリッジを前記主走査方向に相対的に移動させることによって、前記媒体に対して前記インクジェットヘッドを前記主走査方向に相対的に移動させ、
前記UV照射手段は、前記媒体に対する前記キャリッジの移動方向において前記インクジェットヘッドの上流側で前記キャリッジに搭載されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリンター。
【請求項5】
前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクへの前記加熱手段による加熱は、このソルベントUVインクが前記媒体に着弾させられた時点から開始されることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載のインクジェットプリンター。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクの加熱を前記媒体の加熱によって実行することを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンター。
【請求項7】
加熱と、紫外線の照射とを同時に実行可能なメタルハライドランプを備え、
前記メタルハライドランプは、前記加熱手段と、前記UV照射手段との両方を構成していることを特徴とする請求項1から請求項6までの何れかに記載のインクジェットプリンター。
【請求項8】
鱗片状の粒子である色材と、
重合によって硬化するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、
紫外線が照射されることによってモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方の重合を開始させる光重合開始剤と、
加熱されることによって揮発する揮発性有機溶剤とを少なくとも含有するソルベントUVインクをインクジェットプリンターのインクジェットヘッドによって媒体に向けて吐出するインク吐出工程と、
前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクのドット中の前記揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させる加熱工程と、
前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクの前記ドットに紫外線を照射することによって前記ソルベントUVインクを硬化させるUV照射工程とを備え、
前記加熱工程は、前記UV照射工程によって紫外線が照射されている最中の前記ドット中の前記揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させることで前記ドットの表面の平坦化であるレベリングを起こすことによって、前記色材を前記ドット内で前記表面の平坦面と略平行に整列させる工程であり、
前記UV照射工程は、前記揮発性有機溶剤の揮発によって生じる前記レベリングを許容するような強度の紫外線を、前記加熱工程によって加熱されている最中の前記ソルベントUVインクの前記ドットに照射する工程であることを特徴とするインクジェット印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルベントUVインクによって媒体に印刷を実行するインクジェットプリンターおよびインクジェット印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソルベントUVインクによって媒体に印刷を実行するインクジェットプリンターとして、色材と、重合によって硬化するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、紫外線が照射されることによってモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方の重合を開始させる光重合開始剤と、加熱されることによって揮発する揮発性有機溶剤とを少なくとも含有するソルベントUVインクを媒体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させるプリントヒーターと、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインクに紫外線を照射することによってソルベントUVインクを硬化させるUV照射手段とを備えるものが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
従来のインクジェットプリンターは、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤をプリントヒーターによる加熱によって揮発させた後、このソルベントUVインクにUV照射手段によって紫外線を照射することによって、このソルベントUVインクを硬化させる。すなわち、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤を揮発させた後、このソルベントUVインクを硬化させるまでに時間が空く。そのため、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインクは、硬化させられるまで、時間経過に応じて表面の平坦化、すなわち、レベリングが進む。したがって、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインクは、硬化後に輝度が向上させられる。
【0004】
従来のインクジェットプリンターは、ソルベントUVインクを使用することによって、上述したように、高輝度の印刷、すなわち、グロス印刷を実行することができる。
【0005】
ここで、ソルベントUVインクは、通常のUVインクとは異なり、揮発性有機溶剤によって希釈されている。したがって、ソルベントUVインクは、通常のUVインクと比較して、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられた後で、揮発性有機溶剤に起因する滲みが発生し易い。
【0006】
そこで、媒体上でのソルベントUVインクの滲みを抑えるために、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤を揮発させるプリントヒーターの加熱温度を高くすることによって、ソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤の揮発を早期に完了させることが考えられる。
【0007】
しかしながら、媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤を揮発させるプリントヒーターの加熱温度を高くすると、媒体にコックリングが発生するなど、媒体を傷める可能性がある。
【0008】
そのため、従来、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられるソルベントUVインクの量を抑えることによって、媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤の総量を抑え、それによって、媒体上でのソルベントUVインクの滲みを抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−172224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
昨今、ソルベントUVインクが普及してきたことに伴い、例えば、着弾させられたソルベントUVインクを内部に吸収し易い媒体など、様々な媒体にソルベントUVインクによる印刷を実行したいという要求が生じてきている。
【0011】
また、例えば、ブラックをより黒く印刷したいなど、ソルベントUVインクによって高濃度の印刷を実行したいという要求も生じてきている。
【0012】
これらの昨今の要求には、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられるソルベントUVインクの量を増加させることによって対応することが考えられる。しかしながら、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられるソルベントUVインクの量を増加させれば、上述したように、媒体上でのソルベントUVインクの滲みの問題が発生する。そのため、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられるソルベントUVインクの量を単純に増加させる訳にはいかず、上述した昨今の要求に対応することができないという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、グロス印刷を実行可能なソルベントUVインクを媒体に従来より大量に着弾させたとしても、ソルベントUVインクが媒体上で滲むことを適切に抑えることができるインクジェットプリンターおよびインクジェット印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のインクジェットプリンターは、色材と、重合によって硬化するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、紫外線が照射されることによってモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方の重合を開始させる光重合開始剤と、加熱されることによって揮発する揮発性有機溶剤とを少なくとも含有するソルベントUVインクを媒体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインク中の前記揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させる加熱手段と、前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクに紫外線を照射することによって前記ソルベントUVインクを硬化させるUV照射手段とを備え、前記UV照射手段は、前記加熱手段によって加熱されている最中の前記ソルベントUVインクに紫外線を照射することを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインクに対して、加熱による揮発性有機溶剤の揮発と、紫外線の照射による硬化とを同時に実行するので、グロス印刷を実行可能なソルベントUVインクを媒体に従来より大量に着弾させたとしても、ソルベントUVインクが媒体上で滲むことを適切に抑えることができる。なお、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤が加熱によって完全に揮発させられる前に、このソルベントUVインクに紫外線を照射すると、未だ揮発させられていない揮発性有機溶剤が硬化後のソルベントUVインクの内部に閉じ込められて揮発することができなくなるということを当業者であれば危惧することが考えられる。しかしながら、本発明の発明者は、鋭意研究した結果、ソルベントUVインクに含有されたモノマー(オリゴマー)を硬化させることによって得られるポリマーには多数の空孔が存在するので、硬化後のソルベントUVインクの内部に閉じ込められた揮発性有機溶剤が上述の空孔を通じてソルベントUVインクの外部に排出されるという知見を得た。すなわち、本発明の発明者は、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインクに対して、加熱による揮発性有機溶剤の揮発と、紫外線の照射による硬化とを同時に実行したとしても、揮発性有機溶剤が適切に揮発させられるという知見を得た。
【0016】
また、本発明のインクジェットプリンターは、前記媒体に対して前記インクジェットヘッドを主走査方向に相対的に移動させて前記インクジェットヘッドによって前記媒体に前記主走査方向に印刷を実行する制御部を備え、前記UV照射手段は、前記インクジェットヘッドによる前記主走査方向への1回の印刷の間に、この1回の印刷において前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクに紫外線を照射しても良い。
【0017】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤が加熱によって完全に揮発させられる前に、このソルベントUVインクに紫外線を照射することができる。
【0018】
また、本発明のインクジェットプリンターは、前記インクジェットヘッドを搭載しているキャリッジを備え、前記制御部は、前記媒体に対して前記キャリッジを前記主走査方向に相対的に移動させることによって、前記媒体に対して前記インクジェットヘッドを前記主走査方向に相対的に移動させ、前記UV照射手段は、前記媒体に対する前記キャリッジの移動方向において前記インクジェットヘッドの上流側で前記キャリッジに搭載されていても良い。
【0019】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線を照射することができる。
【0020】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクへの前記加熱手段による加熱は、このソルベントUVインクが前記媒体に着弾させられた時点から開始されても良い。
【0021】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインクに対して、加熱による揮発性有機溶剤の揮発と、紫外線の照射による硬化とを早期に終了することができるので、印刷速度を向上することができる。
【0022】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記加熱手段は、前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクの加熱を前記媒体の加熱によって実行しても良い。
【0023】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、ソルベントUVインクが媒体に着弾させられる前から媒体を加熱することによって、ソルベントUVインクが媒体に着弾させられた時点から十分な温度でソルベントUVインクを加熱することができるので、印刷速度を更に向上することができる。
【0024】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、加熱と、紫外線の照射とを同時に実行可能なメタルハライドランプを備え、前記メタルハライドランプは、前記加熱手段と、前記UV照射手段との両方を構成していても良い。
【0025】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、加熱と、紫外線の照射との両方をメタルハライドランプによって実現するので、構成を簡略化することができる。
【0026】
本発明のインクジェット印刷方法は、色材と、重合によって硬化するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、紫外線が照射されることによってモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方の重合を開始させる光重合開始剤と、加熱されることによって揮発する揮発性有機溶剤とを少なくとも含有するソルベントUVインクをインクジェットプリンターによって媒体に向けて吐出するインク吐出工程と、前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインク中の前記揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させる加熱工程と、前記インクジェットヘッドによって吐出されて前記媒体に着弾させられた前記ソルベントUVインクに紫外線を照射することによって前記ソルベントUVインクを硬化させるUV照射工程とを備え、前記UV照射工程は、前記加熱工程によって加熱されている最中の前記ソルベントUVインクに紫外線を照射することを特徴とする。
【0027】
この構成により、本発明のインクジェット印刷方法は、インクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられたソルベントUVインクに対して、加熱による揮発性有機溶剤の揮発と、紫外線の照射による硬化とを同時に実行するので、グロス印刷を実行可能なソルベントUVインクを媒体に従来より大量に着弾させたとしても、ソルベントUVインクが媒体上で滲むことを適切に抑えることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のインクジェットプリンターおよびインクジェット印刷方法は、グロス印刷を実行可能なソルベントUVインクを媒体に従来より大量に着弾させたとしても、ソルベントUVインクが媒体上で滲むことを適切に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンターの斜視図である。
図2図1に示すインクジェットプリンターの一部の正面図である。
図3図1に示すインクジェットプリンターの一部の側面図である。
図4図1に示すインクジェットプリンターのブロック図である。
図5】(a)図1に示すインクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられた直後のソルベントUVインクによって媒体上に形成されるドットの一例を示す図である。 (b)プリントヒーターの加熱によって揮発性有機溶剤が揮発させられた場合の図5(a)に示すドットの一例を示す図である。
図6】(a)図1に示すインクジェットヘッドによって吐出されて媒体に着弾させられた直後のソルベントUVインクによって媒体上に形成されるドットの一例を示す図であって、図5(a)に示す例とは異なる例を示す図である。 (b)プリントヒーターの加熱によって揮発性有機溶剤が揮発させられた場合の図6(a)に示すドットの一例を示す図である。
図7】(a)本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンターの一部の平面図であって、図1に示す例とは異なる例を示す図である。 (b)図7(a)に示すインクジェットプリンターの一部の側面図である。
図8】(a)本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンターの一部の平面図であって、図1および図7に示す例とは異なる例を示す図である。 (b)図8(a)に示すインクジェットプリンターの一部の側面図である。
図9】(a)本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンターの一部の平面図であって、図1図7および図8に示す例とは異なる例を示す図である。 (b)図9(a)に示すインクジェットプリンターの一部の平面図であって、図9(a)に示す状態とは異なる状態を示す図である。
図10】本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンターの一部の側面図であって、図1図7図8および図9に示す例とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0031】
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態に係るインクジェットプリンター10の斜視図である。
【0033】
図1に示すように、インクジェットプリンター10は、矢印10aで示す主走査方向と直交する矢印10bで示す副走査方向に用紙などの媒体90を搬送する媒体搬送装置11と、主走査方向に延在しているガイドレール12と、主走査方向に移動可能にガイドレール12に支持されているキャリッジ13と、キャリッジ13に搭載されていてソルベントUV(ultraviolet)インクを媒体90に向けて吐出するインクジェットヘッド14と、キャリッジ13に搭載されている紫外線照射装置15と、インクジェットヘッド14に供給されるソルベントUVインクを貯留する図示していないインクタンクとを備えている。
【0034】
紫外線照射装置15は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクに紫外線を照射することによってソルベントUVインクを硬化させる装置であり、UV照射手段を構成している。紫外線照射装置15は、インクジェットヘッド14に対して矢印10aで示す主走査方向における両側に配置されている。なお、紫外線照射装置15は、インクジェットヘッド14に対して主走査方向における片側のみに配置されていても良い。紫外線照射装置15は、例えばUV−LED(Light Emitting Diode)ユニットによって構成されている。
【0035】
インクジェットヘッド14によって吐出されるソルベントUVインクは、色材と、重合によって硬化するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、紫外線が照射されることによってモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方の重合を開始させる光重合開始剤と、加熱されることによって揮発する揮発性有機溶剤とを少なくとも含有するインクである。色材としては、例えば、白やプロセスカラーなどの顔料や、アルミニウムの粒子などが採用されることができる。例えば、ソルベントUVインクは、色材と、モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、光重合開始剤とからなり粘度が20mPa・sec以上(室温25℃)のUV硬化型インクに、揮発性有機溶剤が添加されて構成された、3mPa・sec以上18mPa・sec以下(室温25℃)の粘度を有するインクである。
【0036】
図2は、インクジェットプリンター10の一部の正面図である。図3は、インクジェットプリンター10の一部の側面図である。
【0037】
図2および図3に示すように、インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤を加熱によって揮発させる加熱手段としてプリントヒーター16を、インクジェットヘッド14に対して、インクジェットヘッド14によるソルベントUVインクの吐出方向に備えている。プリントヒーター16は、例えばラバーヒーターによって構成されている。
【0038】
図4は、インクジェットプリンター10のブロック図である。
【0039】
図4に示すように、インクジェットプリンター10は、上述の媒体搬送装置11、インクジェットヘッド14およびプリントヒーター16と、矢印10a(図1参照。)で示す主走査方向にキャリッジ13(図1参照。)を移動させるキャリッジ駆動装置17と、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部18と、各種のデータを記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである記憶部19と、インクジェットプリンター10全体を制御する制御部20とを備えている。
【0040】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部19に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0041】
次に、インクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0042】
制御部20は、図示していないPC(Personal Computer)などのコンピューターから印刷データが送信されてくると、送信されてきた印刷データに基づいた画像を媒体90に印刷する。具体的には、制御部20は、まず、プリントヒーター16によって媒体90を十分に加熱しておく。次いで、制御部20は、媒体90に対してキャリッジ13を矢印10aで示す主走査方向にキャリッジ駆動装置17によって移動させながら、インクジェットヘッド14によって媒体90にインクを吐出させる。また、制御部20は、インクジェットヘッド14によって媒体90にインクを吐出させる場合、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクに紫外線照射装置15によって紫外線を照射させることによってソルベントUVインクを硬化させる。すなわち、紫外線照射装置15は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられてプリントヒーター16によって加熱されている最中のソルベントUVインクに紫外線を照射することによって、ソルベントUVインクを硬化させる。制御部20は、矢印10aで示す主走査方向における媒体90に対するキャリッジ13の1回の移動の間におけるインクジェットヘッド14および紫外線照射装置15による印刷が終了する度に、キャリッジ13に対して媒体90を矢印10bで示す副走査方向に媒体搬送装置11によって移動させる。
【0043】
制御部20が以上のように動作する場合のソルベントUVインクによって媒体90上に形成されるドットについて説明する。
【0044】
図5(a)は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクによって媒体90上に形成されるドット31の一例を示す図である。図5(b)は、プリントヒーター16の加熱によって揮発性有機溶剤が揮発させられた場合のドット31の一例を示す図である。
【0045】
図5(a)に示すように、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクによって媒体90上に形成されるドット31は、半球状である。ここで、媒体90は、プリントヒーター16によって十分に加熱されている。したがって、図5(a)に示すドット31は、媒体90上に形成された時点からプリントヒーター16の加熱によって揮発性有機溶剤が揮発させられていき、図5(b)に示すように表面の平坦化、すなわち、レベリングが起こる。また、ドット31は、揮発性有機溶剤が揮発させられることによって粘度が向上するので、滲み難くなる。そして、ドット31は、紫外線照射装置15によって紫外線が照射させられることによって、図5(b)に示す状態で硬化させられて、完全に滲まなくなる。
【0046】
以上に説明したように、インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクに対して、加熱による揮発性有機溶剤の揮発と、紫外線の照射による硬化とを同時に実行するので、グロス印刷を実行可能なソルベントUVインクを媒体90に従来より大量に着弾させたとしても、ソルベントUVインクが媒体90上で滲むことを適切に抑えることができる。
【0047】
ソルベントUVインクを媒体90に大量に着弾させると、媒体90に着弾させられたソルベントUVインクの膜厚が厚くなるので、媒体90のうちソルベントUVインクによって覆われた部分に対するソルベントUVインクによる隠蔽性を向上することができる。
【0048】
なお、ソルベントUVインクの色材が鱗片状のアルミニウムの粒子である場合には、図6(a)に示すように、鱗片状のアルミニウムの粒子32は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクによって媒体90上に形成されるドット31の内部で、それぞれ様々な方向に向いている。しかしながら、揮発性有機溶剤が揮発させられていくことによって図6(b)に示すようにドット31の表面の平坦化、すなわち、レベリングが起こると、粒子32は、表面の平坦化が起こったドット31の内部で、ドット31の表面の平坦面と略平行に整列する。したがって、インクジェットプリンター10は、ソルベントUVインクの色材が鱗片状のアルミニウムの粒子32である場合には、媒体90に印刷されたソルベントUVインクにおける輝度および隠蔽性の両方を、ドット31の表面の平坦面と略平行に整列した粒子32によって向上することができる。この効果は、アルミニウムの粒子32の粒径が小さくても得ることができる。例えば、インクジェットプリンター10は、アルミニウムの粒子32の粒径が0.5μm以下であっても、十分な金属光沢を有する輝度と、十分な隠蔽性とを実現することが可能である。
【0049】
紫外線照射装置15は、媒体90に対するキャリッジ13の主走査方向での移動方向においてインクジェットヘッド14の上流側でキャリッジ13に搭載されている。この構成により、インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに、媒体90に対するキャリッジ13の主走査方向での移動方向においてインクジェットヘッド14の上流側の紫外線照射装置15によって紫外線を照射することができる。
【0050】
なお、インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置15による紫外線の照射方向を調整することによって、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに、媒体90に対するキャリッジ13の主走査方向での移動方向においてインクジェットヘッド14の下流側の紫外線照射装置15によっても紫外線を照射することができる。
【0051】
同様に、インクジェットプリンター10は、媒体90に対するキャリッジ13の副走査方向での移動方向において紫外線照射装置15が例えば図7に示すようにインクジェットヘッド14の上流側でキャリッジ13に配置されている場合など、紫外線照射装置15が副走査方向においてインクジェットヘッド14からずれてキャリッジ13に配置されている場合であっても、紫外線照射装置15による紫外線の照射方向を調整することによって、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線照射装置15によって紫外線を照射することができる。図7(b)において、破線は、紫外線照射装置15による紫外線の照射範囲を示している。ただし、図7(b)においては、紫外線の照射方向に対する理解を容易にするために、紫外線照射装置15による紫外線の照射範囲を図面に向かってキャリッジ13より手前側に描いているが、実際には、紫外線照射装置15は、キャリッジ13に開けられた穴を通して媒体90に紫外線を照射する。
【0052】
更に、インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置15がキャリッジ13に搭載されていなくても、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線照射装置15によって紫外線を照射することができる。
【0053】
例えば、図8に示すように、インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置15がキャリッジ13に搭載されておらずインクジェットヘッド14による主走査方向への1回の印刷の範囲全体に一度に紫外線を照射する装置である場合に、インクジェットヘッド14による主走査方向への1回の印刷の間に紫外線照射装置15によって紫外線を照射し続けることによって、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線照射装置15によって紫外線を照射することができる。図8(b)において、破線は、紫外線照射装置15による紫外線の照射範囲を示している。
【0054】
また、インクジェットプリンター10は、図9に示すように、紫外線照射装置15がキャリッジ13に搭載されておらず紫外線の照射方向を変更可能である装置である場合にも、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに向けて紫外線照射装置15による紫外線の照射方向が自動的に変更されることによって、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線照射装置15によって紫外線を照射することができる。図9において、破線は、紫外線照射装置15による紫外線の照射範囲を示している。ただし、図9においては、紫外線の照射方向に対する理解を容易にするために、紫外線照射装置15による紫外線の照射範囲を図面に向かって紫外線照射装置15、ガイドレール12、キャリッジ13およびインクジェットヘッド14より手前側に描いているが、実際には、紫外線照射装置15は、紫外線照射装置15、ガイドレール12、キャリッジ13およびインクジェットヘッド14と、媒体90との間の空間に紫外線を照射する。
【0055】
紫外線照射装置15は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線を照射することが好ましいが、インクジェットヘッド14による主走査方向への1回の印刷の間に、この1回の印刷においてインクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクに紫外線を照射すれば良い。この構成により、インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインク中の揮発性有機溶剤が加熱によって完全に揮発させられる前に、このソルベントUVインクに紫外線を照射することができる。
【0056】
例えば、インクジェットプリンター10は、図8に示すように、紫外線照射装置15がキャリッジ13に搭載されておらずインクジェットヘッド14による主走査方向への1回の印刷の範囲全体に一度に紫外線を照射する装置である場合に、インクジェットヘッド14による主走査方向への1回の印刷の間の特定のタイミングで紫外線照射装置15によって紫外線を特定の回数照射することによって、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクを硬化させることができる。
【0057】
なお、インクジェットヘッド14によって吐出されたソルベントUVインクは、媒体90に着弾させられる前の飛翔中に紫外線照射装置15によって紫外線が照射されても問題は無い。
【0058】
インクジェットプリンター10において、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクへのプリントヒーター16による加熱は、このソルベントUVインクが媒体90に着弾させられた時点から開始される。したがって、インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクに対して、加熱による揮発性有機溶剤の揮発と、紫外線の照射による硬化とを早期に終了することができるので、印刷速度を向上することができる。
【0059】
インクジェットプリンター10において、プリントヒーター16は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクの加熱を媒体90の加熱によって実行する。したがって、インクジェットプリンター10は、ソルベントUVインクが媒体90に着弾させられる前から媒体90を加熱することによって、ソルベントUVインクが媒体90に着弾させられた時点から十分な温度でソルベントUVインクを加熱することができるので、印刷速度を更に向上することができる。
【0060】
なお、インクジェットプリンター10において、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクへの加熱手段による加熱は、このソルベントUVインクが媒体90に着弾させられた時点より後から開始されても良い。
【0061】
インクジェットプリンター10は、媒体90に対してインクジェットヘッド14側とは反対側から、媒体90上のソルベントUVインクをプリントヒーター16によって加熱している。しかしながら、インクジェットプリンター10は、媒体90に対してインクジェットヘッド14側から媒体90上のソルベントUVインクを加熱する加熱手段を、プリントヒーター16に代えて備えていても良いし、プリントヒーター16に追加して備えていても良い。例えば、インクジェットプリンター10は、図10に示すように、媒体90に対してインクジェットヘッド14(図2参照。)側から媒体90上のソルベントUVインクを加熱する赤外線ランプ21を備えていても良い。
【0062】
図10に示す赤外線ランプ21は、事前に媒体90を加熱することによって媒体90に着弾させられたソルベントUVインクを加熱することもできるし、媒体90に着弾させられたソルベントUVインク自体を媒体90を介さずに直接加熱することもできる。
【0063】
なお、紫外線照射装置15は、加熱と、紫外線の照射とを同時に実行可能なメタルハライドランプであっても良い。紫外線照射装置15がメタルハライドランプである場合、紫外線照射装置15は、加熱手段と、UV照射手段との両方を構成している。インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置15がメタルハライドランプである場合、加熱と、紫外線の照射との両方をメタルハライドランプとしての紫外線照射装置15によって実現するので、構成を簡略化することができる。
【0064】
インクジェットプリンター10は、ソルベントUVインクを媒体90に向けて吐出するインクジェットヘッド14と、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられたソルベントUVインクに紫外線を照射することによってソルベントUVインクを硬化させる紫外線照射装置15とを同一のキャリッジ13に設置しているので、インクジェットヘッド14に対して媒体90の搬送方向における下流側に矢印10aで示す方向に延在する紫外線照射装置をキャリッジ13とは別に備える構成と比較して、紫外線照射装置を小型化することができる。
【0065】
インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14と、紫外線照射装置15とを同一のキャリッジ13に設置しているので、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線照射装置15によって効率良く紫外線を照射することができるので、紫外線照射装置による紫外線の照射のためのエネルギーの消費量を抑えることができる。
【0066】
インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14によって吐出されて媒体90に着弾させられた直後のソルベントUVインクに紫外線照射装置15によって紫外線を照射してソルベントUVインクを硬化させることができるので、媒体90上のソルベントUVインクが滲むことを防止することができる。したがって、インクジェットプリンター10は、媒体90上にソルベントUVインクのドットを硬化させながら重ねていくことが可能になり、少なく重ねて表現する淡い濃度から、多く重ねて表現する濃い濃度まで、幅広い表現範囲で印刷することができる。
【0067】
インクジェットプリンター10は、媒体90上のソルベントUVインクが滲むことを防止することができるので、液体状態のソルベントUVインクが滲まないようにソルベントUVインクが設計される必要性が少なくなり、ソルベントUVインクの設計の自由度を向上することができる。
【0068】
インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、インクジェットヘッド14を1つのみ備えている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14を複数備えていても良い。インクジェットプリンター10は、インクジェットヘッド14を複数備えている場合、インクジェットヘッド14から吐出されるソルベントUVインクの色材が複数のインクジェットヘッド14のそれぞれで異なっていても良い。
【0069】
インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、矢印10bで示す副走査方向に媒体90を移動させることによってインクジェットヘッド14に対して媒体90を副走査方向に相対的に移動させている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、副走査方向にインクジェットヘッド14を移動させることによって媒体90に対してインクジェットヘッド14を副走査方向に相対的に移動させても良い。
【符号の説明】
【0070】
10 インクジェットプリンター
14 インクジェットヘッド
15 紫外線照射装置(UV照射手段)
16 プリントヒーター(加熱手段)
21 赤外線ランプ(加熱手段)
90 媒体
図1
図2
図3
図4
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図8
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図10