特許第6955422号(P6955422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6955422
(24)【登録日】2021年10月5日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】マッサージユニット及びマッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20211018BHJP
【FI】
   A61H7/00 320A
   A61H7/00 323L
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-208235(P2017-208235)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2019-76664(P2019-76664A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽我 卓之
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−049177(JP,A)
【文献】 特開2006−149855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
施療子及び前記施療子を駆動する駆動部を有する施療子駆動ユニットと、
左右方向に略垂直な面に沿うスライド軸方向に伸縮可能なスライド機構と、
を備え、
左右方向に沿って延びる第1回転軸回りに回動可能に前記施療子駆動ユニットの下部が前記ベース部材に取り付けられ、
前記スライド機構の一端が前記ベース部材の下部に取り付けられ、
前記スライド機構の他端が前記施療子駆動ユニットに取り付けられ、
前記スライド機構の一端及び他端の取り付けに関して、
左右方向に沿って延びる第2回転軸回りに回動可能に前記スライド機構の一端が前記ベース部材の下部に取り付けられる構造、及び、
左右方向に沿って延びる第3回転軸回りに回動可能に前記スライド機構の他端が前記施療子駆動ユニットに取り付けられる構造の少なくとも一方が採用され
前記マッサージユニットを昇降させる駆動源である昇降用モータ及び前記昇降用モータに連動連結され左右方向に沿って延びる昇降軸が前記ベース部材の上部に配置され、
前記施療子駆動ユニット及び前記スライド機構が前記ベース部材に対して左右方向に移動可能であり、
前記施療子駆動ユニット及び前記スライド機構を前記ベース部材に対して左右方向に移動させる駆動源である左右方向移動用モータが前記ベース部材の下部に配置される、
マッサージユニット。
【請求項2】
記第1回転軸は前記昇降軸よりも被施療者の身体側に設けられる、請求項1に記載のマッサージユニット。
【請求項3】
前記スライド機構は、前記スライド機構の駆動源であるスライド用モータを含む、請求項1又は請求項2に記載のマッサージユニット。
【請求項4】
前記スライド機構は、前記スライド機構の伸縮量を直接検出するセンサを含む、請求項3に記載のマッサージユニット。
【請求項5】
前記スライド機構は、収縮に抗する抵抗力を生じさせるダンパを含む、請求項1又は請求項2に記載のマッサージユニット。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のマッサージユニットと、
被施療者の身体を支持する身体支持部と、
前記身体支持部の前記身体に接する面に沿って延びるガイドレールと、
を備え、
前記マッサージユニットは、前記ガイドレールによって案内されて前記身体支持部内で昇降する、マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子を有するマッサージユニット及び当該マッサージユニットを搭載するマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、揉み玉の突出量を大幅に変更することができるマッサージ機が開示されている。
【0003】
特許文献1の図1図6に開示されている第1実施例のマッサージ機では、前後方向に沿って延びる進退軸の回動に伴って、揉み玉駆動ユニットケーシングに取り付けた従動ネジ体が進退軸に沿って移動する。従動ネジ体により、揉み玉駆動ユニットケーシングが前後方向に進退移動し、揉み玉が前後方向に進退移動する。
【0004】
また、特許文献1の図7図12に開示されている第2実施例のマッサージ機では、左右幅方向に沿って延びる進退軸に左右一対のピニオンギアが取り付けており、揉み玉駆動ユニットケーシングの上部に左右一対の円弧状のラックが取り付けられている。進退軸の回動に伴って、ピニオンギアが回動しながら、ラックに沿って滑動する。ピニオンギアのラックに沿った滑動により、揉み玉駆動ユニットケーシングが昇降軸を中心に前後方向に向けて揺動し、揉み玉が前後方向に進退移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−159549号公報(段落0034及び0066)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の図1図6に開示されている第1実施例のマッサージ機において、揉み玉の突出量を大幅に変更することができるようにすると、揉み玉駆動ユニットケーシングの後退時に、揉み玉駆動ユニットケーシングから前方に突出する進退軸の突出部分の長さが長くなる。したがって、揉み玉を適切に配置しなければ、たたき作動によって揉み玉が後ろに移動したときに進退軸の前端が揉み玉よりも前方に位置してしまうおそれがある。
【0007】
また、特許文献1の図7図12に開示されている第2実施例のマッサージ機では、揉み玉駆動ユニットケーシングの上部に円弧状のラックが取り付けられ、円弧状のラックより上方にピニオンギアが配置されている。すなわち、特許文献1の図7図12に開示されている第2実施例のマッサージ機は、ある程度のスペースが揉み玉駆動ユニットケーシングの上方に必要な構造であり、例えば揉み玉の上方向到達可能をできるだけ上方にしたい場合には不向きな構造であった。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑み、前後方向に沿って延び従動ネジ体が蝶設される進退軸と、取り付け位置が施療子駆動ユニットの上部となる円弧状のラックとのいずれもが不要である構成であって、施療子の突出量を大幅に変更することができるマッサージユニット及び当該マッサージユニットを搭載するマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中に開示されているマッサージユニットは、ベース部材と、施療子及び前記施療子を駆動する駆動部を有する施療子駆動ユニットと、左右方向に略垂直な面に沿うスライド軸方向に伸縮可能なスライド機構と、を備え、 左右方向に沿って延びる第1回転軸回りに回動可能に前記施療子駆動ユニットの下部が前記ベース部材に取り付けられ、前記スライド機構の一端が前記ベース部材の下部に取り付けられ、前記スライド機構の他端が前記施療子駆動ユニットに取り付けられ、前記スライド機構の一端及び他端の取り付けに関して、左右方向に沿って延びる第2回転軸回りに回動可能に前記スライド機構の一端が前記ベース部材の下部に取り付けられる構造、及び、左右方向に沿って延びる第3回転軸回りに回動可能に前記スライド機構の他端が前記施療子駆動ユニットに取り付けられる構造の少なくとも一方が採用される構成(第1の構成)である。
【0010】
上記第1の構成のマッサージユニットにおいて、前記マッサージユニットを昇降させる駆動源である昇降用モータに連動連結され左右方向に沿って延びる昇降軸を備え、前記第1回転軸は前記昇降軸よりも被施療者の身体側に設けられる構成(第2の構成)にしてもよい。
【0011】
上記第1又は第2の構成のマッサージユニットにおいて、前記スライド機構は、前記スライド機構の駆動源であるスライド用モータを含む構成(第3の構成)にしてもよい。
【0012】
上記第3の構成のマッサージユニットにおいて、前記スライド機構は、前記スライド機構の伸縮量を直接検出するセンサを含む構成(第4の構成)にしてもよい。
【0013】
上記第1又は第2の構成のマッサージユニットにおいて、前記スライド機構は、収縮に抗する抵抗力を生じさせるダンパを含む構成(第5の構成)にしてもよい。
【0014】
上記第1〜第5いずれかの構成のマッサージユニットにおいて、 前記マッサージユニットを昇降させる駆動源である昇降用モータ及び前記昇降用モータに連動連結され左右方向に沿って延びる昇降軸が前記ベース部材の上部に配置され、前記施療子駆動ユニット及び前記スライド機構が前記ベース部材に対して左右方向に移動可能であり、前記施療子駆動ユニット及び前記スライド機構を前記ベース部材に対して左右方向に移動させる駆動源である左右方向移動用モータが前記ベース部材の下部に配置される構成(第6の構成)にしてもよい。
【0015】
本明細書中に開示されているマッサージ機は、上記第1〜第5いずれかの構成のマッサージユニットと、被施療者の身体を支持する身体支持部と、前記身体支持部の前記身体に接する面に沿って延びるガイドレールと、を備え、前記マッサージユニットは、前記ガイドレールによって案内されて前記身体支持部内で昇降する構成(第6の構成)である。
【発明の効果】
【0016】
本明細書中に開示されているマッサージユニット及び当該マッサージユニットを搭載するマッサージ機によれば、前後方向に沿って延び従動ネジ体が蝶設される進退軸と、円弧状のラックとのいずれもが不要であるにもかかわらず、施療子の突出量を大幅に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施例に係るマッサージ機の斜視図
図2A】一実施例に係るマッサージユニットの前方斜視図
図2B】一実施例に係るマッサージユニットの後方斜視図
図3】一実施例に係るマッサージユニットの上面図
図4】一実施例に係るマッサージユニットの背面図
図5】一実施例に係るマッサージユニットの左側面図
図6】スライド機構が伸長した状態における一実施例に係るマッサージユニットの斜視図
図7】変形例に係るマッサージユニットの後方斜視部分図
図8A】変形例に係るマッサージユニットの背面図
図8B】変形例に係るマッサージユニットの背面図
図8C】変形例に係るマッサージユニットの背面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
<1.マッサージ機の構成>
図1は一実施例に係るマッサージ機100の斜視図である。以下の説明において、マッサージ機100に着座した被施療者から見て前側(正面側)を「前側」といい、マッサージ機100に着座した被施療者から見て後側(背面側)を「後側」という。また、マッサージ機100に着座した被施療者から見て上側(頭側)を「上側」といい、マッサージ機100に着座した被施療者から見て下側(脚側)を「下側」という。また、マッサージ機100に着座した被施療者から見て右側を「右側」といい、マッサージ機100に着座した被施療者から見て左側を「左側」という。
【0020】
マッサージ機100は、座部200、背凭れ部300、基台部400、腕施療部500、操作部600、コード線700、スタンド800、及び脚載部900を備える。
【0021】
座部200は、被施療者の臀部及び上脚を支持する。
【0022】
背凭れ部300は、被施療者の肩、腰、及び背中を支持する。背凭れ部300は、左右方向に沿って延びるリクライニング回転軸回りに回動可能に、座部200の後端に取り付けられている。背凭れ部300は、被施療者の肩及び腰に接する面300Aに沿って延びるガイドレール300B及び300Cを内蔵している。後述するマッサージユニット1は、ガイドレール300B及び300Cによって案内されて背凭れ部300内で昇降する。なお、ガイドレール300B及び300Cを座部200の後部にまで延長し、後述するマッサージユニット1が座部200及び背凭れ部300内で昇降するようにしてもよい。
【0023】
基台部400は、座部200の左右両側且つ座部200の下方に立設して設けられる。座部200の左側に設けられる基台部400の内部には制御部400Aが内蔵される。
【0024】
腕施療部500は、座部200の左右両側且つ座部200の上方に立設して設けられる。腕施療部500は、膨縮可能な膨縮袋を内蔵しており、当該膨縮袋によって被施療者の腕を支持しながら施療する。
【0025】
操作部600は、被施療者が施療パターンの選択や施療の強弱調節などを行うための入力装置である。操作部600はコード線700を介して制御部400Aに接続される。制御部400Aは、操作部600から出力される信号に基づいてマッサージ機100の各部を制御する。
【0026】
スタンド800は、座部200の左側に設けられる腕施療部500に固定されている。操作部600はスタンド800に対して装脱着可能である。
【0027】
脚載部900は、被施療者の下脚を支持する。
【0028】
<2.マッサージユニットの構成>
図2Aはマッサージユニット1の前方斜視図である。図2Bはマッサージユニット1の後方斜視図である。図3はマッサージユニット1の上面図である。図4はマッサージユニット1の背面図である。図5はマッサージユニット1の左側面図である。図6はスライド機構11が伸長した状態におけるマッサージユニット1の斜視図である。
【0029】
マッサージユニット1はベース部材2を備える。ベース部材2は、平板部材2Aと、コの字状部材2Bと、を備える。
【0030】
平板部材2Aは、左右方向に延びる第1延部2A1と、第1延部の左端から上方に向かって延びる第2延部2A2と、第2延部の右端から上方に向かって延びる第3延部2A3と、を備える。
【0031】
コの字状部材2Bは、基部2B1と、基部2B1の左端から後方に延びる左壁部2B2と、基部2B1の右端から後方に延びる右壁部2B3と、を備える。基部2B1の前面が第1延部2A1の後面中央に固定される。
【0032】
マッサージユニット1は、施療子駆動ユニット3と、シャフト4と、ガイドローラ5及び6と、をさらに備える。左右方向に沿って延びるシャフト4の中心軸である第1回転軸回りに回動可能に施療子駆動ユニット3の下部がベース部材2に取り付けられる。シャフト4は一対の軸受部B1及びB2によって回転可能に支持されている。シャフト4の左端にはガイドローラ5が設けられ、シャフト4の右端にはガイドローラ6が設けられる。ガイドローラ5はマッサージユニット1の昇降時にガイドレール300B上を滑動し、ガイドローラ6はマッサージユニット1の昇降時にガイドレール300C上を滑動する。施療子駆動ユニット3の詳細については後述する。
【0033】
マッサージユニット1は、昇降軸7と、昇降用モータ8と、ピニオンギア9及び10と、をさらに備える。左右方向に沿って延びる昇降軸7に昇降用モータ8が連動連結される。回転伝達部R1によって昇降軸7に昇降用モータ8が連動連結される。回転伝達部R1は、軸受部及び回転軸方向を変更するためのギア機構を含む。昇降軸7は、軸受部B3及び回転伝達部R1内の軸受部によって回転可能に支持されている。昇降用モータ8は、マッサージユニット1を昇降させる駆動源であって、第2延部2A2の後面上部に固定される。昇降軸7の左端にはピニオンギア9が設けられ、昇降軸7の右端にはピニオンギア10が設けられる。ピニオンギア9はガイドレール300Bに設けられるラックに噛合し、ピニオンギア10はガイドレール300Cに設けられるラックに噛合する。したがって、昇降用モータ8の駆動によって昇降軸7が回転することで、マッサージユニット1がガイドレール300B及び300Cに沿って昇降する。昇降軸7はシャフト4より後方且つ上方に位置する。
【0034】
マッサージユニット1は、スライド機構11をさらに備える。スライド機構11は、スライド機構11の駆動源であるスライド用モータ11Aを含む。スライド機構11は、スライド用モータ11Aの駆動によってスライド軸方向に伸縮する。
【0035】
スライド機構11のスライド軸方向(長手方向)は、左右方向に略垂直な面に沿う。図5及び図6に示すように、スライド機構11のスライド軸方向(長手方向)は、スライド機構11の伸縮量に応じて変化する。
【0036】
スライド機構11の一端は、左右方向に沿って延びる第2回転軸回りに回動可能にベース部材2の下部、より詳細にはベース部材2の左壁部2B2及び右壁部2B3に取り付けられる。
【0037】
スライド機構11の他端は、左右方向に沿って延びる第3回転軸回りに回動可能に施療子駆動ユニット3に取り付けられる。第3回転軸は第2回転軸より後方且つ上方に位置する。
【0038】
スライド機構11が伸長することにより、施療子31及び32の突出量(左右方向に垂直な面においてガイドローラ5及び6の回転中心とピニオンギア9及び10の回転中心とを結ぶ直線と、施療子31及び32の当該直線から最も離れた部位との距離L)が図6に示すように大きくなる。すなわち、スライド機構11の伸縮によって施療子31及び32の突出量を大幅に変更することができる。
【0039】
また、マッサージユニット1は、前後方向に沿って延び従動ネジ体が蝶設される進退軸が不要である。したがって、マッサージユニット1では、揉み玉(施療子31及び32)を適切に配置しなければ、たたき作動によって揉み玉が後ろに移動したときに進退軸の前端が揉み玉(施療子31及び32)よりも前方に位置してしまうおそれがない。
【0040】
また、マッサージユニット1は、取り付け位置が施療子駆動ユニットの上部となる円弧状のラックが不要である。したがって、マッサージユニット1は、施療子駆動ユニット3の上方に円弧状のラック及び当該円弧状のラックに噛合するピニオンギアを配置するためのスペースを確保しなくて済む。すなわち、マッサージユニット1は、例えば施療子31及び32の上方向到達可能をできるだけ上方にしたい場合に好適である。
【0041】
スライド機構11は、スライド機構11の伸縮量を直接検知するセンサ(不図示)をさらに含む。スライド機構11の伸縮量を直接検知するセンサとしては、例えばスライド機構11のロッド部材11Bの外周部分に長手方向において所定の間隔毎に配置される複数の接触センサを用いることができる。接触を検知した接触センサと接触を検知しなかった接触センサとの境界によってスライド機構11の伸縮量が直接検知される。スライド用モータ11Aの回転量によってスライド機構11の伸縮量を間接的に検知することも可能であるが、間接的な検知では検出誤差が大きくなるので、直接検知の方が好ましい。
【0042】
制御部400Aは、スライド機構11の伸縮量が設定通りになるように、スライド機構11の伸縮量を直接検知するセンサ(不図示)の検出結果に基づいてスライド用モータ11Aを制御する。これにより、制御部400Aは、施療子31及び32の突出量を精度良く制御することができる。
【0043】
最後に、施療子駆動ユニット3の詳細について説明する。施療子駆動ユニット3は、左右一対の施療子31及び32と、施療子31及び32を前後方向に揺動させることによって施療子31及び32をたたき作動させるたたき機構と、施療子31及び32を偏心回動させることによって施療子31及び32を揉み作動させる揉み機構と、を備える。
【0044】
たたき機構は、たたき用モータ33と、伝動ベルト34と、プーリ35と、たたき用シャフト36と、を含む。たたき用シャフト36は、左右方向に延びる軸部36Aと、軸部36Aの中心軸に対して中心軸がずれた位置関係で軸部36Aに取り付けられる偏心部36B及び36Cと、偏心部36Bの外周部分から軸部36Aの径方向に突出する突出部36Dと、偏心部36Cの外周部分から軸部36Aの径方向に突出する突出部36Eと、を含む。たたき用モータ33が駆動すると、伝動ベルト34及びプーリ35によってたたき用シャフト36に駆動力が印加され、たたき用シャフト36が回転する。たたき用シャフト36の回転に伴って、突出部36DがアームAM1を上下に揺動させ、突出部36EがアームAM2を上下に揺動させる。軸部36Aと偏心部36B及び36Cとは一体部品であってもよく、軸部36Aと偏心部36B及び36Cとがそれぞれ別部品であってもよい。
【0045】
アームAM1は施療子31を支持し、アームAM2は施療子32を支持する。施療子31はアームAM1の前端に取り付けられており、施療子32はアームAM2の前端に取り付けられている。
【0046】
揉み機構は、揉み用モータ37と、支持軸38と、偏心回動体39と、を含む。支持軸38は、アームAM1の後部に設けられた貫通穴及びアームAM2の後部に設けられた貫通穴を通って左右方向に延びている。偏心回動体39は支持軸38の左右方向中央で支持軸38に固定されている。揉み用モータ37が駆動すると、支持軸38が回転し、支持軸38に固定されている偏心回動体39も回転する。偏心回動体39がアームAM1及びAM2を上下、左右、前後にそれぞれ揺動させる。
【0047】
<3.その他>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0048】
例えば上記実施形態においては、いわゆる椅子式マッサージ機を例に挙げて説明したが、本発明に係るマッサージユニットはいわゆるベッド式マッサージ機などにも搭載可能である。
【0049】
また、上記実施形態では、スライド機構11の他端が施療子駆動ユニット3の下方後端に取り付けられているが、施療子駆動ユニット3の各部品とスライド機構11とが干渉しなければ、施療子駆動ユニット3の下方後端以外の位置にスライド機構11の他端を取り付けてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、スライド機構11が取り付けられる部品に対してスライド機構11の両端が回動可能であるが、スライド機構11の一端をベース部材2の下部に対して回動可能としスライド機構11の他端を施療子駆動ユニット3に対して回動できないようにしてもよく、逆にスライド機構11の他端を施療子駆動ユニット3に対して回動可能としスライド機構11の一端をベース部材2の下部に対して回動できないようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、シャフト4の両端にガイドローラ5及び6を設けたが、左右方向に沿って延び回動可能にベース部材2に取り付けられるガイド用シャフトをシャフト4より後方に設け、上記ガイド用シャフトにガイドローラ5及び6を設けてもよい。この変形例によると、シャフト4が昇降軸7及び上記ガイド用シャフトよりも前方に位置するので、シャフト4の中心軸である第1回転軸が昇降軸7及び上記ガイド用シャフトよりも被施療者の身体側に設けられることになる。これにより、施療子31及び32の突出量を上記実施形態よりも大きくすることができる。
【0052】
また、上記実施形態とは異なり、スライド機構11がスライド用モータ11Aを含まない構成とし、スライド機構11が収縮に抗する抵抗力を生じさせるダンパを含む構成としてもよい。この変形例によると、ダンパが被施療者の身体形状に沿って収縮するので、施療子31及び32の突出量を被施療者の身体形状に沿った設定にすることができる。
【0053】
また、上記実施形態において、例えばスライド用モータ11Aのモータトルクを検知し、そのモータトルクに基づいてスライド機構11の伸縮量を決定することによって、施療子31及び32の突出量を被施療者の身体形状に沿った設定にすることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、昇降軸7をベース部材2の上部に設け、シャフト4をベース部材2の下部に設けたが、上記実施形態とは逆に昇降軸7をベース部材2の下部に設け、シャフト4をベース部材2の上部に設けてもよい。なお、昇降軸7をベース部材2の下部に設ける場合、昇降軸7を回転させる昇降用モータ8もベース部材2の下部に設ける。
【0055】
また、上記実施形態では、施療子駆動ユニット3及びスライド機構11がベース部材2に対して左右方向に移動不可能な構造であったが、施療子駆動ユニット3及びスライド機構11がベース部材2に対して左右方向に移動可能な構造にしてもよい。
【0056】
ここで、施療子駆動ユニット3及びスライド機構11がベース部材2に対して左右方向に移動可能な構造のマッサージユニットの一例であるマッサージユニット1’について説明する。
【0057】
図7は、マッサージユニット1’の後方斜視部分図である。図8A図8Cは、マッサージユニット1’の背面図である。図8Aはスライド機構が伸長しておらず施療子駆動ユニット3及びスライド機構11が中央に位置している状態におけるマッサージユニット1’の背面図である。図8Bはスライド機構が伸長しており施療子駆動ユニット3及びスライド機構11が左寄りに位置している状態におけるマッサージユニット1’の背面図である。図8Cはスライド機構が伸長しており施療子駆動ユニット3及びスライド機構11が右寄りに位置している状態におけるマッサージユニット1’の背面図である。
【0058】
以下、マッサージユニット1’がマッサージユニット1と異なっている部分について説明し、マッサージユニット1と同一の部分については説明を省略する。
【0059】
マッサージユニット1’は、コの字状部材2Bの代わりにボールねじ機構のナット部材12を備えている。スライド機構11の一端は、左右方向に沿って延びる第2回転軸回りに回動可能にナット部材12の後端下部に取り付けられる。
【0060】
ボールねじ機構のボール軸13に左右方向移動用モータ14が連動連結される。回転伝達部R2によってボール軸13に左右方向移動用モータ14が連動連結される。回転伝達部R2は、軸受部及び回転軸方向を変更するためのギア機構を含む。ボール軸13は、軸受部B4及び回転伝達部R2内の軸受部によって回転可能に支持されている。
【0061】
シャフト4はナット部材12の内部を貫通している。シャフト4は、施療子駆動ユニット3の下部及びナット部材12が左右方向に移動する際にガイド軸として機能する。シャフト4の両端は一対の支持部S1及びS2によって支持されている。ガイドローラ5は回動可能に第2延部2A2に取り付けられ、ガイドローラ6は回動可能に第3延部2A3に取り付けられる。
【0062】
マッサージユニット1’は、施療子駆動ユニット3がベース部材2に対して左右方向に移動可能なであるため、施療子31及び32の左右方向における位置調整が可能になる。
【符号の説明】
【0063】
1、1’ マッサージユニット
2 ベース部材
3 施療子駆動ユニット
4 シャフト
7 昇降軸
8 昇降用モータ
11 スライド機構
11A スライド用モータ
100 マッサージ機
300 背凭れ部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C