特許第6955880号(P6955880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6955880
(24)【登録日】2021年10月6日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】無線通信システムおよび無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20211018BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20211018BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20211018BHJP
【FI】
   H04W72/04 131
   H04W84/18
   H04W4/38
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-53465(P2017-53465)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-157410(P2018-157410A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100149629
【弁理士】
【氏名又は名称】柘 周作
(74)【代理人】
【識別番号】100200148
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100152788
【弁理士】
【氏名又は名称】手塚 史展
(72)【発明者】
【氏名】東坂 悠司
(72)【発明者】
【氏名】工藤 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】佐方 連
【審査官】 横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−248289(JP,A)
【文献】 特開2009−094896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した複数のフレームを備え前記フレームを時系列に分割された複数のサブフレームを備えたフレーム構造においてデータを送受信する無線通信システムにおいて、
集約装置と、
前記集約装置との間で第1ホップ数を有する第1無線通信装置と前記集約装置との間で前記第1ホップ数と異なる第2ホップ数を有する第2無線通信装置と前記集約装置との間で前記第2ホップ数より1小さい第3ホップ数を有する第3無線通信装置とを含む複数の無線通信装置と、
を備え、
前記フレームに含まれる複数のサブフレームのうちの第1サブフレームにおいて、前記第1無線通信装置は前記第1ホップ数より1小さいホップ数を有する親ノードに第1データを送信し、前記第2無線通信装置は前記第3無線通信装置に第2データを送信し、
前記第1サブフレームが前記フレームに含まれる最初のサブフレームである場合には、前記フレームの直前のフレームに含まれる複数のサブフレームのうちの最後のサブフレームにおいて、前記第1無線通信装置は前記第1ホップ数より1大きいホップ数を有する第1子ノードから前記第1データを構成する第1受信データを受信し、前記第2無線通信装置は前記第2ホップ数より1大きいホップ数を有する第2子ノードから前記第2データを構成する第2受信データを受信し、
前記第1サブフレームが前記フレームに含まれる二番目以降のサブフレームである場合には、前記フレームに含まれる前記第1サブフレームの直前のサブフレームにおいて、前記第1無線通信装置は前記第1子ノードから前記第1受信データを受信し、前記第2無線通信装置は前記第2子ノードから前記第2受信データを受信する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記第2ホップ数は前記第1ホップ数より大きく、前記第1ホップ数と前記第2ホップ数の差は2以上である、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2ホップ数は、前記フレームにおけるサブフームの数より大きく、前記第1ホップ数と前記第2ホップ数の差は、前記フレームにおける前記サブフレームの数又は前記サブフレームの数の整数倍と等しい、請求項1又は2のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記複数の無線通信装置は、前記フレーム内の前記データを送受信しないサブフレームにおいてスリープする、請求項1乃至3のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1サブフレームが前記フレームに含まれる最後のサブフレームである場合には、前記フレームの直後のフレームに含まれる最初のサブフレームにおいて前記第3無線通信装置は前記第2データを含むデータを送信し前記親ノードは前記第1データを含むデータを送信し、
前記第1サブフレームが前記フレームに含まれる最後のサブフレームでない場合には、前記フレームの直後のサブフレームにおいて前記第3無線通信装置は前記第2データを含むデータを送信し前記親ノードは前記第1データを含むデータを送信する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記フレームに含まれる複数のサブフレームが進むにつれて、前記サブフレームそれぞれで前記第2データを含むデータを送信する前記無線通信装置のホップ数が1ずつ減少する、請求項1乃至5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
システム稼働時間経過後あるいは規定の時刻に、前記複数のフレームに含まれる前記複数のサブフレームの数が変更される請求項1乃至6のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記複数のサブフレームは複数のスロットを有し、前記第1無線通信装置が前記第1データを送信する前記スロットと前記第2無線通信装置が前記第2データを送信する前記スロットと異なる、請求項1乃至7のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項9】
連続した複数のフレームを備え前記フレームを時系列に分割された複数のサブフレームを備えたフレーム構造においてデータを送受信する無線通信システムの無線通信方法であって、
集約装置と、
前記集約装置との間で第1ホップ数を有する第1無線通信装置と前記集約装置との間で前記第1ホップ数と異なる第2ホップ数を有する第2無線通信装置と前記集約装置との間で第2ホップ数より1小さい第3ホップ数を有する第3無線通信装置とを含む複数の無線通信装置と、
を備え、
前記フレームに含まれる複数のサブフレームのうちの第1サブフレームにおいて、前記第1無線通信装置は前記第1ホップ数より1小さいホップ数を有する親ノードに第1データを送信し、前記第2無線通信装置は前記第3無線通信装置に第2データを送信し、
前記第1サブフレームが前記フレームに含まれる最初のサブフレームである場合には、前記フレームの直前のフレームに含まれる複数のサブフレームのうちの最後のサブフレームにおいて、前記第1無線通信装置は前記第1ホップ数より1大きいホップ数を有する第1子ノードから前記第1データを構成する第1受信データを受信し、前記第2無線通信装置は前記第2ホップ数より1大きいホップ数を有する第2子ノードから前記第2データを構成する第2受信データを受信し、
前記第1サブフレームが前記フレームに含まれる二番目以降のサブフレームである場合には、前記フレームに含まれる前記第1サブフレームの直前のサブフレームにおいて、前記第1無線通信装置は前記第1子ノードから前記第1受信データを受信し、前記第2無線通信装置は前記第2子ノードから前記第2受信データを受信する、
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の無線ノードをメッシュ状に接続したメッシュネットワークが利用されてい
る。この無線メッシュネットワークの通信方式として、例えば、時分割通信方式が採用さ
れている。時分割通信方式では、各無線ノードをスリープさせるタイミングを容易に制御
できるため、無線メッシュネットワークを省電力化することができる。さらに、送信周期
内で早い時間をホップ数が大きい無線ノードの送信時間に割り当てることで、円滑な中継
伝送を実現している。
【0003】
しかしながら、従来の無線メッシュネットワークは、送信周期内で送信時間を割り当て
ることができるホップ数に上限値があり、ネットワークでカバーできるエリアサイズに限
界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−054349号公報
【特許文献2】特開2009−094896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カバーエリアサイズが大きい無線通信システム、これに含まれる無線通信装置、及び無
線通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る無線通信システムは、集約装置と、複数の無線通信装置であって、前
記集約装置との間で第1ホップ数を有する第1無線通信装置と前記集約装置との間で第1
ホップ数と異なる第2ホップ数を有する第2無線通信装置と前記集約装置との間で第1ホ
ップ数および第2ホップ数と異なる第3ホップ数を有する第3無線通信装置とを含む複数
の無線通信装置と、を備える。第1期間に含まれる複数のサブフレームのうちの第1サブ
フレームにおいて、前記第1無線通信装置は第1データを送信し、前記第2無線通信装置
は第2データを送信し、前記第3無線通信装置は前記第2データを受信し、前記第1送信
期間の次の第2送信期間に含まれる複数のサブフレームのうちの前記第1サブフレームと
対応しない第2サブフレームにおいて、前記第3無線通信装置は、前記第2データを送信
し、前記第3無線通信装置は前記第1送信期間において前記第3データを送信しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図2】無線通信システムを示すネットワークトポロジーの模式図である。
図3】時間フレームの構成を示す図。
図4】集約装置の構成を示す図。
図5】集約装置と無線通信装置のハードウェア構成を示す図。
図6】無線通信装置の構成を示す図。
図7】無線通信装置の別の構成を示す図。
図8】サブフレーム番号と送信する無線ノードのホップ数の関係を示す図。
図9】無線通信装置の初期動作を示すフローチャート。
図10】無線通信装置の通常動作を示すフローチャート。
図11】時間フレームの一例を示す図。
図12図11の時間フレームにおける特定の無線通信装置の動作の一例を示す図。
図13図11の時間フレームにおける特定の無線通信装置の動作の一例を示す図。
図14】別の時間フレームと各ホップ数の無線ノードの各サブフレーム番号における送受信の関係の概略を示す図。
図15】別の時間フレームと特定の無線通信装置の動作の一例を示す図。
図16図15に示した時間フレームと各ホップ数の無線ノードの各サブフレーム番号における送受信の関係の概略を示す図。
図17】別の時間フレームと特定の無線通信装置の動作の一例を示す図。
図18図17に示した時間フレームと各ホップ数の無線ノードの各サブフレーム番号における送受信の関係の概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。図1に示す
ように、この無線通信システムは、複数の無線通信装置1と、集約装置2と、を備える。
無線通信システムは、無線通信装置1を無線ノード、集約装置2を根ノードとした無線メ
ッシュネットワークあるいは無線マルチホップネットワークを構成しており、時分割通信
方式により通信する。
【0010】
この無線通信システムにおいて、所定の範囲内に配置された無線通信装置1及び集約装
置2は、互いに無線通信が可能である。無線通信装置1は、例えば、温度センサや加速度
センサなどの任意のセンサを搭載し、センサにより測定した情報を無線で送信してもよい
。各無線通信装置1が送信した情報(データ)は、他の無線通信装置1を介して、或いは
、直接集約装置2に送信される。集約装置2は、各無線通信装置1から送信された情報を
集約する。このように無線通信装置1から集約装置2へ情報伝達することを上り通信と呼
ぶ。集約装置2は、例えば、無線通信機能を備えたサーバである。図示しないが、集約装
置2は他のサーバと有線あるいは無線で接続され、集約した情報をこのサーバに送信して
もよい。
【0011】
図2は、図1の無線通信システムを示すネットワークトポロジーの模式図である。図2
において、アルファベットは各無線ノード(無線通信装置1)、根は根ノード(集約装置
2)、矢印は上り通信における情報の伝達経路を示す。矢印の元は情報の送信元であり、
矢印の先は情報の送信先を示す。
【0012】
以下の説明において、各無線通信装置を無線ノードx、集約装置を根ノードという。x
は、図中のアルファベットと対応する。情報が無線ノードxにより送信され根ノードに受
信されるまでの間に、その無線ノードxおよび他の無線ノードによって送信された回数を
、無線ノードxのホップ数と呼ぶ。根ノードのホップ数は0である。無線ノードxよりも
根ノードに近い(根ノードまでのホップ数が小さい)側を上流側、根ノードから遠い(根
ノードまでのホップ数が大きい)側を下流側という。さらに、無線ノードxと情報を送受
信する無線ノード又は根ノードのうち、上流側の無線ノード又は根ノードを親ノード、下
流側の無線ノードを子ノードという。例えば、図2において、無線ノードaの親ノードは
根ノードであり、子ノードは無線ノードc,dである。
【0013】
無線ノードxが、子ノード(親ノード)から受信した情報を親ノード(子ノード)に送
信することを中継という。中継の際には、受信した情報に無線ノードxの情報を付加して
送信してもよい。なお、本実施形態は、情報が下流側から上流側に送信される上り通信の
場合を説明するが、本実施形態を下り通信の場合へ適用することも可能である。
【0014】
<時間フレーム構成>
図3は、時分割通信方式を説明する図である。時分割通信方式では、無線通信システム
の1サイクル分の動作時間が予め設定されている。この動作時間をフレーム(frame、期
間)という。無線通信システムは、1サイクル分の動作を繰り返してもよい。
【0015】
各フレームは、N個のサブフレーム(subframe)を含む。Nは1より大きい正の値であ
る。サブフレームは、1つ又は複数の無線ノードの動作時間である。無線ノードは、例え
ば、割り当てられたサブフレームで親ノードに情報を送信する。なお、フレームには、各
無線ノードの動作時間として割り当てられてないサブフレームが含まれてもよい。さらに
、サブフレームよりも小さな時間単位として、例えば時間スロットを定義し、サブフレー
ムが一定数の時間スロットで構成されてもよい。本実施形態は各無線ノードの送信サブフ
レームの割り当て方法に係り、この詳細については後述する。
【0016】
<集約装置の構成>
本実施形態に係る無線通信システムを構成する集約装置の構成について、図4を参照し
て説明する。本実施形態に係る集約装置2は、無線通信システムの無線通信装置1が通信
のタイミングを計る基準となる信号を送信し、無線通信装置1から伝送される情報を集約
する。図4は、集約装置2の構成を示す図である。
【0017】
無線通信装置1は、送受信部21と、送信情報生成部22と、情報集約部23と、制御
情報生成部24と、送信リソース決定部25と、フレーム情報記憶部26とを備える。
【0018】
送受信部21は、無線信号から生成した電気信号に所定の信号処理を施し、受信情報を
取り出すことにより、無線信号を受信する。送受信部21は、無線信号を送受信する送受
信アンテナを含んでもよい。送受信アンテナは、受信した無線信号を電気信号に変換し、
送受信部で生成された電気信号を無線信号に変換して送信する。受信情報には少なくとも
、送信元ノードの、ホップ数、センサ情報、ノードID、中継情報、及び送信先ノードの
ノードIDが含まれてもよい。ノードIDとは、無線通信システムを構成する各無線通信
装置1の識別子である。中継情報とは、送信元ノードが中継した他の無線ノードの情報で
ある。送信先ノードとは、送信元ノードが情報を送信する宛先とする無線ノードあるいは
根ノードである。信号処理には、AD変換や所定の通信プロトコルに従った復号化などの
処理が含まれる。
【0019】
また、送受信部21は、送信情報生成部22が生成した送信情報に所定の信号処理を施
して電気信号に変換し、送信する。送信情報には、自ノードのホップ数、フレーム情報、
時間情報、ノードID、確認応答情報が含まれてもよい。フレーム情報とは、上述のよう
な、無線通信システムにおけるフレーム、サブフレームなどの設定情報である。時間情報
とは、標準時であってもよく、無線通信システム稼働開始からフレームの単位でカウント
アップされるフレーム番号であってもよく、さらにフレーム中のサブフレーム番号や、当
該サブフレームの先頭から送信開始までの経過時間情報を含んでもよく、さらにサブフレ
ームよりも短い時間で規定された単位に関して同様の情報を含んでもよい。信号処理には
、DA変換や所定の通信プロトコルに従った符号化などの処理が含まれる。
【0020】
情報集約部23は、送受信部21が受信した受信情報を記憶する。記憶の際のデータ形
式はいかなる形式であってもよい。
【0021】
制御情報生成部24は、フレーム情報記憶部26に記憶されたフレーム情報に基づいて
、フレーム情報と時間情報を生成する。時間情報を標準時とする場合、手動で設定しても
よく、図示しない別の有線あるいは無線のネットワークを介してNTP(Network Time P
rotocol)やPTP(Precision Time Protocol)により同期した時刻を使用してもよく、
電波時計の受信機を持つ場合にはこれにより同期した時刻を使用してもよい。
【0022】
送信情報生成部22は、制御情報生成部24で生成されたフレーム情報と前記時間情報
に基づいて、送信情報を生成する。送信情報生成部22はさらに、情報集約部23に記憶
された受信情報に基づいて確認応答情報を生成し、送信情報に含めてもよい。確認応答情
報は、例えば、最後のフレーム番号における各無線ノードからの受信結果に応じて、各無
線ノードに1対1で対応するビットを設定した系列である。送信情報生成部22により生
成された送信情報は、送受信部21により送信される。
【0023】
送信リソース決定部25は、制御情報生成部24に生成されたフレーム情報に基づいて
、自ノードが送信情報を送信するサブフレームである送信サブフレームを決定する。この
詳細については後述する。さらに、複数の周波数チャネルを使用する場合には、いかなる
方法で送受信のための周波数チャネルを選択してもよい。
【0024】
フレーム情報は、集約装置に予め登録されてもよいし、別の有線あるいは無線ネットワ
ークにより外部から登録及び更新されてもよい。サブフレーム数Nとは、フレーム中のサ
ブフレームの数である。フレーム長が規定され、サブフレーム数Nが与えられれば、サブ
フレーム長が決定される。また、サブフレーム長が規定され、サブフレーム数Nが与えら
れれば、フレーム長が決定される。さらに、サブフレームよりも小さな時間単位としてス
ロット長が規定されていれば、これを基準にサブフレーム中のスロット数情報等でフレー
ム長やサブフレーム長を決定することができる。
【0025】
さらに、フレーム情報は、予め複数登録されていて、無線通信システムの稼働時間や標
準時に応じて自動的に切り替えられてもよく、無線通信システムの状態に応じて切り替え
られても良い。例えば、無線通信システム稼働開始時に第1の設定を採用し、集約情報の
監視により、無線通信システムに参加している無線通信装置の台数が一定数以上になると
第2の設定を採用してもよい。実用的には、第1の設定におけるサブフレーム数は、第2
の設定におけるサブフレーム数よりも小さくすることで、ネットワークの初期構築を短時
間で実施することができる。センシング情報の収集頻度を高めたい、あるいは、センシン
グ情報の粒度を上げたい場合には、サブフレーム数を小さくすれば通信容量の拡大に対応
することができ、夜間の運用など、省電力性を高めたい場合には、サブフレーム数を大き
くすればよい。フレーム情報が集約装置で変更された場合、無線通信システム全体に周知
するために、集約装置が送信する信号に更新されたフレーム情報と、その適用開始時間情
報を含んでいる必要がある。
【0026】
次に、無線通信装置1のハードウェア構成について、図5を参照して説明する。無線通
信装置1は、コンピュータ装置により構成される。コンピュータ装置は、CPU(中央演
算装置、Central Processing Unit)104と、入力インターフェース102と、グラフ
ィック処理装置103と、通信インターフェース101と、主記憶装置105と、外部記
憶装置106とを備え、これらはバスにより相互に接続されている。
【0027】
CPU104は、主記憶装置上で、無線通信プログラムを実行する。無線通信プログラ
ムとは、無線通信装置の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。CPUが
、無線通信プログラムを実行することにより、無線通信装置の各機能構成は実現される。
【0028】
入力インターフェース102は、キーボードやマウスなどの入力装置の操作信号を、無
線通信装置に入力するための装置である。なお、コンピュータ装置は、入力インターフェ
ースを備えない構成も可能である。
【0029】
グラフィック処理装置103は、LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)
、及びPDP(プラズマディスプレイ)などのディスプレイに、CPUにより生成された
映像信号や画像信号に基づいて、映像や画像を表示させる装置である。なお、コンピュー
タ装置は、グラフィック処理装置を備えない構成も可能である。
【0030】
通信インターフェース101は、無線通信装置が他の無線ノードと無線通信するための
装置である。送受信部の機能構成は、無線通信インターフェースにより実現される。
【0031】
主記憶装置105は、無線通信プログラムの実行の際に、無線通信プログラム、無線通
信プログラムの実行に必要なデータ、及び無線通信プログラムの実行により生成されたデ
ータなどを記憶する。無線通信プログラムは、主記憶装置105上で展開され、実行され
る。主記憶装置105は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られ
ない。主記憶装置105は、無線通信プログラム、中継情報、フレーム情報、ノードID
、ホップ数、親ノード、及び子ノードなどの情報を記憶することができる。また、主記憶
装置105は、コンピュータ装置のOS、BIOS、及び各種のミドルウエアを記憶して
もよい。
【0032】
外部記憶装置106は、無線通信プログラム、無線通信プログラムの実行に必要なデー
タ、及び無線通信プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらのプ
ログラムやデータは、無線通信プログラムの実行の際に、主記憶装置105に読み出され
る。外部記憶装置106は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、
及び磁気テープであるが、これに限られない。外部記憶装置106は、無線通信プログラ
ム、中継情報、フレーム情報、ノードID、ホップ数、親ノード、及び子ノードなどの情
報を記憶することができる。
【0033】
なお、無線通信プログラムは、コンピュータ装置に予めインストールされていてもよい
し、別の有線あるいは無線ネットワークにより集約装置2に送信され、コンピュータ装置
にインストールされてもよい。
【0034】
<無線通信装置の構成>
本実施形態に係る無線通信システムを構成する無線通信装置の構成について、図6を参
照して説明する。本実施形態に係る無線通信装置1は、後述の送信時間割り当てを自動的
に実現する。図6は、無線通信装置の構成を示す図である。
【0035】
以下では、この無線通信装置1を自ノード、自ノードに情報を送信した無線ノードを送
信元ノード、自ノードが情報を送信する無線ノードを送信先ノードという。
【0036】
無線通信装置1は、送受信部11と、宛先判定部12と、中継情報記憶部13と、送信
情報生成部14と、送信先ノード決定部16と、送受信リソース決定部17と、フレーム
情報記憶部18と、スリープ制御部15を備える。
【0037】
送受信部11は、送受信アンテナを備えてもよい。送受信アンテナは、無線信号を送受
信する。送受信アンテナは、受信した無線信号を電気信号に変換し、送信するための電気
信号を無線信号に変換する。送受信アンテナから入力された電気信号に所定の信号処理を
施し、受信した無線信号から受信情報を取り出すことにより、送受信部11は、受信情報
を受信する。受信情報には、送信元ノードの、ホップ数、センサ情報、ノードID、中継
情報、及び送信先ノードのノードIDが含まれてもよい。
【0038】
また、送受信部11は、送信情報生成部が生成した送信情報に所定の信号処理を施して
電気信号に変換し、送受信アンテナに出力する。これにより、送受信部は、送信情報を送
信する。送信情報には、自ノードのホップ数、ノードID、中継情報、及び送信先ノード
のノードIDが含まれてもよい。信号処理には、DA変換や所定の通信プロトコルに従っ
た符号化などの処理が含まれる。
【0039】
宛先判定部12は、送受信部11から受信情報を取得し、受信情報の送信先が自ノード
であるか判定する。宛先判定部12は、受信情報の送信先ノードのノードIDが自ノード
のノードIDである場合、受信情報の宛先が自ノードであると判定する。
【0040】
中継情報記憶部13は、宛先判定部12により自ノードが宛先(送信先)と判定された
受信情報を、中継情報として一時的に記憶する。
【0041】
送信情報生成部14は、中継情報記憶部に記憶された中継情報に基づいて、送信情報を
生成する。送信情報は、中継情報に、自ノードのホップ数、センサ情報、ノードID、及
び送信先ノードのノードIDなどの情報を付加することにより生成される。送信情報生成
部により生成された送信情報は、送受信部により送信される。
【0042】
送信先ノード決定部16は、送受信部11が受信した受信情報に基づいて、送信情報の
送信先ノードを決定する。上り通信の場合、送信先ノードは親ノードとなる。送信先ノー
ド決定部16は、例えば、受信情報のホップ数が自ノードのホップ数より1小さい無線ノ
ードの中で、無線信号の信号強度が最も大きい無線ノードを送信先ノードとして決定する
【0043】
また、送信先ノード決定部16は、決定した送信先ノードに基づいて、自ノードのホッ
プ数を決定する。送信先ノード決定部16は、例えば、上述の方法で送信先ノードを決定
し、送信先ノードのホップ数より1大きいホップ数を自ノードのホップ数として決定する
【0044】
送受信リソース決定部17は、フレーム情報に基づいて、自ノードが送信情報を送信す
る時間を決定する。この詳細については後述する。フレーム情報は、無線通信装置1に予
め登録されてもよいし、無線通信により登録及び更新されてもよい。フレーム情報は、予
め複数登録されていて、無線通信システムの稼働時間や標準時に応じて自動的に切り替え
られてもよく、集約装置から無線通信システム全体に周知されてもよい。周知される場合
には、フレーム情報に加えて、その適用開始時間情報を取得し、当該時間情報に基づき新
たなフレーム情報を適用する。フレーム情報は、フレーム情報記憶部に記憶される。
【0045】
送受信リソース決定部17は、送信時間を決定する前に、同期処理を行ってもよい。同
期処理とは、自ノードでカウントしている時刻を、他の無線ノードとの間で同期させる処
理である。
【0046】
送受信リソース決定部17は、例えば、送受信部が受信した受信情報に含まれる送信元
ノードのホップ数及びノードIDと、フレーム情報と、に基づいて、送信元ノードの送信
時間を取得する。送受信リソース決定部17は、この送信時刻に自ノードの送受信部によ
る信号処理時間を加算した第1の時刻と、自ノードでカウントしている第2の時刻と、を
比較することにより同期処理を行うことができる。同期処理では前記第1の時刻と第2の
時刻の差分に基づく補正値や、時間経過に対する前記差分の標本値を用いて最小二乗法等
により水晶発振子の周波数ドリフトを計算した結果に基づく補正値を、第2の時刻に加え
るかあるいは差し引いてもよく、いかなる方法で補正値を計算してもよい。さらに補正値
には、送信元ノードからの無線信号の伝播に要する時間を加算あるいは減算してもよい。
【0047】
図7には、図6の無線通信装置1がセンサを搭載し、センサ情報を取得する場合の構成
を示す。子の無線通信装置は、さらにセンサ情報生成部19とセンサ情報記憶部20とを
備える。センサ情報生成部19は送受信リソース決定部17で決定される送信スロットを
基準に、センサ情報を取得するタイミングを決定する。センサ情報生成部19は上記タイ
ミングで外部のセンサ装置からセンサ情報を取得する。センサ情報記憶部20は前記セン
サ情報を記憶する。送信情報生成部14は、中継情報記憶部13に記憶された中継情報と
、センサ情報記憶部20に記憶されたセンサ情報に基づいて、送信情報を生成する。送信
情報は、中継情報に、自ノードのホップ数、センサ情報、ノードID、及び送信先ノード
のノードIDなどの情報を付加することにより生成されてもよい。送信情報生成部により
生成された送信情報は、送受信部により送信される。その他の機能ブロックは図6で説明
したものと同様であるため説明を割愛する。
【0048】
スリープ制御部15は、電源を投入されている間、無線通信装置の動作状態に関わらず
機能する。スリープ制御部15は、時間をカウントし、カウントした時間と、送信先ノー
ド決定部により決定された自ノードのホップ数と、フレーム情報記憶部に記憶されたフレ
ーム情報と、に基づいて、無線通信装置の動作状態を、スリープ状態と起床状態との間で
制御する。
【0049】
スリープ状態とは、無線通信装置が演算処理や通信機能を停止させ、時間のカウントの
みを行う状態である。スリープ状態では、情報の送受信が行われないため、無線通信装置
の消費電力が低くなる。以下では、無線ノードが、情報の送受信を可能な状態を起床状態
という。また、無線通信装置が起床状態からスリープ状態に移行することを、「スリープ
する」といい、スリープ状態から起床状態に移行することを「起床する」という。
【0050】
無線通信装置の無線通信装置のハードウェア構成については、図5で示した集約装置と
同様であるため説明を割愛する。なお、無線通信プログラムは、コンピュータ装置に予め
インストールされていてもよいし、無線通信により無線通信装置1に送信され、コンピュ
ータ装置にインストールされてもよい。
【0051】
<送信時間の決定>
本実施形態に係る無線ノードの送信時間割り当て方法について説明する。送信で使用す
る周波数チャネルはいかなる方法で決定されてもよい。
【0052】
<送信サブフレームの決定>
送受信リソース決定部17は、送信先ノード決定部が決定した自ノードのホップ数と、
フレーム情報記憶部に記憶されたフレーム情報等に基づいて、サブフレームを選択する。
【0053】
図8には、本実施形態に係る送信サブフレーム番号と送信する無線ノードのホップ数の
条件の例を示している。上り通信を主体とする本実施形態では、サブフレーム数Nで構成
されるフレーム内のサブフレーム番号は、(N−1)から開始し、0まで降順で割り振ら
れる。
【0054】
無線ノードjのホップ数をHjとすると、無線ノードjに対して割り当てる送信サブフ
レーム番号Tjは式(1)で表せる。
【数1】

ただし、(A%B)は、Aを被除数、Bを除数としたときの剰余を表す。
【0055】
<サブフレーム内の送信タイミングについて>
送受信リソース決定部17は、上述のように送信用に割り当てられたサブフレームで送
信する。サブフレームをさらに小さな時間単位であるスロットに分割されていてもよい。
この場合、送受信リソース決定部17は、送信用に割り当てられたサブフレームのうちの
一スロットが送信スロットとして割り当てられてもよい。例えば、サブフレームが無線ノ
ード数以上のスロットで構成され、無線ノードIDで重複なく一意にスロットが割り当て
られている場合、送受信リソース決定分は、上述のように決定した送信サブフレームの中
の自ノードIDに対応するスロットで送信してもよく、子ノードのノードIDや、中継伝
送するデータの生成元ノードのノードIDに対応するスロットで送信してもよい。
【0056】
なお、スロットがノードIDに固有で割り当てられている場合で、かつ、図10のステ
ップS10でセンシング情報が生成される場合、集約装置では、受信信号に含まれるセン
シング情報の発生時刻をより正確に記録することができる。具体的には、受信信号の送信
元で付加されたフレーム番号のうち、ノードIDに割り当てられたスロットの時刻をセン
シング情報の発生時刻として記録することができる。
【0057】
また、サブフレームがスロットに分割されていない場合、上述のような非競合型の多重
アクセス方式ではなく、競合型のアクセス方式で送信してもよい。競合アクセス方式の代
表例としてCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance
)が挙げられる。
【0058】
<子ノードの受信時間の決定>
送受信リソース決定部は、子ノードからの情報を受信するためのサブフレーム番号Rj
を決定する。サブフレーム番号Rjは、式(1)のホップ数Hjを子ノードのホップ数(
Hj+1)に置き換え、子ノードの送信サブフレームとして式(2)で計算してもよい。
【数2】
【0059】
子ノード受信サブフレーム番号Rjの計算方法は式(2)に限らず、送信サブフレーム
番号Tjに1を加えた値をサブフレーム数Nで剰余演算した結果としてもよく、(Tj+
1)<Nであれば、Rj=(Tj+1)とし、(Tj+1)=NであればRj=0として
もよい。逆に、子ノード受信サブフレーム番号Rjを先に計算し、Rjを基準に送信サブ
フレーム番号Tjを計算してもよい。
【0060】
サブフレームがさらに小さな時間単位であるスロットに分割され、さらにスロットが割
り当てられている場合には、送信スロットを割り当てるルールに従い、子ノードの送信信
号を受信するためのスロットを決定する。子ノードが複数存在する場合には、子ノードご
とにスロットを決定する。
【0061】
サブフレームよりも小さな時間単位で受信時間を計算する場合であっても、子ノードの
送信サブフレーム期間に常に受信状態となる場合や、非競合型の多重アクセス方式で送信
される場合は上記計算を実施しなくてもよい。
【0062】
<親ノードの受信時間の決定>
送受信リソース決定部は、親ノードの送信時間を計算し、当該時間に親ノードの送信信
号を受信してもよい。親ノードの送信信号を受信しその内容を参照することで、自ノード
の送信信号が親ノードで受信され、さらに上流側に中継伝送されていることを確認でき、
再送を実施する判断基準とすることができる。
【0063】
送受信リソース決定部は、親ノードの送信を受信するためのサブフレーム番号Ujを決
定する。サブフレーム番号Ujは、式(1)のホップ数Hjを親ノードのホップ数(Hj
−1)に置き換え、親ノードの送信サブフレームとして式(3)で計算してもよい。
【数3】
【0064】
親ノード受信サブフレーム番号Ujの計算方法は式(3)に限らず、送信サブフレーム
番号Tjから1を差し引いた値をサブフレーム数Nで剰余演算した結果としてもよく、(
Tj−1)が0以上であればUj=(Tj−1)とし、(Tj−1)=−1であればUj
=(N−1)としてもよい。逆に、親ノード受信サブフレーム番号Ujを先に計算し、U
jを基準に送信サブフレーム番号Tjを計算してもよく、子ノード受信サブフレーム番号
Rjを基準にして計算してもよい。
【0065】
サブフレームがさらに小さな時間単位であるスロットに分割され、さらにスロットが割
り当てられている場合には、送信スロットを割り当てるルールに従い、親ノードの送信信
号を受信するためのスロットを決定する。親ノードが複数存在する場合には、子ノードご
とにスロットを決定する。また、親ノードが根ノードである場合には、上記計算を実施せ
ずに根ノードが送信する基準信号の送信時間を基準に受信時間を決定してもよい。例えば
、根ノードの基準信号自体を親ノードの送信信号とする場合、基準信号は周期的に送信さ
れるため、前回受信した時間からフレーム情報に含まれるフレーム期間後を基準に受信時
間を決定する。
【0066】
サブフレームよりも小さな時間単位で受信時間を計算する場合であっても、親ノードの
送信サブフレーム期間に常に受信状態となる場合や、非競合型の多重アクセス方式で送信
される場合は上記計算を実施しなくてもよい。
【0067】
<接続受付時間について>
さらに、接続受付のための期間を設けても良い。接続受付とは、新たにネットワークに
参加する無線ノードが親ノードに対して送信する信号である。接続受付により親ノードが
子ノードを認識し、スロット単位で受信状態を切り替えることができる。
【0068】
接続受付のためのサブフレームを、例えば子ノードの送信信号を受信するサブフレーム
Rjよりも1つ早いサブフレームとする場合、接続受付のためのサブフレーム番号Vjは
自ノードのホップ数Hjを用いて式(4)で計算してもよい。
【数4】
【0069】
接続受付サブフレーム番号Vjの計算方法は式(4)に限らず、送信サブフレーム番号
Tjに2を加えた値をサブフレーム数Nで剰余演算した結果としてもよい。接続受付サブ
フレーム番号Vjの決定のための計算は式(4)にかぎらず、接続受付のサブフレームは
Tjよりも3以上前のサブフレームとしてもよく、Rjと同じサブフレームとしてもよく
、複数設定してもよい。VjはRjよりも早いサブフレームに設定することで、当該フレ
ームから子ノードの信号を受信開始することができる。接続受付のサブフレームを複数設
定することにより、1つのフレームで接続を受け付けることができる子ノードの数を増加
させることができる。また、全フレームあるいは一部のフレームに専用の期間を固定で設
けていてもよい。フレーム中の接続受付専用期間は、フレーム先頭から一定期間でもよく
、フレーム末尾から一定期間でもよく、その他の一定期間でもよい。
【0070】
上述のサブフレームの設定により、各無線ノードは、通信誤りがない限り(ホップ数H
×サブフレーム数N)以内のネットワーク遅延時間で集約装置まで送信信号を届けること
ができる。
【0071】
なお、親ノードの送信信号を受信する場合、上り通信に比べて時間を要するものの、フ
レーム情報などの制御情報などを下り方向に伝送することができる。
【0072】
<送受信時間の決定を含む、具体例>
<無線通信装置の初期動作>
次に、本実施形態に係る無線通信装置1の動作について説明する。図9は、無線通信装
置1の初期動作、すなわち、電源投入時の動作を示すフローチャートの一例である。以下
の説明において、無線通信装置1は、フレーム情報及びノードIDを予め記憶しているも
のとする。
【0073】
ステップS1において、送受信部11は、受信処理を開始し、電源投入から1フレーム
が経過したか判定する。電源投入直後のフレーム長の設定は、コンセントレータが発行す
るシステムの設定値と異なる値が設定されていてもよい。1フレームが経過するまで、送
受信部11は、受信処理を継続する。なお、送受信部11による判定は、1フレームに限
られない。1フレームが経過する前に(ステップS1のNO)、送受信部11が受信情報
を受信した場合(ステップS2のYES)、処理はステップS3に進む。
【0074】
ステップS3において、送信先ノード決定部は、送受信部11が受信した受信情報を取
得し、当該受信情報の送信元ノードのノードID、ホップ数、及び無線信号の受信信号強
度(RSSI)を記憶する(ステップS3)。
【0075】
無線通信装置1は、以上のステップS1〜S3の動作を、電源投入から1フレームが経
過するまで繰り返す。1フレームが経過すると(ステップS1のYES)、処理はステッ
プS4に進む。
【0076】
ステップS4において、送信先ノード決定部16は、記憶した送信元ノードのノードI
D、ホップ数、及び無線信号の受信信号強度に基づいて、送信先ノード(親ノード)を決
定する(ステップS4)。送信先ノード決定部16は、上述の通り、ホップ数が最も小さ
く、受信信号強度が最も大きい送信元ノードを送信先ノード(親ノード)に決定してもよ
い。また、送信先ノード(親ノード)のホップ数より1大きいホップ数を、自ノードのホ
ップ数として決定する。
【0077】
なお、上述の説明では、送信先ノードの決定方法は受信信号強度に基づいて決定したが
、送信先ノードの決定方法はこれに限らない。例えば、ホップ数が小さいほど送信先ノー
ドとして選択されやすくなるように決定してもよい。また、受信情報に送信元ノードの電
池残量や電源装置による発電量等の使用可能な電力量情報が含まれる場合は、電力量が大
きいほど送信先ノードとして選択されやすくなるように決定してもよく、受信情報に送信
元ノードの消費電力量やこれに準ずる情報が含まれる場合は、消費電力量が小さいほど送
信先ノードとして選択されやすくなるように決定してもよい。さらに、上述の情報のうち
2つ以上を組み合わせて送信先ノードを決定してもよく、いかなる方法で送信先ノードを
決定してもよい。
【0078】
ステップS4において親ノードを決定すると、その後親ノードに対して接続要求を行っ
てもよい。接続要求では、親ノードの受信時間に、少なくとも自ノードIDを含む情報を
送信する。
【0079】
なお、ステップS1からステップS4へのパスにおいて、親ノードの決定処理を実行す
る条件を満たさない場合、再びステップS1に戻ってもよい。上記条件とは例えば、1フ
レーム経過しても1度も情報を受信せずに親ノードとなる候補の送信元ノードが存在しな
いことや、受信し記憶した送信元ノードのいずれもホップ数や受信信号強度の基準を満た
さないことが挙げられる。
【0080】
<無線通信装置の通常動作>
次に、本実施形態に係る無線通信装置1の動作について、図10を参照して説明する。
また、図11には時間フレームの具体例として、サブフレーム数N=5であり、サブフレ
ームは10のスロットでの構成される場合の例を示す。さらに、サブフレーム内のスロッ
トは図示するように、重複なくノードIDに対応して割り当てられている。前述の割り当
ての場合、図2に示したネットワークトポロジーで示した各無線ノードのホップ数により
、送信が行われるスロットを黒く塗っている。また、具体的なネットワークトポロジー及
び中継経路として図2に示す例を想定し説明する。図12にはホップ数5の無線ノードh
の動作を示している。この場合、送信サブフレーム番号Tj=0、子ノード受信サブフレ
ーム番号Rj=1、親ノード受信サブフレーム番号Uj=4となる。
【0081】
図10は、本実施形態に係る無線通信装置の1フレーム分の通常動作を示すフローチャ
ートである。図10では、動作の開始時点において、無線通信装置1はスリープ状態であ
るものとする。無線通信装置1をスリープ状態とすることにより、無線通信装置1の消費
電力を低減することができる。
【0082】
ステップS5において、スリープ制御部15は、カウントしている時間と、自ノードの
ホップ数と、フレーム情報と、に基づいて、サブフレームRjが開始されたか判定する。
スリープ制御部15は、サブフレームRjが開始されるまで、当該判定を繰り返す(ステ
ップS5のNO)。サブフレームRjが開始されると、処理はステップS6に進む。
【0083】
ステップS6において、スリープ制御部15は、無線通信装置1を起床させる。これに
より、送受信部11が受信処理を開始する。
【0084】
ステップS7において、無線通信装置1は、サブフレームRjが終了したか判定する。
当該サブフレームが終了するまで、送受信部11は、受信処理を継続する。
【0085】
当該サブフレームが終了する前に(ステップS7のNO)、送受信部11が自ノード宛
ての受信情報を受信した場合(ステップS8のYES)、処理はステップS9に進む。受
信情報が自ノード宛て、すなわち、受信情報の送信先ノードが自ノードであるかの判定は
、宛先判定部12により行われる。自ノード宛てではなくても、送信元ノードのホップ数
がHjより大きい場合に受信してもよい。自ノード宛てではない信号を中継伝送すること
は、中継伝送の冗長性を向上させ、無線通信システムの高信頼性に寄与する。
【0086】
ステップS9において、中継情報記憶部13は、自ノード宛ての受信情報を、中継情報
として記憶する。無線通信装置1は、以上のステップS7〜S9の動作を、サブフレーム
Rjが終了するまで繰り返し、送信元ノード(子ノード)の送信情報(中継情報)を受信
する。そして、サブフレームRjが終了すると(ステップS7のYES)、処理はステッ
プS10に進む。ここでは、サブフレームRjが終了すると同時に、ホップ数Hjに送信
用として割り当てられたサブフレームTjが開始するものとして説明するが、サブフレー
ムRjとサブフレームTjとの間には、期間があってもよい。
【0087】
ステップS10において、送信情報生成部は、中継情報記憶部に記憶された中継情報に
、自ノードのノードID、センサ情報、及びホップ数などの情報を付加して送信情報を生
成する。送信情報生成部14が送信情報を生成した後、中継情報記憶部13に記憶された
情報は消去されてもよい。
【0088】
ステップS10において、送信情報生成部14が送信情報を生成すると、処理はステッ
プS11に進む。
【0089】
ステップS11において、スリープ制御部15は、無線通信装置1をスリープさせる。
その後、スリープ制御部15は、送信スロットが開始されると、無線通信装置1を起床さ
せる(ステップ12)。無線通信装置1が起床状態に移行すると、送受信部11は、送信
先ノード(親ノード)に送信情報を送信する。送信スロットが終了すると、処理はステッ
プS13に進む。
【0090】
ステップS13において、スリープ制御部は、無線通信装置1をスリープさせる。その
後、スリープ制御部15は、サブフレームTjが終了し、サブフレームUjが開始すると
、無線通信装置1を起床させる。これにより、送受信部11が受信処理を開始する。
【0091】
ステップS14において、無線通信装置1は、サブフレームUjが終了したか判定する
。サブフレームUjが終了するまで、送受信部11は、受信処理を継続する。
【0092】
サブフレームUjが終了する前に(ステップS14のNO)、送受信部がホップ数(H
j−1)の無線ノードの送信情報を受信した場合(ステップS14のYES)、処理はス
テップS16に進む。
【0093】
ステップS16において、送受信リソース決定部17は、受信情報の送信元ノードのホ
ップ数(Hj−1)、ノードID、及び無線信号の受信信号強度を記憶する。無線通信装
置1は、以上のステップS14〜S16の動作を、サブフレームUjが終了するまで繰り
返し、送信先ノード(親ノード)の送信情報を受信する。そして、サブフレームUjが終
了すると(ステップS14のYES)、処理はステップS17に進む。
【0094】
ステップS17において、送信先ノード決定部17は、記憶したノードID、ホップ数
、及び受信信号強度に基づいて、送信先ノード(親ノード)を決定する。例えば、送信先
ノード決定部は、受信信号強度が最も大きい無線ノードを送信先ノードに決定する。
【0095】
以上のステップS14〜S17により、1フレーム毎に、受信信号強度が最大の無線ノ
ードに送信先ノード(親ノード)を更新することができる。したがって、無線通信システ
ムに新たな無線ノードが加わった場合であっても、無線通信装置1は、最適な親ノードに
対して送信情報を送信することができる。親ノードを決定したのち、無線通信装置1はス
リープする(ステップS18)。なお、送信先ノードを更新しない場合には、ステップS
14〜S17の一部は省略されてもよい。
【0096】
また、ステップS15とS16に関して、図示しないが、親ノードの送信信号を受信し
、自ノードの送信情報の到達を確認してもよい。親ノードの送信信号に含まれるデータの
うち、送信元ノードIDが自ノードのノードIDと一致することをもって確認としてもよ
く、親ノードの送信信号に含まれる受信結果を示すフィールドが受信成功の状態となって
いることをもって確認としてもよく、いかなる方法であってもよい。自ノードの送信情報
の到達が確認できない場合、送信信号を再送してもよい。再送は、次のフレームの送信時
間に行ってもよく、同一フレーム内の別のサブフレームで行ってもよい。
【0097】
ステップS17において、送信先ノード(親ノード)が更新されると、スリープ制御部
は、無線通信装置1をスリープさせる。以上で無線通信装置1の1フレーム分の通常動作
が終了する。
【0098】
なお、図10の説明では割愛したが、自ノードのセンサ情報の取得は、ステップS10
で実施してもよい。また、センサ情報取得のために起床してもよい。
【0099】
また、図10の動作では図12に示すように、子ノードと親ノードの送信サブフレーム
期間中常に受信状態としていたが、子ノードと親ノードの送信スロットのみ受信状態とし
てもよい。すなわち、子ノードの送信スロットが含まれるサブフレームのうち、子ノード
の送信スロット以外のスロットにおいて、無線通信装置1はスリープしてもよい。また、
親ノードの送信スロットが含まれるサブフレームのうち、親ノードの送信スロット以外の
スロットにおいて、無線通信装置1はスリープしてもよい。これにより、さらに消費電力
量を低減することができる。ただし、子ノードの送信スロットを特定するためには、子ノ
ードを識別する必要があるため、最初に接続を受け付ける期間を設ける必要がある。図1
3では、式(4)で決定したサブフレーム番号Vjの、自ノードのノードIDに対応する
スロットで接続受付のために受信状態となる例を示している。
【0100】
図14には、サブフレーム数Nが4の場合の各ホップ数の無線ノードの各サブフレーム
番号における送受信の関係の概略を示す。
【0101】
例えば、第1フレームのサブフレーム番号2のサブフレームにおいて、ホップ数が2の
無線通信装置1と、ホップ数が6の無線通信装置1とが、それぞれの情報を送信する。ホ
ップ数が2の無線通信装置1が送信した情報は、この第1フレーム内に、ホップ数が1の
無線通信装置1を介して集約装置2に受信される。一方、ホップ数が6の無線通信装置1
が送信した情報は、次の第2フレームにおいて、集約装置2に受信される。例えば、ホッ
プ数が6の無線通信装置1が第1フレームに送信した情報は、第2フレームのサブフレー
ム番号3のサブフレームにおいて、ホップ数が3の無線通信装置1に中継される。さらに
、この情報は、第2フレームのサブフレーム番号1のサブフレームにおいて、ホップ数が
1の無線通信装置1に中継される。
【0102】
このように、第1フレームに含まれる第1サブフレームにおいて、第1無線通信装置1
は第1データを送信し、第2無線通信装置1は第2データを送信する。第1無線通信装置
1と第2無線通信装置1のホップ数は、異なる。第3無線通信装置1は、第1フレームの
第1サブフレームにおいて第2無線通信装置1の第2データを受信し、次の第2フレーム
の第2サブフレームにおいて、その第2データを送信する。第3無線通信装置1のホップ
数は、第1無線通信装置1および第2無線通信装置1のホップ数と異なる。例えば、第3
無線通信装置1のホップ数は、第1無線通信装置のホップ数よりも大きく、第2無線通信
装置のホップ数よりも小さい。
【0103】
第2フレームの第2サブフレームは、第1フレームの第1サブフレームと対応しない。
すなわち、第1フレームに含まれる複数のサブフレームと第2フレームに含まれる複数の
サブフレームはそれぞれ対応し、例えば第1フレームに含まれる複数のサブフレームの数
と第2フレームに含まれる複数のサブフレームの数は等しい。例えば、第1フレームの中
で第1サブフレームが開始するタイミングと、第2フレームの中で第2サブフレームが開
始するタイミングは異なる。
【0104】
第1データは、第2データと異なる。例えば、第1データと第2データは、一部共通す
る部分があってもよい。
【0105】
第2フレームの第2サブフレームにおいて第3無線通信装置1が送信する情報は、例え
ば第2無線通信装置1から受信した情報に加えて他の情報も含まれていてもよい。他の情
報とは、例えば第3の無線通信装置1で生成した情報である。
【0106】
第1無線通信装置が第1フレームの第1サブフレームで送信した情報は、無線通信シス
テムに含まれる他の無線通信装置、または中継装置2に受信される。第3無線通信装置が
第2フレームの第2サブフレームで送信した情報は、無線通信システムに含まれる他の無
線通信装置、または中継装置2に受信される。
【0107】
第1フレームに含まれ、第1サブフレームの次の第3サブフレームにおいて、第4無線
通信装置は第1無線通信装置から受信した第1データを送信し、第5無線通信装置は第2
無線通信装置から受信した第2データを送信する。第4無線通信装置のホップ数は、第1
無線通信装置のホップ数よりも1小さく、第4無線通信装置は第1無線通信装置の親ノー
ドである。第5無線通信装置のホップ数は、第2無線通信装置のホップ数よりも1小さく
、第5無線通信装置は第2無線通信装置の親ノードである。
【0108】
第1フレームに含まれ、第1サブフレームの次の第3サブフレームにおいて、集計装置
2は第1無線通信装置から受信した情報を送信し、第5無線通信装置は第2無線通信装置
から受信した情報を送信してもよい。
【0109】
第1フレームに含まれる複数のサブフレームが進むにつれて、情報を送信する無線通信
装置のホップ数が1ずつ減少する。
【0110】
第1サブフレームが第1フレームに含まれる最初のサブフレームである場合には、第1
フレームの前のフレームに含まれる複数のサブフレームのうちの最後のサブフレームにお
いて第1無線通信装置1は第1データを受信し第2無線通信装置1は第2データを受信す
る。第1サブフレームが第1フレームに含まれる二番目以降のサブフレームである場合に
は、第1フレームに含まれる第1サブフレームの前のサブフレームにおいて第1無線通信
装置1は第1データを受信し第2無線通信装置1は前記第2データを受信する。
【0111】
図14の場合、従来はホップ数3が上限であったが、本実施形態では、4以上のホップ
数であっても無線通信システムで収容することができ、遠方の無線ノードのネットワーク
参加を可能にするため、カバーエリアを拡大することができる。
【0112】
図14では、ホップ数4以上の無線ノードの送信信号がフレームを跨いで中継伝送され
ている様子を示している。フレーム開始時点でサブフレーム番号3を送信サブフレームと
して決定する無線ノードは中継伝送する信号を保持している。サブフレーム数Nが4であ
るため、ホップ数の差が4となる無線ノードが同じサブフレームを送信サブフレームとし
て決定している。
【0113】
本実施形態では上り通信を主体とし、サブフレーム番号を降順に付しているため、上り
通信の情報の流れはH=0の集約装置まで円滑に進むのに対し、下り通信の情報の流れは
フレームごとに1ホップだけ進む。
【0114】
<時間フレームのバリエーション>
図15には、本実施形態に係るその他のフレームの例として、サブフレーム数Nが2の
場合の例を示す。このとき、ホップ数Hが5のノードhについては、フレーム番号0で子
ノード及び親ノードの送信信号を受信し、フレーム番号1で自ノードの送信信号の送信を
行う。図15には、接続受付が必要なスロット単位でスリープ動作する場合に、接続受付
は4フレームごとに実施する例を示している。なお、接続受付を実施するフレーム数をス
ーパーフレーム(superframe)と定義する。スーパーフレーム中のフレーム数の情報はフ
レーム情報の一部として配布されてもよく、無線機が記憶していてもよい。子ノードは接
続受付のためのフレームを、フレーム番号とフレーム数から剰余演算の剰余値により判断
することができる。図15に示す接続受付の例では、無線ノードが特定のスロットでのみ
接続受付を実施しているが、複数の無線ノードがサブフレーム全体あるいはフレーム全体
で受信し、接続を要求する無線ノードは競合アクセス方式で送信してもよい。
【0115】
接続受付は前述のような特別なフレームで行わなくても、例えば根ノードに割り当てら
れたスロットで実施してもよい。自ノードの送信に割り当てられたサブフレーム内の根ノ
ードのスロットで接続受付のための受信を行ってもよく、図15で「受信(子・親)」と
したサブフレーム内の自ノードのスロットや、その他のサブフレームの根ノードのスロッ
トで接続受付のための受信を行ってもよい。通常の送受信を停止しないことにより、接続
受付による通信容量低下を回避することができる。
【0116】
また、図16には、サブフレーム数Nが2の場合の、各ホップ数の無線ノードの各サブ
フレーム番号における送受信の関係の概略を示す。図15に示した接続受付のフレームは
割愛している。サブフレーム数Nが2の場合、上り通信と下り通信のネットワーク遅延時
間は同等になる。
【0117】
図17には、本実施形態に係るその他のフレームの例として、サブフレーム数Nが1の
場合の例を示す。このとき、ホップ数Hが5のノードhについては、フレーム番号0で子
ノード及び親ノードの送信信号を受信し、さらに自ノードの送信信号の送信も行う。図1
7においても図15と同様に、フレーム数4でスーパーフレームとし、接続受付を実施す
る様子を示している。
【0118】
図18には、サブフレーム数Nが1の場合の、各ホップ数の無線ノードの各サブフレー
ム番号における送受信の関係の概略を示す。図17に示した接続受付のサブフレームは割
愛している。サブフレーム数Nが1の場合、全ホップ数の無線ノードが毎サブフレーム送
受信を行うため、通信誤りが発生しない場合のネットワーク遅延はサブフレーム数N=2
以下となるものの、サブフレーム内の送信時間に依存する。例えば、サブフレーム内で子
ノードの送信時間が親ノードの送信時間よりも早ければ同一サブフレーム内で上り通信の
中継伝送が実施されるが、子ノードの送信時間が親ノードの送信時間よりも遅ければ次の
サブフレームで上り通信の中継伝送が実施される。下り通信については、逆の関係となる
【0119】
以上のように、サブフレーム数Nを変更することにより、無線ノードの通信頻度を調整
することができ、システムスループットの向上や、省電力性を向上させることができる。
サブフレーム数Nを2以下にすることで、上り通信主体の無線通信システムにおける下り
通信のネットワーク遅延を上り通信と同等にすることができる。
【0120】
<中継伝送における情報の古さに基づく廃棄処理>
送信元ノードが送信信号を送信する無線ノードであるのに対し、送信源ノードは情報を
生成したノードと定義する。
【0121】
送受信部が受信した受信情報に送信源ノードのホップ数Hkが含まれる場合、送受信リ
ソース決定部は、送信源ノードのホップ数Hkと自ノードのホップ数Hjと、フレーム数
Nを用いて、無線通信システムにおいて自ノードで受信されるまでに要する所要ネットワ
ーク遅延フレーム数Lを式(5)で計算する。
【数5】
【0122】
式(5)において、[・]は床関数を表す。無線ノードは所要ネットワーク遅延フレー
ム数Lを現在のフレーム番号から差し引いた値と、受信信号に含まれる発生フレーム番号
を比較し、この差分が一定以上の場合に、当該受信情報を中継伝送対象とせずに廃棄して
もよい。本実施形態における上記差分は、再送が次のフレームで実施される場合には、総
再送回数に該当する。総再送回数が一定以上の情報を廃棄することで、ネットワークへの
負荷を軽減することができる。
【0123】
<下り通信への対応>
本実施形態では、上り通信を主体とする無線通信システムについて説明したが、下り通
信を主体とする無線通信システムに対しても、サブフレーム番号の付記を昇順にすること
で適用可能である。
【0124】
すなわち、図14に示すように、無線通信装置1が送信する情報は、親ノードに受信さ
れるとともに子ノードに受信されてもよい。無線通信装置1が、割り当てられたサブフレ
ームにおいて親ノード宛ての情報に加えて子ノード宛ての情報を送信することに依り、上
り通信と同時に下り通信を実現することができる。例えば、あるフレームにおいて親ノー
ドから受信した情報を、次のフレームにおいて子ノードに送信することにより、下り通信
が実現される。下り通信においては、各フレームが進むにつれて、情報を送信する無線通
信装置ホップ数が1ずつ増加する。
【0125】
本実施形態によれば、サブフレーム数以上のホップ数の無線機をネットワークに参加さ
せることができ、カバーエリアを拡大することができる。また、サブフレーム数を小さく
設定することにより、周波数利用効率が向上し、システムスループットを向上させること
ができる。
【0126】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…無線通信装置、2…集約装置、11…送受信部、12…宛先判定部、13…中継情報
記憶部、14…送信情報生成部、15…スリープ制御部、16…送信先ノード決定部、1
7…送受信リソース決定部、18…フレーム情報記憶部、21…送受信部、22…送信情
報生成部、23…情報集約部、24…制御情報生成部、25…送信リソース決定部、26
…フレーム情報記憶部、101…通信インターフェース、102…入力インターフェース
、103…グラフィック処理装置、104…CPU、105…主記憶装置、106…外部
記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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