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特許6955903駐車場管理サーバおよびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6955903
(24)【登録日】2021年10月6日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】駐車場管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20211018BHJP
【FI】
   G06Q50/10
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-101642(P2017-101642)
(22)【出願日】2017年5月23日
(65)【公開番号】特開2018-197909(P2018-197909A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】三平 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大塩 剛司
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−195683(JP,A)
【文献】 特開2014−132495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバであって、
予め会員登録をした会員ユーザの属性データやサービス代金の決済方法のデータを蓄積する会員データベースと、
前記の会員ユーザに係る端末からデリバリ対象車両の利用を予約するための予約データを受信する予約データ受信手段と、
前記のデリバリ対象車両にて携行されるICカードの識別データを入力する端末から前記の識別データを受信する無料出庫用データ受信手段と、
その無料出庫用データ受信手段が受信した識別データを格納するとともに管理対象となっている駐車車室について駐車が可能か否かについて車室の一室ずつを管理したデータを格納する駐車場管理データベースと、
前記の予約データ受信手段が受信した前記の予約データが予約可能か否かを前記の駐車場管理データベースを用いて確認する予約可否判断手段と、
前記のICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信するカードデータ受信手段と、
そのカードデータ受信手段が受信した識別データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合するためのカードデータ照合手段と、
そのカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手段と、
前記のユーザに係る端末へ予約受付データを送信する予約受付データ送信手段と、
を備え、
前記の予約データには、その予約データに係る会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記の予約データ受信手段が受信した予約データは、前記の駐車場管理データベースへ格納し、
前記のカードデータ受信手段は、前記の会員IDを受信し、
前記のカードデータ照合手段は、前記のカードデータ受信手段が受信した会員IDおよび前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDを照合することとした
駐車場管理サーバ。
【請求項2】
車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバであって、
予め会員登録をした会員ユーザの属性データやサービス代金の決済方法のデータを蓄積する会員データベースと、
前記の会員ユーザに係る端末からデリバリ対象車両の利用を予約するための予約データを受信する予約データ受信手段と、
その予約データ受信手段が受信した前記の予約データによって特定されるデリバリ対象車両に携行されることで前記の駐車場での入出庫を管理するためのICカードへ前記の駐車場での入出庫が可能であるような無料出庫用データを書き込む無料データ書込手段と、
その無料データ書込手段が書き込んだ無料出庫用データを駐車場管理データともに格納するとともに管理対象となっている駐車車室について駐車が可能か否かについて車室の一室ずつを管理したデータを格納する駐車場管理データベースと、
前記の予約データ受信手段が受信した前記の予約データが予約可能か否かを前記の駐車場管理データベースを用いて確認する予約可否判断手段と、
前記のICカードに書き込まれた前記の無料出庫用データが前記の駐車場の精算機から送信されてきた場合にその無料出庫用データを受信するカードデータ受信手段と、
そのカードデータ受信手段が受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納された無料出庫用データと照合するためのカードデータ照合手段と、
そのカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手段と、
前記のユーザに係る端末へ予約受付データを送信する予約受付データ送信手段と、
を備え、
前記の予約データには、その予約データに係る会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記の予約データ受信手段が受信した予約データは、前記の駐車場管理データベースへ格納し、
前記のカードデータ受信手段は、前記の会員IDを受信し、
前記のカードデータ照合手段は、前記のカードデータ受信手段が受信した会員IDおよび前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDを照合することとした
駐車場管理サーバ。
【請求項3】
前記の無料データ書込手段から無料出庫用データを受信する無料データ受信手段を備えることとした
請求項2に記載の駐車場管理サーバ。
【請求項4】
前記の予約データ受信手段は、別の駐車場を利用する旨の予約データをも受信可能であり、
その予約データにも、その会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記の会員データベースには、会員IDを含んだ予約データを格納し、
前記のカードデータ照合手段による照合結果が是である場合には、当該別の駐車場利用の代金に関する料金データを格納することとした
請求項3に記載の駐車場管理サーバ。
【請求項5】
前記のデリバリ対象車両が所望された駐車場を前記のICカードを用いて出庫した場合において、そのICカードを再び用いて出庫することができないように無効化するための駐車場管理サーバであって、
前記のICカードの識別データを入力する端末から前記の識別データを受信する無効化用データ受信手段と、
その無効化用データ受信手段が受信した識別データに係る無料データを無効化して前記の駐車場管理データベースへ格納するカード無効化手段と、
を備え、
前記のカードデータ受信手段は、前記のICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信し、
前記のカードデータ照合手段は、前記のカードデータ受信手段が受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合し、
前記の照合結果送信手段は、前記のカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信することとした
請求項1または請求項4に記載の駐車場管理サーバ。
【請求項6】
前記のデリバリ対象車両が所望された駐車場を前記のICカードを用いて出庫した場合において、そのICカードを再び用いて出庫することができないように無効化するための駐車場管理サーバであって、
前記のICカードの識別データを入力するとともに、そのICカードに係る無料データを無効化した端末から無効化に係る識別データを受信して前記の駐車場管理データベースへ格納する無効化済みデータ受信手段を備え、
前記のカードデータ受信手段は、前記のICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信し、
前記のカードデータ照合手段は、前記のカードデータ受信手段が受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合し、
前記の照合結果送信手段は、前記のカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信することとした
請求項1または請求項4のいずれかに記載の駐車場管理サーバ
【請求項7】
車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
前記の駐車場管理サーバには、予め会員登録をした会員ユーザの属性データやサービス代金の決済方法のデータを蓄積する会員データベースと、
管理対象となっている駐車車室について駐車が可能か否かについて車室の一室ずつを管理したデータを格納する駐車場管理データベースと、
を備え、
前記のコンピュータプログラムは、
前記の会員ユーザに係る端末からデリバリ対象車両の利用を予約するための予約データを受信する予約データ受信手順と、
その予約データ受信手順にて受信した前記の予約データによって特定されるデリバリ対象車両に携行されるICカードの識別データを入力する端末から前記の識別データを受信する無料出庫用データ受信手順と、
その無料出庫用データ受信手順が受信した識別データを前記の駐車場管理データベースへ格納するとともにとともに管理対象となっている駐車車室について駐車が可能か否かについて車室の一室ずつを管理するデータを格納する無料出庫用データ格納手順と、
前記の予約データ受信手順にて受信した前記の予約データが予約可能か否かを前記の駐車場管理データベースを用いて確認する予約可否判断手順と、
前記のICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合にその識別データを受信するカードデータ受信手順と、
そのカードデータ受信手順にて受信した識別データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納された識別データと照合するためのカードデータ照合手順と、
そのカードデータ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
前記のユーザに係る端末へ予約受付データを送信する予約受付データ送信手順と
を駐車場管理サーバに実行させることとし、
前記の予約データには、その予約データに係る会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記の予約データ受信手順にて受信した予約データは、前記の駐車場管理データベースへ格納し、
前記のカードデータ受信手順では、前記の会員IDを受信し、
前記のカードデータ照合手順では、前記のカードデータ受信手順にて受信した会員IDおよび前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDを照合することとした
たコンピュータプログラム。
【請求項8】
車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
前記の駐車場管理サーバには、予め会員登録をした会員ユーザの属性データやサービス代金の決済方法のデータを蓄積する会員データベースと、
管理対象となっている駐車車室について駐車が可能か否かについて車室の一室ずつを管理するデータを格納した駐車場管理データベースと、
を備え、
前記のコンピュータプログラムは、
前記の会員ユーザに係る端末からデリバリ対象車両の利用を予約するための予約データを受信する予約データ受信手順と、
その予約データ受信手順にて受信した前記の予約データによって特定されるデリバリ対象車両に携行されることで前記の駐車場での入出庫を管理するためのICカードへ前記の駐車場での入出庫が可能であるような無料出庫用データを書き込む無料データ書込手順と、
その無料データ書込手順にて書き込んだ無料出庫用データを駐車場管理データベースへ格納するとともに管理対象となっている駐車車室について駐車が可能か否かについて車室の一室ずつを管理したデータを格納する無料出庫用データ格納手順と、
前記のICカードに書き込まれた前記の無料出庫用データが前記の駐車場の精算機から送信されてきた場合にその無料出庫用データを受信するカードデータ受信手順と、
そのカードデータ受信手順にて受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納された無料出庫用データと照合するためのカードデータ照合手順と、
そのカードデータ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
前記のユーザに係る端末へ予約受付データを送信する予約受付データ送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させることとし、
前記の予約データには、その予約データに係る会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記の予約データ受信手順にて受信した予約データは、前記の駐車場管理データベースへ格納し、
前記のカードデータ受信手順では、前記の会員IDを受信し、
前記のカードデータ照合手順では、前記のカードデータ受信手順にて受信した会員IDおよび前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDを照合することとした
コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記の無料データ書込手順から無料出庫用データを受信する無料データ受信手順をも実行することとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
会員ユーザを特定するための会員IDを含んだ別の駐車場を利用する旨の別予約データを受信する別駐車場予約データ受信手順と、
その別駐車場予約データ受信手順にて受信した別予約データを前記の会員データベースへ格納する別駐車場予約データ格納手順と、を含み、
当該別の駐車場を出庫する際に精算機から送信されるカード内データを受信するカード内データ受信手順と、
そのカード内データに含まれる会員IDと前記の会員データベースへ格納された別駐車場予約データに含まれる会員IDとを照合する別駐車場出庫用カードデータ照合手順と、
その別駐車場出庫用カードデータ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する別駐車場出庫データ照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させることとした
請求項7から請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
無料出庫に使われたICカードの識別データを入力する端末から前記の識別データを受信する無効化用データ受信手順と、
その無効化用データ受信手順にて受信した識別データに係る無料データを無効化する無効化手順と、
その無効化手順にて無効化された識別データを前記の駐車場管理データベースへ格納する無効化済みデータ格納手順と、
前記のICカードから無効化された識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信する無効化済み識別データ受信手順と、
その無効化済み識別データ受信手順にて受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合する無効化データ照合手順と、
その無効化データ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させることとした請求項7から請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
無料出庫に使われたICカードの識別データを無効化した端末からその無効化済みの識別データを受信する無効化済みデータ受信手順と、
その無効化済みデータ受信手順にて受信した無効化済みの識別データを駐車場管理データベースへ格納する無効化済みデータ格納手順と、
前記のICカードから無効化された識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信する無効化済み識別データ受信手順と、
その無効化済み識別データ受信手順にて受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合する無効化データ照合手順と、
その無効化データ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させることとした請求項7から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両をデリバリして貸し出すサービスにおいて、サービス提供者の管理を軽減するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を複数のユーザが共同で使用するカーシェアリングシステムが、普及しつつある。
カーシェアリングを利用する利用者は、カーシェアリングの会員登録を済ませ、カーシェアリング用の自動車(シェアカー)を確保している駐車場に出向いて直接利用する。または、携帯電話やパーソナルコンピュータを用いて利用予定の時間帯などを事前に連絡する予約制度を活用する。
【0003】
図1を用いて、一般のカーシェアリングにおける利用予約時の情報処理についての典型例を説明する。
カーシェアリングサービスを提供する事業者は、事前に会員登録がなされた会員に対して、会員を識別するICカードたる会員カード(登録済みカード)を提供する。
会員ユーザは、自己に係るパソコンや携帯端末などの通信端末を介してインターネットを経由して予約管理システムに対し、予約データを送信する。予約システムにおけるカーシェア管理サーバは、利用を希望する車両(シェアカー)に対し、車両管理データベースを参照して希望時間枠を予約する。そして、予約が完了した場合、予約に係るシェアカーの車載機へ、予約データを送信する。
【0004】
会員ユーザは、予約時間に予約したシェアカーに赴き、その車両に備えられた会員識別装置に対してその識別装置に読み込まれた会員識別子を使って、予約条件と予約した会員である旨が照合された場合に、そのシェアカーが使用可能となる。
【0005】
多くのカーシェアリングの車両には、専用のカーナビゲーション装置を搭載している。また、カーシェアリングに用いる車両を管理するための車両管理サーバとの通信を実行する車載器を搭載している。そして、この車載器と車両管理サーバとの通信によって、車両の貸し出し、返却に関する管理を自動化(無人化)している。
【0006】
さて、本願発明に関連する先行技術を調査するため、以下の検索式にて検索したところ、128件がヒットした。
[車両/AC]*[注文/AC+発注/AC+要求/AC+要望/AC]*[管理/AC]*[デリバリ/AC+配車/AC]
その128件の中から、以下の2件を抽出した。
【0007】
特許文献1は、利用者による車両利用の自由度を向上させ得るカーシェアリングサービスシステム、より具体的には、予約をせず、時間を気にすることなく自由に車両を利用できるカーシェアリングサービスシステムを実現するため、以下のような構成を開示する。
すなわち、車両の利用時間を指定しない予約を受け付け、当該予約を行った利用者の所定の借受け操作に応じて当該車両の状態を利用可能な状態に切り替える。当該利用者が車両返却先として指定したステーションにおいて行った所定の返却操作に応じて、当該車両の状態を利用不可能な状態に切り替えるように、対応する車載機を制御する。同時に、その車両への予約受付を制限するのである。
【0008】
特許文献2は、タクシーの配車システムの受付フローにおいて、受付時間を短縮し、配車効率を向上させるため、以下のような構成とする。
すなわち、顧客から着信を受けると、顧客の電話番号を検出し、その電話番号が登録されている顧客情報の迎え先が複数ある場合、予め設定した推定条件に従って顧客の要望する迎え先を推定するのである。
【0009】
さて、車両の貸し出しについては、レンタカーサービスの発展系ともいえる図2に示すような「車両デリバリサービス」が考案され、実際の運用も始まっている。
このサービスは、たとえば、車両デリバリサービス業者が、○○駅南の駅前パーキングのオーナーと予め提携契約を締結するとともに、デリバリサービスを受けたい個人や法人が予め会員登録する。会員ユーザは、提携契約済みの駐車場を受け取り場所として、車両のレンタル開始時刻を指定して予約をする。車両デリバリサービス業者は、予約された指定場所へ、レンタル開始時刻までに車両を送り届け、その指定場所へ当該車両を一時的に駐停車させ、予約者に当該車両を使っていただくというサービスである。
【0010】
図2では、会員のMさんが「明日8:30に○○駅南の駅前パーキング(P1)へ車両1台のデリバリ」を発注した、としている。車両デリバリサービス業者は、予約が可能か否かを確認し、注文を承る。そして、予約時刻に間に合うように、且つ早すぎない時刻に、スタッフが車両を運転して届けることとしている。
なお、図2では、電話予約の様子を示しているが、端末を用いたインターネット予約であっても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2015−69584号公報
【特許文献2】特開2015−158851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
車両デリバリサービスの利用者は、自らが便利な駐車場をデリバリ先として指定する。例えば、図2では、駅前パーキング(P1)と、駅北パーキング(P2)とを図示している。そして、会員のMさんは、デリバリ先として駅前パーキング(P1)を指定している。この後の流れを、図3とともに説明する。
車両デリバリサービス業者は、Mさんに指定された車両Yを駅前パーキング(P1)へ指定された時刻前に駐車する(1)。Mさんは、予約に係る時刻に駅前パーキング(P1)へ出向き、車室Lに停められた車両Yへ乗車して駅前パーキング(P1)を出庫する(4)。この出庫に対して、車両デリバリサービス業者は、Mさんが駐車料金を精算しなくても済むようにしたい。
【0013】
Mさんが駐車料金を精算しなくても済むようにするための手法として、様々なやり方が考えられる。たとえば、車両デリバリサービス業者と駐車場オーナー(または駐車場管理会社)とは別の主体であることが多いので、図3に示すようなやり方となるのが一般的である。
すなわち、デリバリ・スタッフが車両Yをデリバリして駐車するのであるが、「駅前パーキング専用パスカード(P1−C1)」を予め準備しておき、そのカードにて入庫し、車両Yの車内の所定の場所へ設置しておく(1)。
予約者は、車両Y内へ置かれた「駅前パーキング専用パスカード(P1−C1)」を用いて、駅前パーキングの精算機を通過することで、駐車料金の精算をせずに済む(4)。実際には、その駅前パーキング専用パスカード(P1−C1)での入出庫を精算機が把握し、駐車場オーナー(または駐車場管理会社)が車両デリバリサービス業者へ駐車料金を請求する。
【0014】
さて、図3に示した手法を採用する場合、車両デリバリサービスの運営者としては、駐車場毎に専用パスカードを準備し、管理しなければならない。
すなわち、デリバリ先である駐車場が、図2に示す「駅北パーキング」であれば、「駅北パーキング専用パスカード(P2−C1)」が必要になるのである。すると、物理的な「駅北パーキング専用パスカード(P2−C1,2,3,・・・)」の製造、デリバリ・スタッフが車両Yへそのカード(P2−C1,2,3,・・・のいずれか)を間違いなく設置するという業務、会員Mさんが車両Yを使い終わった後でのカード回収、回収後のカード管理、といった管理実務が発生することとなる。
上記の管理業務は、デリバリ先である駐車場(P1,P2,・・・)の数が増えると、複雑化し、前記の業務または管理実務に誤りが発生する頻度も高まってしまうおそれがある。
【0015】
なお、車両デリバリサービスでは、ユーザが所望する駐車場へユーザが所望する車両を運んで駐車させ、利用してもらうという準備が必要である。よって、カーシェアリングのように事前にユーザへ配布されて会員カードにて管理実務を完結させるのは困難である。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、駐車場提供サービスと連携した車両デリバリサービス業において、車両管理を合理的に運営が可能となる情報処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
会員カードとして登録済みの会員へ配布しているICカードと同じフォーマットにてデータの書き込みや読み出しができるICカードを活用して、車両デリバリサービスの利用開始拠点となる駐車場の円滑な出庫と、そのICカードの管理実務とを合理化する。
【0018】
(第一の発明)
第一の発明は、車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバに係る(図4,12参照)。
すなわち、前記のデリバリ対象車両にて携行されるICカードの識別データ(たとえばカード番号)を入力する端末(デリバリ拠点パソコン)から前記の識別データを受信する無料出庫用データ受信手段と、
その無料出庫用データ受信手段が受信した識別データを格納する駐車場管理データベースと、
前記のICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信するカードデータ受信手段と、
そのカードデータ受信手段が受信した識別データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合するためのカードデータ照合手段と、
そのカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手段と、
を備えた駐車場管理サーバである。
【0019】
(用語説明)
「車両デリバリサービス」とは、カーシェアリングを管理運営するサービスやレンタカーを運営管理するサービスにおける発展形として、車両を使いたいユーザが希望する時刻と場所へサービス対象車両を事前に運搬するサービスを指すものとする。運搬の際には、ユーザが指定する駐車場をキャッシュレスで出庫できるように設定したICカードがそのサービス対象車両へ携行される。
「デリバリ対象車両」とは、デリバリされる車両のことであり、サービス対象車両のことである。カーシェアリングサービスとの共用車であれば「シェアされる車両(シェアカー)」、カーレンタルサービスとの共用車であれば「レンタルされる車両(レンタカー)」を指すものとする。
デリバリ対象車両の利用を希望する「ユーザ」は、カーシェアリングサービスであれば、予め属性データを提供して会員登録をした会員ユーザであることが一般的であるが、車両デリバリサービスの場合には、予めの会員登録はなくても利用できる。ただし、管理運営上、車両デリバリサービスを利用するユーザも会員登録していることが望ましい(後述する実施形態においても、車両デリバリサービスを利用するユーザも会員登録していることとして説明している)。
「サーバ」には、演算装置としてのCPU、無線通信またはシリアル通信などによってデータを入力するデータ入力装置、演算の対象となるデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリ、データ蓄積のための不揮発性メモリ(たとえば、ハードディスクドライブ)などを備える。
【0020】
(作用)
デリバリ対象車両にて携行されるICカードの識別データを入力する端末から送信されてくる前記の識別データを無料出庫用データ受信手段が受信する。 受信した識別データは、駐車場管理データベースが格納する。
デリバリ対象車両が対象駐車場データに係る駐車場を出庫する際、その運転者は設置されたICカードをその駐車場の精算機へ投入する。すると、その精算機は、ICカードの識別データを読み込んで駐車場管理サーバへ送信する。その精算機から送信されてきた場合には、前記の識別データをカードデータ受信手段が受信する。
そのカードデータ受信手段が受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを、カードデータ照合手段が前記の駐車場管理データベースに格納された無料出庫用データと照合する。
そのカードデータ照合手段が照合した結果は、照合結果送信手段が前記の精算機へ送信する。適正なデータであれば精算が終了し、デリバリ対象車両は出庫できる。適正なデータではない場合には、運転者が精算を済ませて出庫することとなる。
【0021】
デリバリ拠点においては、識別データを固有に備えたICカードを備えていれば、その識別データを用いて無料出庫を可能とするような準備が可能となる。すなわち、駐車場毎に無料出庫用カードを揃えたり、それを管理したりする必要がなくなる。
【0022】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成することもできる。
すなわち、車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバに係る(図5,13参照)。
前記のデリバリ対象車両にて携行されるICカードの識別データ(たとえばカード番号)を所定の端末(デリバリ拠点パソコン)へ送信する無料出庫用データ送信手段と、
その無料出庫用データ送信手段が送信した識別データを格納する駐車場管理データベースと、
前記のICカードの識別データが前記の対象駐車場データに係る駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信するカードデータ受信手段と、
そのカードデータ受信手段が受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納された無料出庫用データと照合するためのカードデータ照合手段と、
そのカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手段と、
を備えた駐車場管理サーバである。
【0023】
(作用)
デリバリ対象車両にて携行されるICカードの識別データ(たとえばカード番号)を駐車場管理サーバの無料出庫用データ送信手段が所定の端末(デリバリ拠点パソコン)へ送信する。その無料出庫用データ送信手段が送信した識別データは、駐車場管理データベースが格納しておく。
ICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に、カードデータ受信手段が前記の識別データを受信する。
デリバリ対象車両が対象駐車場データに係る駐車場を出庫する際、その運転者は設置されたICカードをその駐車場の精算機へ投入する。すると、その精算機は、ICカードの識別データを読み込んで駐車場管理サーバへ送信する。その識別データが送信されてきたら、カードデータ受信手段が受信する。
そのカードデータ受信手段が受信した識別データが適正なデータであるか否かを、カードデータ照合手段が前記の駐車場管理データベースに格納された識別データと照合する。
そのカードデータ照合手段が照合した結果は、照合結果送信手段が前記の精算機へ送信する。適正なデータであれば精算が終了し、デリバリ対象車両は出庫できる。なお、適正なデータではない場合には、運転者が精算を済ませて出庫することとなる。
【0024】
デリバリ拠点がICカードを管理するのではなく、駐車場管理サーバが、ICカードを管理し、デリバリ拠点へ関連データを送信することとしている。
デリバリ拠点においては、識別データを固有に備えたICカードを備えていれば、その識別データを用いて無料出庫を可能とするような準備が可能となり、駐車場毎にカードを揃えたり、それを管理したりする必要がなくなる。
【0025】
(第二の発明)
第二の発明もまた、車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバに係る(図7参照)。
すなわち、デリバリ対象車両に携行させることで前記の駐車場での入出庫を管理するためのICカードへ前記の駐車場での入出庫が可能であるような無料出庫用データを書き込む無料データ書込手段(α,β)と、
その無料データ書込手段が書き込んだ無料出庫用データを駐車場管理データともに格納する駐車場管理データベースと、
前記のICカードに書き込まれた前記の無料出庫用データが前記の駐車場の精算機から送信されてきた場合にその無料出庫用データを受信するカードデータ受信手段と、
そのカードデータ受信手段が受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納された無料出庫用データと照合するためのカードデータ照合手段と、
そのカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手段と、
を備えた駐車場管理サーバである。
【0026】
(作用)
デリバリ対象車両に携行させることで前記の駐車場での入出庫を管理するためのICカードへ前記の駐車場での入出庫が可能であるような無料出庫用データを、無料データ書込手段(α,β)が書き込む。 その無料データ書込手段(α)が書き込んだ無料出庫用データは、駐車場管理データともに駐車場管理データベースへ格納される。 そのICカードに書き込まれた前記の無料出庫用データは、前記の駐車場の精算機から送信されてきた場合に、その無料出庫用データをカードデータ受信手段が受信する。
そのカードデータ受信手段が受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを、カードデータ照合手段が前記の駐車場管理データベースに格納されたデータと照合する。 そのカードデータ照合手段が照合した結果は、照合結果送信手段が前記の精算機へ送信する。 照合した結果、一致していれば、精算機におけるその場での精算は不要である旨として処理され、たとえば、ゲートが開くなどしてデリバリ対象車両は出庫できる。
【0027】
カードの種類を使い分けるのではなく、ICカードへ無料出庫用データを書き込み、そのICカードにて無料出庫を可能とする。そのため、カードの種類が増えることなく、カードの管理が簡素化できる。
また、無料出庫用データに加え、他の情報(運転者へ伝えたいことなど)を同時に書き込むこともできる。
【0028】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成した駐車場管理サーバとすることもできる(図6参照)。
すなわち、前記の無料データ書込手段(β)から無料出庫用データを受信する無料データ受信手段を備えることとしてもよい。
【0029】
(作用)
無料データ受信手段は、無料出庫用データをICカードへ書き込んだ無料データ書込手段から、その無料出庫用データを受信する。
すなわち、前記の無料データ書込手段(β)は、駐車場管理サーバとは別の場所に設置することができる。
【0030】
(第一および第二の発明のバリエーション1)
第一および第二の発明は、以下のように形成してもよい(図8参照)。
すなわち、予め会員登録をした会員ユーザの属性データやサービス代金の決済方法などのデータを蓄積する会員データベースと、
会員ユーザに係る端末からデリバリ対象車両の利用を予約する予約データを受信する予約データ受信手段と、を備え、
前記の予約データには、その会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記の予約データ受信手段が受信した予約データは、前記の駐車場管理データベースへ格納し、
前記のカードデータ受信手段は、前記の会員IDを受信し、
前記のカードデータ照合手段は、前記のカードデータ受信手段が受信した会員IDと前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDとを照合することとする。
【0031】
(用語説明)
「予約データ」には、デリバリを希望する場所と時刻のほか、借りる日時および返却の日時、希望する車種、台数などを含む。
【0032】
(作用)
本バリエーションに係るデリバリサービスを利用するには、予めの会員登録が必要となる。その会員登録の際に、ユーザは、自らの属性データやサービス代金の決済方法などのデータを登録し、そのデータは会員データベースが蓄積する。
会員登録を済ませた会員ユーザは、自らに係る端末からデリバリ対象車両の利用を予約するための予約データを会員IDとともに送信し、その予約データを予約データ受信手段が受信する。受信した予約データは、駐車場管理データベースへ格納される。
その会員ユーザがデリバリ対象車両を出庫させようという場合、出庫しようという駐車場の精算機から会員IDが送信されてくるので、その会員IDをカードデータ受信手段が受信する。その受信した会員IDと前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDとを、カードデータ照合手段が照合する。そして、照合結果が是であれば、デリバリ対象車両の出庫が可能となる。
【0033】
(第一および第二の発明のバリエーション2)
第一および第二の発明は、以下のように形成してもよい(図9参照)。
すなわち、前記の予約データ受信手段は、別の駐車場を利用する旨の予約データをも受信可能であり、
その予約データにも、その会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記の会員データベースには、前記のカードデータ照合手段による照合結果が是である場合には、当該別の駐車場利用の代金に関する料金データを格納することとしてもよい。
【0034】
会員ユーザがデリバリ対象車両を使って移動し、別の駐車場が必要となった場合に、当該別の駐車場の予約データを予約データ受信手段が受信する。その予約データにも会員IDが含まれる。その予約データは会員データベースへ格納される。
会員ユーザがデリバリ対象車両を、その駐車場から出庫させる場合、出庫しようという駐車場の精算機から会員IDが送信されてくるので、その会員IDをカードデータ受信手段が受信する。その受信した会員IDと前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDとを、カードデータ照合手段が照合する。そして、照合結果が是であれば、料金データは、会員データベースへ送信され、デリバリ対象車両の出庫が可能となる。
【0035】
会員としては、デリバリ車両を利用するのみではなく、駐車場を利用した対価についても後精算が可能となる。そのため、キャッシュレスで駐車場を利用できる。
【0036】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することもできる(図14参照)。
すなわち、前記のデリバリ対象車両が所望された駐車場を前記のICカードを用いて出庫した場合において、そのICカードを再び用いて出庫することができないように無効化するための駐車場管理サーバに係る。
前記のICカードの識別データを入力する端末(デリバリ拠点パソコン)から前記の識別データを受信する無効化用データ受信手段と、
その無効化用データ受信手段が受信した識別データに係る無料データを無効化して前記の駐車場管理データベースへ格納するカード無効化手段と、
を備える。
そして、前記のカードデータ受信手段は、前記のICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信する。前記のカードデータ照合手段は、前記のカードデータ受信手段が受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合する。前記の照合結果送信手段は、前記のカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信するように形成する。
【0037】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成することもできる(図15参照)。
すなわち、前記のデリバリ対象車両が所望された駐車場を前記のICカードを用いて出庫した場合において、そのICカードを再び用いて出庫することができないように無効化するための駐車場管理サーバに係る。
前記のICカードの識別データを入力するとともに、その識別カードに係る無料データを無効化した端末から無効化に係る識別データを受信する無効化済みデータ受信手段を備える。
その無効化済みデータ受信手段が受信した無効化に係る識別データは、前記の駐車場管理データベースへ格納する。
前記のカードデータ受信手段は、前記のICカードの識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信する。 前記のカードデータ照合手段は、前記のカードデータ受信手段が受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合する。
そして、前記の照合結果送信手段は、前記のカードデータ照合手段が照合した結果を前記の精算機へ送信するように形成する。
【0038】
(第三の発明)
第三の発明は、車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る(図4,12参照)。
そのコンピュータプログラムは、前記のデリバリ対象車両にて携行されるICカードの識別データ(たとえばカード番号)を入力する端末(デリバリ拠点パソコン)から前記の識別データを受信する無料出庫用データ受信手順と、
その無料出庫用データ受信手段が受信した識別データを駐車場管理データベースへ格納する無料出庫用データ格納手順と、
前記のICカードの識別データが前記の駐車場の精算機から送信されてきた場合にその識別データを受信するカードデータ受信手順と、
そのカードデータ受信手順にて受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納された識別データと照合するためのカードデータ照合手順と、
そのカードデータ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させる。
【0039】
(第三の発明のバリエーション)
第三の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る(図5,13参照)。
そのコンピュータプログラムは、前記のデリバリ対象車両にて携行されるICカードの識別データ(たとえばカード番号)を所定の端末(デリバリ拠点パソコン)へ送信する無料出庫用データ送信手順と、
その無料出庫用データ送信手順にて送信した識別データを駐車場管理データベースへ格納する無料出庫用データ格納手順と、
前記のICカードの識別データが前記の対象駐車場データに係る駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信するカードデータ受信手順と、
前記のICカードの識別データが前記の駐車場の精算機から送信されてきた場合にその識別データを受信するカードデータ受信手順と、
そのカードデータ受信手順にて受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納された識別データと照合するためのカードデータ照合手順と、
そのカードデータ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させる。
【0040】
(第四の発明)
第四の発明は、車両デリバリサービスにおいてユーザがデリバリを所望された車両たるデリバリ対象車両が所望された駐車場を出庫できるようにするための駐車場管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る(図6参照)。
そのコンピュータプログラムは、デリバリ対象車両に携行させることで前記の駐車場での入出庫を管理するためのICカードへ前記の駐車場での入出庫が可能であるような無料出庫用データを書き込む無料データ書込手順と、
その無料データ書込手順にて書き込んだ無料出庫用データを駐車場管理データともに駐車場管理データベースへ格納する無料出庫用データ格納手順と、
前記のICカードに書き込まれた前記の無料出庫用データが前記の駐車場の精算機から送信されてきた場合にその無料出庫用データを受信するカードデータ受信手順と、
そのカードデータ受信手順にて受信した無料出庫用データが適正な無料出庫用データであるか否かを前記の駐車場管理データベースに格納されたデータと照合するためのカードデータ照合手順と、
そのカードデータ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させる。
【0041】
(第四の発明のバリエーション1)
第四の発明は、前記の無料データ書込手段から無料出庫用データを受信する無料データ受信手順をも実行することとしてもよい。
【0042】
(第三および第四の発明のバリエーション1)
第三および第四の発明は、以下のように形成してもよい(図8参照)。
すなわち、予め会員登録をした会員ユーザの属性データやサービス代金の決済方法などのデータを会員データベースへ蓄積する会員データ蓄積手順と、
会員ユーザに係る端末からデリバリ対象車両の利用を予約する予約データを受信する予約データ受信手順と、
その予約データ受信手順にて受信した予約データを、前記の駐車場管理データベースへ格納する予約データ格納手順と、
を駐車場管理サーバに実行させるものであり、
前記の予約データには、その会員ユーザを特定するための会員IDを含み、
前記のカードデータ照合手順は、前記のカードデータ受信手段が受信した会員IDと前記の駐車場管理データベースへ格納された予約データに含まれる会員IDとを照合することとしてもよい。
【0043】
(第三および第四の発明のバリエーション2)
第三および第四の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、会員ユーザを特定するための会員IDを含んだ別の駐車場を利用する旨の予約データを受信する別駐車場予約データ受信手順と、
その別駐車場予約データを前記の会員データベースへ格納する別駐車場予約データ格納手順と、を含み、
別の駐車場を出庫する際に精算機から送信されるカード内データを受信するカード内データ受信手順と、
そのカード内データに含まれる会員IDと前記の会員データベースへ格納された別駐車場予約データに含まれる会員IDとを照合する別駐車場出庫用カードデータ照合手順と、
その別駐車場出庫用カードデータ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する別駐車場出庫データ照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0044】
(第三および第四の発明のバリエーション3)
第三および第四の発明は、無料出庫に使われたICカードが誤って使われたり、不正に利用されたりすることを未然に防止するため、以下のように形成してもよい。
すなわち、無料出庫に使われたICカードの識別データを入力する端末から前記の識別データを受信する無効化用データ受信手順と、
その無効化用データ受信手順にて受信した識別データに係る無料データを無効化する無効化手順と、
その無効化手順にて無効化された識別データを前記の駐車場管理データベースへ格納する無効化済みデータ格納手順と、
前記のICカードから無効化された識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信する無効化済み識別データ受信手順と、
その無効化済み識別データ受信手順にて受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合する無効化データ照合手順と、
その無効化データ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0045】
(第三および第四の発明のバリエーション4)
第三および第四の発明は、無料出庫に使われたICカードが誤って使われたり、不正に利用されたりすることを未然に防止するため、以下のように形成してもよい。
すなわち、無料出庫に使われたICカードの識別データを無効化した端末からその無効化済みの識別データを受信する無効化済みデータ受信手順と、
その無効化済みデータ受信手順にて受信した無効化済みの識別データを駐車場管理データベースへ格納する無効化済みデータ格納手順と、
前記のICカードから無効化された識別データが駐車場の精算機から送信されてきた場合に前記の識別データを受信する無効化済み識別データ受信手順と、
その無効化済み識別データ受信手順にて受信した識別データが無効化されたデータであるか否かを前記の駐車場管理データベースにて照合する無効化データ照合手順と、
その無効化データ照合手順にて照合した結果を前記の精算機へ送信する照合結果送信手順と、
を駐車場管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0046】
第三および第四の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−R、CD−RW、MO(光磁気ディスク)、DVD−R、DVD−RW、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
なお、第三および第四の発明に係るコンピュータプログラムは、駐車場管理サーバに備えられた演算装置としてのCPU、無線通信またはシリアル通信などによってデータを入力するデータ入力装置、演算の対象となるデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリ、データ蓄積のための不揮発性メモリ(たとえば、ハードディスクドライブ)などを用いて実行される。
【発明の効果】
【0047】
第一および第二の発明によれば、駐車場提供サービスと連携した車両デリバリサービス業において、車両管理を合理的に運営が可能となる車両管理サーバを提供することができた。
第三および第四の発明によれば、駐車場提供サービスと連携した車両デリバリサービス業において、車両管理を合理的に運営が可能となる車両管理サーバ制御用のコンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】一般のカーシェアリングの利用時における情報処理を示した概念図である。
図2】車両デリバリサービスの内容を示した概念図である。
図3】車両デリバリサービスにおける現実の運用を図示した概念図である。
図4】本発明に係る第一の実施形態におけるデリバリ車両が出庫する場合を示すブロック図である。
図5】本発明に係る第二の実施形態におけるデリバリ車両が出庫する場合を示すブロック図である。
図6】本発明に係る第三の実施形態におけるデリバリ車両が出庫する場合を示すブロック図である。
図7】本発明に係る第四の実施形態におけるデリバリ車両が出庫する場合を示すブロック図である。
図8】本発明に係る第五の実施形態におけるデリバリ車両が出庫する場合を示すブロック図である。
図9】本発明に係る第六の実施形態におけるデリバリ車両が出庫した後に、別の駐車場を利用する場合を示すブロック図である。
図10】車両デリバリサービスを予約する場合を示すブロック図である。
図11】車両デリバリサービスの運用に際して、ロボットカーが用いられた場合の運用を示す概念図である。
図12】第一の実施形態をより簡素化した実施形態におけるデリバリ車両が出庫する場合を示すブロック図である。
図13】第二の実施形態をより簡素化した実施形態におけるデリバリ車両が出庫する場合を示すブロック図である。
図14】第一の実施形態においてデリバリ車両が出庫した後の処理を示すブロック図である。
図15】第一の実施形態においてデリバリ車両が出庫した後の処理を示すブロック図である。
図16】第二の実施形態においてデリバリ車両が出庫した後の処理を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。ここで使用する図面は、図4から図16である。車両デリバリの説明として図3などの従来技術も参照する。
以下、車両デリバリサービスに用いる自動車を「デリバリ対象車両」とする。また、図中の「DB」は、「データベース」を略記したものである。
「駐車場管理データベース」とは、管理対象となっている駐車車室について駐車が可能か、などについて、車室の一室ずつを管理するデータを格納し、常に最新データへ更新している。
【0050】
本実施形態において説明する車両デリバリサービスを利用するには、管理および運営上の都合から、まず会員登録を済まさなければならないこととしている。すなわち、以下の実施形態に示すサービスを受けることができる「デリバリ予約者」や「ユーザ」は、全て会員登録を済ませている「会員ユーザ」となる。
【0051】
会員登録は、氏名や住所の他、利用料金の支払い口座などの会員データを予め登録する。その登録データは、会員データベース(図8)へ蓄積されるとともに、会員であることを認証するためのICカード(図8中「登録済み会員カード」と表している)が発行される。このICカードには、そのユーザが会員であることを認証するために必要なデータがICチップへ格納されたIDとなるカードであり、デリバリ対象車両に搭載されたカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことでそのデータが読み取れるようになっている。施錠されているデリバリ対象車両の解錠も、前記の登録済みカードにて行うことができる。
【0052】
図4
図4は、デリバリ対象車両を会員ユーザが所望する駐車場へ予約された時刻までに届けるデリバリ拠点、および前述の駐車場管理データベースを備える駐車場管理サーバの関係を示す図4(a)と、会員ユーザが所望する駐車場から会員ユーザが出庫させる際にその駐車場の精算機および前記の駐車場管理サーバの関係を示す図4(b)を図示している。
【0053】
デリバリ拠点には、デリバリ対象車両へ携行させるICカードと、そのICカードの管理をするためのデリバリ拠点パソコンとが備えられている。前記のICカードは、駐車場管理サーバにおいても管理対象として登録済みの識別データ(カード番号)が付与されている。
デリバリサービスの予約が入った場合、その予約に係るデリバリ先となる駐車場を特定するための対象駐車場データ(図4では、「P1」)と、そのデリバリ先へデリバリする車両へ携行させる所定のICカードのカード番号(図4では、「345678」)とを、デリバリ拠点パソコンにて入力する。図4に示す実施形態では、入力の省力化のため、カードリーダを用いることとして説明している。そして、そのカード番号および対象駐車場データを、駐車場管理サーバへ送信する(1)。
【0054】
駐車場管理サーバにおいては、前記のデリバリ対象車両にて携行されるICカードのカード番号(345678)および無料出庫される駐車場を特定するための対象駐車場データ(P1)を、無料出庫用データ受信手段が受信する。そして、受信した識別データおよび対象駐車場データを、無料出庫用データとして駐車場管理データベースが格納する(2)。
【0055】
車両デリバリサービスを予約したユーザが、予約した駐車場に出向いて予約に係るデリバリ対象車両へ乗車し、運転を開始する。その駐車場を出庫させる際には、その車両へ携行されているICカードを、その駐車場の精算機へ挿入する(3)。
精算機は、そのICカードのカード番号および対象駐車場データを駐車場管理サーバへ送信する(4)。ICカードの識別データが対象駐車場データに係る駐車場の精算機から送信されてきた場合に、その識別データおよび対象駐車場データをカードデータ受信手段が受信する。
【0056】
カードデータ受信手段が受信した無料出庫用データが適正なデータであるか否かを、カードデータ照合手段が前記の駐車場管理データベースに格納された無料出庫用データと照合する(5)。そのカードデータ照合手段が照合した結果は、照合結果送信手段が前記の精算機へ送信する(6)。
照合して一致していればゲートが開放され、デリバリ対象車両は出庫できる(7)。照合した結果が不一致などの場合には、会員ユーザが駐車料金を精算し、デリバリ対象車両が出庫することとなる。
【0057】
デリバリ拠点においては、識別データを固有に備えたICカードを備えていれば、その識別データを用いて無料出庫を可能とするような準備が可能となる。従来のように、駐車場毎に無料出庫用カードを揃えたり、それを管理したりする必要がなくなる。
【0058】
図12
図4では、無料出庫用データを、登録済みカードのカード番号に加えて、出庫する駐車場を特定するための対象駐車場データとしていた。しかし、カード番号が唯一無二であるため、対象駐車場データを省略しても、駐車場毎に無料出庫用カードを揃える必要がない、という効果を得ることができる。それを示すのが、図12である。
【0059】
図12に示すシステムでは、図4に係る駐車場管理データベースにおいて備えられていた駐車場と精算機の対応テーブルも省略される。
【0060】
図5
図5は、第二の実施形態を示している。
図4に示した第一の実施形態との違いは、第一の実施形態ではデリバリ拠点パソコンが駐車場管理サーバへ送信していた無料出庫用データを、第二の実施形態においては駐車場管理サーバからデリバリ拠点パソコンへ発信する点である。それ以外の点は、特に異ならないので、説明を省略する。
第二の実施形態によれば、駐車場管理サーバ側において、デリバリ拠点の運営を管理することができる。
【0061】
図13
なお、第二の実施形態においても、対象駐車場データを省略して運用することができる。それを示すのが図13である。
図13に示すシステムにおいても、図5に係る駐車場管理データベースにおいて備えられていた駐車場と精算機の対応テーブルが省略される。
【0062】
図6
図6は、第三の実施形態を示す。
車両デリバリの拠点においては、ICカードたる登録済みカード(β)に対するデータ書き込みやデータ読み取りが可能なカードリーダライターと、そのカードリーダライターへ書き込むデータの設定や管理を実行するためのデリバリ拠点パソコンとが備えられている(図6(a))。
また、図中の括弧内の数字は、動作手順を示す。
【0063】
あるデリバリ対象車両が、どの駐車場へデリバリされるのか、が決まったら、そのデリバリ対象車両へ搭載するICカードに対して、無料データ書き込み手段(β)が無料出庫用データを書き込む(1,2)。その書き込み動作は、デリバリ拠点パソコンからカードリーダを介して実行される(1,2)。その無料出庫用データには、そのデリバリ対象車両が貸し出される日付、車両特定用のIDなどのデータも含まれる。
【0064】
デリバリ拠点パソコンからは、駐車場管理サーバにも、無料出庫用データを送信する。駐車場管理サーバにおける無料データ受信手段がその無料出庫用データを受信し、駐車場管理データベースへ格納する。
無料出庫用データを書き込んだICカードは、デリバリ担当者がデリバリ対象車両へ載せ、予約に係る駐車場へ入庫させる。
【0065】
このデリバリ対象車両を、予約に係る会員ユーザが取りに来て、その駐車場から出庫させようとする場合(図6(b))、デリバリ対象車両に載せたICカードを、その駐車場の精算機へ挿入する(3)。
精算機は、挿入されたICカードに格納されていたカード内データを読み取り、駐車場管理サーバへ送信し、駐車場管理サーバのカードデータ受信手段が受信する(4)。
その受信したカード内データと、駐車場管理データベースへ格納されたデータとを用いて、カードデータ照合手段が照合する(5)。照合の結果については、照合結果送信手段が精算機へ送信する(6)。
照合の結果、適正なICカードからのカード内データであれば、精算機はゲートを開放し、デリバリ対象車両は出庫できる(7)。適正なデータではない場合には、駐車料金の精算をしなければ出庫することはできない(7)。
【0066】
第三の実施形態においては、ICカードの識別データを入力して使うのではなく、ICカードへのデータ書込をすることとしている点が、第一および第二の実施形態と異なる。
この相違点により、登録済みカード(β)に対して、デリバリした駐車場からの無料出庫ができるのみではなく、他の情報や特典を情報として書き込んでおくことができる。
たとえば、他の駐車場を割引料金で利用できたり、所定の飲食店で追加サービスを無料で利用できたり、といった情報などを書き込むことができる。
【0067】
デリバリ対象車両の返却時には、利用者(ユーザ)は、以下のように動作する。
すなわち、デリバリ対象車両を、原則として車両を受け取った駐車場における指定された駐車スペースへ停車させ、デリバリ対象車両のシフトレバーをパーキングモードにする。エンジンキーを抜き、グローブボックスをあける。グローブボックスの中には、エンジンキーを収納しておくキーボックスが設けられている。そのキーボックスへエンジンキーを挿入し、返却ポジションへ回す。登録済みカードをカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことで、デリバリ対象車両を施錠する。
【0068】
(車載装置)
詳細な図示は省略しているが、デリバリ対象車両に搭載されている車載機は、車両管理サーバとの無線通信のほか、車両解錠センサおよび多機能カーナビゲーション装置とのシリアル通信を行う。
多機能カーナビゲーション装置は、タッチパネルを備えており、車載機を介して送り込まれた各種のデータを用いての会員ユーザへのメッセージ表示や、会員の意思表示をタッチパネルによる入力の受付(サービス用ボタン表示)、その入力内容を車載機への送信、などを行うことができる。
カーナビゲーション機能を担保するため、GPS(Global Position System)を利用して現在位置データを取得している。そしてその現在位置データは、車載機を介して車両管理サーバへ送信する。
【0069】
図7
図7は、第四の実施形態を示している。
図6に示した第三の実施形態との違いは、ICカードへ書き込むべき無料出庫用データを駐車場管理サーバから発信する点である。
駐車場管理サーバにおける無料データ書き込み手段(β)は、デリバリ対象車両が届けられる駐車場の無料出庫が可能であるように、駐車場管理データベースへ無料出庫用データを設定し(1)、どのデータデリバリ拠点パソコンにもその無料出庫用データを送信する(2)。
【0070】
データデリバリ拠点パソコンにおいては、駐車場管理サーバから送信されてきた無料出庫用データを受信し、カードリーダライターを介して所定のICカードへそのデータを無料データ書込手段(β)が書き込む(3)。
以下の動作は、第三の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0071】
第四の実施形態によれば、駐車場管理サーバが無料出庫用データを作成し、管理する、という主導権を掌握している。
第四の実施形態においても、ICカードを統一し、カード内データによって管理することとしたので、管理業務がこれまでよりも合理化できる。
なお、第四の実施形態においても、予めの会員登録をしていないユーザであっても、車両デリバリサービスを利用することができる。
【0072】
図8
図8には、第五の実施形態を示す。
この第五の実施形態では、車両デリバリサービスを利用するには、予めの会員登録が必要である。登録したデータについては、駐車場管理サーバにおける会員データベースへ格納している。
会員登録をすると、会員としてサービスを利用する際に用いるICカードとして登録済みの会員カードが、その会員へ配達される。
【0073】
会員となったユーザは、会員カード(ID=54321)を用いて車両デリバリを予約する。その予約には、会員氏名、会員番号、予約日、予約車種、予約時刻、受け取り場所となる駐車場、などの必要事項を特定し、予約データとして送信する(1)。
駐車場管理サーバにおいては、予約データ受信手段がその予約データを受信する。そして、無料データ書き込み手段(α)を介して無料出庫用データ(図8中では「無料データ」と略記)とともに、会員データベースへ格納する。同時に、駐車場管理データベースにも格納する(2)。そして、予約を受け付けた旨の予約受付データを、予約受付データ送信手段にて、ユーザに係る端末へ送信する(3)。
【0074】
会員ユーザが、予約に係る車両に乗車し、駐車場から出庫させる場合(図8(b))、精算機へ会員カードを挿入する(4)。精算機はその会員カードのカード内データを読み取り、駐車場管理サーバへ送信する(5)。
駐車場管理サーバのカードデータ受信手段が受信したら、駐車場管理データベースへ格納されているデータと、カードデータ照合手段が照合する(6)。そして、照合の結果については、照合結果送信手段が精算機へ送信する(6)。
照合の結果、適正なICカードからのカード内データであれば、精算機はゲートを開放し、デリバリ対象車両は出庫できる(7)。適正なデータではない場合には、駐車料金の精算をしなければ出庫することはできない(7)。
【0075】
第五の実施形態によれば、会員に配布した会員カードにて出庫の際の駐車場精算が可能なので、デリバリ拠点によるカードの管理もいらなくなる。
加えて、デリバリ対象車両を運転して、他の駐車場を利用する場合にも、キャッシュレスでの出庫が可能となる。これを図9とともに説明する。
【0076】
図9
図9は、デリバリされた駐車場を出た後、別の駐車場を予約し(図9(a))、その予約に係る駐車場を出庫させるまでを示している(図9(b))。
会員ユーザは、デリバリ対象車両から所定の駐車場を予約する旨の予約データを送信し、駐車場管理サーバにおける予約データ受信手段が之を受信する(1)。予約データは、駐車場管理データベースおよび会員データベースへ格納する(2)。そして、予約受付データ送信手段が、デリバリ対象車両へ予約完了の旨を送信する(3)。
【0077】
なお、詳細な説明を省略するが、デリバリ対象車両には、駐車場管理サーバとの通信が可能な車載機、およびカーナビゲーション装置を多機能化して駐車場管理サーバとの通信内容を画面表示するなどが可能な多機能カーナビゲーション装置が搭載されている。会員ユーザは、その多機能カーナビゲーション装置および車載機を用いることで、駐車場の検索や予約データの送信、予約完了の受信などが行える。
【0078】
新たに予約した駐車場を出庫させる際の情報処理については、図8(b)を用いて説明した場合とほぼ同様である。異なっているのは、カードデータ照合手段が照合した結果、会員ユーザが一致している場合には、その駐車場の料金を後精算(デリバリ車両の利用料金とともに一括精算)できるように、料金データを会員データベースへ格納させることである(8)。
【0079】
図10
図10は、車両デリバリ予約システム、すなわち車両デリバリサービスを会員が予約する場合について、概念的に説明している。
車両デリバリサービスの提供者は、駐車場の提供サービスに用いる駐車場管理データベースを内部に取り込んだ車両管理サーバの管理者として、この図では説明している。
ただし、駐車場管理データベースの管理者が別主体である場合も多い。その場合には、車両管理サーバは、物理的には内部に存在する駐車場管理データベースと通信することで、内部に存在するのと同じように機能させることとなる。
【0080】
車両デリバリサービスを利用しようとする会員に係る通信端末(携帯端末も含む)は、車両管理サーバとの無線通信が可能であるように、予め専用のアプリケーションをインストールしてある。そのアプリケーションは、カーシェアリングの予約、駐車場の予約などにも用いることができる。
ただし、専用のアプリケーションが必須であるとする必要はなく、車両管理サーバが予め把握しているメールアドレスにて、車両管理サーバからの連絡や確認用コードの受信などが可能である、としてもよい。
【0081】
車両デリバリサービスを実現するための車両管理サーバと、会員ユーザに係る情報端末と、デリバリ対象車両の車載機との間の情報処理や、各ハードウェアの機能・手段について、概念的に説明する。
車両管理サーバには、車両デリバリサービスの利用を希望する会員ユーザについての属性情報などを蓄積した会員データベースと、車両デリバリサービスに関わるデリバリ対象車両の運営管理データを蓄積したり更新したりする車両管理データベースと、車両デリバリサービスに関わる駐車場における運営管理データを蓄積したり更新したりする駐車場管理データベースと、を備えている。
【0082】
また、車両デリバリサービスを実際に運用(デリバリ対象車両を予約データに則って配車)するスタッフの運営管理のための人員管理データベースも備えている。この人員管理データベースは、配車要請処理サーバの中に位置することとして図10では説明する。
【0083】
会員ユーザは、自らに係る通信端末から車両デリバリサービスについての予約データを送信する。その予約データには、デリバリを希望する日時と場所、返却予定時刻、希望する車種などが含まれる。
会員ユーザの端末から送信された予約データは、車両管理サーバにおける予約データ受信手段が受信する。
予約データには、登録済みカードβのカード番号をあわせて送信する必要がある。会員データベースでの照合、利用料金の精算などに必要だからである。なお、前述したように、車両管理サーバから提供されている専用のアプリケーションを用いれば、入力作業は簡易化される。
【0084】
その予約データ受信手段が受信した予約データについて予約が可能であるか否か、予約可否判断手段が車両管理データベースおよび駐車場管理データベースを用いて判断する。
車両管理データベースを用いるのは、予約データに係る時間帯にデリバリをする車両が存在するか否かを確認するためである。
駐車場管理データベースをも用いるのは、前記の予約データが管理下にある駐車場へのデリバリである場合に、当該駐車場を管理している駐車場管理データベースへアクセスして当該予約データに係る時刻の前の時間帯に、空いている駐車スペースがあるか否かをも判断する必要があるからである。
【0085】
図10に示車両デリバリ予約システムにおいては、人員管理データベースへもアクセスし、車両デリバリが実際に可能なスタッフが確保できるかどうか、についても、検証する場合もある。そのことを、人員管理データベースと予約可否判断手段とを破線で結ぶことで示している。
【0086】
予約可否判断手段による判断結果は、予約可否出力手段を介して、会員ユーザの通信端末へ連絡する。以下、予約が可能である場合を説明する。予約が不可能である場合には、当然のことながら、以下の作用は行われない。
【0087】
予約が可能である場合には、配車予約データ出力手段を介して、配車要請処理サーバへ配車要請データ(予約データの内容が含まれる)を送信する。
配車要請データは、配車要請処理サーバの配車要請受信手段が受信する。そして、配車人員データ演算手段が、人員管理データベースへアクセスすることで、配車要請データの内容を実現するため、配車するスタッフを決定する。そして、この営業所において、実際に配車を実行する(図3(1))。
配車が完了したら、配車完了データ送信手段が、会員ユーザに係る通信端末へ配車完了の旨を送信する(図3(3))。
【0088】
予約可否出力手段は、デリバリ対象車両の車載機へも、予約データに係る日時や場所などについてのデータを送信しておくこととしてもよい。
なお、このデリバリ対象車両が無人運転可能車両(ロボットカー)であれば、予約データに係る日時や場所などについてのデータを送信しておくことで、配車を自動的に実行する。ロボットカーの運用については、図11を用いて後述する。
【0089】
図11
図11は、デリバリ対象車両が無人のロボットカーである場合であり、最初の駐車場を出庫させる際に用いるカードは会員カード(第五の実施形態と同じ)としている。
デリバリ用車両の駐車場から、駅前パーキングに対してロボットカーが、駅前パーキングまで自動運転して、所定のスペースへ駐車する(1)。同じ道を何度も通ることとなり、ロボットカーの試験運用には最適である。
【0090】
営業所では、ロボットカーからの通信データに基づき、駐車場における決められたスペースへ駐車したことを確認する(2)。そして、予約者に係る通信端末へ、デリバリが完了した旨を連絡する(3)。
駐車場から、デリバリ車両を会員が出庫させる場合には、精算機へ会員カードを挿入する(4)。すると、車両管理サーバにおける会員データベースへこの料金データが送信されるので、キャッシュレスで出庫が可能となる。
【0091】
図14
図14から図16には、デリバリ対象車両が無料出庫を既にした場合、その無料出庫に用いられた登録済みカードαが、再び無料出庫に用いられることを未然に防止するため、出庫用カード無効化システムを示している。
再び無料出庫に用いられる場合としては、たとえば、何らかの実務的な誤り(たとえば、デリバリ拠点のサービスマンがその登録済みカードの回収を失念した)があった場合や、デリバリ対象車両を利用したユーザが誤って、または不正に登録済みカードαを持ち去ってしまった場合、等があり得る。
【0092】
図14に示す出庫用カード無効化システムは、デリバリ対象車両をデリバリ拠点へ戻した場合に、そのデリバリ対象車両へ携行させた登録済みカードαを、デリバリ拠点のデリバリ拠点パソコンに接続されたカードリーダにてカード番号を読み取る。そして、そのカード番号および無料出庫させた駐車場を特定するデータを「無効化用データ」として、無効化用データ送信手段を用いて駐車場管理サーバへ送信する(1)。
無効化用データを受信した駐車場管理サーバにおける無効化用データ受信手段は、その無効化用データに対して、そのカード番号に紐付けられた対象駐車場データに関する無料出庫可能としているデータを、カード無効か手段が無効化する(2)。そして、駐車場管理データベースへ格納する。
【0093】
誤りまたは不正利用をするために、駐車場の精算機へ登録済みカードαが挿入されると(3)、その精算機からは、カード番号および精算機IDが駐車場管理サーバへ送信される(4)。そして、そのカード番号を、カードデータ照合手段駐車場管理データベースに格納されたデータと照合する(5)。
照合結果については、照合結果送信手段が送信する(6)。精算機から送信されたカード番号は、駐車場管理データベースにおいて既に無料出庫の対象ではない旨が格納されているので、料金の支払い手続がなされるまで、ゲートは閉鎖される(7)。
【0094】
図15
図15に示す出庫用カード無効化システムが図14と異なるのは、登録済みカードαに対する無効化の処理を、駐車場管理サーバが実行するのではなく、デリバリ拠点パソコンにて実行してしまう点である。
図15では、カード無効化手段を備え、そのカード無効化手段が無効化済みとしたカードの無効化済みデータ(カード番号および既に無料出庫した駐車場)を駐車場管理サーバへ送信する(1)。駐車場管理サーバでは、受信した無効化済みデータを駐車場管理データベースへ格納する。
その後、駐車場の精算機へ登録済みカードαが挿入された場合の処理については、図14と同じである。
【0095】
図16
図16に示す出庫用カード無効化システムが図14図15と異なるのは、無効化すべき登録済みカードの特定の段階から、駐車場管理サーバにて実行する点である。すなわち、デリバリ拠点パソコンでは、駐車場管理サーバにて無効化処理が実行された無効化済みデータを受信するのみとなる。
その後、駐車場の精算機へ登録済みカードαが挿入された場合の処理については、図14図15と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、カーシェアリングまたはレンタカーを管理運営するサービス業、カーシェアリングまたはレンタカーを実現するためのサポートをする情報通信サービス業、カーシェアリングまたはレンタカーの運営のためのコンピュータソフトウェアを作成するソフトウェア産業、カードクレジット業、旅行代理業、営業用車両の管理を委託される代行業などにおいて利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16