(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の先行技術では、ロアブラケットに対してリクライナ機構及びシートバックフレームを介して荷重が入力された場合、ロアブラケットにおいて上記2つの締結部位よりもシート上方側の部分がシート幅方向外側へ変形しようとする場合があるが、上記の係合部位には、上記の変形を抑える機能(効果)がない。このため、ロアブラケットとシートクッションフレームとの接続強度を十分に確保する観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ロアブラケットとシートクッションフレームとを十分な接続強度を確保しつつ容易に接続可能なシートフレームの締結構造及び車両用シート得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係るシートフレームの締結構造は、シートクッションフレームの後部に対して下部がシート幅方向外側から重ね合わされるロアブラケットと、前記ロアブラケットの上部に対して下部がリクライナ機構を介して連結されるシートバックフレームと、を備え、前記シートクッションフレームの前記後部と前記ロアブラケットの前記下部とは、シート前後方向に並ぶ2つの締結部において互いに締結固定されると共に、前記2つの締結部よりもシート上方側で
前記ロアブラケットの前記下部に設けられるフック部が
前記シートクッションフレームの前記後部に係止されることで互いに接続され
、前記フック部の先端部は、シート下方向きに屈曲した引掛爪とされ、当該引掛爪が前記シートクッションフレームの前記後部に対してシート幅方向内側から対向して配置される。
【0007】
請求項1に記載のシートフレームの締結構造では、シートクッションフレームの後部に対してロアブラケットの下部がシート幅方向外側から重ね合わされ、当該ロアブラケットの上部に対してシートバックフレームの下部がリクライナ機構を介して連結される。上記のシートクッションフレームの後部とロアブラケットの下部とは、シート前後方向に並ぶ2つの締結部において互いに締結固定されると共に、
ロアブラケットの下部に設けられたフック部が
シートクッションフレームの後部に係止されることで互いに接続される。これにより、前記フック部の代わりに締結部が設けられる構成と比較して、シートクッションフレームとロアブラケットとの接続作業が容易になる。
【0008】
しかも、上記のフック部は、上記2つの締結部よりもシート上方側、すなわちリクライナ機構側に設けられる。このため、ロアブラケットに対してリクライナ機構及びシートバックフレームを介して荷重が入力され、ロアブラケットにおいて上記2つの締結部よりもシート上方側の部分がシート幅方向外側へ変形しようとした場合でも、当該変形を上記のフック部により抑えることができる。これにより、ロアブラケットとシートクッションフレームとの接続強度を十分に確保し易くなる。
【0010】
このシートフレームの締結構造では、シートクッションフレームの後部に対してシート幅方向外側から重ね合わされるロアブラケットの下部に設けられたフック部が、シートクッションフレームの後部に係止される。上記のロアブラケットは、一般にシートクッションフレームよりも板厚が厚い材料によって製造されるため、フック部の強度確保が容易になる。
【0012】
このシートフレームの締結構造では、ロアブラケットの下部に設けられたフック部の先端部がシート下方向きに屈曲した引掛爪とされる。この引掛爪は、シートクッションフレームの後部に対してシート幅方向内側から対向して配置される。このため、シートクッションフレームへのロアブラケットの組付け時には、上記の引掛爪がシートクッションフレームの後部に対してシート幅方向内側から引っ掛かることにより、ロアブラケットをシートクッションフレームに仮保持することができる。これにより、組付け作業が容易になる。
【0013】
請求項
2に記載の発明に係るシートフレームの締結構造は、
シートクッションフレームの後部に対して下部がシート幅方向外側から重ね合わされるロアブラケットと、前記ロアブラケットの上部に対して下部がリクライナ機構を介して連結されるシートバックフレームと、を備え、前記シートクッションフレームの前記後部と前記ロアブラケットの前記下部とは、シート前後方向に並ぶ2つの締結部において互いに締結固定されると共に、前記2つの締結部よりもシート上方側で前記後部及び前記下部の一方に設けられるフック部が他方に係止されることで互いに接続され、前記フック部は、シート幅方向から見た場合に、前記2つの締結部の各中心点を結ぶ線分に平行で且つ前記リクライナ機構の外周に対してシート下方側から接する仮想線における前記外周との接点と、前記各中心点とを結ぶ三角形の内側に配置される。
【0014】
請求項
2に記載のシートフレームの締結構造では、ロアブラケットとシートクッションフレームとを接続するフック部が、上記三角形の内側に配置される。これにより、ロアブラケットに対してリクライナ機構及びシートバックフレームを介して荷重が入力された場合に、上記の接点と2つの締結部を起点としてロアブラケットが折れ曲がろうとすることを、上記のフック部により効果的に抑制することができる。
【0015】
請求項
3に記載の発明に係るシートフレームの締結構造は、
シートクッションフレームの後部に対して下部がシート幅方向外側から重ね合わされるロアブラケットと、前記ロアブラケットの上部に対して下部がリクライナ機構を介して連結されるシートバックフレームと、を備え、前記シートクッションフレームの前記後部と前記ロアブラケットの前記下部とは、シート前後方向に並ぶ2つの締結部において互いに締結固定されると共に、前記2つの締結部よりもシート上方側で前記後部及び前記下部の一方に設けられるフック部が他方に係止されることで互いに接続され、前記ロアブラケットの下部には、シート幅方向内側に凹んだ下側座面部が形成され、当該下側座面部が前記シートクッションフレームの前記後部に対して面接触され且つ前記2つの締結部及び前記フック部により前記後部に対して締結固定及び接続される。
【0016】
請求項
3に記載のシートフレームの締結構造によれば、ロアブラケットの下部には、シート幅方向内側に凹んだ下側座面部が形成される。そして、この下側座面部のシート幅方向内側面がシートクッションフレームの後部に対して面接触され、且つ2つの締結部及び前述したフック部によりシートクッションフレームの後部に対して締結固定及び接続される。これにより、ロアブラケットとシートクッションフレームとを、互いに面接触した部位で強固に接続することができ、当該接続部の強度及び剛性を確保し易くなる。
【0017】
請求項
4に記載の発明に係るシートフレームの締結構造は、請求項
3に記載のシートフレームの締結構造において、前記ロアブラケットの上部には、シート幅方向内側に凹んだ上側座面部が形成され、当該上側座面部のシート幅方向内側面が前記リクライナ機構に対して面接触され、前記上側座面部及び前記リクライナ機構の接触面と、前記下側座面部及び前記シートクッションフレームの接触面とが、同一面上に配置される。
【0018】
請求項
4に記載のシートフレームの締結構造によれば、ロアブラケットの上部には、シート幅方向内側に凹んだ上側座面部が形成され、当該上側座面部のシート幅方向内側面がリクライナ機構に対して面接触される。そして、上側座面部及びリクライナ機構の接触面と、下側座面部及びシートクッションフレームの接触面とが、同一面上に配置される。これにより、上記各接触面がシート幅方向にずれて配置される構成と比較して、上記各接触面に作用するモーメントが小さくなる。
【0019】
請求項
5に記載の発明に係る車両用シートは、シートクッションフレームを有するシートクッションと、前記シートクッションフレームの後部に対して下部がシート幅方向外側から重ね合わされるロアブラケットと、前記ロアブラケットの上部に対してリクライナ機構を介して連結されるシートバックフレームを有するシートバックと、を備え、前記シートクッションフレームの前記後部と前記ロアブラケットの前記下部とが、請求項1〜請求項
4の何れか1項に記載のシートフレーム
の締結構造によって互いに固定される。
【0020】
請求項
5に記載の車両用シートでは、シートクッションが有するシートクッションフレームの後部に対してロアブラケットの下部がシート幅方向外側から重ね合わされる。そして、シートバックが有するシートバックフレームがロアブラケットの上部に対してリクライナ機構を介して連結される。この車両用シートでは、上記のシートクッションフレームの後部とロアブラケットの下部とは、請求項1〜請求項
4の何れか1項に記載のシートフレーム
の締結構造によって互いに固定される。よって、請求項1〜請求項
4の何れか1項に記載の車両用シートと同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係るシートフレームの締結構造及び車両用シートでは、ロアブラケットとシートクッションフレームとを十分な接続強度を確保しつつ容易に接続することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1〜
図6を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印LHは、車両用シート10の前方向、上方向、左方向をそれぞれ示している。また、各図においては、図面を見易くする関係から、一部の符号を省略している場合がある。
【0024】
(構成)
図1〜
図6に示されるように、本実施形態に係る車両用シート10は、シートクッションフレーム16を有するシートクッション14と、シートバックフレーム28を有するシートバック26とを備えている。シートクッションフレーム16の後部には、ロアブラケットとしてのBブラケット50の下部50Lがシート幅方向外側から重ね合わされており、Bブラケット50の上部50Uには、リクライナ機構46を介してシートバックフレーム28の下部(後述するバックサイドフレーム30の下部30L)が連結されている。
【0025】
そして、シートクッションフレーム16の後部(後述するクッションサイドフレーム18の後部18R)とBブラケット50の下部50Lとが、本発明の実施形態に係るシートフレームの締結構造11によって互いに固定(接続)されている。上記のシートクッションフレーム16、シートバックフレーム28及びBブラケット50は、シートフレーム12を構成している。先ず、車両用シート10の全体構成の概略について説明し、その後に本実施形態の要部であるシートフレームの締結構造11について説明する。
【0026】
(車両用シートの全体構成)
シートクッション14は、骨格部材であるシートクッションフレーム16と、該シートクッションフレーム16に被せられた図示しないシートクッションパッドと、該シートクッションパッドに被せられた図示しないシートクッション表皮とを有している。シートバック26は、骨格部材であるシートバックフレーム28と、該シートバックフレーム28に被せられた図示しないシートバックパッドと、該シートバックパッドに被せられた図示しないシートバック表皮とを有している。
【0027】
シートクッションフレーム16は、シートクッション14の左右の側部に配設された左右一対のクッションサイドフレーム18と、左右のクッションサイドフレーム18の前部18Fをシート幅方向(シート左右方向)に繋いだフロントフレーム20と、左右のクッションサイドフレーム18の後部18Rをシート幅方向に繋いだリヤフレーム22(
図3及び
図4参照)とを有している。左右のクッションサイドフレーム18及びフロントフレーム20は、例えば金属製の板材がプレス成形されて製造されたものであり、リヤフレーム22は、例えば金属製のパイプ材によって製造されたものである。このシートクッションフレーム16は、左右のスライドレール24を介して図示しない車両の床部に連結される。
【0028】
シートバックフレーム28は、シートバック26の左右の側部に配設された左右一対のバックサイドフレーム30と、左右のバックサイドフレーム30の上部30Uをシート幅方向(シート左右方向)に繋いだアッパフレーム32(
図2参照)と、左右のバックサイドフレーム30の下部30Lをシート幅方向に繋いだロアフレーム34(
図2参照)と、シートバック26の背面側に配設されたバックパネル36とを有している。左右のバックサイドフレーム30、アッパフレーム32及びバックパネル36は、例えば金属製の板材がプレス成形されて製造されたものであり、ロアフレーム34は、例えば金属製のパイプ材によって製造されたものである。
【0029】
図1及び
図2に示されるように、バックパネル36の上部におけるシート幅方向の一方側(ここでは右方側)には、3点式シートベルト装置のシートベルトリトラクタ40が固定されている。このシートベルトリトラクタ40の図示しない巻取軸には、車両用シート10に着座した乗員によって装着される図示しないウェビングの長手方向一端部が係止されている。このウェビングは、シートベルトリトラクタ40のシート上方側でシートバックフレーム28の上端部に固定されたベルトガイド42に巻き掛けられている。
【0030】
図2に示されるように、左右のバックサイドフレーム30のうちの一方(ここでは左側のバックサイドフレーム30)の下部30Lは、左右のクッションサイドフレーム18のうちの一方(ここでは左側のクッションサイドフレーム18)の後部18Rに対して連結軸44を介して回転可能に連結されている。この連結軸44は、シート幅方向を軸方向として配置されている。
【0031】
また、左右のバックサイドフレーム30のうちの他方(ここでは右側のバックサイドフレーム30)の下部30Lには、リクライナ機構46が取り付けられている。このリクライナ機構46は、上記の連結軸44と同軸的に配置されている。このリクライナ機構46は、右側のバックサイドフレーム30の下部30Lに対してシート幅方向外側に重ね合わされており、溶接等の手段でバックサイドフレーム30の下部30Lに固定されている。このリクライナ機構46のシート幅方向外側には、Bブラケット50が配置されている。
【0032】
Bブラケット50は、例えば金属製の板材がプレス成形されて製造されたものであり、シート幅方向を板厚方向として配置された側壁部52と、側壁部52の前縁部からシート幅方向内側へ延出された前壁部54と、側壁部52の後縁部からシート幅方向内側へ延出された後壁部56とを有している。
【0033】
Bブラケット50の上部50UでBブラケット50の側壁部52には、シート幅方向内側に凹んだ上側座面部52Uが形成されている。この上側座面部52Uは、シート幅方向から見て略円形状をなしている。この上側座面部52Uのシート幅方向内側面52U1(
図5参照)は、リクライナ機構46に対してシート幅方向外側から面接触されており、溶接等の手段でリクライナ機構46に固定されている。これにより、シートバックフレーム28がリクライナ機構46を介してBブラケット50の上部50Uに連結されている。
【0034】
Bブラケット50の下部50LでBブラケット50の側壁部52には、シート幅方向内側に凹んだ下側座面部52Lが形成されている。この下側座面部52Lは、シート幅方向から見て略三角形状をなしている。この下側座面部52Lのシート幅方向内側面52L1(
図5参照)は、クッションサイドフレーム18の後部18R(すなわちシートクッションフレーム16の後部)に対してシート幅方向外側から面接触されている。この下側座面部52Lの下部と、クッションサイドフレーム18の後部18Rとは、本実施形態に係るシートフレームの締結構造11によって互いに固定(接続)されている。
【0035】
(シートフレームの締結構造について)
本実施形態に係るシートフレームの締結構造11では、右側のクッションサイドフレーム18の後部18R(すなわちシートクッションフレーム16の後部)とBブラケット50の下部50Lとは、シート前後方向に並ぶ2つの締結部60、62において互いに締結固定されると共に、2つの締結部60、62よりもシート上方側でBブラケット50の下部50Lに設けられたフック部74が右側のクッションサイドフレーム18の後部18Rに係止されることで互いに接続されている。以下、詳細に説明する。なお、以下の説明では、右側のクッションサイドフレーム18を、単にクッションサイドフレーム18と称する。
【0036】
上記2つの締結部60、62においては、Bブラケット50の下側座面部52Lの下部及びクッションサイドフレーム18の後部18Rをシート幅方向外側から貫通した前後一対のボルト64、66が、クッションサイドフレーム18の後部18Rのシート幅方向内側面に固定された前後一対のウェルドナット68、70に螺合している。これにより、Bブラケット50の下部50Lがクッションサイドフレーム18の後部18Rに対して締結固定されている。
【0037】
なお、本実施形態では、Bブラケット50のシート幅方向外側には、例えば金属製の板材からなるプレート部材72が配置されている。このプレート部材72の上部は、下側座面部52Lの下部に対してシート幅方向外側から重ね合わされている。このプレート部材72の上部には、上記一対のボルト64、66が貫通しており、上記一対のボルト64、66を用いて上記のプレート部材72がBブラケット50及びシートクッションフレーム16に対して締結固定されている。
【0038】
下側座面部52Lの上部には、フック部(爪部)74が形成されている。このフック部74は、下側座面部52Lの一部(すなわちBブラケット50の下部50Lの一部)がシート幅方向内側へ切り起こされて形成されたものであり、シート幅方向内側へ突出している。このフック部74は、先端部がシート下方向きに屈曲した引掛爪74Aとされており、シート前後方向から見て鉤形状をなしている。
【0039】
このフック部74は、クッションサイドフレーム18の後部18Rに係止されている。具体的には、このフック部74は、クッションサイドフレーム18の後部18Rの上端部に形成された貫通孔76に対してシート幅方向内側から挿入されており、フック部74の引掛爪74Aがクッションサイドフレーム18の後部18R(ここでは貫通孔76の下縁部)に対してシート幅方向内側から対向して配置されている。これにより、Bブラケット50の下部50Lがクッションサイドフレーム18の後部18Rに対して接続(連結)されている。
【0040】
また、本実施形態では、
図5に示されるように、Bブラケット50の上側座面部52Uにおけるシート幅方向内側面52U1(すなわち上側座面部52Uとリクライナ機構46との接触面)と、下側座面部52Lのシート幅方向内側面52L1(すなわち下側座面部52Lとシートクッションフレーム16との接触面)とが、同一面上に配置されている。
【0041】
また、フック部74は、
図6に示されるように、シート幅方向から見た場合に、2つの締結部60、62の各中心点A、Bを結ぶ線分ABに平行で且つリクライナ機構46の外周46Pに対してシート下方側から接する仮想線VLにおける上記外周46Pとの接点Cと、上記各中心点A、Bとを結ぶ三角形ABCの内側に配置されている。
【0042】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0043】
本実施形態では、クッションサイドフレーム18の後部18Rに対してBブラケット50の下部50Lがシート幅方向外側から重ね合わされ、当該Bブラケット50の上部50Uに対してバックサイドフレーム30の下部30Lがリクライナ機構46を介して連結される。クッションサイドフレーム18の後部18RとBブラケット50の下部50Lとは、シート前後方向に並ぶ2つの締結部60、62において互いに締結固定されると共に、Bブラケット50の下部50Lに設けられたフック部74がクッションサイドフレーム18の後部18Rに係止されることで互いに接続される。これにより、上記2つの締結部60、62と同様の締結部が上記フック部74の代わりに設けられる構成と比較して、クッションサイドフレーム18とBブラケット50との接続作業が容易になる。
【0044】
しかも、上記のフック部74は、上記2つの締結部60、62よりもシート上方側、すなわちリクライナ機構46の側に設けられる。このため、Bブラケット50に対してリクライナ機構46及びシートバックフレームを介して荷重が入力され、Bブラケット50において2つの締結部60、62よりもシート上方側の部分がシート幅方向外側へ変形しようとした場合(
図2に二点鎖線で示されるBブラケット50参照)でも、当該変形をフック部76により抑えることができる。これにより、Bブラケット50とクッションサイドフレーム18との接続強度を十分に確保することが容易になる。
【0045】
上記の効果について補足すると、例えば車両の前面衝突時には、車両用シート10の着座乗員からの過大な荷重が図示しないウェビングに加わる。この過大な荷重は、バックサイドフレーム30の上端部に固定されたベルトガイド42に対してシート前方斜め下方向きに加えられる(
図1及び
図2の矢印F参照)。その結果、Bブラケット50が
図2に二点鎖線で示されるように折れ曲がろうとする。
【0046】
つまり、
図2において矢印H1を付した領域では、バックサイドフレーム30を閉断面の構造とすることで強度を確保することができるが、
図2において矢印H2を付した領域では、Bブラケット50とクッションサイドフレーム18との接続(連結)のため、Bブラケット50等を閉断面の構成とすることができない。そのため、例えばBブラケット50とクッションサイドフレーム18とが2つの締結部60、62のみで接続されている場合、リクライナ機構46の下端付近でBブラケット50が折れ曲がる可能性が生じる。
【0047】
この点、本実施形態では、上記2つの締結部60、62よりもシート上方側に設けられたフック部74によってBブラケット50とクッションサイドフレーム18とが接続されているので、上記のようなBブラケット50の折れ曲がりを防止し易くなる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のフック部74がBブラケット50の下部50Lに設けられている。Bブラケット50は、クッションサイドフレーム18のように、リヤフレーム22によってシート幅方向に連結されて補強されるものではないため、一般にクッションサイドフレーム18よりも板厚が厚い材料によって製造される。そのように板厚が厚いBブラケット50にフック部74が設けられることにより、フック部74の強度確保が容易になる。
【0049】
さらに、本実施形態では、Bブラケット50の下部50Lに設けられたフック部74の先端部が、シート下方向きに屈曲した引掛爪74Aとされている。この引掛爪74Aは、クッションサイドフレーム18の後部18Rに対してシート幅方向内側から対向して配置される。このため、クッションサイドフレーム18へのBブラケット50の組付け時には、上記の引掛爪74Aが貫通孔76の下縁部に対してシート幅方向内側から引っ掛かることにより、Bブラケット50をクッションサイドフレーム18に仮保持することができる。これにより、組付け作業が容易になる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のフック部74は、シート幅方向から見た場合に、2つの締結部60、62の各中心点A、Bを結ぶ線分ABに平行で且つ前記リクライナ機構46の外周46Pに対してシート下方側から接する仮想線VLにおける上記の外周46Pとの接点Cと、上記各中心点A、Bとを結ぶ三角形ABCの内側に配置される。これにより、Bブラケット50に対してリクライナ機構46及びバックサイドフレーム30を介して過大な荷重が入力された場合に、上記の接点C(リクライナ機構46の下端部)と2つの締結部60、62を起点としてBブラケット50が折れ曲がること(
図2に二点鎖線で示されるBブラケット50を参照)を、上記のフック部74により効果的に抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、Bブラケット50の下部50Lには、シート幅方向内側に凹んだ下側座面部52Lが形成されている。そして、この下側座面部52Lのシート幅方向内側面52L1が、クッションサイドフレーム18の後部18Rに対して面接触され、且つ2つの締結部60、62及びフック部74によりクッションサイドフレーム18の後部18Rに対して締結固定及び接続(係止)されている。これにより、Bブラケット50とクッションサイドフレーム18とを、互いに面接触した部位で強固に接続することができ、当該接続部の強度及び剛性を確保し易くなる。
【0052】
さらに、本実施形態では、Bブラケット50の上部50Uには、シート幅方向内側に凹んだ上側座面部52Uが形成されており、当該上側座面部52Uのシート幅方向内側面52U1がリクライナ機構46に面接触されている。そして、上側座面部52Uのシート幅方向内側面52U1(すなわち上側座面部52Uとリクライナ機構46との接触面)と、下側座面部52Lのシート幅方向内側面L1(すなわち下側座面部52Lとクッションサイドフレーム18との接触面)とが、同一面上に配置されている。これにより、上記各接触面がシート幅方向にずれて配置される構成と比較して、上記各接触面に作用するモーメントが小さくなる。
【0053】
(実施形態の補足説明)
上記実施形態では、Bブラケット50に設けられたフック部74が、クッションサイドフレーム18の後部18Rに形成された貫通孔76に挿入された構成にしたが、これに限るものではない。例えば、
図7に示される変形例のように、Bブラケット50に設けられたフック部74が、クッションサイドフレーム18の後部18Rに形成された切欠78に挿入される構成にしてもよい。この切欠78は、シート上方側が開放されている。
【0054】
また、上記実施形態では、Bブラケット50に設けられたフック部74の先端部が、シート下方向きに屈曲した引掛爪74Aとされた構成にしたが、これに限るものではない。Bブラケット50に設けられたフック部74の先端部が、シート上方向き、シート前方向き又はシート後方向きに屈曲した構成にしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、フック部74がBブラケット50に設けられた構成にしたが、これに限るものではない。すなわち、例えばクッションサイドフレーム18の後部18Rに設けられたフック部が、Bブラケット50に形成された貫通孔又は切欠に挿入されてBブラケット50に係止される構成にしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、シート幅方向から見た場合に、
図6に示される三角形ABCの内側にフック部74が配置された構成にしたが、これに限らず、三角形ABCの外側にフック部が配置された構成にしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、Bブラケット50の下部50Lに形成された下側座面部52Lのシート幅方向内側面52L1が、クッションサイドフレーム18の後部18Rに対して面接触され、且つ2つの締結部60、62及びフック部74によりクッションサイドフレーム18の後部18Rに対して締結固定及び接続された構成にしたが、これに限るものではない。例えばBブラケット50における下側座面部52Lとは異なる部位にフック部が設けられた構成にしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、Bブラケット50の上側座面部52Uとリクライナ機構46との接触面と、下側座面部52Lとシートクッションフレーム16との接触面とが、同一面上に配置された構成にしたが、これに限るものではない。上記各接触面が同一面上に配置されない構成(例えばシート幅方向にずれて配置された構成)にしてもよい。
【0059】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。