特許第6956474号(P6956474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本無線株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6956474-電力伝送中継装置 図000002
  • 特許6956474-電力伝送中継装置 図000003
  • 特許6956474-電力伝送中継装置 図000004
  • 特許6956474-電力伝送中継装置 図000005
  • 特許6956474-電力伝送中継装置 図000006
  • 特許6956474-電力伝送中継装置 図000007
  • 特許6956474-電力伝送中継装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956474
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電力伝送中継装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/50 20160101AFI20211021BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20211021BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20211021BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20211021BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   H02J50/50
   H02J50/90
   H02J50/10
   H02J50/60
   H02J7/00 301D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-166787(P2016-166787)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-38111(P2018-38111A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 茂
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−059236(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/128600(WO,A3)
【文献】 特開2016−048974(JP,A)
【文献】 特開2014−027813(JP,A)
【文献】 特開2014−039403(JP,A)
【文献】 特開2011−160505(JP,A)
【文献】 特開2014−222975(JP,A)
【文献】 特開2015−162948(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104333147(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104201794(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0129793(US,A1)
【文献】 特開2017−038471(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/159994(WO,A3)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0091389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/50
H02J 50/90
H02J 50/10
H02J 50/60
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配置された送電用コイルと受電用コイルの間に移動する自走可能な移動装置と、該移動装置に固設され固設された姿勢で収容されて運搬され、前記送電用コイルで発生する磁界と共振して電流が流れ、流れた電流で起こる磁界を前記受電用コイルに共振させて前記送電用コイルから前記受電用コイルに電力を供給させる電力伝送中継部を備え
前記送電用コイルと前記受電用コイルが対向する位置に移動されたことを検知して信号を送信する位置検知装置と、該位置検知装置からの信号を受信して前記移動装置に運転制御させて前記受電用コイルと前記送電用コイルの間に移動させる制御装置が設けられ、
前記移動装置を収納部に収納可能な待機充電箱を備え、
前記待機充電箱は、前記移動装置が前記収納部内に待機している間に前記移動装置を充電可能である
ことを特徴とする電力伝送中継装置。
【請求項2】
前記送電用コイルと前記受電用コイルが対向する位置に移動されたことを検知して信号を送信する位置検知装置と、該位置検知装置からの信号を受信して前記移動装置に運転制御させて前記受電用コイルと前記送電用コイルの間に移動させる制御装置が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電力伝送中継装置。
【請求項3】
前記送電用コイルと前記受電用コイルの間に介在する異物を除去する異物除去手段が前記移動装置に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力伝送中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で電子製品に電力を供給して充電を行う送電用コイルと受電用コイルの間に移動して、送電用コイルから受電用コイルへ効率良く電力を供給させる電力伝送中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品を充電する方法の一つとして、電力を供給する電源と接続した送電用コイルに電子製品に設けられた受電用コイルを対向させて非接触で電力の供給を行う方法が知られている。この充電方法においては、電力の供給を行うため、送電用コイルと受電用コイルの間を適切な位置に配置するように送電用コイル及び受電用コイルを配置させることが求められる。しかし、送電用コイルから受電用コイルに電力を供給する際、送電用コイルと受電用コイルの間の距離が大きい場合、電子製品に電力を適切に供給できない問題がある。そのため、電子製品に設けられた受電用コイルを送電用コイルと電力の供給に適した位置に配置できない場合においても電力の供給を可能とする装置が重要となる。
【0003】
ここで、従来の技術として、送電用コイルと受電用コイルの間の距離が離れている場合でも電力の供給を可能とするため、エアバッグの内部に中継アンテナ(以下、電力伝送中継部と記述する)が設けられている装置を送電用コイルの上部に備える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。電動式の車両を充電する際に、送電用コイルの上部に設けられたエアバッグが膨張して、エアバッグの内部に設けられた電力伝送中継部を浮き上がらせて送電用コイルと受電用コイルの間の中間位置付近に介在させる。これにより、送電用コイルから受電用コイルに電力を供給するとき、電力伝送中継部が送電用コイルで発生する磁界と共振して、電力伝送中継部に電流が流れる。そして、電力伝送中継部に流れた電流により発生する磁界と受電用コイルが共振することにより、送電用コイルから受電用コイルに電力を効率よく供給して、車両を効率よく充電することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−177633号公報(段落[0047]〜[0051]、[図12]等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば特許文献1に記載された送電用コイルの上部に設けられているエアバッグの内部に電力伝送中継部を備えた装置では、電力を供給するとき、まず、エアバッグが送電用コイルの位置から受電用コイルの方向に膨張していき、同時に電力伝送中継部も受電用コイルの方向に移動する。このとき、エアバッグは一定の形に膨張しないため、電力伝送中継部の面は送電用コイル及び受電用コイルの対向面の水平方向から傾きやすく、その状態で電力伝送中継部は両コイル間に配置されやすい。そのため、電力伝送中継部は、その面の位置によって両コイルとの距離が異なり、両コイルとの磁界の共振に適した距離になりにくい。従って、電力伝送中継部が中継して、送電用コイルから受電用コイルに電力を効率良く供給するには不十分となる。
【0006】
そこで、この発明は、送電用コイルと受電用コイルの間の距離が離れていたり、送電用コイルと受電用コイルの中心位置が若干ずれていたりして電力の供給効率が低下する恐れがある場合でも、電力伝送中継部を介在させることにより電子製品の充電の効率を良好にする電力伝送中継装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、互いに対向するように配置された送電用コイルと受電用コイルの間に移動する自走可能な移動装置と、該移動装置に固設され固設された姿勢で収容されて運搬され、前記送電用コイルで発生する磁界と共振して電流が流れ、流れた電流で起こる磁界を前記受電用コイルに共振させて前記送電用コイルから前記受電用コイルに電力を供給させる電力伝送中継部を備え
前記送電用コイルと前記受電用コイルが対向する位置に移動されたことを検知して信号を送信する位置検知装置と、該位置検知装置からの信号を受信して前記移動装置に運転制御させて前記受電用コイルと前記送電用コイルの間に移動させる制御装置が設けられ、
前記移動装置を収納部に収納可能な待機充電箱を備え、
前記待機充電箱は、前記移動装置が前記収納部内に待機している間に前記移動装置を充電可能である
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記送電用コイルから前記受電用コイルと対向する位置に配置されたことを検知して信号を送信する位置検知装置と、該位置検知装置からの信号を受信して前記移動装置に運転制御させて前記受電用コイルと前記送電用コイルの間に移動させる制御装置が設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記送電用コイルと前記受電用コイルの間に介在する異物を除去する異物除去手段が前記移動装置に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送電用コイルと受電用コイルの間の距離が離れていたり、送電用コイルと受電用コイルの中心位置が若干ずれていたりして電力の供給効率が低下する恐れがある場合でも、電力伝送中継部を介在させることにより電子製品の充電の効率を良好にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る電力伝送中継装置等の構成を示す斜視図である。
図2】当実施の形態1に係る電力伝送中継装置の使用方法を示す側面図である。
図3】当実施の形態1に係る中継コイルが送電用コイルと受電用コイルの間に移動する状態を示す斜視図である。
図4】当実施の形態1に係る中継コイルの移動装置が送電用コイルと受電用コイルの間に介在する状態を示す側面図である。
図5】当実施の形態1に係る中継コイルが待機充電箱に設けられた収納部に配置している状態を示す斜視図である。
図6】当実施の形態1に係る中継コイルが送電用コイルと受電用コイルの間に介在する状態を示す斜視図である。
図7】(a)当実施の形態1に係る中継コイル本体を介して送電用コイルから受電用コイルに電力を供給する状態を示す略図、(b)本発明の実施の形態2に係る中継共振器を介して送電用コイルから受電用コイルに電力を供給する状態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[発明の実施の形態1]
図1乃至図7(a)には、この発明の実施の形態1を示す。
この実施の形態1に係る電力伝送中継装置100は、図1及び図2に示すように、地面に設けられた送電用コイル7の送電用コイル本体7bから車両9に設けられた受電用コイル8の受電用コイル本体8bに電力を供給する際、図4に示すように、送電用コイル7と受電用コイル8の間に移動して送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bへの電力の供給を中継する「電力伝送中継部」として中継コイル2が固設された移動装置1と移動装置1が収納される待機充電箱3を備えている。
【0013】
この送電用コイル7は、図2に示すように、地面に設けられている。また、送電用コイル7は、図1図3乃至図6に示すように、円形状に形成された送電用コイル本体7bが円形筒状の送電用コイルの筐体7aの内部に設けられて構成されている。
【0014】
一方、受電用コイル8は、図2に示すように、車両9に設けられている。また、受電用コイル8は、図1図3乃至図6に示すように、円形状に形成された受電用コイル本体8bが円形筒状の受電用コイルの筐体8aの内部に設けられて構成されている。さらに、受電用コイル8は、車両9の、地面から離間した位置に、受電用コイル本体8bの円形状の下面が地面に対向して設けられている。
【0015】
この実施の形態1に係る移動装置1は、図1に示すように、平たい箱状の装置本体10を有し、この装置本体10には、地面を転動する車輪12が4箇所設けられ、この車輪12を転動させる駆動源(図示せず)が設けられている。また、装置本体10の前方部分には異物除去手段6が設けられ、さらに、装置本体10には、車両9に設けられた受電用コイル8の位置を検知する位置検知装置4からの信号を受信して駆動源を運転制御及び異物除去手段6を運転制御する制御装置5が設けられている。この位置検知装置4は、待機充電箱3に設けられている。また、装置本体10の中央内部には、地面に設けられた送電用コイル7から車両9に設けられた受電用コイル8への電力の供給を中継する「電力伝送中継部」として、図7の(a)に示すような中継コイル2が固設されている。また、これら車輪12、駆動源、異物除去手段6及び制御装置5は中継コイル2より外側に設けられている。
【0016】
この中継コイル2は、図1図5及び図6に示すように、円形状に形成された中継コイル本体2bが円形筒状の中継コイルの筐体2aの内部に設けられて構成されている。この円形状の中継コイル本体2bの中央部分は樹脂で構成されている。また、中継コイル本体2bは、図7の(a)に示すように、電線を巻回させたコイルを備えて構成されている。さらに、中継コイル本体2bの外周の大きさは、図6で示すように、送電用コイル本体7b及び受電用コイル本体8bの外周より大きくなるように構成されている。なお、この実施の形態1において、中継コイル本体2bは、筐体2aの内部に設けられているが、移動装置1の筐体2aは必要なく、そのまま装置本体10の内部に設けられていても良い。中継コイル本体2bの内部は樹脂で構成されているが、これに限らず、磁性体、金属であってもよく、また、空洞であっても良い。
【0017】
また、異物除去手段6は、回転式のブラシにより構成され、移動装置1が地面に設けられた送電用コイル7と車両9に設けられた受電用コイル8の間に移動したときに、送電用コイル7の上部に存在する異物を掃き出して、送電用コイル7及び受電用コイル8の間の領域から外に除去するように構成されている。なお、異物除去手段6は、風圧を発生させて異物を吹き飛ばす風圧装置としても良い。
【0018】
なお、車輪12は、例えば無限軌道であっても良く、制御装置5は、この実施の形態では移動装置1に設けられているが、待機充電箱3に設けられていてもよい。
【0019】
一方、この電力伝送中継装置100の待機充電箱3は、図1に示すように、移動装置1を収納可能な凹部形状の収納部13が設けられている。この待機充電箱3は、収納部13内に移動装置1が待機している間、移動装置1を充電する充電装置が設けられている。
【0020】
また、この待機充電箱3は、図2に示すように、送電用コイル7の送電用コイル本体7bが接続され、車両9に設けられた受電用コイル8の受電用コイル本体8bを充電するため、送電用コイル本体7bに電力を供給する電源装置の役割を兼ねている。なお、この構成に限らず、待機充電箱3とは別に送電用コイル本体7bに接続されている電源装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0021】
さらに、この待機充電箱3は、図1に示すように、前述の位置検知装置4が設けられ、この位置検知装置4は、受電用コイル8が送電用コイル7に対向する位置に移動したことを検知して信号を移動装置1に設けられた制御装置5に送信するように構成されている。また、位置検知装置4と制御装置5の動作については後述する。
【0022】
なお、位置検知装置4は、この実施の形態では待機充電箱3に設けられているが、移動装置1に設けられていても良く、受電用コイル8の位置を検知しやすい送電用コイル7の位置付近に設けられても良い。
【0023】
次に、この実施の形態1に係る電力伝送中継装置100の使用方法について説明する。
まず、車両9を充電するため、図2に示すように、運転者は車両9に設けられた受電用コイル8が地面に設けられた送電用コイル7に対向するように車両9を移動させて停車させる。このとき、待機充電箱3に設けられた位置検知装置4は、受電用コイル8が送電用コイル7に対向する位置に移動したことを検知して移動装置1に設けられた制御装置5に信号を送信する。制御装置5には、待機充電箱3に設けられた収納部13から送電用コイル7までの距離が記録されており、制御装置5は位置検知装置4からの信号を受信して移動装置1の駆動源を運転制御する。これにより、移動装置1は自動で図3に示すように待機充電箱3に設けられた収納部13から外部に移動して、図4に示すように送電用コイル7と受電用コイル8の間に移動する。
【0024】
このとき、移動装置1は送電用コイル7と受電用コイル8の間に介在する異物を押し出して除去する。
【0025】
さらに、位置検知装置4が受電用コイル8が送電用コイル7と対向する位置に移動したことを検知して制御装置5に信号を受信させて、移動装置1に設けられた異物除去装置6を制御する。これにより、この異物除去手段6が回転式のブラシを運転して送電用コイル7の上部に存在する異物を送電用コイル7と受電用コイル8の間の領域から外に掃き出して除去する。その後、移動装置1は送電用コイル7と受電用コイル8の間に介在した状態で停止する。
【0026】
この状態で、運転者は車両9を停車して、待機充電箱3のスイッチを手動で操作して、車両9の充電を開始する。この車両9は車高が地面に対して高く、車両9に設けられた受電用コイル8が地面に対して高い位置に配設されているため、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bに電力を供給することが可能な距離から離れている状態となっている。
【0027】
このような車両9の充電であっても、地面に設けられた送電用コイル7と受電用コイル8の間に介在している移動装置1に設けられた中継コイル2の中継コイル本体2bが送電用コイル7の送電用コイル本体7bで発生する磁界と共振して、中継コイル本体2bに電流が流れ、中継コイル本体2bに流れる電流により発生する磁界と受電用コイル8の受電用コイル本体8bが共振する。これにより、コイル間の距離が離れ、磁界の結合が低い状態であっても、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bに電力を供給することができる。
【0028】
さらに、このとき、中継コイル本体2bは地面上を走行する移動装置1に固設されているため、送電用コイル本体7bの対向面に対して水平に位置している。また、車両に設けられ、送電用コイル本体7bと対向して位置している受電用コイル本体8bの対向面に対してもほぼ水平に位置している。すなわち、中継コイル本体2bは、エアバッグの内部に設けられている「電力伝送中継部」と異なり、両コイル本体7b,8bの対向面に対して傾いて移動して、その状態で両コイル本体7b,8b間に配置されるものではなく、両コイル本体7b,8bの対向面に対して水平に配置されるものである。そのため、中継コイル本体2bは、その面の位置によって両コイル本体7b,8bとの距離が異なるものではなく、面のどの位置に対しても、ほぼ両コイル本体7b,8bと磁界の結合に適した距離になりやすい。従って、中継コイル本体2bが電力供給の中継をすることが妨げられることがなく、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bに効率的に電力を供給することができる。
【0029】
さらに、移動装置1が送電用コイル7と受電用コイル8の間に移動するとき、移動装置1がその間に介在していた異物を押し出して除去することにより、送電用コイル本体7bと受電用コイル本体8bの間で電磁界が遮蔽等されることを防ぐことができ、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bへの電量の供給効率を低下させることを防止することができる。
【0030】
また、移動装置1に設けられた異物除去手段6が、移動装置1の押し出しによる異物の除去に加えて、送電用コイル7の上部に存在する微小な異物を除去することにより、より一層、送電用コイル本体7bと受電用コイル本体8bの間で電磁界が遮蔽等されるのを防ぐことができる。これにより、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bへの電力の供給効率の低下を防止することができる。
【0031】
さらに、車両9を充電する前、移動装置1は待機充電箱3に設けられた収納部13内で待機していたため、移動装置1の上部に異物が載ることが防止される。そのため、移動装置1が送電用コイル7と受電用コイル8の間まで移動して送電用コイル7と受電用コイル8の間に異物が介入することを防止でき、送電用コイル本体7b及び受電用コイル本体8bで発生する磁界の遮蔽等を防ぐことができる。
【0032】
さらにまた、移動装置1に設けられた車輪12、駆動源、異物除去手段6及び制御装置5は中継コイル2より外側に設けられており、また、中継コイル2の内部に設けられた中継コイル本体2bは外周の大きさが送電用コイル本体7b及び受電用コイル本体8bの外周より大きくなるように構成されている。そのため、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bに電力を供給している間、送電用コイル本体7bと受電用コイル本体8bの間で発生する電磁界がこれら車輪12、駆動源、異物除去手段6及び制御装置5により遮蔽等されることがない。これにより、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bへの電力の供給効率の低下を防ぐことができる。
【0033】
車両9の充電が終了した後、充電が終了したことを車両9に設けられた表示器(図示せず)が運転者に報知する。表示器の報知により充電が終了したことを認知した運転者は、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bへの電力の供給を停止するため、待機充電箱3のスイッチを手動で操作して車両9の充電を停止する。運転者が待機充電箱3の電力供給が停止したことを確認した後、車両9を移動させて受電用コイル8が送電用コイル7から離れた状態となると、位置検知装置4は受電用コイル8が送電用コイル7から離れたことを検知して移動装置1の制御装置5に信号を送信する。制御装置5には待機充電箱3に設けられた収納部13から送電用コイル7までの距離が記録されており、位置検知装置4からの信号を受信した制御装置5は移動装置1の駆動源を運転制御して、自動で移動装置1を待機充電箱3に収納部13内に移動させて待機させる。移動装置1は収納部13内に待機している間、待機充電箱3により充電される。
【0034】
以上、この実施の形態1においては、地面を走行する移動装置1に固設されている中継コイル本体2bが、送電用コイル本体7bと受電用コイル本体8bの間に移動して配置されたとき、両コイル本体7b,8bの対向面に対して水平に配置されるため、中継コイル本体2bの面のどの位置に対しても両コイル本体7b,8bと磁界を適切に結合できる距離に配置される。そのため、中継コイル本体2bが電力供給の中継をすることが妨げられず、送電用コイル本体7bから電力を送電したとき、受電用コイル本体8bに効率良く供給することができる。
【0035】
[発明の実施の形態2]
図7(b)に、この発明の実施の形態2を示す。
【0036】
この実施の形態2に係る電力伝送中継装置100は、上記実施の形態1に係る電力伝送中継装置100において、「電力伝送中継部」として固設された中継コイル2の中継コイル本体2bに代えて図7の(b)で示すように、中継共振器11が固設されている。この中継共振器11は電線を巻回させたコイルと、コンデンサーを備えた共振器として構成されている。「電力伝送中継部」として中継共振器11が固設されている場合、中継共振器11は中継コイル本体2bと異なり、高出力での伝達を可能とするため、中継コイル本体2bが固設されているときより、送電用コイル本体7bと車両9に設けられた受電用コイル8の受電用コイル本体8bが対向する方向において離れた状態であっても、送電用コイル本体7bから受電用コイル本体8bへ良好な供給効率で電力伝送することが可能となる。
【0037】
また、上記各実施の形態に係る電力伝送中継装置100には待機充電箱3が設けられているが、構成によっては、待機充電箱3を設けなくてもよい。
【0038】
また、上記各実施の形態に係る電力伝送中継装置100は、車両の充電するための非接触電力伝送装置に使用しているが、これに限らず、工業用ロボット等の駆動する大型の電子製品を充電するための非接触電力伝送装置に使用してもよい。
【0039】
なお、上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1・・・移動装置
2・・・中継コイル
2a・・・中継コイルの筐体
2b・・・中継コイル本体
3・・・待機充電箱
4・・・位置検知装置
5・・・制御装置
6・・・異物除去手段
7・・・送電用コイル
7a・・・送電用コイルの筐体
7b・・・送電用コイル本体
8・・・受電用コイル
8a・・・受電用コイルの筐体
8b・・・受電用コイル本体
9・・・車両
10・・・本体
11・・・中継共振器
12・・・車輪
13・・・収納部
100・・・電力伝送中継装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7