(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記超音波プローブの位置、又は前記超音波画像の位置と対応する前記生体解剖図の情報に基づき、前記超音波画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物を認識し、前記認識した臓器、及び/又は生体構造物に関する支援情報を取得する支援情報取得部と、
前記超音波画像と、前記支援情報とを含む表示画像を、前記超音波画像と前記支援情報とを並列させて、又は前記超音波画像に前記支援情報を重畳して発生する画像演算部と、
をさらに具備する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
前記超音波プローブの位置、又は前記超音波画像の位置と対応する前記生体解剖図の情報に基づき、前記超音波画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物を認識し、前記認識した臓器、及び/又は生体構造物に関する支援情報を取得する支援情報取得処理と、
前記超音波画像と、前記支援情報とを含む表示画像を、前記超音波画像と前記支援情報とを並列させて、又は前記超音波画像に前記支援情報を重畳して発生する画像演算処理と、
を前記プロセッサにさらに実施させる、
請求項25又は請求項26に記載の走査支援プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。
図1に示されるように、超音波診断装置1は、本体装置10、超音波プローブ20、及び位置センサシステム30を具備する。本体装置10は、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、本体装置10は、表示機器50と接続される。
【0010】
超音波プローブ20は、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ20は、本体装置10と着脱自在に接続される。複数の圧電振動子は、本体装置10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。
【0011】
超音波プローブ20から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ20が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波プローブ20は、被検体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。
【0012】
本体装置10の操作パネル61は、後述する生体参照部位を指定する指示を操作者から受け付ける、例えばボタン等から成る入力手段を有する。操作パネル61は、操作者によりボタンが押下されると、超音波プローブ20の現在の位置情報を生体参照部位として指定する旨の指定指示を本体装置10へ出力する。なお、入力手段は、位置センサシステム30に設けられる位置センサ32、又は超音波プローブ20に設けられても構わない。
【0013】
本実施形態に係る超音波プローブ20は、超音波により被検体Pを2次元で走査すると共に、
図1に示される通り位置センサ32が装着されている。超音波プローブ20は、被検体Pを3次元で走査したときのプローブの位置情報が検出可能である。具体的には、本実施形態に係る超音波プローブ20は、被検体Pを2次元で走査する複数の超音波振動子を有する1次元アレイプローブである。なお、位置センサ32が装着される超音波プローブ20は、超音波振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4次元プローブ(機械揺動方式の3次元プローブ)、複数の超音波振動子がマトリックス状に配置される2次元アレイプローブ、又は1次元に配列された複数の振動子が複数に分割される1.5次元アレイプローブであってもよい。
【0014】
図1に示される位置センサシステム30は、超音波プローブ20の3次元の位置情報を取得するためのシステムである。位置センサシステム30は、例えば、磁気センサ、又は赤外線カメラ用のターゲット等を超音波プローブ20に装着させることで、超音波プローブ20の3次元の位置情報を取得する。なお、超音波プローブ20にジャイロセンサ(角速度センサ)を内蔵させ、このジャイロセンサにより超音波プローブ20の3次元の位置情報を取得しても構わない。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ20をカメラで撮影し、画像認識で超音波プローブ20の3次元空間での位置を検出するシステムでもよい。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ20をロボットアームで保持し、ロボットアームの3次元空間の位置を超音波プローブ20の位置として検出するシステムでもよい。本実施形態では、位置センサシステム30が磁気センサを用いて超音波プローブ20の位置情報を取得する場合を例に説明する。
【0015】
位置センサシステム30は、磁気発生器31、磁気センサ32、及び位置検出装置33を備える。
【0016】
磁気発生器31は、例えば磁気発生コイル等を有する。磁気発生器31は、任意の位置に配置され、自器を中心として外側に向かって磁場を形成する。磁気センサ32は、超音波プローブ20に装着される。磁気センサ32は、磁気発生器31によって形成される3次元の磁場の強度及び傾きを検出する。磁気センサ32は、検出した磁場の強度及び傾きを位置検出装置33へ出力する。
【0017】
位置検出装置33は、磁気センサ32で検出された磁場の強度及び傾きに基づき、所定の位置を原点とした3次元空間における超音波プローブ20の位置(スキャン面の位置(x,y,z)及び回転角度(θx,θy,θz))を算出する。このとき、所定の位置は、例えば、磁気発生器31が配置される位置とする。位置検出装置33は、算出した位置(x,y,z,θx,θy,θz)に関する位置情報を本体装置10へ送信する。なお、以下では、位置センサシステム30により規定される3次元の座標系を、磁場座標系と称する。
【0018】
図1に示される本体装置10は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。本体装置10は、
図1に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、操作パネル61、入力装置62、3次元データ発生回路15、画像演算回路16、表示処理回路17、内部記憶回路18、画像メモリ19(シネメモリ)、入力インタフェース回路110、通信インタフェース回路111、及び制御回路112を備える。
【0019】
超音波送信回路11は、超音波プローブ20に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ20から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対して与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ20に駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
【0020】
超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ20が受信した反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
【0021】
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成するプロセッサである。Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
【0022】
ドプラ処理回路14は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、ドプラ波形、及びドプラデータを生成するプロセッサである。ドプラ処理回路14は、受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を生成すると共に、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0023】
3次元データ発生回路15は、Bモード処理回路13、及びドプラ処理回路14により生成されたデータに基づき、位置情報付きの3次元画像データを発生するプロセッサである。磁気センサ32が装着されている超音波プローブ20が1次元アレイプローブ、又は1.5次元アレイプローブである場合、3次元データ発生回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対し、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。また、3次元データ発生回路15は、RAW−ピクセル変換を実行することで、ピクセルから構成される2次元画像データを発生し、発生した画像データに対し、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。
【0024】
また、3次元データ発生回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW−ボクセル変換を実行することで、所望の範囲のボクセルから構成される3次元の画像データ(以下、ボリュームデータと称する。)を発生する。ボリュームデータには、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報が付加される。
磁気センサ32が装着されている超音波プローブ20がメカニカル4次元プローブ(機械揺動方式の3次元プローブ)、又は2次元アレイプローブの場合も同様に、2次元のRAWデータ、2次元画像データ、3次元画像データに位置情報が付加される。
【0025】
また、3次元データ発生回路15は、発生したボリュームデータに対してレンダリング処理を施し、レンダリング画像データを発生する。レンダリング処理は、例えば、ボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)、多断面変換表示(MPR:Multi Planar Reconstruction)、及び最大値投影表示(MIP:Maximum Intensity Projection)等の処理である。
【0026】
また、3次元データ発生回路15は、所望の走査位置で収集されるMモード画像、及びスペクトラムドプラ画像に、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。また、3次元データ発生回路15は、走査時の画質条件(画角、視野深度、視野角、preset、周波数、及び画憎悪処理条件等)及び走査モード情報、計測画像及び計測結果、並びに、アプリケーション情報及び画像に、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。
【0027】
画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生された各種画像データに基づき、表示画像データを発生するプロセッサである。画像演算回路16は、内部記憶回路18に記憶されている画像処理プログラムを実行することで、画像発生機能161を実現する。画像発生機能161は、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データと、内部記憶回路18に記憶されている支援データとに基づき、表示画像データを発生する機能である。具体的には、画像演算回路16は、支援データを取得すると、画像発生機能161を実行する。画像発生機能161の実行により画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データと、取得した支援データとを並列させて表示する表示画像データを発生する。また、画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データに、取得した支援データを重畳させて表示する表示画像データを発生する。
【0028】
表示処理回路17は、3次元データ発生回路15、及び画像演算回路16において発生された各種画像データを、表示機器50に表示可能な信号へ変換するプロセッサである。具体的には、表示処理回路17は、各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換等の各種処理を実行することで、画像データをビデオ信号に変換する。表示処理回路17は、ビデオ信号を表示機器50に表示させる。表示処理回路17は、操作者が入力インタフェース回路110により各種指示を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示機器50に表示させてもよい。なお、表示処理回路17は、表示機器50と接続するためのコネクタ及びケーブル等の周辺回路を含む。
【0029】
表示機器50としては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0030】
画像メモリ19は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ19は、入力インタフェース回路110を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ19に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
【0031】
内部記憶回路18は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路18は、超音波送受信を実現するための制御プログラム、画像処理を行うための制御プログラム、及び表示処理を行なうための制御プログラム等を記憶している。また、内部記憶回路18は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位毎に予め設定する変換テーブル等のデータ群を記憶している。
【0032】
また、内部記憶回路18は、走査者による超音波プローブ20の走査を支援するための支援データが記憶されている。支援データには、生体解剖図に関するデータ、例えば、アトラスデータが含まれる。アトラスデータには、画像に関するデータと、生体内の構造に関する種々のデータとが含まれる。画像に関するデータには、例えば、血管を表示するアトラス画像データ、筋肉を表示するアトラス画像データ、骨格を表示するアトラス画像データ、神経を表示するアトラス画像データ、及び臓器を表示するアトラス画像データ等がある。各アトラス画像データは、2次元、又は3次元のアトラス画像で表現される。生体内の構造に関する種々のデータには、生体内の部位の名称に関するデータ、生理機能に関するデータ、病気の診断治療情報、及び超音波診断において所定の臓器を検査する際の検査ガイドラインに準拠した検査所見に関するデータ等が含まれる。また、支援データには、検査ガイドラインに準拠した超音波プローブ20の走査方法に関するデータが含まれる。
【0033】
また、内部記憶回路18は、入力インタフェース回路110を介して入力される記憶操作に従い、3次元データ発生回路15で発生された2次元画像データ、ボリュームデータ、レンダリング画像データ、位置情報付きMモード画像データ、及び、位置情報付きスペクトラムドプラ画像データを記憶する。なお、内部記憶回路18は、入力インタフェース回路110を介して入力される記憶操作に従い、3次元データ発生回路15で発生された位置情報付きの2次元画像データ、ボリュームデータ、レンダリング画像データ、位置情報付きドプラ波形、及び位置情報付きスペクトラムドプラデータを、操作順番及び操作時間を含めて記憶してもよい。また、内部記憶回路18は、入力インタフェース回路110を介して入力される記憶操作に従い、画像演算回路16で発生されるマップ表示画像データを記憶する。内部記憶回路18は、これらのデータと対応付けて、超音波診断装置1の操作情報、画像条件情報、及び超音波検査に関する超音波データ等を記憶する。操作情報は、モードの変更、画質プリセットの変更、表示レイアウトの変更、画像の保存、計測の起動、アプリケーションの起動、及びプローブの変更等を含む。画質条件情報は、周波数、視野深度、視野角、ビーム密度、フレームレート、MI(Mechanical Index)値等の超音波送信条件、画像処理設定、及び3次元画質パラメーター等を含む。超音波データは、例えば、計測情報、アノテーション情報、心電(ECG:Electro Cardiogram)波形等の生体参照情報、及び取得時刻情報等を含む。また、内部記憶回路18は、生体参照部位の位置情報を記憶する。内部記憶回路18は、記憶しているデータを、通信インタフェース回路111を介して外部の周辺装置へ転送することも可能である。
【0034】
また、内部記憶回路18は、外部装置40から転送される画像データを記憶する。例えば、内部記憶回路18は、過去の診察において取得された同一患者に関する過去画像データを、外部装置40から取得して記憶する。過去画像データには、CT(Computed Tomography)画像データ、及びMR画像データが含まれる。
【0035】
入力インタフェース回路110は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、及びロータリーエンコーダ等の入力装置62から、操作パネル、及びタッチコマンドスクリーン(TCS)61等を介し、操作者からの各種指示を受け付ける。入力インタフェース回路110は、例えばバスを介して制御回路112に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路112へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路110は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路112へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路110の例に含まれる。
【0036】
通信インタフェース回路111は、位置センサシステム30と接続し、位置検出装置33から送信される位置情報を受信する。また、通信インタフェース回路111は、ネットワーク100等を介して外部装置40と接続され、外部装置40との間でデータ通信を行う。外部装置40は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベース等である。また、外部装置40は、例えば、X線CT装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の各種医用画像診断装置である。なお、外部装置40との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)が挙げられる。
【0037】
制御回路112は、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路112は、内部記憶回路18に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。
【0038】
具体的には、制御回路112は、本実施形態に係る制御プログラムを実行することで、被検体の臓器等の位置と、3次元アトラス画像に含まれる臓器等の位置とを対応付ける処理を実現する。すなわち、制御回路112は、制御プログラムを実行することで、アトラスデータ処理機能1121、位置情報登録機能1122、位置情報制御機能1123、座標変換機能1124、及び対応付け機能1125を有する。
【0039】
アトラスデータ処理機能1121は、3次元アトラス画像の座標系における特徴部位の座標情報を取得する機能である。本実施形態において、特徴部位とは、生体内に存在する特徴的な構造であり、被検体の臓器等の位置と、3次元アトラス画像に含まれる臓器等の位置とを対応付ける際に用いられる部位である。特徴部位には、例えば、特徴的な臓器、特徴的な臓器の部位、臓器の境界、臓器の軸、特徴的な血管、及び特徴的な血管の部位等が含まれる。特徴的な臓器の部位には、例えば、肝臓の区域であるS1〜S8等が含まれる。特徴的な血管の部位には、例えば、血管分岐部等が含まれる。具体的には、制御回路112は、例えば、入力インタフェース回路110を介してアトラス画像上で特徴部位が指定されると、アトラスデータ処理機能1121を実行する。アトラスデータ処理機能1121の実行により制御回路112は、指定された特徴部位の、3次元アトラス画像上の座標情報を取得する。
【0040】
位置情報登録機能1122は、被検体内の構造に関する位置情報を内部記憶回路18に記憶させる機能、すなわち、生体参照部位の位置情報、及び特徴部位の位置情報を登録する機能である。本実施形態において、生体参照部位とは、生体座標系の原点となる部位である。具体的には、例えば、制御回路112は、生体参照部位、又は特徴部位の指定指示を受信すると、位置情報登録機能1122を実行する。位置情報登録機能1122の実行により制御回路112は、指定指示を受信した際に取得される超音波プローブ20の位置センサシステム30における磁場座標系の位置情報を登録する。
図1に示される磁気センサ32の例では、制御回路112は、超音波プローブ20に設置された磁気センサ32の位置情報を登録する。あるいは、制御回路112は、超音波プローブ20の形状情報を利用し、超音波プローブ20の超音波送受信面の中央等、所望の位置を位置情報として登録してもよい。
【0041】
位置情報制御機能1123は、超音波断層画像を介して指定される部位の位置を算出する機能である。具体的には、例えば、制御回路112は、表示機器50に表示される超音波断層画像に対して操作者から生体参照部位、又は特徴部位の指定を受けると、位置情報制御機能1123を実行する。位置情報制御機能1123の実行により制御回路112は、超音波断層画像を取得した際の超音波プローブ20の位置と、超音波断層画像内において指定された位置とに基づき、位置センサシステム30における磁場座標系の位置座標を算出する。
【0042】
座標変換機能1124は、指定される特徴部位の座標を、生体座標系の座標へ変換する機能である。具体的には、例えば、制御回路112は、位置センサシステム30による磁場座標系における特徴部位の位置座標が取得されると、座標変換機能1124を実行する。座標変換機能1124の実行により制御回路112は、磁場座標系における特徴部位の座標を、生体参照部位の位置に基づいて定義される生体座標系の座標へ変換する。制御回路112は、生体座標系を、生体参照部位の磁場座標系における位置(x,y,z,θx,θy,θz)に基づいて定義する。例えば、生体座標系は、位置(x,y,z)が原点となり、回転角度(θx,θy,θz)に基づき、スキャン方向であるアジマス方向にx軸が設定され、深さ方向にy軸が設定され、かつ、揺動方向であるエレベーション方向にz軸が設定されるように定義される。
【0043】
対応付け機能1125は、被検体の臓器等の位置と、3次元アトラス画像に含まれる臓器等の位置とを対応付ける機能である。具体的には、例えば、制御回路112は、アトラス座標系における特徴部位の座標と、生体座標系における特徴部位の座標とが取得されると、対応付け機能1125を実行する。対応付け機能1125の実行により制御回路112は、生体座標系で扱われる特徴部位と、この特徴部位と同一の、アトラス座標系で扱われる特徴部位とを対応付ける。これにより、位置センサシステム30による磁場空間と、3次元アトラス画像における座標空間とが対応付けられることになる。
【0044】
本実施形態では、生体の特徴部位の磁場座標系での位置を、生体参照部位を基準とした生体座標系に変換した後に、生体座標系で扱われる特徴部位と、この特徴部位と同一の、アトラス座標系で扱われる特徴部位とを対応付けている。磁気発生器31は検査毎に設置位置が異なるため、磁場座標系における生体の位置は、検査毎に異なる。生体座標系を導入することで、例えば、同一患者の複数の検査で、磁場座標系の違いに影響されず、アトラス座標系との対応付けができるようになる。しかしながら、本実施形態は、アトラス座標系で扱われる特徴部位と、生体の特徴部位とを、生体座標系を介して対応付ける場合に限定されない。アトラス座標系と位置センサシステムの座標系とを直接対応付けることも考えられる。すなわち、制御回路112は、磁場座標系における特徴部位の座標と、この特徴部位と同一の、アトラス座標系における特徴部位の座標とが取得されると、磁場座標系で扱われる特徴部位と、アトラス座標系で扱われる特徴部位とを対応付ける。
【0045】
また、制御回路112は、本実施形態に係る制御プログラムを実行することで、操作者が希望する支援データを内部記憶回路18から取得する処理を実現する。具体的には、制御回路112は、制御プログラムを実行することで、支援情報取得機能1126を有する。支援情報取得機能1126は、操作者が希望する支援データを内部記憶回路18から取得する機能である。具体的には、例えば、制御回路112は、入力インタフェース回路110を介して支援データが要求されると、支援情報取得機能1126を実行する。支援情報取得機能1126の実行により制御回路112は、要求された支援データを内部記憶回路18から読み出す。
【0046】
なお、上記では、画像発生機能161、アトラスデータ処理機能1121、位置情報登録機能1122、位置情報制御機能1123、座標変換機能1124、対応付け機能1125、及び支援情報取得機能1126を、本実施形態に係る処理プログラムを構成するモジュールであるとした。しかしながら、これに限定されない。例えば、画像演算回路16は、画像発生機能161を実現する専用のハードウェア回路を有してもよい。また、画像演算回路16は、この専用のハードウェア回路を組み込んだ特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。また、例えば、制御回路112は、アトラスデータ処理機能1121を実現する専用のハードウェア回路、位置情報登録機能1122を実現する専用のハードウェア回路、位置情報制御機能1123を実現する専用のハードウェア回路、座標変換機能1124を実現する専用のハードウェア回路、対応付け機能1125を実現する専用のハードウェア回路、及び支援情報取得機能1126を実現する専用のハードウェア回路を有してもよい。また、制御回路112は、これら専用のハードウェア回路を組み込んだ特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、又は単純プログラマブル論理デバイス(SPLD)により実現されてもよい。
【0047】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データに含まれる臓器等の位置と、3次元アトラス画像データに含まれる臓器等の位置とを対応付ける処理の流れの例を示す図である。以下では、生体参照部位を剣状突起とする場合を例に説明する。なお、剣状突起を生体参照部位とすることは、体表に生体参照部位を設定することに対応する。
【0048】
被検体Pに対する超音波検査の実施に先立ち、入力インタフェース回路110を介した操作者の指示により、診断情報の入力、送受信条件の設定、及び種々の受信信号の収集条件の設定等が実行される。これらの情報は、内部記憶回路18に記憶される。
【0049】
操作者は、3次元アトラス画像と、超音波画像とで共通に認識可能な特徴部位を定義する。特徴部位とは、例えば、特徴的な臓器、特徴的な臓器の部位、臓器の境界、臓器の軸、特徴的な血管の部位、及び特徴的な構造等を表す。具体的には、例えば、表示機器50に3次元アトラス画像が表示されている。操作者は、表示機器50に表示される3次元アトラス画像における複数の特徴部位のうち、本検査と関連する複数の特徴部位を指定する。操作者は、例えば、表示機器50の表面に設けられるタッチコマンドスクリーンを介して表示機器50に表示される特徴部位に直接接触することで、特徴部位を指定する。また、操作者は、例えば、トラックボール等を操作することで、表示機器50に表示されるカーソルを特徴部位に合わせ、入力インタフェース回路110に設けられる決定ボタンを押すことで、特徴部位を指定してもよい。
【0050】
制御回路112は、特徴部位が指定されると、アトラスデータ処理機能1121を実行する。アトラスデータ処理機能1121の実行により制御回路112は、指定された特徴部位の、3次元アトラス画像上の座標情報(xa,ya,za)を取得する(ステップS21)。制御回路112は、取得した特徴部位の座標情報を内部記憶回路18に記憶させる。
【0051】
続いて、操作者は、生体参照部位Rの位置情報を登録する。具体的には、例えば、操作者は、生体参照部位Rとして設定した剣状突起を含むアキシャル面を走査するように、超音波プローブ20を被検体Pの体表に垂直方向に当接させる。
図3は、超音波プローブ20を被検体Pの体表に垂直方向に当接させた際の模式図を示す図である。操作者は、超音波プローブ20を被検体Pに当接させると、操作パネル61、又は超音波プローブ20に設けられるボタンを押下する。これにより指定指示が制御回路112に入力される。制御回路112は、指定指示を受信すると、位置情報登録機能1122を実行する。位置情報登録機能1122の実行により制御回路112は、指定指示が入力された時点で位置検出装置33により算出された超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)を取得する(ステップS22)。超音波プローブ20の位置情報とは、超音波プローブ20に設置された磁気センサ32の位置情報、又は超音波プローブ20の形状情報を利用し、超音波プローブ20の超音波送受信面の中央等、所望の位置についての位置情報であっても良い。
【0052】
剣状突起が生体参照部位Rに設定されている場合には、ボタンの押下に続く、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位への指定はない(ステップS23のNo)。制御回路112は、ステップS22で取得した超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)を、生体参照部位Rの位置として登録する(ステップS25)。
【0053】
一方で、生体参照部位は、体表に存在するとは限らない。生体参照部位が、例えば、僧帽弁、門脈分岐部、又は腹部大動脈分岐部等、若しくは、臓器内部等体内に存在する場合もある。このような場合、ボタンの押下に続き、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位が指定される。ボタンの押下に続き、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位が指定されると(ステップS23のYes)、制御回路112は、位置情報制御機能1123を実行する。位置情報制御機能1123の実行により制御回路112は、指定指示が入力された時点で位置検出装置33により算出された超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)と、超音波断層画像において指定された部位の超音波断層画像内の位置(x’,y’)とを取得する。
図4は、表示機器50に表示される超音波断層画像において生体参照部位Rを指定する際の模式図を示す図である。
【0054】
なお、
図2では、超音波プローブ20を被検体Pに当接させた後にボタンを押下し、次に画像上で参照部位Rを指定する2段階の指定を例に説明している。しかしながら、参照部位Rの指定は、画像上の参照部位を指定する操作のみで実施されてもよい。その場合、制御回路112は、画像上での参照部位の指定と同時に超音波プローブ20の位置情報も取得する。
【0055】
制御回路112は、超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)と、超音波断層画像内の位置(x’,y’)とから、超音波断層画像において指定された部位の、位置センサシステム30における磁場座標系の位置座標を算出する(ステップS24)。制御回路112は、算出した位置座標を、体内における生体参照部位Rの位置座標として登録する(ステップS25)。
【0056】
生体参照部位Rが登録されると、操作者は、ステップS21で指定した3次元アトラス画像上の特徴部位と対応する、被検体Pにおける特徴部位を指定する。具体的には、例えば、操作者は、ステップS21で指定した特徴部位が超音波断層画像に含まれるように、超音波プローブ20を被検体Pに当接させる。表示機器50に表示される超音波断層画像に特徴部位が含まれる場合、操作者は、超音波断層画像に含まれる特徴部位を指定する。操作者は、例えば、表示機器50の表面に設けられるタッチコマンドスクリーンを介して表示機器50に表示される特徴部位に直接接触することで、特徴部位を指定する。また、操作者は、例えば、トラックボール等を操作することで、表示機器50に表示されるカーソルを特徴部位に合わせ、入力インタフェース回路110に設けられる決定ボタンを押すことで、特徴部位を指定してもよい。
【0057】
超音波断層画像に含まれる特徴部位が指定されると、制御回路112は、位置情報登録機能1122、及び位置情報制御機能1123を実行する。位置情報制御機能1123の実行により制御回路112は、指定指示が入力された時点で位置検出装置33により算出された超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)と、超音波断層画像において指定された部位の超音波断層画像内の位置(x’,y’)とを取得する。制御回路112は、超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)と、超音波断層画像内の位置(x’,y’)とから、超音波断層画像において指定された特徴部位の、位置センサシステム30における磁場座標系の位置座標を算出する。制御回路112は位置情報登録機能1122により、算出した位置座標を、体内における特徴部位の位置座標として登録する(ステップS26)。操作者は、
図5に示されるように超音波プローブ20を被検体Pの生体表面で走査することで、ステップS21で指定した全ての特徴部位に対応する特徴部位を、超音波断層画像上で指定する。制御回路112は、超音波断層画像上で指定される全ての特徴部位についての位置座標を算出し、算出した位置情報を登録する。
【0058】
位置センサシステム30の磁場座標系における特徴部位の位置座標が登録されると、制御回路112は、座標変換機能1124を実行する。座標変換機能1124の実行により制御回路112は、磁場座標系における特徴部位の位置座標を、生体参照部位Rの位置に基づいて定義される生体座標系の位置座標へ変換する(ステップS27)。
図6は、剣状突起を生体参照部位Rとし、生体参照部位Rの位置情報を
図3に示されるように取得した際の生体座標系の例を示す図である。また、
図7は、生体参照部位Rが体内に存在し、生体参照部位Rの位置情報を
図4に示されるように取得した際の生体座標系の例を示す図である。
【0059】
生体座標系における特徴部位の位置座標が取得されると、制御回路112は、対応付け機能1125を実行する。対応付け機能1125の実行により制御回路112は、
図8に示されるように、生体座標系における特徴部位と、アトラス座標系における特徴部位とを、生体座標系における位置座標と、アトラス座標系における位置座標とに基づいて対応付ける(ステップS28)。これにより、位置センサシステム30による磁場空間と、3次元アトラス画像における座標空間とが対応付けられることになる。
【0060】
ところで、アトラス画像における特徴部位間の距離は、標準的な体格に基づいて設定されている。一方で、被検体の体格はそれぞれ異なる。そのため、被検体について登録される特徴部位は、アトラス画像における特徴部位と異なる場合がある。
図2に示される処理によれば、生体座標系における特徴部位と、アトラス座標系における特徴部位とが対応付けられるため、被検体の体格とアトラス画像で表される体格とに差がある場合には、生体座標系における特徴部位に基づき、アトラス画像における特徴部位間の距離が拡大、又は縮小される。または、生体座標系における特徴部位に基づき、アトラス画像における特徴部位間の関係が変形される。このため、超音波診断装置1は、被検体の体格とアトラス画像で表される体格とに差がある場合であっても、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データに含まれる臓器等の位置と、3次元アトラス画像データに含まれる臓器等の位置とを対応付けることが可能となる。すなわち、超音波診断装置1は、アトラスデータを参照し、超音波プローブ20が被検体Pのいずれの位置を走査しているのかを認識することが可能となる。なお、アトラス画像における特徴部位間の距離の変形は、体全体で調整してもよいし、臓器単位で調整してもよい。
図5では、超音波プローブ20の位置情報により体格の情報を入力している例を表している。
【0061】
また、磁場座標系における特徴部位と、アトラス座標系における特徴部位とを対応付ける際は、被検体の体格とアトラス画像で表される体格とに差がある場合、磁場座標系における特徴部位に基づき、アトラス画像における特徴部位間の距離が拡大、縮小、又は変形される。また、磁場座標系における特徴部位に基づき、アトラス画像における特徴部位間の関係が変形される。
【0062】
図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が、表示画像データを発生させる処理の流れの例を示す図である。
図9の説明において、位置センサシステム30による磁場空間と、3次元アトラス画像における座標空間とは、
図2に示される処理により対応付けられているとする。また、以下では、3次元データ発生回路15により2次元画像データが発生される場合を例に説明する。
【0063】
まず、操作者は、超音波プローブ20を用いて被検体Pの超音波検査を実施する。超音波プローブ20の位置座標は、位置センサシステム30により検出される。検出された位置座標は、磁場座標系における位置情報として本体装置10へ出力される(ステップS91)。
【0064】
超音波プローブ20の位置座標が検出されると、制御回路112は、支援情報取得機能1126を実行する。支援情報取得機能1126が実行されると制御回路112は、内部記憶回路18から3次元アトラス画像データを読み出す。画像演算回路16は、画像発生機能161を実行し、3次元アトラス画像からなる表示画像データを発生する。画像演算回路16は、
図2に示される処理により対応付けられた磁場空間とアトラス座標空間との関係に基づき、取得した位置情報をアトラス座標系の位置座標に変換する。画像演算回路16は、変換後の位置座標に基づき、超音波プローブのアイコン(以下、仮想プローブG22と称する。)を3次元アトラス画像上に重畳する。また、画像演算回路16は、超音波プローブ20から送信される超音波を模擬した仮想スキャンエリアA1を仮想プローブG22の先端に重畳する。画像演算回路16は、仮想スキャンエリアA1を、例えば、超音波送信条件情報等に基づいて作成する。表示処理回路17は、仮想プローブG22及び仮想スキャンエリアA1が重畳された表示画像データをビデオ信号に変換し、表示機器50に表示させる(ステップS92)。
【0065】
超音波プローブ20は、被検体Pを2次元で走査する複数の超音波振動子により、例えば、用手的に被検体Pを3次元で走査する。超音波プローブ20から被検体Pへ送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ20で受信される。超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成する(ステップS93)。
【0066】
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータを生成する。3次元データ発生回路15は、Bモード処理回路13により生成された2次元的なBモードRAWデータに対してRAW−ピクセル変換を実行することで、複数の2次元画像データを発生する(ステップS94)。複数の2次元画像データは、用手的に移動しながら収集された複断層画像を表す。画像演算回路16は、発生された複数の2次元画像データのうち1つの2次元画像データを、3次元アトラス画像と並べて表示する表示画像データとする。表示処理回路17は、発生された表示画像データをビデオ信号に変換し、表示機器50に表示させる(ステップS95)。
【0067】
図10は、2次元画像と3次元アトラス画像とが並べて表示される表示画像の例を表す図である。
図10に示される表示画像は、2次元画像を表示する第1の表示領域G10と、支援データを表示する第2の表示領域G20とを含む。
図10に示される例では、第1の表示領域G10に肝臓が含まれる超音波画像が表示され、第2の表示領域G20に生体の全体像における臓器及び骨を含む3次元アトラス画像G21が表示される。また、
図10に示される第2の表示領域G20において、仮想プローブG22が、超音波プローブ20の磁場座標系の位置座標に基づく位置に重畳される。また、仮想プローブG22の先端には、仮想的なスキャンエリアを表す仮想スキャンエリアA1が重畳される。
【0068】
なお、
図10では、第2の表示領域G20に生体全体像についての3次元アトラス画像が表示される場合を示した。しかしながら、これに限定されない。第2の表示領域G20に表示されるアトラス画像は、臓器の全体像を表す3次元アトラス画像であってもよいし、対応断面を表す2次元アトラス画像であっても構わない。また、第2の表示領域G20に表示されるアトラス画像は、血管、又は筋肉を表す3次元アトラス画像であってもよい。操作者は、必要に応じて第2の表示領域G20に表示されるアトラス画像を選択することが可能である。画像演算回路16は、選択されたアトラス画像に第2の表示領域G20の表示を切り替える。
【0069】
操作者は、超音波プローブ20を移動させながら、被検体Pをスキャンする。操作者による超音波プローブ20の移動に連動し、第2の表示領域G20に表示される仮想プローブG22の表示位置、及び仮想スキャンエリアA1の表示位置は移動する。
【0070】
制御回路112は、支援情報取得機能1126において、操作者からさらなる支援データの要求があるか否かを判断する(ステップS96)。表示機器50に表示される表示画像には、例えば、操作者からの要求を受け付ける入力領域が設けられている。制御回路112は、入力領域に操作者からの入力があった場合(ステップS96のYes)、入力領域に入力される検索ワードと、超音波プローブ20の位置から認識される臓器名、部位名、血管名等とを検索キーとし、操作者から要求される支援データを内部記憶回路18から読み出す。制御回路112は、検索ワード及び認識される臓器名等に基づいて検索した支援データを表示機器50に表示させることで、操作者に検索結果を提示する。制御回路112は、提示した支援データに対する選択を受け付ける。画像演算回路16は、選択された支援データに基づく画像を第2の表示領域G20に表示する(ステップS97)。
【0071】
画像演算回路16により発生される表示画像の例を、
図11〜
図15を用いて説明する。
図11及び
図12は、第2の表示領域G20に、臓器コンテンツを表す支援画像が表示される表示画像の例を表す図である。
図11において、第1の表示領域G10には、膝領域に関する超音波画像が表示され、第2の表示領域G20には、支援画像G31が表示される。
図11に示される支援画像G31には、膝領域に関するMR画像についてのサーフェスレンダリング画像と、MR画像についてのMPR画像が表示される。
【0072】
図11に示される表示画像の表示を希望する操作者は、例えば、入力領域に、「MR画像」のように検索ワードを入力する。制御回路112は、検索ワードと、アトラスデータに基づいて認識される膝領域の走査とに基づき、内部記憶回路18及びネットワーク100を介して接続する外部装置40から必要情報を検索する。制御回路112は、例えば、被検体Pについての電子カルテ情報を読み出し、読み出した電子カルテ情報に基づき、被検体Pが膝について過去に撮影されたMR画像が存在するか否かを確認する。被検体Pが膝について過去に撮影されたMR画像が存在する場合、制御回路112は、例えば、PACSのデータベースからこのMR画像を読み出す。画像演算回路16は、読み出したMR画像を表示機器50に表示させる。操作者は、表示機器50に表示されるMR画像のうち、超音波画像と比較するのに適した画像を選択する。画像演算回路16は、選択されたMR画像を支援画像G31として表示する。
【0073】
なお、被検体Pが膝について過去にMR画像を撮影したことがない場合には、制御回路112は、例えば、アトラスデータに含まれる膝についてのMR画像を読み出してもよい。また、制御回路112は、例えば、PACSのデータベースから他の患者についての膝に関するMR画像を読み出してもよい。また、支援画像G31に表示される画像はMR画像に限定されない。支援画像G31には、他の医用画像診断装置で取得された画像が表示されてもよい。これにより、走査者は、超音波画像に含まれる臓器等を他の医用画像診断装置で取得された画像と照合しながら、超音波プローブ20を走査することが可能となる。
【0074】
図12において、第1の表示領域G10には、肝臓に関する超音波画像が表示され、第2の表示領域G20には、支援画像G41が表示される。
図12に示される支援画像G41には、肝臓に関する所見が表示される。
【0075】
図12に示される表示画像の表示を希望する操作者は、例えば、入力領域に、「所見」のように検索ワードを入力する。制御回路112は、検索ワードと、アトラスデータに基づいて認識される肝臓の走査とに基づき、内部記憶回路18及びネットワーク100を介して接続する外部装置40から必要情報を検索する。制御回路112は、例えば、アトラスデータに含まれる、肝臓の検査ガイドラインに準拠した検査所見を読み出す。画像演算回路16は、読み出した検査所見を、表示機器50に表示させる。操作者は、表示機器50に表示される検査所見のうち、超音波画像と比較するのに適した所見を選択する。画像演算回路16は、選択された所見を支援画像G41として表示する。これにより、走査者は、超音波画像に含まれる臓器等についての検査所見を確認しながら、超音波プローブ20を走査することが可能となる。また、所見情報を参照しながら、客観的に検者依存のない所見画像を取得することが可能となる。なお、制御回路112により読み出される検査所見は、超音波診断以外の医用画像診断における検査所見であっても構わない。
【0076】
なお、
図11では、臓器コンテンツの一例として他モダリティにより撮影された画像が表示され、
図12では、臓器コンテンツの一例として検査所見が表示される場合を例に説明した。第2の表示領域G20に表示される臓器コンテンツは、これらに限定されない。第2の表示領域G20に表示される臓器コンテンツには、生理機能に関する情報、病気の診断情報、及び病気の治療情報が含まれてもよい。また、走査中の臓器の電子カルテ情報が表示されてもよい。なお、生理機能に関する情報には、患者の血液検査等、非画像検査の結果に関する情報が含まれる。
【0077】
図13は、第2の表示領域G20に、超音波診断の検査ガイドラインに準拠した走査方法に関する画像が表示される表示画像の例を表す図である。
図13において、第1の表示領域G10には、肝臓に関する超音波画像が表示され、第2の表示領域G20には、3次元アトラス画像G21と、3次元アトラス画像G21に重畳される支援画像G51が表示される。
図13に示される支援画像G51には、肝臓の検査ガイドラインに準拠した走査方法に関する画像が表示されている。
図13に示される支援画像G51では、生体表面への超音波プローブ20の当接の仕方、及び移動方向等が走査方法として表示される。
【0078】
図13に示される表示画像の表示を希望する操作者は、例えば、入力領域に、「走査方法」のように検索ワードを入力する。制御回路112は、検索ワードと、アトラスデータに基づいて認識される肝臓の走査とに基づき、内部記憶回路18及びネットワーク100を介して接続する外部装置40から必要情報を検索する。制御回路112は、例えば、肝臓の検査ガイドラインに準拠した超音波プローブ20の走査方法を内部記憶回路18から読み出す。画像演算回路16は、読み出した走査方法を、表示機器50に表示させる。操作者は、表示機器50に表示される走査方法のうち、現在の走査に参考になると考えられる走査方法を選択する。画像演算回路16は、選択された走査方法を支援画像G51として表示する。これにより、超音波検査のノウハウが普遍化され、超音波診断装置を適用する機会が拡大することになる。また、所定の走査手技に従い、客観的に検者依存のない検査、及び画像収集が可能となる。
【0079】
なお、
図13に示される例では、支援画像G51に、生体表面への超音波プローブ20の当接の仕方、及び移動方向等が走査方法として表示される場合を示した。しかしながら、これに限定されない。支援画像G51には、超音波画像で表示されている臓器において、走査すべき領域が表示されてもよい。走査すべき領域については、例えば、検査ガイドラインに準拠した検査所見に基づいて設定される。
【0080】
図14は、第1の表示領域G10に表示される超音波画像にアノテーションが重畳表示される表示画像の例を表す図である。例えば、
図10のように示される表示画像において、操作者によりアノテーションの表示が要求されると、画像演算回路16は、第1の表示領域G10に表示される超音波画像に含まれる構造に対し、
図14に示されるようなアノテーションを付す。
図14に示されるアノテーションには、例えば、肝臓の区域である「S5」、「S7」、及び「S8」が含まれる。また、
図14に示されるアノテーションには、例えば、血管の部位を表す「門脈前枝」、「門脈前上枝」、「門脈前下枝」、「右肝静脈」、及び「下大静脈」が含まれる。超音波画像にアノテーションを付与する処理は例えば、以下のように実施される。
【0081】
例えば、制御回路112は、操作者によりアノテーションの表示が要求されると、超音波画像に含まれる臓器、及び血管等に関連する名称をアトラスデータから読み出す。画像演算回路16は、読み出した名称を、例えば、
図14の支援画像G61に示すようにメニューとして表示する。操作者は、超音波画像に含まれる臓器、及び血管等に対し、表示されている名称を割り当てる。
【0082】
また、制御回路112は、標準画面に基づいて自動的にアノテーションを割り当てるようにしてもよい。例えば、画像演算回路16は、3次元アトラス画像上に標準画面を撮影するための超音波プローブ20の位置を表示する。操作者は、3次元アトラス画像上に表示される、例えば、15種類の撮影位置のうち所望の撮影位置に仮想プローブG22を合わせるように超音波プローブ20を走査し、超音波画像を取得する。なお、標準画面には、正中で取得した超音波画像、垂直で取得した超音波画像、及び正中横で取得した超音波画像等が含まれる。画像演算回路16は、アトラスデータの標準画像に含まれる構造の名称を、実際に取得された標準画像に含まれる同一の構造に対して割り当てる。これにより、走査者は、超音波画像に含まれる臓器等についての名称を確認しながら、超音波プローブ20を走査することが可能となる。また、アノテーションを入力する手間が大幅に軽減される。
【0083】
制御回路112は、3次元アトラス画像上で表示された検査履歴を内部記憶回路18に記憶させる。検査履歴には、仮想プローブG22の軌跡が含まれる。制御回路112は、操作者から入力インタフェース回路110を介して修正指示が入力されると、内部記憶回路18に記憶されている検査履歴を修正指示に従って修正する。また、制御回路112は、操作者から入力インタフェース回路110を介して確定指示が入力されると、内部記憶回路18に記憶されている検査履歴を確定させる。
【0084】
制御回路112は、操作者により検査履歴に基づく支援データの表示が要求されると、内部記憶回路18から検査履歴を読み出す。画像演算回路16は、読み出した検査履歴に基づく画像を表示機器50に表示させる。
図15は、第2の表示領域G20に検査履歴に基づく画像が表示される表示画像の例を表す図である。
図15において、第1の表示領域G10には、肝臓に関する超音波画像が表示され、第2の表示領域G20には、肝臓に関する2次元アトラス画像G71と、この2次元アトラス画像G71に重畳される非走査領域G72が表示される。非走査領域G72は、検査において、走査されなかった領域を表す。なお、より正確な非走査領域G72を作成するには、1つの臓器について複数の特徴部位を定義し、1つの臓器に関して複数の特徴部位を用いて磁場空間とアトラス空間とを対応付けると好適である。なお、検査履歴に基づく画像は、非走査領域G72に限定されない。画像演算回路16は、第2の表示領域G20に、アトラス画像と共に走査領域を表示してもよい。また、検査履歴に基づく画像は、リアルタイムで表示されてもよいし、検査後に表示されてもよい。これにより、超音波診断の客観性が向上することになる。また、検査の見落としを防止することが可能となる。
【0085】
なお、表示機器50に表示される支援データは、入力インタフェース回路110を介して操作者により入力される選択指示に基づき、他の情報を表す支援データへ切り替えられるようにしてもよい。例えば、画像演算回路16は、操作者により指定される支援データを表示するように表示画像データを発生する。
【0086】
操作者は、ステップS95、又はステップS97において表示機器50に表示される表示画像を注視し、表示画像に所望の構造等が含まれると判断した場合、入力インタフェース回路110を介してフリーズ操作を実施する。フリーズ操作直前の複数フレームに対応する2次元画像データは、画像メモリ19に保存される。操作者は、画像メモリ19に保存される2次元画像を確認し、保存される2次元画像が内部記憶回路18に記憶するべき2次元画像であると判断する場合、入力インタフェース回路110を介してこの2次元画像に対する記憶操作を実施する。
【0087】
制御回路112は、記憶操作が実施されたか否かを判断する(ステップS98)。記憶操作が実施された場合(ステップS98のYes)、制御回路112は、記憶操作の対象となった2次元画像データを、磁場座標系における位置情報と、認識される臓器を表すタグとを付加して内部記憶回路18に記憶する(ステップS99)。なお、2次元画像データは、座標変換後の生体座標系に関する位置情報が付加されて記憶されてもよいし、アトラス座標系に関する位置情報が付加されて記憶されてもよい。また、2次元画像データに付加されるタグは、臓器に限定されず、臓器の部位を表すタグであってもよい。また、2次元画像データは、確定された検査履歴が付加されて記憶されてもよい。
【0088】
記憶操作が実施されなかった場合(ステップS98のNo)、制御回路112は、フリーズ操作を解除し、処理をステップS91へ移行する。
【0089】
以上のように第1の実施形態では、制御回路112は、位置センサシステム30による磁場座標系の特徴部位の座標を生体座標系の座標に変換する。そして、制御回路112は、生体座標系の座標で表される特徴部位と、アトラス座標系で表される特徴部位とを対応付けることで、被検体の臓器等の位置と、3次元アトラス画像に含まれる臓器等の位置とを対応付ける。制御回路112は、超音波プローブ20の走査位置を、アトラス画像における座標空間で認識する。そして、画像演算回路16は、アトラス画像における座標空間から把握される被検体P内部構造に基づく支援情報を表示機器50に表示するようにしている。これにより、超音波診断装置1は、超音波検査において、超音波プローブ20が走査する部位に対応した指示情報を走査者に提示することが可能となる。
【0090】
したがって、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、超音波プローブを用いた走査を支援することができる。
【0091】
また、第1の実施形態では、例えば、
図9のステップS99で示されるように、画像データを、磁場座標系における位置情報と、認識される臓器を表すタグとを付加して内部記憶回路18に記憶するようにしている。これにより、病院等の医療施設は、超音波画像を、走査した臓器位置と共に収集することが可能となる。また、医療施設は、超音波画像をタグにより分類して管理することが可能となる。また、例えば、タグにより分類される大量の超音波画像がデータベース等で管理される場合、所定の特徴に基づき、必要な超音波画像のみを抽出することが可能となる。例えば、「膵臓」に関する超音波画像を抽出し、典型的な膵臓に関する超音波画像を確認することが可能となる。このため、客観的に検者依存のない検査、及び画像収集が可能となる。また、検査後においても、診断の負担が軽減されることになる。
【0092】
また、第1の実施形態では、画像データを、検査履歴を付加して内部記憶回路18に記憶するようにしている。これにより、医療施設は、超音波画像を、スキャン軌跡と共に収集することが可能となる。この種の画像データは、スキャン軌跡を用いたビッグデータ解析で利用されてもよい。
【0093】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、制御回路112は、位置センサシステム30による磁場座標系の特徴部位の座標を生体座標系の座標に変換する。そして、制御回路112は、生体座標系の座標で表される特徴部位と、アトラス座標系で表される特徴部位とを対応付けることで、位置センサシステム30による磁場空間と、3次元アトラス画像における座標空間とを対応付けるようにしている。第2の実施形態では、3次元MR画像データ、又は3次元CT画像データ等の3次元医用画像データを介して位置センサシステム30による磁場空間と、3次元アトラス画像における座標空間とを対応付けるようにしてもよい。
【0094】
図16は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aの構成例を示すブロック図である。
図16に示されるように、超音波診断装置1aは、本体装置10a、超音波プローブ20、及び位置センサシステム30を具備する。本体装置10aは、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、本体装置10aは、表示機器50と接続される。
【0095】
図16に示される本体装置10aは、超音波プローブ20が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。本体装置10aは、
図16に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元データ発生回路15、画像演算回路16、表示処理回路17、内部記憶回路18、画像メモリ19、入力インタフェース回路110、通信インタフェース回路111、及び制御回路112aを備える。
【0096】
制御回路112aは、超音波診断装置1aの中枢として機能するプロセッサである。制御回路112aは、内部記憶回路18に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路112aは、本実施形態に係る制御プログラムを実行することで、被検体の臓器等の位置と、3次元アトラス画像に含まれる臓器等の位置とを対応付ける処理を実現する。すなわち、制御回路112は、制御プログラムを実行することで、対応付け機能1125a、及びフュージョン機能1127を有する。
【0097】
対応付け機能1125aは、3次元MR画像に含まれる臓器等の位置、又は3次元CT画像に含まれる臓器等の位置と、3次元アトラス画像に含まれる臓器等の位置とを対応付ける機能である。具体的には、例えば、入力インタフェース回路110を介して対応付けが要求されると、制御回路112aは、対応付け機能1125aを実行する。対応付け機能1125aの実行により制御回路112aは、画像間位置合わせにより、例えば、ランドマークベースの位置合わせアルゴリズムを用い、3次元MR画像データに含まれる特徴部位、又は3次元CT画像データに含まれる特徴部位と、3次元アトラス画像データに含まれる特徴部位とを対応付ける。
【0098】
フュージョン機能1127は、3次元MR画像データ、又は3次元CT画像データと、超音波画像とを対応付ける機能である。具体的には、例えば、3次元MR画像データに含まれる特徴部位、又は3次元CT画像データに含まれる特徴部位と、3次元アトラス画像データに含まれる特徴部位との対応付けが完了すると、制御回路112aは、フュージョン機能1127を実行する。フュージョン機能1127の実行により制御回路112aは、3次元MR画像データと、超音波画像の位置、及び超音波プローブ20の位置とを対応付ける。または、制御回路112aは、3次元CT画像データと、超音波画像の位置、及び超音波プローブ20の位置とを対応付ける。
【0099】
図17は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aが、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データに含まれる臓器等の位置と、3次元アトラス画像データに含まれる臓器等の位置とを対応付ける処理の流れの例を示す図である。
【0100】
被検体Pに対する超音波検査の実施に先立ち、入力インタフェース回路110を介した操作者の指示により、診断情報の入力、送受信条件の設定、及び種々の受信信号の収集条件の設定等が実行される。これらの情報は、内部記憶回路18に記憶される。
【0101】
制御回路112aは、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データに含まれる臓器等の位置と、3次元アトラス画像データに含まれる臓器等の位置とを対応付ける旨の要求を受け付ける。操作者は、対応付ける旨の要求を、例えば入力インタフェース回路110から入力する。制御回路112aは、入力インタフェース回路110を介して対応付けが要求されると、対応付け機能1125aを実行する。対応付け機能1125aの実行により制御回路112aは、内部記憶回路18から3次元MR画像データ、又は3次元CT画像データを読み出す。また、制御回路112aは、内部記憶回路18から3次元アトラス画像データを読み出す。制御回路112aは、ランドマークベースの位置合わせアルゴリズムを用い、3次元MR画像データに含まれる特徴部位、又は3次元CT画像データに含まれる特徴部位と、3次元アトラス画像データに含まれる特徴部位とを対応付ける(ステップS171)。
【0102】
3次元MR画像データに含まれる特徴部位、又は3次元CT画像データに含まれる特徴部位と、3次元アトラス画像データに含まれる特徴部位とが対応付けられると、制御回路112aは、フュージョン機能1127を実行する。フュージョン機能1127の実行により制御回路112aは、位置センサシステム30により取得される超音波プローブ20の位置情報に基づき、3次元MR画像データと、超音波画像の位置、及び超音波プローブ20の位置とを対応付ける。または、制御回路112aは、位置センサシステム30により取得される超音波プローブ20の位置情報に基づき、3次元CT画像データと、超音波画像の位置、及び超音波プローブ20の位置とを対応付ける(ステップS172)。
図18は、3次元CT画像の断面位置と、超音波プローブ20の走査位置及び超音波断層画像とがフュージョン機能1127により対応付けられた表示画像の例を表す図である。
図18において、第1の表示領域G10には、肝臓に関する超音波画像が表示され、第3の表示領域G30には、超音波画像と同一の断面を表すMPR画像が表示される。これにより、位置センサシステム30による磁場空間と、3次元アトラス画像における座標空間とが対応付けられることになる。
【0103】
以上のように、第2の実施形態では、制御回路112aは、3次元MR画像に含まれる臓器等の位置、又は3次元CT画像に含まれる臓器等の位置と、3次元アトラス画像に含まれる臓器等の位置とを対応付ける。制御回路112は、3次元MR画像データ、又は3次元CT画像データと、超音波画像とをフュージョン機能により対応付ける。そして、画像演算回路16は、アトラス画像における座標空間から把握される被検体Pの内部構造に基づく支援情報を表示機器50に表示するようにしている。これにより、超音波診断装置1aは、超音波検査において、超音波プローブ20が走査する部位に対応した指示情報を走査者に提示することが可能となる。
【0104】
したがって、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aによれば、超音波プローブを用いた走査を支援することができる。
【0105】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、例えば、制御回路112は、
図9のステップS97で示されるように、操作者からの入力に基づいて支援データを取得する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。制御回路112,112aは、アトラス座標に基づいて超音波画像に含まれる臓器を特定し、特定される臓器等と対応する支援データを、内部記憶回路18から自動的に読み出すようにしてもよい。
【0106】
図19は、制御回路112,112aが支援データを自動的に読み出す際のフローチャートを示す図である。まず、超音波画像、又は超音波プローブ20の位置に対応する3次元アトラス画像が、例えば、表示機器50の第2の表示領域G20に表示される(ステップS191)。なお、3次元アトラス画像は、断面を表すものでもよい。3次元アトラス画像が表示されると、制御回路112,112aは、支援情報取得機能1126を実行する。支援情報取得機能1126の実行により制御回路112,112aは、表示される3次元アトラス画像のアトラス座標系での座標情報を取得する。制御回路112,112aは、取得した座標情報に基づき、3次元アトラス画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物を特定する(ステップS192)。制御回路112,112aは、特定した臓器、及び/又は生体構造物を表示機器50に表示させ、支援データを要求する臓器、又は生体構造物の候補について、操作者からの指定を受け付ける(ステップS193)。例えば、アトラス画像上で特定された複数の臓器、及び/又は生体構造物のいずれかが、入力装置62を介して指定される。このとき、操作者は、例えば、表示機器50に表示されるカーソルを特定された臓器、及び/又は生体構造物に合わせる。また、特定された臓器、及び/又は生体構造物をリストで表示機器50に表示させ、リストに対する操作者からの選択を受け付けるようにしてもよい。なお、特定された臓器、又は生体構造物が一つである場合、操作者からの指定を受け付けなくてもよい。すなわち、ステップS193の処理をスキップしてもよい。
【0107】
3次元アトラス画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物が指定されると、制御回路112,112aは、指定された臓器、及び/又は生体構造物に関する支援データを内部記憶回路18から読み出す(ステップS194)。制御回路112,112aは、読み出した支援データを表示機器50に表示させる(ステップS195)。
【0108】
なお、上記では、支援情報取得機能1126において制御回路112,112aが、3次元アトラス画像のアトラス座標系での座標情報を取得し、取得した座標情報に基づき、3次元アトラス画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物を特定する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。制御回路112,112aは、制御プログラムを実行することで、3次元アトラス画像のアトラス座標系での座標情報を取得し、取得した座標情報に基づき、3次元アトラス画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物を特定する構造特定機能を実現するようにしてもよい。
また、上記実施形態に係る超音波診断装置1,1aは、認識する臓器に応じて、送受信条件を自動的に変更するようにしてもよい。例えば、腎臓内は血流が遅く、心臓内は血流が早い。制御回路112,112aは、例えば、認識する臓器が腎臓である場合はカラードプラ時の速度レンジを小さくし、認識する臓器が心臓である場合はカラードプラ時の速度レンジを大きくする。
【0109】
図20は、制御回路112,112aが、認識する臓器に応じて送受信条件を自動的に変更する際のフローチャートを示す図である。まず、超音波画像、又は超音波プローブ20の位置に対応する3次元アトラス画像が、例えば、表示機器50の第2の表示領域G20に表示される(ステップS201)。3次元アトラス画像が表示されると、制御回路112,112aは、支援情報取得機能1126を実行する。支援情報取得機能1126の実行により制御回路112,112aは、表示される3次元アトラス画像のアトラス座標系での座標情報を取得する。制御回路112,112aは、取得した座標情報に基づき、3次元アトラス画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物を特定する(ステップS202)。制御回路112,112aは、特定した臓器、及び/又は生体構造物を表示機器50に表示させ、支援データを要求する臓器、又は生体構造物の候補について、操作者からの指定を受け付ける(ステップS203)。例えば、アトラス画像上で特定された複数の臓器、及び/又は生体構造物のいずれかが、入力装置62を介して指定される。なお、特定された臓器、又は生体構造物が一つである場合、操作者からの指定を受け付けなくてもよい。すなわち、ステップS203の処理をスキップしてもよい。
【0110】
3次元アトラス画像に含まれる臓器、及び/又は生体構造物が指定されると、制御回路112,112aは、指定された臓器、及び/又は生体構造物に関する画質条件、及び/又は表示条件を内部記憶回路18から読み出す(ステップS204)。制御回路112,112aは、読み出した画質条件、及び/又は表示条件を設定する(ステップS205)。超音波診断装置1,1aは、設定された画質条件、及び/又は表示条件により超音波の送受信を行い、超音波画像を生成する。
【0111】
また、上記実施形態では、画像演算回路16は、超音波プローブ20の走査と連動させ、リアルタイムで支援データを超音波画像と並列させて表示する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。画像演算回路16は、検査後において、記憶されている画像データに基づいて表示画像データを発生してもよい。このとき、例えば、制御回路112,112aは、検査後に画像データを読み出し、読み出した画像データを取得した際の超音波プローブ20の位置を画像データに付加される位置情報から認識する。制御回路112,112aは、認識した位置情報と対応するアトラス座標系の位置情報を取得し、画像データに含まれる臓器等を認識する。制御回路112,112aは、認識した臓器等と対応する支援データを内部記憶回路18から読み出す。そして、画像演算回路16は、画像データと、読み出した支援データとから表示画像データを発生する。
【0112】
また、上記実施形態に係る画像演算回路16は、操作者によりアトラス画像上の所定位置が指定されると、指定された位置とおおよそ同一の領域で取得された超音波画像を表示機器50に表示させてもよい。
図21は、アトラス画像G21と、アトラス画像G21で指定される位置に応じた複数の超音波画像とを表示する場合の例を表す図である。
図21に示される通り、操作者は、アトラス画像上で仮想プローブG22を所望の臓器上に動かす。仮想プローブが動かされると、制御回路112,112aは、支援情報取得機能1126を実行する。支援情報取得機能1126が実行されると、制御回路112,112aは、臓器のアトラス座標系での位置範囲に対応する磁場座標系の範囲を特定する。制御回路112,112aは、特定された磁場座標系内の範囲に含まれる超音波画像を内部記憶回路18から読み出し、表示機器50に表示させる。このとき、内部記憶回路18には、アトラス画像と関連付けられた超音波画像が記憶されている。なお、表示される超音波画像は、2次元超音波画像でもよいし、3次元超音波画像でもよいし、4次元超音波画像でもよい。また、表示される超音波画像は、MPR像であってもよいし、VR像であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、
図22に示されるように、位置センサシステム30が磁気センサ32を備える場合を説明した。しかしながら、位置センサシステム30に備えられる磁気センサは、1台に限定されない。位置センサシステム30は、
図23に示されるように、第2の磁気センサ34を備えてもよい。第2の磁気センサ34は、例えば、被検体Pの体表における生体参照部位に貼り付けられる。位置検出装置33は、第2の磁気センサ34の位置情報を本体装置10,10aへ送信する。制御回路112,112aは、第2の磁気センサ34の位置を生体参照部位の位置であると認識する。なお、生体参照部位が体内に存在する場合には、第2の磁気センサ34の位置と、超音波断層画像内の指定部位の位置とから、生体参照部位の位置を算出する。これにより、被検体Pが検査中に動いた場合、及び検査中に被検体Pの体位を変更する必要が生じた場合においても、継続して生体参照部位を認識し続けることが可能となる。
【0114】
また、上記実施形態では、位置センサを利用した位置センサシステム30を利用して生体参照部位の位置を取得する場合を例に説明した。しかしながら、位置センサシステム30は、位置センサを利用するものに限定されない。例えば、
図24に示されるように、ロボットアーム140を利用した位置センサシステムであっても構わない。
【0115】
ロボットアーム140のロボットアーム制御部141は、ロボットアーム140を駆動させる。ロボットアーム140のプローブホルダ142で支持される超音波プローブ20の位置は、ロボットアーム140に取り付けられるロボットアームセンサ143からの出力に基づいて取得される。ロボットアームセンサ143には、位置センサ、速度センサ、加速度センサ、及び圧力センサ等が用いられる。ロボットアーム140の操作者は、超音波プローブ20が生体参照部位に当接すると、ロボットアーム制御部141に設けられる、例えばボタン等から成る入力手段から指定指示を入力する。制御回路112,112aは、指定指示が入力された時点で把握されているロボットアーム140の位置を、生体参照部位の位置として登録する。
【0116】
なお、位置センサシステムに備えられるロボットアームは、1台に限定されない。位置センサシステムは、第2のロボットアームを備えてもよい。第2のロボットアームは、例えば、被検体Pの体表における生体参照部位を追従するように制御される。ロボットアーム制御部141は、第2のロボットアームの位置を把握しながら、第2のロボットアームの移動を制御する。制御回路112は、第2のロボットアームが追従する位置を生体参照部位の位置であると認識する。なお、生体参照部位が体内に存在する場合には、第2のロボットアームが追従する位置と、超音波断層画像内の指定部位の位置とから、生体参照部位の位置を算出する。これにより、被検体Pが検査中に動いた場合、及び検査中に被検体Pの体位を変更する必要が生じた場合においても、継続して生体参照部位を認識し続けることが可能となる。
【0117】
また、上記実施形態では、位置センサを利用した位置センサシステム30を利用して生体参照部位の位置を取得する場合を例に説明した。しかしながら、位置センサシステム30は、位置センサを利用するものに限定されない。例えば、
図25に示されるように、カメラ等の撮像装置150を利用した位置センサシステムであっても構わない。
【0118】
撮像装置150を、例えば、被検体Pの全身が撮影可能な位置に設置する。画像解析装置は、撮像装置により撮影された画像を解析することで、超音波プローブ20の3次元座標系における位置を認識する。超音波診断装置1,1aの操作者は、超音波プローブ20を生体参照部位に当接させると、超音波プローブ20に設けられる入力手段から指定指示を入力する。制御回路112は、指定指示が入力された時点で認識している超音波プローブ20の位置を、生体参照部位の位置として登録する。
【0119】
また、上記実施形態では、アトラスデータ処理機能1121、位置情報登録機能1122、位置情報制御機能1123、座標変換機能1124、対応付け機能1125、及び支援情報取得機能1126が、
図1に示されるよう超音波診断装置1に設けられる場合を例に説明した。しかしながら、これらの機能が設けられる装置は、超音波診断装置1に限定される訳ではない。これらの機能は、例えば、ワークステーションのような医用画像処理装置に設けられてもよい。
【0120】
また、上記実施形態において、アトラス画像はシェーマに限定されない。アトラス画像は、標準化されたCT画像、及びMR画像を利用することも可能である。
【0121】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。