特許第6956531号(P6956531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6956531画像処理装置及び画像処理方法、プログラム、記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956531
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/407 20060101AFI20211021BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20211021BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20211021BHJP
   H04N 5/20 20060101ALI20211021BHJP
   H04N 9/71 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   H04N1/407
   G06T5/00 730
   H04N5/232 290
   H04N5/20
   H04N9/71
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-119883(P2017-119883)
(22)【出願日】2017年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-4425(P2019-4425A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 香
【審査官】 野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−240282(JP,A)
【文献】 特開2004−193970(JP,A)
【文献】 特開2008−227945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/40−1/409
G06T 5/00
H04N 5/232
H04N 5/20
H04N 9/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像信号の信号レベルとモニタに出力するための出力画像信号の信号レベルの関係を示す曲線が目標とする目標曲線となるように、入力画像信号に対して階調変換を行う画像処理装置であって、
入力画像信号から、輝度信号用の色信号成分を生成する第1の生成手段と、
入力画像信号から、色差信号用の色信号成分を生成する第2の生成手段と、
前記輝度信号用の色信号成分に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換を行う第1の階調変換手段と、
前記色差信号用の色信号成分に対して第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換を行う第2の階調変換手段と、
前記第1の階調変換手段の出力と前記第2の階調変換手段の出力を合成して、輝度信号用と色差信号用に共通の色信号成分を生成する第3の生成手段と、
前記第3の生成手段により処理された後の信号に対して第3の階調変換特性を用いて第3の階調変換を行う第3の階調変換手段と、を備え、
前記第1および第2の階調変換特性は、前記入力画像信号の少なくとも一部の値の範囲に対し、前記目標曲線にしたがった階調変換を行う場合よりも少ない増幅率で階調変換を行う特性であり、前記第3の階調変換特性は、前記第3の生成手段により生成された信号に対し、前記入力画像信号を前記目標曲線にしたがって階調変換した場合と同じ値になるよう階調変換を行う特性であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の階調変換特性と前記第2の階調変換特性は、前記第1の階調変換手段から出力される色信号成分と、前記第2の階調変換手段から出力される色信号成分の信号レベルの差が所定のレベル以下になるような特性であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第3の階調変換特性は、前記第1の階調変換特性と前記第2の階調変換特性よりも、入力信号の低輝度部に対する信号レベルの増幅の程度が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の階調変換手段と前記第2の階調変換手段は、互いに同じ特性の階調変換を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1および第2の階調変換特性は、入力信号の信号レベルと出力信号の信号レベルの関係を表す曲線が直線となる特性を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記目標曲線は、ハイダイナミックレンジに対応するモニタのEOTF(Electro Optical Transfer Function)の逆特性となる曲線であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記色信号成分は、RGBの信号成分であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第3の階調変換手段から出力される色信号成分を、輝度信号成分と色差信号成分とに分離する分離手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第3の生成手段から出力される前記共通の色信号成分を、輝度信号成分と色差信号成分とに分離する分離手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第3の階調変換手段は、RGB空間での入出力特性を、YUV空間に変換した上で階調変換を行う第4の階調変換手段を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第3の階調変換手段は、前記第3の生成手段から出力される色信号成分に対して、輝度出力用の階調変換を行う第5の階調変換手段と、前記第3の生成手段から出力される色信号成分に対して、色差出力用の階調変換を行う第6の階調変換手段とを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第5の階調変換手段と前記第6の階調変換手段は、互いに異なる特性の階調変換を行うことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
入力画像信号に対して階調変換を行う画像処理装置であって、
入力画像信号から、輝度信号用の色信号成分を生成する第1の生成手段と、
入力画像信号から、色差信号用の色信号成分を生成する第2の生成手段と、
前記輝度信号用の色信号成分に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換を行う第1の階調変換手段と、
前記色差信号用の色信号成分に対して第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換を行う第2の階調変換手段と、
前記第1の階調変換手段の出力と前記第2の階調変換手段の出力を合成して、輝度信号用と色差信号用に共通の色信号成分を生成する第3の生成手段と、
前記第3の生成手段により処理された後の信号に対して第3の階調変換を行う第3の階調変換手段と、を備え、
前記第1および第2の階調変換手段は、相対的に非線形性の弱い階調変換を行い、前記第3の階調変換手段は、相対的に前記第1および第2の階調変換手段よりも非線形性の強い階調変換を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
前記画像処理装置は、入力画像信号の信号レベルと出力画像信号の信号レベルの関係を示す曲線が目標とする目標曲線となるように、入力画像信号に対して階調変換を行う画像処理装置であって、
前記第1および第2の階調変換手段は、前記入力画像信号の信号レベルと出力画像信号の信号レベルの関係を示す曲線が前記目標曲線に一致するよりも少ない変換量で階調変換を行い、前記第3の階調変換手段は、前記第1および第2の階調変換手段で階調変換した後に残った前記目標曲線との差分に対応する変換量で階調変換を行うことを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
入力画像信号の信号レベルとモニタに出力するための出力画像信号の信号レベルの関係を示す曲線が目標とする目標曲線となるように、入力画像信号に対して階調変換を行う画像処理方法であって、
入力画像信号から、輝度信号用の色信号成分を生成する第1の生成工程と、
入力画像信号から、色差信号用の色信号成分を生成する第2の生成工程と、
前記輝度信号用の色信号成分に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換を行う第1の階調変換工程と、
前記色差信号用の色信号成分に対して第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換を行う第2の階調変換工程と、
前記第1の階調変換工程からの出力と前記第2の階調変換工程からの出力を合成して、輝度信号用と色差信号用に共通の色信号成分を生成する第3の生成工程と、
前記第3の生成工程において処理された後の信号に対して第3の階調変換特性を用いて第3の階調変換を行う第3の階調変換工程と、を有し、
前記第1および第2の階調変換特性は、前記入力画像信号の少なくとも一部の値の範囲に対し、前記目標曲線にしたがった階調変換を行う場合よりも少ない増幅率で階調変換を行う特性であり、前記第3の階調変換特性は、前記第3の生成工程において生成された信号に対し、前記入力画像信号を前記目標曲線にしたがって階調変換した場合と同じ値になるよう階調変換を行う特性であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
入力画像信号に対して階調変換を行う画像処理方法であって、
入力画像信号から、輝度信号用の色信号成分を生成する第1の生成工程と、
入力画像信号から、色差信号用の色信号成分を生成する第2の生成工程と、
前記輝度信号用の色信号成分に対して第1の階調変換を行う第1の階調変換工程と、
前記色差信号用の色信号成分に対して第2の階調変換を行う第2の階調変換工程と、
前記第1の階調変換工程からの出力と前記第2の階調変換工程からの出力を合成して、輝度信号用と色差信号用に共通の色信号成分を生成する第3の生成工程と、
前記第3の生成工程において処理された後の信号に対して第3の階調変換を行う第3の階調変換工程と、を有し、
前記第1および第2の階調変換工程では、相対的に非線形性の弱い階調変換を行い、前記第3の階調変換工程では、相対的に前記第1および第2の階調変換工程よりも非線形性の強い階調変換を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項15または16に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像された画像信号の階調特性をHDRモニタに出力するのに適した階調特性に変換する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイの表示輝度が高くなることに伴い、これまで圧縮されていた高輝度側の階調を、より見た目に近い階調で再現できるHDR(ハイダイナミックレンジ)カメラシステムが提案されている。また、ST2084、BT.2100などのように、HDRモニタで取り扱う映像信号の色空間、階調圧縮の規格も規定されつつある。
【0003】
カメラ内でHDR規格に対応した映像信号を生成する場合、光学系、撮像素子を介して取得された入力画像に対して、HDRに対応するように階調変換を行った後、輝度信号と色差信号を分離して、映像信号を出力する。HDRモニタでは、カメラから出力される映像信号を受けて、RGBまたはXYZなどの表示処理用の色空間に変換した後、HDR規格に対応したモニタ側の階調変換を適用し、表示する。
【0004】
従来、カメラ側の処理として、人間の視覚特性を考慮し、色と輝度の出力がそれぞれ最適になるような画像処理が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3919389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている画像処理装置では、色差出力用の信号処理(色系信号処理)と、輝度出力用の信号処理(輝度系信号処理)を、それぞれ最適化している。したがって、色系信号処理において入力画像から分離される輝度成分と、輝度系信号処理において入力画像から生成される輝度成分との間に、振幅レベルの差が発生する場合がある。特に、ST2084などのHDR規格に対応した階調変換特性は、暗部の立ち上がりが急峻であるため、輝度成分の振幅レベルの差が階調変換によって強調される場合がある。その結果、カメラから出力される映像信号をHDRモニタ内で表示のための色空間に変換する際、カメラ内で発生した輝度振幅レベルの差が表示用の色空間内で偽信号を生成し、画質を著しく損なうという課題がある。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、輝度系と色系でそれぞれ最適化した階調変換処理を行う場合に、輝度成分の振幅レベル差の増大を抑制できるようにした画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる画像処理装置は、入力画像信号の信号レベルとモニタに出力するための出力画像信号の信号レベルの関係を示す曲線が目標とする目標曲線となるように、入力画像信号に対して階調変換を行う画像処理装置であって、入力画像信号から、輝度信号用の色信号成分を生成する第1の生成手段と、入力画像信号から、色差信号用の色信号成分を生成する第2の生成手段と、前記輝度信号用の色信号成分に対して第1の階調変換特性を用いて第1の階調変換を行う第1の階調変換手段と、前記色差信号用の色信号成分に対して第2の階調変換特性を用いて第2の階調変換を行う第2の階調変換手段と、前記第1の階調変換手段の出力と前記第2の階調変換手段の出力を合成して、輝度信号用と色差信号用に共通の色信号成分を生成する第3の生成手段と、前記第3の生成手段により処理された後の信号に対して第3の階調変換特性を用いて第3の階調変換を行う第3の階調変換手段と、を備え、前記第1および第2の階調変換特性は、前記入力画像信号の少なくとも一部の値の範囲に対し、前記目標曲線にしたがった階調変換を行う場合よりも少ない増幅率で階調変換を行う特性であり、前記第3の階調変換特性は、前記第3の生成手段により生成された信号に対し、前記入力画像信号を前記目標曲線にしたがって階調変換した場合と同じ値になるよう階調変換を行う特性であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係わる画像処理装置は、入力画像信号に対して階調変換を行う画像処理装置であって、入力画像信号から、輝度信号用の色信号成分を生成する第1の生成手段と、入力画像信号から、色差信号用の色信号成分を生成する第2の生成手段と、前記輝度信号用の色信号成分に対して第1の階調変換を行う第1の階調変換手段と、前記色差信号用の色信号成分に対して第2の階調変換を行う第2の階調変換手段と、前記第1の階調変換手段の出力と前記第2の階調変換手段の出力を合成して、輝度信号用と色差信号用に共通の色信号成分を生成する第3の生成手段と、前記第3の生成手段により処理された後の信号に対して第3の階調変換を行う第3の階調変換手段と、を備え、前記第1および第2の階調変換手段は、相対的に非線形性の弱い階調変換を行い、前記第3の階調変換手段は、相対的に前記第1および第2の階調変換手段よりも非線形性の強い階調変換を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、輝度系と色系でそれぞれ最適化した階調変換処理を行う場合に、輝度成分の振幅レベル差の増大を抑制できるようにした画像処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の画像処理装置の第1の実施形態であるデジタルカメラの構成を示すブロック図。
図2】第1の実施形態における画像処理部の構成を示すブロック図。
図3】HDRモニタの階調変換特性(EOTF特性)の特徴を示す図。
図4】HDRモニタの階調変換特性(逆EOTF特性)の特徴を示す図。
図5図4の曲線の微係数を示す図。
図6】第1、第2の階調変換部の特性を説明する図。
図7】第3の階調変換部の特性を説明する図。
図8】第2の実施形態における画像処理部の構成を示すブロック図。
図9】第3の実施形態における画像処理部の構成を示すブロック図。
図10】第5及び第6の階調変換部の特性を説明する図。
図11】第3の実施形態における画像処理部内での階調変換特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の画像処理装置の第1の実施形態であるデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、レンズ群101はズームレンズ、フォーカスレンズを含み、被写体像を結像させる。シャッター102は光路を開閉する機能と絞り機能とを備える。撮像部103はCMOS素子等で構成され、光学像を電気信号に変換する。A/D変換器104は、撮像部103から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。画像処理部105は、A/D変換器104から出力される画像データに対して、ホワイトバランス処理、デモザイク処理、ノイズリダクション処理、輪郭強調処理、階調変換処理、色補正処理などの各種画像処理を行う。画像メモリ106は画像データを一時記憶する。メモリ制御部107は、画像メモリ106からの画像データの入出力を制御する。D/A変換器108は入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。表示部109はLCD等からなり、D/A変換器108から出力された画像データ等を表示する。コーデック部110は画像データを圧縮符号化・復号化する。
【0015】
記録媒体112はメモリカードやハードディスク等からなり、画像データを記録する。インターフェース111は、映像信号を記録媒体112に出力するためのインターフェースである。外部出力端子113は、本実施形態のデジタルカメラで生成された映像信号を、HDR(ハイダイナミックレンジ)モニタなどの、このデジタルカメラに接続された外部機器に出力する。システム制御部114は、デジタルカメラのシステム全体を制御する。
【0016】
次に、上記のように構成されたデジタルカメラにおける基本動作について説明する。撮像部103は、レンズ101及びシャッター102を介して入射した光を光電変換し、生成された画像信号を、入力画像信号としてA/D変換器104へ出力する。A/D変換器104は、撮像部103から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換し、画像処理部105に出力する。
【0017】
画像処理部105は、A/D変換器104から出力された画像データ、又はメモリ制御部107から出力された画像データを処理し、コーデック部110、外部出録端子113に出力するための映像信号を生成する。画像処理部105から出力された画像データは、メモリ制御部107を介して画像メモリ106に書き込まれる。画像メモリ106は、A/D変換器104から出力された画像データや、表示部109に表示するための画像データを格納する。
【0018】
また、D/A変換器108は、画像メモリ106に格納されている表示用の画像データをアナログ信号に変換して表示部109に供給する。表示部109は、LCD等の表示器上に、D/A変換器108から出力されたアナログ信号に応じた表示を行う。コーデック部110は、画像メモリ106に格納された画像データを圧縮符号化する。システム制御部114は符号化した画像データを、インタフェース111を介して記録媒体に格納する。また、システム制御部114は、画像メモリ106または、画像処理部105、またはコーデック部110から出力される映像信号を、外部出力端子113を介して、HDRモニタなどの外部出力機器に出力する。
【0019】
次に、図2は、画像処理部105の構成を示す図である。図2において、輝度用信号生成部200は、入力画像から、輝度信号に適したRGBの信号成分(色信号成分)を生成する。色差用信号生成部201は、入力画像から、色差信号に適したRGBの信号成分(色信号成分)を生成する。ここで、人間の視覚系は、色よりも明るさの変化に対して、高い空間周波数まで応答する特徴がある。そのため、輝度用信号生成部200では、高周波成分を多く含むよう、A/D変換器104から出力された画像データに対して、デモザイク処理、ノイズリダクション処理、輪郭補償処理などを行う。一方、色差用信号生成部201では、ノイズや画像処理によるエイリアシングなど、高周波成分に起因した画質劣化がなるべく低減されるよう、A/D変換器104から出力された画像データに対して、デモザイク処理、ノイズリダクション処理、色補正処理などを行う。
【0020】
第1の階調変換部202は、輝度用信号生成部200の出力Ry,Gy,Byに対して、第1の階調変換を行う。また、第2の階調変換部203は、色差用信号生成部201の出力Rc,Gc,Bcに対して、第2の階調変換を行う。
【0021】
ここで、第1の階調変換部202と第2の階調変換部203は、同じ特性の階調変換処理を行ってもよいし、異なる特性の階調変換処理を行ってもよいが、本実施形態では同じ特性の階調変換処理を行うものとする。式(1)〜式(6)は、第1の階調変換部202、第2の階調変換部203での、色差用のRGB信号R1c’,G1c’,B1c’、輝度用のRGB信号R1y’,G1y’,B1y’を生成する演算を示す式である。
【0022】
ここで、第1の階調変換部202と第2の階調変換部203で同じ特性の階調変換を行うとすると、それらの階調変換処理は、xを入力、yを出力、変換特性の微係数をf1(x)とすると、y=x*f1(x)と表記できる。
【0023】
R1c’=Rc*f1(Rc) …(1)
R1y’=Ry*f1(Ry) …(2)
G1c’=Gc*f1(Gc) …(3)
G1y’=Gy*f1(Gy) …(4)
B1c’=Bc*f1(Bc) …(5)
B1y’=By*f1(By) …(6)
第1の階調変換部202と第2の階調変換部203の出力は、信号統合部204に入力される。信号統合部204は、第1の階調変換部202、第2の階調変換部203から出力される、輝度信号用と色差信号用の2系統のRGB信号を統合(合成)して、1系統のRGB信号Rmix,Gmix,Bmixを生成する。式(7)〜式(9)は、信号統合部204での演算を示す式である。
【0024】
Rmix=R1c’+a*(R1y’−R1c’)+b*(G1y’−G1c’)
+c*(B1y’−B1c’) …(7)
Gmix=G1c’+a*(R1y’−R1c’)+b*(G1y’−G1c’)
+c*(B1y’−B1c’) …(8)
Bmix=B1c’+a*(R1y’−R1c’)+b*(G1y’−G1c’)
+c*(B1y’−B1c’) …(9)
なお、式(7)〜式(9)において、a,b,cは任意の係数であり、a+b+c=1を満たす。
【0025】
信号統合部204の出力は、第3の階調変換部205に入力される。第3の階調変換部205は、信号統合部204から出力されるRGB信号Rmix,Gmix,Bmixに対して、第3の階調変換を行う。第3の階調変換では、式(10)〜式(12)を用いて、出力信号R2’,G2’,B2’を生成する。ここで、第3の階調変換部205での変換処理は、xを入力、yを出力、変換特性の微係数をf2(x)とすると、y=x*f2(x)と表記できる。
【0026】
R2’=Rmix*f2(Rmix) …(10)
G2’=Gmix*f2(Gmix) …(11)
B2’=Bmix*f2(Bmix) …(12)
第3の階調変換部205の出力は、色輝度分離部206に入力される。色輝度分離部206は、第3の階調変換部205から出力されるRGB信号から、式(13)〜式(15)を用いて、輝度信号Y(輝度信号成分)と色差信号U,V(色差信号成分)を分離する。なお、式(13)〜式(15)において、a1,b1,c1は任意の係数であり、a1+b1+c1=1を満たす。
【0027】
Y=a1*R2’+b1*G2’+c1*B2’ …(13)
U=(1−c1)*B2’−a1*R2’−b1*G2’ …(14)
V=(1−a1)*R2’−c1*B2’−b1*G2’ …(15)
色輝度分離部206から出力される輝度信号及び色差信号は、画像メモリ106またはコーデック部110を経由して、外部出力端子113からHDRモニタに入力される。
【0028】
次に、図3図4図5は、第1の階調変換部202、第2の階調変換部203、第3の階調変換部205の処理の目的と作用を説明する図である。
【0029】
HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応したモニタでは、ダイナミックレンジ(Dレンジ)の広いシーンの輝度を、なるべく劣化なく再現するため、映像信号の量子化レベルと表示輝度との対応関係がEOTF(Electro Optical Transfer Function)として規定されている。そして、その入出力特性は、例えば図3のようになる。従って、カメラ側では、図4で示すような、上記のEOTFの逆特性(目標とする目標曲線)で、撮像部103で取得された入力画像の階調変換を行い、映像信号(出力画像信号)をモニタに出力する。これにより、ダイナミックレンジの広いシーンの輝度を、モニタ上の輝度として再現することができる。ここで、図4のような入出力特性で階調変換を行う場合、階調変換特性の微係数は図5のようになり、入力信号のレベルが小さい領域500では、入力信号レベルが大きい領域よりも、相対的に大きい微係数で入力信号が増幅されることなる。
【0030】
一方で、画像処理部105では、人間の視覚特性を考慮して、効率良く高画質な映像信号を生成するために、輝度信号、色差信号のためのRGB信号をそれぞれ独立の系で生成している。そのため、ノイズや、画像処理によるエイリアシングによって、これら2系統のRGB信号の振幅レベルに差異が発生する場合がある。
【0031】
従って、これら2系統のRGB信号の振幅レベルの差異が、階調変換処理によって増幅された後、信号統合部204で統合されると、式(7)〜(9)に含まれる、第2項目以降の成分が大きくなり、入力画像には存在しなかった、偽信号が発生する。特に、有彩色で高彩度の被写体の場合には、RGBの内、0近傍の値をとる色について、式(7)〜(9)の第2項目以降の成分が大きくなるため、元の色にはなかった色信号が混入する。混入した色成分が、モニタ内の階調変換で強調されることで、画質を著しく劣化させる。
【0032】
そこで、本実施形態では、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性を、1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203と、2段階目の第3の階調変換部205の2段階に分けて適用する。信号統合部204で統合される前の、1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203では、上記の2系統のRGB信号の振幅レベルの差異が著しく増幅されず、所定のレベル以下になるようにする。具体的には、図6に符号500で示す領域において、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性401に一致する特性よりも、暗部(低輝度部)の立ち上がりが小さくなるような特性(変換量)で階調変換を行う。このときの入出力特性は、例えば図6に符号402で示すような特性となる。なお、第1の階調変換部202と第2の階調変換部203における階調変換の特性は、すでに説明したように共通にしてもよいし、階調変換後の2系統のRGB信号の振幅レベルの差異が許容できる範囲で、異なる特性としてもよい。また、図6の符号402で示す特性は曲線であるが、入力値が一律のゲインで増幅されるような線形な特性としてもよい。その一例として、図6の原点Oと点Aを直線で結んだ線形な特性とすることができる。なお、階調変換の前後でそれぞれのRGB信号の信号値の比が保たれるような変換特性であれば、2系統のRGB信号の振幅レベルの差が増幅されるのを抑制することができるので、線形変換以外にべき乗の変換であってもよい。
【0033】
一方、信号統合部204で統合された後の第3の階調変換部205では、図7に示すような入出力特性で階調変換を行う。符号500で示す領域は、図6の符号500で示す領域と対応している。1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203で階調変換された後の、符号500で示す領域の出力信号レベルは、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性に対して、振幅レベルが低くなっている。そのため、2段階目の階調変換である第3の階調変換部205による階調変換では、1段階目の階調変換で不足する振幅レベルの増幅を行うよう、階調変換を行う。
【0034】
なお、この2段階の階調変換は、別の表現をすれば、信号統合部204で統合する前の1段階目では、相対的に非線形性の弱い階調変換を行い、信号統合部204で統合した後の2段階目では、相対的に1段階目の階調変換よりも非線形性の強い階調変換を行うと表現することもできる。そして、これらの2段階の階調変換を組み合わせて、最終的にHDRモニタに対応したEOTFの逆特性となるように階調変換を行う。
【0035】
以上のように、本実施形態では、撮像部103で取得されたリニアな階調特性の入力画像に対して、輝度用、色差用に分けて、それぞれ最適な画像処理を行う。そして、輝度用、色差用に分けた状態における第1及び第2の階調変換部による1段階目の階調変換と、信号を統合した後の第3の階調変換部による2段階目の階調変換を組み合わせて、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性となる階調変換を行う。これにより、輝度用と色差用の信号処理系の違いに起因して発生する偽信号を、階調変換によって強調することなく、撮像部で取得されたシーンの輝度を、HDRモニタ上の輝度として再現することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、第1及び第2の階調変換部、第3の階調変換部で階調変換を行う色空間を、RGBとしたが、XYZ、LMSなど、他の混色系表色系の色空間で変換処理を行ってもよい。
【0037】
(第2の実施形態)
以下、本発明の画像処理装置の第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。この第2の実施形態のデジタルカメラは、外面的には、図1に示した第1の実施形態のデジタルカメラと同じであり、画像処理部105の構成のみが、第1の実施形態と異なる。以下では、この第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
図8は、第2の実施形態における画像処理部105の構成を示す図である。第1の実施形態と同じ作用をする構成要素については、説明を省略する。図8において、輝度用信号生成部200は、入力画像から、輝度信号に適したRGBの信号成分を生成する。色差用信号生成部201は、入力画像から、色差信号に適したRGBの信号成分を生成する。
【0039】
第1の階調変換部202は、輝度用信号生成部200の出力Ry,Gy,Byに対して、第1の階調変換を行う。また、第2の階調変換部203は、色差用信号生成部201の出力Rc,Gc,Bcに対して、第2の階調変換を行う。
【0040】
第1の階調変換部202と第2の階調変換部203の出力は、信号統合部204に入力される。信号統合部204は、第1の階調変換部202、第2の階調変換部203から出力される、輝度信号用と色差信号用の2系統のRGB信号を統合して、1系統のRGB信号を生成する。信号統合部204の出力は、色輝度分離部206に入力される。色輝度分離部206は、信号統合部204から出力されるRGB信号から、輝度信号と色差信号を分離する。
【0041】
色輝度分離部206の出力は、第4の階調変換部207に入力される。第4の階調変換部207は、色輝度分離部206から出力される輝度信号及び色差信号に対して、YUV色空間で第4の階調変換を行う。第4の階調変換部207から出力される輝度信号及び色差信号は、画像メモリ106またはコーデック部110を経由して、外部出力端子113からHDRモニタに入力される。
【0042】
第2の実施形態では、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性を、1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203と、2段階目の第4の階調変換部207の2段階に分けて適用する。信号統合部204で統合される前の、1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203では、輝度系と色差系の2系統のRGB信号の振幅レベルの差異が著しく増幅されないようにする。具体的には、図6に符号500で示す領域において、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性401よりも、暗部の立ち上がりが小さくなるような特性で階調変換を行う。このときの入出力特性は、例えば図6に符号402で示すような特性となる。なお、第1の階調変換部202と第2の階調変換部203における階調変換の特性は、すでに説明したように共通にしてもよいし、階調変換後の2系統のRGB信号の振幅レベルの差異が許容できる範囲で、異なる特性としてもよい。また、図6の符号402で示す特性は曲線であるが、入力値が一律のゲインで増幅されるような線形な特性としてもよい。
【0043】
一方、色輝度分離部206で輝度信号と色差信号が分離された後の第4の階調変換部207では、図7に示すようなRGB空間での入出力特性を、YUV空間に変換した上で、階調変換を行う。符号500で示す領域は、図6の符号500で示す領域と対応している。1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203で階調変換された後の、符号500で示す領域の出力信号レベルは、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性に対して、振幅レベルが低くなっている。そのため、2段階目の階調変換である第4の階調変換部207による階調変換では、1段階目の階調変換で不足する振幅レベルの増幅をYUV空間で行うよう、階調変変換を行う。具体的には、図7のRGB空間での階調変換特性に基づいて、YUV空間での3Dルックアップテーブルを作成し、色輝度分離部206から出力される輝度信号及び色差信号に対して、それぞれ1段階目の階調変換で不足する振幅レベルを増幅する。
【0044】
以上のように、第2の実施形態においても、撮像部103で取得されたリニアな階調特性の入力画像に対して、輝度用、色差用に分けて、それぞれ最適な画像処理を行う。そして、輝度用、色差用に分けた状態における第1及び第2の階調変換部による1段階目の階調変換と、信号を統合した後の第4の階調変換部による2段階目の階調変換を組み合わせて、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性となる階調変換を行う。これにより、輝度用と色差用の信号処理系の違いに起因して発生する偽信号を、階調変換によって強調することなく、撮像部で取得されたシーンの輝度を、HDRモニタ上の輝度として再現することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、第1及び第2の階調変換部で階調変換を行う色空間を、RGBとしたが、XYZ、LMSなど、他の混色系表色系の色空間で変換処理を行ってもよい。また、第4の階調変換部での変換を行う色空間をYUVとしたが、ICtCpなど、色輝度分離形式の他の色空間で変換処理を行ってもよい。
【0046】
(第3の実施形態)
以下、本発明の画像処理装置の第3の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。この第3の実施形態のデジタルカメラは、外面的には、図1に示した第1の実施形態のデジタルカメラと同じであり、画像処理部105の構成のみが、第1の実施形態と異なる。以下では、この第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0047】
図9は、第3の実施形態における画像処理部105の構成を示す図である。第1の実施形態と同じ作用をする構成要素については、説明を省略する。図9において、輝度用信号生成部200は、入力画像から、輝度信号に適したRGBの信号成分を生成する。色差用信号生成部201は、入力画像から、色差信号に適したRGBの信号成分を生成する。
【0048】
第1の階調変換部202は、輝度用信号生成部200の出力Ry,Gy,Byに対して、第1の階調変換を行う。また、第2の階調変換部203は、色差用信号生成部201の出力Rc,Gc,Bcに対して、第2の階調変換を行う。
【0049】
第1の階調変換部202と第2の階調変換部203の出力は、信号統合部204に入力される。信号統合部204は、第1の階調変換部202、第2の階調変換部203から出力される、輝度信号用と色差信号用の2系統のRGB信号を統合して、1系統のRGB信号を生成する。
【0050】
信号統合部204の出力は、第5の階調変換部208、第6の階調変換部209に入力される。第5の階調変換部208は、信号統合部204から出力されるRGB信号に対して、輝度出力用の第5の階調変換を行う。第6の階調変換部209は、信号統合部204から出力されるRGB信号に対して、色差出力用の第6の階調変換を行う。
【0051】
第5の階調変換部208の出力は、輝度分離部210に入力される。輝度分離部210は、第5の階調変換部208から出力されるRGB信号から、輝度信号を分離する。第6の階調変換部209の出力は、色差分離部211に入力される。色差分離部211は、第6の階調変換部209から出力されるRGB信号から、色差信号を分離する。
【0052】
輝度分離部210、色差分離部211から出力される輝度及び色差信号は、画像メモリ106、またはコーデック部110を経由して、外部出力端子113からHDRモニタに入力される。
【0053】
第3の実施形態では、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性を、1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203と、2段階目の第5及び第6の階調変換部208,209の2段階に分けて適用する。信号統合部204で統合される前の、1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203では、輝度系と色差系の2系統のRGB信号の振幅レベルの差異が著しく増幅されないようにする。具体的には、図6に符号500で示す領域において、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性401よりも、暗部の立ち上がりが小さくなるような特性で階調変換を行う。このときの入出力特性は、例えば図6に符号402で示すような特性となる。なお、第1の階調変換部202と第2の階調変換部203における、階調変換の特性は、すでに説明したように共通にしてもよいし、階調変換後の2系統のRGB信号の振幅レベルの差異が許容できる範囲で、異なる特性としてもよい。また、図6の符号402で示す特性は曲線であるが、入力値が一律のゲインで増幅されるような線形な特性としてもよい。
【0054】
一方、信号統合部204で統合された後の第5の階調変換部208では、図10の符号701で示すような入出力特性で、階調変換を行う。符号500で示す領域は、図6の符号500で示す領域と対応している。1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203で階調変換された後の、符号500で示す領域の出力信号レベルは、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性に対して、振幅レベルが低くなっている。そのため、2段階目の階調変換である第5の階調変換部208による階調変換では、1段階目の階調変換で不足する振幅レベルの増幅を行うよう、階調変換を行う。
【0055】
また、信号統合手段204で統合された後の第6の階調変換部209では、図10の符号703で示すような入手力特性で、階調変換を行う。符号500で示す領域は、図6の符号500で示す領域と対応している。1段階目の第1及び第2の階調変換部202,203で階調変換された後の、符号500で示す領域の出力信号レベルは、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性に対して、振幅レベルが低くなっている。そのため、2段階目の階調変換である第6の階調変換部209による階調変換では、符号500で示す領域において、1段階目の階調変換で不足する振幅レベルの増幅を行うよう、階調変換を行う。また、入力信号の振幅レベルが相対的に大きい符号501で示す領域では、第5の階調変換部208と異なる階調変換特性で、階調変換を行う。例えば、第5の階調変換部208による階調変換を符号701で示す特性で行い、第6の階調変換部209による階調変換を符号703で示す特性で行う。こうすると、最終的に出力される輝度用のRGB信号、色差用のRGB信号の階調再現特性は、それぞれ図11に符号401,403で示される特性となる。そのため、ハイライト側の輝度、彩度のグラデーションを微調整することが可能になる。ここで、第5の階調変換部208と第6の階調変換部209の階調変換特性の調整は、信号統合部204で統合された、輝度用と色差用のRGB信号の差異、特に、ノイズ成分や、前述した2系統の内の一方の系統に多く含まれる信号の振幅レベルを、増幅しすぎない程度に調整するものとする。
【0056】
以上のように、第3の実施形態においても、撮像部103で取得されたリニアな階調特性の入力画像に対して、輝度用、色差用に分けて、それぞれ最適な画像処理を行う。そして、輝度用、色差用に分けた状態における第1及び第2の階調変換部による1段階目の階調変換と、信号を統合した後の第5及び第6の階調変換部による2段階目の階調変換を組み合わせて、HDRモニタに対応したEOTFの逆特性となる階調変換を行う。これにより、輝度用と色差用の信号処理系の違いに起因して発生する偽信号を、階調変換によって強調することなく、撮像部で取得されたシーンの輝度を、HDRモニタ上の輝度として再現することができる。
【0057】
さらに、輝度用と色差用のRGB信号を統合した後に行う、第5の階調変換、第6の階調変換において階調変換特性を変更することにより、最終的に出力される輝度信号と色信号の色階調再現性を、ユーザーの好みやシーンに応じて調整することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、第1、第2、第5、第6の階調変換部により階調変換を行う色空間をRGBとしたが、XYZ、LMSなど、他の混色系表色系の色空間で変換処理を行ってもよい。
【0059】
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【符号の説明】
【0060】
105:画像処理部、200:輝度用信号生成部、201:色差用信号生成部、202:第1の階調変換部、203:第2の階調変換部、204:信号統合部、205:第3の階調変換部、206:色輝度分離部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11