特許第6956545号(P6956545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6956545-電池パック 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956545
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/287 20210101AFI20211021BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20211021BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20211021BHJP
【FI】
   H01M50/287
   H01M50/204 301
   H01M50/271 S
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-134785(P2017-134785)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-16560(P2019-16560A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年2月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】田村 裕明
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−166148(JP,A)
【文献】 特開2012−079536(JP,A)
【文献】 特開2014−138483(JP,A)
【文献】 特開平08−212991(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0301747(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2018−0106071(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50 − 50/598
H01M 50/20 − 50/298
H01M 10/42 − 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池部と、
配線基板と、
前記電池部と前記配線基板との間に位置する基板ホルダと、
前記電池部、前記配線基板、および、前記基板ホルダを収容する筐体と、
を有しており、
前記電池部、前記配線基板、および、前記基板ホルダが重なる方向から見た場合に、前記配線基板は、前記電池部および前記基板ホルダよりも小さく、
前記基板ホルダは、
前記配線基板と対向する面のうち、前記電池部と平面視で重なり、かつ、前記配線基板と平面視で重ならない領域に突状部材と、
前記面の端部から前記突状部材と同一方向に立設する壁部と、を備え、
前記壁部の高さは前記突状部材の高さと略同一であり、
前記基板ホルダは、前記筐体に収容された状態において、前記突状部材の少なくとも一部および前記壁部の少なくとも一部が前記筐体の内壁に接触するように配置される、
電池パック。
【請求項2】
前記突状部材は格子状のリブ部材である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記リブ部材の格子は等間隔に配置されている、
請求項に記載の電池パック。
【請求項4】
前記突状部材は複数のボス部材である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記複数のボス部材は等間隔に配置されている、
請求項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックの内部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックの内部構造に関する技術の一例が、例えば、下記特許文献1および特許文献2等に開示されている。下記特許文献1では、角型電池の外周部に燐片状の切り込みを一律に設け、当該切り込みを外装ケース側に起こす構造が開示されている。この構成によれば、角型電池に均等に圧力をかけることが可能となる。また、特許文献2には、電池パック内に電池と当該電池に接続された回路基板とを含む構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−056963号公報
【特許文献2】特開2009−087555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックの内部構造は、一般に二次電池を含む電池部と、制御用の電子回路を搭載する基板部とに分けられる。この場合において、基板部は、配線基板と当該配線基板を保護する収容プレートを有していることがある。この収容プレートは、絶縁及び防水のために設けられている。電池パックの内部の部品は、収容プレートと他の部品の間に挟持されることがある。本発明者が検討した結果、収容プレートの形状によっては、電池部に圧力がかかる部分とかからない部分が生じてしまうことが判明した。
【0005】
本発明の目的は、電池パック内部の電池に加わる圧力のばらつきを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明によれば、
電池部と、
配線基板と、
前記電池部と前記配線基板との間に位置する基板ホルダと、
前記電池部、前記配線基板、および、前記基板ホルダを収容する筐体と、
を有しており、
前記電池部、前記配線基板、および、前記基板ホルダが重なる方向から見た場合に、前記配線基板は、前記電池部および前記基板ホルダよりも小さく、
前記基板ホルダは、
前記配線基板と対向する面のうち、前記電池部と平面視で重なり、かつ、前記配線基板と平面視で重ならない領域に突状部材と、
前記面の端部から前記突状部材と同一方向に立設する壁部と、を備え、
前記壁部の高さは前記突状部材の高さと略同一であり、
前記基板ホルダは、前記筐体に収容された状態において、前記突状部材の少なくとも一部および前記壁部の少なくとも一部が前記筐体の内壁に接触するように配置される、
電池パックが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電池パック内部の電池に加わる圧力を均一化して不具合の発生を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る電池パックの全体的な構造を例示する図である。
図2】第1筐体部材側からの圧力の伝わり方を模式的に示す図である。
図3】突状部材の具体的な形状の一例を示す図である。
図4】突状部材の具体的な形状の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明に係る電池パック10の全体的な構造を例示する図である。図1に示されるように、電池パック10は、筐体100、電池部110、配線基板120、および、基板ホルダ130を含んで構成される。なお、図中の矢印dは、電池パック10を構成するこれらの部材の積層方向を示している。
【0011】
筐体100は、電池部110、配線基板120、および基板ホルダ130を収容する。図1の例では、筐体100は、第1筐体部材102および第2筐体部材104を有している。第1筐体部材102および第2筐体部材104は、電池部110、配線基板120、および基板ホルダ130を積層方向dに沿って挟み込むことによって、これらを両側から加圧する構造を少なくとも有する。この構造により、電池部110、配線基板120、および基板ホルダ130は、外部からの振動や衝撃などによって動かないように固定される。
【0012】
電池部110は、直列または並列に接続された複数の電池セルを含む。電池部110で使用される電池セルは、例えば、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池である。
【0013】
配線基板120は、充放電動作を行う電子回路を搭載している。配線基板120は、基板ホルダ130に収容された状態で、図示しない配線によって電池部110と接続される。配線基板120は、さらに、セルバランス動作の制御を行う回路を搭載していてもよい。
【0014】
基板ホルダ130は、電池部110と配線基板120との間に位置する。基板ホルダ130の面のうち、電池部110および配線基板120と接している面は、絶縁性の部材で形成されており、電池部110とほぼ同じ形状及び大きさを有している。
【0015】
ここで、図1に例示される構造では、電池パック10の部材の積層方向dにおいて、配線基板120のサイズが、電池部110および基板ホルダ130のサイズよりも小さくなっている。言い換えると、積層方向dにおいて、電池部110の一部は配線基板120から食み出している。このような構造においては、電池部110に圧力が不均一に加わる可能性が出てくる。これを、図2を用いて説明する。
【0016】
図2は、第1筐体部材102側からの圧力の伝わり方を模式的に示す図である。図中実線の矢印で示すように、電池部110と基板ホルダ130とが平面視で重なり、かつ、配線基板120と基板ホルダ130とが平面視で重なる領域においては、第1筐体部材102側から加わる圧力が配線基板120および基板ホルダ130を介して電池部110に伝わる。一方、図中点線の矢印で示すように、電池部110と基板ホルダ130とが平面視で重なり、かつ、配線基板120と基板ホルダ130とが平面視で重ならない領域(斜線部で示す領域)においては、第1筐体部材102側から加わる圧力が電池部110に伝わらない。この力の伝達経路の偏りによって、電池部110に不均一な圧力が加わってしまう。
【0017】
そこで、本発明に係る基板ホルダ130は、図中斜線部で示す領域に、筐体100から加わる圧力を電池部110に伝えるための突状部材132を備える。この領域は、「配線基板120と対向する基板ホルダ130の面のうち、電池部110と平面視で重なり、かつ、配線基板120と平面視で重ならない領域」と呼ぶこともできる。なお、図1および図2において、突状部材132の具体的な形状は描かれていない。突状部材132は、電池部110、配線基板120および基板ホルダ130が筐体100に収容された際に少なくとも一部が筐体100の内壁に接触するように形成される。この構成により、第1筐体部材102側から加わる圧力が、突状部材132を介して電池部110に伝わるようになる。これにより、電池パック10を製品として組み立てた際に、電池部110に加わる圧力を均一化することができる。結果として、電池部110に不均一に圧力が加わることによって、電池部110に不具合が生じることを抑制できる。
【0018】
以下に、突状部材132の具体的な形状をいくつか例示する。
【0019】
<突状部材132の具体例1>
図3は、突状部材132の具体的な形状の一例を示す図である。図3の例において、突状部材132は格子状のリブ部材1322である。格子の形状は例えば矩形であるが、他の多角形(例えば三角形や六角形)であってもよい。リブ部材1322の少なくとも一部が第1筐体部材102の内壁に接することにより、第1筐体部材102側から加わる圧力が格子状のリブ部材1322を介して電池部110に伝わるようになる。これにより、電池部110にかかる圧力を均一化することができる。なお、第1筐体部材102側から加わる圧力が電池部110の基板ホルダ130側の接触面に均一に伝わるようにするため、リブ部材1322の格子は、図3に示されるように、好ましくは等間隔に配置される。
【0020】
<突状部材132の具体例2>
図4は、突状部材132の具体的な形状の他の例を示す図である。図4において、突状部材132は複数のボス部材1324である。複数のボス部材1324の少なくとも一部が第1筐体部材102の内壁に接することにより、第1筐体部材102側から加わる圧力が複数のボス部材1324をして電池部110に伝わるようになる。これにより、電池部110にかかる圧力を均一化することができる。なお、第1筐体部材102側から加わる圧力が電池部110の基板ホルダ130側の接触面に均一に伝わるようにするため、図4に示されるように、複数のボス部材1324は、好ましくは等間隔に配置される。図4の例では、複数のボス部材1324は等間隔の格子点上に配置されている。
【0021】
また、図3および図4に示される例では、基板ホルダ130は、配線基板120と対向する基板ホルダ130の面から、突状部材132と同一方向に立設する壁部134を更に備える。そして、突状部材132および壁部134は、高さは互いにほぼ同じであり、かつ、共に、基板ホルダ130に収容される配線基板120の高さと同じ程度の高さを有する。これにより、電池部110、配線基板120、および基板ホルダ130を筐体100に収容した際、配線基板120の少なくとも一部、突状部材132の少なくとも一部、および壁部134の少なくとも一部を、第1筐体部材102の内壁に接触させて、電池部110に圧力を伝える経路の偏りを小さくすることができる。これにより、第1筐体部材102側から電池部110に加わる圧力を均一化することが可能となる。
【0022】
なお、突状部材132の形状は図3及び図4に示した例に限定されない。例えば、突状部材132は互いに平行に延在する壁状の突出部であってもよい。
【0023】
以上、本発明では、配線基板120と対向する基板ホルダ130の面のうち、電池部110と平面視で重なり、かつ、配線基板120と平面視で重ならない領域に突状部材132が設けられている。この突状部材132により、第1筐体部材102から電池部110への力の伝達経路が形成され、基板ホルダ130を介して電池部110に伝わる圧力を均一化することが可能となる。
【0024】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0025】
10 電池パック
100 筐体
102 第1筐体部材
104 第2筐体部材
110 電池部
120 配線基板
130 基板ホルダ
132 突状部材
1322 リブ部材
1324 ボス部材
134 壁部
図1
図2
図3
図4