特許第6956547号(P6956547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956547
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】トラックボール
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20211021BHJP
【FI】
   G06F3/0354 431
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-137850(P2017-137850)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-20955(P2019-20955A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月14日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの公開日 平成29年7月4日 ウェブサイトのアドレス http://www2.elecom.co.jp/peripheral/trackball/ http://www2.elecom.co.jp/products/M−HT1DRBK.html
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】平田 清隆
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0233169(US,A1)
【文献】 特開2008−140225(JP,A)
【文献】 実開平06−056831(JP,U)
【文献】 特表2004−500611(JP,A)
【文献】 国際公開第00/51069(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ボールと、該操作ボールの一部を露出させた状態で該操作ボールを回転自在に支持するデバイス本体とを備え、
該デバイス本体にパームレスト部が設けられ、
該パームレスト部に、豆状骨に相当する手のひら部分から小指の付け根に相当する手のひら部分までの間の部分を載せることが可能に延長されている緩衝材を備え、
前記操作ボールは、前記デバイス本体の内寄りに配置され、
前記緩衝材は、前記デバイス本体の後端外寄りから前方へ向けて延長され、延長途中において、前端内寄りに配置された操作ボール側へ向けて湾曲するように配置されたことを特徴とするトラックボール。
【請求項2】
前記緩衝材は、豆状骨に相当する手のひら部分を含めて手のひらを全体的に載せることを可能に設けられた請求項1に記載のトラックボール。
【請求項3】
前記緩衝材のうち、豆状骨に相当する手のひら部分を載せる領域が、他の部分に比べて厚く設定された請求項または請求項に記載のトラックボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータの周辺機器として用いられるトラックボールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ポインティングデバイスの一種であるトラックボールが記載されている。このトラックボールは、ユーザの手指で操作される操作ボールと、操作ボールを回転自在に支持する本体とを備える。本体は、ユーザの手のひらの一部を載せるためのパームレストを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4814068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のように、操作ボールを支持する本体に、ユーザの手のひらの一部を載せるパームレストを備えたトラックボールは提案されている。しかしながら、これにはユーザの手のひらの一部を載せるパームレストが記載されているのみで、操作ボールの操作に伴うユーザの腕の疲労を抑える工夫について、その構成は記載されていない。
【0005】
そこで本発明は、操作ボールの操作に伴うユーザの腕の疲労を確実に抑え得るトラックボールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトラックボールは、操作ボールと、該操作ボールの一部を露出させた状態で該操作ボールを回転自在に支持するデバイス本体とを備え、該デバイス本体にパームレスト部が設けられ、該パームレスト部に、豆状骨に相当する手のひら部分を載せることが可能な緩衝材を備えたことを特徴としている。
【0007】
上記構成を備えた本発明のトラックボールは、パームレスト部に片方の手のひらを載せた状態で、ユーザが手指を操作ボールの露出部分に接触させて操作ボールを回転操作するよう用いられる。ユーザが手のひらをパームレスト部に載せると、操作ボールの操作の際に手指は、手首に近い豆状骨に相当する手のひら部分を基準として動かされる。そうなると、豆状骨に相当する手のひら部分に負荷が働く。しかしながら、豆状骨に相当する手のひら部分が緩衝材に載せられて、緩衝材によって支持されつつ緩衝されるから、豆状骨に相当する手のひら部分に負荷が働いても、操作ボールの操作に伴うユーザの手首等の疲労が抑えられる。
【0008】
本発明のトラックボールでは、前記緩衝材は、豆状骨に相当する手のひら部分から小指の付け根に相当する手のひら部分までの間の部分を載せることが可能に延長された構成を採用できる。
【0009】
上記構成のトラックボールは、豆状骨に相当する手のひら部分から小指の付け根に相当する手のひら部分までを緩衝材に載せ、手指を操作ボールの露出部分に接触させて、操作ボールを回転操作するよう用いられる。ユーザが、手のひらをパームレスト部に載せ操作ボールに手指を接触させて操作する際、ユーザは手のひらを、親指側がパームレスト部に対して浮き上がる方向で、小指側がパームレスト部に強く接触する方向に傾斜させる傾向にある。そこで上記構成のトラックボールでは、ユーザが、手のひらをパームレスト部に載せて操作ボールを操作する際、豆状骨に相当する手のひら部分から小指の付け根に相当する手のひら部分までの間の部分を、緩衝材によって支持しつつ緩衝するようにしている。
【0010】
本発明のトラックボールでは、前記緩衝材は、豆状骨に相当する手のひら部分を含めて手のひらを全体的に載せることを可能に設けられた構成を採用できる。
【0011】
上記構成のトラックボールでは、豆状骨に相当する手のひら部分を含めて手のひらが全体的に緩衝材により支持され、緩衝される。
【0012】
本発明のトラックボールでは、前記緩衝材のうち、豆状骨に相当する手のひら部分を載せる領域が、他の部分に比べて厚く設定された構成を採用できる。
【0013】
上記構成のトラックボールによれば、負荷の働き易い、豆状骨に相当する手のひら部分が、厚い緩衝材で支持されることで確実に緩衝される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトラックボールによれば、操作ボールを手指で操作する際に基準となる、豆状骨に相当する手のひら部分が緩衝材により支持されることで、操作ボールの操作に伴うユーザの腕の疲労を確実に抑え得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るパームレストの後方斜め上方からの斜視図である。
図2】同ユーザの手指を仮想線で表わし、豆状骨とコーナー部との位置関係を示した平面図である。
図3】同一方側からの側面図である。
図4】同背面図である。
図5】同正面図である。
図6】同他方側からの側面図である。
図7】同図2におけるC−C線断面矢視図である。
図8】同図2におけるA−A線断面矢視図である。
図9】同図2におけるB−B線断面矢視図である。
図10】同ユーザの手指を実線で表わした使用状態を表す他方側からの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るトラックボールを、図1ないし図10を参照しつつ説明する。トラックボール1は、ポインティングデバイスの一種である。トラックボール1は、図示しないパーソナルコンピュータの周辺機器として、例えば机上に、ユーザの好みの位置に置いて用いられる。なお、本実施形態のトラックボール1は、無線信号によりディスプレイ上の表示を操作可能に構成されており、右利きのユーザに適した部材配置構成を備える。
【0017】
図2に示すように、トラックボール1は、ユーザの手指Fで回転操作される操作ボール2と、操作ボール2の一部を露出させた状態で操作ボール2を回転自在に支持するデバイス本体3とを備える。
【0018】
操作ボール2は球体に形成されており、デバイス本体3の前端(ユーザから離れた方向)の左寄りに配置され、直径の半分以上の領域をデバイス本体3に入り込ませるように、デバイス本体3に支持されている。操作ボール2の直径の半分以上の領域がデバイス本体3に入り込むように支持させていることにより、その分だけ直径の大きな操作ボール2が用いられている。この操作ボール2は、ディスプレイ上のポインタの位置を操作するのに用いられる。
【0019】
デバイス本体3は、操作ボール2を回転自在且つ着脱自在に支持する支持部4と、支持部4の左右両側に配置された操作キー装着部5,6と、支持部4の後方側(ユーザに近い手前側)に配置されたパームレスト部7とを、机上等に載置される基台部8(例えば、図1参照)上に一体的に備えている。図2に示すように、デバイス本体3は平面視すると、前端が左右方向に沿う直線状に形成され、後端は後方へ向けて凸となるよう湾曲して形成されている。
【0020】
図3ないし図10に示すように、基台部8の底面8aは、平面状に形成されている。図7に示すように、基台部8はその内部に、トラックボール1の電源となる乾電池を装着するための電池装着部9を備え、底面8aの一部が電池装着部9のカバー(図示せず)とされている。
【0021】
図7に示すように、支持部4は、操作ボール2を装着する半球状の装着凹部11を備えている。装着凹部11の周面には、操作ボール2の回転方向を検出可能なセンサが配置されている。同図に示すように、支持部4の上面は、ユーザの肩幅方向右側へ向けて、且つ前方へ向けて下傾斜するよう配置されている。
【0022】
図2に示すように、右側の操作キー装着部5は、支持部4に対して右側に配置され、図1に示すように、全体として、ユーザの肩幅方向右側へ向けて下傾斜するよう配置されている。右側の操作キー装着部5の上面には、2種類の操作キーが配置されている。これら操作キーは左右方向に並べて配置され、前後方向に長い板状に形成されている。本実施形態では、2種類の操作キーは、右クリックキー12と、パーソナルコンピュータの本体にインストールされた所定のソフトを起動させる第一ファンクションキー13である。第一ファンクションキー13の右側には、ユーザの第五指(小指)F5を載せることが可能な指載せ部(符号省略)が配置されている。指載せ部は、下方に向けて凸であり、第一ファンクションキー13の長手方向に沿うよう配置されている。
【0023】
図2に示すように、左側の操作キー装着部6は、支持部4の後方において、略左半分側に配置されている。左側の操作キー装着部6は、内側装着部14と、外側装着部15とを備える。図3に示すように、内側装着部14は、全体として略上下方向(デバイス本体3の厚み方向)に沿い、図1に示すように前方ほどユーザの肩幅方向左側に位置するよう傾斜している。外側装着部15は、内側装着部14の下部に連続し、内側装着部14に対してユーザの肩幅方向左側後方に配置されて、略平板状とされている。
【0024】
内側装着部14は、ウェブページ閲覧時に閲覧履歴を進めたり戻したりする動作を可能とする閲覧用操作キー16,17、左クリックキー18、およびスクロール用ホイール19を備える。図2ないし図4に示すように、閲覧用操作キー16,17は内側装着部14の上部に配置され、スクロール用ホイール19は閲覧用操作キー16,17の下方にあって、閲覧用操作キー16,17に亘るよう配置されている。
【0025】
閲覧用操作キー16,17は、内側装着部14の前方への傾斜方向に沿って、前側に、閲覧履歴の新しい方へ進める閲覧用操作キー16が配置され、後側に、閲覧履歴の古い方へ戻す閲覧用操作キー17が配置されている。そして両閲覧用操作キー16,17、および左クリックキー18は、全体として前方を下傾斜させるよう配置されている。
【0026】
スクロール用ホイール19は円板状に形成され、前方且つ内方に傾斜した軸心20回りに回転自在とされて、その一部を内側装着部14から突出させている。該一部の突出方向は、閲覧用操作キー16,17、左クリックキー18の表面に対して略垂直な方向である。
【0027】
図1および図2に示すように、外側装着部15は、画面のポインタの速度を設定するための、速度設定キー21を備える。速度設定キー21は、低速、中速、高速の三段階の設定速度選択位置(設定速度選択表示)に切替え移動可能な操作片である。
【0028】
図1ないし図5に示すように、右側の操作キー装着部5、左側の操作キー装着部6とは別に、操作ボール2と左側の操作キー装着部6との間に、パーソナルコンピュータの本体にインストールされた所定のソフトを起動させる第二ファンクションキー22、第三ファンクションキー23が配置されている。
【0029】
図1ないし図6に示すように、デバイス本体3に、操作ボール2の露出部分に向けて上傾斜するパームレスト部7が設けられている。図8および図9に示すように、パームレスト部7は基台部8の上部に組付けられた板状のパームレスト台24と、パームレスト台24の上面の全部に載置して固定された緩衝材25とを備えている。緩衝材25は、ポリウレタンにより形成されている。したがって、緩衝材25の上面は、パームレスト台24の上面から突出した面とされている。緩衝材25の上面のほとんどは曲面の連続により形成されている。
【0030】
右クリックキー12、第一ファンクションキー13、第二ファンクションキー22、および第三ファンクションキー23の上面(ユーザの指が接触する面)は、パームレスト台24と略面一とされている。したがって、緩衝材25の上面は、右クリックキー12、第一ファンクションキー13、第二ファンクションキー22、および第三ファンクションキー23の上面に対して突出した面である。
【0031】
パームレスト台24は、デバイス本体3の後端から前方へ向けて延長され、延長途中において、平面視して、前端左寄りに配置された操作ボール2側へ向けて湾曲するよう配置されている。したがって、緩衝材25は、デバイス本体3の後端右寄りから前方へ向けて延長され、延長途中において、前端左寄りに配置された操作ボール2側へ向けて湾曲するよう配置されている。
【0032】
図2に示すように、平面視して、緩衝材25の後端側辺25aは、後方へ向けて凸となるよう湾曲して形成されている。緩衝材25の左端辺25bは、右側へ向けて凸となるよう内側装着部14の縁に沿って湾曲して形成されている。緩衝材25の前端辺の前端左側辺25cは、支持部4に沿うよう円弧状に形成されている。緩衝材25の前端辺の前端右側部辺25dは、外側装着部15の後端辺に沿って右側ほど後方へ至るようにして、右側辺25eに向けて傾斜して、右側辺25eに連続している。
【0033】
緩衝材25は上記のように形成されていることで、ユーザの豆状骨26(図10参照)に相当する手のひら部分を含めて、一般的な体型のユーザの、手のひらの略全体を載せることを可能な形状、および面積を有する。
【0034】
図8に示すように、本実施形態の緩衝材25では、後側寄りの領域が前側寄りの領域に比べて厚く形成されている。特に、緩衝材25において後端側辺25aおよびその近傍の領域が、前側寄りの領域に比べて厚く形成されており、しかも後端側辺25aおよびその近傍の領域において、ユーザの豆状骨26(図10参照)が載せられ易いコーナー部分27を最も厚く設定されている。次いで、緩衝材25では、図9に示すように、豆状骨26に相当する手のひら部分から第五指F5の付け根に相当する手のひら部分までの間のサイド部分28の厚みが厚く設定されている。サイド部分28の前側に、前記指載せ部が配置されている。
【0035】
上記構成を有するトラックボール1では、図2および図10に示すように、ユーザはその手のひらをパームレスト部7におけるパームレスト台24上面に設置した緩衝材25に載せ、手指Fを用いて操作ボール2等を操作する。このトラックボール1は、デバイス本体3を机上で移動させることなく用いることができる。
【0036】
具体的に、ユーザは、手のひらの全体を緩衝材25に載せるようにして、緩衝材25に対して前方に配置された操作ボール2を、例えば第二指(人差し指)F2、第三指(中指)F3を用いて前後方向、左右方向、あるいは斜め方向へ回転操作させる。これにより、ディスプレイ上のポインタの位置が操作される。
【0037】
操作ボール2では、その直径の半分以上の領域がデバイス本体3に入り込むように支持されていることにより、その分だけ直径の大きな操作ボール2が用いられている。このため、操作ボール2の回転量に応じたポインタの移動量を大きくさせられ、したがって、ユーザは、ポインタを所望の位置に移動させる位置付けの操作を楽に、且つ正確に行うことができる。
【0038】
ユーザは、例えば第一指(親指)F1を用いて、左側の操作キー装着部6の内側装着部14、および外側装着部15を操作する。左側の操作キー装着部6では、内側装着部14の閲覧用操作キー16,17、左クリックキー18、およびスクロール用ホイール19が上下方向に並んで配置されており、各キーは全体として前方を下傾斜させるよう配置されている。
【0039】
このような傾斜は、手のひらを緩衝材25に載せて第一指F1を内側装着部14に接触させた際、第一指F1の長手方向に沿い易い方向であるから、ユーザは、手のひらを緩衝材25に載せた状態において、閲覧用操作キー16,17、左クリックキー18を押圧操作し易い。また、スクロール用ホイール19は、前方且つ内方に傾斜した軸心20回りに回転自在とされていることで、手のひらを緩衝材25に載せた状態において、スクロール用ホイール19の外周面は第一指F1の長手方向に沿うので、第一指F1を使って回転させ易い。外側装着部15の速度設定キー21を操作する場合では、ユーザは第一指F1を下ろすことで速度設定キー21に触れて、操作を容易に行うことができる。
【0040】
ユーザは、例えば、第二指F2を用いて、第二ファンクションキー22、第三ファンクションキー23を押圧操作する。第二ファンクションキー22、第三ファンクションキー23は、操作ボール2の左側に隣り合って、キーどうし前後方向に並べて配置されているので、手のひらを緩衝材25に載せた状態では、特に第二指F2で操作し易い。
【0041】
ユーザは、例えば、第四指F4を用いて、あるいは場合によっては第三指F3を用いて、右側の操作キー装着部5の、右クリックキー12、あるいは第一ファンクションキー13を押圧操作する。右側の操作キー装着部5は、操作ボール2に対して右側に隣り合って配置され、右クリックキー12、および第一ファンクションキー13は左右方向に並べて配置されている。このため、手のひらを緩衝材25に載せた状態で、右側の操作キー装着部5を手指Fで操作がし易い。
【0042】
ところで、ユーザが手のひらを緩衝材25に載せ、上記のようにして操作ボール2を操作したり、操作キーを操作したりするには、一般的にはほとんどの場合、豆状骨26に相当する手のひら部分を支点として手指Fが動かされる。そして、パームレスト部7(パームレスト台24)は、後方から前方へ向けて上傾斜するよう配置されている。換言すると、ユーザが手のひらを緩衝材25に載せて、前述のような操作をする際、ユーザの手のひらでは、豆状骨26に相当する手のひら部分が、他の手のひら部分に比べて強く緩衝材25に当てられる。
【0043】
本実施形態では、パームレスト台24の全面に緩衝材25が固定するよう取付けられ、図10に示すように、緩衝材25のうち、豆状骨26に相当する手のひら部分を載せるコーナー部分27が、他の部分に比べて厚く形成されている。よって、ユーザが上記のような操作を長時間に亘って行っても、操作する動作ごとに豆状骨26に相当する手のひら部分が緩衝されて、その結果、腕の疲労を抑えることができる。
【0044】
緩衝材25は、デバイス本体3の後端右寄りから前方へ向けて延長され、延長途中において、デバイス本体3の前端左寄りに配置された操作ボール2側へ向けて、平面視して湾曲するよう配置されている。すなわち緩衝材25は、豆状骨26に相当する手のひら部分から第五指F5の付け根に相当する手のひら部分までの間の部分を載せることが可能な、サイド部分28を備える。
【0045】
この手のひら部分は、豆状骨26に相当する部分に次いで支点部分になりやすく、したがって、緩衝材25に強く当てられる部分である。そして本実施形態では、緩衝材25は、豆状骨26に相当する手のひら部分から第五指F5の付け根に相当する手のひら部分までの間の部分を載せるサイド部分28もまた、緩衝材25の前側部分、左側部分に比べて厚く形成されている。
【0046】
よって、ユーザが上記のような操作を長時間に亘って行っても、操作するごとに、豆状骨26に相当する手のひら部分から第五指F5の付け根に相当する手のひら部分が緩衝されて、その結果、腕の疲労を抑えることができる。
【0047】
ところで、一般的な手のひらの大きさに比べて小さな手のひらを有したユーザが、その豆状骨26に相当する手のひら部分を、緩衝材25の後端に対して前方に位置させるようにして緩衝材25に載せて、操作ボール2等を操作する場合が想定される。
【0048】
このような場合、本実施形態のトラックボール1では、緩衝材25は、パームレスト台24の形状および面積に沿うよう設けられていることで、操作ボール2の近傍まで延長されている。したがって、小さな手のひらのユーザであっても、その手のひらの全体が緩衝材25によって支持され、腕の疲労を抑制することができる。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、緩衝材25は、ユーザの豆状骨26に相当する手のひら部分を含めて、一般的な体型のユーザの手のひらの略全体を載せることを可能な形状、および面積とした場合を例示した。
【0050】
しかしながら、緩衝材25は、豆状骨26に相当する手のひら部分から第五指F5の付け根に相当する手のひら部分までを載せることができる形状、および面積に特定された部分のみを、パームレスト台24の右側部分に取付けるようにしてもよい。このように構成することでも、操作ボール2の操作あるいは、他の操作キーを操作する際に手のひらに働く負担を緩衝材25が軽減させて、腕の疲労を抑制することができる。
【0051】
あるいは、緩衝材25は、豆状骨26に相当する手のひら部分、およびその近傍を載せることができる形状、および面積に特定された部分のみを、パームレスト台24の右側後方部分に取付けるようにしても、操作ボール2の操作あるいは、他の操作キーを操作する際に手のひらに働く負担を緩衝材25が軽減させて、腕の疲労を抑制することができる。
【0052】
何れの構成とする場合であっても、緩衝材25のうち、最も厚い部分を、豆状骨26に相当する手のひら部分が載せられる領域とすることで、手指を動かす操作に伴う疲労を抑制することができる。
【0053】
なお、上記実施形態に係るトラックボール1は、右利きのユーザに適した部材配置の構成を備える場合として説明した。しかしながら、左利きのユーザに適用させるために、上記実施形態に係るトラックボール1を、左右方向中心位置とした対象構成とすることが考えられる。また、本発明のトラックボール1は、ケーブル接続式、ワイヤレス式の形式を問うことなく適用させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…トラックボール、2…操作ボール、3…デバイス本体、4…支持部、5,6…操作キー装着部、7…パームレスト部、8…基台部、11…装着凹部、12…右クリックキー、13…第一ファンクションキー、14…内側装着部、15…外側装着部、16,17…閲覧用操作キー、18…左クリックキー、19…スクロール用ホイール、20…軸心、21…速度設定キー、22…第二ファンクションキー、23…第三ファンクションキー、24…パームレスト台、25…緩衝材、25a…後端側辺、25b…左端辺、25c…前端左側辺、25d…前端右側部辺、25e…右側辺、26…豆状骨、27…コーナー部分、F1…第一指、F2…第二指、F3…第三指、F4…第四指、F5…第五指
図1
図2
図3
図4
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