(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
帯状に延在するフレキシブルプリント基板であって、その延在方向に沿って配線パターンが形成された第1表面と、前記第1表面と反対側の第2表面と、を備えるフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板の前記第1表面に搭載され、前記配線パターンに電気的に接続された複数の発光素子と、
前記発光素子と背向して前記フレキシブルプリント基板の前記第2表面に接触配置された放熱部材と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板の前記第1表面には、前記フレキシブルプリント基板の延在方向に沿って前記配線パターンの両側にグランドパターンが形成され、前記グランドパターンは、前記配線パターンと電気的に非接続であることを特徴とする車両用灯具。
帯状に延在する透明フレキシブル基板であって、その延在方向に沿って延びる細長領域に形成された導電パターンと、前記導電パターンを挟む二枚の絶縁フィルムと、を備える透明フレキシブル基板と、
前記二枚の絶縁フィルムの間に配置され、前記導電パターンに電気的に接続された複数の発光素子と、を備え、
前記透明フレキシブル基板は、前記二枚の絶縁フィルムの間に、前記透明フレキシブル基板の延在方向に沿って前記導電パターンの両側に形成されたグランドパターンを備え、前記グランドパターンは、前記導電パターンと電気的に非接続であることを特徴とする車両用灯具。
前記複数の発光素子への給電のために前記透明フレキシブル基板に取り付けられたコネクタ基板であって、前記細長領域の一端で前記導電パターンに電気的に接続された配線パターンを備えるコネクタ基板をさらに備え、
前記グランドパターンは、前記細長領域の前記一端を除く前記細長領域の全周を囲むようにして、前記導電パターンの周囲に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
前記二枚の絶縁フィルムの間に配置された複数の静電気保護素子をさらに備え、各静電気保護素子が対応する発光素子と並列となるように前記導電パターンに電気的に接続されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、車両用灯具について鋭意研究を重ねた結果、以下の課題を認識するに至った。
【0005】
車両用灯具の内部での静電気放電とこれに起因する発光素子の損傷リスクは、帯電した作業者からの放電など、主として車両用灯具の製造段階に顕著であると考えられてきた。ところが、本発明者らは、車両用灯具の製造段階だけでなく使用段階においてもこうしたリスクを無視できないことを新たに認知した。
【0006】
車両用灯具は使用時に外部環境に露出されるカバーなどの表面部材を有するが、表面部材には、例えば風や砂埃などを車両走行中に受けて摩擦帯電が起こりやすい。表面部材への電荷の蓄積が徐々に進み、表面部材と接地電位部(例えば車体)との電位差が拡大し、車両用灯具の内部に誘起される静電場が強くなる。灯具内のエクステンション、リフレクタ等の導電部材に誘導帯電が引き起こされる。近接する要素間の電位差が限界を超えれば、それら要素間に静電気放電が起こる。発光素子へと放電したとすると、最悪の場合、発光素子は破壊されうる。
【0007】
このようにして車両用灯具の使用段階で灯具内で比較的容易に静電気放電が起こりうることは、一般にこれまでほとんど認識されていない。したがって、車両用灯具の使用段階を想定して車両用灯具に静電気保護対策を適用する提案は稀である。
【0008】
特許文献1に提案されるようなアースコード接続によれば、エクステンションの蒸着部に帯電した静電気をアースコードを介して基板のアースへと逃がすことができ、エクステンションの蒸着部に帯電した静電気により半導体発光素子が損傷する事態を回避することができる。しかし、車両用灯具の製造コストを、アースコードを非設置とする場合に比べていくらか高めてしまう不利益がある。また、灯具の構造によってはアースコードを配置しにくい場合や配置できない場合もありうる。そこで、代替的な静電気対策も望まれる。
【0009】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電気対策のなされた車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具は、帯状に延在するフレキシブルプリント基板であって、その延在方向に沿って配線パターンが形成された第1表面と、第1表面と反対側の第2表面と、を備えるフレキシブルプリント基板と、フレキシブルプリント基板の第1表面に搭載され、配線パターンに電気的に接続された複数の発光素子と、発光素子と背向してフレキシブルプリント基板の第2表面に接触配置された放熱部材と、を備える。フレキシブルプリント基板の第1表面には、フレキシブルプリント基板の延在方向に沿って配線パターンの両側にグランドパターンが形成されている。
【0011】
この態様によると、配線パターンの両側にグランドパターンが形成されているので、複数の発光素子を静電気から保護することができる。これは、車両用灯具の使用段階における静電気保護対策として有効である。
【0012】
グランドパターンは、突起状パターンを含んでもよい。
【0013】
本発明の別の態様もまた、車両用灯具である。この車両用灯具は、帯状に延在する透明フレキシブル基板であって、その延在方向に沿って延びる細長領域に形成された導電パターンと、導電パターンを挟む二枚の絶縁フィルムと、を備える透明フレキシブル基板と、二枚の絶縁フィルムの間に配置され、導電パターンに電気的に接続された複数の発光素子と、を備える。透明フレキシブル基板は、二枚の絶縁フィルムの間に、透明フレキシブル基板の延在方向に沿って導電パターンの両側に形成されたグランドパターンを備える。
【0014】
この態様によると、導電パターンの両側にグランドパターンが形成されているので、複数の発光素子を静電気から保護することができる。これは、車両用灯具の使用段階における静電気保護対策として有効である。
【0015】
車両用灯具は、複数の発光素子への給電のために透明フレキシブル基板に取り付けられたコネクタ基板であって、細長領域の一端で導電パターンに電気的に接続された配線パターンを備えるコネクタ基板をさらに備えてもよい。グランドパターンは、細長領域の一端を除く細長領域の全周を囲むようにして、導電パターンの周囲に形成されていてもよい。
【0016】
車両用灯具は、コネクタ基板に搭載され、複数の発光素子と並列となるように配線パターンに電気的に接続された静電気保護素子をさらに備えてもよい。
【0017】
車両用灯具は、二枚の絶縁フィルムの間に配置された複数の静電気保護素子をさらに備え、各静電気保護素子が対応する発光素子と並列となるように導電パターンに電気的に接続されていてもよい。
【0018】
本発明のさらに別の態様もまた、車両用灯具である。この車両用灯具は、帯状に延在する透明フレキシブル基板であって、その延在方向に沿って延びる細長領域に形成された導電パターンと、導電パターンを挟む二枚の絶縁フィルムと、を備える透明フレキシブル基板と、二枚の絶縁フィルムの間に配置され、導電パターンに電気的に接続された複数の発光素子と、複数の発光素子への給電のために透明フレキシブル基板に取り付けられたコネクタ基板であって、導電パターンに電気的に接続された配線パターンを備えるコネクタ基板と、コネクタ基板に搭載され、複数の発光素子と並列となるように配線パターンに電気的に接続された静電気保護素子と、を備える。
【0019】
この態様によると、静電気保護素子により、複数の発光素子を静電気から保護することができる。これは、車両用灯具の使用段階における静電気保護対策として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、静電気対策のなされた車両用灯具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る車両用灯具の概略構造を示す水平断面図である。
図2は、実施の形態1に係る車両用灯具の発光素子およびその周辺構造を概略的に示す上面図である。実施の形態1に係る車両用灯具10は、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する車両用前照灯装置である。一対の前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、
図1には車両用灯具10として一方の前照灯ユニットの構造を示す。
【0024】
車両用灯具10は、車両前方側に開口部を有するランプボディ12と、ランプボディ12の開口部を覆うように取り付けられた透光カバー14とを備える。透光カバー14は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成されている。ランプボディ12と透光カバー14とにより形成される灯室16内には、灯具ユニット20が収容されている。灯室16内において、灯具ユニット20は、ブラケット(図示せず)を介してランプボディ12に支持されている。灯具ユニット20よりも灯具前方側には、エクステンション部材18が配置されている。
【0025】
エクステンション部材18は、灯具ユニット20からの照射光を通すための開口部18aを有し、ランプボディ12に固定されている。エクステンション部材18は、例えば樹脂材料で形成された本体と、その本体の表面に例えばアルミ蒸着により形成された金属層または導電層とを備える。なお、理解の容易のために、
図2においてエクステンション部材18の図示は省略されている。
【0026】
灯具ユニット20は、フレキシブルプリント基板22と、複数の発光素子24と、複数の放熱部材26と、を主な構成として備える。
【0027】
フレキシブルプリント基板22は、帯状に延在しており、その延在方向に沿って細長く延びる第1表面22aおよび第2表面22bを備える。第1表面22aは、フレキシブルプリント基板22の一方の主表面である。第2表面22bは、フレキシブルプリント基板22の他方の主表面であり、第1表面22aと反対側を向いている。一例として、フレキシブルプリント基板22は、いわゆる片面FPC(フレキシブルプリント基板)であり、第1表面22a側に銅などの導電材料層を有するが、第2表面22b側には導電材料層を有しない。
【0028】
第1表面22aには、フレキシブルプリント基板22の延在方向(
図2において左右方向)に沿って配線パターン28が形成されている。配線パターン28は、複数の発光素子24に電力を供給するために設けられている。配線パターン28は、第1表面22a上に形成された例えば銅などの導電材料で形成された導電領域である。
【0029】
配線パターン28は、フレキシブルプリント基板22の幅方向において第1表面22aの概ね中央に位置する。ここで、フレキシブルプリント基板22の幅方向とは、第1表面22aにおいてフレキシブルプリント基板22の延在方向に垂直な方向をいい、
図2において上下方向にあたる。
図2では便宜上、配線パターン28は細長い一本の線のように描かれているが、実際には配線パターン28として種々のパターンをとりうる。
【0030】
また、第1表面22aには、フレキシブルプリント基板22の延在方向に沿って配線パターン28の両側に二本のグランドパターン30が形成されている。グランドパターン30は、複数の発光素子24を、周囲に配置された導電部材(例えばエクステンション部材18、放熱部材26、またはリフレクタ部材等であり、以下では周囲導電部材ともいう)からの静電気放電から保護するために設けられている。グランドパターン30は、第1表面22a上に形成された例えば銅などの導電材料で形成された導電領域である。グランドパターン30は、配線パターン28を間に挟むようにして、第1表面22aに配置されている。
【0031】
グランドパターン30は、グランドパターン30から周囲導電部材までの距離が発光素子24から当該周囲導電部材までの距離に比べて短くなるように配置される。このようにすれば、周囲導電部材に帯電した静電気が仮に放電したとしても、発光素子24ではなくグランドパターン30への放電となる可能性が高くなり、よって発光素子24の保護に役立つ。
【0032】
配線パターン28とグランドパターン30とは互いに電気的に非接続であり、配線パターン28とグランドパターン30は互いに異なる電位をとりうる。グランドパターン30は、配線パターン28のほぼ全長にわたって配線パターン28と隣り合っているが、接触はしていない。グランドパターン30と配線パターン28との間には、フレキシブルプリント基板22の第1表面22a上で絶縁材料が露出された隙間32がある。
【0033】
一方のグランドパターン30は、フレキシブルプリント基板22の幅方向において配線パターン28の片側に位置し、他方のグランドパターン30は、フレキシブルプリント基板22の幅方向において配線パターン28の反対側に位置する。
【0034】
なお、車両用灯具10の設計によってはグランドパターン30が配線パターン28の両側に配置されることは必須ではなく、ある実施の形態においては、グランドパターン30は配線パターン28の片側にのみ設けられてもよい。
【0035】
一例として、図示されるように、グランドパターン30の幅は、配線パターン28の幅よりも大きいが、これに限られない。グランドパターン30の幅は、配線パターン28の幅と等しくてもよいし、あるいは、配線パターン28の幅より小さくてもよい。
【0036】
複数の発光素子24は、フレキシブルプリント基板22の第1表面22aに搭載され、配線パターン28に電気的に接続されている。各発光素子24は、配線パターン28上に配置されている。複数の発光素子24は、配線パターン28に沿って互いに間隔をあけて配列されている。したがって、グランドパターン30は、複数の発光素子24の両側に配置されている。隙間32が設けられており、グランドパターン30は発光素子24と非接触である。
【0037】
各発光素子24は、例えばLED(発光ダイオード)である。なお、各発光素子24は、LD(レーザーダイオード)、有機または無機EL(エレクトロルミネセンス)等の他の半導体発光素子であってもよい。
図1には3つの発光素子24が示されているが、フレキシブルプリント基板22に搭載される発光素子24の数は任意である。
【0038】
フレキシブルプリント基板22の例えば端部にはコネクタ部(図示せず)が設けられ、複数の発光素子24は、配線パターン28によりコネクタ部に接続される。コネクタ部には配線ケーブルが接続され、配線ケーブルは、発光素子24の点消灯等を制御する制御基板に接続される。こうして、発光素子24は、制御基板による制御のもとで適切に点消灯される。
【0039】
グランドパターン30は、接地電位(例えばボディアース)に電気的に接続される。グランドパターン30の接地の取り方は任意である。例えば、グランドパターン30はコネクタ部および配線ケーブルを介して接地電位に接続されてもよい。あるいは、グランドパターン30はアースコードを介して接地されてもよい。
【0040】
複数の放熱部材26は、複数の発光素子24と背向してフレキシブルプリント基板22の第2表面22bに接触配置されている。個々の放熱部材26が対応する発光素子24の裏側に配置されている。つまり、発光素子24は、フレキシブルプリント基板22に対して灯具前方側に配置され、放熱部材26は、フレキシブルプリント基板22に対して灯具後方側に配置されている。
【0041】
放熱部材26は、発光素子24で発生した熱を発光素子24から取り除くために設けられている。放熱部材26は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミなどの金属材料からなる。放熱部材26は、熱伝導性を有する接着剤等でフレキシブルプリント基板22に接着され、フレキシブルプリント基板22に固定されている。放熱部材26は、適宜の支持部材を介してランプボディ12に固定される。
【0042】
一例として、図示されるように、放熱部材26の幅方向の寸法は、フレキシブルプリント基板22の幅よりも大きい。放熱部材26の幅方向両端がフレキシブルプリント基板22から両側に出ている。この場合、放熱部材26の幅方向両端の金属露出面と発光素子24との間にグランドパターン30が配置されることになる。放熱部材26に帯電した静電気が仮に放電したとしても、発光素子24ではなくグランドパターン30への放電となる可能性が高くなり、よって発光素子24の保護に役立つ。放熱部材26の幅方向およびその他の寸法は任意であり、これに限られない。
【0043】
なお、車両用灯具10が複数の放熱部材26を備えることは必須ではなく、ある実施の形態においては、車両用灯具10は、複数の発光素子24から放熱するための単一の放熱部材26を備えてもよい。放熱部材26は、複数の発光素子24と背向してフレキシブルプリント基板22の第2表面22bに接触配置される。複数の発光素子24の裏側に単一の放熱部材26が配置される。
【0044】
一例として、複数の発光素子24は、隣接する2つの発光素子24が車両用灯具10の前後方向にずれて配置されるようにして、灯室16において階段状に並んでいる。複数の放熱部材26は、発光素子24の配置に対応して階段状に並んでいる。フレキシブルプリント基板22は、階段状に湾曲して灯室16に配置されている。
【0045】
実施の形態1に係る車両用灯具10によれば、フレキシブルプリント基板22の第1表面22a上で配線パターン28の両側にグランドパターン30が形成されている。複数の発光素子24が配線パターン28上に位置するから、グランドパターン30はこれら発光素子24の両側を囲んでいる。したがって、発光素子24の近傍に位置する車両用灯具10の導電性構成要素(例えば、エクステンション部材18、放熱部材26、リフレクタ部材など)が帯電したとしても、静電気は発光素子24よりもグランドパターン30に放電しやすくなる。グランドパターン30は、周囲から発光素子24への静電気放電をいわば遮蔽する効果をもち、発光素子24を静電気から保護することができる。これは、車両用灯具10の使用段階における静電気保護対策として有効である。
【0046】
図3(a)および
図3(b)は、実施の形態1に係るグランドパターン30の他の例を示す。
図3(a)および
図3(b)に示されるように、グランドパターン30は、突起状パターン34を含んでもよい。一般に、放電は突起部に向かいやすい性質がある。したがって、
図3(a)および
図3(b)に示されるグランドパターン30は、発光素子24への静電気放電をより良好に抑制することができる。
【0047】
突起状パターン34は種々の形状がありうる。例えば、
図3(a)に示されるように、突起状パターン34は、グランドパターン30の外形輪郭線にジグザク状の凹凸を付与することで形成されてもよい。
図3(b)に示されるように、凹凸をもつ中抜き形状をグランドパターン30内に付与することで形成されてもよい。
図3(b)では中抜き形状は星形とされているが、これに限られず、凸多角形、凹多角形、またはその他の任意の凹凸形状であってもよい。
【0048】
(実施の形態2)
図4(a)は、実施の形態2に係る灯具ユニット40の外観を示す概略正面図であり、
図4(b)は、実施の形態2に係る灯具ユニット40の外観を示す概略側面図である。灯具ユニット40は、実施の形態1に係る灯具ユニット20と同様に、
図1に示される灯室16に収容され、車両用灯具を構成することができる。
【0049】
灯具ユニット40は、透明フレキシブル基板42と、複数の発光素子44と、コネクタ基板46と、を主な構成として備える。灯具ユニット40は、透明フィルムLEDとも称されうる。
図4(a)および
図4(b)には灯具ユニット40の直線状の初期姿勢が示されているが、灯具ユニット40は柔軟性を有する。そのため灯具ユニット40は湾曲させて配置することができる。
【0050】
図5は、実施の形態2に係る灯具ユニット40の透明フレキシブル基板42の一部を拡大して示す概略断面図である。透明フレキシブル基板42は、帯状に延在しており、その延在方向に沿って細長く延びる二枚の絶縁フィルム48と、二枚の絶縁フィルム48の間に配置された導電パターン50と、を備える。導電パターン50は、複数の発光素子44に電力を供給するために設けられている。一例として、導電パターン50は、格子状に形成され、
図5において紙面に垂直な方向に互いに平行に延びる複数本の導線を有する。絶縁フィルム48は、透明であり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)またはその他の適切な樹脂材料からなる。導電パターン50は、例えばITO(酸化インジウムスズ)その他の適切な導電材料からなる。
【0051】
また、透明フレキシブル基板42は、中間樹脂とも称される接着層52を備える。接着層52は、二枚の絶縁フィルム48を互いに接着するために設けられている。導電パターン50は、二枚の絶縁フィルム48のうち一方の絶縁フィルム48の内側の面に形成されている。導電パターン50を形成する複数本の導線が接着層52によって互いに仕切られ、絶縁されている。導電パターン50は、複数の発光素子44とともに、接着層52によって二枚の絶縁フィルム48の間に挟み込まれている。よって、導電パターン50および複数の発光素子44は、二枚の絶縁フィルム48によって概ね密閉されている。
【0052】
複数の発光素子44は、二枚の絶縁フィルム48の間に配置され、導電パターン50に電気的に接続されている。接着層52と接する導電パターン50の表面には、発光素子44を導電パターン50に電気接続するための複数の複数のバンプ電極53が設けられている。各発光素子44は、導電パターン50の隣り合う導線間にバンプ電極を介して接続されている。複数の発光素子44は、例えば、LED(発光ダイオード)であり、より具体的には、LEDベアチップである。発光素子44は、他の半導体発光素子であってもよい。発光素子44から発せられる光は、二枚の絶縁フィルム48それぞれを透過して、透明フレキシブル基板42の上方と下方の両方に出射される。
【0053】
図4(a)および
図4(b)に示されるように、コネクタ基板46は、複数の発光素子44への給電のために透明フレキシブル基板42に取り付けられている。コネクタ基板46は、透明フレキシブル基板42の延在方向における端部に取り付けられ、導電パターン50に電気的に接続されている。コネクタ基板46は、コネクタ54を備えるフレキシブルプリント基板である。コネクタ54はコネクタ基板46の下面に配置され、コネクタ基板46の上面においてコネクタ54と対向する位置には補強部材56が設けられている。灯具ユニット40は、複数の発光素子44がコネクタ54を介して外部の電源に電気的に接続されるように構成されている。
【0054】
図6は、実施の形態2に係る導電パターン50の一例を示す概略斜視図である。導電パターン50は、透明フレキシブル基板42の延在方向に沿って延びる細長領域58に形成されている。導電パターン50は、陽極パターン50aと陰極パターン50bとを備える。陽極パターン50aは、透明フレキシブル基板42の延在方向における細長領域58の一端に陽極接続部60aを有する。陰極パターン50bは、透明フレキシブル基板42の延在方向における細長領域58の一端に陰極接続部60bを備える。陽極接続部60aおよび陰極接続部60bは細長領域58の同じ側の端部に配置されている。陽極接続部60aおよび陰極接続部60bは、異方性導電膜を介してコネクタ基板46に接続される。
【0055】
また、透明フレキシブル基板42は、二枚の絶縁フィルム48の間に、透明フレキシブル基板42の延在方向に沿って導電パターン50の両側に形成されたグランドパターン62を備える。図示される実施の形態においては、グランドパターン62は、コネクタ基板46と接続される細長領域58の一端を除く細長領域58の全周を囲むようにして、導電パターン50の周囲に形成されている。一例として、グランドパターン62は、格子状の配線パターンであってもよい。グランドパターン62と導電パターン50との間には隙間64があり、両者は接触していない。グランドパターン62は、陰極接続部60bを介して接地される。
【0056】
上述のように、透明フレキシブル基板42は、導電パターン50を二枚の絶縁フィルム48で挟み込んだ積層構造を有する。二枚の絶縁フィルム48は導電パターン50を静電気から保護する保護層として働く。しかし、積層構造の側面は静電気の侵入経路となりうる。
【0057】
実施の形態2に係る灯具ユニット40およびこれを備える車両用灯具によれば、二枚の絶縁フィルム48間で導電パターン50の両側にグランドパターン62が形成されている。グランドパターン62は、導電パターン50および複数の発光素子44を囲んでいる。したがって、仮に、透明フレキシブル基板42の積層構造側面から静電気が侵入し得たとしても、グランドパターン62から接地電位へと静電気を逃がすことができる。よって、実施の形態2においても実施の形態1と同様に、発光素子44を静電気から保護することができる。これは、車両用灯具の使用段階における静電気保護対策として有効である。
【0058】
図7は、実施の形態2に係る車両用灯具の発光素子およびその周辺を示す概略図である。発光素子44は、陽極パターン50aと陰極パターン50bとの間に配置されている。発光素子44の陽極端子が陽極パターン50aに接続され、発光素子44の陰極端子が陰極パターン50bに接続される。陽極パターン50aと陰極パターン50bは、一例としては、図示されるように、格子状の導電パターン50に形成されている。導電パターン50は、互いに平行な複数本の縦の導線と、互いに平行な複数本の横の導線とを有し、縦の導線と横の導線とが互いに直交している。ここでは簡単のため1つの発光素子44を図示するが、同様にして、複数の発光素子44が導電パターン50に接続される。複数の発光素子44は導電パターン50上で例えば直列接続される。
【0059】
図7に示されるように、灯具ユニット40には、ツェナーダイオード66、コンデンサ68などの静電気保護素子が設けられてもよい。コンデンサ68としては例えば、積層セラミックコンデンサが用いられる。静電気保護素子としては、その他の種々の公知の静電気保護素子を任意に用いることができる。ツェナーダイオード66とコンデンサ68は、図示されるように両方設けられてもよいし、両者のうち一方のみが設けられてもよい。
【0060】
各静電気保護素子は、対応する発光素子44と並列となるように導電パターン50に電気的に接続されている。静電気保護素子は、発光素子44および導電パターン50とともに、透明フレキシブル基板42の二枚の絶縁フィルム48の間に配置される。このようにすれば、静電気保護素子が発光素子44ごとに設置されるので、発光素子44をより確実に静電気から保護することができる。
【0061】
図8は、実施の形態2に係る車両用灯具のコネクタ基板を示す概略上面図である。図示されるように、コネクタ基板46に静電気保護素子70が搭載されてもよい。静電気保護素子70は、上述のように、ツェナーダイオード、コンデンサ、または、その他任意の静電気保護素子であってもよい。静電気保護素子70は、複数の発光素子44と並列となるように配線パターン72に電気的に接続される。配線パターン72は、陽極パターン72aと陰極パターン72bとを備える。静電気保護素子70は、陽極パターン72aと陰極パターン72bとの間に接続される。このようにしても、静電気保護素子により、透明フレキシブル基板42の発光素子44を保護することができる。これは、車両用灯具の使用段階における静電気保護対策として有効である。
【0062】
陽極パターン72aは、コネクタ54の陽極端子をコネクタ基板46の陽極接続部74aに接続し、陰極パターン72bは、コネクタ54の陰極端子をコネクタ基板46の陰極接続部74bに接続する。コネクタ基板46の陽極接続部74aは、異方性導電膜を介して導電パターン50の陽極接続部60aに接続される。同様に、コネクタ基板46の陰極接続部74bは、異方性導電膜を介して導電パターン50の陰極接続部60bに接続される。
【0063】
配線パターン72、陽極接続部74a、および陰極接続部74bなど、コネクタ基板46上の金属露出部は、絶縁性防湿コーティング材などの被覆材で被覆することによって、保護されてもよい。また、コネクタ基板46を透明フレキシブル基板42に接続するための異方性導電膜についても、絶縁性防湿コーティング材などの被覆材で被覆することによって、保護されてもよい。
【0064】
図9は、ある実施の形態に係るLEDベアチップを示す概略上面図であり、
図10は、比較例に係るLEDベアチップを示す概略上面図である。
図9に示されるLEDベアチップ76は、実施の形態2に係る車両用灯具において発光素子44として使用可能である。LEDベアチップ76は、陽極パッド78a、陰極パッド78b、および電極パターン80を備える。また、比較例に係るLEDベアチップ82も、陽極パッド84a、陰極パッド84b、および電極パターン86を備える。
【0065】
図9に示されるように、LEDベアチップ76の上面において陽極パッド78aおよび陰極パッド78bは、一方の対角線の両端に配置されている。電極パターン80は、陰極パッド78bに接続されている。LEDベアチップ76は、電極パターン80の幅が、
図10に示される電極パターン86の幅に比べて大きくなっている。このように、電極パターン幅を拡げることにより、LEDベアチップ76の耐静電気性を向上することができる。
【0066】
また、陽極パッド78aの面積を拡げることによっても、LEDベアチップ76の耐静電気性を向上することが可能である。LEDベアチップ76のサイズを大型化することによっても、LEDベアチップ76の耐静電気性を向上することが可能である。
【0067】
本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、実施の形態及び変形例を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態や変形例も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態や変形例、及び上述した実施の形態や変形例と以下の変形との組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例及びさらなる変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0068】
上述の実施の形態では、静電気保護素子がフレキシブルプリント基板に搭載されているが、ある実施の形態においては、静電気保護素子は硬質のプリント基板にも適用可能である。静電気保護素子は、ツェナーダイオード、コンデンサ、または、その他任意の静電気保護素子であってもよい。コンデンサは、積層セラミックコンデンサであってもよい。静電気保護素子は、プリント基板上で発光素子の片側または両側に隣接して配置される。複数の静電気保護素子が発光素子の四方を囲むように配置されてもよい。こうして、発光素子の近傍に位置する導電部材と発光素子との間に静電気保護素子を配置することが可能となる。静電気保護素子により発光素子を保護することができる。
【0069】
上述の実施の形態では、車両用灯具として前照灯を例示した。しかしながら、車両用灯具は前照灯に限定されず、ターンシグナルランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ等の各種の車両用灯具に広く適用することができる。