特許第6956564号(P6956564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6956564情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956564
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20211021BHJP
【FI】
   G06Q30/02 382
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-161868(P2017-161868)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-40386(P2019-40386A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】村上 龍希
(72)【発明者】
【氏名】堀田 徹
【審査官】 谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−182595(JP,A)
【文献】 特開2016−118918(JP,A)
【文献】 特開2015−111380(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0358208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実績に基づいて算出される広告配信面内の広告の実績クリック率に対して、前記広告配信面における前記広告の表示位置のバイアスおよび前記広告配信面と前記広告との組み合わせのバイアスを掛け合わせて得られた値を、推定した前記広告のクリック率とする推定部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部によって推定されたクリック率と入札額とに基づいて配信の候補となる広告の各々の期待収益を算出し、算出した前記期待収益に基づいて配信対象とする広告を決定する決定部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記実績クリック率に対して、前記広告配信面における前記広告の表示位置のバイアス、前記広告配信面と前記広告との組み合わせのバイアス、および前記広告を閲覧するユーザの属性と前記広告との組み合わせのバイアスを掛け合わせて得られた値を、推定した前記広告のクリック率とする
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記広告配信面における前記広告の表示位置のバイアスは、前記広告配信面と前記広告の表示位置との組み合わせにおけるクリック数をインプレッション数で除することにより得られる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記広告配信面と前記広告との組み合わせのバイアスは、前記広告配信面における前記広告のクリック率を全広告配信面における前記広告のクリック率で除した値に、前記全広告配信面のクリック率を前記広告配信面のクリック率で除した値を、乗じることにより得られる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザの属性は、前記広告の配信後の経過期間に応じて前記ユーザを分類した区分である、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザの属性は、前記ユーザの性別または年代である、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
実績に基づいて算出される広告配信面内の広告の実績クリック率に対して、前記広告配信面における前記広告の表示位置のバイアスおよび前記広告配信面と前記広告との組み合わせのバイアスを掛け合わせて得られた値を、推定した前記広告のクリック率とする
情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
実績に基づいて算出される広告配信面内の広告の実績クリック率に対して、前記広告配信面における前記広告の表示位置のバイアスおよび前記広告配信面と前記広告との組み合わせのバイアスを掛け合わせて得られた値を、推定した前記広告のクリック率とさせる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザがインターネットを介してウェブページにアクセスした際に、そのウェブページに広告を掲載し、広告がクリックまたはタップされたときに広告主のウェブページにユーザを誘導する広告配信の仕組みが採用されている。この広告配信においては、広告効果を高めるために、収益性の高い広告を優先して表示したり、ウェブページ内における広告の表示位置を工夫する等の手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
広告を掲載した際に期待される収益(以下、「期待収益」と言う)は、例えば、広告の入札額に、クリック率(CTR:Click Through Rate)の予測値(推定値)を乗じることによって算出される。このため、期待収益を正確に算出するために、精度の高いクリック率の推定手法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−146346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広告のクリック率は、広告を閲覧するユーザの属性、ウェブページ内における広告の表示位置等に応じて変化することが想定されるが、従来の手法ではこれらが考慮されていなかった。また、仮に、ユーザの属性ごと、広告の表示位置ごと、或いはこれらの組み合わせごとにクリック率の推定値を算出しようとした場合、その計算量が膨大となり、制御サーバのキャッシュ容量が不足してしまう等の問題が懸念されていた。また、配信実績が十分に蓄積されていない広告についてはクリック率を推定することが容易ではなく、配信実績に基づかない標準のクリック率を使用せざるを得ない場合があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、クリック率の推定精度を向上させることが可能な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、実績に基づいて算出される広告の実績クリック率に対して、広告配信面における前記広告の表示位置のバイアス、前記広告を閲覧するユーザの属性と前記広告との組み合わせのバイアス、前記広告のバイアス、および前記広告配信面と前記広告との組み合わせのバイアスのうち少なくとも1つを掛け合わせることで、前記広告のクリック率を推定する推定部を備える、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、クリック率の推定精度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る広告配信サーバの使用環境の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る広告配信サーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
図3】広告の表示位置のバイアスの一例を説明する図である。
図4】ユーザ属性と広告との組み合わせのバイアスの一例を説明する図である。
図5】実施形態に係る広告関連情報の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る広告関連情報の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る広告関連情報の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る広告関連情報の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る広告関連情報の一例を示す図である。
図10】実施形態に係る広告配信サーバを含むシステムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0011】
[概要]
実施形態の広告配信サーバ(情報処理装置)は、広告の配信要求に応じて、配信の候補となる広告のクリック率を推定し、推定したクリック率に基づいて期待収益が高い広告を配信対象として決定し、決定した広告の情報を配信要求元に送信する。広告配信サーバは、クリック率の推定に際しては、広告を閲覧するユーザの属性、広告配信面における広告の表示位置等のクリック率に影響を及ぼすバイアスを考慮する。これにより、クリック率の推定精度を向上させることが可能である。
【0012】
[全体構成]
図1は、広告配信サーバ30の使用環境の一例を示す図である。広告配信サーバ30は、ネットワークNWに接続される。ネットワークNWには、広告配信サーバ30の他、例えば、少なくとも1つの端末装置10と、少なくとも1つのサービス提供装置20とが接続される。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局、専用回線などのうち一部または全部を含む。
【0013】
端末装置10は、サービス提供装置20によって提供されるコンテンツを利用するユーザによって操作される。端末装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯電話やタブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等のコンピュータ装置である。サービス提供装置20によって提供されるコンテンツには、例えば、ブラウザによって参照されるウェブページの他、アプリケーションプログラムによって参照されるアプリページが含まれる。これらのウェブページおよびアプリページは、検索サイト、ニュースサイト、ショッピングサイト、オークションサイト、天気予報サイト、SNS(Social Networking Service)サイト、ゲームサイト等を構成するページである。
【0014】
端末装置10は、ユーザから所定の操作を受け付けると、予めインストールされたブラウザによって、サービス提供装置20によって提供されるウェブページを表示する。ウェブページには、広告が含まれている。また、端末装置10は、ユーザから所定の操作を受け付けると、予めインストールされたアプリケーションを介してサービス提供装置20と通信を行い、アプリケーション上で表示或いは再生するコンテンツを取得する。コンテンツは、例えば、動画データや、画像データ、音声データ、テキストデータ等であり、広告が含まれている。
【0015】
サービス提供装置20は、インターネット上において、上述した検索サイトやショッピングサイト等のウェブページを提供するウェブサーバ装置であってよいし、アプリケーションが起動された端末装置10と通信を行って、各種情報の受け渡しを行うアプリケーションサーバ装置であってもよい。
【0016】
サービス提供装置20は、ウェブページを生成する際、広告配信サーバ30により配信される広告を示す情報(例えば、広告のURL(Uniform Resource Locator))を受信する。そして、サービス提供装置20は、ウェブページの一部の領域(広告配信枠)に、少なくとも1つの広告のURLを含むウェブページを端末装置10に送信する。端末装置10は、広告のURLに基づいて、広告に対応するコンテンツ(画像、音声、その他)のリクエストを広告配信サーバ30に送信することで、広告に対応するコンテンツを取得する。そして、端末装置10は、ウェブページに基づく画像の一部に取得した広告の画像を埋め込んで表示する。
【0017】
本実施形態においては、広告を埋め込むことができるウェブページ等の電子的な面を「広告配信面」という。なお、サービス提供装置20は、ウェブページの広告配信枠に、画像やテキストを含む少なくとも1つの広告を埋め込んだウェブページを生成して端末装置10に送信してもよい。なお、アプリケーションによってコンテンツが再生される場合も、同様の処理が行われる。
【0018】
広告配信サーバ30は、サービス提供装置20から受信した広告の配信要求に応じて、配信の候補となる広告のクリック率を推定し、推定したクリック率に基づいて期待収益が高い広告を配信対象として決定し、決定した広告の情報をサービス提供装置20に送信する。広告配信サーバ30は、広告を閲覧するユーザの属性、広告配信面における広告の表示位置等のクリック率に影響を及ぼすバイアスを考慮して、クリック率を推定する。広告配信サーバ30のクリック率の推定方法については後述する。また、広告配信サーバ30は、端末装置10からの広告に対応するコンテンツのリクエストを受信し、対応するコンテンツを端末装置10に送信する。
【0019】
[広告配信サーバの構成]
以下、広告配信サーバ30の構成について説明する。図2は、広告配信サーバ30の機能構成を示す機能ブロック図である。広告配信サーバ30は、例えば、通信部31と、クリック率推定部33(推定部)と、広告決定部35(決定部)と、記憶部37とを備える。
【0020】
通信部31は、例えば、NIC等の通信インターフェースを含む。通信部31は、ネットワークNWを介して、端末装置10、サービス提供装置20等と通信する。
【0021】
クリック率推定部33は、実績に基づくクリック率(以下、「実績クリック率」という)に、広告配信面における広告の表示位置のバイアス、広告を閲覧するユーザの属性と広告との組み合わせのバイアス、広告のバイアス、および広告配信面と広告との組み合わせのバイアスのうち、少なくとも1つを掛け合わせることで、広告のクリック率を推定する。
【0022】
実績クリック率とは、各広告配信面において各広告を配信した際のクリック率の実績値である。例えば、実績クリック率は、各広告配信面における各広告のクリック数の実績値を、各広告の(各広告配信面の)インプレッション数の実績値で除することにより算出される。
【0023】
広告配信面における広告の表示位置のバイアスとは、広告配信面内において広告が表示される位置に応じたクリック率の偏りを示す。図3は、広告の表示位置のバイアスの一例を説明する図である。クリック率は、同一の広告を表示した場合であっても、広告の表示位置によってクリック率が増減し、広告配信面全体で均一ではない場合がある。例えば、図3に示すように、広告配信面の全体のクリック率の実績値が0.03[%]であっても、この広告配信面を構成する複数のサービス毎に区分された配信面(配信面1から4)ごとのクリック率には偏りが生じる場合がある。また、この配信面に含まれる広告が表示される位置(広告配信枠)ごとのクリック率には偏りが生じる場合がある。クリック率推定部33は、このような広告の表示位置のバイアスを考慮して、広告のクリック率を推定する。
【0024】
広告を閲覧するユーザの属性と広告との組み合わせのバイアスとは、ユーザの属性と広告との組み合わせに応じたクリック率の偏りを示す。図4は、ユーザ属性と広告との組み合わせのバイアスの一例を説明する図である。図4は、同一の広告を同一の広告配信面に配信した際の、ユーザのリーセンシ毎にクリック率を集計したものである。リーセンシとは、ある広告をユーザに配信してからの間隔(経過時間)を示す。すなわち、この場合、広告を閲覧するユーザの属性は、広告の配信後の経過期間に応じてユーザを分類した区分である。
【0025】
図4に示す例では、ある広告の配信後の経過時間が1日未満であるユーザに対して同一の広告を配信した場合のクリック率は0.38[%]であり、ある広告の配信後の経過時間が1日以上3日未満であるユーザに対して同一の広告を配信した場合のクリック率は0.28[%]であり、ある広告の配信後の経過時間が3日以上7日未満であるユーザに対して同一の広告を配信した場合のクリック率は0.21[%]である。このように、一般的に、広告の配信後に時間が経過するにつれて、同一の広告に対するクリック率は低下する傾向にある。クリック率推定部33は、このようなユーザの属性と広告とのバイアスを考慮して、広告のクリック率を推定する。
【0026】
尚、ユーザの属性には、「男性」および「女性」の性別や、年代等が含まれる。クリック率推定部33は、例えば、ある広告は「男性」に配信した場合にはクリック率が高いが、「女性」に配信した場合にはクリック率が低いといったユーザの属性と広告とのバイアスを考慮して、広告のクリック率を推定する。
【0027】
広告のバイアスとは、広告に応じたクリック率の偏りを示す。また、広告配信面と広告との組み合わせのバイアスとは、広告配信面と広告との組み合わせに応じたクリック率の偏りを示す。
【0028】
クリック率推定部33は、例えば、以下の式(1)から(5)に基づいて、クリック率を推定する。
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
【0032】
【数4】
【0033】
【数5】
【0034】
上記の式(1)において、クリック率(広告配信面,広告配信枠)とは、広告の配信要求において指定された広告配信面と広告配信枠との組み合わせにおけるクリック率の実績値を示す。このクリック率(広告配信面,広告配信枠)の項では、広告配信面における広告の表示位置(広告配信枠)のバイアスが考慮される。クリック率(広告配信面,広告配信枠)は、例えば、上記の式(2)によって算出される。すなわち、クリック率(広告配信面,広告配信枠)は、広告配信面と広告配信枠との組み合わせにおけるクリック数をインプレッション数で除することにより得られる。
【0035】
上記の式(1)において、バイアス(広告)とは、広告のバイアスを示す。バイアス(広告)は、例えば、上記の式(3)により算出される。上記の式(1)において、バイアス(広告配信面,広告)とは、広告の配信要求において指定された広告配信面と、広告との組み合わせのバイアスを示す。バイアス(広告配信面,広告)は、例えば、上記の式(4)により算出される。上記の式(1)において、バイアス(ユーザ属性,広告)とは、広告の配信要求において指定されたユーザ属性と、広告との組み合わせのバイアスを示す。バイアス(ユーザ属性,広告)は、例えば、上記の式(5)により算出される。
【0036】
なお、クリック率推定部33は、上記の式(1)に対して、さらに、ユーザ属性単体のバイアスや、ユーザ属性と広告配信面との組み合わせのバイアス等を掛け合わせることで、クリック率を推定してもよい。
【0037】
広告決定部35は、クリック率推定部33によって推定されたクリック率(以下、「推定クリック率」という)と、入札額とに基づいて、配信対象とする広告を決定する。入札額とは、例えば、広告に対する1クリック当たりの単価であって、広告主によって決定される。広告決定部35は、例えば、以下の式(6)に基づいて、配信の候補となる広告の各々の期待収益を算出し、最も期待収益の高い広告を配信対象として決定する。広告決定部35は、決定した広告のURL等をサービス提供装置20に送信する。
【0038】
期待収益=入札額×推定クリック率・・・式(6)
【0039】
記憶部37は、配信可能な広告の候補に関する情報(以下、「広告関連情報37Aから37E」という)を記憶する。広告関連情報37Aは、例えば、図5に示すような、広告を識別する広告IDと、広告のURLと、広告コンテンツと、入札額とを含む。
【0040】
広告関連情報37Bは、図6に示すような、広告配信面(ページ)内における広告配信枠ごとの、「インプレッション数」、「クリック数」、および「クリック率」の集計データを含む。ページIDは、広告配信面を識別し、枠IDは、広告配信枠を識別する。また、広告関連情報37Cは、図7に示すような、広告IDごとの、「インプレッション数」、「クリック数」、および「クリック率」の集計データを含む。また、広告関連情報37Dは、図8に示すような、ページIDと広告IDとの組み合わせごとの、「インプレッション数」、「クリック数」、および「クリック率」の集計データを含む。また、広告関連情報37Fは、図9に示すような、ユーザ属性と広告IDとの組み合わせごとの、「インプレッション数」、「クリック数」、および「クリック率」の集計データを含む。
【0041】
なお、広告関連情報37Bから37Eに含まれる「クリック率」は、所定の時間ごと、日ごと等の所定の周期で実行されるバッチ処理により集計されるものであってよい。
【0042】
広告配信サーバ30の構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0043】
広告配信サーバ30の記憶部37は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置等により実現される。また、記憶部37の一部または全部は、NASや外部のストレージサーバ等、広告配信サーバ30がアクセス可能な外部装置であってもよい。
【0044】
[全体動作]
以下、広告配信サーバ30を含むシステムの全体動作について説明する。以下の説明では、サービス提供装置20が、ウェブページを提供する例を説明する。図10は、広告配信サーバ30を含むシステムの全体動作を示すシーケンス図である。ここでは、サービス提供装置20には、端末装置10のユーザの属性を示す「ユーザ属性」が予め記憶されているものとする。「ユーザ属性」は、ウェブページの初期設定時等にユーザから取得される。「ユーザ属性」は、例えば、「男性」、「女性」などの性別を示す情報である。まず、端末装置10は、ユーザの操作に基づいて、ウェブページを要求するリクエストをサービス提供装置20に送信する(S101)。
【0045】
次に、サービス提供装置20は、広告の配信要求を広告配信サーバ30に送信する(S103)。この配信要求には、例えば、端末装置10を利用するユーザの属性を示す「ユーザ属性」、広告配信面であるウェブページを識別する「ページID」、このウェブページ内において広告を表示する広告配信枠を識別する「枠ID」を示す情報等が含まれる。
【0046】
次に、広告配信サーバ30は、記憶部37に記憶された広告関連情報37Aから37Eを参照し、受信した配信要求に応じて、配信の候補となる広告の各々クリック率を推定する(S105)。広告配信サーバ30は、例えば、上記の式(1)から(5)に基づいて、クリック率を推定する。
【0047】
次に、広告配信サーバ30は、配信の候補となる広告の各々に関して、上記の式(6)に基づいて、期待収益を算出する(S107)。すなわち、広告配信サーバ30は、配信の候補となる広告の各々に関して、推定した「クリック率」と、広告関連情報37Aに含まれる「入札額」とを掛けることで、期待収益を算出する。
【0048】
次に、広告配信サーバ30は、算出した期待収益に基づいて、配信対象とする広告を決定する(S109)。広告配信サーバ30は、例えば、最も期待収益の高い広告を配信対象として決定する。なお、広告配信サーバ30は、複数の広告を要求する配信要求を受信した場合には、期待収益の高い順に、要求された数の広告を、配信対象とする広告として決定してよい。
【0049】
次に、広告配信サーバ30は、広告関連情報37Aを参照し、配信対象として決定した広告のURLをサービス提供装置20に送信する(S111)。
【0050】
次に、サービス提供装置20は、広告配信枠に広告配信サーバ30から受信した広告のURLを含むウェブページを生成し(S113)、生成したウェブページを端末装置10に送信する(S115)。次に、端末装置10は、受信したウェブページに含まれる広告のURLを用いて、広告に対応するコンテンツを要求するリクエストを広告配信サーバ30に送信する(S117)。
【0051】
次に、広告配信サーバ30は、受信したリクエストに対応する広告に関して、記憶部37に記憶された広告関連情報37Bから37Eに含まれるインプレッション数の更新を行い(S119)、対応する広告コンテンツを端末装置10に送信する(S121)。なお、広告配信サーバ30は、端末装置10からリクエストを受信する度にインプレッション数を更新してもよいし、一定の時間間隔で複数のリクエストをまとめて処理し、インプレッション数を更新してもよい。次に、端末装置10は、ウェブブラウザの機能により、広告コンテンツが埋め込まれたウェブページを表示する(S123)。
【0052】
その後、ユーザが端末装置10を操作してウェブページに表示された広告コンテンツをクリックまたはタップすると、端末装置10は、広告に対応するウェブページのリクエストを、このウェブページを提供する広告主サーバ(図示しない)に送信するとともに、クリックが発生したことを通知するクリック通知を広告配信サーバ30に送信する(S125)。クリック通知を受信した広告配信サーバ30は、記憶部37に記憶された広告関連情報37Bから37Eに含まれるクリック数を更新する(S127)。なお、広告配信サーバ30は、端末装置10からクリック通知を受信する度にクリック数を更新してもよいし、一定の時間間隔で複数のクリック通知をまとめて処理し、クリック数を更新してもよい。端末装置10は、広告主サーバから広告に対応するウェブページを受信し、ウェブブラウザの機能により、受信したウェブページを表示する。以上により、本シーケンス図の処理が終了する。
【0053】
以上において説明した実施形態によれば、実績に基づいて算出される広告の実績クリック率に対して、広告配信面における前記広告の表示位置のバイアス、前記広告を閲覧するユーザの属性と前記広告との組み合わせのバイアス、前記広告のバイアス、および前記広告配信面と前記広告との組み合わせのバイアスのうち少なくとも1つを掛け合わせることで、前記広告のクリック率を推定する推定部を備えることで、クリック率の推定精度を向上させることができる。また、バイアスを掛け合わせることによりクリック率を算出するため、計算が簡単であり、制御サーバのキャッシュ容量が不足してしまうといった問題も生じない。また、配信実績が十分に蓄積されていない広告についても正確なクリック率を推定することが可能である。また、新たな観点に基づくバイアスが見つかった場合には、クリック率の算出式にこの新たなバイアスを掛け合わせることで算出式を更新することが可能であり、拡張性の高い手法を実現することが可能である。
【0054】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0055】
10…端末装置
20…サービス提供装置
30…広告配信サーバ
31…通信部
33…クリック率推定部
35…広告決定部
37…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10