特許第6956573号(P6956573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6956573-浴室暖房装置 図000002
  • 特許6956573-浴室暖房装置 図000003
  • 特許6956573-浴室暖房装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956573
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】浴室暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 15/00 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   F24D15/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-171998(P2017-171998)
(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公開番号】特開2019-45121(P2019-45121A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−267350(JP,A)
【文献】 特開2006−336954(JP,A)
【文献】 特許第5011698(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 15/00−15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の天井に設置され、浴室内から取り込んだ空気を浴室送出路を介して浴室内へ送出する循環ファンと、該循環ファンが取り込んだ浴室内の空気を加熱する加熱部とを備える浴室暖房装置において、
前記浴室送出路から分岐して天井裏を介して他室に延びる他室送出路と、前記他室送出路を開閉するダンパと、前記他室送出路から分岐して下流端が屋外で開放する換気路と、前記換気路を開閉する換気路開閉ダンパとが設けられ、
前記加熱部は、前記浴室送出路の上流に設けられ、
前記他室送出路と前記換気路とは、何れも前記加熱部の下流に設けられていることを特徴とする浴室暖房装置。
【請求項2】
前記ダンパは、前記他室送出路と前記浴室送出路との何れも閉塞可能な形状に形成されて、前記他室送出路を閉塞しているとき前記浴室送出路を開放し、前記浴室送出路を閉塞しているとき前記他室送出路を開放する位置に枢支されており、前記他室送出路の閉塞位置と前記浴室送出路の閉塞位置との間に位置したとき、前記他室送出路と前記浴室送出路との両方を開放することを特徴とする請求項1記載の浴室暖房装置。
【請求項3】
記換気路開閉ダンパは、前記換気路を閉塞しているとき前記他室送出路を開放し、前記換気路を開放しているとき前記他室送出路を閉塞する位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の浴室暖房装置。
【請求項4】
前記換気路の上流側に位置する前記他室送出路に換気ファンが設けられていることを特徴とする請求項3記載の浴室暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の天井に設置される浴室暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室と他室である脱衣室との2室の暖房を行うために、浴室暖房装置に加えて脱衣室用の暖房装置を設置することが行われている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
また、浴室の天井裏に設置した浴室暖房装置に、脱衣室用の暖房ユニットを設けたものが知られている(例えば、下記特許文献2参照)。このものでは、浴室の天井裏に設置した浴室暖房装置が備える脱衣室用の暖房ユニットから温風ダクトを延ばし、この温風ダクトから脱衣室へ温風を供給することにより脱衣室の暖房が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−287236号公報
【特許文献2】特開2002−206782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成を採用すると、浴室暖房装置だけでなく脱衣室等の他室にも暖房装置を設置するために、暖房装置が2台分となりコストが高く、浴室と脱衣室との両方の天井裏等に広い設置スペースが必要となる不都合がある。
【0006】
また、特許文献2のものでは、浴室暖房装置として1台であっても、他室である脱衣室用の暖房ユニットを備えるために実質的には2台の暖房装置と同様であり、装置構成が複雑となって大型化し、その重量も大となる。このため、浴室の天井裏に大きな設置スペースを確保する必要があり、2台の暖房装置を浴室と他室とに設置するものと同様にコストが高い。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、構造簡単で小型軽量として低コストで浴室と他室の暖房を行うことができる浴室暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、浴室の天井に設置され、浴室内から取り込んだ空気を浴室送出路を介して浴室内へ送出する循環ファンと、該循環ファンが取り込んだ浴室内の空気を加熱する加熱部とを備える浴室暖房装置において、前記浴室送出路から分岐して天井裏を介して他室に延びる他室送出路と、前記他室送出路を開閉するダンパと、前記他室送出路から分岐して下流端が屋外で開放する換気路と、前記換気路を開閉する換気路開閉ダンパとが設けられ、前記加熱部は、前記浴室送出路の上流に設けられ、前記他室送出路と前記換気路とは何れも前記加熱部の下流に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、他室送出路を浴室送出路から分岐させ、天井裏を介して浴室から他室に延設したので、簡単な構成で他室に温風を供給することができる。これにより、低コストで浴室と他室の暖房を行うことができる。更に、他室送出路の途中位置に換気路を接続して、浴室の換気を行うことができる。
【0010】
また、本発明において、前記ダンパは、前記他室送出路と前記浴室送出路との何れも閉塞可能な形状に形成されて、前記他室送出路を閉塞しているとき前記浴室送出路を開放し、前記浴室送出路を閉塞しているとき前記他室送出路を開放する位置に枢支されており、前記他室送出路の閉塞位置と前記浴室送出路の閉塞位置との間に位置したとき、前記他室送出路と前記浴室送出路との両方を開放することを特徴とする。
【0011】
これによれば、ダンパを他室送出路の閉塞位置と浴室送出路の閉塞位置とで切り替えるだけで、他室の暖房と浴室の暖房とを容易に切り替えることができる。更に、ダンパを他室送出路の閉塞位置と前記浴室送出路の閉塞位置との間に位置させるだけで、他室の暖房と浴室の暖房との両方を行うことができる。よって、本発明によれば、構造を簡単として各室の暖房切り替えが容易に行える。
【0012】
また、本発明においては、前記換気路開閉ダンパは、前記換気路を閉塞しているとき前記他室送出路を開放し、前記換気路を開放しているとき前記他室送出路を閉塞する位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
更にこのとき、前記換気路の上流側に位置する前記他室送出路に換気ファンが設けられていることが好ましい。これによれば、換気ファンにより強制的に温風を送ることができるので、例えば、浴室から他室までが比較的遠いことにより他室送出路の延設距離が比較的長くなっても他室送出路を流れる風量の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の浴室暖房装置の設置状態を模式的に示す図。
図2】本実施形態の浴室暖房装置の作動を示す説明図。
図3本実施形態の浴室暖房装置の要部を上方から臨む説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の浴室暖房装置1は、図1に示すように、浴室2の天井(浴室天井2a)裏(上面)に設置されている。浴室2には、脱衣室3が隣接している。脱衣室3の天井(脱衣室天井3a)裏には、浴室暖房装置1から後述の脱衣室送出路12が延設されている。脱衣室3は、本発明における他室に相当する。
【0017】
浴室暖房装置1は、図2に示すように、循環ファン4と、暖房用放熱器5(加熱部)とを備えている。循環ファン4は強制的に空気流を生成する。循環ファン4の上流側には、浴室2に向かって開口する吸い込み口6と、吸い込み口6から循環ファン4にかけての空気流を案内する空気供給路7とが設けられている。
【0018】
暖房用放熱器5は、空気供給路7における循環ファン4の上流に設けられている。暖房用放熱器5には、図外の熱源機が備える暖房用熱交換器に接続された熱媒循環路8が接続されている。熱媒循環路8には、熱源機の暖房用熱交換器との間で熱媒(水、不凍液等)が循環される。
【0019】
循環ファン4の下流には、浴室送出路9が設けられている。浴室送出路9の下流端には、浴室2に向かって開口する浴室側吹き出し口10が設けられている。浴室送出路9には、分岐部11を介して脱衣室送出路12の上流端が接続されている。脱衣室送出路12の下流端には、脱衣室天井3aで開口する脱衣室側吹き出し口13(図1参照)が設けられている。脱衣室送出路12は、本発明における他室送出路に相当する。
【0020】
分岐部11には、脱衣室送出路12を開閉するダンパ14が設けられている。ダンパ14は、脱衣室送出路12と浴室送出路9との何れも閉塞可能な形状に形成され、分岐部11の角部に枢着されている。
【0021】
ダンパ14は、脱衣室送出路12を閉塞しているとき浴室送出路9を開放し、浴室送出路9を閉塞しているとき脱衣室送出路12を開放し、脱衣室送出路12の閉塞位置と浴室送出路9の閉塞位置との中間部に位置したとき(図2の実線で示すダンパ14の状態)、脱衣室送出路12と浴室送出路9との両方を開放する。このようなダンパ14の作動は、図示しないアクチュエータの駆動により行われ、アクチュエータの制御はコントローラ15により行われる。
【0022】
循環ファン4の作動により吸い込み口6から空気供給路7に流れ込んだ空気は、暖房用放熱器5を通過することにより加熱される。このとき、ダンパ14によって脱衣室送出路12を閉塞し、浴室送出路9を開放することで、温風が浴室側吹き出し口10から吹き出して、浴室2の暖房が行われる。
【0023】
また、ダンパ14によって浴室送出路9を閉塞し、脱衣室送出路12を開放すると、温風が脱衣室側吹き出し口13から吹き出し、脱衣室3の暖房が行われる。
【0024】
また、ダンパ14が脱衣室送出路12の閉塞位置と浴室送出路9の閉塞位置との中間部に位置して、脱衣室送出路12と浴室送出路9との両方を開放したときには、浴室2と脱衣室3との2室の暖房が同時に行われる。
【0025】
このように、本実施形態によれば、浴室送出路9に脱衣室送出路12を接続し、その分岐部11にダンパ14を設けた構成を採用したことにより、構造簡単で小型軽量に構成でき、低コストで脱衣室3の暖房が可能となる。
【0026】
また、図3に示すように、脱衣室送出路12の中途位置に換気路16の上流端を接続し、更に換気路16を開閉する換気路開閉用ダンパ17を設ける。換気路16の下流端は屋外で開放する。
【0027】
換気路開閉用ダンパ17は、脱衣室送出路12と換気路16とが分岐する位置に設けられ、換気路16を閉塞しているときには脱衣室送出路12を開放し、換気路16を開放しているときには脱衣室送出路12を閉塞する。換気路開閉用ダンパ17の駆動は図示しない他のアクチュエータにより行われ、その制御は前記コントローラ15により行われる。
【0028】
換気路16を設ける場合には、換気ファン18を設けることが好ましい。換気ファン18は、脱衣室送出路12における換気路16よりも上流側に介設する。
【0029】
浴室2の換気を行うときには、先ず、ダンパ14により浴室送出路9を閉塞して脱衣室送出路12を開放し、換気路開閉用ダンパ17により脱衣室送出路12を閉塞して換気路16を開放する。次いで、循環ファン4と共に換気ファン18を作動させる。これにより、浴室2の換気を確実に行うことができる。
【0030】
そして、換気ファン18は、脱衣室3の暖房の際にも用いることができる。この場合には、先ず、ダンパ14により浴室送出路9を閉塞して脱衣室送出路12を開放し、換気路開閉用ダンパ17により換気路16を閉塞して脱衣室送出路12を開放する。次いで、循環ファン4と共に換気ファン18を作動させる。これによれば、脱衣室送出路12の距離が比較的長い場合の風量低下を抑えることができ、確実に脱衣室3に温風を供給して効率よく暖房を行うことができる。
【0031】
なお、本実施形態の浴室暖房装置1以外に、図示しないが、換気路と換気ファンとを備える浴室暖房装置を用いて本発明を構成する場合には、脱衣室送出路を既存の換気ファンの下流側の換気路から分岐させればよい。これによれば、当該分岐位置の上流側を換気路と脱衣室送出路とで兼用することができ、重量等の増加も少なく構造簡単として安価に構成することができる。
【0032】
また、本実施形態においては、浴室2と、浴室2に隣接する脱衣室3との暖房を例として挙げたが、脱衣室3以外の他室であっても本発明を採用して上記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1…浴室暖房装置、2…浴室、2a…浴室天井(天井)、3…脱衣室(他室)、3a…脱衣室天井(天井)、4…循環ファン、5…暖房用放熱器(加熱部)、9…浴室送出路、12…脱衣室送出路(他室送出路)、14…ダンパ、16…換気路、17…換気路開閉ダンパ、18…換気ファン。
図1
図2
図3