(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の織布は、混合糸と、混合糸と交わる第1非金属糸とを含む。混合糸は、第2非金属糸と、金属糸とを含む。混合糸と第1非金属糸との直径の比:混合糸/第1非金属糸は1以上である。さらに、織布の所定の領域に含まれる混合糸の本数は、上記所定の領域に含まれるすべての糸の本数の3.5〜30%である。
【0011】
本発明の実施形態に係る織布によれば、織布に含まれる混合糸の本数を特定の範囲にするとともに、混合糸とこれと交わる第1非金属糸との直径の比を特定の範囲にすることにより、混合糸の含有量を少なくしながら、織布の少なくとも一方の主面に多く露出させることができる。よって、得られる織布は、風合がよく、軽量であるとともに、優れた抗菌性を有する。
【0012】
[織布]
織布は、織機を用いて、少なくとも第1非金属糸および混合糸を織り込むことにより形成される。混合糸は、緯糸および経糸の両方に含まれていてもよく、緯糸のみに含まれていてもよく、経糸のみに含まれていてもよい。また、経糸および緯糸の一方を、混合糸のみで形成することもできる。
【0013】
織布の所定の領域(以下、領域R)に含まれる混合糸の本数は、当該領域Rに含まれるすべての糸の本数の3.5〜30%とする。混合糸の本数が上記範囲のとき、織布は軽量であり、柔軟である。また経済性にも優れる。混合糸の本数割合は、5%以上であることが好ましく、7%以上がより好ましい。混合糸の本数割合は、25%以下であることが好ましく、20%以下がより好ましい。
【0014】
所定の領域とは、織布の一方の主面を見たとき、少なくとも1本の混合糸が含まれる、例えば一辺が2cmの正方形によって囲まれた領域である。領域Rに含まれる糸の本数は、例えば、一辺が2cmの正方形によって囲まれた領域において、織布の両方の主面から見える糸の本数を、重複しないように数えることで算出することができる。
【0015】
ここで、1本の糸とは、単独で、経糸または緯糸として織機に導入されて製織に用いられ得る、1以上の繊維を含む単位である。糸を構成する繊維としては、紡績糸やフィラメント糸などが挙げられる。ただし、混合糸の場合、1本以上の第2非金属糸と1本以上の金属糸とを含む1本の撚糸が、1本の糸である。
【0016】
織布を主面の法線方向から見たとき、少なくとも一方の主面における混合糸の面積は、織布の面積の5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、13%以上であることが特に好ましい。混合糸の面積割合がこのように小さい場合であっても、高い抗菌性が得られやすくなる。混合糸の面積割合は、100%以下であり、80%以下であってもよく、50%以下であってもよい。
【0017】
混合糸の面積割合は、マイクロスコープ(例えば、キーエンス株式会社製、デジタルHFマイクロスコープVH−8000)を用いて、織布を一方の主面の法線方向から撮影することにより求められる。例えば、場所を変えて、織布の一方の主面を3箇所撮影し、撮影された各視野内から、混合糸を少なくとも1本含み、タテ2.3cm、ヨコ3.1cmの長方形によって囲まれた領域をそれぞれ選出する。選出された3つの領域において、混合糸の面積を当該領域の面積で除して、混合糸の面積割合を算出する。これらの平均値を混合糸の面積割合とする。
【0018】
織布の経糸は、混合糸および混合糸に沿って配置される非金属糸(第3非金属糸)を含んでもよい。緯糸も同様に、混合糸および第3非金属糸を含んでもよい。経糸および/または緯糸が、混合糸と第3非金属糸とを含む場合、混合糸は、等間隔に配置されてもよいし、変則的な間隔で配置されてもよい。なかでも、混合糸は、等間隔で配置されることが好ましい。この場合、得られる織布は、柔軟でありながら、十分な抗菌性能を発揮する。
【0019】
上記の場合、混合糸の密度は特に制限されない。混合糸の密度は、織布全体にわたって一定であってもよいし、部分的に混合糸の密度を変化させてもよい。なかでも、混合糸は、「第3非金属糸8本に対して混合糸1本」以上の割合で、均等に配置されることが好ましい。これは、例えば、混合糸が緯糸に含まれる場合、混合糸の本数に対して、緯糸を構成する第3非金属糸の本数が、8倍以下であることを意味する。混合糸と第3非金属糸との本数の比は、好ましくは1:2〜1:8であり、より好ましくは1:2〜1:4である。混合糸と第3非金属糸との本数の比が上記範囲であるとき、織布は軽量であり、柔軟である。
【0020】
隣り合う混合糸同士の間隔は、3600μm以下であることが好ましく、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることがさらに好ましい。混合糸同士の間隔がこの範囲のとき、得られる抗菌効果が高くなる。混合糸同士の間隔とは、隣り合う混合糸の間に形成される隙間の幅(混合糸の長手方向に垂直な方向の長さ)である。
【0021】
織布の厚さは、特に限定されないが、70〜1500μmであることが好ましく、より好ましくは110〜1000μmであり、特に好ましくは250〜750μmである。本実施形態によれば、従来の金属糸を含有する織布に比べて、軽量で極薄の織布を作製することが可能となる。なお、織布の厚さは、例えば、厚み測定器(株式会社尾崎製作所製、PEACOCK G−6)を用いて測定することができる。
【0022】
本実施形態の織布は、織布中の第1非金属糸、第2非金属糸および金属糸、さらに必要に応じて用いられる第3非金属糸の種類、量、直径、種類、配置などの設計の自由度が高く、所望の用途、抗菌性などに応じた様々な織布を得ることができる。
【0023】
本実施形態の織布の作製方法は特に限定されるものでなく、通常の織物と同様に織機で織ることにより作製することができる。織機としては、従来公知の織機を用いることができ、例えば、シャトル式織機、レピア式織機、エアージェット式織機、ニードル式織機、ウォータージェット式織機、グリッパー式織機、ジャカード式織機などを用いることができる。
【0024】
織布の織物組織は、特に限定されるものでなく、平織、綾織、朱子織といった三原組織、三原組織の変形組織、梨地織などの特別組織、からみ組織、ドビー組織、ジャカード組織、二重組織、多重組織などが挙げられる。なかでも風合の観点から、朱子織が好ましく、さらには5枚朱子織が好ましい。
【0025】
本実施形態の織布の抗菌の対象となる菌としては、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌などが挙げられる。
【0026】
(第1非金属糸)
第1非金属糸としては、特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維などの従来公知の繊維から得られる糸を挙げることができる。このような繊維は、実質的に金属を含有しない。これらの繊維は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、耐久性に優れるという理由から、合成繊維が好ましく、特にポリエステル繊維が好ましい。ポリエステル繊維は種類が多く、織布の用途に適したものを選択しやすい。そのため、織布の多用途展開が容易になる。また、ポリエステル繊維から形成される糸を含む織布は、染色、撥水加工、撥油加工、抗菌加工、防臭加工、難燃加工、UVカット加工などの後加工も施しやすい。さらに、ポリエステル繊維は、先染め(糸染め)しても風合が変わりにくい。そのため、金属糸表面に皮膜が形成され得る後加工を省略することができて、金属糸による抗菌性能が十分に発揮されやすくなる。
【0027】
第1非金属糸の形態としては、特に限定されるものでなく、紡績糸(短繊維糸)、マルチフィラメント糸およびモノフィラメント糸(長繊維糸)など、従来公知の形態を挙げることができる。なかでも、品位の観点から、モノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸が好ましく、特に風合の観点から、マルチフィラメント糸が好ましい。また、第1非金属糸(繊維)の断面形状も特に限定されない。円形であってもよいし、円形以外のいわゆる異形断面糸であってもよい。
【0028】
第1非金属糸の直径は、24〜644μmであることが好ましく、より好ましくは64〜203μmである。第1非金属糸の直径が24μm以上であると、糸切れが発生しにくい。また、織密度を高くする必要がなく、コストが抑えられる。第1非金属糸の直径が644μm以下であると、得られる織布が粗硬になりにくく、風合も損なわれにくい。
【0029】
第1非金属糸の直径は、例えば、上記のようにマイクロスコープを用いて、織布を一方の主面の法線方向から撮影することにより求められる。例えば、場所を変えて、織布の一方の主面を3箇所撮影し、撮影された各視野内における第1非金属糸の長手方向に垂直な方向の長さを、それぞれ任意の3点で測定し、これらの平均値を第1非金属糸の直径とする。混合糸の直径も同様である。
【0030】
上記の場合、第1非金属糸の繊度(総繊度)は、6〜4500dtexであり、45〜450dtexである。繊度は、JIS L 0101−1978(テックス方式)により規定される繊維の太さを表す値であり、JIS L 1013−1999 B法に基づいて測定した値である。
【0031】
第1非金属糸には、吸水、撥水、消臭などの各種加工、染色などの従来公知の処理を施してもよい。
【0032】
(混合糸)
混合糸は、第2非金属糸と、金属糸とを含む。具体的には、混合糸は、第2非金属糸に金属糸を巻き付けたカバリング糸、または第2非金属糸および金属糸を撚り合わせて形成される合撚糸であることが好ましい。なお、本明細書において、2本の糸を引き揃えるとともに撚りをかけて、1本の糸にすることを合撚するという。
【0033】
混合糸がカバリング糸である場合、混合糸は、第2非金属糸のまわりに金属糸が巻き付けられることにより形成される。1本の混合糸には、1本以上の第2非金属糸、および、1本以上の金属糸が含まれる。金属糸の第2非金属糸への巻き回数は、1.1〜3回/cmであることが好ましい。巻き回数が1.1回/cm以上であると、所望の抗菌性が得られやすい。また、巻き回数が3回/cm以下であれば、混合糸自体も軽量となり、経済性にも優れる。さらに、混合糸を用いて得られる織布が粗硬になりにくい。
【0034】
混合糸が合撚糸である場合、混合糸は、第2非金属糸および金属糸を撚り合わせて形成される。1本の混合糸には、1本以上の第2非金属糸、および、1本以上の金属糸が含まれる。合撚糸の撚り回数は、0.5〜20回/cmであることが好ましく、より好ましくは3〜6回/cmである。撚り回数が0.5回/cm以上であると、所望の抗菌性が得られやすい。また、撚り回数が20回/cm以下であると、混合糸自体も軽量となり、経済性にも優れる。さらに、混合糸を用いて得られる織布が粗硬になりにくい。
【0035】
カバリング糸および合撚糸の撚りの方向は、Z撚りおよびS撚りのいずれであってもよい。撚りの方向が異なっていても、得られる織布の抗菌性および風合は同じである。そのため、撚りの方向は、製織の際の耳巻きを考慮して適宜決定されればよい。
【0036】
混合糸の直径は、44〜744μmであることが好ましく、より好ましくは64〜344μmである。混合糸の直径が44μm以上であると、糸切れが発生しにくい。また、織密度を高くする必要がなく、経済的にも優れる。混合糸の直径が744μm以下であると、得られる織布が粗硬になりにくく、風合も損なわれにくい。
【0037】
混合糸と第1非金属糸との直径の比:混合糸/第1非金属糸は1以上である。直径の比:混合糸/第1非金属糸が1以上であると、織布の表面に露出する混合糸(金属糸)が多くなるため、得られる織布の抗菌性が高くなる。比:混合糸/第1非金属糸は、1.2以上であることが好ましく、2以上がより好ましい。比:混合糸/第1非金属糸の上限は特に限定されないが、例えば、35であってもよいし、20であってもよいし、10であってもよい。
【0038】
(金属糸)
金属糸としては、線状の金属が用いられる。
金属糸は、例えば、棒状に加工された金属を、所望の直径を有するダイスに通して、加熱下または常温で伸長させることにより作製することができる。金属糸の材質としては、銅、銀、亜鉛などの金属が挙げられる。また、銅に、亜鉛や銀、ニッケルなどを、単独または複数組み合わせた銅合金も挙げられる。なかでも抗菌性の観点から、銅を主成分(50質量%以上を占める)とする金属糸が好ましい。銅を主成分とする金属糸としては、電気用軟銅線(JIS C3102)、硬銅線、無酸素銅(JIS H3100、C1020)が挙げられる。なかでも、抗菌性および経済性の観点から硬銅線が好ましく、抗菌性の観点から無酸素銅が好ましい。混合糸を構成する金属糸は、1種に限定されず、2種以上であってもよい。
【0039】
金属糸の直径は、特に限定されるものでなく、20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは30〜50μmであり、さらに好ましくは40〜50μmである。金属糸の直径が20μm以上であると、糸切れが発生しにくく、所望の抗菌性を得ることができる。金属糸の直径が100μm以下であると、軽量の織布が得られやすい。また、得られる織布が粗硬になりにくい。
【0040】
(第2非金属糸)
混合糸を構成する第2非金属糸としては、上記第1非金属糸と同様の非金属糸を用いることができ、織布に要求される性質に応じて適宜選択される。第1非金属糸と第2非金属糸とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、混合糸を構成する第2非金属糸は、1種に限定されず、2種以上であってもよい。
【0041】
金属糸と第2非金属糸との直径の比:金属糸/第2非金属糸は、特に限定されない。比:金属糸/第2非金属糸は、例えば、0.2以上、1以下である。
【0042】
(第3非金属糸)
混合糸に沿って配置され得る第3非金属糸としては、上記第1非金属糸と同様の非金属糸を用いることができ、織布に要求される性質に応じて適宜選択される。第1非金属糸と第3非金属糸とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。第2非金属糸と第3非金属糸とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。第3非金属糸は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0043】
混合糸と第3非金属糸との直径の比:混合糸/第3非金属糸は、特に限定されない。比:混合糸/第3非金属糸は、例えば、0.05以上、35以下であり、0.5以上、5以下であってもよく、0.7以上、2以下であってもよい。
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0045】
<混合糸の作製>
(混合糸A)
ポリエステル糸(第2非金属糸、直径124μm、繊度167dtex/48f)に、無酸素銅から作製した軟銅線(金属糸、直径40μm)を、撚り方向をS撚り、撚り回数を2.5回/cmとしてカバリングし、混合糸A(直径164μm)を作製した。
【0046】
(混合糸B)
ポリエステル糸(第2非金属糸、直径124μm、繊度167dtex/48f)に、無酸素銅から作製した硬銅線(金属糸、直径40μm)を、撚り方向をS撚り、撚り回数を2.5回/cmとしてカバリングし、混合糸B(直径164μm)を作製した。
【0047】
(混合糸C)
ポリエステル糸(第2非金属糸、直径124μm、繊度167dtex/48f)に、無酸素銅から作製した硬銅線(金属糸、直径50μm)を、撚り方向をS撚り、撚り回数を2.5回/cmとしてカバリングし、混合糸C(直径174μm)を作製した。
【0048】
[実施例1]
<織布の作製>
作製した混合糸Aと、ポリエステル糸A(第1非金属糸、直径72μm、繊度56dtex/25f)と、ポリエステル糸B(第3非金属糸、直径174μm、繊度330dtex/288f)とを、製織し、平織の織布を作製した。表1に示すように、経糸はポリエステル糸Aである。緯糸はポリエステル糸Bおよび混合糸Aであり、緯糸中、混合糸Aとポリエステル糸Bとの本数の比は、1:2とした。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Aの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の11.9%となるようにし、混合糸Aは、等間隔になるよう配置した。
得られた織布において、隣り合う混合糸A同士の間隔は、1154μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Aの面積は、織布の面積の15.6%であった。なお、隣り合う混合糸Aとポリエステル糸Bとの間には隙間が空いていた。織布の厚さは293μmであった。
【0049】
<織布の評価>
得られた織布について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0050】
(1)抗菌性
作製した織布から試験布(0.40g±0.05g)を切り出して、JIS L1902−2015(菌液吸収法)に準拠して評価した。試験菌種として黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus NBRC 12732)を、標準布として綿100%の白布を用いた。試験布および標準布に試験菌液を接種し、試験菌液接種直後および18時間培養後の生菌数の測定値を求めた。その後、下記式に基づいて静菌活性値Sおよび殺菌活性値Lを算出した。なお、静菌活性値が2.2以上、殺菌活性値が0を超えていれば、抗菌性に優れていると判断した。
S=(Mb−Ma)−(Mc−Mo)
L=Ma−Mc
S :静菌活性値
L :殺菌活性値
Ma:標準布の試験菌液接種直後の生菌数の対数値
Mb:標準布の18時間培養後の生菌数の対数値
Mo:試験布の試験菌液接種直後の生菌数の対数値
Mc:試験布の18時間培養後の生菌数の対数値
【0051】
(2)風合
織布に触れ、以下の基準に従って判定した。
(判定)
○:柔らかい。
△:やや粗硬な部分があるが、問題のない程度である。
×:全体的に粗硬である。また金属糸の断線が認められる。
【0052】
[実施例2]
緯糸中の混合糸Aとポリエステル糸Bとの本数の比を1:4に変更した以外は、実施例1と同様にして、織布を作製した。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Aの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の7.1%となるようにした。
得られた織布において、隣り合う混合糸A同士の間隔は、1865μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Aの面積は、織布の面積の16.6%であった。織布の厚さは279μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合を評価した結果を、表2に示す。
【0053】
[実施例3]
緯糸中の混合糸Aとポリエステル糸Bとの本数の比を1:6に変更した以外は、実施例1と同様にして、織布を作製した。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Aの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の5.1%となるようにした。
得られた織布において、隣り合う混合糸A同士の間隔は、2649μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Aの面積は、織布の面積の6.2%であった。なお、隣り合う混合糸Aとポリエステル糸Bとの間には隙間が空いていた。織布の厚さは274μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合を評価した結果を、表2に示す。
【0054】
[実施例4]
緯糸中の混合糸Aとポリエステル糸Bとの本数の比を1:8に変更した以外は、実施例1と同様にして、織布を作製した。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Aの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の3.9%となるようにした。
得られた織布において、隣り合う混合糸A同士の間隔は、3424μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Aの面積は、織布の面積の7.4%であった。織布の厚さは267μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合を評価した結果を、表2に示す。
【0055】
[実施例5]
混合糸Aを、混合糸Bに変更した以外は、実施例1と同様にして織布を作製した。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Bの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の11.9%となるようにした。
得られた織布において、隣り合う混合糸B同士の間隔は、1121.9μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Bの面積は、織布の面積の15.1%であった。なお、隣り合う混合糸Bとポリエステル糸Bとの間には隙間が空いていた。織布の厚さは305μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合を評価した結果を、表2に示す。
【0056】
[実施例6]
混合糸Aを、混合糸Bに変更した以外は、実施例2と同様にして織布を作製した。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Bの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の7.1%となるようにした。
得られた織布において、隣り合う混合糸B同士の間隔は、1640.6μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Bの面積は、織布の面積の16.3%であった。織布の厚さは291μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合を評価した結果を、表2に示す。
【0057】
[実施例7]
混合糸Aを、混合糸Bに変更した以外は、実施例3と同様にして織布を作製した。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Bの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の5.1%となるようにした。
得られた織布において、隣り合う混合糸B同士の間隔は、3430.4μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Bの面積は、織布の面積の6.4%であった。なお、隣り合う混合糸Bとポリエステル糸Bとの間には隙間が空いていた。織布の厚さは284μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合を評価した結果を、表2に示す。
【0058】
[実施例8]
混合糸Aを、混合糸Bに変更した以外は、実施例4と同様にして織布を作製した。織布の所定の領域R(一辺2cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Bの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の3.9%となるようにした。
得られた織布において、隣り合う混合糸B同士の間隔は、3579.8μmであった。また、織布を主面の法線方向から見たとき、織布両面において、混合糸Bの面積は、織布の面積の7.2%であった。織布の厚さは278μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合を評価した結果を、表2に示す。
【0059】
[実施例9]
混合糸Cと、ポリエステル糸C(第1非金属糸、直径124μm、繊度167dtex/48f)と、ポリエステル糸D(第3非金属糸、直径124μm、繊度167dtex/48f)とを、製織し、サテン織の織布を作製した。表1に示すように、経糸は混合糸Cおよびポリエステル糸C、緯糸はポリエステル糸Dとし、経糸中、混合糸Cと、ポリエステル糸Cとの本数の比は、1:4とした。織布の所定の領域R(一辺5cmの正方形によって囲まれた領域)に含まれる混合糸Cの本数は、領域Rに含まれる経糸および緯糸の合計本数の14.2%となるようにし、混合糸Cは、経糸に等間隔になるよう配置した。織密度(設計密度)は、経150本/2.54cm、緯60本/2.54cmであった。
得られた織布の一方の主面において、混合糸C同士は接触するように配置されており(間隔0μm)、混合糸Cの面積は、当該主面の面積の100%を占めていた。他方の主面において、混合糸Cの面積は、当該主面の面積の7.1%であった。織布の厚さは275μmであった。
織布について、(1)抗菌性および(2)風合の評価を行った結果を、表2に示す。
【0060】
また、得られた織布を5回洗濯し、洗濯前の織布、洗濯後の織布のそれぞれについて、黄色ブドウ球菌および肺炎桿菌に対する抗菌性および風合を評価した。洗濯方法は、繊維評価技術協議会規定のSEKマーク繊維製品の洗濯方法(標準洗濯法)に従った。なお、抗菌性の評価は、(1)の抗菌性試験と同様に行い、試験菌種として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae NBRC 13277)を用いた。評価結果を表3に示す。
【0064】
表2および表3より、実施例1〜実施例9で得られる織布は、高い抗菌性を示すとともに、薄く、風合の点でも優れることがわかる。また、実施例9からわかるように、本実施形態にかかる織布は、洗濯によっても抗菌性は低下しない。
【0065】
これらのことから、金属糸を含む織布においては、混合糸と第1非金属糸との直径の比、および織布に含まれる混合糸の本数を限定することにより、優れた抗菌性および風合を両立することが可能になることが明らかとなった。