(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956586
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】微小機械部品および微小機械部品のための製造方法
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20211021BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20211021BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
B81B3/00
B81C3/00
G02B26/08 E
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-201796(P2017-201796)
(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-99769(P2018-99769A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2020年10月1日
(31)【優先権主張番号】10 2016 220 524.2
(32)【優先日】2016年10月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート・グルトツェック
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・ムホー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・バーダー
【審査官】
山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/121037(WO,A1)
【文献】
特開2005−156684(JP,A)
【文献】
特開2015−184596(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/186728(WO,A1)
【文献】
特開平09−233863(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/189051(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102012206291(DE,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102141576(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 3/00
B81C 3/00
G02B 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小機械部品であって、
ホルダ(10)と、
コイル担体(12)によって保持されたコイル巻線(14)と、
変位可能な部材(16)とを備え、
前記コイル担体(12)および変位可能な部材(16)が互いに結合されており、少なくとも1つのばね要素(18a,18b)を介して前記ホルダ(10)に結合されており、変位可能な部材(16)が、ホルダ(10)に対して少なくとも1つの回転軸線(20)を中心として変位可能である機械構成部品において、
前記ホルダ(10)に堅固に配置または形成され、コイル担体(12)によって少なくとも部分的に包囲されたストッパ担体(22)が、該ストッパ担体(22)の平面から突出した少なくとも1つの第1ストッパ領域(24)を備え、該ストッパ領域(24)によって、少なくとも1つの第1ストッパ領域(24)と前記コイル担体(12)との接触に基づいた少なくとも1方向へのホルダに対する少なくとも前記コイル担体(12)の相対移動が制限されていることを特徴とする微小機械部品。
【請求項2】
請求項1に記載の微小機械部品において、
少なくとも1つの前記第1ストッパ領域(24)が凸状に成形されている微小機械部品。
【請求項3】
請求項2に記載の微小機械部品において、
前記コイル担体(12)の少なくとも1つの接触領域が、少なくとも1つの前記第1ストッパ領域(24)に対応して凹状に成形されている微小機械部品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の微小機械部品において、
少なくとも1つの前記第1ストッパ領域(24)が前記ストッパ担体(22)の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域(22a)に形成されている微小機械部品。
【請求項5】
請求項4に記載の微小機械部品において、
少なくとも1つの前記第1ストッパ領域(24)を備えるストッパ担体(22)の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域(22a)が、それぞれ1つの金属層を備える微小機械部品。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の微小機械部品において、
前記ホルダ(10)が、前記コイル巻線(14)を備える前記コイル担体(12)、変位可能な前記部材(16)、および/または、少なくとも1つの結合構成要素(30)を少なくとも部分的に包囲するフレーム(26)を含み、前記結合構成要素(30)を介して、前記コイル担体(12)が変位可能な前記部材(16)に結合されており、前記フレーム(26)に、フレーム(26)の内面から突出した少なくとも1つの第2ストッパ領域(28)が形成されており、該ストッパ領域によって、少なくとも1つの前記第2ストッパ領域(28)とコイル前記担体(12)、変位可能な前記部材(16)および/または少なくとも1つの前記結合構成要素(30)との接触に基づいた少なくとも1方向への前記ホルダ(10)に対する少なくとも前記コイル担体(12)、変位可能な前記部材(16)および/または少なくとも1つの前記結合構成要素(30)の相対移動が制限可能である微小機械部品。
【請求項7】
請求項6に記載の微小機械部品において、
少なくとも1つの前記第2ストッパ領域(28)が凸状に成形されている微小機械部品。
【請求項8】
請求項7に記載の微小機械部品において、
前記コイル担体(12)、変位可能な前記部材(16)および/または少なくとも1つの前記結合構成要素(30)の少なくとも1つの接触領域(52)が少なくとも1つの前記第2ストッパ領域(28)に対応して凹状に成形されている微小機械部品。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の微小機械部品において、
少なくとも1つの前記第2ストッパ領域(28)が、前記フレーム(26)の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域(26a)に形成されている微小機械部品。
【請求項10】
請求項9に記載の微小機械部品において、
少なくとも1つの前記第2ストッパ領域(28)を備える前記フレーム(26)の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域(26a)が、それぞれ1つの金属層(50)を備える微小機械部品。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の微小機械部品において、
前記微小機械部品が、変位可能な部材(16)として変位可能なミラープレート(16)を備える微小ミラーである微小機械部品。
【請求項12】
コイル担体(12)によって保持されたコイル巻線(14)および変位可能な部材(16)をホルダ(10)に配置するステップ(S1)であって、前記コイル担体(12)および前記変位可能な部材(16)を互いに結合し、少なくとも1つのばね要素(18a,18b)を介して前記ホルダ(10)に結合し、前記変位可能な部材(16)がホルダ(10)に対して少なくとも1つの回転軸線(20)を中心として変位可能であるようにするステップ(S1)を備える微小機械部品のための製造方法において、
前記ストッパ担体(22)の平面から突出した少なくとも1つの第1ストッパ領域(24)を備えるホルダ(10)にストッパ担体(22)を堅固に形成または配置するステップ(S2)であって、前記ストッパ領域(24)を前記コイル担体(12)によって少なくとも部分的に包囲し、前記ストッパ領域(24)によって、少なくとも1つの第1ストッパ領域(24)と前記コイル担体(12)との接触に基づいた少なくとも1方向への前記ホルダ(10)に対する少なくともコイル担体(12)の相対移動を制限するステップ(S2)を備えることを特徴とする微小機械部品のための製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小機械部品に関する。本発明は、微小機械部品のための製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102014207891号明細書には、それぞれコイル担体によって保持されたコイル巻線およびコイル担体に結合されたミラーを備えるミラー装置が記載されており、コイル担体およびコイル担体に結合されたミラーはそれぞれ4つの柔軟なばねを介してホルダに結合されており、ミラーは、コイル巻線の通電および外部磁界の励起によって回転軸線を中心としてホルダに対して変位可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014207891号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、請求項1の特徴を備える微小機械部品および請求項12の特徴を備える微小機械部品のための製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1つの第1ストッパ領域が、このような第1ストッパ領域が形成された微小機械部品の衝突または落下時にホルダに対する少なくともコイル担体の相対移動を制限することにより、微小機械部品のロバスト性、特に落下に対するロバスト性を改善する。したがって、少なくとも1つの第1ストッパ領域は、ホルダに対する少なくともコイル担体の相対移動を制限することによって損傷の危険性を低減する「ストッパ要素」として少なくとも作用する。すなわち、本発明は、従来技術に比べてより大きい力作用およびより高い落下高さに耐えることができるロバスト性のある微小機械部品を提供することに貢献する。本発明により微小機械部品のロバスト性/落下に対するロバスト性が増大し、微小機械部品を備えるアクチュエータまたは微小機械部品を備えるセンサを多方面で使用することができる。
【0006】
微小機械部品の好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1ストッパ領域が凸状に成形されている。したがって、このような第1ストッパ領域が形成された微小機械部品が衝突または落下した場合に、凸状に成形された少なくとも1つの第1ストッパ領域のエッジにコイル担体が衝突することを恐れる必要はない。
【0007】
好ましくは、コイル担体の少なくとも1つの接触領域が、少なくとも1つの第1ストッパ領域に対応して凹状に成形されている。それぞれの微小機械部品が衝突または落下した場合には、少なくとも1つの第1ストッパ領域と、この第1ストッパ領域に対応する接触領域との接触に基づいたホルダに対する少なくともコイル担体の相対移動が制限され、少なくとも1つの第1ストッパ領域およびこの第1ストッパ領域に対応する少なくとも1つの接触領域が湾曲して形成されており、これにより総接触面積が増大していることに基づいて、従来の破断の危険性が低減されている。
【0008】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1ストッパ領域が、ストッパ担体の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域に形成されている。したがって、コイル担体と少なくとも1つの第1ストッパ領域の接触は、ストッパ担体の弾性変形可能な対応する少なくとも1つの部分領域の弾性変形をもたらし、これにより、動的エネルギー(落下エネルギー)を吸収することができる。これは、ストッパ担体の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域の弾性変形によってホルダに対する少なくともコイル担体の相対移動が抑制可能であると換言することができる。
【0009】
随意に、少なくとも1つの第1ストッパ領域を備えるストッパ担体の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域は、それぞれ1つの金属層を備える。それぞれの金属層は、ストッパ担体の弾性変形可能なそれぞれの部分領域に強い荷重が加えられた場合に緩衝作用を及ぼすことができる。
【0010】
微小機械部品の好ましい実施形態では、ホルダは、コイル巻線を備えるコイル担体、変位可能な部材および/または少なくとも1つの結合構成要素を少なくとも部分的に包囲するフレーム含み、上記結合構成要素を介してコイル担体が変位可能な部材に結合されており、フレームには、フレームの内面から突出する少なくとも1つの第2ストッパ領域が形成されており、この第2ストッパ領域によって、コイル担体、変位可能な部材および/または少なくとも1つの結合要素と、少なくとも1つの第2ストッパ領域との接触に基づいた少なくとも1方向へのホルダに対する少なくともコイル担体、変位可能な部材および/または少なくとも1つの結合要素の相対移動が制限可能である。少なくとも1つの第2ストッパ領域が形成されていることは、微小機械部品のこのような実施形態においてロバスト性/落下に対するロバスト性の望ましい増大にも貢献する。
【0011】
特に、少なくとも1つの第2ストッパ領域は凸状に成形されていてもよい。好ましくは、この場合にはコイル担体、変位可能な部材および/または少なくとも1つの結合構成要素の少なくとも1つの接触領域は少なくとも1つの第2ストッパ領域に対応して凹状に成形されている。したがって、少なくとも1つの第2ストッパ領域と、対応する少なくとも1つの接触領域との接触も比較的大きい面積により行われており、これにより、従来の破断の危険性が低減されている。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの第2ストッパ領域がフレームの弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域に形成されている。したがって、フレームの弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域の弾性変形によって、動的エネルギー(落下エネルギー)を吸収することができる。これにより、少なくとも1つの第2ストッパ領域がフレームの弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域に形成されていることは、ホルダに対するコイル担体、変位可能な部材および/または少なくとも1つの結合構成要素の不都合な相対移動を緩和するためにも貢献する。
【0013】
微小機械部品の別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの第2ストッパ領域を備えるフレームの弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域が、それぞれ1つの金属層を備える。この場合にも、少なくとも1つの第2ストッパ領域を備えるフレームの弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域の少なくとも1つの金属層は、荷重を緩和するために貢献する。
【0014】
例えば、微小機械部品は、変位可能な部材として変位可能なミラープレートを備える微小ミラーであってもよい。したがって、微小機械部品は多方面で使用可能である。しかしながら、微小機械部品を形成する可能性は微小ミラーに制限されていないことに留意されたい。
【0015】
上記利点は、微小機械部品のための対応する製造方法を実施する場合にも実現される。微小機械部品の上記実施形態による製造方法が実施可能であることにも留意されたい。
【0016】
次に図面に基づいて本発明の他の特徴および利点を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】微小機械部品の第1実施形態を示す概略図である。
【
図2】微小機械部品の第2実施形態を示す概略図である。
【
図3】微小機械部品の第3実施形態を示す概略図である。
【
図4】微小機械部品の第4実施形態を示す概略的な部分図である。
【
図5】微小機械部品の第5実施形態を示す概略的な部分図である。
【
図6】微小機械部品の第6実施形態を示す概略的な部分図である。
【
図7】微小機械部品の第7実施形態を示す概略的な部分図である。
【
図8】微小機械部品のための製造方法の実施形態を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、微小機械部品の第1実施形態の概略図を示す。
【0019】
図1に概略的に再現した微小機械部品は少なくとも1つのホルダ10(例えばケーシング)、コイル担体12によって保持されたコイル巻線14、および変位可能な部材16を備える。コイル担体12と変位可能な部材16は互いに結合されている。さらに、コイル担体12と変位可能な部材16とは、少なくとも1つのばね要素18aおよび18bを介してホルダ10に結合されており、変位可能な部材16はホルダ10に対して少なくとも1つの回転軸線20を中心として変位可能である。
図1の実施形態では微小機械部品は、例えば変位可能な部材16として変位可能なミラープレート16を備える微小ミラーである。しかしながら、微小機械部品のこのような構成は例示的なものとしてのみ解釈されるべきであることに留意されたい。
【0020】
微小機械部品は、ホルダ10に堅固に配置または形成されたストッパ担体22も備える。ストッパ担体22がホルダ10に堅固に配置または形成されていることは、ホルダ1の重心(図示しない)に対するストッパ担体22の位置および状態が、微小機械部品の作動時に原則的に不変に(微小機械部品が損傷されることなしに)保持されることとして理解される。微小機械部品が損傷された場合にのみ、ホルダ10の重心に対するストッパ担体22の位置および状態は変更可能である。ストッパ担体22は、特にホルダ10の一部ということができる。
【0021】
ストッパ担体22は、コイル担体12によって少なくとも部分的に包囲されている。さらに、ストッパ担体22には、ストッパ担体22の平面から突出した少なくとも1つの第1ストッパ領域22が形成されている。少なくとも1つの第1ストッパ領域24によって、少なくとも1つの第1ストッパ領域24とコイル担体12との接触に基づいた少なくとも1方向への(例えば回転軸線20に対して平行に、または回転軸線20に対して垂直方向に)ホルダ10に対する少なくとも1つのコイル担体12の相対移動が制限されている。例えば、ホルダ10が(例えば微小機械部品が落下した場合に)衝撃を受けた場合には、少なくとも1つの第1ストッパ領域24とコイル担体12との接触がホルダ10に対する少なくともコイル担体12の相対移動を制限し、これにより、特に(ホルダ10に対する少なくともコイル担体12の大きすぎる相対移動に基づいて)少なくとも1つのばね要素18aおよび18bが過度に変形されることが防止されている。したがって、ホルダ10の衝突時の大きすぎる荷重に基づいて少なくとも1つのばね要素18aおよび18bが折れる恐れはない。
【0022】
したがって、ストッパ担体22に少なくとも1つの第1ストッパ領域24を形成することにより、特に
図1の微小機械部品のロバスト性、特に落下に対するロバスト性が高められる。したがって、
図1の微小機械部品は、作動時に多方面において使用することができる。微小機械部品の製造時には、ストッパ担体22に少なくとも1つの第1ストッパ領域24が形成されることにより高いロバスト性を備え、多くの製造プロセス、例えば出荷またはピックアンドプレースプロセスをリスクなしに実施することができる。
【0023】
好ましい実施形態として、ここに示した実施形態のホルダ10は(コイル巻線14を備える)コイル担体12、変位可能な部材16および/または、少なくとも1つの結合構成要素30を少なくとも部分的に包囲するフレーム26を含み、結合構成要素30によってコイル担体12が変位可能な部材16に結合されている。フレーム26には、フレーム26の内面から突出した少なくとも1つの第2ストッパ領域28が形成されている。少なくとも1つの第2ストッパ領域28によっても、コイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30と、少なくとも第2ストッパ領域28との接触に基づいた少なくとも1つの方向へのホルダ10に対する少なくともコイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30の相対移動が制限可能/制限されている。したがって、フレーム26の少なくとも1つの第2ストッパ領域28は、ホルダ10の衝突時もしくは微小機械部品の落下時に加速距離を短縮する。フレーム26に少なくとも1つの第2ストッパ領域28が形成されていることは、少なくとも1つのばね要素18aおよび18bに加えられる荷重の低減にも貢献する。
【0024】
図1の微小機械部品は、少なくとも1つの結合構成要素30としてU字形の部分フレーム30を備え、コイル担体12はこの部分フレームと一体的に形成されている。U字形の部分フレーム30は、変位可能な部材16が固定されたソケット領域32を包囲している。ソケット領域32は、回転軸線20に沿って延在する2つのウェブ要素34の間に(カルダン継手により)懸吊されている。ソケット領域32に向いていない両方のウェブ要素34のそれぞれの端部は、それぞれ2つのループ状ばね36を介してU字形の部分フレーム30に結合されている。例示的に、ループ状ばね36は回転軸線20に対して鏡面対称的に形成されている。さらに、回転軸線20の同じ側に位置する両方のループ状ばね36は、それぞれ1つの結合ウェブ38を介して互いに結合されている。しかしながら、
図1に概略的に再現した、U字形の部分フレーム30における変位可能な部材16の結合は例示的なものとしてのみ解釈されるべきであることに留意されたい。
【0025】
図1の微小機械部品に形成された少なくとも1つのばね要素18aおよび18bも例示的にのみ理解されるべきである。微小機械部品は、少なくとも1つのばね要素18aおよび18bとしてそれぞれ2つの第1ばね要素18aおよびそれぞれ2つの第2ばね要素18bを備え、これらのばね要素はそれぞれU字形の部分フレーム30とフレーム26とを結合する。第1ばね要素18aはそれぞれウェブ形状を有し、回転軸線20に対して平行に延在している。第1ばね要素18aは、それぞれ一端ではU字形の部分フレーム30の開放端で固定されており、それぞれ他端ではフレーム26の突出部で固定されている。第2ばね要素18bは角状ばねであり、それぞれコイル担体12を部分的に包囲している。第2ばね要素18bはそれぞれ一端ではU字形の部分フレーム30の、開放端に向いていない方の端部で固定されており、それぞれ他端ではフレーム26の(別の)突出部で固定されている。したがって、
図1の微小機械部品は比較的柔軟なばね要素18aおよび18bを備え、これらのばね要素を形成することにより、少なくとも1つの第2ストッパ領域28をフレーム26に構成するためにまだ十分な自由空間が提供される。これにより、微小機械部品は、十分な数の第2ストッパ領域28によって比較的簡単に形成することができる。さらに、コイル巻線14は、第2ばね要素18bにおいて案内された導体路40によってホルダ10に電気的に結合されている。
【0026】
図2は、微小機械部品の第2実施形態の概略図を示す。
【0027】
上記実施形態に対して好ましい実施形態として、
図2の微小機械部品においては、少なくとも1つの第1ストッパ領域24がストッパ担体22の弾性的/柔軟に変形可能な少なくとも1つの部分領域22aに形成されている。例示的に、これに対して少なくとも1つの分離溝42がストッパ担体22に構造化されており、これにより少なくとも1つの分離溝42によってストッパ担体22の残りの領域から「部分的に分離された」弾性変形可能な部分領域22aが残りの領域に対して弾性的/柔軟に押圧可能になっている。これは、少なくとも1つの第1ストッパ領域24の「ばね弾性的な設計」、「ばね格納」および/または「ばねサスペンション」と言い換えることもできる。少なくとも1つの第1ストッパ領域24はそれぞれ「ばね弾性的なストッパ領域」24と呼ぶことができる。コイル担体12が少なくとも1つの第1ストッパ領域24に対して強く押圧された場合には、弾性変形可能な少なくとも1つの対応する部分領域22aによって動的エネルギーを吸収することができる。したがって少なくとも1つの弾性変形可能な部分領域22aに少なくとも1つの第1ストッパ領域24を形成することにより、ホルダ10の衝突時または微小機械部品の落下時に微小機械部品の局所的な荷重が低減される。回転軸線20に対して平行に、もしくは回転軸線20に対して垂直方向に、または回転軸線20に対して0°〜90°の傾斜角で電子機械部品が加速された場合に、ストッパ担体22の弾性変形可能な部分領域22aは局所的な荷重を緩和するために貢献する。
【0028】
選択的な実施形態として、
図2の微小機械部品では、さらに少なくとも1つの第2ストッパ領域28がフレーム26の弾性的/柔軟に変形可能な部分領域26aに形成されている。少なくとも1つの分離溝44をフレーム26内に構造化することによって、このように弾性的/柔軟に変形可能な部分領域を形成することもできる。少なくとも1つの第2ストッパ領域28の「ばね弾性的な設計」、「ばね格納」および/または「ばねサスペンション」は、上記利点を増大する。ストッパ担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30を少なくとも1つの第2ストッパ領域28に対して(強度に)押圧した場合には、弾性変形可能な少なくとも1つの対応する部分領域26aの弾性変形によって動的エネルギーを吸収することができる。したがって、少なくとも1つの第2ストッパ領域28はそれぞれ「ばね弾性的なストッパ領域」28と呼ぶことができる。
【0029】
図3は、微小機械部品の第3実施形態の概略図を示す。
【0030】
図3に概略的に再現した微小機械部品は、
図2の実施形態の別の実施形態である。ストッパ担体22の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域22aの大きすぎる変形を防止するために、少なくとも1つの第1ストッパ領域24に隣接して少なくとも1つの第1ストッパ46が形成されており、この第1ストッパは、第1ストッパを包囲するストッパ担体22の平面から突出している。少なくとも1つの第1ストッパ46が第1ストッパ46を包囲するストッパ担体22の平面から突出する最大の高さは、隣接する第1ストッパ領域24の(第1ストッパ領域24が第1ストッパ領域24を包囲するストッパ担体22の面から突出する)最大の高さ未満である。したがって、少なくとも1つの第1ストッパ46を備える第1ストッパ領域24がコイル担体12の対応する接触領域に接触した場合には、動的エネルギーの一部が弾性変形可能な対応する部分領域22aの変形によって吸収されるが、しかしながら、対応する第1ストッパ46は、弾性変形可能な部分領域22aに大きすぎる荷重を防止する。これにより、弾性変形可能なそれぞれの部分領域22aが折れることが確実に防止されている。
【0031】
フレーム26の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域26aの大きすぎる変形は、少なくとも1つの第2ストッパ48によって抑制することができる。第2ストッパ48は、第2ストッパ48を包囲するフレーム26の内面から突出している。好ましくは、少なくとも1つの第2ストッパ48は、隣接する第2ストッパ領域28の(第2ストッパ領域28が第2ストッパ領域28を包囲するフレーム22の内面から突出する)最大の高さ未満の最大の高さだけ、第2ストッパ48を包囲するフレーム26の内面から突出している。これにより、少なくとも1つの第2ストッパ48は、フレーム26の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域26aが折れることを防止する。
【0032】
図4は、微小機械部品の第4実施形態の概略的な部分図を示す。
【0033】
図4に概略的に示すように、ストッパ担体22またはフレーム26の弾性変形可能なそれぞれの部分領域22aまたは26aの幅が、分離溝42または44の開口部44aを起点として指数関数的に増大しているように少なくとも1つの分離溝42または44を構造化してもよい。したがって、弾性変形可能な部分領域22aおよび26aからストッパ担体22またはフレーム26への移行部は湾曲して形成されている。これにより、弾性変形可能なそれぞれの部分領域22aまたは26aが弾性変形された場合に移行部に加えられる応力が減じられ、これにより、移行部が折れることが防止される。
【0034】
図4の微小機械部品の他の特徴に関しては上記実施形態を参照されたい。
【0035】
図5は、微小機械部品の第5実施形態の概略的な部分図を示す。
【0036】
図5に概略的に再現された実施形態では、少なくとも1つの第1ストッパ領域24を備えるストッパ担体22の(図示しない)弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域22aは、それぞれ1つの金属層を備える。しかしながら、
図5には(別の)金属層50のみが示されており、この金属層は、少なくとも1つの第2ストッパ領域28を備えるフレーム26の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域26aに設けられている。ストッパ担体22および/またはフレーム26の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域22aおよび26aのそれぞれの金属層50は、好ましくは、少なくとも1つの延性の金属(例えば銅および/またはアルミニウム)からなる。ストッパ担体22および/またはフレーム26の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域22aおよび26aのそれぞれの金属層50は、ストッパ担体22またはフレーム26の弾性変形可能なそれぞれの部分領域22aまたは26aの荷重を緩和するために貢献する。特に、ストッパ担体22および/またはフレーム26の弾性変形可能な少なくとも1つの部分領域22aおよび26aのそれぞれの金属層50は、弾性変形可能なそれぞれの部分領域22aまたは26aの(大きい荷重が加えられた場合にも)高周波振動を緩和する。これにより、それぞれの金属層50によって、特にそれぞれのストッパ領域24または28、ストッパ担体22および/またはフレーム26と、コイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30の対応する接触面との急激な衝突を防止することができ、これにより破断が阻止される。
【0037】
図5の微小機械部品の他の特徴に関しては上記実施形態を参照されたい。
【0038】
図6は、微小機械部品の第6実施形態の概略的な部分図を示す。
【0039】
図6の微小機械部品では、少なくとも1つの第1ストッパ領域24(図示しない)が凸状に成形されている。少なくとも1つの第2ストッパ領域28が凸状に成形されていることもわかる。
【0040】
好ましくは、少なくとも1つの凸状に成形された第1ストッパ領域24は、隣接する分離溝42の開口部に対して整列された側に強い湾曲形状を備え、同じ第1ストッパ領域24は、隣接する分離溝42の開口部に向いていない方の側に、弱い(平坦な)湾曲形状を備える。したがって、コイル担体12を備えるそれぞれの第1ストッパ領域24の接触面の面積Fは、それぞれの第1ストッパ領域24とコイル担体12とが接触した場合に、コイル担体12の変位の増大に伴って、もしくはストッパ担体22の弾性変形可能な対応する部分領域の変形の増大に伴って、増大する。これは、コイル担体12の変位が増大した場合にストッパ担体22の弾性変形可能な対応する部分領域が「密着すること」と換言することもできる。したがって、ストッパ担体22の弾性変形可能なそれぞれの部分領域22aの「柔軟な長さ」は、コイル担体12の変位が増大した場合に減少し、これにより、ストッパ担体22の弾性変形可能な対応する部分領域22aの変形に反作用するばね力が適切に増大する。これは、特に落下時の荷重が大きい場合には利点である。
【0041】
凸状に成形された少なくとも1つの第2ストッパ領域28は、隣接する分離溝44の開口部44aに対して整列された側に強い湾曲形状を備え、隣接する分離溝44の開口部44aに向いていない方の側の同じ第2ストッパ領域28は弱い(平坦な)湾曲形状を備える。少なくとも1つの第2ストッパ領域28のこのような構成は、落下時の荷重が大きい場合には好ましい。
【0042】
図7は、微小機械部品の第7実施形態の概略的な部分図を示す。
【0043】
図7の微小機械部品では、凸状に成形された少なくとも1つの第1ストッパ領域24に対して補足的に、コイル担体12の少なくとも1つの接触領域(図示しない)が少なくとも1つの第1ストッパ領域24に対応して凹状に成形されている。(コイル担体12の少なくとも1つの接触領域は、対応する第1ストッパ領域24がコイル担体12に接触した場合に、対応する第1ストッパ領域24に接触するコイル担体12の面部分として理解することができる。)したがって、それぞれの第1ストッパ領域24とコイル担体12とが接触した場合に、凸状に成形されたそれぞれの第1ストッパ領域24の接触面と、凹状に成形された対応する接触領域とが接触する面積Fは、比較的大きい。
【0044】
さらに、(凸状に成形された少なくとも1つの第2ストッパ領域28に合わせて)コイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30の少なくとも1つの接触領域52が少なくとも1つの第2ストッパ領域28に対応して凹状に成形されている。(コイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30の少なくとも1つの接触領域は、対応する第2ストッパ領域28と、コイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30との接触時に、対応する第2ストッパ領域28に接触するコイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30の面部分として理解することができる。)この場合にも、それぞれの第2ストッパ領域28と、コイル担体12、変位可能な部材16および/または少なくとも1つの結合構成要素30とが接触した場合に、凸状に成形されたそれぞれの第2ストッパ領域28の接触面と、凹状に成形された対応する接触領域52とが接触する面積Fは比較的大きい。
【0045】
接触面の面積の増大に基づいて、
図7の微小機械部品における局所的に制限された衝突接触の危険性が回避されている。したがって、接触した構成要素12,16,22,26および30が折れるか、または破断する危険性を恐れる必要はない。このことは、接触した構成要素12,16,22,26および30が比較的もろい材料、例えばケイ素から成形されている場合についてもいえる。
【0046】
上記全ての微小機械部品においては、構成要素12,18a、18b、22,24,26,28,30,32,34,36および38は半導体層から構造化されていてもよい。使用される半導体層は、担体基板(図示しない)を覆う絶縁層に形成されていてもよい。ホルダ10は、例えば、少なくともフレーム26および担体基板から形成されていてもよい。付加的に、ホルダ10は、フレーム26に固着されたキャップ/カバー(図示しない)を備えていてもよい。キャップ/カバーは一方側(ホルダ10/フレーム26の一方側のみ)または2つの側(ホルダ10/フレーム26の向かい合った2つの側)に固着されていてもよい。随意に、入射または出射する電磁波のためのキャップ/カバーは光学的な「窓」を備えていてもよい。しかしながら、フレーム26は他のケーシングまたはパッケージによって装置内に組み込まれていてもよい。
【0047】
上記微小機械部品は、好ましくは移動装置/機器において使用することができる。例えば、上記微小機械部品は、特にミラー偏向システムもしくは画像プロジェクタのための微小ミラー、または例えば回転センサもしくは加速度センサなどのセンサのために使用することもできる。
【0048】
上記全ての微小機械部品では、それぞれの変位可能な部材16はコイル巻線14を通電し、外部磁界を励起することによって、いわば静的または共振的に回転軸線20を中心として変位させることができる。例えば、このようにして光線またはレーザ光線を広範囲に偏向することができる。コイル巻線14を通電し、外部磁界を励起するための技術は従来技術により既知なので、これについてはここでは詳述しない。
【0049】
上記実施形態の特徴を互いに組み合わせることができることにも留意されたい。したがって、それぞれの微小機械部品は様々な実施形態の特徴を備えていてもよい。
【0050】
図8は、微小機械部品のための製造方法の実施形態を説明するためのフロー図である。
【0051】
ここで説明する製造方法は、例えば上記微小機械部品を製造するために構成することができる。しかしながら、製造方法を実施する可能性は上記微小機械部品の製造に制限されていないことに留意されたい。
【0052】
方法ステップS1では、コイル担体によって保持されたコイル巻線および変位可能な部材がホルダに配置され、コイル担体および変位可能な部材が互いに結合され、少なくとも1つのばね要素によってホルダに結合される。この場合、変位可能な部材がホルダに対して少なくとも1つの回転軸線を中心として変位可能であることが確保される。
【0053】
方法ステップS2では、ストッパ担体がホルダに堅固に配置または形成され、ストッパ担体は、ストッパ担体の平面から突出した少なくとも1つの第1ストッパ領域によって形成される。さらに、ストッパ担体はコイル担体によって少なくとも部分的に包囲され、少なくとも1つの突出した第1ストッパ領域を備えるストッパ担体によって、少なくとも1つの第1ストッパ領域とコイル担体との接触に基づいた少なくとも1方向へのホルダに対する少なくとも1つのコイル担体の相対移動が制限される。これにより、ここで説明した製造方法によっても上記利点が得られる。
【0054】
方法ステップS1およびS2は、任意の順序で、同時に、または時間的にオーバラップして実施してもよい。随意に、製造方法は方法ステップS3を備えていてもよい。ホルダの一部としてフレームが形成され、フレームは、コイル巻線を備えるコイル担体、変位可能な部材および/またはコイル担体と変位可能な部材とを結合する少なくとも1つの結合構成要素を少なくとも部分的に包囲し、フレームには、フレームの内面から突出した少なくとも1つの第2ストッパ領域が形成される。これにより、少なくとも1つの突出した第2ストッパ領域を備えるフレームによって、少なくとも1つの第2ストッパ領域とコイル担体、変位可能な部材および/または少なくとも1つの結合構成要素との接触に基づいた少なくとも1方向へのホルダに対する少なくともコイル担体、変位可能な部材および/または少なくとも1つの結合構成要素の相対移動が制限可能になる。
【0055】
少なくとも1つの第1および/または第2ストッパは、半導体層を構造化するために実施されるトレンチ形成方法によって簡単に形成することができる。このためには、担体基板(図示しない)を覆う絶縁層に形成された半導体層を使用してもよい。少なくとも1つの第1および/または第2ストッパは、微小機械部品の上記全ての実施形態の上記成形、「ばね弾性的な形成」および金属層によって形成することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 ホルダ
12 コイル担体
14 コイル巻線
16 部材、ミラープレート
18a,18b ばね要素
20 回転軸線
22 ストッパ担体
22a 部分領域
24 第1ストッパ領域
26 フレーム
26a 部分領域
28 第2ストッパ領域
30 結合構成要素
32 ソケット領域
34 ウェブ要素
38 結合ウェブ
40 導体路
42 分離溝
44 分離溝
44a 開口部
46 第1ストッパ
48 第2ストッパ
50 金属層
52 接触領域
F 面積
S1 方法ステップ
S2 方法ステップ
S3 方法ステップ