(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容液が収容される容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔、及び前記連通孔に連通し、且つ内容液を吐出する吐出孔が形成された筒状の中栓部材と、
前記中栓部材の内側に前記連通孔側に向けて移動可能に配設された塗布部材と、
前記中栓部材に対して前記塗布部材を前記吐出孔側に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記塗布部材は、先端部が前記吐出孔から外部に突出した待機位置から、前記先端部が前記待機位置よりも前記連通孔側に移動した吐出位置に向けて移動可能とされ、
前記中栓部材内には、前記連通孔と前記吐出孔との間に配置されると共に、前記連通孔及び前記吐出孔に連通する液室が形成され、
前記液室と前記連通孔との間には、前記塗布部材が前記待機位置に位置しているときに前記連通孔を通じた前記容器本体内から前記液室内への内容液の移動を許容し、且つ前記塗布部材が前記吐出位置に位置しているときに前記連通孔を通じた前記容器本体内から前記液室内への内容液の移動を前記待機位置のときよりも抑制する第1切換弁が配設され、
前記液室と前記吐出孔との間には、前記塗布部材が前記待機位置に位置しているときに前記液室内から前記吐出孔への内容液の移動を停止し、且つ前記塗布部材が前記吐出位置に位置しているときに前記液室内から前記吐出孔への内容液の移動を許容する第2切換弁が配設され、
前記塗布部材は、その先端部が前記吐出孔から外部に突出した第1塗布部と、前記第1塗布部よりも前記連通孔側に配設されると共にその一部が前記待機位置において前記連通孔の内側に配設される第2塗布部と、を備え、
前記付勢部材は、前記中栓部材に対して前記第2塗布部を前記吐出孔側に向けて付勢し、
前記第1切換弁は、前記第2塗布部を外側から囲むように前記中栓部材に形成され、前記第2塗布部の外周面の全周に亘って相対移動可能に密に接触する第1弁体と、前記第2塗布部の外周面に形成された第1流通溝と、を備え、
前記第1流通溝は、前記塗布部材が前記待機位置に位置しているときに前記容器本体内と前記液室内とを前記第1弁体を跨いで連通すると共に、前記塗布部材が前記吐出位置に位置しているときに前記第1弁体よりも前記連通孔側に配設される、塗布栓。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の塗布容器では、塗布体を被塗布部に対して押し付けて容器本体の内側に向けて移動させている間、弁機構部が開弁しているので、容器本体内から塗布体側に内容液が供給され続けてしまう。そのため、塗布体側に必要以上の内容液が供給され易く、被塗布部に対して適量の内容液を塗布することが難しい場合があった。従って、使用性が悪く、改善の余地があった。
特に、揮発性が高い内容液の場合には、例えば容器本体の内圧が上昇したときに、内圧上昇に起因して内容液が勢いよく吹き出てしまうおそれがあった。そのため、被塗布部に対してより一層適量の内容液を塗布することが難しくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被塗布部に対して適量の内容液を塗布することができ、使用性に優れた塗布栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る塗布栓は、内容液が収容される容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔、及び前記連通孔に連通し、且つ内容液を吐出する吐出孔が形成された筒状の中栓部材と、前記中栓部材の内側に前記連通孔側に向けて移動可能に配設された塗布部材と、前記中栓部材に対して前記塗布部材を前記吐出孔側に向けて付勢する付勢部材と、を備え、前記塗布部材は、先端部が前記吐出孔から外部に突出した待機位置から、前記先端部が前記待機位置よりも前記連通孔側に移動した吐出位置に向けて移動可能とされ、前記中栓部材内には、前記連通孔と前記吐出孔との間に配置されると共に、前記連通孔及び前記吐出孔に連通する液室が形成され、前記液室と前記連通孔との間には、前記塗布部材が前記待機位置に位置しているときに前記連通孔を通じた前記容器本体内から前記液室内への内容液の移動を許容し、且つ前記塗布部材が前記吐出位置に位置しているときに前記連通孔を通じた前記容器本体内から前記液室内への内容液の移動を前記待機位置のときよりも抑制する第1切換弁が配設され、前記液室と前記吐出孔との間には、前記塗布部材が前記待機位置に位置しているときに前記液室内から前記吐出孔への内容液の移動を停止し、且つ前記塗布部材が前記吐出位置に位置しているときに前記液室内から前記吐出孔への内容液の移動を許容する第2切換弁が配設され
、前記塗布部材は、その先端部が前記吐出孔から外部に突出した第1塗布部と、前記第1塗布部よりも前記連通孔側に配設されると共にその一部が前記待機位置において前記連通孔の内側に配設される第2塗布部と、を備え、前記付勢部材は、前記中栓部材に対して前記第2塗布部を前記吐出孔側に向けて付勢し、前記第1切換弁は、前記第2塗布部を外側から囲むように前記中栓部材に形成され、前記第2塗布部の外周面の全周に亘って相対移動可能に密に接触する第1弁体と、前記第2塗布部の外周面に形成された第1流通溝と、を備え、前記第1流通溝は、前記塗布部材が前記待機位置に位置しているときに前記容器本体内と前記液室内とを前記第1弁体を跨いで連通すると共に、前記塗布部材が前記吐出位置に位置しているときに前記第1弁体よりも前記連通孔側に配設される。
【0007】
本発明に係る塗布栓によれば、内容液を塗布するにあたって、塗布部材が待機位置に位置している状態で塗布部材の先端部が下向きになるように容器本体の姿勢を変化させると、第1切換弁が容器本体内から液室内への内容液の移動を許容し、且つ第2切換弁が液室内から吐出孔への内容液の移動を停止しているので、容器本体内の内容液を、連通孔を通じて液室内に流入させることができる。続いて、この状態から付勢部材の付勢力に抗して塗布部材の先端部を被塗布部に押し付けることで、塗布部材を中栓部材に対して連通孔側に向けて相対移動させることができる。これにより、塗布部材を待機位置から吐出位置に移動させることができるので、第1切換弁が容器本体内から液室内への内容液の移動を待機位置のときよりも抑制し、且つ第2切換弁が液室内から吐出孔への内容液の移動を許容する。そのため、連通孔を通じた容器本体内から液室内への内容液の流入を抑制しながら、液室内に溜まった内容液を吐出孔側に供給することができる。従って、吐出孔から吐出した内容液を、塗布部材の先端部を利用して被塗布部に塗布することができる。
【0008】
特に、内容液の塗布時、第1切換弁が連通孔を通じた容器本体内から液室内への内容液の移動を待機位置のときよりも抑制しているので、例えば液室内に流入する内容液の流入量を僅かに抑える、或いは内容液の流入を停止させることができる。従って、液室内に溜まった量以上の内容液を吐出し難くすることができ、被塗布部に対して適量の内容液を塗布することができる。従って、使用性に優れた塗布栓とすることができる。
また、揮発性が高い内容液を利用した場合において、例えば容器本体の内圧が上昇したとしても、内容液の塗布時に第1切換弁が容器本体内から液室内への内容液の移動を抑制するので、容器本体の内圧上昇に起因して内容液が液室内に勢いよく流入してしまうことを防止することができる。従って、従来のように内容液が吐出孔から勢いよく吹き出てしまうといった不都合が生じ難い。
【0009】
なお、被塗布部に対する塗布部材の押し付けを解除すると、付勢部材の付勢力によって塗布部材を吐出位置から待機位置に復帰させることができるので、第1切換弁が容器本体内から液室内への内容液の移動を許容し、且つ第2切換弁が液室内から吐出孔への内容液の移動を停止する。そのため、連通孔を通じて容器本体内から液室内に新たに内容液を流入させることができ、その後に塗布部材の先端部を被塗布部に再び押し付けることで、液室内に溜まった内容液を、塗布部材の先端部を利用して被塗布部に塗布することができる。従って、被塗布部に対する塗布部材の押し付けを繰り返すことで、その都度、適量の内容液を吐出孔から吐出させながら、塗布部材の先端部を利用して被塗布部に連続的に内容液を塗布することが可能となる。そのため、例えば被塗布部に応じた適切な量の内容液を調整しながら塗布することができ、使用性をさらに高めることができる。
さらに、塗布部材が待機位置に位置している場合には、第2切換弁が液室内から吐出孔への内容液の移動を停止しているので、例えば商品流通時や未使用時等、意図せずに吐出孔から内容液が漏出してしまうことを効果的に抑制することができる。
【0011】
さらに、付勢部材が第2塗布部を付勢することで、塗布部材の全体を吐出孔側に向けて付勢することができるので、第1塗布部に付勢部材の付勢力が直接的に作用することを防止できる。そのため、第1塗布部と第2塗布部とを異なる材質で構成することができ、例えば第1塗布部を、スポンジ等の多孔質材料や繊維体等、剛性の低い軟材質からなる含浸材で形成し、第2塗布部を一般的な合成樹脂で形成したとしても好適に利用することが可能となる。従って、第1塗布部の材質を、例えば内容液の種類や用途等に応じて任意に選択することができ、最適な材質を使用して内容液のスムーズな塗布に繋げることができる。なお、第1塗布部と第2塗布部とを同材質で一体に形成したり、異材質のインサート成形等で一体化させたりしてもよい。
【0013】
さらに、塗布部材が待機位置に位置しているときに、第1流通溝及び連通孔を通じて、容器本体内と液室内とを連通させることができるので、容器本体内から液室内に内容液を確実に移動させることができる。また、第1流通溝は塗布部材に伴って移動し、塗布部材が吐出位置に位置したときに第1弁体より連通孔側に配設されるので、第1弁体を利用して連通孔を通じた容器本体内と液室内との連通を遮断することができる。これにより、容器本体内から液室内への内容液の移動自体を停止することができる。
特に、塗布部材が吐出位置に位置しているときに、第2塗布部の全周に亘って第1弁体を均等且つ密に接触させることができるので、高いシール性で連通孔を通じた容器本体内と液室内との連通を遮断できる。また、塗布部材に伴って第1流通溝が移動することで、連通孔を通じた容器本体内と液室内との連通及びその遮断をスムーズに切換えることができるので、塗布部材の押し付け動作に対応して、反応良く内容液を吐出孔から吐出させ易い。
【0014】
(
2)前記第2切換弁は、前記第2塗布部を外側から囲むように前記中栓部材に形成され、前記第2塗布部の外周面の全周に亘って相対移動可能に密に接触する第2弁体と、前記第2塗布部の外周面に形成された第2流通溝と、を備え、前記第2流通溝は、前記塗布部材が前記吐出位置に位置しているときに前記液室内と前記吐出孔とを前記第2弁体を跨いで連通すると共に、前記塗布部材が前記待機位置に位置しているときに前記第2弁体よりも前記吐出孔側に配設されても良い。
【0015】
この場合には、塗布部材が吐出位置に位置しているときに、第2流通溝を通じて液室内と吐出孔とを連通させることができるので、液室内から吐出孔に内容液を確実に移動させることができる。また、第2流通溝は塗布部材に伴って移動し、塗布部材が待機位置に位置したときに第2弁体より吐出孔側に配設されるので、第2弁体を利用して液室内と吐出孔との連通を遮断することができる。従って、液室内から吐出孔への内容液の移動を停止することができる。
特に、塗布部材が待機位置に位置しているときに、第2塗布部の全周に亘って第2弁体を均等且つ密に接触させることができるので、高いシール性で液室内と吐出孔との連通を遮断できる。また、塗布部材に伴って第2流通溝が移動することで、第2流通溝を通じた液室内と吐出孔との連通及びその遮断をスムーズに切換えることができるので、塗布部材の押し付け動作に対応して、反応良く内容液を吐出孔から吐出させ易い。
【0016】
(
3)前記塗布部材は、前記待機位置から、前記先端部が前記待機位置よりも前記連通孔側で、且つ前記吐出位置よりも前記吐出孔側に移動した停止位置を経由して、前記吐出位置に向けて移動可能とされ、前記第1切換弁は、前記塗布部材が前記停止位置に位置しているときに前記連通孔を通じた前記容器本体内から前記液室内への内容液の移動を停止し、前記第2切換弁は、前記塗布部材が前記停止位置に位置しているときに前記液室内から前記吐出孔への内容液の移動を停止しても良い。
【0017】
この場合には、内容液を塗布する際に、塗布部材を待機位置から停止位置に移動させた後に吐出位置に移動させるので、第2切換弁が液室内から吐出孔への内容液の移動を許容する前に、第1切換弁及び第2切換弁の両方を利用して、連通孔を通じた容器本体内から液室内への内容液の移動を停止することができると共に、液室内から吐出孔への内容液の移動を停止することができる。そのため、塗布部材が待機位置から吐出位置に移動する過程で、例えば瞬間的に液室内が吐出孔及び容器本体内の両方に連通してしまうといったことを確実に防止できる。従って、待機位置において液室内に流入した内容液を、停止位置で液室内に確実にストックすることができ、その後に塗布部材が吐出位置に位置することで、ストックした液室内の内容液を吐出孔から吐出することができる。
従って、被塗布部に対して適量の内容液をより確実に塗布することができ、さらに使用性の優れた塗布栓とすることができる。
【0018】
(
4)前記塗布部材は、少なくとも前記先端部が内容液を含浸可能な含浸材で形成されても良い。
【0019】
この場合には、塗布部材の少なくとも先端部が含浸材で形成されているので、吐出孔から吐出された内容液を塗布部材の先端部に含浸させることができる。従って、塗布部材の先端部から内容液を染み出させながら、徐々に塗り広げるように塗布することができる。そのため、例えば被塗布部上に内容液が直ちに広がり出ることを抑制することができ、被塗布部の所望する領域に精度良く内容液を塗布することができると共に、内容液の塗布量を任意に調整し易い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被塗布部に対して適量の内容液を塗布することができ、使用性に優れた塗布栓を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る塗布栓の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の塗布容器1は、被塗布部S(
図4及び
図5参照)に塗布する内容液が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部3に装着された塗布栓4と、容器本体2の口部3に離脱可能に装着され、塗布栓4を覆う有頂筒状のオーバーキャップ5と、を備えている。
【0023】
図1において、容器本体2及びオーバーキャップ5は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿うオーバーキャップ5側を上方、その反対側(容器本体2側)を下方という。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
なお、内容液としては特に限定されるものではないが、例えば人体の頭皮、皮膚、爪等に塗布する育毛剤、水虫薬等の薬剤、化粧料等の液体が挙げられる。また、内容液は、人体用に限定されるものではなく、人体以外に塗布する液体でも構わない。
【0024】
図1及び
図2に示すように、塗布栓4は、容器本体2の口部3に装着されると共に、容器本体2内に連通する連通孔10、及び連通孔10に連通し、且つ内容液を吐出する吐出孔11が形成された筒状の中栓部材12と、中栓部材12の内側に、上端部(先端部)40aが吐出孔11から上方に突出した状態で下方に向けて(連通孔10側に向けて)移動可能に配設された塗布部材13と、塗布部材13を上方に向けて(吐出孔11側に向けて)付勢するコイルばね(付勢部材)14と、を備えている。
【0025】
中栓部材12は、吐出孔11が形成された第1中栓部材20、及び連通孔10が形成された第2中栓部材30を備え、これら第1中栓部材20及び第2中栓部材30が組み合わされることで構成されている。
【0026】
第1中栓部材20は、容器本体2の口部3の内側に密に嵌合された第1シール筒部21と、第1シール筒部21の上端部から径方向外側に向かって突出した環状のフランジ部22と、第1シール筒部21の上端部から上方に向かって延びた収容筒部23と、収容筒部23の下端部から径方向内側に向けて突出した環状のストッパ壁24と、ストッパ壁24の内周縁部の下面から下方に向けて延びた弁筒部25と、を備えている。
第1中栓部材20は、例えば第1シール筒部21、フランジ部22、収容筒部23、ストッパ壁24及び弁筒部25が一体成形された合成樹脂製とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0027】
フランジ部22は、容器本体2の口部3の上端開口縁上に配置されている。これにより、第1中栓部材20は、その下部が容器本体2の口部3の内側に配設された状態で口部3に装着されている。なお、第1シール筒部21が容器本体2の口部3の内側に密に嵌合されているので、第1シール筒部21の外周面と口部3の内周面との間には高いシール性が確保されている。
【0028】
収容筒部23は、第1シール筒部21の上端部から上方に向けて延びると共に、上方に向かうにしたがって外径が漸次縮径したテーパ筒部23aと、テーパ筒部23aの上端部からさらに上方に向けて延びた直筒部23bと、を備えている。
ただし、収容筒部23の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えば収容筒部23の全長に亘って、下方から上方に向かうに従って外径が漸次縮径する形状でも構わないし、収容筒部23の全長に亘って外径が変化しないストレート形状でも構わない。
【0029】
テーパ筒部23aは、例えば上下方向の長さが第1シール筒部21と同等の長さとなるように形成されていると共に、その内径は第1シール筒部21の内径よりも小さく形成されている。従って、テーパ筒部23aは第1シール筒部21よりも径方向内側に突出した状態で、第1シール筒部21の上端部から上方に向けて延びている。
直筒部23bは、その外径及び内径が全長に亘って変化しないストレート状に形成され、その内径はテーパ筒部23aの内径と同径とされていると共に、その内周面はテーパ筒部23aの内周面と段差なく上下方向に連なっている。直筒部23bにおける上端開口部が吐出孔11とされている。
【0030】
弁筒部25は、ストッパ壁24の内周縁部からフランジ部22よりも僅かに下方に延びるように形成され、後述する塗布部材13の第2塗布部41の上軸部45を径方向外側から囲む筒状に形成されている。なお、第2塗布部41は、弁筒部25の内側に下方移動可能に配設されている。
弁筒部25の内周面には、径方向内側に向けて僅かに突出すると共に、第2塗布部41の上軸部45の外周面に対して、その全周に亘って上下方向に相対移動可能に密に接触する環状のシール突起(第2弁体)26が形成されている。なお、弁筒部25のうちシール突起26よりも下方に位置する部分の内周面は、下方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて傾斜する傾斜面25aとされている。
【0031】
収容筒部23内には、後述する塗布部材13の第1塗布部40が下方移動可能に収容されている。収容筒部23の内周面(すなわちテーパ筒部23aの内周面及び直筒部23bの内周面)には、径方向内側に向かって僅かに突出すると共に、上下方向に沿って延びる縦長のガイドリブ27が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
図示の例では、ガイドリブ27の上端部は収容筒部23の上端開口縁よりも下方に位置し、ガイドリブ27の下端部はストッパ壁24に対して一体に形成されている。
【0032】
なお、第1塗布部40は、ガイドリブ27によって径方向外側から支持された状態で下方移動可能にガイドされている。また、周方向に隣り合うガイドリブ27同士の間に形成される隙間、及び収容筒部23と第1塗布部40との間に画成される隙間のうちガイドリブ27よりも上方に位置する環状の隙間は、内容液が流通する液通路として機能する。
【0033】
テーパ筒部23aのうち最も厚肉に形成された下端部側には、下方に向けて開口する環状凹部28が形成されている。環状凹部28内には、規制リブ29が環状凹部28内を周方向に仕切るように、周方向に間隔をあけて複数形成されている。規制リブ29は、環状凹部28を越えて下方に向けて延び、弁筒部25よりも僅かに下方に突出するように形成されている。
【0034】
規制リブ29の下端縁には、後述する塗布部材13の規制片47が下方から接触している。これにより、規制リブ29は、塗布部材13のそれ以上の上方移動を規制することが可能とされ、塗布部材13の最上昇位置を規定する役割を果たしている。
なお、上述したストッパ壁24の上面には、塗布部材13における第1塗布部40が上方から接触可能とされている(
図4参照)。これにより、ストッパ壁24は、塗布部材13のそれ以上の下方移動を規制することが可能とされ、塗布部材13の最下降位置を規定する役割を果たしている。
【0035】
図2に示すように、第2中栓部材30は、第1シール筒部21の下端開口縁に対して下方から接触する環状のフランジ部31と、フランジ部31から上方に向けて延びると共に第1シール筒部21の内側に下方から密に嵌合された第2シール筒部32と、フランジ部31の内周縁部から上方に向けて延びると共に、第2シール筒部32との間に隙間をあけた状態で第2シール筒部32よりも径方向内側に配置された内筒部33と、内筒部33の上端部から上方に向けて延びた弁筒部34と、を備えている。
【0036】
第2中栓部材30は、例えばフランジ部31、第2シール筒部32、内筒部33及び弁筒部34が一体成形された合成樹脂製とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。そして、第2中栓部材30は、第2シール筒部32が第1シール筒部21の内側に嵌合されていることで、第1中栓部材20に対して下方から組み合わされている。
【0037】
内筒部33は、その上端部が第2シール筒部32の上端部よりも下方に位置するように形成されている。内筒部33の内側が連通孔10とされている。なお、内筒部33における下端部側の内周面は、下方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて傾斜する傾斜面33aとされている。
【0038】
弁筒部34は、第2シール筒部32よりも上方に突出しない程度の長さで上方に延びるように形成され、塗布部材13における後述する第2塗布部41の下軸部46を径方向外側から囲む筒状に形成されている。なお、第2塗布部41は、弁筒部34の内側に下方移動可能に配設されている。
弁筒部34の内周面には、径方向内側に向けて僅かに突出すると共に、第2塗布部41における下軸部46の外周面に対して、その全周に亘って上下方向に相対移動可能に密に接触する環状のシール突起(第1弁体)35が形成されている。
なお、弁筒部34のうちシール突起35よりも上方に位置する部分の内周面は、上方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて傾斜する傾斜面34aとされている。
【0039】
上述のように構成された中栓部材12の内部空間のうち、第1中栓部材20のストッパ壁24及び弁筒部25と、第2中栓部材30との間に画成された空間は、容器本体2内からの内容液を貯留する液室6として機能する。
【0040】
塗布部材13は、その上端部40aが吐出孔11から上方に突出した状態で、収容筒部23内に下方移動可能に配設された第1塗布部40と、第1塗布部40よりも下方に配置され、第1中栓部材20における弁筒部25内及び第2中栓部材30における弁筒部34内に下方移動可能に配設された第2塗布部41と、備え、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0041】
塗布部材13は、第1塗布部40の上端部40aが吐出孔11から上方に最も突出した待機位置P1から、第1塗布部40の上端部40aが待機位置P1よりも下方に移動した
図3に示す停止位置P3を経由して、第1塗布部40の上端部40aが停止位置P3よりもさらに下方に移動した
図4に示す吐出位置P2に向けて移動可能とされている。
なお、待機位置P1とは、
図2に示すように後述する規制片47が規制リブ29に対して下方から接触した塗布部材13の最上昇位置に相当し、吐出位置P2とは、
図4に示すように第1塗布部40の下端面がストッパ壁24に対して上方から接触した塗布部材13の最下降位置に相当する。さらに、停止位置P3とは、第1塗布部40の上端部40aが待機位置P1よりも下方に位置し、且つ吐出位置P2よりも上方に位置する塗布部材13の位置であって、
図3に示すように、連通孔10を通じた液室6内と容器本体2内との連通、及び液室6内と吐出孔11との連通の両方が遮断された状態にある塗布部材13の位置である。
【0042】
図2に示すように、第1塗布部40は、容器軸Oと同軸に配設された円柱状に形成され、ガイドリブ27にガイドされた状態で収容筒部23内に配設されている。先に述べたように第1塗布部40の上端部40aは、収容筒部23の吐出孔11よりも上方に突出していると共に、上方に向けてドーム状(半球状)に膨らんだ形状とされている。
ただし、第1塗布部40の上端部40aの形状は、この場合に限定されるものではなく、被塗布部Sや用途等に応じて適宜変更して構わない。さらに、第1塗布部40全体の形状を円柱状としたが、その形状は円柱状に限定されるものではなく、被塗布部Sや用途等に応じて適宜変更して構わない。
【0043】
第1塗布部40の下端面は、第2塗布部41における後述する上軸部45の上端面に対して上方から接触している。つまり、第1塗布部40は、第2塗布部41に対して重なった状態で収容筒部23内に配置されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば第1塗布部40の内側に第2塗布部41を下方から差し込むように連結することで、第1塗布部40と第2塗布部41とを一体に組み合わせても良い。
【0044】
第1塗布部40は、その下端面とストッパ壁24との間に上下方向に隙間H1が確保されるように、第2塗布部41に対して重なっている。従って、第1塗布部40は、この隙間H1分(ストローク分)だけ下方移動可能とされ、
図4に示すように、第1塗布部40の下端面がストッパ壁24に上方から接触した時点で、それ以上の第1塗布部40の下方移動が規制される。これによって、塗布部材13の全体は、最下降位置である吐出位置P2に位置した状態となる。
【0045】
なお、
図2に示すように、収容筒部23に対する第1塗布部40の上端部40aの上方への突出量H2は、上記隙間H1よりも大きい。そのため、
図4に示すように、塗布部材13が吐出位置P2に移動した場合であっても、第1塗布部40の上端部40aは吐出孔11よりも上方に突出した状態を維持している。
【0046】
図2に示すように、第2塗布部41は、外径が上下方向で段階的に変化する2段軸状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。第2塗布部41は、第1中栓部材20における弁筒部25内に配設された上軸部45と、上軸部45の下端部から下方に向けて延びると共に上軸部45よりも外径が小さく形成され、第2中栓部材30における弁筒部34内及び連通孔10内に配設された下軸部46と、を備えている。
【0047】
上軸部45は、第1中栓部材20におけるストッパ壁24よりも上記隙間H1分だけ上方に突出するように延びていると共に、規制リブ29よりも下方に突出するように延びている。上軸部45の上端面は、収容筒部23内に位置していると共に、第1塗布部40の下端面に対して下方から接触している。先に述べたように、上軸部45の外周面には第1中栓部材20における弁筒部25がシール突起26を介して上下方向に相対移動可能に密に接触している。そのため、上軸部45の外周面とシール突起26との間には、高いシール性が確保されている。
【0048】
下軸部46は、第2中栓部材30よりも下方に突出しない程度の長さで上軸部45から下方に向けて延びている。先に述べたように、下軸部46の外周面には第2中栓部材30における弁筒部34がシール突起35を介して上下方向に相対移動可能に密に接触している。そのため、下軸部46の外周面とシール突起35との間には、高いシール性が確保されている。
【0049】
上軸部45の下端部には、径方向外側に向けて突出した規制片47が周方向に間隔をあけて複数形成されている。規制片47は、例えば周方向に延びる平面視円弧状に形成され、液室6内に配設された状態で規制リブ29に対して下方から接触している。なお、規制片47の外周縁部は、第1シール筒部21の内周面に対して非接触とされている。また、周方向に隣接する規制片47同士の間を通じて内容液を流通させることが可能となる。
【0050】
規制片47には、下方に向けて延びる保持壁48が形成されている。保持壁48は、例えば周方向に沿って延びる平面視円弧状に形成され、その外径は第2中栓部材30における内筒部33の外径と同径とされている。そして、規制片47と第2中栓部材30との間にコイルばね14が配設されている。
【0051】
コイルばね14は、上下方向に圧縮した状態で規制片47と第2中栓部材30におけるフランジ部31との間に配設され、その上端部は保持壁48の外側に嵌合され、その下端部は第2中栓部材30における内筒部33の外側に嵌合されている。これにより、コイルばね14は、規制片47と第2中栓部材30との間に安定に保持された状態で、中栓部材12に対して第2塗布部41を上方に向けて付勢している。
【0052】
従って、塗布部材13の全体は、コイルばね14によって上方付勢された状態でコイルばね14によって下方から支持されている。そして、規制片47が規制リブ29に対して下方から接触することで、塗布部材13の全体はそれ以上の上方移動が規制され、最上昇位置である待機位置P1に位置決めされている。
【0053】
第2塗布部41における下軸部46の外周面には、径方向内側に向かって凹むと共に、上下方向に沿って延びる縦長の流通溝(第1流通溝)50が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
流通溝50は、下方に向けて開口したスリット状に形成され、下軸部46の下端部から第2中栓部材30における弁筒部34よりも上方に位置する部分に亘って形成されている。これにより、流通溝50は、塗布部材13が待機位置P1に位置しているときに、容器本体2内と液室6内とを弁筒部34のシール突起35を跨いで連通させている。
なお、流通溝50は、塗布部材13の押込みに応じて下方移動し、
図3に示すように、塗布部材13が停止位置P3に位置したときに弁筒部34のシール突起35よりも僅かに下方に位置し、その後、
図4に示すように、塗布部材13が吐出位置P2に位置したときに弁筒部34のシール突起35よりもさらに下方に位置する。
【0054】
上述した流通溝50及び第2中栓部材30におけるシール突起35は、塗布部材13が、
図2に示す待機位置P1に位置しているときに連通孔10を通じた容器本体2内と液室6内との連通を許容し、且つ塗布部材13が、
図3に示す停止位置P3及び
図4に示す吐出位置P2に位置しているときに連通孔10を通じた容器本体2内と液室6内との連通を遮断する第1切換弁51を構成する。
つまり、第1切換弁51は、塗布部材13が、
図2に示す待機位置P1に位置しているときに連通孔10を通じた容器本体2内から液室6内への内容液の移動を許容し、且つ塗布部材13が、
図3に示す停止位置P3及び
図4に示す吐出位置P2に位置しているときに連通孔10を通じた容器本体2内から液室6内への内容液の移動を停止する。
【0055】
図2に示すように、第2塗布部41における上軸部45の外周面には、径方向内側に向かって凹むと共に、上下方向に沿って延びる縦長の流通溝(第2流通溝)55が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
流通溝55は、上軸部45の上端面に開口したスリット状に形成され、上軸部45の上端面から第1中栓部材20における弁筒部25よりも上方に位置する部分に亘って形成されている。これにより、流通溝55は、
図2に示すように塗布部材13が待機位置P1に位置しているときに、弁筒部25のシール突起26よりも上方に位置している。
【0056】
なお、流通溝55は、塗布部材13の押込みに応じて下方移動し、塗布部材13が
図3に示す停止位置P3を経由して、
図4に示す吐出位置P2に位置したときに、その一部が弁筒部25のシール突起26よりも下方に位置する。これにより、流通溝55は液室6内と吐出孔11に連通する収容筒部23内とを弁筒部25のシール突起26を跨いで連通させることが可能とされている。
なお、流通溝55は、
図3に示すように、塗布部材13が停止位置P3に位置している場合には、弁筒部25のシール突起26よりも上方に位置している。
【0057】
上述した流通溝55及び第1中栓部材20におけるシール突起26は、塗布部材13が、
図2に示す待機位置P1及び
図3に示す停止位置P3に位置しているときに液室6内と吐出孔11との連通を遮断し、且つ塗布部材13が、
図4に示す吐出位置P2に位置しているときに液室6内と吐出孔11との連通を許容する第2切換弁56を構成する。
つまり、第2切換弁56は、塗布部材13が、
図2に示す待機位置P1及び
図3に示す停止位置P3に位置しているときに液室6内から吐出孔11への内容液の移動を停止し、且つ塗布部材13が、
図4に示す吐出位置P2に位置しているときに液室6内から吐出孔11への内容液の移動を許容する。
【0058】
上述のように構成された塗布部材13のうち、第1塗布部40は内容液を含浸可能な含浸材で形成されている。なお、第2塗布部41は、例えば上軸部45、下軸部46、規制片47及び保持壁48が一体成形された合成樹脂製とされている。
【0059】
含浸材としては、例えばスポンジ等の多孔質材料や、合成繊維が樹脂溶液によって固化され、毛細管現象を利用して内容液を含浸させることが可能な繊維体等が挙げられる。ただし、含浸材は、これらの場合に限定されるものではなく、内容液を含浸できれば各種の材料を選択して構わない。
【0060】
なお、上記繊維体を含浸材として採用する場合には、例えば数μ〜数十μの繊維径を有する合成繊維(例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維やアクリル繊維等)を複数束ねた状態で、樹脂溶液を利用して束状の合成繊維を固化させれば良い。その際、気孔率(固体部分である合成繊維と気孔(空隙)との容積比率或いは体積比率)が例えば40%〜80%程度の範囲内に収まるように合成繊維の密度を調整すれば良い。これにより、毛細管現象を利用して内容液を適切に含浸させることが可能となる。なお、上記樹脂溶液としては例えばポリウレタン樹脂を溶液化したものを利用できる。
【0061】
図1及び
図2に示すように、オーバーキャップ5は、容器本体2の口部3及び塗布栓4を径方向外側から囲むキャップ筒60と、キャップ筒60の上端開口部を塞ぐキャップ天壁61と、を備えた有頂筒状に形成されている。
【0062】
キャップ筒60のうち、容器本体2の口部3を囲む部分の内周面には、容器本体2の口部3に形成された第1ねじ部62(例えば雄ねじ部)に螺着される第2ねじ部63(例えば雌ねじ部)が形成されている。これにより、オーバーキャップ5は、第1ねじ部62に対する第2ねじ部63の螺着によって容器本体2の口部3に離脱自在に装着されている。
ただし、オーバーキャップ5の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えば容器本体2の口部3に対するアンダーカット嵌合によって装着しても構わない。
【0063】
キャップ天壁61には、下方に向けて延びると共に、収容筒部23における直筒部23bの外周面に対して離脱可能に嵌合するサポート筒部64が形成されている。サポート筒部64は、容器軸O回りに回転可能に直筒部23bに対して密に嵌合され、吐出孔11を上方から塞いでシールしている。
なお、サポート筒部64が容器軸O回りに回転可能に嵌合されているので、容器本体2の口部3に対するオーバーキャップ5の装着及び取り外し操作を安定して行うことが可能とされている。
【0064】
(塗布容器の使用)
次に、上述のように構成された塗布栓4を具備する塗布容器1を利用して、被塗布部Sに内容液を塗布する場合について説明する。
【0065】
内容液を塗布する場合には、オーバーキャップ5を容器本体2の口部3から取り外した後、
図5に示すように、塗布部材13が待機位置P1に位置している状態で塗布部材13の上端部40aが下向きとなるように容器本体2の姿勢を変化させる。
なお、
図5では指先の爪を被塗布部Sとしている場合を例に挙げている。この場合の内容液としては、爪水虫用の水虫薬を利用できる。
【0066】
塗布部材13の上端部40aを下向きとすることで、容器本体2内の内容液を塗布栓4側に移動させることができる。このとき塗布部材13が待機位置P1に位置しているので、第1切換弁51は開弁し、且つ第2切換弁56は閉弁している。
つまり、流通溝50が、連通孔10を通じた容器本体2内と液室6内との連通を許容しているので、容器本体2内から液室6内への内容液の移動を許容することができる。また、流通溝55がシール突起26よりも吐出孔11側に位置しているので、シール突起26が流通溝55を通じた液室6内と吐出孔11との連通を遮断し、液室6内から吐出孔11への内容液の移動を停止することができる。従って、容器本体2内の内容液を、連通孔10及び流通溝50を通じて液室6内に流入させることができる。
【0067】
なお、第2中栓部材30における内筒部33に傾斜面33aが形成されているので、傾斜面33aを利用して内容液を容器本体2内から流通溝50内にスムーズに流れ易くすることができ、流通溝50内への内容液の流入を促すことができる。また、第2中栓部材30における弁筒部34に傾斜面34aが形成されているので、傾斜面34aを利用して流通溝50内から液室6内に内容液をスムーズに流れ易くすることができ、液室6内への内容液の流入(つまり、流通溝50内からの内容液の排出)を促すことができる。
【0068】
続いて、
図6に示すように、コイルばね14の付勢力(弾性復元力)に抗して塗布部材13の上端部40aを被塗布部Sに押し付ける。これにより、塗布部材13を中栓部材12に対して連通孔10側、すなわち容器本体2の内側に向けて移動させることができ、待機位置P1から停止位置P3に移動させることができる。さらに、被塗布部Sに対する塗布部材13の上端部40aの押し付けを進めることで、
図7に示すように第1塗布部40の下面をストッパ壁24に接触させることができ、塗布部材13を停止位置P3から吐出位置P2に移動させることができる。これにより、第1切換弁51を閉弁させ、且つ第2切換弁56を開弁させることができる。
【0069】
つまり、流通溝50がシール突起35よりも連通孔10側に移動するので、シール突起35が流通溝50を通じた容器本体2内と液室6内との連通を遮断し、容器本体2内から液室6内への内容液の移動を停止することができる。また、流通溝55の一部がシール突起26よりも連通孔10側に移動するので、流通溝55を通じて液室6内と吐出孔11との連通を許容することができ、液室6内から吐出孔11への内容液の移動を許容することができる。
【0070】
従って、連通孔10を通じた容器本体2内から液室6内への内容液の流入を規制しながら、液室6内に溜まった内容液を、流通溝55を通じて吐出孔11側に供給することができる。なお、第1中栓部材20における弁筒部25に傾斜面25aが形成されているので、傾斜面25aを利用して内容液を液室6内から流通溝55内にスムーズに流れ易くすることができ、流通溝55内への内容液の流入を促して、積極的に吐出孔11側に供給することができる。
これにより、吐出孔11から吐出した内容液を、塗布部材13の上端部40aを介して被塗布部Sに塗布することができる。
【0071】
特に、内容液の塗布時、第1切換弁51を閉弁させて連通孔10を通じた容器本体2内から液室6内への内容液の流入を規制しているので、液室6内に溜まった量以上の内容液を吐出してしまうことがない。従って、被塗布部Sに対して適量の内容液を塗布することができ、使用性に優れた塗布栓4とすることができる。
【0072】
また、本実施形態のように内容液として水虫薬を利用する場合、揮発性を有していることが多い。この場合において、例えば容器本体2の内圧が上昇したとしても、内容液の塗布時に第1切換弁51を閉弁させることができるので、容器本体2の内圧上昇に起因して内容液が液室6内に勢いよく流入してしまうことを防止することができる。従って、水虫薬のように揮発性を有する内容液であっても、内容液が吐出孔11から勢いよく吹き出てしまうといった不都合が生じ難い。そのため、水虫薬を塗布する塗布栓4及び塗布容器1として好適に利用できる。
なお、容器本体2の内圧が上昇する場合とは、例えば容器本体2を把持したときに手の温度が容器本体2に伝わることで容器本体2の温度が上昇し、それによって内圧が上昇することが考えられる。また、冷蔵庫等の冷暗所で保管されている容器本体2を取り出すことで容器本体2の温度が上昇し、それによって内圧が上昇することも考えられる。
【0073】
また、塗布部材13における第1塗布部40が含浸材で形成されているので、吐出孔11から吐出された内容液を第1塗布部40の上端部40aに含浸させることができる。従って、第1塗布部40の上端部40aから内容液を染み出させながら、徐々に塗り広げるように塗布することができる。そのため、例えば被塗布部S上に内容液が直ちに広がり出ることを抑制することができ、被塗布部Sの所望する領域に精度良く内容液を塗布することができると共に、内容液の塗布量を任意に調整し易い。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の塗布栓4を具備する塗布容器1によれば、被塗布部Sに対して適量の内容液を塗布することができ、使用性に優れた塗布容器1とすることができる。
特に、内容液を塗布する際に、塗布部材13を待機位置P1から
図6に示す停止位置P3に移動させた後に吐出位置P2に移動させるので、
図6に示すように、第2切換弁56を開弁させる前に、第1切換弁51及び第2切換弁56の両方を閉弁させることができる。従って、塗布部材13が待機位置P1から吐出位置P2に移動する過程で、例えば瞬間的に液室6内が吐出孔11及び容器本体2内の両方に連通してしまうといったことを確実に防止することができる。
従って、待機位置P1において液室6内に流入した内容液を、塗布部材13が停止位置P3に位置することで液室6内に一時的に確実にストックすることができ、その後に塗布部材13が吐出位置P2に位置することで、ストックした液室6内の内容液を吐出孔11から吐出することができる。その結果、被塗布部Sに対して適量の内容液をより確実に塗布することができ、さらに使用性の優れた塗布栓4とすることができる。
【0075】
また、内容液の塗布が終了した後、被塗布部Sに対する塗布部材13の押し付けを解除すると、コイルばね14の付勢力によって塗布部材13を吐出孔11側に向けて移動させることでき、
図5に示すように、規制片47を規制リブ29に対して接触させることができる。これにより、塗布部材13を吐出位置P2から停止位置P3を経由して待機位置P1に復帰させることができるので、第2切換弁56を閉弁させることができる。つまり、流通溝55がシール突起26よりも吐出孔11側に移動するので、シール突起26が流通溝55を通じた液室6内と吐出孔11との連通を遮断し、液室6内から吐出孔11への内容液の移動を停止する。
従って、吐出孔11から新たな内容液が吐出されることがないので、被塗布部Sに一度吐出した内容液を、第1塗布部40の上端部40aを利用して例えばさらに塗り広げるように塗布することも可能である。
【0076】
また、塗布部材13を待機位置P1に復帰させることで、第2切換弁56を閉弁させつつ、第1切換弁51を開弁させることができる。つまり、流通溝50の一部がシール突起35よりも吐出孔11側に移動するので、連通孔10及び流通溝50を通じて容器本体2内と液室6内とを連通させることができ、容器本体2内から液室6内への内容液の移動を許容することができる。そのため、連通孔10及び流通溝50を通じて容器本体2内から液室6内に新たに内容液を流入させることができる。そのため、その後に
図7に示すように第1塗布部40の上端部40aを被塗布部Sに対して再び押し付けて、塗布部材13を吐出位置P2に移動させることで、液室6内に溜まった内容液を、第1塗布部40の上端部40aを利用して被塗布部Sに塗布することができる。
【0077】
上述のように、被塗布部Sに対する塗布部材13の押し付けを繰り返すことで、その都度、適量の内容液を吐出孔11から吐出させながら、第1塗布部40の上端部40aを利用して被塗布部Sに連続的に内容液を塗布することが可能となる。そのため、例えば被塗布部Sに応じた適切な量の内容液を調整しながら塗布することができ、使用性をさらに高めることができる。
【0078】
さらに、被塗布部Sに塗布部材13を押し付けた際、
図7に示すように、第1塗布部40がストッパ壁24に接触するので、塗布部材13を吐出位置P2に位置決めすることができ、塗布部材13の全体がそれ以上連通孔10側に移動することを規制できる。そのため、塗布部材13の全体が収容筒部23内に入り込んでしまうことを防止でき、第1塗布部40の上端部40aを被塗布部Sに対して常に押し付けながら内容液を塗布することが可能である。
従って、内容液を安定して塗布することができるうえ、例えば被塗布部Sに対して塗布部材13を強く押し付けながら塗布を行うことができる。そのため、例えば被塗布部Sに対して刺激を与えながら内容液を塗布することができ、快適で心地よい塗布を行うことも可能である。
【0079】
さらに、
図2に示すように、塗布部材13が待機位置P1に位置している場合には、第2切換弁56が閉弁して液室6内と吐出孔11との連通を遮断し、液室6内から吐出孔11への内容液の移動を停止するので、例えば商品流通時や未使用時等、意図せずに吐出孔11から内容液が漏出してしまうことを効果的に抑制することができる。この点においても、使用性に優れている。
【0080】
また、コイルばね14が規制片47を介して第2塗布部41を付勢することで、塗布部材13の全体を吐出孔11側に向けて付勢しているので、第1塗布部40にコイルばね14の付勢力が直接的に作用することを防止できる。そのため、本実施形態のように第1塗布部40を、スポンジ等の多孔質材料や繊維体等、剛性の低い軟材質からなる含浸材で形成したとしても好適に利用することが可能となる。従って、第1塗布部40の材質を、例えば内容液の種類や用途等に応じて任意に選択することができ、最適な材質を使用して内容液のスムーズな塗布に繋げることができる。
【0081】
また、シール突起35及び流通溝50で第1切換弁51を構成し、シール突起26及び流通溝55で第2切換弁56を構成している。
そのため、
図2及び
図3に示すように、塗布部材13が待機位置P1及び停止位置P3に位置しているときに、第2塗布部41における上軸部45の外周面の全周に亘って弁筒部25のシール突起26を均等且つ密に接触させることができ、高いシール性で液室6内と吐出孔11との連通を遮断して、液室6内から吐出孔11への内容液の移動を停止することができる。同様に、
図3及び
図4に示すように塗布部材13が停止位置P3及び吐出位置P2に位置しているときに、第2塗布部41における下軸部46の外周面の全周に亘って弁筒部34のシール突起35を均等且つ密に接触させることができ、高いシール性で連通孔10を通じた容器本体2内と液室6内との連通を遮断して、容器本体2内から液室6内への内容液の移動を停止することができる。
特に、含浸材で形成された第1塗布部40ではなく、合成樹脂製の第2塗布部41における上軸部45及び下軸部46の外周面にシール突起26、35をそれぞれ密に接触させるので、高いシール性を発揮させ易い。
【0082】
さらに、塗布部材13の上下移動に伴って流通溝50、55をそれぞれ移動させることができるので、流通溝50を通じた容器本体2内と液室6内との連通及びその遮断をスムーズに切換えることができると共に、流通溝55を通じた液室6内と吐出孔11との連通及びその遮断をスムーズに切換えることができる。従って、塗布部材13の押し付け動作に対応して、反応良く内容液を吐出孔11から吐出させることができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0084】
例えば、上記実施形態では、塗布部材13が待機位置P1に位置しているときに、第2塗布部41の下軸部46が第2中栓部材30の弁筒部34内及び連通孔10内に配設されるように構成したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、塗布部材13が待機位置P1に位置しているときに下軸部46が弁筒部34の上方に待機し、且つ塗布部材13が停止位置P3及び吐出位置P2に位置したときに下軸部46が弁筒部34内に移動して、シール突起35が下軸部46の外周面に密に接触するように、第1切換弁を構成しても構わない。
この場合には、塗布部材13が待機位置P1に位置しているときに、連通孔10を開放できるので、連通孔10を通じて容器本体2内と液室6内とを連通させて、容器本体2内から液室6内への内容液の移動を許容することができる。また、塗布部材13が停止位置P3及び吐出位置P2に位置しているときに、シール突起35が下軸部46の外周面に密に接触するので、連通孔10を通じた容器本体2内と液室6内との連通を遮断して、容器本体2内から液室6内への内容液の移動を停止することができる。
従って、このように第1切換弁を構成した場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏効することができると共に、流通溝50が不要になるので第1切換弁をより簡便に構成することができる。
【0085】
また、上記実施形態において、例えば、収容筒部23の内径及び第1塗布部40の外径を互いに近づけるようにサイズ調整することで、両者の間に画成される液通路を狭くし、内容液を流通させ難くしても構わない。この場合には、水虫薬等の揮発し易い内容液であっても、意図せずに吐出孔11から外部に噴き出すような不都合を効果的に抑制することができる。
さらに、本実施形態のように第1塗布部40が含浸材で形成されている場合には、使用時に内容液を第1塗布部40に積極的に含浸させるように、内容液の流れをコントロールすることができる。従って、内容液の全てを第1塗布部40から染み出すようにすることができる。これにより、塗布容器1を長期に亘って使用することが可能になるうえ、被塗布部Sの所望する領域に、確実且つ所望の塗布量で塗布を行い易くなる。
【0086】
また、上記実施形態では、塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに、第1切換弁51が連通孔10を通じた容器本体2内から液室6内への内容液の移動を停止させたが、この場合に限定されるものではなく、待機位置P1のときよりも内容液の移動を抑制できれば良い。つまり、塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに、容器本体2内から液室6内に向けて移動する内容液の流量(流入量)を、待機位置P1のときよりも抑制するように第1切換弁51を構成しても構わない。なお、この場合の抑制とは、上記実施形態のように、内容液の移動自体を停止する場合も含む。
塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに、第1切換弁51が容器本体2内から液室6内に向けて移動する内容液の流量(流入量)を待機位置P1のときよりも抑制し、液室6内に内容液が僅かに流れたとしても、液室6内に溜まった量以上の内容液を吐出し難くすることができる。従って、被塗布部Sに対して適量の内容液を塗布することができ、上記実施形態と同様の作用効果を奏効することができる。
【0087】
なお、この場合の第1切換弁51としては、例えば第2塗布部41における下軸部46の外周面の全周に亘って弁筒部34のシール突起35を均等且つ密に接触させるのではなく、下軸部46の外周面に対してシール突起35を若干の隙間をあけて近接させることで構成することが可能である。この場合には、塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに、下軸部46の外周面とシール突起35との間の隙間を通じて、容器本体2内から液室6内に内容液を僅かに移動させることが可能となる。
また、別の構成としては、例えば下軸部46の外周面に、流通溝55よりも浅い浅溝を流通溝55の上端からさらに上方に向けて延びるように形成し、塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに流通溝55と液室6内とが浅溝を通じて連通するように第1切換弁51を構成しても構わない。この場合には、塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに、流通溝55及び浅溝を通じて、容器本体2内から液室6内に内容液を僅かに移動させることが可能となる。
さらに別の構成としては、例えばシール突起35の内周面のうち流通溝55に対して径方向に対向する部分又はその他の部分に、該シール突起35を上下に貫くようにスリット状の浅溝を形成し、塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに流通溝55と液室6内とが浅溝を通じて連通する又は連通孔10と液室6内とが浅溝を通じて連通するように第1切換弁51を構成しても構わない。
この場合には、塗布部材13が吐出位置P2に位置しているときに、浅溝を通じて容器本体2内から液室6内に内容液を僅かに移動させることが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態では、第1塗布部40を含浸材で形成したが、含浸材に限定されるものではない。例えば、第1塗布部40を合成樹脂製或いは金属製としても構わない。この場合であっても、第1塗布部40と収容筒部23との間の隙間から、第1塗布部40に内容液を含浸させることなく吐出できるので、被塗布部Sに対して内容液を塗布することができる。なお、例えば第1塗布部40を合成樹脂で形成する場合には、第1塗布部40と第2塗布部41とを一体成形することができるので、塗布部材13を所望の形状に精度良く形成することが可能である。