特許第6956619号(P6956619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956619
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電流生成回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/24 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   G05F3/24 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-239343(P2017-239343)
(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公開番号】特開2019-106094(P2019-106094A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 正一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 敦史
(72)【発明者】
【氏名】大塚 直央
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−89038(JP,A)
【文献】 特開2007−200233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/00−3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートに第一のバイアス電圧が入力される第一のトランジスタと、前記第一のトランジスタのソースに接続された第一の抵抗とを備え、前記第一のトランジスタのソース電圧と前記第一の抵抗の抵抗値に基づく第一の電流を出力する電流源回路と、
電圧入力端子を有し、ゲートに第二のバイアス電圧が入力される第二のトランジスタと、前記第二のトランジスタのソースに接続され、ゲートに前記電圧入力端子の電圧が入力される第三のトランジスタとを備え、前記第二のトランジスタのソース電圧と前記第三のトランジスタの抵抗値に基づく第二の電流を出力する電流制御回路と、
前記第一の抵抗と同じ種類の抵抗体で構成した第二の抵抗と、前記第二の抵抗と直列に接続され、ゲートとドレインが短絡された第四のトランジスタとを備え、前記第一の電流と前記第二の電流とが流れることによって前記電圧入力端子に入力される電圧である制御電圧を発生するインピーダンス回路とを備え、
前記第二の電流に基づく電流を出力することを特徴とする電流生成回路。
【請求項2】
前記第四のトランジスタをPN接合素子としたことを特徴とする請求項1に記載の電流生成回路。
【請求項3】
前記第一のバイアス電圧は前記第一のトランジスタが弱反転動作する電圧であることを特徴とする請求項1または2に記載の電流生成回路。
【請求項4】
前記第二のバイアス電圧は前記第二のトランジスタが弱反転動作する電圧であることを特徴とする請求項1または2に記載の電流生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、従来の電流生成回路600の回路図を示す。
【0003】
従来の電流生成回路600は、誤差増幅回路61と、電圧源62と、抵抗63と、NMOSトランジスタ64と、PMOSトランジスタ65、66とを備え、これらが図示のように接続されて構成されている。
【0004】
誤差増幅回路61は、電圧源62の電圧と抵抗63に電流Iが流れることによって発生するノードAの電圧とが等しくなるように、NMOSトランジスタ64のゲート電圧を制御する。PMOSトランジスタ65、66で構成されるカレントミラー回路は、電流Iから所望の電流Ioutを生成して、出力端子67から出力する。
【0005】
以上のような電流生成回路600は、抵抗63に流れる電流Iをフィードバック制御するようにしたので、電流Ioutは動作温度変化、トランジスタの閾値電圧ばらつき等があっても常に一定にすることが出来る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−18663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の電流生成回路600では、抵抗63の抵抗値に基づく電流を生成するため、電流Ioutは抵抗値ばらつきの影響を大きく受けてしまうといった課題があった。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、抵抗値ばらつきの影響を抑えた安定した電流を生成することが可能な電流生成回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電流生成回路は、ゲートに第一のバイアス電圧が入力される第一のトランジスタと、前記第一のトランジスタのソースに接続された第一の抵抗とを備え、前記第一のトランジスタのソース電圧と前記第一の抵抗の抵抗値に基づく第一の電流を出力する電流源回路と、電圧入力端子を有し、ゲートに第二のバイアス電圧が入力される第二のトランジスタと、前記第二のトランジスタのソースに接続され、ゲートに前記電圧入力端子の電圧が入力される第三のトランジスタとを備え、前記第二のトランジスタのソース電圧と前記第三のトランジスタの抵抗値に基づく第二の電流を出力する電流制御回路と、前記第一の抵抗と同じ種類の抵抗体で構成した第二の抵抗と、前記第二の抵抗と直列に接続され、ゲートとドレインが短絡された第四のトランジスタとを備え、前記第一の電流と前記第二の電流とが流れることによって前記電圧入力端子に入力される電圧である制御電圧を発生するインピーダンス回路とを備え、前記第二の電流に基づく電流を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電流生成回路によれば、電流源回路と電流制御回路とインピーダンス回路とを備え、電流源回路の第一の電流と電流制御回路の第二の電流をインピーダンス回路に流し発生する制御電圧を電流制御回路に帰還するようにしたので、抵抗値ばらつきの影響を抑えた安定した電流を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の電流生成回路を示す回路図である。
図2】本実施形態の電流源回路の他の例を示す回路図である。
図3】本実施形態の電流源回路の他の例を示す回路図である。
図4】本実施形態の電流源回路の他の例を示す回路図である。
図5】本実施形態の電流源回路の他の例を示す回路図である。
図6】従来の電流生成回路を示すの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態の電流生成回路100の回路図である。
【0014】
本実施形態の電流生成回路100は、電流源回路10、電流制御回路20、インピーダンス回路30と、出力トランジスタ41と、出力端子42とを備えている。
【0015】
電流源回路10は、NMOSトランジスタ11と、電圧源12と、抵抗13と、PMOSトランジスタ14及び15とを備えている。電圧源12は、NMOSトランジスタ11のゲートにバイアス電圧Vbaを与える。PMOSトランジスタ14及び15は、カレントミラー回路を構成する。
【0016】
上記のように構成した電流源回路10は、NMOSトランジスタ11のソース電圧をVA、抵抗13の抵抗値をR1とすれば、VA/R1に比例した電流I1を出力する。
【0017】
電流制御回路20は、NMOSトランジスタ21及び23と、電圧源22と、PMOSトランジスタ24及び25と、電圧入力端子Vinとを備えている。電圧源22は、NMOSトランジスタ21のゲートにバイアス電圧Vbbを与える。電圧入力端子Vinの電圧(制御電圧Vcという)は、NMOSトランジスタ23ゲートに入力され、そのオン抵抗値Ronを制御する。PMOSトランジスタ24及び25は、カレントミラー回路を構成する。
【0018】
上記のように構成した電流制御回路20は、NMOSトランジスタ21のソース電圧をVB、NMOSトランジスタ23のオン抵抗値をRonとすれば、VB/Ronに比例した電流I2を出力する。また、NMOSトランジスタ23のオン抵抗値をRonは、電圧入力端子Vinに入力される電圧によって制御される。
【0019】
インピーダンス回路30は、NMOSトランジスタ31と、抵抗32とを備えている。インピーダンス回路30は、抵抗32の抵抗値R2と、飽和接続されたNMOSトランジスタ31のインピーダンスに基づき、流入される電流を電圧に変換する。ここで、抵抗32は、抵抗13と同種の抵抗で構成されている。
【0020】
次に、本実施形態の電流生成回路100の動作について説明する。
【0021】
電流源回路10は、VA/R1に比例した、即ち抵抗13の抵抗値ばらつきの影響を受けた電流I1を出力する。
【0022】
インピーダンス回路30は、電流I1が入力されると、抵抗32に抵抗値ばらつきに拠らない電圧が発生し、NMOSトランジスタ31に抵抗13の抵抗値ばらつきの影響を受けた電圧が発生する。従って、抵抗13と抵抗32の抵抗値が所望の抵抗値に対して高い場合には、電流I1が小さくなるので、インピーダンス回路30に発生する制御電圧Vcは低くなる。
【0023】
電流制御回路20は、VB/Ronに比例した電流I2を出力する。電流I2は、電圧入力端子Vinに入力される電圧が変化しないと仮定すると、抵抗13の抵抗値ばらつきの影響を受けない電流である。
【0024】
インピーダンス回路30は、電流I2が入力されると、抵抗32に抵抗値ばらつきの影響を受けた電圧が発生し、NMOSトランジスタ31に抵抗値ばらつきに拠らない電圧が発生する。従って、抵抗13と抵抗32の抵抗値が所望の抵抗値に対して高い場合には、インピーダンス回路30に発生する制御電圧Vcは高くなる。
【0025】
ここで、電流I1がインピーダンス回路30に流れることによって、即ち抵抗13とNMOSトランジスタ31の関係によって制御電圧Vcが低くなり、電流I2がインピーダンス回路30に流れることによって、即ちNMOSトランジスタ23と抵抗32の関係によって制御電圧Vcが高くなるので、これらの影響が相殺されて電流I2は安定した一定の電流となる。
【0026】
従って電流生成回路100は、例えば、電流I2を出力するカレントミラー回路を構成するトランジスタ25と並列に接続した出力トランジスタであるトランジスタ41を備えることで、出力端子42から安定した一定の出力電流Ioutを出力することが可能になる。
【0027】
以上、説明したように、電流生成回路100は、電流源回路10と電流制御回路20とインピーダンス回路30を備えたので、抵抗ばらつきの影響を抑えた安定した電流を生成することが可能になる。
【0028】
なお、電圧VAを出力するトランジスタ11は、弱反転動作状態で動作させることにより、たとえトランジスタ11の電流が変化したとしてもゲート・ソース間電圧が変化し難くので、電圧VAは変化し難くなる、という効果がある。また、電圧VBを出力するトランジスタ21についても同様である。
【0029】
以上説明した電流源回路10と電流制御回路20とインピーダンス回路30は、一例を示すものであり、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更や組み合わせが可能である。
【0030】
図2は、本実施形態の電流源回路10の他の例を示す回路図である。図2の電流源回路10は、NMOSトランジスタ11のゲートにバイアス電圧Vbaを与える電圧源12の代わりに、ゲートがNMOSトランジスタ11のソースに接続されたNMOSトランジスタ16と、NMOSトランジスタ16に定電流を流す定電流源17とを備えて構成した。このように構成した電流源回路10は、電圧VAがNMOSトランジスタ16のゲート・ソース間電圧によって決定されるので、NMOSトランジスタ16の閾値電圧でも電流I1の大きさを調整することが可能である。
【0031】
また、図3に示すように、電流源17の代わりに、PMOSトランジスタ14とカレントミラー回路を構成するPMOSトランジスタ18で構成しても良く、また、電流源17とPMOSトランジスタ18とで構成しても良い。
【0032】
図4は、本実施形態の電流源回路10の他の例を示す回路図である。図4の電流源回路10は、電圧源12の代わりに、ゲートとドレインが接続されたNMOSトランジスタ16と、NMOSトランジスタ16に定電流を流す定電流源17とを備えて構成した。このように構成した電流源回路10は、電圧VAがNMOSトランジスタ11とNMOSトランジスタ16のゲート・ソース間電圧の差に基づいて決定されるので、電圧VAがNMOSトランジスタ11の閾値電圧ばらつきの影響を受けない、という効果がある。また、図3のように電流源17はPMOSトランジスタで構成しても、両方で構成しても良い。
【0033】
また、図5の電流源回路10のように、互いのゲートとドレインを接続したNMOSトランジスタ18及び19を備えて、電圧VAがNMOSトランジスタ11、16、18及び19のゲート・ソース間電圧の差または和に基づいて決定される構成としても良い。このように構成した電流源回路10は、電圧VAが図4の電流源回路10よりも高くすることが出来るので、これによっても電流I1の大きさを調整することが可能である。
【0034】
また、上記において電流源回路10の回路例を図2から図5で示したが、電流制御回路20も同様な構成をとることが可能であり、それらを自由に組み合わせて用いてもよい。
【0035】
また、電流源回路10において、電圧VAを得る回路として、図6の誤差増幅回路を用いた負帰還回路としても良い。
【0036】
また、上記実施形態においては、インピーダンス回路30は飽和接続されたNMOSトランジスタ31を備えた例として説明したが、ダイオードなどPN接合素子であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
100 電流発生回路
10 電流源回路
20 電流制御回路
30 インピーダンス回路
12、22 電圧源
17 電流源
図1
図2
図3
図4
図5
図6