(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0033】
本発明の一態様は、撮像データをパルス信号に変換して出力することができる撮像装置である。光電変換動作で生成されるデータ電位をパルス生成回路に入力することで、スパイク波形を有するパルス信号を出力する。
【0034】
当該撮像装置は画素に保持したデータ電位を読み出す形式とは異なり、電荷の流出に起因する撮像データの劣化は起きにくい。また、アナログ電位の読み出しではなく、パルス信号を読み出すことから、ノイズの影響を受けにくい。また、リセット動作や蓄積動作を操作する信号が不要であり、周辺回路を簡略化することができる。また、当該パルス信号をカウンタ回路に直接取り込むことができ、高速にデジタルデータへの変換を行うことができる。
【0035】
また、画素から出力されるパルス信号を積和演算する構成を設け、新たなパルス信号からデジタルデータを生成することができる。当該デジタルデータをニューラルネットワークなどに取り込むことで、画像認識などの処理を行うことができる。膨大な画像データをニューラルネットワークなどに取り込むまでの処理を撮像装置内で行うことができるため、効率良く処理を行うことができる。
【0036】
図1は、本発明の一態様の撮像装置の画素回路を説明する図である。画素100aは、光電変換素子101と、トランジスタ102と、パルス生成部110aと、トランジスタ109を有する。
【0037】
パルス生成部110aは、インバータ回路103と、インバータ回路105と、トランジスタ104と、トランジスタ106と、容量素子107と、容量素子108を有する。なお、容量素子107、108を設けない構成としてもよい。
【0038】
インバータ回路103の入力端子は、容量素子107の一方の電極と電気的に接続される。インバータ回路103の出力端子は、トランジスタ104のゲートと電気的に接続される。トランジスタ104のソースまたはドレインの一方は、インバータ回路103の入力端子と電気的に接続される。インバータ回路103の出力端子は、インバータ回路105の入力端子と電気的に接続される。インバータ回路105の出力端子は、トランジスタ106のゲートと電気的に接続される。トランジスタ106のソースまたはドレインの一方は、インバータ回路103の入力端子と電気的に接続される。インバータ回路105の出力端子は、容量素子108の一方の電極と電気的に接続される。
【0039】
ここで、インバータ回路103の入力端子、トランジスタ104のソースまたはドレインの一方、トランジスタ106のソースまたはドレインの一方および容量素子107の一方の電極が接続される点をノードANとする。ノードANは、パルス生成部110aの入力端子に相当する。
【0040】
インバータ回路103の出力端子、インバータ回路105の入力端子およびトランジスタ104のゲートが接続される点をノードBNとする。
【0041】
インバータ回路105の出力端子、トランジスタ106のゲートおよび容量素子108の一方の電極が接続される点をノードCNとする。ノードCNは、パルス生成部110aの出力端子に相当する。
【0042】
光電変換素子101の一方の電極は、トランジスタ102のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ102のソースまたはドレインの他方は、パルス生成部110aの入力端子と電気的に接続される。
【0043】
トランジスタ109のソースまたはドレインの一方は、パルス生成部110aの出力端子と電気的に接続される。
【0044】
トランジスタ102のゲートは、配線111と電気的に接続される。トランジスタ109のゲートは、配線112と電気的に接続される。トランジスタ109のソースまたはドレインの他方は、配線113と電気的に接続される。光電変換素子101の他方の電極およびトランジスタ104のソースまたはドレインの他方は、例えば、高電位を供給する電源線と電気的に接続される。トランジスタ106のソースまたはドレインの他方、容量素子107の他方の電極および容量素子108の他方の電極は、例えば、GND電位などを供給する電源線と電気的に接続される。
【0045】
配線111および配線112は、各トランジスタの導通を制御する信号線として機能させることができる。配線113は、出力線として機能させることができる。
【0046】
光電変換素子101としては、フォトダイオードを用いることができる。または、光電変換素子101として、光の強度によって抵抗が変化するフォトコンダクタを用いてもよい。低照度時の光検出感度を高めたい場合は、アバランシェフォトダイオードを用いることが好ましい。
【0047】
トランジスタ102は、画素100aの出力動作を制御する機能を有する。トランジスタ102が非導通であれば、画素100aからパルス信号は出力されない。なお、トランジスタ102は、常時導通状態であってもよい。
【0048】
また、トランジスタ102は、ノードANの電位を制御する機能も有する。光電変換素子101としてアバランシェフォトダイオードを用いる場合は、カソード側に高電圧の印加が必要となる。そのため、アノード側もカソード側と同等の電位となることがあり、トランジスタ104、106、およびインバータ回路103を構成するトランジスタにも高電圧が印加されることになる。
【0049】
パルス生成部110aはインバータ回路を含むため、極性の異なるトランジスタを組み合わせて構成することが好ましい。そのため、当該トランジスタは、シリコンをチャネル形成領域に有するトランジスタ(以下、Siトランジスタ)で形成することが好ましい。ただし、微細化されたSiトランジスタは耐圧が十分でなく、高電圧を印加すると信頼性が低下することがある。
【0050】
したがって、ノードANの電位を制限するために、高耐圧のトランジスタ102を設ける。高耐圧のトランジスタとしては、例えば、チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)などを用いることができる。
【0051】
トランジスタ102のソースまたはドレインの一方には高電圧が印加されることがあるが、適切なゲート電圧を印加することで、ソースまたはドレインの他方(ノードAN)の過度な電位上昇を抑えることができる。例えば、ノードANの電位を最大1.5V程度とする場合は、配線111の電位を1.5V+トランジスタ102のしきい値電圧(V
th)とすればよい。なお、光電変換素子101に高電圧を印加しない場合は、トランジスタ102を省くことができる。
【0052】
画素100aを構成するSiトランジスタ、OSトランジスタおよび光電変換素子は、
図8(A)に示すようにそれぞれを層563、562、561に形成して積層することができる。なお、
図8(A)では明瞭化のため回路図で図示しているが、実際には光電変換素子、SiトランジスタおよびOSトランジスタが互いに重なる領域を有するように形成することができる。したがって、画素面積を小さくすることができる。また、光電変換素子は画素領域のほぼ全体と重ねることができ、受光部の開口率を高めることができる。
【0053】
また、
図8(A)においては、層562に設けるOSトランジスタは、トランジスタ102のみとしているが、その他のいくつかの要素をOSトランジスタで形成してもよい。例えば、トランジスタ106、109、およびインバータ回路103、105が有するn−ch型トランジスタを層562に設けるOSトランジスタで形成してもよい。また、容量素子107、108は層563に設けているが、層562に設けてもよい。
【0054】
図2は、画素100aの動作時におけるノードANおよびノードCNの電位の変化を示す図である。
図1および
図2を用いて、パルス生成部110aの動作を説明する。
【0055】
まず、光電変換によってノードANの電位が緩やかに上昇する。このときのノードANの電位変化は、光電変換素子101の光電変換特性のほか、トランジスタ102の電気特性、容量素子107の容量値などにも依存する。
【0056】
ノードANの電位が特定の値まで上昇すると、インバータ回路103が動作し、ノードBNの電位はトランジスタ104のしきい値電圧に達する。このとき、トランジスタ104は導通し、ノードANの電位は急激に上昇する。
【0057】
ノードANの電位の急激な上昇に応じてノードBNの電位が急激に下降すると、インバータ回路105が動作してノードCNの電位が急激に上昇する。ノードCNの電位が急激に上昇すると、トランジスタ106が導通し、ノードANの電位が急激に下降する。
【0058】
ノードANの電位の急激な下降に従って、ノードBNの電位は急激に上昇し、ノードCNの電位は急激に下降する。ノードCNの電位変化は、容量素子108の容量値などにも依存する。
【0059】
したがって、ノードCNの電位は、急激に上昇した直後に急激に下降する。すなわち、ノードCNの電位変化はスパイク状の波形を有するようになる。
【0060】
上記動作が繰り返し行われることで、
図2に示すようなスパイク状の波形を有するパルス信号を生成することができる。例えば、パルス幅は、数ナノ秒乃至数十ナノ秒とすることができる。なお、画素におけるパルス信号の生成は、デジタル信号の生成といえる。したがって、画素が有する個々のトランジスタが微弱なノイズを発生していたとしても、その影響は受けにくい。
【0061】
トランジスタ109は、画素100aを選択する機能を有することができる。トランジスタ109を導通させることで、上記動作で生成したパルス信号を配線113に出力することができる。なお、ノードANの電位は、光の強度が大きいほど速く上昇する。したがって、光の強度が大きいほど、出力されるパルス信号の周波数は大きくなる。
【0062】
図3は、本発明の一態様の撮像装置のブロック図であり、画素アレイ200、回路201、回路202、および回路203を有する。画素アレイ200は、マトリクス状に配置された画素100aを有する。
【0063】
回路201は、ロードライバとしての機能を有することができる。回路201には、例えば、デコーダまたはシフトレジスタを用いることができる。回路201により読み出し行を選択し、画素100aで生成されたパルス信号を配線113に出力することができる。なお、
図3では、回路201が配線111、112と接続する構成を例示しているが、回路201は配線112のみを制御してもよい。
【0064】
回路202は、読み出し回路としての機能を有することができる。回路202には、例えば、
図3(B)に示すD−FF(Dフリップフロップ)で構成される任意のnビット(nは自然数)のカウンタ回路を用いることができる。回路201で選択された画素100aが出力するパルス信号は、1段目のD−FFに入力され、一定期間カウントされる。カウンタ回路はRB信号によりリセットされ、再びカウントを始めることができる。SET信号を入力することでカウント値はLAT回路に転送される。SEL信号およびSELB信号が入力されると、LAT回路に保存された値が配線114に出力される。なお、カウンタ回路は非同期式に限らず同期式であってもよい。
【0065】
回路203は、カラムドライバとしての機能を有することができる。回路203には、例えば、デコーダまたはシフトレジスタを用いることができる。回路203により読み出し列を選択し、回路202で生成されたデジタルデータを配線114に出力することができる。
【0066】
以上の構成によって、画像データを取得することができる。
【0067】
また、本発明の一態様の撮像装置は、
図4に示すブロック図の構成であってもよい。
図4に示す撮像装置では、前述した画素100aと同じ動作でパルス信号を生成し、当該パルス信号に任意の重み係数を乗じて積和演算を行うことができる。当該積和演算の結果をニューラルネットワークに取り込むことで、画像認識などの処理を行うことができる。
【0068】
図4に示す撮像装置は、画素アレイ450と、回路401と、回路402と、回路403と、回路404と、回路405を有する。なお、回路401乃至回路405は、単一の回路構成に限らず、複数の回路で構成される場合がある。
【0069】
画素アレイ450は、マトリクス状に配置された複数の第1の画素ブロック400を有する。第1の画素ブロック400は、
図5(A)に示すように、複数の第2の画素ブロック300と、カレントミラー回路と、パルス生成部110bと、読み出し回路500を有する。なお、
図5(A)では、第2の画素ブロック300が2つである例を示しているが、数は限定されない。
【0070】
第2の画素ブロック300の出力線は、カレントミラー回路の入力側トランジスタと電気的に接続される。パルス生成部110bの入力端子(ノードAN)は、カレントミラー回路の出力側トランジスタと電気的に接続される。パルス生成部110bの出力端子(ノードCN)は、読み出し回路500と電気的に接続される。
【0071】
第2の画素ブロック300は、
図6(A)に示すように、画素100b、トランジスタ301、302、303および容量素子304を有する。トランジスタ301、302、303および容量素子304は、画素100bの出力に重み係数を乗じる演算部を構成する。なお、画素100bの代わりに第1の画素ブロック400を演算部に接続してもよい。
【0072】
画素100bは、
図6(B)に示す構成とすることができる。画素100bは、
図1に示す画素100aからトランジスタ109を省いた構成とすることができる。
【0073】
トランジスタ301のソースまたはドレインの一方は、容量素子304の一方の電極と電気的に接続される。容量素子304の一方の電極はトランジスタ303のゲートと電気的に接続される。トランジスタ303のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ302のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0074】
トランジスタ301のソースまたはドレインの他方は、配線311と電気的に接続される。トランジスタ301のゲートは、配線312と電気的に接続される。トランジスタ303のソースまたはドレインの他方は、配線313と電気的に接続される。トランジスタ302のゲートは配線314と電気的に接続される。トランジスタ302のソースまたはドレインの他方、および容量素子304の他方の電極は、例えば、GND電位などを供給する電源線と電気的に接続される。
【0075】
ここで、トランジスタ301のソースまたはドレインの一方、容量素子304の一方の電極、およびトランジスタ303のゲートが接続される点をノードDNとする。
【0076】
配線311は、ノードDNに書き込む電位を供給する機能を有することができる。当該電位は重み係数に相当する。配線312は、トランジスタ301の導通を制御する信号線としての機能を有することができる。配線313は、画素ブロック300から信号を出力するための出力線としての機能を有することができる。配線314は、画素100bから信号を出力するための出力線としての機能を有することができる。
【0077】
配線311は、回路401と電気的に接続することができる。配線312は、回路402と電気的に接続することができる。回路401は、カラムドライバとしての機能を有することができる。回路402は、ロードライバとしての機能を有することができる。回路401および回路402には、デコーダまたはシフトレジスタを用いることができる。
【0078】
トランジスタ301には、ノードDNに書き込んだ電位を保持するため、オフ電流の小さいOSトランジスタを用いることが好ましい。トランジスタ302、303には、高速動作および増幅率が高いことが望まれるため、Siトランジスタを用いることが好ましい。
【0079】
第2の画素ブロック300を構成するSiトランジスタおよびOSトランジスタは、
図8(B)に示すようにそれぞれを層563、562に形成して積層することができる。なお、
図8(B)では明瞭化のため回路図で図示しているが、実際にはSiトランジスタおよびOSトランジスタが互いに重なる領域を有するように形成することができる。したがって、画素面積を小さくすることができる。
【0080】
なお、
図8(B)においては、層562に設けるOSトランジスタは、トランジスタ301のみとしているが、その他のいくつかの要素をOSトランジスタで形成してもよい。例えば、トランジスタ302およびトランジスタ303の一方または両方をOSトランジスタで形成してもよい。また、容量素子304は層562に設けているが、層563に設けてもよい。
【0081】
トランジスタ302の導通は画素100bから供給されるパルス信号に依存し、トランジスタ303の導通はノードDNの電位に依存する。消費電流はパルス信号に従って間欠するため、消費電力を低減することができる。
【0082】
また、ノードDNの電位は、トランジスタ303がサブスレッショルド領域で動作する範囲であることが望ましい。サブスレッショルド領域で動作させることで電流値を抑えることができ、消費電力を低減することができる。
【0083】
ここで、ノードDNに書き込まれた値をlog(W)とする。Wは重み係数に相当する。トランジスタがサブスレッショルド領域で動作する場合、電流はI=kW(kは比例定数)と近似できる。画素100bが出力するパルスの数をnとし、パルス幅をtとすると、流れる電荷は、Q=nIt=n・t・k・Wと近似できる。nは画像データに相当するため、画像データと任意の重み係数との積を得ることができる。
【0084】
第1の画素ブロック400において、第2の画素ブロック300は複数であることから、トランジスタ411およびトランジスタ412からなるカレントミラー回路の入力側トランジスタ(トランジスタ411)には、各第2の画素ブロック300に流れる電流の和の電流が流れる。
【0085】
カレントミラー回路の出力側トランジスタ(トランジスタ412)にも同様の電流が流れ、パルス生成部110bのノードANの電位は上昇する。パルス生成部110bは、
図1に示すパルス生成部110aと同じ構成とすることができる。したがって、パルス生成部110bのノードCNには、複数の画素100bの画像データを積和演算した要素を含むパルス信号が出力される。
【0086】
パルス生成部110bのノードCNは、
図5(B)に示す読み出し回路500と電気的に接続される。読み出し回路500には、
図3(B)に示す読み出し回路202と同様のD−FFを用いたカウンタ回路を用いることができる。ただし、第1の画素ブロック400毎に読み出しを行うため、例えば、SEL信号にはAND回路の出力信号を用いる。なお、信号RBおよび信号SETは全画素に同時に供給してもよい。
【0087】
AND回路の第1の入力端子には、配線501を介して回路403を接続することができる。また、AND回路の第2の入力端子には、配線502を介して回路404を接続することができる。回路403は、カラムドライバとしての機能を有することができる。回路404は、ロードライバとしての機能を有することができる。回路403および回路404には、デコーダまたはシフトレジスタを用いることができる。
【0088】
AND回路の出力信号によって選択された読み出し回路500は、生成されたデジタルデータを配線503に出力することができる。なお、当該デジタルデータは複数の画素100bから出力される画像データの情報を含んでいること、および任意のnビットのデータの出力を行うことから、画像を圧縮しているともいえる。
【0089】
第1の画素ブロック400は、
図7(A)に示す構成とすることもできる。
図7(A)に示す第1の画素ブロック400は、積和演算だけでなく、積差演算も行える構成である。カレントミラー回路の出力側トランジスタ(トランジスタ412)にも第2の画素ブロック300を接続することで、積和演算によって得られたミラー電流から当該第2の画素ブロック300で生成される電流を差し引くことができる。すなわち、ノードANの電位は、積和演算と積差演算によって定まる。
【0090】
なお、各第2の画素ブロック300に入力される重み係数は任意であるため、重み係数として0が入力された第2の画素ブロック300には電流は流れない。したがって、積和演算または積差演算の一方のみを行うことも可能である。
【0091】
また、
図7(B)に示すように、隣接された第2の画素ブロック300において、一方を積和演算、他方を積差演算に用いる場合は、画素100bを共有してもよい。各第2の画素ブロック300のノードDNには異なる重み係数を入力できることから、元の画像データは同じであってもよい。
【0092】
上記では、第1の画素ブロック400から画像データに積和演算等を施したデータを出力する方法を説明したが、本発明の一態様の撮像装置は、一つの画素100bから画像データを読み出すこともできる。
【0093】
前述したように、重み係数として0が入力された第2の画素ブロック300には電流が流れない。したがって、第2の画素ブロック300が2つある場合、一方の重み係数を1とし、他方を0とすることで一方の第2の画素ブロック300から画像データを読み出すことができる。さらに重み係数を順次入れ替えることで、全ての画素から画像データを読み出すことができる。
【0094】
読み出し回路500から配線503に出力されたデジタルデータは、回路405に入力される。
【0095】
回路405は、例えばラッチ回路およびシフトレジスタなどを有する構成とすることができる。当該構成によって、パラレルシリアル変換を行うことができ、並行して入力されたデータをシリアルデータとして出力することができる。当該シリアルデータの出力先は限定されない。例えば、ニューラルネットワーク、記憶装置、表示装置、通信装置などに出力することができる。
【0096】
また、回路405はニューラルネットワークを有していてもよい。当該ニューラルネットワークは、例えば、マトリクス状に配置されたメモリセルを有し、各メモリセルには重み係数が保持されている。第1の画素ブロック400から出力されたデータは当該メモリセルにそれぞれ入力され、積和演算を行うことができる。
【0097】
読み出し回路500から出力されるデジタルデータを当該ニューラルネットワークに取り込むことで、例えば、画像の高解像度化、画像ノイズの低減、顔認識(防犯目的など)、物体認識(自動運転の目的など)、画像圧縮、画像補正(広ダイナミックレンジ化)、レンズレスイメージセンサの画像復元、ロボットの位置決め、文字認識、指紋認証、視線追跡、反射映り込み低減などの処理を行うことができる。
【0098】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0099】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したニューラルネットワークに用いることが可能な半導体装置の構成例について説明する。
【0100】
図9(A)に示すように、ニューラルネットワークNNは入力層IL、出力層OL、中間層(隠れ層)HLによって構成することができる。入力層IL、出力層OL、中間層HLはそれぞれ、1または複数のニューロン(ユニット)を有する。なお、中間層HLは1層であってもよいし2層以上であってもよい。2層以上の中間層HLを有するニューラルネットワークはDNN(ディープニューラルネットワーク)と呼ぶこともでき、ディープニューラルネットワークを用いた学習は深層学習と呼ぶこともできる。
【0101】
入力層ILの各ニューロンには入力データが入力され、中間層HLの各ニューロンには前層または後層のニューロンの出力信号が入力され、出力層OLの各ニューロンには前層のニューロンの出力信号が入力される。なお、各ニューロンは、前後の層の全てのニューロンと結合されていてもよいし(全結合)、一部のニューロンと結合されていてもよい。
【0102】
図9(B)に、ニューロンによる演算の例を示す。ここでは、ニューロンNと、ニューロンNに信号を出力する前層の2つのニューロンを示している。ニューロンNには、前層のニューロンの出力x
1と、前層のニューロンの出力x
2が入力される。そして、ニューロンNにおいて、出力x
1と重みw
1の乗算結果(x
1w
1)と出力x
2と重みw
2の乗算結果(x
2w
2)の総和x
1w
1+x
2w
2が計算された後、必要に応じてバイアスbが加算され、値a=x
1w
1+x
2w
2+bが得られる。そして、値aは活性化関数hによって変換され、ニューロンNから出力信号y=h(a)が出力される。
【0103】
このように、ニューロンによる演算には、前層のニューロンの出力と重みの積を足し合わせる演算、すなわち積和演算が含まれる(上記のx
1w
1+x
2w
2)。この積和演算は、プログラムを用いてソフトウェア上で行ってもよいし、ハードウェアによって行われてもよい。積和演算をハードウェアによって行う場合は、積和演算回路を用いることができる。この積和演算回路としては、デジタル回路を用いてもよいし、アナログ回路を用いてもよい。
【0104】
本発明の一態様では、積和演算回路にアナログ回路を用いる。したがって、積和演算回路の回路規模の縮小、または、メモリへのアクセス回数の減少による処理速度の向上および消費電力の低減を図ることができる。
【0105】
積和演算回路は、Siトランジスタによって構成してもよいし、OSトランジスタによって構成してもよい。特に、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、積和演算回路のアナログメモリを構成するトランジスタとして好適である。なお、SiトランジスタとOSトランジスタの両方を用いて積和演算回路を構成してもよい。以下、積和演算回路の機能を備えた半導体装置の構成例について説明する。
【0106】
<半導体装置の構成例>
図10に、ニューラルネットワークの演算を行う機能を有する半導体装置MACの構成例を示す。半導体装置MACは、ニューロン間の結合強度(重み)に対応する第1のデータと、入力データに対応する第2のデータの積和演算を行う機能を有する。なお、第1のデータおよび第2のデータはそれぞれ、アナログデータまたは多値のデータ(離散的なデータ)とすることができる。また、半導体装置MACは、積和演算によって得られたデータを活性化関数によって変換する機能を有する。
【0107】
半導体装置MACは、セルアレイCA、電流源回路CS、カレントミラー回路CM、回路WDD、回路WLD、回路CLD、オフセット回路OFST、および活性化関数回路ACTVを有する。
【0108】
セルアレイCAは、複数のメモリセルMCおよび複数のメモリセルMCrefを有する。
図10には、セルアレイCAがm行n列(m,nは1以上の整数)のメモリセルMC(MC[1,1]乃至[m,n])と、m個のメモリセルMCref(MCref[1]乃至[m])を有する構成例を示している。メモリセルMCは、第1のデータを格納する機能を有する。また、メモリセルMCrefは、積和演算に用いられる参照データを格納する機能を有する。なお、参照データはアナログデータまたは多値のデータとすることができる。
【0109】
メモリセルMC[i,j](iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)は、配線WL[i]、配線RW[i]、配線WD[j]、および配線BL[j]と接続されている。また、メモリセルMCref[i]は、配線WL[i]、配線RW[i]、配線WDref、配線BLrefと接続されている。ここで、メモリセルMC[i,j]と配線BL[j]間を流れる電流をI
MC[i,j]と表記し、メモリセルMCref[i]と配線BLref間を流れる電流をI
MCref[i]と表記する。
【0110】
メモリセルMCおよびメモリセルMCrefの具体的な構成例を、
図11に示す。
図11には代表例としてメモリセルMC[1,1]、[2,1]およびメモリセルMCref[1]、[2]を示しているが、他のメモリセルMCおよびメモリセルMCrefにも同様の構成を用いることができる。メモリセルMCおよびメモリセルMCrefはそれぞれ、トランジスタTr11、Tr12、容量素子C11を有する。ここでは、トランジスタTr11およびトランジスタTr12がnチャネル型のトランジスタである場合について説明する。
【0111】
メモリセルMCにおいて、トランジスタTr11のゲートは配線WLと接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタTr12のゲート、および容量素子C11の第1の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は配線WDと接続されている。トランジスタTr12のソースまたはドレインの一方は配線BLと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線VRと接続されている。容量素子C11の第2の電極は、配線RWと接続されている。配線VRは、所定の電位を供給する機能を有する配線である。ここでは一例として、配線VRから低電源電位(接地電位など)が供給される場合について説明する。
【0112】
トランジスタTr11のソースまたはドレインの一方、トランジスタTr12のゲート、および容量素子C11の第1の電極と接続されたノードを、ノードNMとする。また、メモリセルMC[1,1]、[2,1]のノードNMを、それぞれノードNM[1,1]、[2,1]と表記する。
【0113】
メモリセルMCrefも、メモリセルMCと同様の構成を有する。ただし、メモリセルMCrefは配線WDの代わりに配線WDrefと接続され、配線BLの代わりに配線BLrefと接続されている。また、メモリセルMCref[1]、[2]において、トランジスタTr11のソースまたはドレインの一方、トランジスタTr12のゲート、および容量素子C11の第1の電極と接続されたノードを、それぞれノードNMref[1]、[2]と表記する。
【0114】
ノードNMとノードNMrefはそれぞれ、メモリセルMCとメモリセルMCrefの保持ノードとして機能する。ノードNMには第1のデータが保持され、ノードNMrefには参照データが保持される。また、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]、[2,1]のトランジスタTr12には、それぞれ電流I
MC[1,1]、I
MC[2,1]が流れる。また、配線BLrefからメモリセルMCref[1]、[2]のトランジスタTr12には、それぞれ電流I
MCref[1]、I
MCref[2]が流れる。
【0115】
トランジスタTr11は、ノードNMまたはノードNMrefの電位を保持する機能を有するため、トランジスタTr11のオフ電流は小さいことが好ましい。そのため、トランジスタTr11としてオフ電流が極めて小さいOSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、ノードNMまたはノードNMrefの電位の変動を抑えることができ、演算精度の向上を図ることができる。また、ノードNMまたはノードNMrefの電位をリフレッシュする動作の頻度を低く抑えることが可能となり、消費電力を削減することができる。
【0116】
トランジスタTr12は特に限定されず、例えばSiトランジスタまたはOSトランジスタなどを用いることができる。トランジスタTr12にOSトランジスタを用いる場合、トランジスタTr11と同じ製造装置を用いて、トランジスタTr12を作製することが可能となり、製造コストを抑制することができる。なお、トランジスタTr12はnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。
【0117】
電流源回路CSは、配線BL[1]乃至[n]および配線BLrefと接続されている。電流源回路CSは、配線BL[1]乃至[n]および配線BLrefに電流を供給する機能を有する。なお、配線BL[1]乃至[n]に供給される電流値と配線BLrefに供給される電流値は異なっていてもよい。ここでは、電流源回路CSから配線BL[1]乃至[n]に供給される電流をI
C、電流源回路CSから配線BLrefに供給される電流をI
Crefと表記する。
【0118】
カレントミラー回路CMは、配線IL[1]乃至[n]および配線ILrefを有する。配線IL[1]乃至[n]はそれぞれ配線BL[1]乃至[n]と接続され、配線ILrefは、配線BLrefと接続されている。ここでは、配線IL[1]乃至[n]と配線BL[1]乃至[n]の接続箇所をノードNP[1]乃至[n]と表記する。また、配線ILrefと配線BLrefの接続箇所をノードNPrefと表記する。
【0119】
カレントミラー回路CMは、ノードNPrefの電位に応じた電流I
CMを配線ILrefに流す機能と、この電流I
CMを配線IL[1]乃至[n]にも流す機能を有する。
図10には、配線BLrefから配線ILrefに電流I
CMが排出され、配線BL[1]乃至[n]から配線IL[1]乃至[n]に電流I
CMが排出される例を示している。また、カレントミラー回路CMから配線BL[1]乃至[n]を介してセルアレイCAに流れる電流を、I
B[1]乃至[n]と表記する。また、カレントミラー回路CMから配線BLrefを介してセルアレイCAに流れる電流を、I
Brefと表記する。
【0120】
回路WDDは、配線WD[1]乃至[n]および配線WDrefと接続されている。回路WDDは、メモリセルMCに格納される第1のデータに対応する電位を、配線WD[1]乃至[n]に供給する機能を有する。また、回路WDDは、メモリセルMCrefに格納される参照データに対応する電位を、配線WDrefに供給する機能を有する。回路WLDは、配線WL[1]乃至[m]と接続されている。回路WLDは、データの書き込みを行うメモリセルMCまたはメモリセルMCrefを選択するための信号を、配線WL[1]乃至[m]に供給する機能を有する。回路CLDは、配線RW[1]乃至[m]と接続されている。回路CLDは、第2のデータに対応する電位を、配線RW[1]乃至[m]に供給する機能を有する。
【0121】
オフセット回路OFSTは、配線BL[1]乃至[n]および配線OL[1]乃至[n]と接続されている。オフセット回路OFSTは、配線BL[1]乃至[n]からオフセット回路OFSTに流れる電流量、および/または、配線BL[1]乃至[n]からオフセット回路OFSTに流れる電流の変化量を検出する機能を有する。また、オフセット回路OFSTは、検出結果を配線OL[1]乃至[n]に出力する機能を有する。なお、オフセット回路OFSTは、検出結果に対応する電流を配線OLに出力してもよいし、検出結果に対応する電流を電圧に変換して配線OLに出力してもよい。セルアレイCAとオフセット回路OFSTの間を流れる電流を、I
α[1]乃至[n]と表記する。
【0122】
オフセット回路OFSTの構成例を
図12に示す。
図12に示すオフセット回路OFSTは、回路OC[1]乃至[n]を有する。また、回路OC[1]乃至[n]はそれぞれ、トランジスタTr21、トランジスタTr22、トランジスタTr23、容量素子C21、および抵抗素子R1を有する。各素子の接続関係は
図12に示す通りである。なお、容量素子C21の第1の電極および抵抗素子R1の第1の端子と接続されたノードを、ノードNaとする。また、容量素子C21の第2の電極、トランジスタTr21のソースまたはドレインの一方、およびトランジスタTr22のゲートと接続されたノードを、ノードNbとする。
【0123】
配線VrefLは電位Vrefを供給する機能を有し、配線VaLは電位Vaを供給する機能を有し、配線VbLは電位Vbを供給する機能を有する。また、配線VDDLは電位VDDを供給する機能を有し、配線VSSLは電位VSSを供給する機能を有する。ここでは、電位VDDが高電源電位であり、電位VSSが低電源電位である場合について説明する。また、配線RSTは、トランジスタTr21の導通状態を制御するための電位を供給する機能を有する。トランジスタTr22、トランジスタTr23、配線VDDL、配線VSSL、および配線VbLによって、ソースフォロワ回路が構成される。
【0124】
次に、回路OC[1]乃至[n]の動作例を説明する。なお、ここでは代表例として回路OC[1]の動作例を説明するが、回路OC[2]乃至[n]も同様に動作させることができる。まず、配線BL[1]に第1の電流が流れると、ノードNaの電位は、第1の電流と抵抗素子R1の抵抗値に応じた電位となる。また、このときトランジスタTr21はオン状態であり、ノードNbに電位Vaが供給される。その後、トランジスタTr21はオフ状態となる。
【0125】
次に、配線BL[1]に第2の電流が流れると、ノードNaの電位は、第2の電流と抵抗素子R1の抵抗値に応じた電位に変化する。このときトランジスタTr21はオフ状態であり、ノードNbはフローティング状態となっているため、ノードNaの電位の変化に伴い、ノードNbの電位は容量結合により変化する。ここで、ノードNaの電位の変化をΔV
Naとし、容量結合係数を1とすると、ノードNbの電位はVa+ΔV
Naとなる。そして、トランジスタTr22のしきい値電圧をV
thとすると、配線OL[1]から電位Va+ΔV
Na−V
thが出力される。ここで、Va=V
thとすることにより、配線OL[1]から電位ΔV
Naを出力することができる。
【0126】
電位ΔV
Naは、第1の電流から第2の電流への変化量、抵抗素子R1、および電位Vrefに応じて定まる。ここで、抵抗素子R1と電位Vrefは既知であるため、電位ΔV
Naから配線BLに流れる電流の変化量を求めることができる。
【0127】
上記のようにオフセット回路OFSTによって検出された電流量、および/または電流の変化量に対応する信号は、配線OL[1]乃至[n]を介して活性化関数回路ACTVに入力される。
【0128】
活性化関数回路ACTVは、配線OL[1]乃至[n]、および、配線NIL[1]乃至[n]と接続されている。活性化関数回路ACTVは、オフセット回路OFSTから入力された信号を、あらかじめ定義された活性化関数に従って変換するための演算を行う機能を有する。活性化関数としては、例えば、シグモイド関数、tanh関数、softmax関数、ReLU関数、しきい値関数などを用いることができる。活性化関数回路ACTVによって変換された信号は、出力データとして配線NIL[1]乃至[n]に出力される。
【0129】
<半導体装置の動作例>
上記の半導体装置MACを用いて、第1のデータと第2のデータの積和演算を行うことができる。以下、積和演算を行う際の半導体装置MACの動作例を説明する。
【0130】
図13に半導体装置MACの動作例のタイミングチャートを示す。
図13には、
図11における配線WL[1]、配線WL[2]、配線WD[1]、配線WDref、ノードNM[1,1]、ノードNM[2,1]、ノードNMref[1]、ノードNMref[2]、配線RW[1]、および配線RW[2]の電位の推移と、電流I
B[1]−I
α[1]、および電流I
Brefの値の推移を示している。電流I
B[1]−I
α[1]は、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]、[2,1]に流れる電流の総和に相当する。
【0131】
なお、ここでは代表例として
図11に示すメモリセルMC[1,1]、[2,1]およびメモリセルMCref[1]、[2]に着目して動作を説明するが、他のメモリセルMCおよびメモリセルMCrefも同様に動作させることができる。
【0132】
[第1のデータの格納]
まず、時刻T01−T02において、配線WL[1]の電位がハイレベルとなり、配線WD[1]の電位が接地電位(GND)よりもV
PR−V
W[1,1]大きい電位となり、配線WDrefの電位が接地電位よりもV
PR大きい電位となる。また、配線RW[1]、および配線RW[2]の電位が基準電位(REFP)となる。なお、電位V
W[1,1]はメモリセルMC[1,1]に格納される第1のデータに対応する電位である。また、電位V
PRは参照データに対応する電位である。これにより、メモリセルMC[1,1]およびメモリセルMCref[1]が有するトランジスタTr11がオン状態となり、ノードNM[1,1]の電位がV
PR−V
W[1,1]、ノードNMref[1]の電位がV
PRとなる。
【0133】
このとき、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]のトランジスタTr12に流れる電流I
MC[1,1],0は、次の式で表すことができる。ここで、kはトランジスタTr12のチャネル長、チャネル幅、移動度、およびゲート絶縁膜の容量などで決まる定数である。また、V
thはトランジスタTr12のしきい値電圧である。
【0135】
また、配線BLrefからメモリセルMCref[1]のトランジスタTr12に流れる電流I
MCref[1],0は、次の式で表すことができる。
【0137】
次に、時刻T02−T03において、配線WL[1]の電位がローレベルとなる。これにより、メモリセルMC[1,1]およびメモリセルMCref[1]が有するトランジスタTr11がオフ状態となり、ノードNM[1,1]およびノードNMref[1]の電位が保持される。
【0138】
なお、前述の通り、トランジスタTr11としてOSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、トランジスタTr11のリーク電流を抑えることができ、ノードNM[1,1]およびノードNMref[1]の電位を正確に保持することができる。
【0139】
次に、時刻T03−T04において、配線WL[2]の電位がハイレベルとなり、配線WD[1]の電位が接地電位よりもV
PR−V
W[2,1]大きい電位となり、配線WDrefの電位が接地電位よりもV
PR大きい電位となる。なお、電位V
W[2,1]はメモリセルMC[2,1]に格納される第1のデータに対応する電位である。これにより、メモリセルMC[2,1]およびメモリセルMCref[2]が有するトランジスタTr11がオン状態となり、ノードNM[1,1]の電位がV
PR−V
W[2,1]、ノードNMref[1]の電位がV
PRとなる。
【0140】
このとき、配線BL[1]からメモリセルMC[2,1]のトランジスタTr12に流れる電流I
MC[2,1],0は、次の式で表すことができる。
【0142】
また、配線BLrefからメモリセルMCref[2]のトランジスタTr12に流れる電流I
MCref[2],0は、次の式で表すことができる。
【0144】
次に、時刻T04−T05において、配線WL[2]の電位がローレベルとなる。これにより、メモリセルMC[2,1]およびメモリセルMCref[2]が有するトランジスタTr11がオフ状態となり、ノードNM[2,1]およびノードNMref[2]の電位が保持される。
【0145】
以上の動作により、メモリセルMC[1,1]、[2,1]に第1のデータが格納され、メモリセルMCref[1]、[2]に参照データが格納される。
【0146】
ここで、時刻T04−T05において、配線BL[1]および配線BLrefに流れる電流を考える。配線BLrefには、電流源回路CSから電流が供給される。また、配線BLrefを流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMCref[1]、[2]へ排出される。電流源回路CSから配線BLrefに供給される電流をI
Cref、配線BLrefからカレントミラー回路CMへ排出される電流をI
CM,0とすると、次の式が成り立つ。
【0148】
配線BL[1]には、電流源回路CSからの電流が供給される。また、配線BL[1]を流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMC[1,1]、[2,1]へ排出される。また、配線BL[1]からオフセット回路OFSTに電流が流れる。電流源回路CSから配線BL[1]に供給される電流をI
C,0、配線BL[1]からオフセット回路OFSTに流れる電流をI
α,0とすると、次の式が成り立つ。
【0150】
[第1のデータと第2のデータの積和演算]
次に、時刻T05−T06において、配線RW[1]の電位が基準電位よりもV
X[1]大きい電位となる。このとき、メモリセルMC[1,1]、およびメモリセルMCref[1]のそれぞれの容量素子C11には電位V
X[1]が供給され、容量結合によりトランジスタTr12のゲートの電位が上昇する。なお、電位V
x[1]はメモリセルMC[1,1]およびメモリセルMCref[1]に供給される第2のデータに対応する電位である。
【0151】
トランジスタTr12のゲートの電位の変化量は、配線RWの電位の変化量に、メモリセルの構成によって決まる容量結合係数を乗じた値となる。容量結合係数は、容量素子C11の容量、トランジスタTr12のゲート容量、および寄生容量などによって算出される。以下では便宜上、配線RWの電位の変化量とトランジスタTr12のゲートの電位の変化量が同じ、すなわち容量結合係数が1であるとして説明する。実際には、容量結合係数を考慮して電位V
xを決定すればよい。
【0152】
メモリセルMC[1]およびメモリセルMCref[1]の容量素子C11に電位V
X[1]が供給されると、ノードNM[1]およびノードNMref[1]の電位がそれぞれV
X[1]上昇する。
【0153】
ここで、時刻T05−T06において、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]のトランジスタTr12に流れる電流I
MC[1,1],1は、次の式で表すことができる。
【0155】
すなわち、配線RW[1]に電位V
X[1]を供給することにより、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔI
MC[1,1]=I
MC[1,1],1−I
MC[1,1],0増加する。
【0156】
また、時刻T05−T06において、配線BLrefからメモリセルMCref[1]のトランジスタTr12に流れる電流I
MCref[1],1は、次の式で表すことができる。
【0158】
すなわち、配線RW[1]に電位V
X[1]を供給することにより、配線BLrefからメモリセルMCref[1]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔI
MCref[1]=I
MCref[1],1−I
MCref[1],0増加する。
【0159】
また、配線BL[1]および配線BLrefに流れる電流について考える。配線BLrefには、電流源回路CSから電流I
Crefが供給される。また、配線BLrefを流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMCref[1]、[2]へ排出される。配線BLrefからカレントミラー回路CMへ排出される電流をI
CM,1とすると、次の式が成り立つ。
【0161】
配線BL[1]には、電流源回路CSから電流I
Cが供給される。また、配線BL[1]を流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMC[1,1]、[2,1]へ排出される。さらに、配線BL[1]からオフセット回路OFSTにも電流が流れる。配線BL[1]からオフセット回路OFSTに流れる電流をI
α,1とすると、次の式が成り立つ。
【0163】
そして、式(E1)乃至式(E10)から、電流I
α,0と電流I
α,1の差(差分電流ΔI
α)は次の式で表すことができる。
【0165】
このように、差分電流ΔI
αは、電位V
W[1,1]とV
X[1]の積に応じた値となる。
【0166】
その後、時刻T06−T07において、配線RW[1]の電位は接地電位となり、ノードNM[1,1]およびノードNMref[1]の電位は時刻T04−T05と同様になる。
【0167】
次に、時刻T07−T08において、配線RW[1]の電位が基準電位よりもV
X[1]大きい電位となり、配線RW[2]の電位が基準電位よりもV
X[2]大きい電位が供給される。これにより、メモリセルMC[1,1]、およびメモリセルMCref[1]のそれぞれの容量素子C11に電位V
X[1]が供給され、容量結合によりノードNM[1,1]およびノードNMref[1]の電位がそれぞれV
X[1]上昇する。また、メモリセルMC[2,1]、およびメモリセルMCref[2]のそれぞれの容量素子C11に電位V
X[2]が供給され、容量結合によりノードNM[2,1]およびノードNMref[2]の電位がそれぞれV
X[2]上昇する。
【0168】
ここで、時刻T07−T08において、配線BL[1]からメモリセルMC[2,1]のトランジスタTr12に流れる電流I
MC[2,1],1は、次の式で表すことができる。
【0170】
すなわち、配線RW[2]に電位V
X[2]を供給することにより、配線BL[1]からメモリセルMC[2,1]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔI
MC[2,1]=I
MC[2,1],1−I
MC[2,1],0増加する。
【0171】
また、時刻T05−T06において、配線BLrefからメモリセルMCref[2]のトランジスタTr12に流れる電流I
MCref[2],1は、次の式で表すことができる。
【0173】
すなわち、配線RW[2]に電位V
X[2]を供給することにより、配線BLrefからメモリセルMCref[2]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔI
MCref[2]=I
MCref[2],1−I
MCref[2],0増加する。
【0174】
また、配線BL[1]および配線BLrefに流れる電流について考える。配線BLrefには、電流源回路CSから電流I
Crefが供給される。また、配線BLrefを流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMCref[1]、[2]へ排出される。配線BLrefからカレントミラー回路CMへ排出される電流をI
CM,2とすると、次の式が成り立つ。
【0176】
配線BL[1]には、電流源回路CSから電流I
Cが供給される。また、配線BL[1]を流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMC[1,1]、[2,1]へ排出される。さらに、配線BL[1]からオフセット回路OFSTにも電流が流れる。配線BL[1]からオフセット回路OFSTに流れる電流をI
α,2とすると、次の式が成り立つ。
【0178】
そして、式(E1)乃至式(E8)、および、式(E12)乃至式(E15)から、電流I
α,0と電流I
α,2の差(差分電流ΔI
α)は次の式で表すことができる。
【0180】
このように、差分電流ΔI
αは、電位V
W[1,1]と電位V
X[1]の積と、電位V
W[2,1]と電位V
X[2]の積と、を足し合わせた結果に応じた値となる。
【0181】
その後、時刻T08−T09において、配線RW[1]、[2]の電位は接地電位となり、ノードNM[1,1]、[2,1]およびノードNMref[1]、[2]の電位は時刻T04−T05と同様になる。
【0182】
式(E9)および式(E16)に示されるように、オフセット回路OFSTに入力される差分電流ΔI
αは、第1のデータ(重み)に対応する電位V
Xと、第2のデータ(入力データ)に対応する電位V
Wの積を足し合わせた結果に応じた値となる。すなわち、差分電流ΔI
αをオフセット回路OFSTで計測することにより、第1のデータと第2のデータの積和演算の結果を得ることができる。
【0183】
なお、上記では特にメモリセルMC[1,1]、[2,1]およびメモリセルMCref[1]、[2]に着目したが、メモリセルMCおよびメモリセルMCrefの数は任意に設定することができる。メモリセルMCおよびメモリセルMCrefの行数mを任意の数とした場合の差分電流ΔIαは、次の式で表すことができる。
【0185】
また、メモリセルMCおよびメモリセルMCrefの列数nを増やすことにより、並列して実行される積和演算の数を増やすことができる。
【0186】
以上のように、半導体装置MACを用いることにより、第1のデータと第2のデータの積和演算を行うことができる。なお、メモリセルMCおよびメモリセルMCrefとして
図11に示す構成を用いることにより、少ないトランジスタ数で積和演算回路を構成することができる。そのため、半導体装置MACの回路規模の縮小を図ることができる。
【0187】
半導体装置MACをニューラルネットワークにおける演算に用いる場合、メモリセルMCの行数mは一つのニューロンに供給される入力データの数に対応させ、メモリセルMCの列数nはニューロンの数に対応させることができる。例えば、
図9(A)に示す中間層HLにおいて半導体装置MACを用いた積和演算を行う場合を考える。このとき、メモリセルMCの行数mは、入力層ILから供給される入力データの数(入力層ILのニューロンの数)に設定し、メモリセルMCの列数nは、中間層HLのニューロンの数に設定することができる。
【0188】
なお、半導体装置MACを適用するニューラルネットワークの構造は特に限定されない。例えば半導体装置MACは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、オートエンコーダ、ボルツマンマシン(制限ボルツマンマシンを含む)などに用いることもできる。
【0189】
以上のように、半導体装置MACを用いることにより、ニューラルネットワークの積和演算を行うことができる。さらに、セルアレイCAに
図11に示すメモリセルMCおよびメモリセルMCrefを用いることにより、演算精度の向上、消費電力の削減、または回路規模の縮小を図ることが可能な集積回路ICを提供することができる。
【0190】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0191】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置の構成例などについて説明する。
【0192】
図14(A)に、撮像装置が有する画素の構成を例示する。
図14(A)に示す画素は、層561、層562および層563の積層構成である例である。
【0193】
層561は、光電変換素子101を有する。光電変換素子101は、
図14(B)に示すように層565aと、層565bと、層565cとの積層とすることができる。
【0194】
図14(B)に示す光電変換素子101はpn接合型フォトダイオードであり、例えば、層565aにp
+型半導体、層565bにn型半導体、層565cにn
+型半導体を用いることができる。または、層565aにn
+型半導体、層565bにp型半導体、層565cにp
+型半導体を用いてもよい。または、層565bをi型半導体としたpin接合型フォトダイオードであってもよい。
【0195】
上記pn接合型フォトダイオードまたはpin接合型フォトダイオードは、単結晶シリコンを用いて形成することができる。また、pin接合型フォトダイオードとしては、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどの薄膜を用いて形成することもできる。
【0196】
また、層561が有する光電変換素子101は、
図14(C)に示すように、層566aと、層566bと、層566c、層566dとの積層としてもよい。
図14(C)に示す光電変換素子101はアバランシェフォトダイオードの一例であり、層566a、層566dは電極に相当し、層566b、566cは光電変換部に相当する。
【0197】
層566aは、低抵抗の金属層などとすることが好ましい。例えば、アルミニウム、チタン、タングステン、タンタル、銀またはそれらの積層を用いることができる。
【0198】
層566dは、可視光に対して高い透光性を有する導電層を用いることが好ましい。例えば、インジウム酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム−錫酸化物、ガリウム−亜鉛酸化物、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物、またはグラフェンなどを用いることができる。なお、層566dを省く構成とすることもできる。
【0199】
光電変換部の層566b、566cは、例えばセレン系材料を光電変換層としたpn接合型フォトダイオードの構成とすることができる。層566bとしてはp型半導体であるセレン系材料を用い、層566cとしてはn型半導体であるガリウム酸化物などを用いることが好ましい。
【0200】
セレン系材料を用いた光電変換素子は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ増倍を利用することにより、入射される光量に対する電子の増幅を大きくすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層を薄膜で作製できるなどの生産上の利点を有する。セレン系材料の薄膜は、真空蒸着法またはスパッタ法などを用いて形成することができる。
【0201】
セレン系材料としては、単結晶セレンや多結晶セレンなどの結晶性セレン、非晶質セレン、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)、または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)などを用いることができる。
【0202】
n型半導体は、バンドギャップが広く、可視光に対して透光性を有する材料で形成することが好ましい。例えば、亜鉛酸化物、ガリウム酸化物、インジウム酸化物、錫酸化物、またはそれらが混在した酸化物などを用いることができる。また、これらの材料は正孔注入阻止層としての機能も有し、暗電流を小さくすることもできる。
【0203】
層562は、OSトランジスタを有することができる。具体的には、画素100aのトランジスタ102、第2の画素ブロック300のトランジスタ301などを層563に設けることができる。また、回路201乃至203、第1の画素ブロック400、および回路401乃至405を構成する一部のトランジスタを層562に設けてもよい。
【0204】
当該構成とすることで、画素回路を構成する要素および周辺回路を複数の層に分散させ、当該要素同士または当該要素と当該周辺回路を重ねて設けることができるため、撮像装置の面積を小さくすることができる。
【0205】
OSトランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAC−OSなどを用いることができる。
【0206】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0207】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn−M−Zn系酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0208】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×10
17/cm
3以下、好ましくは1×10
15/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
13/cm
3以下、より好ましくは1×10
11/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
10/cm
3未満であり、1×10
−9/cm
3以上のキャリア密度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0209】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0210】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
17atoms/cm
3以下とする。
【0211】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、半導体層におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、1×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
16atoms/cm
3以下にする。
【0212】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じてキャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における窒素濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)は、5×10
18atoms/cm
3以下にすることが好ましい。
【0213】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向した結晶を有するCAAC−OS(C−Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor、または、C−Axis Aligned and A−B−plane Anchored Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0214】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0215】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0216】
以下では、非単結晶の半導体層の一態様であるCAC(Cloud−Aligned Composite)−OSの構成について説明する。
【0217】
CAC−OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0218】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0219】
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InO
X1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、In
X2Zn
Y2O
Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaO
X3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、Ga
X4Zn
Y4O
Z4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInO
X1、またはIn
X2Zn
Y2O
Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0220】
つまり、CAC−OSは、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0221】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO
3(ZnO)
m1(m1は自然数)、またはIn
(1+x0)Ga
(1−x0)O
3(ZnO)
m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0222】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0223】
一方、CAC−OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0224】
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0225】
なお、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0226】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0227】
CAC−OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0228】
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0229】
また、CAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング状に輝度の高い領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
【0230】
また、例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0231】
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaO
X3などが主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0232】
ここで、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域は、GaO
X3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。したがって、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0233】
一方、GaO
X3などが主成分である領域は、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaO
X3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0234】
したがって、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaO
X3などに起因する絶縁性と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(I
on)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0235】
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC−OSは、様々な半導体装置の構成材料として適している。
【0236】
層563としては、例えばシリコン基板を用いることができる。当該シリコン基板は、Siトランジスタ等を有する。当該Siトランジスタを用いて、画素回路の他、当該画素回路を駆動する回路、画像信号の読み出し回路、画像処理回路等を設けることができる。具体的には、画素100a、回路201乃至203、第1の画素ブロック400、および回路401乃至405を構成する複数のトランジスタを層563に設けることができる。
【0237】
図15(A)は、
図14(A)に示す画素の断面の一例を説明する図である。層561は光電変換素子101として、シリコンを光電変換層とするpn接合型フォトダイオードを有する。層562はOSトランジスタを有し、
図15(A)では画素100aのトランジスタ102を例示する。層563はSiトランジスタを有し、
図15(A)では画素100aのインバータ回路103を構成するn−ch型トランジスタおよびp−ch型トランジスタを例示する。
【0238】
光電変換素子101において、層565aはp
+型領域、層565bはn型領域、層565cはn
+型領域とすることができる。また、層565bには、電源線と層565cとを接続するための領域536が設けられる。例えば、領域536はp
+型領域とすることができる。
【0239】
図15(A)において、OSトランジスタはセルフアライン型の構成を示しているが、
図16(A)に示すように、ノンセルフアライン型のトップゲート型トランジスタであってもよい。
【0240】
トランジスタ102はバックゲート535を有する構成を示しているが、バックゲートを有さない形態であってもよい。バックゲート535は、
図16(B)に示すように、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続する場合がある。または、バックゲート535にフロントゲートとは異なる固定電位を供給することができる構成であってもよい。
【0241】
また、
図15(A)において、Siトランジスタはシリコン基板540にチャネル形成領域を有するプレーナー型の構成を示しているが、
図16(C)、(D)に示すように、シリコン基板540にフィン型の半導体層を有する構成であってもよい。
図16(C)はチャネル長方向の断面、
図16(D)はチャネル幅方向の断面に相当する。
【0242】
または、
図16(E)に示すように、シリコン薄膜の半導体層545を有するトランジスタであってもよい。半導体層545は、例えば、シリコン基板540上の絶縁層546上に形成された単結晶シリコン(SOI(Silicon on Insulator))とすることができる。
【0243】
OSトランジスタが形成される領域とSiトランジスタが形成される領域との間には、水素の拡散を防止する機能を有する絶縁層543が設けられる。インバータ回路103を構成するSiトランジスタのチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁層中の水素は、シリコンのダングリングボンドを終端する。一方、OSトランジスタ(トランジスタ102)のチャネル形成領域の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。
【0244】
絶縁層543により、一方の層に水素を閉じ込めることでSiトランジスタの信頼性を向上させることができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されることでOSトランジスタの信頼性も向上させることができる。
【0245】
絶縁層543としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0246】
ここで、
図15(A)では、層561が有する要素と層562が有する要素との電気的な接続を貼り合わせ技術で得る構成例を示している。
【0247】
層561には、絶縁層542、導電層533および導電層534が設けられる。導電層533および導電層534は、絶縁層542に埋設された領域を有する。導電層533は、層565aと電気的に接続される。導電層534は、領域536と電気的に接続される。また、絶縁層542、導電層533および導電層534の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
【0248】
層562には、絶縁層541、導電層531および導電層532が設けられる。導電層531および導電層532は、絶縁層541に埋設された領域を有する。導電層532は、電源線と電気的に接続される。導電層531は、トランジスタ102のソースまたはドレインと電気的に接続される。また、絶縁層541、導電層531および導電層532の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
【0249】
ここで、導電層531および導電層533は、主成分が同一の金属元素であることが好ましい。導電層532および導電層534は、主成分が同一の金属元素であることが好ましい。また、絶縁層541および絶縁層542は、同一の成分で構成されていることが好ましい。
【0250】
例えば、導電層531、532、533、534には、Cu、Al、Sn、Zn、W、Ag、PtまたはAuなどを用いることができる。接合のしやすさから、好ましくはCu、Al、W、またはAuを用いる。また、絶縁層541、542には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタンなどを用いることができる。
【0251】
つまり、導電層531および導電層533の組み合わせと、導電層532および導電層534の組み合わせのそれぞれに、上記に示す同一の金属材料を用いることが好ましい。また、絶縁層541および絶縁層542のそれぞれに、上記に示す同一の絶縁材料を用いることが好ましい。当該構成とすることで、層561と層562の境を接合位置とする、貼り合わせを行うことができる。
【0252】
当該貼り合わせによって、導電層531および導電層533の組み合わせと、導電層532および導電層534の組み合わせのそれぞれの電気的な接続を得ることができる。また、絶縁層541および絶縁層542の機械的な強度を有する接続を得ることができる。
【0253】
金属層同士の接合には、表面の酸化膜および不純物の吸着層などをスパッタリング処理などで除去し、清浄化および活性化した表面同士を接触させて接合する表面活性化接合法を用いることができる。または、温度と圧力を併用して表面同士を接合する拡散接合法などを用いることができる。どちらも原子レベルでの結合が起こるため、電気的だけでなく機械的にも優れた接合を得ることができる。
【0254】
また、絶縁層同士の接合には、研磨などによって高い平坦性を得たのち、酸素プラズマ等で親水性処理をした表面同士を接触させて仮接合し、熱処理による脱水で本接合を行う親水性接合法などを用いることができる。親水性接合法も原子レベルでの結合が起こるため、機械的に優れた接合を得ることができる。
【0255】
層561と、層562を貼り合わせる場合、それぞれの接合面には絶縁層と金属層が混在するため、例えば、表面活性化接合法および親水性接合法を組み合わせて行えばよい。
【0256】
例えば、研磨後に表面を清浄化し、金属層の表面に酸化防止処理を行ったのちに親水性処理を行って接合する方法などを用いることができる。また、金属層の表面をAuなどの難酸化性金属とし、親水性処理を行ってもよい。なお、上述した方法以外の接合方法を用いてもよい。
【0257】
図15(B)は、
図14(A)に示す画素の層561にセレン系材料を光電変換層とするpn接合型フォトダイオードを用いた場合の断面図である。一方の電極として層566aと、光電変換層として層566b、566cと、他方の電極として層566dを有する。
【0258】
この場合、層561は、層562上に直接形成することができる。層566aは、トランジスタ102のソースまたはドレインと電気的に接続される。層566dは、導電層537を介して電源線と電気的に接続される。
【0259】
図17(A)は、本発明の一態様の撮像装置の画素にカラーフィルタ等を付加した例を示す斜視図である。当該斜視図では、複数の画素の断面もあわせて図示している。光電変換素子101が形成される層561上には、絶縁層580が形成される。絶縁層580は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層してもよい。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層してもよい。
【0260】
絶縁層580上には、遮光層581が形成されてもよい。遮光層581は、上部のカラーフィルタを通る光の混色を防止する機能を有する。遮光層581には、アルミニウム、タングステンなどの金属層を用いることができる。また、当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体膜を積層してもよい。
【0261】
絶縁層580および遮光層581上には、平坦化膜として有機樹脂層582を設けることができる。また、画素別にカラーフィルタ583(カラーフィルタ583a、583b、583c)が形成される。例えば、カラーフィルタ583a、583b、583cに、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
【0262】
カラーフィルタ583上には、可視光に対して透光性を有する絶縁層586などを設けることができる。
【0263】
また、
図17(B)に示すように、カラーフィルタ583の代わりに光学変換層585を用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
【0264】
例えば、光学変換層585に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層585に近赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層585に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば、紫外線撮像装置とすることができる。また、可視光に対応するカラーフィルタと赤外線または紫外線に対応するフィルタを組み合わせてもよい。本発明の一態様によれば隣接画素を用いて演算が行われるので、異なる波長の組み合わせから得られる特徴を検出することができる。
【0265】
また、光学変換層585にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンス現象により可視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子101で検知することにより画像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
【0266】
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光や紫外光を発する物質を含む。例えば、Gd
2O
2S:Tb、Gd
2O
2S:Pr、Gd
2O
2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF
2、BaF
2、CeF
3、LiF、LiI、ZnOなどを樹脂やセラミクスに分散させたものを用いることができる。
【0267】
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子101においては、X線等の放射線を電荷に直接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成とすることもできる。
【0268】
また、
図17(C)に示すように、カラーフィルタ583上にマイクロレンズアレイ584を設けてもよい。マイクロレンズアレイ584が有する個々のレンズを通る光が直下のカラーフィルタ583を通り、光電変換素子101に照射されるようになる。また、
図17(B)に示す光学変換層585上にマイクロレンズアレイ584を設けてもよい。
【0269】
以下では、イメージセンサチップを収めたパッケージおよびカメラモジュールの一例について説明する。当該イメージセンサチップには、上記撮像装置の構成を用いることができる。
【0270】
図18(A1)は、イメージセンサチップを収めたパッケージの上面側の外観斜視図である。当該パッケージは、イメージセンサチップ650を固定するパッケージ基板610、カバーガラス620および両者を接着する接着剤630等を有する。
【0271】
図18(A2)は、当該パッケージの下面側の外観斜視図である。パッケージの下面には、半田ボールをバンプ640としたBGA(Ball grid array)を有する。なお、BGAに限らず、LGA(Land grid array)やPGA(Pin Grid Array)などを有していてもよい。
【0272】
図18(A3)は、カバーガラス620および接着剤630の一部を省いて図示したパッケージの斜視図である。パッケージ基板610上には電極パッド660が形成され、電極パッド660およびバンプ640はスルーホールを介して電気的に接続されている。電極パッド660は、イメージセンサチップ650とワイヤ670によって電気的に接続されている。
【0273】
また、
図18(B1)は、イメージセンサチップをレンズ一体型のパッケージに収めたカメラモジュールの上面側の外観斜視図である。当該カメラモジュールは、イメージセンサチップ651を固定するパッケージ基板611、レンズカバー621、およびレンズ635等を有する。また、パッケージ基板611およびイメージセンサチップ651の間には撮像装置の駆動回路および信号変換回路などの機能を有するICチップ690も設けられており、SiP(System in package)としての構成を有している。
【0274】
図18(B2)は、当該カメラモジュールの下面側の外観斜視図である。パッケージ基板611の下面および側面には、実装用のランド641が設けられたQFN(Quad flat no−lead package)の構成を有する。なお、当該構成は一例であり、QFP(Quad flat package)や前述したBGAが設けられていてもよい。
【0275】
図18(B3)は、レンズカバー621およびレンズ635の一部を省いて図示したモジュールの斜視図である。ランド641は電極パッド661と電気的に接続され、電極パッド661はイメージセンサチップ651またはICチップ690とワイヤ671によって電気的に接続されている。
【0276】
イメージセンサチップを上述したような形態のパッケージに収めることでプリント基板等への実装が容易になり、イメージセンサチップを様々な半導体装置、電子機器に組み込むことができる。
【0277】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0278】
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る撮像装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置または画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図19(A)乃至(F)に示す。
【0279】
図19(A)は監視カメラであり、支持台951、カメラユニット952、保護カバー953等を有する。カメラユニット952には回転機構などが設けられ、天井に設置することで全周囲の撮像が可能となる。当該カメラユニットにおける画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。なお、監視カメラとは慣用的な名称であり、用途を限定するものではない。例えば監視カメラとしての機能を有する機器はカメラ、またはビデオカメラとも呼ばれる。
【0280】
図19(B)はビデオカメラであり、第1筐体971、第2筐体972、表示部973、操作キー974、レンズ975、接続部976、スピーカ977、マイク978等を有する。操作キー974およびレンズ975は第1筐体971に設けられており、表示部973は第2筐体972に設けられている。当該ビデオカメラにおける画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0281】
図19(C)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク963、発光部967、レンズ965等を有する。当該デジタルカメラにおける画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0282】
図19(D)は腕時計型の情報端末であり、表示部932、筐体兼リストバンド933、カメラ939等を有する。表示部932は、情報端末の操作を行うためのタッチパネルを備える。表示部932および筐体兼リストバンド933は可撓性を有し、身体への装着性が優れている。当該情報端末における画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0283】
図19(E)は携帯電話機の一例であり、筐体981、表示部982、操作ボタン983、外部接続ポート984、スピーカ985、マイク986、カメラ987等を有する。当該携帯電話機は、表示部982にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部982に触れることで行うことができる。当該携帯電話機における画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0284】
図19(F)は携帯データ端末であり、筐体911、表示部912、カメラ919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。当該携帯データ端末における画像を取得するための部品の一つとして本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0285】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。