【氏名又は名称】シュワン−スタビロ コスメティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1種の乳化剤は、油中水型乳化剤もしくは油中水型乳化系であり、かつ/または該乳化剤は、溶融の前に、溶融の間、もしくは溶融の後にワックス相と混合される、請求項2または3記載の方法。
アクリレートおよび/またはポリウレタンを基礎とする少なくとも1種の皮膜形成剤を、水溶性または水分散性の皮膜形成剤として使用することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
ワックスと少なくとも1種のフィッシャー・トロプシュワックスおよび少なくとも1種の植物性ワックスの組み合わせ物を使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
スクロースラウレート、スクロースステアレート、スクロースジステアレート、スクロースポリステアレート、もしくはそれらの組み合わせ物を、スクロースエステルとして使用し、かつ/またはポリグリセリル−5ジオレエート、ポリグリセリル−10ジイソステアレート、ポリグリセリル−6ジステアレート、もしくはそれらの組み合わせ物を、ポリグリセリル脂肪酸エステルを基礎とする乳化剤として使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化されたワックスマトリックスを有する化粧調製品の製造方法、該方法により製造された調製品、およびその使用に関する。
【0002】
皮膚または半粘膜のメークアップのための化粧調製品は一般的に知られている。そのような調製品は液体形および固体形で利用することができる。固体調製品は、軟質ペーストとしてのメークアップペンシルの形で、またはルースパウダーもしくはプレスパウダーの形で知られている。植物油、動物油、もしくは合成油、脂肪、およびワックスの無水の混合物であって、その中に顔料、真珠光沢剤、またはその他の効果物質およびフィラーが分散されている混合物は、しばしばメークアップペンシルまたはメークアップペーストのために使用される。粉末はしばしば、顔料、真珠光沢剤またはその他の効果物質、およびフィラーと、取り扱いと加工をより簡単にするために添加される油系バインダーまたはエマルジョン系バインダーとの混合物であるプレスパウダーに仕立てられる。また、リップスティック素材、すなわち唇に適用することができる軟質ペーストの形の化粧調製品もよく知られている。リップスティック素材は通常、ワックスおよび油を含有し、そこに顔料が添加された混合物を基礎としている。
【0003】
装飾化粧品の分野における組成物の一般的な必要条件は、適用の簡易さ、皮膚、粘膜、または半粘膜への適用時の心地よい感覚、適用箇所への長い付着性、および滲みまたは皺への移行がないことである。さらに、前記素材は、長い貯蔵寿命を有さねばならない。
【0004】
多くの公知の調製品は、それらが適用箇所に十分に付着せず、皿、カトラリー、グラス、テキスタイル、または皮膚等のそれらが接触する材料に容易に移り得るという欠点を有する。一方でこれは美的でなく、他方で適用された皮膜またはラインは改善される必要がある。脂質を含む調製品に関するもう1つの問題は、親油性物質、特に油が皮膚および半粘膜上に拡散し、その素材の適用箇所外への移行がもたらされること、特に唇または目の周りの皮膚の小じわへの移行がもたらされることである。これにより、見苦しく好ましくない構造が作り上げられる。皮脂および汗がこれらの効果を引き起こすか、または強めることがある。
【0005】
目の領域に適用される、アイライナー、アイシャドウ、またはマスカラ等の調製品の場合には、「タッチアップ」も1つの問題である。タッチアップとは、アイライナーまたはアイシャドウ等の適用された素材の一部が、目蓋の運動および皮脂の効果のため、特に目蓋の皺に移ることで、ストライプ状の構造が生ずる現象を指す。
【0006】
脂質を含む組成物のこれらの欠点を避けるために、油、脂肪、およびワックスを含まない代わりに、水相または水性アルコール相中にポリマーを含有する分散液を基礎とする調製品を開発することが既に試みられている。その際、これらの分散液は、皮膚または半粘膜上に弾性皮膜を形成し得る。しかしながら、これらの皮膜はしばしば、多かれ少なかれ耐水性であるが、皮膚上であまり心地よくないか、または該皮膜は適用しやすく皮膚上で心地よいが、耐水性でないかのいずれかである。
【0007】
エマルジョンも、化粧調製品のために使用されることが知られている。通常のワックス素材はしばしば非常に耐水性であるが、脂肪性成分および油性成分に対しては耐性ではなく、その一方で、水系化粧品はしばしば、油および脂肪に対して耐性であるが、不十分な耐水性を有し、乳化剤は、水と油との混和性を促し、エマルジョンはしばしば十分な耐久性をもたらさない。エマルジョンの耐久性は、水もしくは汗または皮脂等の内因性流体と接触される場合に特に不適切である。
【0008】
目に適用される化粧調製品を提供することへの要求が特に厳しい。一方で、目領域は特に過敏である。他方で、耐水性および脂質耐性が必要とされるので、耐久性の要求が特に高い。したがって、目に適用されるべきメークアップペンシルは、硬質であってはならず、摩耗が十分でなければならない。他方で、柔らかすぎて出る量が多すぎるメークアップペンシルは、あまり良好に適用することができず、汚れる傾向にある。
【0009】
目領域に適用される調製品も知られている。特に、多岐にわたるマスカラ組成物、すなわち睫毛に適用され、通常はそれを黒く着色する組成物が存在する。例えば、米国特許出願公開第2015/0079016号明細書(US2015/0079016)は、液体脂質物質、乳化系、および皮膜形成剤を含有するマスカラ組成物を記載している。ワックスも存在する場合があるが、好ましくは避けられるべきであるか、または存在するにしても、非常に少ない割合でしか使用されるべきではない。完成した組成物は、クリーム状のテクスチャを生ずる流体の水中油型エマルジョンである。
【0010】
さらに、米国特許出願公開第2014/0105845号明細書(US2014/0105845)に、μm範囲のワックス粒子およびラテックス皮膜形成剤を必須成分として有するワックス分散液を有するワックスベースのマスカラ組成物が述べられている。ラテックス皮膜形成剤の添加には、該組成物の落とし能力を改善する目的がある。
【0011】
化粧製品の製造のための多くの様々な組成物が、特に目に使用するためにも記載されているが、完全に満足のいく解決策は未だに見出されていない。目に適用するためのメークアップペンシルの形の組成物はしばしば、耐水性であるが、その親油性のため拡散し得るか、または脂質耐性であるが、涙液によりぼやけるかのいずれかである。しばしばメークアップペンシルの形の組成物は、放出特性が最適ではないので目へとあまり良好に適用することができない。
【0012】
しばしば、適用後に溶剤の蒸発により脂質層を形成する、溶剤中に溶解された脂質様成分がそのような調製品のために使用される。この場合に同様に、溶剤は蒸発時に目を刺激してはならないので、目に使用される溶剤に関しては制約が存在する。
【0013】
本発明の課題は、目に適用されるべき固体調製品、特にメークアップペンシルの形であり得、適用するのが簡単で心地よく、適用後に防汚性、耐水性、および耐油性であり、かつ美的で均質な着色ラインを形成する調製品を提供することであった。もう1つの課題は、できる限り低い親油性物質の割合を有する調製品を提供することである。その素材は、固体の自立型のペンシル芯として、またはメークアップペンシルにおけるペンシル芯として使用され得る構造を有するべきである。
【0014】
さらに、適用された皮膜または適用されたラインは、移行することなく、または目蓋上でストライプを形成することなく適用箇所に安定にとどまるべきである。
【0015】
適用された組成物を適用箇所で安定化するためには、揮発性物質の蒸発後に永続的な皮膜を残す皮膜形成性ポリマーがしばしば使用される。この皮膜は、耐水性、耐油性、かつ防汚性であるべきである。
【0016】
目下、本発明によれば、前記問題を解決する調製品を製造する方法が提供される。本発明により得られる調製品は、適用するのが簡単であり、皺へと移行することなく適用箇所に非常に長時間にわたり付着し、製造するのが簡単であり、かつその素材をペンシル芯として賦形することができるので適用するのが簡単であることを特徴とする。さらに、その適用および適用の間に生ずる皮膜は、非常に心地よく、刺激を与えない。生ずる皮膜は、耐水性、耐油性、かつ防汚性である。要するに、本発明による調製品は、脂肪および油により溶解されないだけでなく、水によっても溶解されない非常に高い耐久性を有する皮膜を生ずる。さらに、本発明による調製品は、それが目に刺激を与え得る成分を一切含有せず、特に有機溶剤は、非常に少量しか必要とされないことを特徴とする。本発明による調製品は、皮膚および半粘膜に適用され得る。
【0017】
本発明による調製品は、特別な構造を有する素材を形成する特別な方法により得られる。本発明によるワックス調製物は固体形で存在し、本明細書での「固体」は、該ワックス調製物が室温でその自重の作用下で流体ではないことを意味する。
【0018】
驚くべきことに、本発明による方法によって、柔らかく心地よく適用することができ、また適用後に皮膚および半粘膜上で非常に心地よいが、それにもかかわらず非常に良好に付着するワックス調製物を製造することが可能であることが判明した。
【0019】
したがって、本発明は、a)少なくとも1種のワックス、少なくとも1種の油、および該当する場合には油溶性成分を含むワックス相を溶融させ、b)溶融されたワックス相を、少なくとも1種の水溶性および/または水分散性の皮膜形成剤、ならびに油中水型乳化系を含有する水相と混合することでエマルジョンを形成し、そしてc)得られたエマルジョンを冷却させることで、複数の水相液滴が中に埋設されたワックスマトリックスを形成する、固体化粧調製品の製造方法を提供する。
【0020】
本発明による方法は、上記説明の問題を解決する構造を有する調製物を提供することを可能にする。前記方法により形成される、複数の液滴が中に埋設されたワックスマトリックスは、機械的に非常に安定であり、加工することで自立型のペンシル芯または空のスリーブに挿入され得るペンシル芯を形成することができる。外側ワックス層は、該調製物を非常に安定にとどめることを可能にする。ワックスマトリックス中には、皮膜形成剤が中に溶解または分散された水相を含有する液滴が埋設されており、前記液滴は融合または消失しない。適用時には、ワックス層は皮膚に適用され、水滴が外側に移行して、そのワックス層上に層を形成し、水は蒸発して、ワックス層を覆う皮膜が取り残される。結果として、適用された層は、適用箇所で安定にとどまる。顔料が含まれる場合に、ワックス層は、形成された構造中に顔料を埋設された状態で保つため、顔料もその外に移行することなく、またはその外に運ばれることなく適用箇所にとどまる。皮膜形成剤は、ワックス層を拡散または移行から保護する。これにより、非常に高い度合いの耐久性がもたらされる。
【0021】
この特殊な構造は、本発明による方法を示された3つの工程で実施した場合にのみ形成される。簡潔には、油中水型エマルジョンが、溶融されたワックス相と皮膜形成性の水相とから形成され、それを冷却させることで、固体ワックスのマトリックスおよびその中に分散された液滴が形成される。
【0022】
工程a)において、流体ワックス相が形成される。このために、少なくとも1種のワックスを溶融させ、油および油溶性成分等の疎水性成分を添加する。顔料および/または可溶性染料が使用される場合に、それらは工程a)において添加されてもよい。
【0023】
任意の化粧品に許容可能なワックスが適している。適切なワックスは、専門家によく知られている。例は、天然由来のワックス、例えば蜜ろう、カルナウバろう、カンデリラろう、オーリクリーろう、木ろう、パラフィンろう、微結晶ろう、ラノリンろう、モンタンろう、オゾケライト、および水添油、例えば水添ホホバ油である。合成由来のワックス、例えばポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、およびシリコーンワックスも適している。
【0024】
たった1種類のワックスまたはワックスの混合物を使用することもでき、数ある中から、完成した組成物の所望の粘稠性に基づいて選択される。本発明による調製品においては、種々のワックスの混合物、例えば異なる融点を有するワックスの混合物、ならびに/または異なる天然ワックスおよび/もしくは合成ワックスの混合物が好ましい。特に、1種以上の植物性ワックスおよび種々の融点を有する種々のフィッシャー・トロプシュワックスの混合物が非常に良好な結果をもたらすことが判明した。2種以上の異なるワックスを混合することで、所望の融点を非常に正確に定めることができる均質な混合物が生成される。
【0025】
ワックス成分の融点は、適用特性および摩耗特性のために重要である。融点が高すぎる場合に、適用することができる素材を配合することが困難である。この場合に、高い割合の油性成分を添加せねばならず、ひいては適用箇所での調製品の安定性に悪影響を及ぼす。他方で、融点が低すぎる場合に、そのワックスは適用箇所で軟化し、滲むこととなる。さらに、貯蔵寿命も限定される。該組成物は目の皮膚および半粘膜に適用されるので、ワックス成分の融点は、どの場合においても50℃を上回るべきである。
【0026】
特に適しているのは、高融点ワックス、例えば80℃〜85℃の融点を有するワックス、中融点ワックス、例えば65℃〜80℃の範囲の融点を有するワックス、および低融点ワックス、例えば55℃〜60℃の範囲の融点を有するワックスの組み合わせ物である。適切なワックスは、多くの様々な融点で入手可能なフィッシャー・トロプシュワックス、およびカンデリラろう等の植物性ワックスであり、こうして各々の適用のためにふさわしい組み合わせ物を見出すことができる。
【0027】
前記1種以上のワックスは、前記組成物中にマトリックスの形成に必要な割合で存在する。適切な量は、5質量%からある質量%までの範囲、好ましくは8質量%からある質量%までの範囲、例えば最大13質量%の範囲にある。それぞれの質量%という表示は、特段の記載が無い限り、完成した組成物を基準とする。
【0028】
幾つかのワックスが含まれる場合に、それらの量は、専門家に知られるように所望の融点およびその他の所望の特性に従って調節される。例えば、ワックス相は、ほぼ前記質量%までの高融点ワックス、約40質量%の中融点ワックス、および約40質量%〜約70質量%の低融点ワックスを含み得る。
【0029】
ワックス相はまた、ワックスの軟化および溶解の役割を果たす少なくとも1種の油を含有する。
【0030】
揮発性油および不揮発性油の両者、ならびに両者の混合物が使用され得る。ワックスを柔軟にし柔軟に保つために少なくとも1種の不揮発性油を使用するだけでなく、前記組成物の適用を容易にするために少なくとも少ない割合の揮発性油を使用することが有利であることが判明し、その場合に、揮発性油は適用後に蒸発し、所望の構造でワックスが残る。
【0031】
不揮発性油は、極性油または非極性油であり得る。非極性油の例は、特にシリコーン油、例えば室温で液体の線状および環状のポリジメチルシロキサンである。適切なシリコーン油は、ワックスを溶解し、調製品のスムーズな適用を可能にする。
【0032】
本発明による調製品のためにも適している不揮発性油は、極性油、例えば合成由来または鉱物由来の極性油であり、それはさらに、例えば可塑剤等の追加の特性にも寄与し得る。化粧品組成物において通常使用される油の例としては、植物に由来するトリグリセリド油、例えば、麦芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、または有用な特性に寄与するその他の植物由来の油が挙げられる。合成油、例えばミリスチン酸イソプロピル等のミリスチン酸のエステル、パルミチン酸、ステアリン酸、ならびに合成由来および鉱物由来の不揮発性炭化水素、例えばイソパラフィンおよびパラフィン油が適している。ワックスの柔軟性を高め、顔料の濡れを改善し、適用をより心地よくし得る不揮発性油のもう1つの例は、ブチレングリコールココエートである。
【0033】
本発明による調製品のワックス相は、少なくとも1種の極性油もしくは少なくとも1種の非極性油、または極性油と非極性油との混合物を含有し得る。
【0034】
揮発性炭化水素、例えばイソドデカンまたは揮発性シリコーン油、例えばsilicone fluid 1.5 cStとして入手可能な1.5cStの粘度を有する揮発性ジメチコーンが、揮発性油として使用され得る。前記揮発油は、素材のフレキシブル性および柔軟性に寄与し、特定の成分の濡れを補助する。さらに、前記揮発油は、形成された皮膜が適用後により素早く乾燥することも助ける。
【0035】
前記1種以上の油は、ワックスを柔軟にし、または溶解させるのに十分な量で存在する。適切な量は、約2質量%〜約10質量%、好ましくは約3質量%〜約8質量%の範囲にある。揮発性油と不揮発性油の両者が含まれる場合に、不揮発性油対揮発性油の比率は、通常は約10:1〜約1:2の範囲である。
【0036】
30質量%未満のワックス相を有するにもかかわらず非常に安定な調製品は、本発明による成分を用いて製造することができることが判明した。このように、1つの実施形態においては、全組成物は、30質量%未満のワックス相を有し、ここで、ワックス相は、前記定義の通りであるか、または特許請求の範囲に定義される通りである。ワックス相は、親油性成分を有し、結果として、すべての親油性成分はワックス相中に存在する。
【0037】
前記調製品が特定の成分を含有すべきであれば、該成分は、工程a)または工程b)のいずれかで添加され得る。通常、該成分は、溶融されたワックスへと添加される。着色剤、効果物質、そしてまた機能的成分等の有効成分を含有する粒子は、粒状材料として添加され得る。本発明により製造される組成物は、装飾化粧品において使用されるべきであるので、通常は少なくとも1種の着色剤、例えば顔料および/または着色剤が含まれる。存在する場合には、顔料は、所望の発色をもたらすのに必要とされる量で添加される。顔料は、1種の顔料、または2種以上の顔料の混合物であり得る。所望の発色に応じて、顔料部は、8質量%〜30質量%、好ましくは28質量%までであり得る。特定の効果物質、例えば散光性顔料または着色された蛍光性もしくは発光性の光輝性粒子は、顔料に代えて、または顔料に加えて含まれてもよい。それらは、10質量%まで、好ましくは5質量%までの割合で存在し得る。特段の記載が無い限り、ここで記載される百分率は、一般的に調製品の全量を基準とするものである。
【0038】
本発明による組成物のために適した着色剤の中でも、例として、顔料、例えば二酸化チタン(C.I.番号 77891)、酸化鉄(C.I.番号 77491、77492、77499)、ウルトラマリン(C.I.番号 77007)、ベルリンブルー/第二鉄ブルー(C.I.番号 77510)、カーボンブラック(C.I.番号 77267)、酸化クロムグリーン(C.I.番号 77288)、酸化クロム水和物グリーン5(C.I.番号 77289)、マンガンバイオレット(C.I.番号 77742)、酸化亜鉛(C.I.番号 77947)、硫酸バリウム(C.I.番号 77120)、ビスマスオキシクロリド、光輝顔料、例えば二酸化チタン(C.I.番号 77891)等の着色剤および/または酸化鉄、酸化クロムグリーン、酸化クロム水和物グリーン、ウルトラマリン、ビスマスオキシクロリド(C.I.番号 77163)等のその他の金属酸化物で少なくとも部分的に被覆されていてよいマイカ、平板状の、該当する場合には微細化された金属粉末、例えばアルミニウム(C.I.番号 77000)、銅(C.I.番号 77400)、ブロンズ(C.I.番号 77400)、ブラス(C.I.番号 77400)、銀(C.I.番号 77820)、または金(C.I.番号 77480)、ワニス付けにより適宜不溶化された有機着色剤、例えばカルミン酸の錯塩(C.I.番号 75470)、フルオレセインのワニス、モノアゾ染料、ビスアゾ染料、インジゴチン染料、ピラゾール染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料、アントラキノン染料、およびキサンタン染料を挙げることができる。これらの例は、FD&C red no.3(C.I.番号 45430)、D&C red no.6(C.I.番号 15850)、D&C red no.7(C.I.番号 15850:1)、D&C red no.21(C.I.番号 45380:2)、D&C red no.22(C.I.番号 45380)、D&C red 27(C.I.番号 45410:1)、D&C red 28(C.I.番号 45410)、D&C red 30(C.I.番号 73630)、D&C red no.33(C.I.番号 17200)、D&C red no.34(C.I.番号 15880:1)、FD&C yellow no.5、(C.I.番号 19140)、FD&C no.7(C.I.番号 45350:1)、D&C yellow no.10(C.I.番号 47005)、D&C orange no.5(C.I.番号 45370:1)、D&C orange no.10(C.I.番号 45425:1)、FD&C green no.3(C.I.番号 42053)、D&C green no.5(C.I.番号 61570)、D&C green no.6(C.I.番号 61565)、FD&C blue no.1(C.I.番号 42090)、D&C violet no.2(C.I.番号 60725)である。さらなる適切な顔料は、窒化ホウ素、平板状粒子と球状ポリマー粒子の両方、およびシリカ粒子であり、それらはさらに、上述の着色剤と混合され、上述の着色剤で負荷され、または上述の着色剤で被覆されていてよい。その他の例は、散光性顔料(LDP)または蛍光性粒子である。
【0039】
特に好ましい顔料は、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、カルミン、フェロシアン化第二鉄、水酸化クロムグリーン、酸化クロムグリーン、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、およびイエロー5から選択されるが、それは、これらが特に良好な色網羅率を有し、殆どの混色の生成を可能にするからである。
【0040】
適用箇所の環境に作用を有する有効成分は、機能的成分として、着色剤に加えて、または着色剤に代えて含まれ得る。前記調製品は目の領域に適用されるので、該調製品は、目の周りの皺を塞ぎ、かつ/または肌をより若く見せるために肌を引き締めて張りを与える成分等の成分を含有し得る。皺は、顔料、特にLDPにより塞がれ得るか、またはヒアルロン酸および/もしくはそれらの誘導体の吸収により影響され得る。通常この目的のために使用されるコラーゲン等の有効成分、コラーゲン合成を増加させるイチョウおよびイチョウ抽出物、ビタミンCもしくはクレアチン等の成分も、本発明による調製品に添加するために適している。目の周りの敏感な皮膚をUV線から保護するUVフィルター物質も、従来の様式で従来の量で添加され得る。ドライアイリッドまたはドライアイに影響を及ぼす有効成分が、前記調製品中に含まれてもよい。
【0041】
溶融された形のワックス相は、ワックスを溶融させ、油およびその他の疎水性成分または油溶性成分を添加することによるか、またはワックスおよび油を一緒に溶融させ、必要であれば追加の油溶性成分を添加することによって得られる。顔料および/または油溶性着色剤は、最初にワックスへと添加されてもよく、ワックス溶融物に添加されてもよく、または水相と一緒に添加されてもよい。通常は、顔料および油溶性着色剤は、ワックス溶融物に添加される。
【0042】
溶融は、慣例的な様式で行われる。ワックス相は、約50℃〜約90℃の温度に、好ましくは60℃〜85℃、特に好ましくは70℃〜80℃の温度に加熱されるので、ワックスおよび該当する場合にはその他の成分を有するワックス相は流体形である。ワックス相の追加の成分は、その後に溶融されたワックスへと添加され得る。理想的には、ワックス相は、さらなる加工のために、約50℃〜約90℃の範囲、好ましくは65℃〜80℃の範囲の温度を有する。
【0043】
ワックス相の温度は、数ある中でも、使用されるワックスの融点に依存する。どの場合においても、その温度は、すべてのワックスが溶融された形で存在するのに十分に高くなければならない。他方で、ワックス相の温度は、高すぎてはならず、特に100℃を上回ってはならず、さもなくば、水相が添加されたときに水は蒸発することとなる。したがって、適切な範囲は、約50℃〜約90℃であり、好ましくは60℃〜85℃、特に好ましくは70℃〜80℃である。
【0044】
工程b)においては、溶融されたワックス相を水相と混合することで、エマルジョンが形成される。この目的のために、水、親水性皮膜形成剤、および該当する場合には水溶性成分からなる水相が形成される。親水性皮膜形成剤は、水溶性または水分散性の皮膜形成剤であり得る。用語「分散された」および「溶解された」は、ポリマーについては等価に使用される。ポリマーに関する分散液と溶液との間の遷移はしばしば見極めることができないので、ポリマー分散液は、ポリマーが溶剤と相溶性であり、沈殿せず、したがって溶解および/または分散されており、分離しない組成物を意味すると解釈される。
【0045】
より厳密には、親水性皮膜形成剤は、水と相溶性のポリマーである。すなわち、親水性皮膜形成剤は、水等の水性媒体または水性溶剤中に分散または溶解され得、適用後に皮膜を形成する。水性媒体は通常は水であるが、水とアルコール等の水溶性溶剤との混合物であってもよい。好ましくは、水性媒体は、水からなるべきである。
【0046】
皮膜を形成することができる少なくとも1種の水溶性または水分散性のポリマーは、水相中に親水性皮膜形成剤として含まれている。親水性皮膜形成剤または2種以上の親水性皮膜形成剤の組み合わせ物は、本発明による調製品のために使用することができる。適切な皮膜形成剤は専門家に知られており、慣例の様式で選択することができる。適切な親水性皮膜形成剤の例は、アクリルおよびポリウレタンを含むポリマーおよびコポリマー、例えばスチレン、アクリレート、およびアンモニウムメタクリレートのコポリマー、ポリウレタンを基礎とするポリマーおよびコポリマー、またはそれらの組み合わせ物である。適切な親水性皮膜形成剤の例は、ポリウレタンおよびスチレン/アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマーである。
【0047】
親水性皮膜形成性ポリマーは一般的に、例えば30質量%から約70質量%までの、例えば40質量%〜60質量%のポリマー含量を有する水性分散液として利用可能である。特段の記載が無い限り、皮膜形成性ポリマーの量が示されている場合に、その用語はポリマー自体を指すものであって、分散液の量を指すものではない。
【0048】
本発明の調製品のために使用される全体としての親水性皮膜形成性ポリマーの割合は、8質量%〜25質量%(完成調製品の質量の部当たりのポリマーの質量部)の範囲内である。例えば、ポリウレタンポリマーとアクリルを含むポリマーの両者が使用される場合に、ポリウレタンポリマー対アクリルを含むポリマーの比率は、4:1〜1:4の範囲内であり得る。
【0049】
さらに、賦形剤等の水溶性および/もしくは水相溶性成分またはその他の剤は、所望の特性を補助するために水相へと添加され得る。例は、フェノキシエタノール等の保存剤およびカプリリルグリコールまたはプロパンジオール等のブースターである。グリセリンおよびブチレングリコール等の皮膚軟化薬または湿潤薬も使用され得る。それらは、皮膚を柔軟にし、その保湿状態を保つために使用される。ブチレングリコール等の皮膚軟化薬は、水性皮膜形成剤のフレキシブル性および弾性を高める役割も果たす。したがって、本発明によれば、グリセリンおよびブチレングリコール等の湿潤薬は、好ましくは従来の量で、例えば4質量%〜8質量%の量で使用される。
【0050】
水溶性染料が、顔料および/もしくは油溶性着色剤に加えて、または単独の着色剤として前記調製品で使用される場合に、その水溶性染料は、水相の一部となる。水溶性着色剤は、脂肪相と配合する前か、または乳化の間に水相へと添加され得る。
【0051】
水相の調製、すなわち皮膜形成剤と水相のその他の成分との混合は、室温で行うことができ、または水相を加熱することで、その他の水溶性成分をより簡単に溶解させることができる。1つの実施形態においては、水相は、ほぼワックス相の温度へと加熱される。
【0052】
工程b)は、溶融されたワックス相と水相とを混合して油中水型エマルジョンを形成させることからなり、前記エマルジョンは、その後に冷却に際して所望の構造を生ずる。好ましくは、水相を加熱することで、相同士が一緒に混ざるのでワックスの固化が妨げられる。ワックスが溶融する温度またはそれより高い温度が適切である。約100℃以上の温度は適切ではない。それというのも、その温度は水相の蒸発を引き起こすからである。約50℃〜約90℃、特に60℃〜85℃の温度範囲が好ましいと判明した。要するに、1つの実施形態においては、水相は、ワックス相と混合される前に、約50℃〜約90℃、特に60℃〜85℃の範囲の温度に加熱される。
【0053】
油中水型エマルジョンの形成を補助するために、少なくとも1種の油中水型乳化系が添加される。油中水型乳化系は、少なくとも1種の油中水型乳化剤、または2種以上の油中水型乳化剤の組み合わせ物を含む。また、種々の乳化剤の混合物、例えば油中水型および水中油型の乳化剤または乳化系の組み合わせ物を使用することも可能である。油中水型乳化系は、少なくとも1種の乳化剤と、該当する場合には追加の補助乳化剤、または強化性化合物、補助性化合物、もしくは相互作用性化合物との組み合わせ物であって、全体として油中水型エマルジョンの形成を促進する組み合わせ物である。本発明による方法のために非常に適切な乳化剤の例は、スクロースエステル、特に脂肪酸のスクロースエステル、例えば6個〜24個の炭素原子のような少なくとも6個の炭素原子を有するスクロースエステル、またはポリグリセリル脂肪酸エステルを基礎とする乳化剤、またはそれらの混合物である。本発明に非常に適した乳化系は、少なくとも1種のスクロースエステルと、ポリグリセリル脂肪酸エステルを基礎とする少なくとも1種の乳化剤との組み合わせ物であると判明した。この乳化系は、顔料およびフィラーの量にかかわらず非常に安定していることが分かったので、高い顔料含量および/またはフィラー含量を有する調製品も、この乳化系を用いて製造することができる。
【0054】
適切なスクロースエステルの例は、スクロースラウレート、スクロースステアレート、スクロースジステアレート、およびスクロースポリステアレートである。ポリグリセリル脂肪酸エステルを基礎とする乳化剤の例は、ポリグリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリルジ脂肪酸エステル、またはポリグリセリルオリゴ脂肪酸エステルである。脂肪酸は、飽和の、一不飽和の、または多不飽和の脂肪酸、例えば14個からの炭素原子を有する脂肪酸であり得る。これらの例は(INCI名により特定される)、ポリグリセリル−5ジオレエート、ポリグリセリル−10ジイソステアレート、ポリグリセリル−6ジステアレートである。最も適切な乳化剤は、それぞれの場合において専門家により簡単に決定され得る。例えば、できる限り低いHLB値を有する乳化剤を使用することが有利である場合がある。この場合に、1個より多くの脂肪酸残基を有するそれらのエステルが好ましい。それというのも、エステル化度が高いほど、HLB値が低いからである。
【0055】
エマルジョンのための追加の安定化剤は、本発明による油中水型乳化剤と組み合わせて、または油中水型乳化系の一部として使用され得る。
【0056】
乳化剤または乳化系は、ワックス相もしくは水相へと添加され得るか、またはワックス相をまず水相と混合した後に、乳化剤もしくは乳化系が添加され得る。幾つかの乳化剤または1種の乳化剤および1種の補助乳化剤が使用される場合に、これらの成分のそれぞれは、各相または混合物へと添加され得る。通常は、乳化剤または乳化系は、溶融されたワックス相中に導入され、例えばワックスと一緒に溶融されるか、または溶融されたワックス相に添加され、その後にのみ水相に添加される。
【0057】
本発明による調製品の全組成物中の乳化系の乳化剤の質量分率は、1質量%〜10質量%、好ましくは1.5質量%〜7.5質量%、特に好ましくは3質量%〜6質量%である。乳化剤の正確な質量分率は、それぞれの場合に使用されるその他の成分および乳化剤の化学的性質に依存する。専門家は、最も適切な量をそれぞれの場合に簡単な通常の試験で決定することができる。使用される乳化剤の量が少なすぎる場合に、均質な乳化は行われない。
【0058】
ワックス相および水相のエマルジョンを形成するために、溶融されたワックス相および水相を、油中水型乳化剤または油中水型乳化系と一緒に混合する。乳化剤または乳化系は、混合前に2つの相の少なくとも1つに添加され得るか、または乳化前に2つの相の混合物に添加され得る。結果として、乳化剤、例えば油中水型乳化剤または油中水型乳化系は、溶融の前に、溶融の間、または溶融の後にワックス相と混合される。
【0059】
エマルジョンと同様に化粧用素材の製造に通常使用される従来の装置を、それらの相の混合のために使用することができきる。適切な装置の1つの例は、ローター・ステーター装置、例えばTurraxまたはUltraturraxという名称で市販されている機器である。
【0060】
2つの相は、約50℃〜90℃の範囲内のより高い温度で、均質な組成物が生ずるまで混合される。要するに、その混合は、混合物が加熱されている間に行われる。好ましくは、混合温度は、60℃〜80℃、特に好ましくは70℃〜80℃である。その混合は、所望のエマルジョンが生成されるまでの時間にわたって行われる。これは通常、1分〜20分後、特に2分〜15分後、例えば5分〜10分後である。
【0061】
混合により、ワックス相と水相の油中水型エマルジョンが生成される。これは、本発明による調製品の後の構造、連続相としてのワックス相および不連続相としての水相を生ずるために重要である。該エマルジョンは、少なくとも連続相としてのワックスおよび油ならびに油溶性部分からなる溶融されたワックス相を有する。少なくとも水および溶解/分散された皮膜形成剤からなる水相の液滴は、その中に分配される。このようにして、皮膜形成剤は、溶解された形または分散された形でワックス相中に微細に分配される。冷却時に、ワックス相は固化し、連続相として水相の液滴のためのマトリックスを形成する。
【0062】
前記の必須成分に加えて、化粧品において共通する追加の添加剤および賦形剤、例えばフィラー、可塑剤、保存剤、香料等を調製品に添加してよい。これらの物質は、混合前にそれぞれの相溶性の相へと添加され得るか、乳化前、乳化の間、もしくは乳化後に2つの相の混合物に添加され得るか、またはエマルジョンへとそれがまだ温かく、特に流体である間に添加され得る。特に、香気または香料等の敏感な添加剤は、温度ストレスを最小限にするために混合期間の終わりに添加することができる。
【0063】
フィラーは、素材に所望の構造を与える役割を果たす。例は、タルク、カオリン、ベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、酸化セリウム、酸化ケイ素、窒化ホウ素、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、シルク粉末およびそれらの混合物、多価金属せっけん、非膨潤性デンプン、天然および合成の剥離体、砂、ふすま生成物、藻類派生物、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エラストマー、ならびに列記した成分の混合物および複合物である。フィラーが本発明による調製品に添加される場合に、それらは従来の量で使用される。
【0064】
さらに、本発明による調製品は、少なくとも1種の湿潤薬を含有し得る。適切な湿潤薬は、一価アルコールおよび多価アルコール、尿素誘導体、または植物抽出物である。これらの例は、ブチレングリコール、多価アルコールおよびそれらのエステル、例えばグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジエチレングリコール、アミルアルコール、ヘキサンジオール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールおよびアルジトール、スクロース、ラウレス−2ベンゾエート、エチルヘキシルセバケート、クエン酸エステル、例えばトリブチルシトレート、合成短鎖エステル、ペンタエリトリチルエステル、およびオリゴペンタエリトリチルエステルである。皮膚水分は、該組成物中のそのような湿潤薬によってより良好に保持され得る。これにより皮膚は、よりふっくらとして、より滑らかに見える。
【0065】
湿潤薬が本発明の組成物に添加される場合に、それらは通常の量で使用することができる。全調製品に対して1質量%〜15質量%、好ましくは2質量%〜10質量%、特に好ましくは3質量%〜8質量%の範囲の割合が適切である。
【0066】
本発明による調製品は、通常の量で保存剤を含有し得る。化粧品分野の専門家に知られるすべての保存剤が本明細書では適切である。この1つの例はフェノキシエタノールであり、それは既知の量で使用される。
【0067】
工程b)で製造されるエマルジョンは、その後に工程c)で冷却されることで、水相からの複数の液滴が埋設されたワックマトリックスが生成される。冷却は、慣例的な様式で行われる。衝撃冷却は可能であるが、組成物を容器中に注ぎ、それらを周囲温度に冷却させることも可能である。1つの実施形態においては、エマルジョンは、成形型、例えばペンシル芯成形型または空のスリーブ中に注がれて、冷却される。必要であれば、その成形型をエマルジョンが成形型を満たし得るように加熱し、ゆっくりと冷やすことができる。
【0068】
既に先に説明されたように、本発明による調製品は、冷えたときに有利な構造、すなわち皮膜形成剤を有する複数の液滴が中に均質に分配されているワックスマトリックスを伴って形成される。冷却後に、ワックスマトリックスが固化したときに、それらの液滴はもはや変化し得ない。それらは、いわば「マトリックス中に閉じ込められている」。水滴およびワックスマトリックスは互いにあまり相溶性ではないので、それらの水滴は変化しない。特に、ワックスマトリックスにより隔離される幾つかの水滴の合流は妨げられる。
【0069】
冷却後に得られる素材は安定しているので、多岐にわたる形態で使用することができる。特に、ペンシル芯はエマルジョンからキャストすることができ、それらは、空のスリーブ中に挿入することができるペンシル芯と同様に、安定しているため自立型のペンシル芯としてアプリケーターにおいて使用することができる。本発明による調製品は、次いでメークアップペンシルの形で適用することができる。本発明による調製品のその他の形も可能である。しかしながら、本明細書ではメークアップペンシルの形が適用のために最も適している。
【0070】
本発明はさらに、本発明によるワックス調製物を含むメークアップペンシル、特にアイライナーのためのペンシル芯に関する。冷却後に、本発明によるワックス調製物をペンシル芯の成形型中に注ぐことで、エマルジョンが形成される。得られたペンシル芯は硬いので、それは空のスリーブ中に挿入することができるか、またはアプリケーターにおいて自立的に使用することができる。ペンシルは外側部およびコアを有し、ここで外側部はシェルを形成し、それがコアを取り囲む。最近の技術に基づいて、該シェルは木材、プラスチック、または金属でできていてよい。溶剤の早期の蒸発を避けるために、該ペンシルは、好ましくは溶剤の逃出を避けるために密閉キャップおよび厚い保護具を有するべきである。
【0071】
本発明によるワックス調製物は、目に使用するために非常に良好な適性を有する。本発明によるワックス調製物は適用が容易であると共に素早く乾く。それは刺激を与えず、そして流れない。得られた均質な皮膜は、非常に良好に付着し、その外側へと移行せず、滲まず、そして摩耗に対して耐性である。乾燥が早いので、タッチアップは必要とされない。
【0072】
本発明による調製品を以下の実施例に基づき説明するが、それは網羅することを意図するものではない。該当する場合に、原材料は、そのINCIで示されている。特段の記載が無い限り、それらの質量についての情報(質量%)は、調製品の全質量を基準とするものである。
【0073】
実施例
ペンシル芯素材として適した調製物を製造した。成分を以下の表に示す。その際、量はそれぞれの場合に質量%(全組成物を基準とする質量)である。
【0074】
【表1】
【0075】
調製物の製造のために、ユーフォルビア・セリフェラワックスおよび2種類の合成ワックスをジメチコーンと一緒に混合し、次いで油のブチレングリコールココエートと混合し、引き続きポリグリセロール5ジオレートと混合し、そしてスクロースポリステアレートを乳化剤として添加し、得られた素材を加熱することで、溶融されたワックス相を生成した。次いで、溶融された素材を黒色顔料と一緒に均質化した。これによりワックス相Aが生成された。次いでポリウレタンおよびスチレン/アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマーを、それぞれ40%水性分散液として一緒に混合し、保存剤としてフェノキシエタノールを添加した。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンをさらに添加することで、pHを調整した。次いで、水相を約70℃の温度に加熱し、85℃〜95℃の範囲内の温度を有するワックス相を、一定に撹拌しながらゆっくりと添加した。安定した均質なエマルジョンを形成するために、密閉系で分散ディスクによりその混合物の温度を85℃〜95℃の範囲内に維持してしばらくの間分散させることにより、その混合物を均質化した。次に、溶融された素材をキャスティングマスク中に注ぐことで、ペンシル芯を形成し、室温に冷却させた。
【0076】
冷却後に、ペンシル芯が製造された。そのペンシル芯は、メークアップペンシル中に入れることができ、アイライナーとして使用することができた。
【0077】
このようにして製造されたアイライナー芯を用いて、被験者の目の周りに黒いラインを引き、適用直後と6時間後に様相を試験した。これにより強く覆う非常に均質なラインが得られ、そのラインは、実際に6時間後に変化していなかった。
【0078】
アイライナーの適用は、被験者により非常に心地よいと知覚された。アイライナーのラインは同じ場所にとどまり、タッチアップは必要なく、皺へと移行しなかった。乾燥後に、被験者は、そのラインを全体にわたって擦ったが、ラインは実際に変化しなかった。