特許第6956823号(P6956823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956823
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】半導体パワーデバイスの組立て方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20211021BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20211021BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H05K1/14 H
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-50547(P2020-50547)
(22)【出願日】2020年3月23日
(62)【分割の表示】特願2018-509972(P2018-509972)の分割
【原出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2020-113782(P2020-113782A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】517388783
【氏名又は名称】アジャイル・パワー・スイッチ・3・ディー−インテグレイション・エイ・ピー・エス・アイ・3・ディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ミッシェル・フランシス・レヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ピエル・アンリ・ファーブル
(72)【発明者】
【氏名】ルノー・アンドレ・ラカバンヌ
【審査官】 綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−249636(JP,A)
【文献】 特開2005−197435(JP,A)
【文献】 特開昭60−076189(JP,A)
【文献】 特表2004−512563(JP,A)
【文献】 特開2003−124595(JP,A)
【文献】 特開2003−051579(JP,A)
【文献】 特開2002−368373(JP,A)
【文献】 特開2001−253042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447− 21/449
H01L 21/60 − 21/607
H01L 23/12 − 23/15
H01L 25/00 − 25/07
H01L 25/10 − 25/11
H01L 25/16 − 25/18
H05K 1/14
H05K 1/18
H05K 3/32 − 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)であって、
スイッチング半導体素子を備えた第1の基板を取得するステップ(502)であって、第1の基板は、第1の表面を有し、第1の導電層と第1の受け要素とを局所的に備え、スイッチング半導体素子は第1の表面の上に提供されている、取得するステップ(502)と、
第1の表面に面する第2の表面を備えた第2の基板を取得するステップ(504)であって、第2の基板は、第2の受け要素を備え、第2の導電層を局所的に備えている、取得するステップ(504)と、
アライメント相互接続要素を取得するステップ(512)と、
前記受け要素によるアライメント相互接続要素の部分的な受けに影響を及ぼすために、アライメント相互接続要素を、第1の受け要素と第2の受け要素との一方に提供するステップ(514)と、
前記受け要素によるアライメント相互接続要素の部分的な受けに影響を及ぼすために、アライメント相互接続要素を、第1の受け要素と第2の受け要素との他方に提供するステップ(516)と、
を備え、
方法は、パワー半導体デバイスを組み立てる間に、
第2の基板に対する第1の基板の要求される位置決めを記述するデータを取得するステップ(506)と、
第1の受け要素と第2の受け要素との特性を測定するステップ(508)と、
要求される位置決めと測定された特性とに基づいて、アライメント相互接続要素の特性を決定するステップ(510)と、をさらに備えており、
アライメント相互接続要素を取得するステップ(512)は、アライメント相互接続要素を、決定された特性に基づいて選択するステップを備え、
前記受け要素は、穴または窪みであり、
第1の受け要素と第2の受け要素との特性を測定するステップ(508)は、前記受け要素の半径を測定するステップと、前記受け要素の深さを測定するステップとのうちの少なくとも1つを備えている、パワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)。
【請求項2】
アライメント相互接続要素を前記受け要素に提供する前記ステップ(514、516)の少なくとも1つが、前記アライメント相互接続要素を前記受け要素にハンダ付けすることと、前記アライメント相互接続要素を前記受け要素に焼結することとの一方を備える、請求項1に記載のパワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)。
【請求項3】
第1の受け要素の半径が、第1の表面と実質的に平行な平面において測定され、第2の受け要素の半径が、第2の表面と実質的に平行な平面において測定され、第1の受け要素の深さが、第1の表面と実質的に垂直な平面において測定され、第2の受け要素の深さが、第2の表面と実質的に垂直な平面において測定される、請求項1に記載のパワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)。
【請求項4】
アライメント相互接続要素の特性を決定するステップ(510)は、アライメント相互接続要素の形状、長さ、および深さのうちの少なくとも1つを選択するステップを含む、請求項1に記載のパワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)。
【請求項5】
アライメント相互接続要素の特性を決定するステップ(510)は、特定の半径を有する球形を有するようにアライメント相互接続要素を選択するステップを含む、請求項1に記載のパワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)。
【請求項6】
半径は、穴または窪みの半径よりも大きくなるように選択される、請求項5に記載のパワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)。
【請求項7】
半径は、穴または窪みの半径の1.3倍から2.5倍の間であるように選択される、請求項6に記載のパワー半導体デバイスを組み立てる方法(500)。
【請求項8】
穴または窪みは、第1及び第2の基板内に延在しない、請求項1に記載のパワー半導体装置の組み立て方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パワーデバイスに関する。パワーデバイスは、比較的大きな電流を、および/または、比較的高い電圧で、スイッチングすることが可能である。そのような電流は、1から数百アンペアのオーダーであり得るし、そのような電圧は、数百から数千ボルトのオーダーであり得る。本発明は、さらに、半導体パワーデバイスを組み立てることに関する。
【背景技術】
【0002】
発行された特許出願US7859079B2号は、参照により本明細書に組み込まれるが、少なくとも2つの基板を備えたスイッチングパワー半導体デバイスを開示している。それらの基板は、相互に対して実質的に平行に配列されている。基板の表面と基板上に配列された半導体素子の表面とは、電極を備え得る。電極の部分集合が相互に面しており、それらの間に電気的接続が提供されている。一実施形態では、この電気的接続は、2つの電極の間に配置され電極にハンダ付けされた銅製の球体によって、提供される。別の実施形態では、ハンダまたは鉛のドロップ形状の要素が、2つの電極の間に提供される。さらに別の実施形態では、一方の基板の電極上にハンダまたは鉛のドロップ形状の要素が提供され、それらのドロップ形状の要素と他方の基板の電極との間に銅製球体が配置される。銅製球体および/またはドロップ形状の要素は、2つの基板が相互に実質的に平行に配置されるように、それらが間に配置される電極の間に要求される距離に適合するサイズを有する。銅製球体および/またはドロップ形状の要素は、2つの基板の異なる電気的要素の間の電気的接続を提供する。さらに、銅製球体および/またはドロップ形状の要素を経由して、熱が、基板上に提供された半導体素子から遠ざけるように、輸送され得る。
【0003】
上で論じられた特許出願の銅製球体および/またはドロップ形状の要素は、2つの基板の間に間隔を提供し、それにより、2つの基板の間の距離を画定する。この文書のこれ以降では、2つの基板の間に最短な距離を形成する直線はz次元である、と想定される。よって、換言すると、銅製球体および/またはドロップ形状の要素は、2つの基板の相互に対する相対位置を、z次元において画定する。この文書のこれ以降では、x次元とy次元とが上で論じられたz次元と垂直に向けられている、ということがさらに想定される。こうして、3次元のデカルト座標系が想定される。上で引用された特許公開において、第1の基板と第2の基板とが厳密に平坦であり、銅製球体が2つの基板が相互に対して厳密に平行であるように配列されるようなサイズを有する場合、x次元とy次元とが2つの基板とも平行である仮想的な平面を画定する。
【0004】
上で引用された特許のスイッチングパワー半導体デバイスなどのスイッチングパワー半導体デバイスを組み立てる間、これら2つの基板は、また、相互に対し、x次元およびy次元において、十分にアライメントがとれていなければならない。組立ての間に2つの基板をx次元およびy次元においてアライメントをとるための解決策として、可視的アライメントマーカを利用するものがあり、この可視的アライメントマーカは、カメラおよびアクチュエータによって記録され、動画処理システムの出力に基づいて、2つの基板を相互に対して正しい(x,y)位置に移動させるように制御される。不運なことに、第1の基板を第2の基板に対してx次元およびy次元においてアライメントをとるためのそのような解決策は十分に正確でなかった。典型的には、銅製球体またはドロップ形状の要素が第1の基板または第2の基板に(たとえば、ハンダ付けによって)固定される直前に、第1の基板および/または第2の基板がx次元またはy次元に移動することがあり得、その場合には、これらの基板は、相互に対して十分に正確にアライメントがとれていないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7859079号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Manfred Goetz他、「Comparison of Silicon Nitride DBC and AMB Substrates for different applications in power electronics」PCIM Europe conference、Nuremberg、2013年5月14日−16日、VDE Verlag、Berlin、57−65頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
相互に対してよりよくアライメントがとられた2つの基板を備えたスイッチングパワー半導体デバイスを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は半導体パワーデバイスを組み立てる方法を提供する。効果的な実施形態が、従属請求項において定義される。
【0009】
本発明の第1の態様により組み立てられた半導体パワーデバイスは、第1の基板と、第2の基板と、相互接続構造とを備える。第1の基板は、スイッチング半導体素子を備える。第1の基板は、第1の表面を有し、第1の導電層と第1の受け要素とを局所的に備える。スイッチング半導体素子は、第1の表面上に提供される。第2の基板は、第1の表面に面した第2の表面を備える。第2の基板は、第2の受け要素を備え、第2の導電層を局所的に備える。相互接続構造は、一方の側における第1の導電層の少なくとも1つと他方の側における第2の導電層の少なくとも1つとの間に少なくとも1つの電気的接続を提供するためのものである。相互接続構造は、導電性材料である複数の相互接続要素を備えている。複数の相互接続要素の少なくとも1つは、アライメント相互接続要素である。アライメント相互接続要素は、第2の基板に対して第1の基板の相対位置のアライメントをとるために、第1の受け要素によって部分的に受けられ、第2の受け要素によって部分的に受けられる。前記受け要素は、アライメント相互接続要素を少なくとも部分的に受けるための形状を有する窪みを有しており、前記受け要素とアライメント相互接続要素とが相互に当てられる場合、およびアライメント相互接続要素または前記受け要素の一方が力を受ける場合に、アライメント相互接続要素の形状は、受け要素に対して一意的で固定された相対位置へのアライメント相互接続要素の位置決めに影響を及ぼすように選択される。以上により、第1の基板が、第2の基板に対して、アライメントがとられる。
【0010】
上で論じられた実施によるパワー半導体デバイスでは、第2の基板に対する第1の基板のアライメントは、以下のようにして提供される。第1の基板上の適切な位置と、第2の基板上の適切な対応する位置とにおいて、アライメント相互接続要素を受けるように構成された受け要素が、提供される。第1の受け要素がアライメント相互接続要素の一部を受け、第2の受け要素もアライメント相互接続要素の一部を受けて、第2の基板に対する第1の基板の相対位置が(要求される)アライメントのとれた位置となるときに、適切な位置が選択され、アライメント相互接続要素の特定のサイズおよび形状が選択される。受け要素がアライメント相互接続要素の部分を受けるため、アライメント相互接続要素の位置が、受け要素の位置に対して固定され、結果的に、第2の基板に対する第1の基板の相対位置が固定される。さらに、受け要素の窪みの形状とアライメント相互接続要素の形状とは、ある力の影響下でそれらが相互に当てられる場合に、それらが、受け要素に対するアライメント相互接続要素の一意的で固定された位置に向かって協働するように、共に選択されるので、受け要素に対するアライメント相互接続要素の可能性がある特定の相対的な配列はただ1つだけ存在する。以上により、受け要素は、相互に対して適切に定義され固定された相対位置に向かって強制され、それによって、基板は、相互に対して適切に定義され固定された相対位置に向かって強制される。ほとんどの実施において、受け要素またはアライメント相互接続要素に加えられる力は重力であり得るが、それらの要素の一方に積極的に加えられる力でもあり得る。これらの基板を相互に対して一意的で固定された相対位置に向かってアライメントをとることの結果として、第1の導電層のパターンを第2の導電層のパターンに対してアライメントをとることになる、ということが注意されるべきである。こうして、本出願においては、受け要素とアライメント相互接続要素とが前記導電層のパターンを相互に対してアライメントをとる機能を有する、ということも読み取れるであろう。
【0011】
背景技術に関する議論によると、デカルト座標系が、半導体パワーデバイスにおいて画定され得る。本発明により組み立てられた半導体パワーデバイスでは、受け要素とアライメント相互接続要素との形状およびサイズが、2つの基板の間の距離を画定し、結果的に、第2の基板に対する第1の基板のz次元における相対位置を画定する。第1の基板の上の第1の受け要素の位置と、第2の基板の上の第2の受け要素の位置とが、x次元およびy次元における2つの基板の相対的なアライメントを画定する。
【0012】
一実施によると、アライメント相互接続要素と受け要素の両方の要素が相互の頂部の上に配置され、これらの要素の一方によって力が受けられ、他方の要素が固定された位置にある場合には、アライメント相互接続要素の一部が、受け要素によって、自動的に受けられる。たとえば、アライメント相互接続要素が、固定された位置を有する受け要素の上に配置されると、重力がアライメント相互接続要素によって受けられ、この力の結果として、アライメント相互接続要素がそれぞれの受け要素によって部分的に受けられ、重力が、アライメント相互接続要素を、一意的で固定された位置に向かって強制する。ある例では、アライメント相互接続要素は球形の形状を有し、受け要素は穴であり:球形の形状が穴の頂部に配置されると、球形の形状は、自動的に、少なくとも部分的に、穴によって受けられ、この球体は、それが受け要素によって最適に部分的に受けられるように、1つの一意的な位置に向かって、回転する。これは、パワー半導体デバイスの組立ての間にアライメントが自動的に行われ、受け要素に強制的にアライメント相互接続要素の一部を受けらせるために、別個のステップは何も要求されない、という効果を有する。
【0013】
スイッチング半導体素子は、トランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)、サイリスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ダイオードまたはそれ以外の適切なタイプの半導体スイッチング素子であり得る。第1の基板および/または第2の基板は、また、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ダイアモンドベースの半導体材料またはそれ以外の適切な半導体材料などの半導体材料で作られた他の素子を含む他の電子素子も備え得る。他の電子素子の例は、抵抗、コンデンサ、インダクタ、集積回路、またはそれ以外の適切な電子素子である。
【0014】
基板は、ルーティングのために、熱伝導性かつ電気絶縁性の材料(たとえば、セラミック)と高導電性の材料(たとえば、金属)との複数の層で製造され得る。セラミックの例は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)および窒化シリコン(Si)である。基板の他の例は、たとえば銅またはアルミニウムの薄層である2つの薄い金属層の間に挟まれたSiである。典型的には、関連する分野では、そのような基板は、ダイレクトボンド銅(DBC)基板または活性金属ボンディング/ブレージング(AMB)基板と称される。導電層および/または相互接続要素は、銅またはアルミニウムなどの金属で作られ得るが、他の金属または他の導電性材料で作られることもあり得る。オプションで、導電層および/または相互接続要素が作られる材料は、優れた熱伝導体であり、前記層と前記相互接続要素とが、熱を半導体パワーデバイスから遠ざかる方向へ伝導させることが可能である所(たとえば、ヒートシンクへのインターフェース)への熱の分配および伝導に寄与する。この文書の以下の記載では、導電層の代わりに「電極」と読むことも可能であり得るが、導電層が定義により特定の電圧または信号に結合されていることはなく、導電層は、また、そのような材料の孤立した島であり得ることが留意されるべきである。
【0015】
オプションで、第1の基板が、複数の第1の受け要素を備え、第2の基板が、複数の第2の受け要素を備え、前記相互接続要素が、複数のアライメント相互接続要素を備えており、複数のアライメント相互接続要素のそれぞれ1つが、第2の基板に対する第1の基板の相対位置のアライメントをとるために、第1の受け要素のそれぞれ1つによって部分的に受けられ、第2の受け要素のそれぞれ1つによって部分的に受けられる。換言すると、複数の3タプルがあり、それら複数の3タプルのそれぞれが、第1の受け要素と、第2の受け要素と、アライメント相互接続要素とを備えている。第1の基板の上における3タプルの第1の受け要素の位置は、特定の3タプルのアライメント相互接続要素が3タプルの受け要素によって少なくとも部分的に受けられる場合には、受け要素とアライメント相互接続要素との組合せが、xおよびy次元において、要求されるアライメントを提供するという効果を取得するために、第2の基板の上におけるある位置と一致する。先に論じられた半導体パワーデバイスは、少なくとも1つのそのような3タプルを備えているが、他方で、この実施は、複数のそのような3タプルを備える。複数のそのような3タプルを提供することにより、アライメント機構は、より正確になり、より信頼性が高くなる。
【0016】
オプションで、第1の基板は、少なくとも3つの第1の受け要素と、少なくとも3つの第2の受け要素と、少なくとも3つのアライメント相互接続要素とを備える。換言すると、先に論じられた実施では、受け要素とアライメント相互接続要素との3タプルが少なくとも2つ存在していたが、他方で、この実施は、少なくとも3つのそのような3タプルを提供する。この結果として、少なくともz次元において、第2の基板に対して第1の基板の安定的な位置決めが得られる。テーブルとの比較を行うことが可能であり、すなわち、あるテーブルが少なくとも3つの脚を有する場合には、このテーブルは、地面の上で安定的な位置に位置決めされ得、他方で、2つの脚を有するテーブルは、倒れてしまう。
【0017】
オプションで、第1の受け要素と第2の受け要素との少なくとも一方が、前記第1の導電層のうちの1つと、前記第2の導電層のうちの1つとのそれぞれにおける穴または窪みである。穴または窪みは、比較的容易に製造され得る。さらに、受け要素が穴または窪みである場合は、受け要素のために追加的な要素は要求されず、よって、コストが節約される。さらに、穴または窪みが導電層のみに作られる場合には、そのような穴または窪みは第1および第2の基板の中には延長せず、いくつかの電気的接続が基板の内部に提供されているので、これは、ほとんどの現代の電子回路においては有利であり、換言すると、基板に提供されている他の電気的接続が損傷されず、または、穴や窪みを回避するように設計される必要がない。さらに、穴または窪みは、特定のアライメント相互接続要素の一部を、比較的容易に、部分的に受けることが可能である。たとえば、アライメント相互接続要素が球形の形状を有する、または卵形である場合には、それは、そのようなアライメント相互接続要素を部分的に受けるのに適切なサイズを有する導電層における穴によって、自動的に、部分的に受けられる。
【0018】
オプションで、第1の受け要素は、第1の導電層のうちの1つに電気的に結合される。オプションで、第2の受け要素は、第2の導電層のうちの1つに電気的に結合される。オプションで、アライメント相互接続要素は、前記受け要素に電気的に結合される。よいアライメントを提供することに加えて、アライメント相互接続要素は、第1の基板と第2の基板との間に電気的接続を提供する導体としての役割を有し得る。この役割を充足するために、相互接続アライメント要素は、基板の導電層に電気的に結合され得る受け要素に、電気的に結合され得る。受け要素が基板の上に提供された別個の要素である場合には、受け要素は、また、アライメント相互接続要素と導電層との間に電気的接続を提供するために、導電層に電気的に結合され得る。受け要素と相互接続要素とは、導電層と受け要素とにそれぞれ取り付けられ得(たとえば、ハンダ付け)、受け要素と相互接続要素とは、また、導電層と受け要素とのそれぞれと直接的に物理的に接触し得る。
【0019】
受け要素は導電層における穴であり得るということ、そして、アライメント相互接続要素は球形の形状の物体であるということに注意されたい。球形の形状をした物体が穴の中に部分的に提供されると、この球形の形状をした物体は、穴のエッジに接触し得、それによって、導電性の結合を取得する。さらに、穴によって部分的に受けられた球形の形状の物体は、導電層に取り付けられ得る(たとえば、ハンダ付け)。
【0020】
オプションで、第1の受け要素は、第1の導電層のうちの1つに、熱的に結合される。オプションで、第2の受け要素は、第2の導電層のうちの1つに、熱的に結合される。オプションで、相互接続アライメント要素は、前記受け要素に、熱的に結合される。よいアライメントを提供することに加えて、アライメント相互接続要素は、第1の基板から第2の基板に、または、第2の基板から第1の基板に(およびオプションとして、さらに、たとえばヒートシンクなどのインターフェースに)、熱を伝えるための熱伝導体としての役割を有し得る。
【0021】
オプションで、複数の相互接続要素は、相互に異なる深さであって前記導電層の間の距離に適合された深さを有する少なくとも2つの相互接続要素を備え、その間に、前記相互接続要素が配置されており、深さが、第1の基板から前記相互接続要素の位置における第2の基板への最短の直線の方向で測定される。この実施では、少なくとも2つの相互接続要素が、異なる深さを有する。これらの2つの相互接続要素は、アライメント相互接続要素であり得るが、また、第2の基板に対する第1の基板のアライメントについて何も役割を有していない2つの相互接続要素でもあり得る。理想的な半導体パワーデバイスにおいては、相互接続要素は、基板の導電層と非常によい接触を有しており、これは、相互接続要素のサイズ/深さを、それぞれの相互接続要素が配列されている位置における第1の基板と第2の基板との間の距離に適合させることによって、達成され得る。追加的に、相互接続要素は、導電層に取り付けされ得(たとえば、ハンダ付け)、それにより、電気的接続の断面積を増加させる。
【0022】
多くの現実の応用例では、第1の基板は第2の基板と平行に配置されると思われるが、第1の基板と第2の基板との間の距離は、実質的に数マイクロメートルのオーダーで、変動し得る。たとえば、第1の基板および/または第2の基板は、反りを受けることがあり得、この結果として、相互接続要素の深さがこのような距離の変動に適合しない場合には、直ちに、最適ではない電気的接続が生じる。その結果として、接続ではなく、開回路が生じる場合さえあり得る。追加的に、第1の基板および/または第2の基板は、製造による公差を被り、その結果として、たとえば、基板の厚さの変動および/または平坦でない表面が生じる。導電層は、また、たとえば異なる量のエッチングまたはそれ以外の製造における公差の結果として、一様でない厚さを有することがあり得る。さらに、導電層は、たとえば導電層を基板に接着させる特定の材料により、基板に取り付けられ得るが、この特定の材料の量も、基板の表面に沿って変動し得る。追加的に、電気的要素のあるもの(スイッチング半導体素子だけでなく、抵抗などの受動素子もある)は、相互接続要素が電気的接続を提供する表面電極を有し得、そのような電気的要素は、それらの電気的要素と接触する相互接続要素のための特定の深さを選択する場合に考慮されなければならない一定の厚さを有する。
【0023】
半導体パワーデバイスの実際の組立て方法においては、1つまたは複数のアライメント相互接続要素がその1つまたは複数の位置に提供されると想定して、第1の基板をいかにして第2の基板に対して厳密にアライメントをとるのかが、最初に測定または決定される。その後で、相互接続要素のどの要求される位置でも、それぞれの相互接続要素が位置決めされなければならない導電層の間の距離がどのくらいであるのかが、測定され決定される。その次に、測定されたまたは決定された距離に従って、異なる相互接続要素が選択され、これらの異なる相互接続要素はそれらの要求される位置に配置される。
【0024】
オプションで、アライメント相互接続要素の形状は、球体、四角の箱、立方体、直方体、円筒、管、卵形、ラグビーボール、ひし形のボール、およびひし形のうちの1つである。これらの形状は、アライメント相互接続要素を部分的に受けることが可能な対応する形状を有する受け要素と共に用いられる場合には、よいアライメント特性を提供する。オプションとして、アライメント相互接続要素ではない相互接続要素が、球体、四角の箱、立方体、直方体、円筒、管、卵形、ラグビーボール、ひし形のボール、またはひし形のうちの1つである形状を有する場合もあり得る。オプションとして、異なる相互接続要素および/または異なるアライメント相互接続要素が、球体、四角の箱、立方体、直方体、円筒、管、卵形、ラグビーボール、ひし形のボール、またはひし形のうちの1つから選択された異なる形状を有することもあり得る。オプションとして、前記受け要素は、導電層のそれぞれ1つにおける穴であり、前記アライメント相互接続要素は球体である。球体の半径は、前記穴の半径よりも大きい。穴が導電層に作られ、その穴が球形のアライメント相互接続要素の半径よりも小さな半径を有する場合には、その穴は、球形のアライメント相互接続要素が穴の中/上に置かれるか、または、逆に重力の影響の下にある場合には、ある固定された位置において、球形のアライメント相互接続要素を自動的に部分的に受けることになる。よって、アライメント相互接続要素は、x方向またはy方向に相当な力を加えることによってしか、x方向またはy方向に移動できず、こうして、アライメント相互接続要素の位置は、受け要素の位置に対して比較的よく固定される。結果的に、純粋に機械的/物理的効果に基づいて、アライメントは、ほとんど自動的に、うまく自ら実行される。
【0025】
さらに、穴のエッジは、球形の形状のアライメント相互接続要素に接触し、それにより、(アライメント相互接続要素もまた導電性を有すると想定すると)アライメント相互接続要素と導電層との間に、よい電気的接触を提供する。
【0026】
アライメント相互接続要素ではない相互接続要素も球形の形状を有し得るということが注意されるべきである。
【0027】
穴の半径が球形の形状のアライメント相互接続要素の予測される半径に対して相対的に小さい場合には、異なる半径を有する広い範囲の球形の形状のアライメント相互接続要素が、比較的小さな穴と共に用いられ得る。たとえば、穴の予測される半径は、アライメント相互接続要素の予測される半径の約半分である。これは、半導体パワーデバイスを組み立てる間に、異なる球形の形状のアライメント相互接続要素を用いる自由度を提供する。たとえば、アライメント相互接続要素のための特定の半径が、第1の基板と第2の基板との間の特定の距離を取得するために、選択され得る。アライメント相互接続要素の半径は、また、第1の基板もしくは第2の基板の可能性があり得る反りによって、または、導電層の厚さの変動もしくはそれ以外の製造時の公差によって、影響され得る。
【0028】
アライメント相互接続要素が卵形、ラグビーボールまたはひし形であり穴の半径よりも大きな「半径」(第1の基板と第2の基板との中間で測定される)を有する場合にも、同一の効果が得られる。
【0029】
オプションとして、球体の半径は、穴の半径と比較すると、特に穴がそれほどには深くない場合には、相対的に大きい。穴の半径は、球体が穴の中に位置決めされる場合に、球体が全体の底部には接触せず、穴のエッジと接触することを保証するのに十分な程度に小さい。たとえば、球体の半径は、穴の半径の1.3倍から2.5倍大きい。
【0030】
オプションで、第2の基板は、半導体素子を備える。この半導体素子は、また、その例が先に論じられたスイッチング半導体素子であり得るが、ダイオードのような受動半導体素子でもあり得るし、または、半導体材料で作られた抵抗でもあり得る。第1の基板および/または第2の基板は、また、抵抗、インダクタまたはコンデンサなど、他の電気的要素を備えることもあり得る。半導体素子は、また、集積回路でもあり得る。
【0031】
オプションで、1つまたは複数の第1の導電層が、第1の表面の上に、または、第1の表面に配置される。オプションとして、1つまたは複数の第1の導電層が、第1の表面から遠ざかる方向を向いたスイッチング半導体素子の表面の上に、または、その表面に配置される。オプションとして、1つまたは複数の第2の導電層が、第2表面の上に、または、第2表面に配置される。オプションとして、1つまたは複数の第2導電層が、半導体素子の表面の上に、または、その表面に配置される。導電層と、前記基板、スイッチング半導体素子または半導体素子の間には、何らかの他の材料が存在している場合があり得ることが注意されるべきであり、そのような他の材料の例は、ある種の接着剤、ゲル、エポキシ樹脂またはブレージングである。スイッチング半導体素子の表面の上に、または、別の電気的要素の表面の上に提供されている導電層は、「表面電極」とも称されることがあり得る。
【0032】
本発明の第1の態様により、パワー半導体デバイスを組み立てる方法が提供される。この方法は:i)スイッチング半導体素子を備えた第1の基板を取得するステップであって、第1の基板は、第1の表面を有し、第1の導電層と第1の受け要素とを局所的に備え、スイッチング半導体素子は第1の表面の上に提供されている、取得するステップと、ii)第1の表面に面する第2の表面を備えた第2の基板を取得するステップであって、第2の基板は、第2の受け要素を備え、第2の導電層を局所的に備えている、取得するステップと、vi)アライメント相互接続要素を取得するステップと、v)前記受け要素によるアライメント相互接続要素の部分的な受けに影響を及ぼすために、アライメント相互接続要素を、第1の受け要素と第2の受け要素との一方に提供するステップと、vi)前記受け要素によるアライメント相互接続要素の部分的な受けに影響を及ぼすために、アライメント相互接続要素を、第1の受け要素と第2の受け要素との一方に提供するステップと、を備える。
【0033】
本発明の上述の態様による方法は、本発明の第1の態様により組み立てられたパワー半導体デバイスと同じ長所を提供し、パワー半導体デバイスの対応する実施と類似の効果を備えた類似の実施形態を有する。よって、この方法は、第1の基板が第2の基板に対して適切にアライメントがとれているパワー半導体デバイスを製造するための効率的で有効な方法である。特に、先に論じられたように、受け要素とアライメント相互接続要素とが、(受け要素が正しい位置に提供されていることを想定して)第1の基板と第2の基板との間のアライメントが正確であることを保証するための、有効な機械的な手段を提供する。導電性のアライメント相互接続要素を、第1の受け要素と第2の受け要素との別の1つに固定する段階において、第1の基板に対する第2の基板の正確な位置決めを保証するために、追加的なセンサおよび/またはアクチュエータはまったく要求されず、すなわち、受け要素によってアライメント相互接続要素が部分的に受けられることによって、正しいアライメントが自動的に保証される。アライメントの前段階が比較的脆弱な場合であっても、この機構は、これが、最終的な正しいアライメントに向かって自ら補正されることを保証する。
【0034】
この方法では、第1の基板と第2の基板とが取得される。オプションである実施形態では、第1の基板を取得すること、および/または、第2の基板を取得することが、第1の基板および/または第2の基板の製造を含む。
【0035】
ワー半導体デバイスを組み立てる方法は、a)第2の基板に対する第1の基板の要求される位置決めを記述するデータを取得するステップと、b)第1の受け要素と第2の受け要素との特性を測定するステップと、c)取得されたデータと測定された特性とに基づいて、アライメント相互接続要素の特性を決定するステップとをさらに備えており、アライメント相互接続要素を取得する段階において、アライメント相互接続要素が、決定された特性に基づいて取得される。
【0036】
第2の基板に対する第1の基板の要求される位置決めを記述するために得られるデータは、第1の基板と第2の基板との間の要求される距離を含み得るが、特定の位置では、基板の間の距離は特定の値でなければならず、別の特定の位置では、基板の間の距離は別の特定の値でなければならないなど、より多くの情報を含み得る。
【0037】
第1の受け要素と第2の受け要素との特性を測定する段階では、たとえば、それぞれの受け要素の形状がどのようなものであるかが決定される。他の特性は、受け要素がある種の突出である場合に、受け要素が基板の表面から突出する距離であり得る。特性を測定することは、受け要素の厳密な位置の決定も、含み得る。
【0038】
アライメント相互接続要素の特性を決定する段階では、取得されたアライメント相互接続要素が決定された特性を有しており、第1の受け要素によって少なくとも部分的に受けられ、第2の受け要素によって部分的に受けられる場合には、第1の基板は第2の基板に対して要求されたデータに記述されているように位置決めされること、換言すると、第1の基板が第2の基板に対して適切にアライメントがとられていることが保証される。たとえば、この段階では、アライメント相互接続要素の形状が選択される、および/または、アライメント相互接続要素の長さ/深さが選択される。たとえば、利用可能なアライメント相互接続要素が球体であり、受け要素が穴である場合には、球形の形状のアライメント相互接続要素のために、特定の半径が選択される。特定の実施形態において、たとえば、第1の基板が第2の基板に対して取得されたデータに記述されているように位置決めされている場合に、受け要素が、厳密には、相互に対向していない場合に、アライメント相互接続要素の特性を決定する間に、受け要素が厳密には相互に対向していないながら、依然としてよいアライメントを結果的に生じる特定の形状が選択されることがあり得る。
【0039】
アライメント相互接続要素を受け要素の1つに提供する段階とは、アライメント相互接続要素を、それが受け要素によって部分的に受けられるように、受け要素と接触させるようにすることを意味する。これは、アライメント相互接続要素を受け要素の上に単純に配置することによって、または、受け要素をアライメント相互接続要素の上に配置し、重力を用いて、アライメント相互接続要素または受け要素を、アライメント相互接続要素が受け要素によって部分的に受けられる位置まで移動させることによって、なされ得る。特定の実施形態では、それは、アライメント相互接続要素が受け要素によって部分的に受けられることを保証するために、ある力を提供することを含み得る。
【0040】
この方法において用いられるアライメント相互接続要素は、導電材料から製造され得る。
【0041】
オプションとして、導電性のアライメント相互接続要素を前記受け要素に提供する前記段階の少なくとも1つが、i)前記導電性のアライメント相互接続要素を前記受け要素にハンダ付けすることと、ii)前記導電性のアライメント相互接続要素を前記受け要素に焼結することとの一方を備える。これらの固定技術の1つを用いることにより、受け要素からアライメント相互接続要素へ、よい電気的接続および/またはよい熱経路が取得されることが保証される。
【0042】
パワー半導体デバイスを組み立てる方法により、前記受け要素が穴または窪みであ、第1の受け要素と第2の受け要素との特性を測定する段階が、前記受け要素の半径を決定することと前記受け要素の深さを決定することとの少なくとも一方を備えている。第1の受け要素の半径が、第1の表面と実質的に平行な平面において測定され、第2の受け要素の半径が、第2の表面と実質的に平行な平面において測定され、第1の受け要素の深さが、第1の表面と実質的に垂直な平面において測定され、第2の受け要素の深さが、第2の表面と実質的に垂直な平面において測定されることが理解される。穴または窪みが、導電層の中にのみ延長し得る、または、基板の中へ延長し得る、または、導電層と基板との組合せの中へ延長し得る、ということが注意されるべきである。
【0043】
本発明のこれらのおよびそれ以外の態様は、これ以降に説明される実施形態から明らかであり、また、これ以降に説明される実施形態を参照することにより明瞭になるであろう。
【0044】
以上で言及されたオプション、実装例、および/または本発明の諸態様のうちの2つまたはそれより多くが、いずれかの有益であると考えられる方法で組み合わされ得る、ということは当業者によって理解されるであろう。
【0045】
デバイスおよび/または方法の修正および改変は、デバイスについて説明される修正および改変に対応し、本明細書に基づいて、当業者によって実行され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】半導体パワーデバイスのある実施の概略的な分解図である。
図2a】直線II−II’を通過し第1の基板と垂直な平面に沿った、図1の半導体パワーデバイスの実施の概略的な断面図である。
図2b】半導体パワーデバイスの別の実施の概略的な断面図である。
図3a】第2の基板の実施の概略図である。
図3b】第1の基板の実施の概略図である。
図4】半導体デバイスの実施の概略図である。
図5】パワー半導体デバイスを組み立てる方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
異なる図面における同一の参照番号によって示されている項目は、同一の構造的特徴と同一の機能とを有する、または、同一の信号である、ということが注意されるべきである。そのような項目の機能および/または構造が説明される場合には、この詳細な説明においてそれに関する説明を反復することの必要性は存在しない。
【0048】
図面は、純粋に概略的なものであって、寸法通りに描かれていない。特に、明瞭にするという目的のためには、いくつかの寸法が過渡に強調されている。
【0049】
図1は、半導体パワーデバイス100の実施を、分解図として、概略的に示している。この半導体パワーデバイスは、第1の基板140と、第2の基板110と、相互接続構造とを備える。第1の基板140は、スイッチング半導体素子144がその上に提供されている第1の表面141を有する。第1の基板は、さらに、第1の導電層142、146を備える。第1の基板140は、さらに、この特定の実施では第1の導電層の一方146における穴である第1の受け要素150を備える。第2の基板110は、第1の表面141の方向に面した第2の表面111を有し、その第2の表面上に提供された第2の導電層112、116を備える。第2の基板110は、さらに、この特定の実施では第2の導電層の一方116における穴150である第2の受け要素120を備える。相互接続構造は、第1の導電層142、146の一方と第2の導電層112、116の一方との間の少なくとも1つの電気的接続を提供する。図1の例では、2つの電気的接続が提供される:第1の導電層142と第2の導電層112との間の1つと、第1の導電層146と第2の導電層116との間の1つとである。相互接続構造は、相互接続要素130、132を備えており、その一方がアライメント相互接続要素130である。図1の例では、相互接続要素132とアライメント相互接続要素130とは、導電材料(たとえば、銅)で作られた球体である。相互接続要素132は、第1の導電層142と第2の導電層112との間に配置される。アライメント相互接続要素130は、第1の受け要素150によって少なくとも部分的に受けられ、第2の受け要素120によって少なくとも部分的に受けられる。図1では、第1の受け要素150と第2の受け要素120との半径は、アライメント相互接続要素130の半径よりも小さいことが、観察される。これは、球形であるアライメント相互接続要素130がそれぞれの受け要素120、150と接触すると、球形であるアライメント相互接続要素130の一部がそれぞれの受け要素120、150を形成する穴によって受けられることを意味する。球形であるアライメント相互接続要素130の小さな部分がそれぞれの導電層116、146における穴120、150の中に突出し、これは、球形であるアライメント相互接続要素130が第1の表面141および/または第2の表面111における別の位置へ転がることは不可能であり、結果的に、第1の基板140の相対位置が、第2の基板110の相対位置に対して固定されることを意味する。
【0050】
スイッチング半導体素子144は、トランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)、サイリスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)またはそれ以外の適切なタイプの半導体スイッチング素子であり得る。第1の基板140および/または第2の基板110は、また、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ダイアモンドベースの半導体材料またはそれ以外の適切な半導体材料などの半導体材料で作られた他の素子を含む他の電子素子も備え得る、ということが注意されるべきである。他の電子素子の例は、ダイオード、抵抗、コンデンサ、インダクタ、集積回路、またはそれ以外の適切な電子素子である。
【0051】
基板110、140は、ルーティングのために、熱伝導性かつ電気絶縁性の材料(たとえば、セラミック)と高導電性の材料(たとえば、金属)との複数の層で製造され得る。セラミックの例は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)または窒化シリコン(Si)である。基板の他の例は、たとえば銅またはアルミニウムの薄層である2つの薄い金属層の間に挟まれたSiである。典型的には、関連する分野では、そのような基板は、ダイレクトボンド銅(DBC)基板または活性金属ボンディング/ブレージング(AMB)基板と称される。適切な基板は、2013年5月14日−16日のNurembergでのPCIM Europe conferenceにおけるManfred Goetz他による論文であり、ベルリンのVDE Verlagによって出版された「Comparison of Silicon Nitride DBC and AMB Substrates for different applications in power electronics」の第57頁−第65頁に記載されている。
【0052】
導電層112、116、142、146および/または相互接続要素130、132は、銅やアルミニウムなどの金属、それ以外の金属、またはそれ以外の導電材料などで作られ得る。オプションで、導電層112、116、142、146および/または相互接続要素130、132が作られる材料は、前記層112、116、142、146と前記相互接続要素130、132とが、優れた熱伝導体であり、熱を半導体パワーデバイス100から遠ざかる方向へ伝導させることが可能である所(図示せず)(たとえば、ヒートシンクへのインターフェース)への熱の分配および伝導に寄与する。
【0053】
導電層112、116、142、146の代わりに、「電極」と読むこともあり得る。しかし、導電層112、116、142、146が定義により特定の電圧または信号に結合されていることはない、ということが留意されるべきである。よって、導電層112、116、142、146は、第1の表面111または第2の表面141の上に提供されている孤立した島であり得る。それらは、また、スイッチング半導体素子などの半導体パワーデバイス100の他の要素に、電気的に接続されていることもあり得る。これは、第1の表面もしくは第2の表面上に提供された追加的な導電層(図示せず)によって、および/または、基板の内部に提供された追加的な電気的接続(図示せず)によって、および/または、2つの基板110、140の間のギャップから遠ざかる方向に向いている第1の基板140と第2の表面110との表面に提供されている追加的な導電層(図示せず)によって、および/または、これらの基板を通過する導電性ビアによって、なされ得る。
【0054】
図1の例では、半導体パワーデバイス100は、単一のアライメント相互接続要素130と共に提供されている。しかし、それぞれが第1の基板に結合された受け要素と第2の基板に結合された受け要素とを伴う、2つ、3つまたはそれより多くのアライメント相互接続要素が提供される場合もあり得る。以下すべての例では、ただ1つまたは2つのアライメント相互接続要素(および対応する受け要素)が描かれ論じられていたが、当業者であれば、1つまたは2つよりも多くのこのようなアライメント相互接続要素を(対応する受け要素と共に)提供し得る。特に、3つ(またはそれより多くの)アライメント相互接続要素を用いると、その結果として、第1の基板140に対して第2の基板110の安定的な位置決めが生じるということが留意されるべきである。
【0055】
アライメント相互接続要素130の材料は、また、相互接続要素132の材料も、銅またはアルミニウムなどの導電性材料であり得る。図1の例では、アライメント相互接続要素130は、それぞれの導電層116、146における穴120、150によって部分的に受けられる。これは、アライメント相互接続要素130が、それぞれの導電層116、146の材料によって形成されている穴120、150のエッジに接触することを意味する。結果的に、アライメント相互接続要素130とそれぞれの導電層116、146との間には電気的接続が存在することになる。電気的接続を改善する(および/または、アライメント相互接続要素130の位置をよりよく固定させる)ためには、アライメント相互接続要素130は、ハンダ(図示せず)もしくはいずれかの他の適切な固定材料(図示せず)によって、または固定方法によって、それぞれの導電層116、146に固定され得る。そのような追加的な固定材料の使用は、また、相互接続要素132とそのそれぞれの導電層112、142との間の接点にも適用され得る。さらに、相互接続要素132は、そのそれぞれの導電層112、142に対して、それらの間に電気的接続が存在するように、少なくとも接触することが、注意されるべきである。また、アライメント相互接続要素130と相互接続要素132との材料は、熱が、たとえば、第1の基板140から第2の基板110へ運ばれることが可能であるように、熱伝導性を有し得る。熱は、スイッチング半導体素子144において、生成され得る。銅もまた、よい熱伝導体である。アライメント相互接続要素130を経由して運ばれ得る熱量は、アライメント相互接続要素130をそれぞれの導電層116、146にハンダ付けすることによって、増加され得る。相互接続構造の要素のための材料に対するこれらのオプションとしての選択は、以下で論じられる例でのアライメント相互接続要素と相互接続要素とにも適用される。以下で論じられるように、第1の基板140および/または第2の基板110には、環境への熱伝達インターフェースを形成するヒートシンク(図示せず)が提供されることがあり得る。
【0056】
相互接続要素132とアライメント相互接続要素130との形状は、球体である。相互接続要素132とアライメント相互接続要素130との実施形態は、これらの形状に限定されることはない。他の可能性がある形状は:四角の箱、立方体、直方体、円筒、管、卵形、ラグビーボール、ひし形のボール、およびひし形である。
【0057】
受け要素120、150は、図1の例では穴であるが、受け要素120、150の実施形態はそのような形状に限定されない。アライメント相互接続要素の一部を受けることが可能であり、それによって、受け要素に対するアライメント相互接続要素の相対位置を固定することが可能であるなどの形状はすべて、適切な形状である。たとえば、アライメント相互接続要素が円筒の形状を有する場合には、円筒の形状の一部が、穴または窪みによって受けられ得るが、基板の表面から延長する中空の円筒によっても受けられ得る。
【0058】
図1には明示的に示されていないが、第1の基板140および/または第2の基板110が、追加的な能動半導体素子(たとえば、トランジスタ、もしくは、いずれかの他のタイプのスイッチング半導体素子)、追加的な受動半導体素子(たとえば、ダイオードもしくは半導体材料に基づく抵抗)、および/またはそれ以外の受動電気的要素(たとえば、抵抗、コンデンサおよび/もしくはインダクタ)などの、追加的な電気的要素を備える場合があり得る。
【0059】
図2aは、図1の半導体パワーデバイス100の実施形態の、第1の基板140に垂直であって直線II−II’を通過する平面に沿った断面図を、概略的に示している。半導体パワーデバイス100は、第1の基板140と、第2の基板110と、相互接続構造とを備える。第1の基板140は、第1の表面141を有し、第1の表面141の上に提供された第1の導電層142、146を備え、第1の表面141の上に提供されたスイッチング半導体素子144を備える。第2の基板110は、第1の表面141に面する第2の表面111を備える。第2の基板100は、第2の表面111の上に提供された第2の導電層112、116を備える。第1の導電層146と第2の導電層116とは、共に、それぞれの導電層116、146における穴の形状を有する受け要素120、150を備える。相互接続構造は、受け要素120、150を形成するそれぞれの導電層116、146における穴によって部分的に受けられる金属製の球体であるアライメント相互接続要素130を備える。相互接続構造は、また、第1の導電層142と第2の導電層112との間に配置された相互接続要素132も備えている。アライメント相互接続要素130は、相互接続要素132と同様に、特定の第1の導電層142、146と特定の第2の導電層112、116との間のそれぞれに、電気的接続を提供する。
【0060】
受け要素120、150は、たとえば、円形の穴である。図2aには、円形の受け要素150の半径r1が示されている。受け要素120の半径は、受け要素150の半径r1と、ほぼ等しい。アライメント相互接続要素130は、球体であり、その半径r2が図2aに示されている。円形の受け要素120、150のそれぞれの半径r1は、球形のアライメント相互接続要素130の半径r2よりも小さい。受け要素120の半径は、同様の態様で、球形のアライメント相互接続要素130の半径r2と関係する、ということが注意されるべきである。典型的な例は:導電層の厚さは約300μmであり、受け要素150を形成する穴の半径r1は1mmであり、球形のアライメント相互接続要素の半径r2は1.6mmである。一実施形態では、受け要素150を形成する穴の深さに応じて、受け要素150の半径r1は、球形のアライメント相互接続要素130が受け要素150を形成する穴の底部に接触せず、導電層の頂部において全体のエッジに接触するように、球形のアライメント相互接続要素130の半径r2と比較すると相対的に小さい。
【0061】
図2bは、半導体パワーデバイス200の別の実施形態の断面図を示している。半導体パワーデバイス200は、第1の基板240と、第2の基板210と、相互接続構造とを備える。
【0062】
第1の基板240は、第1の表面241と、スイッチング半導体素子244と、第1の導電層246、242とを備える。スイッチング半導体素子244は、第1の表面241の上に提供され、ひとつの特定の第1の導電層246が、第1の表面241の上に提供される。別の第1の導電層242が、第1の基板240から遠ざかる方向を向いたスイッチング半導体素子244の表面の上に提供される。第1の基板240は、また、第1の導電層246から遠ざかる方向に突出しひし形の形状の要素の形状と一致する窪みを有する第1の受け要素250も備えている。第2の基板210は、第1の表面241の方向に面した第2の表面211を有する。第1の基板240は、また、第1の表面241から遠ざかる方向に面した第1の基板210において第1の基板240に熱的に結合された(オプションである)ヒートシンク298に結合される。
【0063】
第2の基板210は、第2の導電層212と、オプションで、他の第2の導電層216とを有する。第2の基板210は、また、第2の受け要素220を備えている。第2の受け要素220は、第2の表面211から遠ざかる方向に突出しており、ひし形の形状の要素の形状と一致する窪みを有する。
【0064】
図2bの半導体パワーデバイスの相互接続構造は、取り付け継手299によって第1の導電層242と第2の導電層212とに電気的および熱的に結合された球形の形状の相互接続要素232を備えている。取り付け継手299は、ハンダ、接着剤、エポキシ樹脂によって形成され得、または、焼結プロセスによって形成されたセラミック材料であり得る。相互接続構造は、また、ひし形の形状のアライメント相互接続要素230も備えている。ひし形の形状のアライメント相互接続要素230の一端は、第1の受け要素250の窪みの形状に対応する形状を有し、ひし形の形状のアライメント相互接続要素230の反対側の端部は、第2の受け要素220の窪みの形状に対応する形状を有する。ひし形の形状のアライメント相互接続要素230のそれぞれの端部は、第1の受け要素250の窪みと第2の受け要素220の窪みとによって受けられる。このように、受け要素220、250は、ひし形の形状のアライメント相互接続要素230を少なくとも部分的に受ける。ひし形の形状のアライメント相互接続要素230を部分的に受けることの結果として、第2の基板110に対する第1の基板140の位置のアライメントが得られる。
【0065】
図2bでは、アライメント相互接続要素230の形状およびサイズが受け要素220、250の形状およびサイズに適合されなければならない、ということが既に示されている。特に、アライメント相互接続要素230の長さ(第1の基板140から第2の基板110への最短の直線と平行な直線に沿って測定された)と、受け要素250、220が第1の表面141と第2の表面211とから遠ざかる方向に突出する量とのそれぞれが、z次元(および、したがって、基板210と基板240との間の距離)における第2の基板210に対する第1の基板240の位置決めを決定する。相互接続要素232のサイズは、2つの基板210、240の間に(z次元において)要求される距離に適合され、導電層212、242とスイッチング半導体素子244との深さに適合されている。図2bにおいて誇張された形式で示されているように、第2の基板210は、反りを受ける可能性があり得る。相互接続要素232のサイズは、また、第1の基板240と第2の基板210との間で、よい電気接続が得られるように相互接続要素232が提供されている位置における特定の距離にも適合されている。半導体パワーデバイスを組み立てる間には、相互接続要素232とそれぞれの導電層212、242との間によい接触が得られるようにするためには相互接続要素232のサイズがどれだけでなければならないかを決定するために、反りの量が決定される(たとえば、測定される)。また、異なるサイズの相互接続要素が用いられること、そして、基板の間および/または導電層の間の距離が変動する場合には、異なるサイズの相互接続要素が用いられなければならないことが、図2bから直ちに明らかである。相互接続要素のサイズは、上で論じられた決定に基づいて、決定される。オプションである実施形態では、異なるサイズを有する少なくとも2つの相互接続要素(共に、アライメント相互接続要素ではない)が存在する。
【0066】
図3aは、半導体パワーデバイスにおいて用いられるための第2の基板310の実施形態の概略図を示している。この図において、第2の基板310の第2の表面311は、図を見ている者の方向を向いている。この第2の表面311の上には、複数の導電層が提供されており、それらのいくつかは、参照番号312、・・・、318によって示されている。導電層においては、いくつかの円形の形状の穴(黒で塗りつぶされた円によって描かれている)が提供されており、それらのいくつかは、参照番号320によって示されている。円形の形状の穴は、アライメント相互接続要素を少なくとも部分的に受ける受け要素である。
【0067】
図3bは、図3aの第2の基板310のものと同じ半導体パワーデバイスで用いるための第1の基板340の一実施形態の概略図を示している。この図において、第1の基板340の第1の表面341は、図を見ている者の方向を向いている。半導体パワーデバイスが組み立てられると、第1の表面341は、第2の基板310の第2の表面311に面していなければならない。第1の表面341の上には、複数の導電層が提供されており、そのうちの1つが、参照番号342を用いて示されている。第1の基板340が第2の基板310と対向して組み立てられると、導電層342は、第2の基板310の導電層316に面している。導電層のうちのいくつかは、外部電極381または外部ピン382に電気的に結合される。半導体パワーデバイスが組み立てられると、外部電極381と外部ピン382とは、この半導体パワーデバイスによって制御されなければならない電力信号を受けるため、制御信号を受けるおよび/または提供するためのものである。
【0068】
オプションで、第1の表面では、導電層のうちの1つの上に直接、スイッチング半導体素子344が提供される。これらのスイッチング半導体素子344は、導電性材料の表面電極を備えている。表面電極のうちの1つが、参照番号345を用いて示されている。表面電極は、第1の表面341から遠ざかる方向に向いたスイッチング半導体素子344の表面上に提供される。
【0069】
図3bでは、中が黒く塗りつぶされた6つの円が描かれており、そのうちのいくつかが、参照番号350を用いて示されている。6つの円は、導電層における円形の穴を表しており、それらは、アライメント相互接続要素を少なくとも部分的に受けるための受け要素である。図3bと図3aとが注意深く検討されると、第1の基板340の受け要素の部分は、第1の基板340と第2の基板310とが半導体パワーデバイスに組み立てられる場合に第2の基板310の受け要素と対向するようになっていることが、気付かれ得るであろう。図示されてはいないが、アライメント相互接続要素は、第1の基板340の受け要素または第2の基板310の受け要素によって、(少なくとも部分的に)受けられ得る。一実施形態では、適切なアライメント相互接続要素は、受け要素の半径よりも大きな半径を有する銅製の球体である。たとえば、銅製の球体は、第1の基板340の受け要素の上に配置され、オプションで、それぞれの受け要素が提供されている導電層に取り付けられる(たとえば、ハンダ付け、または、焼結される)。その後、第2の基板310が、第2の基板310の受け要素によって銅製の球体の一部が受けられる位置の周囲において、これらの銅製の球体の頂部に配置される場合には、第2の基板340の受け要素は、銅製の球体の一部を受けることになり、その結果、第2の基板310の位置が、第1の基板340の位置に固定される(換言すると、アライメントがとられる)。銅製の球体は、また、それぞれの受け要素が提供されている第2の基板310の導電層に取り付けられる(たとえば、ハンダ付け、または、焼結される)。
【0070】
図3bの図では、複数の相互接続要素が、小さな円によって描かれている。数個の相互接続要素が、参照番号332を用いて示されている。また、スイッチング半導体素子344の頂部に、相互接続要素が提供される。図3bの実施形態では、相互接続要素は、それらのそれぞれの導電層またはそれらのそれぞれの表面電極に取り付けられ得る(たとえば、ハンダ付け、または、焼結される)銅製の球体である。第2の基板310が第1の基板の頂部に配置される(そして、アライメント相互接続要素が、両方の基板の受け要素によって、部分的に受けられる)と、相互接続要素は、第2の基板310の第2の表面311において提供されている特定の導電層に接触し、第1の基板340と第2の基板310との間に、電気的および熱伝導性の接続を提供する。オプションで、相互接続要素は、それらが接触している第2の基板310の導電層に取り付けられる(たとえば、ハンダ付け、または、焼結される)。
【0071】
図4は、半導体パワーデバイス400の一実施形態の側面図を概略的に示している。図3bにおいてIVを用いて示されていた矢印が、図を見ている者の方向であって、この側面図が得られる方向を示す。半導体パワーデバイス400は、図3bおよび3aの第1の基板340と第2の基板310とのそれぞれを備え組み立てられた半導体パワーデバイス400を示す。
【0072】
図4の半導体パワーデバイス400は、基板340と、第2の基板310とを備えており、相互接続構造が、アライメント相互接続要素430と、相互接続要素332、332’と、2つの冷却フィン498とを備えている。図3bの文脈で論じられたように、第2の基板は、外部ピン/接点381、382を備えている。半導体パワーデバイス400において、第1の基板340の第1の表面341は、第2の基板310の第2の表面311の方向に面している。
【0073】
第1の表面341の上には、図4の側面図では第1の表面341の上の黒い線として描かれている第1の導電層342が提供されている。第2の表面311の上には、図4の側面図では第2の表面311の上の黒い線として描かれている第2の導電層312が提供されている。
【0074】
冷却フィン498は、第1の表面341と第2の表面311とから遠ざかる方向に面した第2の基板310の表面の上と第1の基板340の表面の上とに、それぞれ提供されている。冷却フィン498は、それぞれの基板310、340から熱を受け、この熱を、半導体パワーデバイス400の環境に提供する。特定のアセンブリでは、複数の半導体パワーデバイス400が、たとえば、冷却フィン498にアクティブな冷却を提供するための手段を備えたより大型のアセンブリの中に、集積されている場合があり得る。
【0075】
相互接続構造は、第1の導電層342と第2の導電層312との間に、複数の電気的接続を提供する。複数の相互接続要素332、332’が、それぞれの導電層342、312に取り付けられている(たとえば、ハンダ付けされている)ことが観察される。また、相互接続要素332’の半径が相互接続要素332の半径よりも小さいことも、観察され得る。これは、相互接続要素332’が半導体素子の上に提供された電極の間にあることに起因し得るか、または、相互接続要素332’の位置においては、それぞれの導電層の間の距離が他の位置における場合よりも小さいことに起因し得る。
【0076】
相互接続構造は、また、そのうちの1つの特定のアライメント相互接続要素430が図4において観察され得るアライメント相互接続要素を備えている。アライメント相互接続要素430は、第1の導電層342の1つにおける穴によって部分的に受けられ、第2の導電層312の1つにおける穴によって部分的に受けられる。アライメント相互接続要素430の半径は、アライメント相互接続要素430を受ける穴の半径よりも大きい。さらに、アライメント相互接続要素430はそれぞれの導電層の中に部分的に突出しているために、アライメント相互接続要素430の半径は、他の相互接続要素332、332’の半径よりも大きい。
【0077】
図5は、パワー半導体デバイスを組み立てる方法500を、概略的に示している。パワー半導体デバイスを組み立てる方法500は、
− スイッチング半導体素子を備えた第1の基板を取得するステップ502であって、第1の基板は、第1の表面を有し、第1の導電層と第1の受け要素とを局所的に備え、スイッチング半導体素子は第1の表面の上に提供されている、取得するステップ502と、
− 第1の表面に面する第2の表面を備えた第2の基板を取得するステップ504であって、第2の基板は、第2の受け要素を備え、第2の導電層を局所的に備えている、取得するステップ504と、
− アライメント相互接続要素を取得するステップ512と、
− 前記受け要素によるアライメント相互接続要素の部分的な受けに影響を及ぼすために、アライメント相互接続要素を、第1の受け要素と第2の受け要素との一方に提供するステップ514と、
− 前記受け要素によるアライメント相互接続要素の部分的な受けに影響を及ぼすために、アライメント相互接続要素を、第1の受け要素と第2の受け要素との他方に提供するステップ516と、
を備える。
【0078】
オプションとして、方法500は、また:
− 第2の基板に対する第1の基板の要求される位置決めを記述するデータを取得する段階506と、
− 第1の受け要素と第2の受け要素との特性を測定する段階508と、
− 取得されたデータと測定された特性とに基づいて、アライメント相互接続要素の特性を決定する段階510と、を備えており、アライメント相互接続要素を取得する段階512が、アライメント相互接続要素の特性を決定する段階510の結果に基づく(換言すると、取得されたアライメント相互接続要素は、決定された特性を、実質的に有する)。
【0079】
第2の基板に対する第1の基板の要求される位置決めを記述するデータが506で取得され、このデータは、第1の基板と第2の基板との間で要求される距離を含み得、特定の位置では、これらの基板の間の距離は特定の値でなければならず、別の特定の位置では、これらの基板の間の距離は別の特定の値でなければならないなど、より多くの情報を含み得る。
【0080】
第1の受け要素と第2の受け要素との特性を508で測定するという段階では、たとえば、それぞれの受け要素の形状がどのようなものであるかが決定される。他の特性は、受け要素が何らかの種類の突出である場合には、受け要素が基板の表面から突出する距離であり得る。特性を測定することは、また、受け要素の厳密な場所の決定を含み得る。
【0081】
アライメント相互接続要素の特性を510で決定する段階では、取得されたアライメント相互接続要素が、決定された特性を有し、第1の受け要素によって少なくとも部分的に受けられ、第2の受け要素によって少なくとも部分的に受けられる場合には、第1の基板は要求されたデータにおいて記述されているように第2の基板に対して位置決めされ、換言すると、第1の基板は第2の基板に対して適切にアライメントがとられている、ということが保証される。たとえば、この段階では、アライメント相互接続要素の形状、および/または、アライメント相互接続要素の長さが、選択される。たとえば、利用可能なアライメント相互接続要素が球体であり、受け要素が穴である場合には、この段階では、特定の半径が、球形の形状のアライメント相互接続要素のために選択される。特定の実施形態おいて、たとえば、受け要素が厳密には相互に対向しておらず、第1の基板が第2の基板に対して取得されたデータに記述されているように位置決めされている場合には、アライメント相互接続要素の特性を決定する段階では、受け要素が厳密には相互に対向していなくても、依然としてよいアライメントを結果的に生じる特定の形状が選択され得る。
【0082】
アライメント相互接続要素を受け要素の1つに514、516で提供する段階とは、アライメント相互接続要素を、それが受け要素によって部分的に受けられるように、受け要素と接触させることを意味する。これは、アライメント相互接続要素を受け要素の上に配置する、または、受け要素をアライメント相互接続要素の上に配置し、重力を用いて、アライメント相互接続要素または受け要素を、アライメント相互接続要素が受け要素によって部分的に受けられるような位置に移動させることによって、なされ得る。特定の実施形態では、それは、アライメント相互接続要素が受け要素によって部分的に受けられることを保証する力を提供することを備え得る。
【0083】
一実施形態では、アライメント相互接続要素を第1の受け要素と第2の受け要素との一方に514で提供する段階は、前記アライメント受け要素を前記受け要素に534でハンダ付けすること、または、前記アライメント相互接続要素を前記受け要素に536で焼結することを備える。一般に、この段階では、前記アライメント相互接続要素が、前記受け要素に取り付けられる。
【0084】
一実施形態では、アライメント相互接続要素を第1の受け要素と第2の受け要素との一方に516で提供する段階は、前記アライメント受け要素を前記受け要素に538でハンダ付けすること、または、前記アライメント相互接続要素を前記受け要素に540で焼結することを備える。一般に、この段階では、前記アライメント相互接続要素が、前記受け要素に取り付けられる。
【0085】
一実施形態では、前記受け要素が穴または窪みである場合には、第1の受け要素と第2の受け要素との特性を508で測定する段階は、前記受け要素の半径を538で決定することと、前記受け要素の深さを540で決定することとの少なくとも一方を備えており、第1の受け要素の半径が、第1の表面と実質的に平行な平面において測定され、第2の受け要素の半径が、第2の表面と実質的に平行な平面において測定され、第1の受け要素の深さが、第1の表面と実質的に垂直な平面において測定され、第2の受け要素の深さが、第2の表面と実質的に垂直な平面において測定される。
【0086】
一実施形態では、第1の基板を502で取得する段階は、第1の基板を542で製造するまたは組み立てることを備える。542で製造するまたは組み立てることは、第1の導電層とスイッチング半導体素子とを第1の表面の上に提供することと、第1の受け要素を第1の基板の上に提供することとを含み得る。
【0087】
一実施形態では、第2の基板を504で取得する段階は、第2の基板を544で製造するまたは組み立てることを備える。544で製造するまたは組み立てることは、第2の導電層を第2の表面の上に提供することと、第2の受け要素を第2の基板の上に提供することとを含み得る。
【0088】
図5では、この方法の段階が、特定の順序で提示されている。この方法は、この方法の段階の示されている順序には限定されない。特定の段階が直接に相互に依存しない限り、それらは、別の順序で実行され得る、および/または並列的に実行され得る。
【0089】
上述された実施形態は、本発明を限定するのではなく例証するものであり、当業者であれば、添付された特許請求の範囲から離れることなく、多くの代替的な実施形態を設計することが可能であろう。
【0090】
特許請求の範囲では、カッコの間に配置されたどの参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとは解釈されてはならない。「備える(comprise)」という動詞とその活用形との使用は、ある請求項に記載されたもの以外の要素またはステップの存在を排除しない。ある要素の前の冠詞「a」または「an」は、その要素が複数存在することを排除しない。本発明は、いくつかの別々の要素を備えたハードウェアによって、実装され得る。複数の手段を列挙するデバイスの請求項では、これらの手段のうちのいくつかは、全く同一のハードウェアによって具体化され得る。一定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実だけで、これらの方策の組合せが効果を生じさせるために用いられ得ないことを示すことはない。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5