(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記通常時に、前記準備指令を出力してから前記可動部を制御して特定の前記作業状況とし、その後に前記カメラ部の前記撮像準備動作の終了を確認してから前記トリガ信号を出力する、請求項2に記載の作業機。
前記制御部は、前記ライン不良時に、前記可動部を制御して特定の前記作業状況としてから前記準備指令を出力し、その後に前記カメラ部の前記撮像準備動作の終了を確認してから撮像要求指令を前記制御ラインに出力し、
前記繰り返し動作モードに設定された前記カメラ部は、前記制御ラインから前記撮像要求指令が入力された後に取得した前記画像データを採用する、
請求項2または3に記載の作業機。
前記制御部は、前記ライン不良時に、前記準備指令を出力してから前記可動部を制御して特定の前記作業状況とし、その後に前記カメラ部の前記撮像準備動作の終了を確認してから撮像要求指令を前記制御ラインに出力し、
前記繰り返し動作モードに設定された前記カメラ部は、前記制御ラインから前記撮像要求指令が入力された後に取得した前記画像データを採用する、
請求項2または3に記載の作業機。
前記カメラ部は、前記トリガ信号または前記撮像要求指令が入力されると点灯して、前記可動部の特定の前記作業状況を照明する光源部を有する、請求項4または5に記載の作業機。
前記制御部は、前記通常時に、前記カメラ部を前記トリガ動作モードに設定し、前記ライン不良時に、前記カメラ部を前記繰り返し動作モードに設定する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の作業機。
前記制御部は、前記通常時および前記ライン不良時に、前記カメラ部から前記画像データを受け取って画像処理を施す画像処理部を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の作業機。
作業を実施する可動部と、トリガ動作モードおよび繰り返し動作モードの一方が設定されて前記可動部の特定の作業状況を撮像するカメラ部と、トリガラインを用いて前記カメラ部に接続された制御部と、を有する作業機の撮像制御方法であって、
通常時に、前記カメラ部を前記トリガ動作モードに設定し、前記制御部から前記カメラ部に向けてトリガ信号を出力することにより、前記トリガ信号が入力された前記カメラ部は、撮像動作を行って画像データを取得し、
前記トリガラインに不良が発生したライン不良時に、前記カメラ部を前記繰り返し動作モードに設定することにより、前記制御部から前記カメラ部に向けて前記トリガ信号を出力せずとも、前記カメラ部は、一定の時間間隔で前記撮像動作を繰り返し行って順次前記画像データを取得する、
作業機の撮像制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1実施形態の作業機(部品装着機1)の装置構成
まず、第1実施形態の作業機の装置構成について例示説明する。
図1は、第1実施形態の作業機となる部品装着機1の装置構成を模式的に示す平面図である。部品装着機1は、部品を基板Kに装着する装着作業を実施する。
図1の紙面左側から右側に向かう方向が基板Kを搬送するX軸方向、紙面下側(前側)から紙面上側(後側)に向かう方向がY軸方向となる。部品装着機1は、基板搬送装置2、複数のテープフィーダ3、部品移載装置4、部品カメラ5、および制御部6などが機台10に組み付けられて構成される。
【0013】
基板搬送装置2は、一対のガイドレール21、22、一対のコンベアベルト、および基板クランプ機構などで構成される。コンベアベルトは、基板Kを載置した状態でガイドレール21、22に沿って輪転することにより、基板Kを装着実施位置まで搬入する。基板クランプ機構は、装着実施位置の基板Kを押し上げてクランプし、位置決めする。部品の装着作業が終了すると、基板クランプ機構は、基板Kを解放し、コンベアベルトは、基板Kを搬出する。
【0014】
複数のテープフィーダ3は、機台10上のパレット部材11に刻設された複数のスロットに取り付けられて列設される。テープフィーダ3は、本体部31の前側にテープリール39を保持する。本体部31の後側寄りの上部に、部品を供給する供給位置32が設定される。テープリール39には、多数のキャビティにそれぞれ部品を収容したキャリアテープが巻回されている。テープフィーダ3は、図略のテープ送り機構によりキャリアテープを供給位置32まで送り、順次キャビティから部品を供給する。
【0015】
部品移載装置4は、基板搬送装置2やテープフィーダ3よりも上方に配設される。部品移載装置4は、テープフィーダ3から部品を採取して基板Kに移載する装着動作を行う。部品移載装置4は、ヘッド駆動機構40、装着ヘッド44、ノズルツール45、吸着ノズル46、およびマークカメラ47などで構成される。ヘッド駆動機構40は、一対のY軸レール41、42、Y軸スライダ43、および図略の駆動モータを含んで構成される。Y軸レール41、42は、Y軸方向に延び、相互に離隔して平行配置される。X軸方向に長いY軸スライダ43は、両方のY軸レール41、42にまたがって装架され、Y軸方向に移動する。装着ヘッド44は、Y軸スライダ43に装架され、X軸方向に移動する。ヘッド駆動機構40は、Y軸スライダ43をY軸方向に駆動するとともに、Y軸スライダ43上の装着ヘッド44をX軸方向に駆動する。
【0016】
装着ヘッド44は、ノズルツール45およびマークカメラ47を保持する。ノズルツール45は、1本または複数本の吸着ノズル46を下側に有する。吸着ノズル46は、図略の昇降駆動部に駆動されて昇降動作する。吸着ノズル46は、供給位置32の上方から下降動作し、負圧を利用して部品を吸着する。ノズルツール45や吸着ノズル46は、複数種類あり、自動または手動で交換される。
【0017】
マークカメラ47は、位置決めされた基板Kに付設された位置マークを撮像して、基板Kの正確な装着実施位置を検出する。マークカメラ47は、作業機のカメラ部に相当する。また、基板搬送装置2は、作業機の可動部に相当する。そして、基板搬送装置2により位置決めされた基板Kの状況は、可動部の特定の作業状況に相当する。
【0018】
部品カメラ5は、基板搬送装置2とテープフィーダ3との間の機台10の上面に、上向きに設けられる。部品カメラ5は、装着ヘッド44がテープフィーダ3から基板Kに移動する途中で、吸着ノズル46が吸着している部品の状態を撮像する。部品カメラ5は、作業機のカメラ部に相当する。また、部品移載装置4は、作業機の可動部に相当する。そして、部品を吸着した吸着ノズル46が部品カメラ5の上方まで移動した状況は、可動部の特定の作業状況に相当する。
【0019】
制御部6は、機台10に組み付けられており、その配設位置は特に限定されない。制御部6は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置により構成される。制御部6は、予め記憶した装着シーケンスにしたがって、部品の装着作業を制御する。
【0020】
2.第1実施形態の作業機(部品装着機1)の制御の構成
図2は、部品装着機1の制御の構成を示すブロック図である。図示されるように、制御部6は、基板搬送装置2、各テープフィーダ3、部品移載装置4のヘッド駆動機構40およびマークカメラ47、ならびに部品カメラ5に接続されている。基板搬送装置2、各テープフィーダ3、部品移載装置4、および部品カメラ5は、制御部6から制御され、それぞれが所定の作業を行う。
【0021】
ここで、二つのカメラ部、すなわちマークカメラ47および部品カメラ5について、同一の制御の構成が用いられる。さらに、制御部6の撮像制御方法も、マークカメラ47および部品カメラ5で一致する。したがって、以降では、部品カメラ5を対象とした制御の構成、および撮像制御方法を例にして、詳細に説明する。
【0022】
制御部6は、画像処理部65を含む。画像処理部65は、制御部6と別体で構成されているが、画像処理部65および制御部6が一体に構成されてもよい。画像処理部65は、部品カメラ5から画像データを受け取って画像処理を施す。これにより、画像処理部65は、吸着ノズル46が吸着している部品に関する画像処理結果を取得する。画像処理結果として、部品の良否判定結果や、部品の吸着姿勢の誤差の検出結果などを例示できる。
【0023】
制御部6と画像処理部65の間は、制御ライン66を用いて接続される。画像処理部65と部品カメラ5の間も、制御ライン56を用いて接続される。制御ライン66および制御ライン56は、通信ケーブルで接続される有線通信部、または無線通信ユニットで接続される無線通信部により形成される。有線通信部および無線通信部のどちらでも、双方向通信が行われる。
【0024】
制御部6から画像処理部65に送信される指令には、準備指令CP1、確認指令CK、および結果要求指令CDがある。画像処理部65から制御部6に返信される応答には、準備終了応答RP2、結果返信応答DR、および不良時応答DXがある。また、画像処理部65から部品カメラ5に送信される指令には、準備指令CP2、トリガクリア指令TC、モード変更指令MC、および撮像要求指令CTがある。部品カメラ5から画像処理部65に返信される応答には、準備終了応答RP1、および画像転送応答DVがある。
【0025】
上記した指令および応答は、制御ライン66および制御ライン56を経由した通信によって入出力される。したがって、通信所要時間に相当する時間遅れが発生する。上記した指令および応答の内容、ならびに入出力のタイミングについては、後の動作説明の中で詳述する。
【0026】
また、制御部6と部品カメラ5の間は、トリガライン55で直結される。トリガライン55は、信号ケーブルなどの信号線で形成される。トリガライン55は、制御部6から部品カメラ5にトリガ信号TGを伝送する。トリガ信号TGは、部品カメラ5に撮像の実施を要求する信号である。トリガ信号TGとして、接点信号やパルス電圧信号などを用いることができる。トリガ信号TGの伝送は、通信を介さないので、殆ど時間遅れが発生しない。トリガ信号TGの伝送タイミングについては、後の動作説明の中で述べる。
【0027】
部品カメラ5は、撮像部51、光源部52、および図略の撮像制御部などで構成される。撮像制御部には、通信機能や入出力機能を具備したコンピュータ装置が用いられる。撮像制御部は、制御ライン56やトリガライン55の入出力を管理する。さらに、撮像制御部は、撮像部51および光源部52を制御する。
【0028】
撮像部51は、部品を吸着した吸着ノズル46を撮像する。撮像部51の撮像条件として、露光時間(シャッタスピード)や絞り(カメラゲイン)を例示でき、これらに限定されない。撮像条件は、被写体となる部品の大きさや形状、および吸着ノズル46の種類などに対応して変更される。撮像条件は、準備指令CP1および準備指令CP2を用いて、制御部6から指令される。
【0029】
光源部52は、撮像部51の撮像動作に際して点灯し、部品を吸着した吸着ノズル46(被写体)を照明する。光源部52は、複数の光源、例えば複数のLED光源で構成される。光源部52は、照明角度が相違する落射光源、傾射光源、および側射光源で構成されてもよい。さらに、光源部52は、照明色が相違する赤色光源、緑色光源、および青色光源で構成されてもよい。光源部52の複数の光源は、少なくとも一部が点灯すればよく、全部が点灯する必要は無い。点灯する光源を指定する照明条件は、被写体となる部品の大きさや外観色などに対応して変更される。また、撮像部51の露光時間よりも長めの点灯時間が、照明条件に規定される。照明条件も、撮像条件と同様に準備指令CP1および準備指令CP2を用いて、制御部6から指令される。
【0030】
部品カメラ5は、トリガ動作モードおよび繰り返し動作モードの一方が設定される。トリガ動作モードにおいて、部品カメラ5は、準備指令CP2が入力されると撮像準備動作を行う。部品カメラ5は、その後にトリガライン55からトリガ信号TGが入力されると、撮像動作を行って画像データを取得する。繰り返し動作モードにおいて、部品カメラ5は、準備指令CP2が入力されると撮像準備動作を行う。部品カメラ5は、その後に一定の時間間隔で撮像動作を繰り返し行って順次画像データを取得する。二つの動作モードの切り替えが可能な部品カメラ5は、市販されており、低コストで調達される。
【0031】
制御部6は、通常時に、部品カメラ5をトリガ動作モードに設定する。制御部6は、例えば、自身が起動したときに、部品カメラ5をトリガ動作モードに設定する指令を画像処理部65経由で出力する。部品カメラ5は、指令にしたがってトリガ動作モードで起動する。これに代え、部品カメラ5は、トリガ動作モードで起動するように予めデフォルト設定されていてもよい。
【0032】
また、制御部6は、トリガライン55に不良が発生したライン不良時に、部品カメラ5を繰り返し動作モードに設定する。ライン不良時とは、トリガライン55を形成する信号線の摩耗や断線、信号線へのノイズの侵入などにより、トリガ信号TGの伝送が不安定ないしは不可能となったとき、を意味する。画像処理部65は、例えば、部品カメラ5の撮像がエラーとなったときにライン不良時と判定し、モード変更指令MCを部品カメラ5に出力する。これにより、部品カメラ5は、トリガ動作モードから繰り返し動作モードへ移行する。
【0033】
なお、部品カメラ5の繰り返し動作モードへの移行は、オペレータが設定するようにしてもよい。例えば、オペレータは、部品カメラ5の撮像がエラーとなったときに、その原因を調査する。オペレータは、トリガライン55の不良が原因である場合に、部品カメラ5を繰り返し動作モードに設定する。また、オペレータは、他の原因である場合に、他の対策を講じる。
【0034】
制御部6は、設定部61および表示部62を有する。設定部61により、各種の設定操作が行われる。表示部62により、各種の情報が表示される。表示部62は、ライン不良案内部63を有する。ライン不良案内部63は、ライン不良時である旨をオペレータに案内する。具体的な案内方法として、ライン不良時を表すアイコンが表示部62に表示される。なお、別法として、ライン不良案内部63は、警報ランプを点灯させたり、ライン不良時である旨の情報をオペレータの携帯端末に送信したりしてもよい。
【0035】
3.第1実施形態の作業機(部品装着機1)の動作、作用、および効果
次に、部品装着機1の動作、作用、および効果について説明する。
図3は、部品装着機1の通常時の部品カメラ5の撮像に関する動作を示す説明図である。
図3の左側から右側へと、制御部6、画像処理部65、部品カメラ5の光源部52および撮像部51が並んでいる。また、
図3の上から下へと、時間が経過する。部品装着機1が起動した初期状態において、部品カメラ5は、トリガ動作モードに設定されている。
【0036】
制御部6は、通常時に部品の装着作業を進めるとき、まず、準備指令CP1を画像処理部65に出力する。準備指令CP1は、部品カメラ5に撮像準備動作S1および照明準備動作L1を要求する指令である。準備指令CP1は、撮像部51の撮像条件の情報、および光源部52の照明条件の情報を含む。準備指令CP1を受け取った画像処理部65は、準備指令CP1と同一内容の準備指令CP2を部品カメラ5に出力する。
【0037】
準備指令CP2を受け取った部品カメラ5で、撮像部51は、撮像条件に適合するように撮像準備動作S1を行う。撮像準備動作S1の終了後に、撮像部51は、トリガ信号TGの入力を待つトリガ待ち状態S2に移行する。撮像部51の撮像準備動作S1に並行して、光源部52は、照明条件に適合するように照明準備動作L1を行う。照明準備動作L1の終了後に、光源部52は、トリガ信号TGの入力を待つトリガ待ち状態L2に移行する。撮像準備動作S1および照明準備動作L1が終了した時点で、部品カメラ5は、準備終了応答RP1を画像処理部65に出力する。
【0038】
一方、制御部6は、準備指令CP1を出力した後に、被写体の側の準備動作、すなわち被写体準備動作W1を行う。換言すると、制御部6は、ヘッド駆動機構40などを制御して、部品を吸着した吸着ノズル46を部品カメラ5の上方まで移動させる。その後、制御部6は、確認指令CKを画像処理部65に出力する。確認指令CKは、部品カメラ5の撮像準備動作S1および照明準備動作L1が終了しているか否かを問い合わせる指令である。確認指令CKを受け取った画像処理部65は、既に部品カメラ5から準備終了応答RP1を受け取っているので、準備終了応答RP2を制御部6に出力する。仮に、未だ準備終了応答RP1を受け取っていない場合、画像処理部65は、準備終了応答RP1を受け取ってから準備終了応答RP2を制御部6に出力する。
【0039】
制御部6は、準備終了応答RP2を受け取った時点で、被写体の側の準備および部品カメラ5の側の準備が整っていることを把握できる。したがって、制御部6は、トリガ信号TGを部品カメラ5に出力する。トリガ信号TGを受け取った部品カメラ5は、殆ど時間遅れなく撮像を行う。すなわち、光源部52は、遅滞なくトリガ待ち状態L2を解消して、照明動作L3を行う。また、撮像部51は、遅滞なくトリガ待ち状態S2を解消して、撮像動作S3を行い、画像データを取得する。なお、撮像動作S3は、照明動作L3の継続時間内に実施される。
【0040】
撮像動作S3の終了後、部品カメラ5は、画像転送応答DVによって画像データを画像処理部65に出力する。この後、部品カメラ5は、準備指令CP2を待つ状態に移行する。また、画像処理部65は、受け取った画像データに画像処理A1を施して、画像処理結果を取得する。
【0041】
トリガ信号TGを出力した制御部6は、第1時間T1が経過すると、結果要求指令CDを画像処理部65に出力する。結果要求指令CDは、画像処理部65に画像処理結果の出力を要求する指令である。第1時間T1は、部品カメラ5が撮像に要する時間、画像処理部65が画像処理A1に要する時間、および余裕時間などが加算されて設定される。結果要求指令CDを受け取った画像処理部65は、結果返信応答DRによって画像処理結果を制御部6に出力する。この後、制御部6は、画像処理結果に基づいて、装着作業を進める。
【0042】
これで、部品カメラ5の1回の撮像サイクルが終了する。装着作業の進捗に伴い、制御部6は、2回目の準備指令CP1を画像処理部65に出力する。以降、同様の撮像サイクルが繰り返される。
【0043】
なお、2回目以降の撮像で撮像部51の撮像条件および光源部52の照明条件が変更されない場合に、2回目以降の準備指令CP1を省略することも可能である。この態様では、画像転送応答DVの後、撮像部51は、トリガ待ち状態S2に戻り、光源部52は、トリガ待ち状態L2に戻る。制御部6は、被写体準備動作W1が終了するたびにトリガ信号TGを部品カメラ5に出力し、その後に第1時間T1が経過すると、結果要求指令CDを画像処理部65に出力する。
【0044】
制御部6は、通常時に、部品カメラ5をトリガ動作モードに設定する。トリガ動作モードでは、被写体の側の被写体準備動作W1と、部品カメラ5の側の撮像準備動作S1および照明準備動作L1とが並行して行われる。また、トリガ信号TGを用いることにより、撮像タイミングの時間遅れが殆ど発生しない。この結果、部品カメラ5の撮像サイクルは短時間となり、部品装着機1の生産効率は、高く維持される。
【0045】
次に、
図4は、トリガライン55に不良が発生したときの部品カメラ5の撮像に関する動作を示す説明図である。
図4において、制御部6がトリガ信号TGを出力するまでは、
図3に示される通常時の動作と変わらない。しかしながら、トリガライン55に不良が発生しているため、トリガ信号TGは部品カメラ5に到達しない。このため、部品カメラ5では、撮像部51のトリガ待ち状態S2および光源部52のトリガ待ち状態L2が継続され、撮像が実施されない。
【0046】
トリガ信号TGを出力した制御部6は、第1時間T1が経過すると、結果要求指令CDを画像処理部65に出力する。結果要求指令CDを受け取った画像処理部65は、未だ画像データを受け取っていないので、ライン不良時と判定する。画像処理部65は、ライン不良時を意味する不良時応答DXを制御部6に出力する。不良時応答DXを受け取った制御部6は、ライン不良案内部63により、ライン不良時である旨の案内表示W2を行う。案内表示W2の表示事項は、オペレータが認識するまで維持される。したがって、オペレータは、ライン不良時であることを明確に認識でき、さらに、装着作業の進捗状況に応じてトリガライン55の復旧作業をタイムリーに行うことができる。
【0047】
画像処理部65は、不良時応答DXの出力に続いて、トリガクリア指令TCを部品カメラ5に出力する。これにより、撮像部51は、トリガ待ち状態S2を解消し、光源部52は、トリガ待ち状態L2を解消する。さらに、画像処理部65は、モード変更指令MCを部品カメラ5に出力する。モード変更指令MCを受け取った部品カメラ5は、トリガ動作モードから繰り返し動作モードへ移行する。これにより、部品装着機1は、装着作業を再開することができる。
【0048】
装着作業の再開の後、制御部6は、まず、被写体準備動作W1を行う。その後、制御部6は、準備指令CP1を画像処理部65に出力する。準備指令CP1を受け取った画像処理部65は、準備指令CP2を部品カメラ5に出力する。準備指令CP2を受け取った部品カメラ5で、撮像部51は、撮像準備動作S1を行い、光源部52は、照明準備動作L1を行う。撮像準備動作S1および照明準備動作L1が終了した時点で、部品カメラ5は、準備終了応答RP1を画像処理部65に出力する。
【0049】
ここで、部品カメラ5は繰り返し動作モードに設定されているので、撮像部51は、一定の時間間隔で撮像動作(S41、S42、S43)を繰り返し行い、順次画像データを取得する。なお、光源部52は、この時点では照明動作を行わない。画像処理部65は、準備終了応答RP1を受け取った時点で、被写体の側の準備および部品カメラ5の側の準備が整っていることを把握する。したがって、画像処理部65は、撮像要求指令CTを部品カメラ5に出力する。撮像要求指令CTは、制御ライン56を経由する指令であり、部品カメラ5に撮像の実施を要求する。
【0050】
部品カメラ5は、撮像要求指令CTを受け取ったときに、1回目の撮像動作S41の途中の状況にある。このため、部品カメラ5は、今回の画像データを採用せず、次回の撮像動作S42を待つ。撮像部51が2回目の撮像動作S42を行うのに合わせて、光源部52は、照明動作L4を行う。部品カメラ5は、2回目の撮像動作S42で取得した画像データを採用し、画像転送応答DVによって画像処理部65に出力する。この後も、撮像部51は、撮像動作S43を繰り返す。また、画像処理部65は、受け取った画像データに画像処理A1を施して、画像処理結果を取得する。
【0051】
準備指令CP1を出力した制御部6は、第2時間T2が経過すると、結果要求指令CDを画像処理部65に出力する。第2時間T2は、第1時間T1と比較して大幅に長く設定される必要がある。結果要求指令CDを受け取った画像処理部65は、結果返信応答DRによって画像処理結果を制御部6に出力する。
【0052】
第2時間T2が大幅に長く設定される理由は、次の1)、2)、3)による。
1)被写体準備動作W1と並行して実施されない撮像準備動作S1および照明準備動作L1の所要時間が考慮される。
2)トリガ信号TGでは伝送の時間遅れが無いが、撮像要求指令CTでは、通信により発生する時間遅れが考慮される。
3)トリガ信号TGでは撮像タイミングの時間遅れが無いが、撮像要求指令CTでは、撮像タイミングが撮像要求指令CTから遅れることが考慮される。
【0053】
なお、トリガライン55の不良以外の故障原因でも、画像処理部65は、トリガクリア指令TCおよびモード変更指令MCを部品カメラ5に出力する。このとき、部品カメラ5は、繰り返し動作モードへ移行しても、撮像を再開できない場合が有る。この場合、制御部6は、装着作業の継続が困難という旨の警報を表示部62に表示し、または、警報を別の方法でオペレータに通知する。そして、部品装着機1は、装着作業を停止する。
【0054】
以上説明したように、第1実施形態の作業機(部品装着機1)によれば、部品カメラ5は、通常時にトリガ信号TGにしたがって撮像動作を行い、ライン不良時に一定の時間間隔で撮像動作を繰り返して行う。したがって、トリガライン55に不良が発生した場合でも、作業機(部品装着機1)は、部品カメラ5による撮像が可能であり、作業(部品装着作業)を継続できる。
【0055】
一方、従来の部品装着機は、ライン不良時に装着作業を停止して、オペレータに警報を通知していた。したがって、オペレータが到着してトリガライン55を復旧するまで、部品装着機が停止したままとなる。この結果、部品装着機の生産効率は大幅に低下する。これに対比して、第1実施形態の部品装着機1によれば、ライン不良時に部品カメラ5の撮像サイクルの所要時間が通常時よりも長引くものの、装着作業は継続される。したがって、部品装着機1の生産効率は、従来よりも向上する。
【0056】
4.第2実施形態の作業機(部品装着機1A)
次に、第2実施形態の作業機(部品装着機1A)について、第1実施形態と異なる点を主にして説明する。第2実施形態において、作業機(部品装着機1A)の装置構成および制御の構成は、第1実施形態と変わらない。ただし、ライン不良時に部品装着機1Aが装着作業を再開した後の動作が、第1実施形態と異なる。
図5は、第2実施形態において、トリガライン55に不良が発生したときの部品カメラ5の撮像に関する動作を示す説明図である。
【0057】
部品装着機1Aが装着作業を再開した時点で、部品カメラ5は、繰り返し動作モードに設定されている。制御部6は、ライン不良時に、まず、準備指令CP1を画像処理部65に出力する。準備指令CP1を受け取った画像処理部65は、準備指令CP1と同一内容の準備指令CP2を部品カメラ5に出力する。準備指令CP2を受け取った部品カメラ5で、撮像部51は、撮像準備動作S1を行い、光源部52は、照明準備動作L1を行う。撮像準備動作S1および照明準備動作L1が終了した時点で、部品カメラ5は、準備終了応答RP1を画像処理部65に出力する。
【0058】
ここで、部品カメラ5は繰り返し動作モードに設定されているので、撮像部51は、一定の時間間隔で撮像動作(S51、S52、S53、S54)を繰り返し、順次画像データを取得する。なお、光源部52は、この時点では照明動作を実施しない。
【0059】
一方、制御部6は、準備指令CP1を出力した後に、被写体準備動作W1を行う。その後、制御部6は、確認指令CKを画像処理部65に出力する。確認指令CKを受け取った画像処理部65は、既に部品カメラ5から準備終了応答RP1を受け取っているので、準備終了応答RP2を制御部6に出力する。制御部6は、準備終了応答RP2を受け取った時点で、被写体の側の準備および部品カメラ5の側の準備が整っていることを把握できる。したがって、制御部6は、撮像要求指令CT1を画像処理部65に出力する。撮像要求指令CT1を受け取った画像処理部65は、撮像要求指令CT1と同一内容の撮像要求指令CT2を部品カメラ5に出力する。
【0060】
部品カメラ5は、撮像要求指令CT2を受け取ったときに、3回目の撮像動作S53の途中の状況にある。このため、部品カメラ5は、今回の画像データを採用せず、次回の撮像動作S54を待つ。撮像部51が4回目の撮像動作S54を行うのに合わせて、光源部52は、照明動作L5を行う。部品カメラ5は、4回目の撮像動作S54で取得した画像データを採用し、画像転送応答DVによって画像処理部65に出力する。この後も、撮像部51は、撮像動作を繰り返す。また、画像処理部65は、受け取った画像データに画像処理A1を施して、画像処理結果を取得する。
【0061】
撮像要求指令CT1を出力した制御部6は、第3時間T3が経過すると、結果要求指令CDを画像処理部65に出力する。第3時間T3は、第1時間T1と比較して長く設定される必要がある。結果要求指令CDを受け取った画像処理部65は、結果返信応答DRによって画像処理結果を制御部6に出力する。
【0062】
第3時間T3が第1時間T1よりも長く設定される理由は、次の4)、5)による。
4)トリガ信号TGでは伝送の時間遅れが無いが、撮像要求指令CT1および撮像要求指令CT2では、通信により発生する時間遅れが考慮される。
5)トリガ信号TGでは撮像タイミングの時間遅れが無いが、撮像要求指令CT1および撮像要求指令CT2では、撮像タイミングが撮像要求指令CT2から遅れることが考慮される。
【0063】
第2実施形態の作業機(部品装着機1A)によれば、トリガライン55に不良が発生した場合でも、部品カメラ5は、繰り返し動作モードに設定され、トリガ信号TGが入力されずとも撮像を繰り返して実施することができる。これにより、ライン不良時に部品カメラ5の撮像サイクルの所要時間が通常時よりも長引くものの、部品装着機1Aの装着作業は継続される。したがって、部品装着機1Aの生産効率は、従来よりも向上する。
【0064】
5.実施形態の応用および変形
なお、第1および第2実施形態において、画像処理部65は、制御部6と部品カメラ5の間に接続されて制御部6の制御機能を補佐しているが、他の形態を採用してもよい。例えば、制御部6と部品カメラ5の間が制御ラインおよびトリガライン55で直結され、画像処理部65と部品カメラ5の間が別のデータ通信線で接続されてもよい。この態様では、画像処理部65は、部品カメラ5の制御に関与せず、画像処理A1のみを担当する。第1および第2実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。