(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
なお、以下に示す説明において、三次元造形装置10の制御部140および制御装置50の制御部500は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。三次元造形装置10の制御部140および制御装置50の制御部500は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る三次元造形装置10の構成を例示する図である。また、
図2は、第1の実施形態に係る三次元造形装置10で形成される造形物200および流路230の構造を例示する図である。本図では、造形物200が造形される途中の一状態を示している。本実施形態に係る三次元造形装置10は、容器110、キャリア120、照射部130、および制御部140を備える。容器110は、光硬化性組成物20を収容し、少なくとも一部に光透過部112を有する。キャリア120は、光透過部112に対する距離が可変に構成されている。照射部130は、キャリア120と光透過部112の間の光硬化性組成物20に、光透過部112を介して光を照射する。制御部140は、光硬化性組成物20を硬化させてなる造形物200を形成するよう、キャリア120の位置および照射部130を制御する。また、制御部140は、光が照射されている領域で光硬化性組成物20を硬化させることにより、容器110の外部に繋がる流路230の少なくとも一部を形成するようにキャリア120の位置および照射部130を制御し、かつ、拡径部および開口部238の少なくとも一方を、少なくとも一時的に設けるように、キャリア120の位置および照射部130を制御する。ここで、拡径部は、流路230の光透過部112側の先端232に向かって流路230の内径が広がる部分である。開口部238は、流路230の先端232近傍の側壁に位置する。以下に詳しく説明する。
【0016】
三次元造形装置10は、造形物200の形状を示す三次元データに基づき光硬化性組成物20を硬化させて、造形物200を形成する装置である。造形物200は特に限定されないが、造形物200は歯科用途物および医療用途物の少なくとも一方であり得る。歯科用途物や医療用途物は個々の使用者にあわせて精密に製造される必要があり、三次元造形装置10の使用が適する。
【0017】
光硬化性組成物20はたとえば流動性を有する樹脂組成物であり、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート系樹脂、エポキシ・アクリレートハイブリッド系樹脂、エポキシ・オキセタン・アクリレートハイブリッド系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、ウレタンメタクリレート系樹脂、およびこれらのモノマーからなる群から選択される一以上を含む。また、光硬化性組成物20は重合開始剤、フィラー、顔料、染料、細胞、細胞成長因子等を含んでも良い。
【0018】
三次元造形装置10の容器110は光硬化性組成物20を収容する。容器110の一部には、他の部分よりも光透過性が高い光透過部112が設けられている。光透過部112はたとえばガラスである。面113は、光透過部112の面の内、容器110の内側の面である。光透過部112では、容器110の外部から照射された光が高効率で容器110の内部まで透過する。その結果、面113近傍の光硬化性組成物20が硬化される。本図の例において、容器110はバット状である。そして、光透過部112は容器110の底部に設けられている。また、容器110の側面には光硬化性組成物20を導入するための導入孔115が設けられている。
【0019】
キャリア120は、造形の土台となる部材である。キャリア120の面122は、光透過部112の面113と平行に対向している。本実施形態に係る三次元造形装置10はキャリア120を少なくとも面113に垂直な方向に駆動する駆動部142をさらに備える。キャリア120が駆動されることで、面122と面113との距離が変化する。
【0020】
造形物200の造形において、面113近傍で硬化された光硬化性組成物20はキャリア120の面122に積層される。そして、面122と面113との距離を広げながら光硬化性組成物20の硬化および積層を繰り返すことで、面122に立体的な構造が形成される。なお、本図において、造形物200は造形途中の構造を例示している。
【0021】
なお、キャリア120と光透過部112との間には、造形物200と同様に、造形物200とキャリア120とを繋ぐ支持部がさらに形成されても良い。支持部は、全ての光照射が終了した後に、除去される。
【0022】
キャリア120はたとえば金属を含んで構成される。金属としてはアルミ、ステンレス等が挙げられる。また、キャリア120は表面層を備えていてもよい。表面層としてはたとえば上記した金属の酸化層、硬化性組成物を硬化させたハードコート層、塗料層、および樹脂層が挙げられる。樹脂層としてはポリエチレンテレフタラート(PET)やポリプロピレン(PP)等が挙げられる。樹脂層は、たとえばフィルムやシートを貼り付けることでキャリア120に形成できる。
【0023】
照射部130は、たとえば光源および光学描画系を含んで構成される。光源は特に限定されないが、たとえば紫外線源、白熱灯、蛍光灯、燐光灯、レーザーダイオード、または発光ダイオードであり得る。光学描画系は、特に限定されないが、たとえばマスク、空間光変調器(spatial light modulator)、マイクロミラーデバイス、およびMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーアレイのうち少なくとも一つを含んで構成される。また、照射部130は光源および光学描画系の駆動装置を含み、制御部140による制御に基づき、光硬化性組成物20への光照射を行う。照射部130はレンズやシャッター等の光学部品をさらに含んでも良い。
【0024】
照射部130では、光源からの光が光学描画系を介して光透過部112に照射される。照射部130からの出力光がビーム光である場合、ビーム光で光照射領域の走査が行われ、走査された光照射領域の光硬化性組成物20が硬化される。また、照射部130からは光照射領域の全体または一部に対して同時に光が投影されても良い。
【0025】
制御部140は、照射部130、および駆動部142を制御する。三次元造形装置10はさらに記憶部150を備え、記憶部150には造形する構造の立体形状を示す情報があらかじめ保持されている。制御部140では記憶部150から、この立体形状を示す情報を読み出し、複数の光照射領域を示す情報を含む光照射情報を生成する。ここで、各光照射領域は、照射部130で光照射すべき領域であり、造形する構造の面113に平行な断面形状に対応する。そして、光照射情報には、複数の光照射領域を示す情報が、光照射すべき順を示す情報と共に含まれる。なお、光照射情報は制御部140で生成されるに限らず、予め外部で生成されて記憶部150に保持されていても良い。また、光照射情報には、各光照射領域を示す情報に関連づけられたキャリア120の位置を示す情報が含まれても良い。
【0026】
本実施形態において、各光照射領域には、造形物200を造形するためのパターン、流路230の側壁235を造形するためのパターン、および、支持部を造形するためのパターンのうち少なくともいずれかが含まれる。なお、流路230の一部は支持部の内部に設けられても良い。
【0027】
制御部140は、光照射情報に基づいて、順に光照射領域を光照射するように、照射部130を制御する。また、制御部140は、各光照射領域の光照射タイミングに応じて光透過部112と面113との距離を変化させるよう、駆動部142を制御する。その結果、キャリア120と面113との間に造形物200が形成される。
【0028】
なお、面122と面113との距離は連続的に変化しても良いし、断続的に変化しても良い。距離が断続的に変化する場合、制御部140は光照射領域の切り替えタイミングに合わせて距離を1層分広げる。こうして複数の層を形成することで、積層構造として造形物200が得られる。1層分の距離の変化量は、たとえば30μm以上100μm以下である。一方、距離が連続的に変化する場合、制御部140は距離の変化速度と光硬化性組成物20の硬化速度に応じて光照射領域を切り替える。こうすることで、距離が断続的に変化する場合よりも滑らかな表面の造形物200が得られる。
【0029】
また、制御部140は、面122と面113との距離を一時的に縮めるよう制御しても良い。そうすることで、光硬化性組成物20が攪拌されたり、面122と面113との間に光硬化性組成物20が入り込み易くなったりする。
【0030】
本実施形態において、制御部140は少なくとも一部が造形物200とは別途設けられた流路230をさらに設けるようキャリア120の位置および照射部130を制御する。ここで、流路230が造形物200と別途設けられているとは、流路230が目的の造形物200に含まれる構造ではなく、全ての光照射が終了した後に造形物200から取り除かれることを言う。なお、流路230が造形物200から取り除かれる前には、流路230の側壁235が造形物200と接続されていたり、側壁235の一部が造形物200の一部を兼ねていたりしても良い。なお、導入物の流れに寄与する限り、流路230の側壁235の硬化の程度は特に限定されない。また、流路230の面113に平行な断面の形状は特に限定されず、円形や多角形等であり得る。流路230の側壁235の厚さは特に限定されないが、たとえば30μm以上1mm以下である。
【0031】
造形物200を造形する間、流路230の一方の先端232は、少なくとも一時的に面113の近傍に位置する。そして、流路230により、光が照射されている領域に流動性がある導入物が導入される。流路230は、光硬化性組成物20の硬化物によって構成される第1部分と、光硬化性組成物20の硬化物以外によって構成される第2部分とを含む。流路230の第2部分はたとえばキャリア120の内部に設けられる。また、流路230の第2部分は、キャリア120の外部に設けられた配管によって構成されても良い。流路230の先端232とは反対側は、容器110の外部に繋がっている。容器110の外部とは、容器110の光硬化性組成物20を収容する空間の外側である。本実施形態において、三次元造形装置10は導入制御部160および導入物容器162をさらに備える。流路230は導入制御部160に繋がっている。具体的には、流路230の第1部分は第2部分を介して、導入制御部160に繋がっている。
【0032】
導入物容器162は導入物を収容する容器である。また、導入制御部160は、制御部140による制御に基づき、導入物容器162から流路230への導入物の供給を制御する。導入制御部160はたとえばバルブやポンプを含んで構成される。
【0033】
図2において、導入物の流れを矢印で例示している。導入物は光硬化性組成物20と同じ組成物または異なる物質である。
【0034】
たとえば制御部140は、少なくとも造形物200のうち、光透過部112のキャリア120側の面113に平行な断面の面積が最も大きい第1領域を造形する際に、先端232近傍に拡径部234および開口部238の少なくとも一方が設けられているよう、キャリア120の位置および照射部130を制御する。
【0035】
このような第1領域を形成する際には、直前に形成された光硬化性組成物20の硬化物と面113との間の広い領域に、光硬化性組成物20を行き渡らせる必要があり、流路230によって導入物を導入することが効果的に寄与する。
【0036】
また、流路230を適切に配して導入物を導入することにより容器110内の光硬化性組成物20の流れを制御することができる。ひいては、造形物200を精度良く造形することができる。なお、導入物が光硬化性組成物20と同じ組成物である場合、容器110が導入物容器162を兼ねても良い。
【0037】
また、導入物が光硬化性組成物20とは異なる物質である場合、たとえば導入物は、光硬化性組成物20とは異なる組成の光硬化性組成物または光硬化性がない添加剤である。導入物はたとえばフィラー、細胞、および細胞成長因子の少なくともいずれかを含んでも良い。このように、導入物が光硬化性組成物20とは異なる物質であれば、造形物200のうちの一部分のみを他の部分とは異なる組成や材料で形成したり、光硬化性組成物20の硬化を制御したりすることができる。
【0038】
特に、光造形を妨げる因子となる成分(以下、「成分A」と呼ぶ)として、たとえばフィラーや細胞、細胞成長因子など、光硬化性も光硬化性を促進する機能も持たない成分がある。このような成分Aを造形物200に導入する場合、導入したい部位の周囲に流路230を配置し、導入したい部位周辺に優先的に成分Aを供給することで、必要な部位に成分Aを導入しつつ、全体として充分な光造形を実現することができる。
【0039】
図3は、本実施形態に係る流路230の構造の第1の例を示す拡大図である。本図では、流路230の先端232近傍を拡大して示している。本実施形態では、流路230の側壁235に開口部238が設けられている例について説明する。開口部238は側壁235を貫通し、流路230の内外を繋いでいる。開口部238が設けられていることにより、流路230からの導入物は先端232近傍において、開口部238が位置する方向に優先的に放出される。したがって、所望の領域に効果的に導入物を導入することができる。また、本実施形態によれば、開口部238を介して多くの導入物を光照射領域に導入できる。
【0040】
本図の例において、開口部238は切れ込み部236である。切れ込み部236は、流路230の側壁235の一部を取り去った形状の部分である。切れ込み部236の外周は先端232側の一部が側壁235に囲まれていない。制御部140は、このような切れ込み部236の形状が形成されるように光硬化性組成物20を硬化させ、側壁235を造形する。切れ込み部236は、側壁235を貫通しており、流路230を外部の空間と接続している。また、切れ込み部236の一端は面113側に開放している。
【0041】
図4は、本実施形態に係る流路230の構造の第2の例を示す拡大図である。本図では、流路230の先端232近傍を拡大して示している。本例において、開口部238は切れ込み部236ではない。すなわち、開口部238の外周は全体が、側壁235に囲まれている。開口部238の形状は特に限定されず、たとえば矩形等の多角形または円形である。
【0042】
開口部238について以下にさらに詳しく説明する。なお以下において、開口部238が切れ込み部236であるか否かは問わない。開口部238の、面113に垂直な方向の幅はwである。すなわち、流路230で導入物が導入されるタイミングにおいて、開口部238の先端232から最も離れた端から先端232までの幅はwである。wは特に限定されないが、たとえば500μm以下である。また、造形物200が、光透過部112とキャリア120との距離毎に形成される複数の層により構成される場合、wはたとえば層5つ分以下の長さである。
【0043】
また、最初の光照射の開始時における面113と面122との距離をdとしたとき、wはたとえばdの5倍以下である。
【0044】
開口部238から導入物を導入する際に、流路230の先端232には面113に向いた開口が設けられていても良いし、設けられていなくても良い。ただし、導入量を確保する観点から、開口が設けられていることが好ましい。また、流路230から導入物が導入された後、流路230はそれ以上の造形がされなくても良いし、開口を塞ぐよう造形がされても良い。また、開口部238が切れ込み部236である場合、切れ込み部236は流路230の延長に伴い側壁235の開口として残されても良い。この開口は、開口部238として導入物の導入に用いられても良いし、用いられなくても良い。また、切れ込み部236由来の開口には側壁235の外側に形成された他の流路が接続され、この開口から流出する導入物をせき止めたり、誘導したりしていてもよい。
【0045】
造形物200が造形される間、一つの流路230には一つの開口部238のみが形成されても良いし、複数の開口部238が形成されても良い。複数の開口部238が形成される場合、それらの形状は必ずしも互いに同じである必要は無い。また、一つの流路230に、異なる方向を向いた複数の開口部238が同時に形成されても良い。
【0046】
図5は、第1の実施形態に係る三次元造形装置10で形成される造形物200および流路230の変形例を示す図である。本図において、導入物の流れを矢印で例示している。本変形例において、制御部140は、流路230を複数設けるようキャリア120の位置および照射部130を制御する。こうすることにより、複数の流路230を用いて、複数箇所からの、または複数のタイミングでの導入物の導入が可能である。ひいては、複数の領域に対して導入物を導入できる。
【0047】
なお、流路230が複数設けられている状態とは、少なくとも流路230の先端232が複数に分かれていることを言う。すなわち、複数の流路230は途中で互いに接続されていても良い。
【0048】
また、複数の流路230で導入される導入物には、二種以上の導入物が含まれていてもよい。導入物が複数種類用いられる場合、三次元造形装置10は導入物容器162を複数備えても良い。また、複数の流路230が設けられる場合、三次元造形装置10は導入制御部160を複数備えても良い。複数の流路230はそれぞれ異なる導入制御部160で導入物の導入が制御されても良いし、一の導入制御部160が複数の流路230への導入物の導入を制御しても良い。また、流路230内の導入物は、流路230内で他の流路230の導入物と混合されても良い。
【0049】
複数の流路230の側壁235は少なくとも一部において一体化されていても良い。たとえば、外観が一つの管であり、内部が複数に仕切られて、複数の流路230が構成されていても良い。
【0050】
以下に、本実施形態に係る造形物200の製造方法について説明する。本実施形態に係る造形物200の製造方法は、上記したような三次元造形装置10を用いた造形物200の製造方法である。
【0051】
造形に先立ち、記憶部150に造形物200の三次元データが保持されている。また、造形物200の三次元データおよび流路230の形状に基づき、造形物200および流路230を形成するための光照射情報が生成される。
【0052】
そして、キャリア120が、光硬化性組成物20が収容された容器110の光透過部112近傍に配置される。このとき面122と面113との距離dは、たとえば30μm以上100μm以下である。
【0053】
次いで、制御部140は光照射情報に基づき、最初の光照射領域に光照射するよう、照射部130から光透過部112に向けて光が照射される。照射部130からの光は光透過部112を介して面122と面113との間の光硬化性組成物20に照射される。これにより、面122と面113との間の光硬化性組成物20が光照射領域の形状に硬化され、硬化物が面122に付着する。
【0054】
引き続き、制御部140は光照射情報に基づき、複数の光照射領域に順に光照射する。それと共に、上記した通り、制御部140は、面122と面113との間の距離を変化させるよう駆動部142を制御する。光照射により新たに形成された光硬化性組成物20の硬化物は、その直前に形成された光硬化性組成物20の硬化物に対して、積層される。なお、この段階で光硬化性組成物20の硬化物は半硬化状態であってよい。
【0055】
造形物200が造形される間、少なくとも一時的に、流路230の先端232には開口部238が形成される。そして、制御部140は流路230に導入物を供給するよう導入制御部160を制御する。そして、導入物は、流路230の先端232の開口および開口部238から、光照射されている領域に導入される。また、導入物の導入が必要な領域の光照射が終了すると、制御部140は導入制御部160を制御して、導入物の供給を停止する。
【0056】
最後の光照射領域が光照射された後、側壁235および造形物200はキャリア120から取り外される。また、側壁235が除去される。その後、造形物200はポストキュアされる場合がある。こうして、造形物200が得られる。
【0057】
なお、側壁235の一部が造形物200の一部を兼ねている場合、流路230が取り除かれた後に、造形物200の表面に溝が残っても良い。
【0058】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態によれば、開口部238により、所望の領域に優先的に導入物を導入することができる。その結果、たとえば造形物200の造形精度を高めたり、組成や材料を部分的に変更したり、硬化を制御したりすることができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図6(a)は、第2の実施形態に係る流路230の第1の例を示す図であり、
図6(b)は、第2の実施形態に係る流路230の第2の例を示す図である。
図6(a)および
図6(b)は、流路230の先端232近傍の断面図である。本実施形態に係る三次元造形装置10は、制御部140が流路230の光透過部112側の先端232に向かって流路230の内径が広がる拡径部234を少なくとも一時的に設けるように、キャリア120の位置および照射部130を制御する点を除いて、第1の実施形態に係る三次元造形装置10と同じである。なお、流路230の内径とは、面113に平行な断面における径である。
【0060】
拡径部234では、流路230の内径が、非等方的に広がる。より具体的には、拡径部234では、流路230の軸231を基準に非等方的に流路230の内径が広がる。ここで、軸231は、流路230の長さ方向に延びる軸である。拡径部234の先端232とは反対側の端部における、面113に平行な断面において、軸231は流路230の中心に位置する。このように流路230が非等方的に広がることにより、流路230からの導入物は、先端232において、流路230が広がった特定の方向に優先的に放出される。したがって、所望の領域に効果的に導入物を導入することができる。
【0061】
拡径部234は、径が変化する部分である。拡径部234では、流路230の内径が段階的に広がっていても良いし、連続的に広がっていても良い。
図6(a)は、流路230の内径が段階的に広がっている例を示し、
図6(b)は、流路230の内径が連続的に広がっている例を示している。本実施形態において、拡径部234における側壁235は貫通していない。
【0062】
制御部140は拡径部234が先端232の近傍に位置するタイミングで、導入物を導入するよう導入制御部160を制御する。流路230で導入物が導入されるタイミングにおいて、拡径部234の先端232から最も離れた端から先端232までの幅はwである。wは特に限定されないが、たとえば500μm以下である。また、造形物200が、光透過部112とキャリア120との距離毎に形成される複数の層により構成される場合、wはたとえば層5つ分以下の長さである。また、wはたとえば上記したdの5倍以下としてもよい。
【0063】
流路230から導入物が導入されるタイミングにおいて、流路230の先端232の開口の径は、拡径部234において広がった後の径であり、拡径部234と先端232との間で径の縮小はされていない。
図6(b)の例において、拡径部234の一端は、先端232と一致している。
【0064】
本実施形態では、流路230から導入物を導入する際に、流路230の先端232には面113に向いた開口が設けられている。そして、流路230から導入物が導入された後、流路230はそれ以上の造形がされなくても良いし、引き続き流路230を延長するように造形がされても良い。また、先端232の開口を塞ぐよう造形がされても良い。また、本実施形態において、引き続き流路230が造形される場合、拡径部234で広がった径が維持されても良いし、径が縮小されても良い。
【0065】
造形物200が造形される間、一つの流路230には一つの拡径部234のみが形成されても良いし、複数の拡径部234が形成されても良い。複数の拡径部234が形成される場合、それらの形状は必ずしも互いに同じである必要は無い。また、一つの流路230に、異なる方向を向いた複数の拡径部234が同時に形成されても良い。
【0066】
本実施形態に係る造形物200の製造方法では、造形物200が造形される間、少なくとも一時的に、流路230には拡径部234が形成される。そして、制御部140は、拡径部234が先端232近傍にある時に、流路230に導入物を供給するよう導入制御部160を制御する。そして、導入物は、流路230の先端232の開口から、光照射されている領域に導入される。また、導入物の導入が必要な領域の光照射が終了すると、制御部140は導入制御部160を制御して、導入物の供給を停止する。
【0067】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、流路230が複数設けられても良い。
【0068】
また、制御部140は、第1の実施形態で説明した開口部238と、拡径部234との両方を設けるようにキャリア120および照射部130を制御しても良い。
【0069】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態によれば、拡径部234により、所望の領域に優先的に導入物を導入することができる。その結果、たとえば造形物200の造形精度を高めたり、組成や材料を部分的に変更したり、硬化を制御したりすることができる。加えて、本実施形態によれば、拡径部234により、側壁235に開口を設けず導入物の導入方向を制御できる。したがって、同一の流路230を繰り返し利用しやすい。
【0070】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る三次元造形装置10で形成される造形物200および流路230の構造を例示する図である。本図において、導入物の流れを矢印で例示している。本実施形態に係る三次元造形装置10は、流路230の少なくとも一部が、造形物200の内部に設けられる点を除いて第1の実施形態および第2の実施形態の少なくともいずれかに係る三次元造形装置10と同じである。以下に詳しく説明する。
【0071】
本実施形態では、流路230は造形物200の内部に設けられ、造形物200内に残る。流路230は、造形物200に導入物の導入の目的で特に設けても良いし、他の目的の配管や美観の向上等のために造形物200に形成される構造を利用して流路230としてもよい。なお、流路230の一部が造形物200の内部に設けられ、他の一部が造形物200とは別途設けられても良い。造形物200の内部に設けられる流路230において、流路230の側壁235は、造形物200の一部である。
【0072】
本実施形態においても、制御部140は、拡径部234および開口部238の少なくとも一方を、少なくとも一時的に設けるよう、キャリア120および照射部130を制御する。また、制御部140は、拡径部234および開口部238の少なくとも一方を設けるタイミングに応じて導入制御部160を制御し、光照射領域に導入物を導入する。本図では、拡径部234が設けられる例を示している。
【0073】
本実施例に係る造形物200の製造方法では、最後の光照射領域に光照射された後、側壁235を除去する必要が無い。
【0074】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1および第2の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。加えて、側壁235を別途設ける必要なく、流路230を形成できる。
【0075】
(第4の実施形態)
図8から
図11は、第4の実施形態に係る制御部140が行う制御のタイミングチャートの第1例から第4例を示す図である。本実施形態に係る三次元造形装置10は以下に説明する点を除いて第1から第3の実施形態の少なくともいずれかに係る三次元造形装置10と同じである。
【0076】
本実施形態において、制御部140は、拡径部234および開口部238の少なくとも一方を埋めるよう、キャリア120の位置および照射部130を制御する。
【0077】
本実施形態において、造形物200は、キャリア120と光透過部112との距離毎に形成される複数の層により構成される。拡径部234および開口部238の少なくとも一方の、複数の層の積層方向の幅wは、たとえば層5つ分以下である。また、拡径部234または開口部238の先端232から最も離れた端から先端232までの幅wはたとえば500μm以下である。wはたとえば上記したdの5倍以下としてもよい。
【0078】
本実施形態に係る三次元造形装置10では、拡径部234または開口部238から導入物が導入された後、その拡径部234または開口部238が光硬化性組成物20の硬化物で埋められる。具体的には、拡径部234については、拡径部234の径を拡大するための領域が埋められ、拡径部234が消失する。また、開口部238については、側壁235の開口部238が埋められ、埋められた部分では、面113に平行な方向において、流路230の内外が側壁235で区切られる。埋めやすさの観点から、開口部238は切れ込み部236であることが好ましい。切れ込み部236が埋められた後に引き続き流路230を造形すれば、側壁235には切れ込み部236に起因する開口は生じない。
【0079】
図8から
図11を参照し、制御部140が切れ込み部236を埋めるために行う制御の例について以下に説明する。なお、以下では、造形物200がキャリア120と光透過部112との距離毎に形成される複数の層により構成される場合を例に説明する。第1の実施形態で説明した通り、造形物200の造形のためには、層毎の光照射パターンが定められている。そして、キャリア120および光透過部112の距離と、造形物200の光照射パターンとが対応づけられている。また、この光照射パターンに応じて制御部140はキャリア120と光透過部112との距離を制御する。以下において、kは1以上の整数であり、第k層、第k+1層、第k+2層はこの順に光照射されるとする。また、各層に光照射する際のキャリア120と光透過部112との距離は、この順に短いとする。
【0080】
図12(a)から
図12(c)は、流路230の側壁235を造形するための光照射パターンを例示する図である。
図12(a)は、切れ込み部236を形成するためのパターンの例であり、以下、パターンAと呼ぶ。
図12(b)は、切れ込み部236を埋めるためのパターンの例であり、以下、パターンBと呼ぶ。
図12(c)は、切れ込み部236を形成せず、流路230を延長するタイミングの側壁235の形成パターンの例であり、以下、パターンCと呼ぶ。
図8から
図11における「A」、「B」、および「C」は、これらのパターンA、B、およびCに対応する。
【0081】
図12(a)から
図12(c)は、切れ込み部236を設け、埋める場合の例を示しているが、本例に限定されず、切れ込み部236ではない開口部238、または拡径部234を設け、埋める場合も同様である。
【0082】
図8は、制御部140が行う制御の第1例を示すタイミングチャートである。本例において、造形物200を構成する第k層の光照射を行う間、導入物が導入される。第k層の光照射の前後には、パターンAで光照射する時間と、パターンBで光照射する時間が存在する。パターンAでの光照射により、切れ込み部236が流路230の先端232近傍に設けられる。そして第k層の光照射後、パターンBでの光照射により、切れ込み部236が埋められる。そして、造形物200の第k+1層および第k+2層の光照射時には、パターンCにより流路230が延長される。
【0083】
本例では、パターンAおよびBの光照射時間を追加的に設けている。したがって、より確実に切れ込み部236が形成され、第k層が造形され、切れ込み部236が埋められる。一方、第k層の光照射を行う際の距離が、他の層を形成する際の距離よりも長時間維持されている。なお、本図の例では、第k層のパターンで光照射を行う間、側壁235のパターンの光照射を行っていないが、引き続きパターンAの光照射が行われていても良い。
【0084】
図9は、制御部140が行う制御の第2例を示すタイミングチャートである。本例において、造形物200を構成する第k層の光照射を行う時間の一部において導入物が導入される。そして本例において、各層に対応する距離は、同じ時間ずつ維持されている。具体的には、第k層の光照射の開始と共にパターンAでの光照射が開始される。そして、パターンAでの光照射の開始から予め定められた時間t
1が経過した時点で導入物の導入が開始される。このとき、先端232には導入物の流れに影響しうる程度に光硬化性組成物20が硬化し、切れ込み部236が形成されている。また、パターンAでの光照射の開始から予め定められた時間t
2が経過した時点で、側壁235のパターンが、パターンAからパターンBに切り替えられ、切れ込み部236が埋まり始める。そして、パターンAでの光照射の開始から予め定められた時間t
3が経過した時点で導入物の導入が停止される。時間t
1からt
3は、事前の試験等により決定することができる。そして、時間t
1からt
3を示す情報は造形物200の造形に先立ち記憶部150に保持されており、制御部140はそれを読み出して制御に用いることができる。
【0085】
本例によれば、パターンAおよびBで光照射するための追加の時間を設けないため、造形物200の造形時間を短くすることができる。
【0086】
図10は、制御部140が行う制御の第3例を示すタイミングチャートである。本例において、第k層の光照射を行う間、パターンAでの光照射が行われ切れ込み部236が形成される。そして、第k+1層の光照射が行われる間、導入物が導入される。次いで、第k+2層の光照射が行われる間、パターンBでの光照射が行われ、切れ込み部236が埋められる。本例によれば、造形物200の造形時間を延ばすことなく切れ込み部236を形成し、埋めることができる。
【0087】
なお、本図では、第k+1層の光照射が行われる間にもパターンAでの光照射を行う例を示しているが、第k+1層の光照射を行う間にはパターンA、B、およびCのいずれの光照射もしなくても良い。
【0088】
図11は、制御部140が行う制御の第4例を示すタイミングチャートである。本例では、キャリア120と光透過部112との距離が一時的に縮められ、縮められた距離において、パターンBでの光照射が行われる。
【0089】
具体的には、第k層の光照射を行う間、パターンAでの光照射が行われ切れ込み部236が形成される。そして、第k+1層の光照射が行われる間、導入物が導入される。次いで、第k+1層の光照射後、第k+2層の光照射前に、パターンBでの光照射が行われ、切れ込み部236が埋められる。ここで、パターンBでの光照射時のキャリア120と光透過部112との距離は、第k+1層の光照射時の距離よりも短い。そして、次の第k+2層の光照射において、キャリア120と光透過部112との距離は第k+1層の光照射時の距離よりも長くなる。本例によれば、キャリア120と光透過部112とを近づけた状態で、より確実に切れ込み部236を埋めることができる。
【0090】
なお、本図では、第k+1層の光照射を行う間にもパターンAでの光照射を行う例を示しているが、第k+1層の光照射を行う間にはパターンA、B、およびCのいずれの光照射もしなくても良い。
【0091】
なお、第1例から第4例では、導入物が造形物200の一層について導入される場合について説明したが、導入物の導入は二層以上にわたり行われても良い。
【0092】
また、キャリア120と光透過部112との距離が断続的に変化する例について上記したが、キャリア120と光透過部112との距離は連続的に変化してもよい。
【0093】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1および第2の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。加えて、途中で拡径部234や開口部238を設けた場合でも、その後に影響なく流路230を延長することができる。
【0094】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る三次元造形装置10は、以下に説明する点を除いて、第1から第4の少なくともいずれかに係る三次元造形装置10と同じである。本実施形態に係る三次元造形装置10は、流路230への導入物の導入を制御する導入制御部160を備える。制御部140は、複数のタイミングで拡径部234および開口部238の少なくとも一方を設けるようキャリア120の位置および照射部130を制御する。そして、導入制御部160は、この複数のタイミングに基づき流路230に導入物を導入するタイミングを制御する。
【0095】
本実施形態において、制御部140は、一または二以上の流路230を設けるようキャリア120および照射部130を制御する。制御部140は、一の流路230に対し、異なる二以上のタイミングで拡径部234および開口部238の少なくとも一方を設けることができる。ここで、先のタイミングで設けられた拡径部234や開口部238は、第4の実施形態で説明したように埋められても良いし、埋められなくても良い。
【0096】
また、制御部140は、複数の流路230に対し、異なる二以上のタイミングで拡径部234および開口部238の少なくとも一方を設けてもよい。
【0097】
複数のタイミングに導入される導入物には、二種以上の導入物が含まれてもよい。そうすることで、造形物200のうち光照射タイミングが異なる複数の領域に対し、異なる導入物を作用させることができる。
【0098】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1および第2の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。加えて、造形物200のうち光照射タイミングが異なる複数の領域に対し、導入物を作用させることができる。
【0099】
(第6の実施形態)
図13は、第6の実施形態に係る三次元造形装置10の構成を例示する図である。本実施形態に係る三次元造形装置10は、少なくとも一の流路230に容器110内の光硬化性組成物20よりも低温の導入物が導入される点を除いて第1から第5の実施形態の少なくともいずれかに係る三次元造形装置10と同じである。以下に詳しく説明する。
【0100】
本実施形態に係る三次元造形装置10は、温調部170および温度センサ172を備える。温度センサ172は容器110内の光硬化性組成物20の温度を検出する。そして、温調部170は、流路230に導入される導入物の温度を調節する。温調部170はヒーターまたは冷却装置である。冷却装置はたとえば、送風、ペルチェ素子、または水冷による冷却を行う装置である。
【0101】
光硬化性組成物20が硬化する際に反応熱が生じ、光硬化性組成物20や造形物200の温度が上昇する場合がある。そうすると、造形途中の光硬化性組成物20が面113に貼り付いたり、造形物200に反りや変形が生じたりしやすくなる。それに対し、本実施形態に係る三次元造形装置10では、特に温度上昇が生じやすい領域に対し低温の導入物を導入し、そのような問題を生じにくくすることができる。
【0102】
たとえば制御部140は、少なくとも造形物200のうち、光透過部112のキャリア120側の面113に平行な断面の面積が最も大きい第1領域を造形する際に、拡径部234および開口部238の少なくとも一方が設けられているよう、キャリア120の位置および照射部130を制御する。
【0103】
このような第1領域では、反応する光硬化性組成物20が多いため、温度上昇が特に起きやすい。したがって、第1領域に対して低温の導入物を導入することが特に効果的である。
【0104】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1および第2の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。加えて、光硬化性組成物20の温度上昇を抑え、造形物200の変形等を抑制することができる。
【0105】
(第7の実施形態)
図14は、第7の実施形態に係る三次元造形装置40および制御装置50の構成を例示するブロック図である。本実施形態に係る制御装置50は、三次元造形装置40の制御装置である。三次元造形装置40は、第1の実施形態係る三次元造形装置40と同様であり、容器110、キャリア120、および照射部130を備える。容器110は、光硬化性組成物20を収容し、少なくとも一部に光透過部112を有する。キャリア120は、光透過部112に対する距離が可変に構成されている。照射部130は、キャリア120と光透過部112の間の光硬化性組成物20に、光透過部112を介して光を照射する。また、制御装置50は制御部500を備える。制御部500は、光硬化性組成物20を硬化させてなる造形物200を形成するよう、キャリア120の位置および照射部130を制御する。また、制御部500は、光が照射されている領域で光硬化性組成物20を硬化させることにより、容器110の外部に繋がる流路230の少なくとも一部を形成するようにキャリア120の位置および照射部130を制御し、かつ、拡径部234および開口部238の少なくとも一方を、少なくとも一時的に設けるように、キャリア120の位置および照射部130を制御する。ここで、拡径部234は、流路230の光透過部112側の先端232に向かって流路230の内径が広がる部分である。開口部238は、流路230の先端232近傍の側壁に位置する。
【0106】
本実施形態に係る制御部500は、第1から第6の実施形態の少なくともいずれかに係る制御部140と同じである。
【0107】
本実施形態においては第1および第2の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。
【0108】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0109】
以下、参考形態の例を付記する。
1−1.光硬化性組成物を収容し、少なくとも一部に光透過部を有する容器と、
前記光透過部に対する距離が可変に構成されているキャリアと、
前記キャリアと前記光透過部の間の前記光硬化性組成物に、前記光透過部を介して光を照射する照射部と、
前記光硬化性組成物を硬化させてなる造形物を形成するよう、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記光が照射されている領域で前記光硬化性組成物を硬化させることにより、前記容器の外部に繋がる流路の少なくとも一部を形成するように前記キャリアの位置および前記照射部を制御し、かつ、
前記流路の前記光透過部側の先端に向かって前記流路の内径が広がる拡径部、および、前記流路の前記先端近傍の側壁に位置する開口部の少なくとも一方を、少なくとも一時的に設けるように、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する三次元造形装置。
1−2. 1−1.に記載の三次元造形装置において、
前記流路の少なくとも一部は、前記造形物とは別途設けられる三次元造形装置。
1−3. 1−1.に記載の三次元造形装置において、
前記流路の少なくとも一部は、前記造形物の内部に設けられる三次元造形装置。
1−4. 1−1.から1−3.のいずれか一つに記載の三次元造形装置において、
前記造形物は、前記距離毎に形成される複数の層により構成され、
前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方の、前記先端から最も離れた端から前記先端までの幅wは、前記層5つ分以下であり、
前記制御部は、前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方を埋めるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御する三次元造形装置。
1−5. 1−1.から1−4.のいずれか一つに記載の三次元造形装置において、
前記流路により、前記光が照射されている領域に流動性がある導入物が導入される三次元造形装置。
1−6. 1−5.に記載の三次元造形装置において、
前記流路への前記導入物の導入を制御する導入制御部をさらに備え、
前記制御部は、複数のタイミングで前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方を設けるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御し、
前記導入制御部は、前記複数のタイミングに基づき、前記流路に前記導入物を導入するタイミングを制御する三次元造形装置。
1−7. 1−6.に記載の三次元造形装置において、
前記複数のタイミングに導入される前記導入物には、二種以上の前記導入物が含まれる三次元造形装置。
1−8. 1−5.から1−7.のいずれか一つに記載の三次元造形装置において、
前記制御部は、前記流路を複数設けるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御する三次元造形装置。
1−9. 1−5.から1−8.のいずれか一つに記載の三次元造形装置において、
少なくとも一の前記流路には前記容器内の前記光硬化性組成物よりも低温の前記導入物が導入される三次元造形装置。
1−10. 1−1.から1−9.のいずれか一つに記載の三次元造形装置において、
前記制御部は、少なくとも前記造形物のうち、前記光透過部の前記キャリア側の面に平行な断面の面積が最も大きい領域を造形する際に、前記先端近傍に前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方が設けられているよう、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する三次元造形装置。
1−11. 1−1.から1−10.のいずれか一つに記載の三次元造形装置において、
前記拡径部が少なくとも一時的に設けられ、
前記拡径部では、前記流路の軸を基準に非等方的に前記流路の内径が広がる三次元造形装置。
2−1.三次元造形装置の制御装置であって、
前記三次元造形装置は、
光硬化性組成物を収容し、少なくとも一部に光透過部を有する容器と、
前記光透過部に対する距離が可変に構成されているキャリアと、
前記キャリアと前記光透過部の間の前記光硬化性組成物に、前記光透過部を介して光を照射する照射部とを備え、
当該制御装置は、前記光硬化性組成物を硬化させてなる造形物を形成するよう、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記光が照射されている領域で前記光硬化性組成物を硬化させることにより、前記容器の外部に繋がる流路の少なくとも一部を形成するように前記キャリアの位置および前記照射部を制御し、かつ、
前記流路の前記光透過部側の先端に向かって前記流路の内径が広がる拡径部、および、前記流路の前記先端近傍の側壁に位置する開口部の少なくとも一方を、少なくとも一時的に設けるように、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する制御装置。
2−2. 2−1.に記載の制御装置において、
前記流路の少なくとも一部は、前記造形物とは別途設けられる制御装置。
2−3. 2−1.に記載の制御装置において、
前記流路の少なくとも一部は、前記造形物の内部に設けられる制御装置。
2−4. 2−1.から2−3.のいずれか一つに記載の制御装置において、
前記造形物は、前記距離毎に形成される複数の層により構成され、
前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方の、前記先端から最も離れた端から前記先端までの幅wは、前記層5つ分以下であり、
前記制御部は、前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方を埋めるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御する制御装置。
2−5. 2−1.から2−4.のいずれか一つに記載の制御装置において、
前記流路により、前記光が照射されている領域に流動性がある導入物が導入される制御装置。
2−6. 2−5.に記載の制御装置において、
前記三次元造形装置は、前記流路への前記導入物の導入を制御する導入制御部をさらに備え、
前記制御部は、複数のタイミングで前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方を設けるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御し、
前記導入制御部は、前記複数のタイミングに基づき、前記流路に前記導入物を導入するタイミングを制御する制御装置。
2−7. 2−6.に記載の制御装置において、
前記複数のタイミングに導入される前記導入物には、二種以上の前記導入物が含まれる制御装置。
2−8. 2−5.から2−7.のいずれか一つに記載の制御装置において、
前記制御部は、前記流路を複数設けるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御する制御装置。
2−9. 2−5.から2−8.のいずれか一つに記載の制御装置において、
少なくとも一の前記流路には前記容器内の前記光硬化性組成物よりも低温の前記導入物が導入される制御装置。
2−10. 2−1.から2−9.のいずれか一つに記載の制御装置において、
前記制御部は、少なくとも前記造形物のうち、前記光透過部の前記キャリア側の面に平行な断面の面積が最も大きい領域を造形する際に、前記先端近傍に前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方が設けられているよう、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する制御装置。
2−11. 2−1.から2−10.のいずれか一つに記載の制御装置において、
前記拡径部が少なくとも一時的に設けられ、
前記拡径部では、前記流路の軸を基準に非等方的に前記流路の内径が広がる制御装置。
3−1.三次元造形装置を用いた造形物の製造方法であって、
前記三次元造形装置は、
光硬化性組成物を収容し、少なくとも一部に光透過部を有する容器と、
前記光透過部に対する距離が可変に構成されているキャリアと、
前記キャリアと前記光透過部の間の前記光硬化性組成物に、前記光透過部を介して光を照射する照射部と、
前記光硬化性組成物を硬化させてなる前記造形物を形成するよう、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記光が照射されている領域で前記光硬化性組成物を硬化させることにより、前記容器の外部に繋がる流路の少なくとも一部を形成するように前記キャリアの位置および前記照射部を制御し、かつ、
前記流路の前記光透過部側の先端に向かって前記流路の内径が広がる拡径部、および、前記流路の前記先端近傍の側壁に位置する開口部の少なくとも一方を、少なくとも一時的に設けるように、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する造形物の製造方法。
3−2. 3−1.に記載の造形物の製造方法において、
前記流路の少なくとも一部は、前記造形物とは別途設けられる造形物の製造方法。
3−3. 3−1.に記載の造形物の製造方法において、
前記流路の少なくとも一部は、前記造形物の内部に設けられる造形物の製造方法。
3−4. 3−1.から3−3.のいずれか一つに記載の造形物の製造方法において、
前記造形物は、前記距離毎に形成される複数の層により構成され、
前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方の、前記先端から最も離れた端から前記先端までの幅wは、前記層5つ分以下であり、
前記制御部は、前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方を埋めるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御する造形物の製造方法。
3−5. 3−1.から3−4.のいずれか一つに記載の造形物の製造方法において、
前記流路により、前記光が照射されている領域に流動性がある導入物が導入される造形物の製造方法。
3−6. 3−5.に記載の造形物の製造方法において、
前記三次元造形装置は前記流路への前記導入物の導入を制御する導入制御部をさらに備え、
前記制御部は、複数のタイミングで前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方を設けるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御し、
前記導入制御部は、前記複数のタイミングに基づき、前記流路に前記導入物を導入するタイミングを制御する造形物の製造方法。
3−7. 3−6.に記載の造形物の製造方法において、
前記複数のタイミングに導入される前記導入物には、二種以上の前記導入物が含まれる造形物の製造方法。
3−8. 3−5.から3−7.のいずれか一つに記載の造形物の製造方法において、
前記制御部は、前記流路を複数設けるよう前記キャリアの位置および前記照射部を制御する造形物の製造方法。
3−9. 3−5.から3−8.のいずれか一つに記載の造形物の製造方法において、
少なくとも一の前記流路には前記容器内の前記光硬化性組成物よりも低温の前記導入物が導入される造形物の製造方法。
3−10. 3−1.から3−9.のいずれか一つに記載の造形物の製造方法において、
前記制御部は、少なくとも前記造形物のうち、前記光透過部の前記キャリア側の面に平行な断面の面積が最も大きい領域を造形する際に、前記先端近傍に前記拡径部および前記開口部の少なくとも一方が設けられているよう、前記キャリアの位置および前記照射部を制御する造形物の製造方法。
3−11. 3−1.から3−10.のいずれか一つに記載の造形物の製造方法において、
前記拡径部が少なくとも一時的に設けられ、
前記拡径部では、前記流路の軸を基準に非等方的に前記流路の内径が広がる造形物の製造方法。
【0110】
この出願は、2018年7月5日に出願された日本出願特願2018−128299号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。