(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956875
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】シール装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3296 20160101AFI20211021BHJP
F16J 15/3284 20160101ALI20211021BHJP
F16J 15/24 20060101ALI20211021BHJP
G01L 1/18 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
F16J15/3296
F16J15/3284
F16J15/24 A
G01L1/18 Z
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-528921(P2020-528921)
(86)(22)【出願日】2018年8月13日
(65)【公表番号】特表2021-504644(P2021-504644A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(86)【国際出願番号】EP2018071914
(87)【国際公開番号】WO2019105605
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2020年5月26日
(31)【優先権主張番号】102017010981.8
(32)【優先日】2017年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102018001690.1
(32)【優先日】2018年3月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ ナールヴォルト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ズィンドリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ボリス トラーバー
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ メラー
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−135156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3296
F16J 15/3284
F16J 15/24
G01L 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械要素(2)とケーシング(3)との間の隙間をシールするためのシール装置(1)であって、前記シール装置は、少なくとも1つのシールエレメント(4)を含み、前記シールエレメント(4)は少なくとも部分的に導電性であるように構成されており、前記シールエレメント(4)を、前記機械要素(2)および前記ケーシング(3)に対して電気的に絶縁する絶縁体(5)が設けられており、
前記シールエレメント(4)の電気抵抗を検出する評価ユニットが設けられている、シール装置(1)。
【請求項2】
前記シールエレメント(4)には、前記絶縁体(5)を形成する被覆体(6)が設けられている、請求項1記載のシール装置。
【請求項3】
前記ケーシング(3)は、前記シールエレメント(4)のための組込み室(7)を有しており、前記組込み室(7)には、前記絶縁体(5)を形成するライニング(8)が設けられている、請求項1または2記載のシール装置。
【請求項4】
前記シールエレメント(4)は導電性を有するプラスチックから形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のシール装置。
【請求項5】
前記シールエレメント(4)は導電性を有するエラストマ材料から形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシール装置。
【請求項6】
前記シールエレメント(4)の材料には、導電性の粒子が混入されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のシール装置。
【請求項7】
前記シールエレメント(4)はOリングとして形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のシール装置。
【請求項8】
前記シールエレメント(4)は予荷重をかけられて前記機械要素(2)または別のシールエレメント(10)に当接しており、前記評価ユニット(9)によって検出される前記シールエレメント(4)の電気抵抗は、前記予荷重に依存して変化する、請求項1から7までのいずれか1項記載のシール装置。
【請求項9】
前記評価ユニット(9)によって検出される前記シールエレメント(4)の電気抵抗は、塑性歪み特性に依存して変化する、請求項1から8までのいずれか1項記載のシール装置。
【請求項10】
前記シールエレメント(4)には、導電性のコンタクトエレメント(11)が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載のシール装置。
【請求項11】
前記シールエレメント(4)は、複数の導電性のセグメント(12)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械要素とケーシングとの間の隙間をシールするためのシール装置であって、少なくとも1つのシールエレメントを含むシール装置に関する。
【0002】
シール部材、特に動的負荷をかけられるシール部材は所定の耐用期間中に摩耗し、様々な摩耗現象が現れる。材料疲労により、シール部材の接触圧力は低下し、また圧着力も減じられる。摩耗と塑性歪み特性とによりシール部材の寸法は変化する。このような過程は、まずはシールシステムの漏れ、ひいてはシールシステムの故障に通じる。しかしながら、静的に負荷されるシール部材も、所定の耐用期間中に摩耗する。この場合、特に、塑性歪み特性が重要となる。
【0003】
シール部材の漏れを監視するために、シール部材に漏れ監視のための装置を組み込むことが公知である。独国特許発明第102007007405号明細書により、動的なシールエレメントの摩耗状態を検知する電気的装置が公知である。このシールエレメントは、導電性区分と非導電性区分とを有し、非導電性区分はシールすべき機械要素に接触している。この機械要素も導電性である。シールエレメントの摩耗により非導電性のシール材料が摩滅し、これにより導電性シール材料が機械要素に接触するようになる。この際に回路が閉じられ、シールエレメントが摩耗したことを検出することができる。
【0004】
このような構成は、ゆるやかな状態変化を検出できないという欠点を有している。摩耗限界に達し、シールエレメントを交換しなければならないことしか検出できない。
【0005】
本発明の根底を成す課題は、シールエレメントの連続的な状態監視を可能にするシール装置であって、簡単に組み付け可能なシール装置を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴により解決される。好適な構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
この課題を解決するために、機械要素とケーシングとの間の隙間をシールするためのシール装置が、少なくとも1つのシールエレメントを含み、このシールエレメントは少なくとも部分的に導電性であるように構成されており、シールエレメントを、機械要素に対して電気的に絶縁する絶縁体が設けられている。
【0008】
上述した摩耗現象、例えば材料疲労、摩滅、および塑性歪み特性により、シールすべき機械要素に対するシール装置のエレメントの接触圧力は変化する。したがって、動作時間の経過にわたって、接触圧力は徐々に低下する。
【0009】
接触圧力の変化は、センサによって検出することができる。このために適したセンサは、例えば、電気的な信号を評価電子機器に伝達する圧力センサまたは歪み測定エレメントである。
【0010】
本発明による構成では、シールエレメントは少なくとも部分的に導電性であるように構成されており、これにより、接触圧力の変化をシールエレメントによって直接検出することができる。これにより、センサ機能はシールエレメントに直接組み込まれている。別個のセンサを設ける必要はない。作動中、摩耗または塑性歪み特性により接触圧力が変化すると、少なくとも部分的に導電性であるように構成されたシールエレメントの電気的特性が変化する。
【0011】
本発明によれば、接触圧力の変化もしくはシールエレメントの摩耗は、導電性の構成により内部的に検出される。したがって、隣接する導電性のエレメントに対してシールエレメントを絶縁する必要がある。このために、シールエレメントは、機械要素および/またはケーシングに対して電気的に絶縁されている。これにより、摩耗の検出のためにもしくは接触圧力の変化の検出のために、少なくとも部分的に導電性であるように構成されたシールエレメントの電気的特性のみを考慮することを保証することができる。シールエレメントと機械要素もしくはケーシングとの間の導電性の接触があったならば、測定結果には誤差が出る。
【0012】
第1の好適な構成によると、シールエレメントには、絶縁体を成す被覆体が設けられている。この場合、被覆体は、シール材料から形成することができ、機械要素に直接的にまたは間接的に接触することができる。この場合、シールエレメントの摩耗状態は、シールエレメントの内部において検出される。シールエレメントの接触圧力が所定の値を下回ると、シールエレメントの摩耗、ひいては交換の必要性が既に存在している。この場合、シールエレメントは、もしくはシールエレメントの導電性の区分は、シールすべき機械要素と直接接触していない。
【0013】
選択的な構成では、ケーシングが、シールエレメントのための組込み室を有しており、この組込み室には、絶縁体を形成するライニングが設けられている。この場合、組込み室は例えばリング状の溝として形成することができ、側壁および溝基部にライニングが設けられている。ライニングは好適にはポリマ材料から成っている。
【0014】
機械要素に対する電気的絶縁は、シールエレメントと機械要素との間に、別の絶縁体または別のシールエレメントを設けることにより得られる。例えばシール装置は、Oリングとして形成されたシールエレメントと、スリーブの形態の別のシールエレメントとを有することができる。この場合、シールエレメントは、別のシールエレメントの外周面上に配置されていて、機械要素に対する別のシールエレメントの半径方向の圧着力をもたらす。この構成では、別のシールエレメントの作動は、シールエレメントによって行われる。このように形成された別のシールエレメントは、しばしばPTFEから形成されている。
【0015】
シールエレメントは、好適には、導電性を有するプラスチックから形成されている。このために、シールエレメントには導電性の粒子を、例えば鉄含有粒子または炭素含有粒子を含ませることができる。特に、シールエレメントを、導電性粒子が含まれたエラストマ材料から形成することが考えられる。
【0016】
シール装置は、シールエレメントの電気抵抗を検出する、特に、いわゆる圧抵抗効果(ピエゾ抵抗効果)に基づく変化を検出する評価ユニットを含むことができる。
【0017】
好適には、シールエレメントは予荷重をかけられて機械要素または別のシールエレメントに当接しており、評価ユニットによって検出されるシールエレメントの電気抵抗は、予荷重に依存して変化する。予荷重は、上述した摩耗状態により変化し、徐々に減少する。
【0018】
評価ユニットによって検出されるシールエレメントの電気抵抗は、塑性歪み特性に依存して変化し得る。さらに電気抵抗は、シールエレメントの内部の応力状態の変化により、シールエレメント内部の導電性粒子の配置が変化することにより、変化し得る。このような状態は、圧抵抗効果に匹敵する。
【0019】
シールエレメントには、導電性のコンタクトエレメントが設けられていてよい。このために、1つのまたは複数のケーブルをシールエレメント内に設けることができ、もしくはシールエレメントに加硫することができる。選択的に、シールエレメントにより、導電性の材料から成る舌片が形成されていてもよい。この場合、舌片は、統一された材料からシールエレメントの導電性の区分と一体に形成されていてよい。
【0020】
シールエレメントは、複数の導電性のセグメントを有していてもよい。このために、シールエレメントをその周囲にわたって、複数の扇形となるように分割することができ、すなわち区分けすることができ、これらの扇形は、互いに分離されて形成されていて、導電性であるように構成されている。これにより、シールエレメントの摩耗をより詳しく局所化して検出することができ、このことは特に大きなシール部材においては好適である。しかしながら、シールエレメントは、その幅にわたって多層に形成されていてもよく、これによりシール状態での接触圧力の経過を測定することができる。シールエレメントの多層の構造は、シールエレメントを3Dプリント工程により製作することにより得ることができる。
【0021】
シール装置のいくつかの構成を以下に図面につき詳しく説明する。図面はそれぞれ概略的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ケーシングに配属された絶縁体を有するシール装置を示す図である。
【
図2】シールエレメントを絶縁する被覆体を有するシール装置を示す図である。
【
図3】コンタクト舌片を備えたシールエレメントを示す図である。
【
図4】埋め込まれたケーブルを備えたシールエレメントを示す図である。
【
図7】導電性のセクタを備えたシールエレメントを示す図である。
【0023】
図面には、機械要素2とケーシング3との間の隙間をシールするためのシール装置1が示されている。この場合、機械要素2とケーシング3との間に配置されたシールエレメント4が隙間をシールしている。シールエレメント4は、ケーシング3内に設けられた組込み室7内に配置されている。組込み室7は、環状の溝の形態で形成されている。
【0024】
この構成では、機械要素2は、回転運動可能および/または並進運動可能な機械要素2、例えば軸である。
【0025】
シールエレメント4は、プラスチックから、この場合、エラストマ材料から成っており、導電性粒子が含まれている。シールエレメント4の材料としては、シールに関して公知のシール材料が考慮される。例えば、天然ゴム、EPDM、フッ素ゴム等を使用することができる。導電性の粒子は、例えば鉄含有粒子または炭素粒子であってよい。
【0026】
ここには図示されていない評価ユニットが、シールエレメント4の電気抵抗を検出する。適切な評価ユニットは従来技術により公知である。
【0027】
図1には、別のシールエレメント10を半径方向で機械要素2に押し付ける第1のシールエレメント4を有したシール装置1が示されている。シールエレメント4はOリングとして形成されている。別のシールエレメント10は、スリーブとして形成されている。別のシールエレメント10はPTFEから成っている。この別のシールエレメント10により、シールエレメント4は、機械要素2に対して電気的に絶縁されている。シールエレメント4は、ケーシング3に設けられた溝状の組込み室7内に収容されている。組込み室7には、ポリマ材料から成るライニング8が設けられており、これによりケーシング3に対するシールエレメント4の電気絶縁体5が得られる。
【0028】
図2には、
図1のシール装置が示されており、この場合、絶縁体5は、シールエレメント4を取り囲む被覆体6により形成されている。被覆体6は、電気絶縁性のシール材料から成っている。
【0029】
図3には、Oリングの形態のシールエレメント4の平面図が示されている。シールエレメント4によって、導電性の材料から成る舌片の形態のコンタクトエレメント11が形成されており、このコンタクトエレメントは半径方向外側に向かって突出している。舌片は、統一された材料からシールエレメント4と一体に形成されている。
【0030】
図4には、
図1のシール装置1が示されており、この場合、コンタクトエレメント11は、シールエレメント4の内部に突入する、導線もしくは導電ケーブルの形態で設けられている。このコンタクトエレメント11によって、シールエレメント4と評価ユニット9との間の導電的な接続が得られる。他の図面に示したシール装置1では、この接続は示されていないが、同様に設けられている。
【0031】
図5には、シール装置1が示されており、このシール装置では、シールエレメント4が多層に形成されている。シールエレメント4は、軸方向で互いに重ねられていて、リング状に形成された複数の層の形態のセグメント12を有していて、これら複数の層は互いに絶縁されている。さらに絶縁体5は、シールエレメント4を取り囲む被覆体6を成すように形成されている。
【0032】
セグメント12の個々の層は、3Dプリント法により製作することができる。
【0033】
図6には、固定シールが示されており、このシールでは、Oリングはケーシング3内に配置されていて、ケーシング3と機械要素2との間の隙間をシールしている。シールエレメント4には、シールエレメント4をケーシング3と機械要素2とに対して電気的に絶縁する被覆体6の形態で、電気絶縁体5が設けられている。
【0034】
図7には、互いに電気的に絶縁されている、導電性の部材を備えた扇形の形態のセグメント12を有するシールエレメント4が平面図で示されている。