特許第6956890号(P6956890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6956890静圧式転造工具の回転体および回転体を備えた静圧式転造工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956890
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】静圧式転造工具の回転体および回転体を備えた静圧式転造工具
(51)【国際特許分類】
   B21H 1/00 20060101AFI20211021BHJP
   B24B 39/02 20060101ALI20211021BHJP
   B21H 3/08 20060101ALN20211021BHJP
【FI】
   B21H1/00 B
   B24B39/02 A
   !B21H3/08
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-543606(P2020-543606)
(86)(22)【出願日】2019年5月9日
(65)【公表番号】特表2021-514308(P2021-514308A)
(43)【公表日】2021年6月10日
(86)【国際出願番号】DE2019100418
(87)【国際公開番号】WO2019242791
(87)【国際公開日】20191226
【審査請求日】2020年8月14日
(31)【優先権主張番号】102018114689.2
(32)【優先日】2018年6月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ゲシュヴィントナー
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−285741(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0107230(US,A1)
【文献】 特開平2−41870(JP,A)
【文献】 特開平2−71971(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0348822(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 1/00
B21H 3/08
B24B 39/00 − 39/04
B21D 22/04 − 22/06
B21D 22/18
B21C 37/30
B21B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静圧式転造工具(10)の回転体(1)であって、
前記回転体(1)は、前記回転体(1)の中心(Z)を通る回転軸線(R)を中心に回転可能であり、
前記回転体(1)は、前記回転軸線(R)に対して垂直に延在し、前記回転体(1)の前記中心(Z)を通って延びる中心軸線(L)を有し、
前記回転体(1)は、工作物を転動させるために前記回転体(1)の断面に形成された加工輪郭線(3)を備えた加工部(2)を有し、
前記加工輪郭線(3)は、第1の加工弧(4a)および第2の加工弧(4b)を含み、前記第1の加工弧(4a)は第1の加工中心(M4a)の周りに延び、前記第2の加工弧(4b)は第2の加工中心(M4b)の周りに延びる、静圧式転造工具(10)の回転体(1)であって、
前記2つの加工中心(M4a、M4b)は、互いにオフセットされており、且つ前記回転体(1)の前記中心(Z)に対してオフセットされていることを特徴とする、静圧式転造工具(10)の回転体(1)。
【請求項2】
前記2つの加工中心(M4a、M4b)が、前記回転体(1)の前記断面において前記回転軸線(R)に対する平行線(P)上に位置することを特徴とする、請求項1に記載の回転体(1)。
【請求項3】
前記中心軸線(L)が前記2つの加工弧(4a、4b)の対称軸線を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の回転体(1)。
【請求項4】
前記第1の加工弧(4a)および前記第2の加工弧(4b)が、前記回転体(1)の前記断面の交点において交差して先端(5)を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転体(1)。
【請求項5】
前記回転体の前記断面の前記加工輪郭線(3)が直線部分(6)を有することを特徴とし、前記第1の加工弧(4a)が前記直線部分(6)の第1の端(E1)に通じており、前記第2の加工弧(4b)が前記直線部分(6)の第2の端(E2)に通じている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転体(1)。
【請求項6】
前記回転体(1)は、前記回転体が前記静圧式転造工具(10)上に保持される保持領域(8)を有し、前記保持領域(8)は、前記回転体(1)の前記断面に形成された第1の保持輪郭線(9a)および前記回転体(1)の前記断面に形成された第2の保持輪郭線(9b)を有することを特徴とし、前記第1の保持輪郭線(9a)は、前記回転軸線(R)上にある第1の保持中心(M9a)の周りに延びる第1の保持円弧を形成し、前記第2の保持輪郭線(9b)は、前記回転軸線(R)上にある第2の保持中心(M9b)の周りに延びる第2の保持円弧を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転体(1)。
【請求項7】
各々の保持輪郭線(9a、9b)が2つの保持円弧または2つの楕円曲線(14a、14b)を有し、前記2つの保持円弧の前記支持中心が相対的にオフセットされており、且つ前記回転軸線(R)に対して互いにオフセットして配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の回転体(1)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の回転体(1)を有する静圧式転造工具(10)であって、前記回転体(1)は、工作物を転動させるために前記静圧式転造工具(10)上に配置されている、および/または配置可能であることを特徴とする、静圧式転造工具(10)。
【請求項9】
前記回転体(1)が少なくとも部分的に収容される容器(17)を備えた少なくとも1つの工具ヘッド(12、13)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の静圧式転造工具(10)。
【請求項10】
細長い基体(11)と複数の工具ヘッド(12、13)とを含むことを特徴とし、前記工具ヘッド(12、13)は、前記基体(11)の円周方向に配置され、および/または互いに対して軸方向にオフセットされ、その結果、受動的な力が互いに打ち消し合う、請求項8または9に記載の静圧式転造工具(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の全体的な概念の特徴を有する静圧式転造工具用の回転体、および請求項8の特徴を有する回転体を有する静圧式転造工具に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延のため、および工作物に輪郭または穴を導入するために、ローラまたは転造ボールを備えた静圧式転造工具が使用されることが知られている。
【0003】
独国特許第8809823号明細書は、例えば、転造工具のローラヘッドにローラを静水圧的に取り付けた転造工具を記載している。独国特許出願第10340267号明細書は、静圧式転造工具および工作物を圧延するためのローラを記載している。ローラは、軸受接触領域から空間的に分離されたローラの工作物接触領域に配置された動作周囲を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、機能的に改善された回転体を備えた静圧式転造工具を提供するという課題に基づいている。この課題は、請求項1の特性を有する回転体と、請求項8の特性を有する静圧式転造工具とによって解決される。本発明の優先的または有利な実施形態は、以下の説明および/または添付の図面の従属請求項から生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
静圧式転造工具の回転体を提案する。回転体は、工作物を転動させるために、特にソフトおよび/またはハード加工のために、転造工具上に配置することができる。
【0006】
好ましくは、転造工具は、回転体用のホルダを備えた工具ヘッドからなる。特に、回転体は、少なくとも部分的にホルダに収容される。好ましくは、ホルダに加圧流体を導入することができ、加圧流体を通して回転体に力を加えることができる。
【0007】
好ましくは、回転体は球形を有する。回転体は輪郭ボールとして特別に設計されている。回転体は回転軸線の周りを回転することができ、回転軸線は回転体の中心点を通る。回転体は、回転軸線に対して垂直に延びる中心軸線を有している。中心軸線は、回転体の中央を通過する。
【0008】
回転体は、工作物を転動させるように設計されている。工作物を加工するために、回転体には加工部が含まれている。例えば、回転体のサイズ、特に中心線に沿って延びる加工部の疑似直径は、最大で20ミリメートル、好ましくは最大で10ミリメートル、特に最大で2ミリメートルである。
【0009】
加工部には、回転体の断面に加工輪郭線が形成されている。加工輪郭線は、第1の加工弧と第2の加工弧とから構成される。第1の加工弧は第1の加工中心点の周りに延び、第2の加工弧は第2の加工中心点の周りに延びる。
【0010】
本発明によれば、2つの加工中心点は、互いにおよび回転体の中心からオフセットされている。好ましくは、2つの加工中心点は、中心軸線および/または回転軸線に対してもオフセットして配置される。
【0011】
好ましい設計では、2つの加工中心点は、回転軸線に平行な直線上の回転体の断面にある。好ましくは、2つの加工弧は互いに対称であり、中心軸線は2つの加工弧の対称軸を形成する。
【0012】
好ましくは、第1の加工弧および第2の加工弧は、回転体の断面のある点で交差する。特に、交差点でピークを形成する。必要に応じて、先端、先端に隣接する第1の加工弧の一部、および先端に隣接する第2の加工弧の一部は、加工領域を遮断および/または分ける自由領域を形成する。特に、圧延用の転造工具の動作中、第1および第2の加工弧の他の部分のみが工作物に接触し、加工弧の先端および隣接部分は工作物と接触することなく配置される。
【0013】
本発明の範囲内で、先端が磨耗および/または平坦化されることが可能である。例えば、回転体の断面における加工輪郭線は、特に先端を除去および/または平坦化することによって形成される、回転軸線から好ましくは離間された線分からなる。好ましくは、線分は、回転軸線に平行に走る線である。あるいは、線分はまた、湾曲および/または曲げることができる。第1の加工弧は線分の第1の端で終わり、第2の加工弧は線分の第2の端で終わることが特に好ましい。必要に応じて、第1の加工弧の口金領域および線分の第1の端に移行半径が形成され、第2の加工弧の口金領域および線分の第2の端に第2の移行半径が形成される。好ましくは、第1の移行半径および第2の移行半径は、互いに対称であり、中心軸線は、2つの移行半径の対称軸線を形成する。
【0014】
本発明の可能な実施において、線分は、加工領域を中断および/または分ける1つの自由領域を形成する。特に、圧延時には、転造工具の動作中に加工弧のみが工作物に接触し、線分は非接触の自由表面として配置される。
【0015】
特に自由表面を有する回転体は、転造工具の動作中に、いくつかのオフセット半径を有する穴、半径、めねじ、凹所、楕円および/または輪郭を工作物に導入できることは有利である。好ましくは、転造工具の動作中に回転体を用いて工作物に開けることができる穴は、10ミリメートル、特に15ミリメートル、特に20ミリメートルの比較的小さな直径を有する。ただし、転造工具が動作しているときは、回転体をより大きな寸法の用途、特により大きな構成要素および対応するシャフトの動作に使用することもできる。
【0016】
本発明の好ましいバージョンでは、回転体は保持領域を有する。回転体は、転造工具の保持領域に保持されることが好ましい。特に、転造工具、特に工具ヘッドは、保持領域に係合して、回転体をホルダに保持する。
【0017】
本発明の可能な設計では、保持領域は、回転体の断面に形成された第1の保持輪郭線と、回転体の断面に形成された第2の保持輪郭線とを有する。必要に応じて、第1の保持輪郭線および第2の保持輪郭線は互いに対称であり、中心軸線が1つの対称軸線を形成する。好ましくは、第1の保持輪郭線は、第1の保持円弧を有するか、またはそのように設計される。特に、第1の保持円弧は、回転軸線上にある第1の支持中心の周りに延びる。オプションの追加として、第2の保持輪郭線は第2の保持円弧を有するか、そのように設計されている。特に、第2の保持円弧は、回転軸線上にある第2の支持中心の周りに延びる。
【0018】
好ましくは、第1および第2の保持中心は、互いに対して、および必要に応じて回転体の中心に対してもオフセットされる。本発明の範囲内で、2つの支持中心および/または2つの保持円弧が互いに対称であり、中心軸線が1つの対称軸線を形成することが可能である。
【0019】
可能な代替構造では、2つの保持輪郭線のそれぞれが2つの保持円弧で構成され、その保持中心は互いにオフセットしている。特に、保持輪郭線の2つの保持円弧の支持中心は、回転軸線からオフセットされている。あるいは、2つの保持輪郭線のそれぞれが2つの楕円または楕円弧で構成されている場合もある。好ましくは、保持輪郭線の2つの楕円または楕円弧は互いに対称であり、回転軸線は好ましくは対称軸線を形成する。
【0020】
特に、保持輪郭線の2つの保持円弧または楕円または楕円弧が交差して別の先端を形成する。特に、第1の保持輪郭線は第1の追加の先端を有し、第2の保持輪郭線は第2の追加の先端を有する。好ましくは、第1および第2の他の先端は、回転軸線上にあり、互いに対称であり、中心軸線が1つの対称軸線を形成する。特に、保持輪郭線の2つの支持円弧は互いに対称であり、回転軸線が1つの対称軸線を形成する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、加工円の第1の弧は第1の保持輪郭線で終わり、加工円の第2の弧は第2の保持輪郭線で終わる。結果として、移行半径は、特に、第1の保持輪郭線における第1の加工弧の口金領域および第2の保持輪郭線における第2の加工弧の口金領域に形成される。
【0022】
本発明の別の主題は、上記の説明および/または請求項1〜8のいずれかによる回転体を備えた静圧式転造工具である。工作物の圧延のために、回転体は、転造工具上に配置され、および/または配置可能である。
【0023】
例えば、転造工具は、好ましくは細長い基体からなる。好ましくは、転造工具は、ホルダを備えた工具ヘッドを有する。特に、工具ヘッドは基体に配置され、特別にそれに統合されている。例えば、容器は、回転体の形状に対して凹形状であり、これにより、特に、容器は、回転体自体よりもいくらか体積が大きくなるか、または、容器は、凹形状として回転体の形状に本質的に類似する。特に、回転体は、少なくとも部分的に回転可能にホルダに取り付けられている。必要に応じて、例えばメンテナンス作業または別の工作物形状を生成するため、回転体をホルダから取り外し、別の回転体と交換することができる。
【0024】
例えば、転造工具は、ホルダに通じ、それを通してホルダに流体を導入できる流体チャネルを有する。必要に応じた追加部品として、転造工具は、流体を供給する、および/または流体に圧力を加えることができる流体および/または圧力発生源に接続および/または結合することができる。
【0025】
好ましくは、加圧流体は、回転体がホルダ内で流体静力学的に支持され、流体によって力が加えられるように、ホルダに導入および/または導入することができる。特に、ホルダ内の回転軸線を中心とした回転体の回転は、加圧流体によって引き起こされ得る。必要に応じて、工具ヘッドに少なくとも1つのリリーフチャネルが提供される。リリーフチャネルは、回転体が工作物と接触しない場合に流体が横方向に逃げることができるように、ホルダから工具ヘッドの外側まで延在するのが好ましい。
【0026】
本発明の可能な実施形態において、特に工具ヘッドの断面において、ホルダ内に回転体を予め位置決めするための工具ヘッドは、第1のセンタリング装置および第2のセンタリング装置を備える。センタリング装置は、工具ヘッドに配置され、および/またはホルダ内に突出することが好ましい。容器内の工具ヘッドの断面における2つのセンタリング装置は、同じ高さで互いに対して反対側にあり、互いに向けられていることが好ましい。
【0027】
第1のセンタリング装置は、回転体の保持領域の第1の保持輪郭線と係合し、第2のセンタリング装置は、保持領域の第2の保持輪郭線と係合することが好ましい。2つのセンタリング装置の作用点が回転軸線上にあることが特に好ましい。
【0028】
本発明を建設的に実施することができる場合、転造工具は、いくつかの工具ヘッド、例えば、2つまたは3つの工具ヘッドからなる。好ましくは、工具ヘッドは、転造工具の基体上に配置され、特に転造工具の基体に一体化される。工具ヘッドは、基体の周方向に互いにオフセットして配置されることが特に好ましい。特に、回転力または受動力が互いに相殺することを達成することができる。例えば、2つの工具ヘッドを円周方向に180度離して配置し、3つの工具ヘッドを円周方向に120度離して配置することができる。必要に応じて、工具ヘッドは、特に基体の長手方向の延長に沿って、互いに軸線方向にオフセットして配置することができる。
【0029】
本発明のさらなる可能な用途では、直径の差を補償するために、工具ヘッドは、流体での加圧によって半径方向ストロークをさらに生成することができる。さらに、本発明の可能な実施形態において、工具ヘッドは、剛体であるか、または基体内で自由に回転可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のさらなる特徴、利点、および効果は、本発明の好ましい実施形態の以下の説明に示されている。
図1】基体と、それぞれに回転体が配置されている2つの工具ヘッドとを備えた静圧式転造工具である。
図2図1に示す転造工具であり、回転体は基体上で異なって配置されている。
図3a】第1の実施形態における加工部がある回転体である。
図3b】第2バージョンにおける回転体の加工部である。
図4】異なる設計の保持領域を有する図3aの回転体である。
図5】異なる設計の保持領域を有する図3aの回転体である。
図6a図4に示す回転体が収容される容器付き転造工具の工具ヘッドである。
図6b図5に示す回転体が収容される容器を備えた転造工具の工具ヘッドである。
図7】ホルダに突き出ている2つのセンタリング装置を備えた修正工具ヘッドである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図では相互に対応する部品または同一の部品に同じ参照記号が付されている。
【0032】
図1は、静圧式転造工具10の縦断面図を示す。転造工具10は、適切な工作機械、例えば旋盤、特にCNCマシンに結合され、操作され得る。転造工具10は、細長い円筒形の本体11と2つの工具ヘッド12、13とからなる。回転体1は、各工具ヘッド12、13に配置されている。転造工具10を操作する場合、回転体1は、図示しない工作物を転動させるようになっている。圧延とは、ソフト加工またはハード加工を指し、これにより、さまざまな輪郭形状、例えば穴、半径、雌ねじ、窪み、楕円、および/またはいくつかのオフセット半径を有する輪郭を工作物に導入できる。回転体1で開けられる穴は、10ミリメートル、特に15ミリメートル、とりわけ20ミリメートルの比較的小さな直径を有することができる。転造工具を用いてさらに大きな構成要素、例えばシャフトを加工できる。
【0033】
2つの工具ヘッド12、13は、基体11の周方向に互いに180度オフセットして配置される。図2によるさらなる設計例では、工具ヘッド12、13はさらに、特に基体11の長手方向軸線Aに沿って、互いに軸線方向にオフセットして配置することができる。あるいは、転造工具10は、1つのみの工具ヘッド12または3つ以上の工具ヘッド12、13を有することができる。
【0034】
図3aは、回転体1の断面を示している。回転体1は球形であり、特に外形が比較のために示されたボールKから外れている異形ボールの形であるが、本質的にボールKの外形に向けられている。回転体1は、ボールKと同様に、中心Zと中心軸線Lとを有する。回転体1は、転造工具10の動作中に回転軸線Rの周りを回転することができる。回転軸線Rは中心Zを通り、中心軸線Lに対して直角に延びる。
【0035】
回転体1は、加工部2および保持領域8を有する。保持領域8では、図6a、図6bおよび図7に示すように、工具ヘッド11によって回転体1が保持される。加工部2は、図3aに第1の可能な構成で示され、図3bに第2の可能な構成で示されている。加工部2は、工作物に接触し、転造工具10(図1図2)の操作中に転がる領域である。加工部2において工作物に目的の輪郭が加工される。
【0036】
特に中心線Lに沿って測定された、加工部における回転体1の最大直径Dは、20ミリメートル、好ましくは10ミリメートル、特に2ミリメートルである。
【0037】
加工部2には、断面に加工輪郭線3がある。加工輪郭線3は、第1の加工弧4aおよび第2の加工弧4bを含む。
【0038】
第1の加工弧4aは、第1の加工中心M4aの周りに延び、第2の加工弧4bは、第2の加工中心M4bの周りに延びる。加工中心M4a、M4bは、回転軸線Rに対する平行線P上にあり、互いにオフセットされ、中心軸線Lおよび中心Zに対してオフセットされている。2つの加工弧4a、4bの半径R4aおよびR4bは同じサイズであり、そのため加工弧4a、4bは互いに対称であり、この目的のために中心軸線Lが対称軸線を形成する。加工弧4a、4bのこの設計および配置により、2つは、中心軸線L上に位置する点5で交差する。
【0039】
図3bの加工部の断面図に示されるように、先端5は、加工輪郭線3が回転体1の断面に線分6を有するように、侵食および/または平坦化することができる。このようにして、加工部2を中断および/または分ける線分6によって自由領域7を作製できる。このことは、自由領域7が工作物の加工に使用されないことを意味し、特に、自由領域7は、工作物のおよび/または圧延中に工作物と接触することなく配置される。このことは、特に、工作物に所望の輪郭がもたらされることを保証する。
【0040】
線分6は、第1の加工弧4aと第2の加工弧4bとの間に延在し、2つの加工弧4a、4bを互いに接続する線として設計される。特に、第1の加工弧4aは線分6の第1の端E1で終わり、第2の加工弧4bは線分6の第2の端E2で終わる。線分6は回転軸線Rに平行に走っている(図3a)。代替の設計例では、線分6はまた、湾曲および/または曲げることができる。
【0041】
回転体1の断面図の図4および図5に示されるように、回転体1は保持領域8を有する。保持領域8では、図6a、図6bおよび図7に示すように、回転体1を転造工具10に保持することができる。
【0042】
保持領域8は、回転体1の断面に形成される第1の保持輪郭線9aと、回転体1の断面に形成される第2の保持輪郭線9bとを有する。保持輪郭線9a、9bは互いに対称であり、この目的のために中心軸線Lが対称軸線を形成している。2つの保持輪郭線9a、9bは、半径として設計された2つの口金領域16a、16bで終わる。
【0043】
図4に示すように、第1の保持輪郭線9aは、回転軸線R上に位置する第1の支持点M9aの周りに延びる第1の保持円弧を形成する。第2の保持輪郭線9bは、回転軸線R上に位置する第2の保持中心M9bの周りに延びる第2の保持円弧を形成する。
【0044】
図5に示されるように、2つの保持輪郭線9a、9bのそれぞれは、他の先端15a、15bで交差する第1の楕円曲線14aおよび第2の楕円曲線14bからなり得る。他の先端15a、15bは、回転軸線R上に配置されている。図示されていない代替の設計例では、2つの保持輪郭線9a、9bのそれぞれは、楕円曲線14a、14bの代わりに2つの保持円弧を有することができ、それらの中心は互いにおよび回転軸線Rに対してオフセットされている。
【0045】
図6aおよび図6bは、図1または図2からの転造工具10の工具ヘッド12、13の第1の工具ヘッド12を示す。工具ヘッド12は、回転体1用のケージを形成する容器17を有する。
【0046】
図6aによれば、図4の回転体1は、少なくとも部分的に容器17に含まれる。図6bによれば、図5の回転体1は容器17に含まれる。回転体1は、容器17内の保持領域8内に保持される。
【0047】
容器17は、その中に配置される回転体1の形状および/または輪郭のための凹型を形成する。各々の回転体1は、容器17に回転可能に取り付けられている。このため、容器17は、回転体1よりもわずかに大きい。
【0048】
転造工具10(図1図2を参照)は、工具ヘッド12、13を通り、容器17で終わる供給チャネル18を有する。図示されていない圧力および流体源を転造工具10に割り当てることができ、これにより、供給チャネル18を通して容器17に加圧流体を供給することができる。これにより、容器17内の回転体1は、静水圧で力が加えられ、回転軸線Rを中心に回転する。工具ヘッド12には、リリーフチャネル19が設けられており、そこを通って過剰な流体を容器17から逃がすことができる。
【0049】
図7に示すように、回転体1を予め位置決めするために、2つのセンタリング装置20a、20bを工具ヘッド12に設けることができる。2つのセンタリング装置20a、20bは、容器17内に突出し、同じ高さで互いに向かい合って配置される。2つのセンタリング装置20a、20bは回転軸線R上にあり、回転体1の保持輪郭線9a、9bで保持領域8に係合する。
【符号の説明】
【0050】
1 回転体
2 加工部
3 加工輪郭線
4a、b 加工弧
5 先端
6 線分
7 自由領域
8 保持領域
9a、b 保持円弧
10 転造工具
11 基体
12 第1の工具ヘッド
13 第2の工具ヘッド
14a、b 楕円曲線
15a、b 他の先端
16a、b 口金領域
17 容器
18 供給チャネル
19 バイパスチャネル
20a、b センタリング装置
L 中心軸線
M4a 第1の加工弧の中心
M4b 第2の加工弧の中心
P 平行線
R4a 第1の加工弧の半径
R4b 第2の加工弧の半径
Z 中心
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図7