特許第6956947号(P6956947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6956947画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956947
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   G03G15/00 303
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-222290(P2017-222290)
(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公開番号】特開2019-95491(P2019-95491A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 元紀
【審査官】 市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0232434(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0292370(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0056616(US,A1)
【文献】 特開2016−144872(JP,A)
【文献】 特開2008−292811(JP,A)
【文献】 特開2013−250376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像に基づいて前記感光体にトナーを付着させる現像部と、
前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、
校正用濃度センサを有し、前記中間転写ベルト上に面取りした角部を有し、前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向のパッチ形成位置の最大誤差を想定して設定されている幅を有する階調校正用の校正パッチを形成し、前記校正パッチの濃度を前記校正用濃度センサで計測して校正処理を実行する校正部と、
を備え、
前記校正用濃度センサは、前記校正パッチの濃度を計測するための照射光を前記中間転写ベルト上に照射する光照射部を有し、
前記面取りした角部は、前記照射光の前記中間転写ベルト上への照射領域の外形に沿った形状を有し、
前記校正部は、前記計測された濃度がピークとなる状態が継続する時間であるピーク時間を計測し、前記校正パッチの形成位置が前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向にずれていない場合におけるピーク時間との比較に基づいて前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向の前記校正パッチの位置ずれを検知する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記光照射部は、前記校正パッチの濃度を計測するための円形の照射光を前記中間転写ベルト上に照射し、
前記面取りした角部は、前記中間転写ベルトに対する前記照射光の角度に応じて決定される前記円形を扁平化した楕円形状に沿った円弧状の形状を有する画像形成装置。
【請求項3】
感光体と、前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部とを用い、前記静電潜像に基づいて前記感光体にトナーを付着させる現像工程と、
前記感光体から前記トナーを中間転写ベルトに転写し、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写工程と、
前記中間転写ベルト上に面取りした角部を有し、前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向のパッチ形成位置の最大誤差を想定して設定されている幅を有する階調校正用の校正パッチを形成し、前記校正パッチの濃度を校正用濃度センサで計測して校正処理を実行する校正工程と、
を備え、
前記校正用濃度センサは、前記校正パッチの濃度を計測するための照射光を前記中間転写ベルト上に照射する光照射部を有し、
前記面取りした角部は、前記照射光の前記中間転写ベルト上への照射領域の外形に沿った形状を有し、
前記校正工程は、前記計測された濃度がピークとなる状態が継続する時間であるピーク時間を計測し、前記校正パッチの形成位置が前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向にずれていない場合におけるピーク時間との比較に基づいて前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向の前記校正パッチの位置ずれを検知する画像形成方法。
【請求項4】
画像形成媒体上に画像を形成する画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置は、感光体と、前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像に基づいて前記感光体にトナーを付着させる現像部と、前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを前記画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、校正用濃度センサとを有し、
前記画像形成プログラムは、前記校正用濃度センサを用い、前記中間転写ベルト上に面取りした角部を有し、前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向のパッチ形成位置の最大誤差を想定して設定されている幅を有する階調校正用の校正パッチを形成し、前記校正パッチの濃度を前記校正用濃度センサで計測して校正処理を実行する校正部として前記画像形成装置を機能させ、
前記校正用濃度センサは、前記校正パッチの濃度を計測するための照射光を前記中間転写ベルト上に照射する光照射部を有し、
前記面取りした角部は、前記照射光の前記中間転写ベルト上への照射領域の外形に沿った形状を有し、
前記校正部は、前記計測された濃度がピークとなる状態が継続する時間であるピーク時間を計測し、前記校正パッチの形成位置が前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向にずれていない場合におけるピーク時間との比較に基づいて前記中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向の前記校正パッチの位置ずれを検知する画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関し、特に校正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から正確な色再現を実現するためにカラーパッチを形成し、カラーパッチをセンサで検知して、濃度調整や色ずれといった観点から画像形成プロセスを校正する技術が提案されている。カラーパッチには、色材が消費されるので、その消費量の抑制が要請されている。このような問題に対して、特許文献1は、走査方向の書き出しタイミングを正確に調整した後において、各パッチの幅を限界まで狭めることで、無駄なトナー消費量を防止する技術を提案している。一方、特許文献2は、カラーパッチとして検出パターンのパターン幅を、基準幅に色ずれ発生の要因に対応した色ずれの変動量に応じた幅を加えた幅とし、校正処理で使用されるトナーの消費を抑制することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−75620号公報
【特許文献2】特開2015−197469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来は、カラーパッチの幅を小さくすることによってトナー消費量の抑制を図っていた。しかしながら、センサによる計測の観点から校正用のパッチを工夫することは十分に検討されていなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、校正用のパッチの形状を工夫することによって簡易に色材の消費量を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、感光体と、前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像に基づいて前記感光体にトナーを付着させる現像部と、前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、校正用濃度センサを有し、前記中間転写ベルト上に面取りした角部を有する校正パッチを形成し、前記校正パッチの濃度を前記校正用濃度センサで計測して校正処理を実行する校正部とを備える。
【0007】
本発明の画像形成方法は、感光体と、前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部とを用い、前記静電潜像に基づいて前記感光体にトナーを付着させる現像工程と、前記感光体から前記トナーを中間転写ベルトに転写し、前記転写されたトナーを画像形成媒体上に転写する中間転写工程と、前記中間転写ベルト上に面取りした角部を有する校正パッチを形成し、前記校正パッチの濃度を校正用濃度センサで計測して校正処理を実行する校正工程とを備える。
【0008】
本発明は、画像形成媒体上に画像を形成する画像形成装置を制御するための画像形成プログラムを提供する。前記画像形成装置は、感光体と、前記感光体に露光して静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像に基づいて前記感光体にトナーを付着させる現像部と、前記感光体から前記トナーが転写され、前記転写されたトナーを前記画像形成媒体上に転写する中間転写ベルトと、校正用濃度センサとを有し、前記画像形成プログラムは、前記校正用濃度センサを用い、前記中間転写ベルト上に面取りした角部を有する校正パッチを形成し、前記校正パッチの濃度を前記校正用濃度センサで計測して校正処理を実行する校正部として前記画像形成装置を機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、校正用のパッチの形状を工夫することによって簡易に色材の消費量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。
図2】一実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す断面図である。
図3】比較例及び一実施形態に係る中間転写ベルト27上の校正パッチを示す説明図である。
図4】一実施形態に係る校正用濃度センサ28及び校正パッチの形状を示す説明図である。
図5】変形例に係る校正パッチの形状及び計測濃度を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成装置1は、制御部10と、画像形成部20と、記憶部40と、画像読取部50と、定着部80とを備えている。画像読取部50は、原稿から画像を読み取ってデジタルデータである画像データIDを生成する。
【0012】
画像形成部20は、色変換処理部21と、ハーフトーン処理部22と、校正用濃度センサ28と、露光部29と、感光体ドラム(像担持体)30c〜30kと、現像部100c〜100k、帯電部25c〜25kとを有している。色変換処理部21は、RGBデータである画像データIDをCMYK画像データに色変換する。ハーフトーン処理部22は、CMYK画像データにハーフトーン処理を実行してCMYKのハーフトーンデータを生成する。
【0013】
制御部10は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部10は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他ハードウェア等のインターフェイスに関連するコントローラ機能を備え、画像形成装置1全体を制御する。制御部10は、校正用濃度センサ28とともに校正部として機能する。
【0014】
記憶部40は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、制御部10が実行する処理の制御プログラム(画像形成プログラム)やデータを記憶する。記憶部40は、本実施形態では、さらにCMYK階調校正用調整パッチ(単に校正パッチとも呼ばれる。)を形成するための校正用画像データCDを格納している。
【0015】
図2は、一実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、タンデム型のカラープリンターである。画像形成装置1は、その筐体70内に、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色に対応させて感光体ドラム(像担持体)30m、30c、30y及び30kが一列に配置されている。感光体ドラム30m、30c、30y及び30kのそれぞれに隣接して、現像部100m、100c、100y及び100kが配置されている。
【0016】
感光体ドラム30m、30c、30y及び30kには、露光部29から各色用のレーザー光Lm、Lc、Ly及びLkが照射(露光)される。この照射によって、感光体ドラム30m、30c、30y及び30kに静電潜像が形成される。現像部100m、100c、100y及び100kは、トナーを攪拌しながら、感光体ドラム30m、30c、30y及び30kの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる。これにより、現像工程が完了し、感光体ドラム30c〜30kの表面に各色のトナー像が形成される。
【0017】
画像形成装置1は、無端状の中間転写ベルト27を有している。中間転写ベルト27は、ウレタン系材料を含み、それをベースとする弾性ベルトとして構成されている。中間転写ベルト27は、テンションローラ24、駆動ローラ26a及び従動ローラ26bに張架されている。中間転写ベルト27は、駆動ローラ26aの回転によって駆動方向Tの方向に循環駆動させられる。
【0018】
感光体ドラム30kの上流位置において、中間転写ベルト27を挟んで従動ローラ26bに対抗する位置にクリーニング装置200が配置されている。クリーニング装置200は、微細な繊維が植えられ、高速回転するファーブラシ210を有している。ファーブラシ210は、ブラシ先端の掻き取り力で中間転写ベルト27上のトナーを機械的に除去することができる。このように、画像形成装置1は、中間転写ベルト27に当接するファーブラシ210を使用するブラシクリーニング方式を採用し、使用済みのトナーを掻き取って廃棄している。
【0019】
感光体ドラム30kでは、ブラックのトナー像は、感光体ドラム30kと一次転写ローラ23kとで中間転写ベルト27を挟み、中間転写ベルト27が循環駆動させられることによって中間転写ベルト27に一次転写される。この点は、シアン、イエロー、マゼンタの3色についても同様である。中間転写ベルト27の表面には、所定のタイミングで相互に重ね合わせられるように一次転写が行われることによってフルカラートナー像が形成される。
【0020】
フルカラートナー像は、その後、給紙カセット60から供給された印刷用紙Pに二次転写され、定着部80の定着ローラ対81によって印刷用紙Pに定着される。校正用濃度センサ28は、一次転写が完了し、二次転写の前のトナー像の濃度が計測できる位置に配置されている。クリーニング装置200は、校正パッチについても中間転写ベルト27に残留する残留トナーを中間転写ベルト27から除去することができる。印刷媒体は、画像形成媒体とも呼ばれる。
【0021】
図3は、比較例及び一実施形態に係る中間転写ベルト27上の校正パッチを示す説明図である。図3(a)は、比較例に係る中間転写ベルト27の転写面27S上の校正パッチを示している。転写面27Sには、ベルトコーティング層(図示略)が形成されている。画像形成装置1は、転写面27Sにおいて、第1境界27E1と第2境界27E2との間の範囲で印刷媒体が接触するように構成されている。印刷媒体は、転写面27Sに接触した状態で駆動方向T(搬送方向とも呼ばれる。)の方向に搬送されつつ2次転写が行われる。
【0022】
転写面27Sには、比較例に係るCMYK階調校正用の校正パッチ群C1(Cc1,Cm1,Cy1,Ck1)及び校正パッチ群C2(Cc2,Cm2,Cy2,Ck2)が形成される。校正パッチ群C1は、同一の外形を有するシアン用の校正パッチCc1と、マゼンタ用の校正パッチCm1と、イエロー用の校正パッチCy1と、ブラック用の校正パッチCk1とを含んでいる。校正パッチ群C2は、同一の外形を有するシアン用の校正パッチCc2と、マゼンタ用の校正パッチCm2と、イエロー用の校正パッチCy2と、ブラック用の校正パッチCk2とを含んでいる。校正パッチ群C1及び校正パッチ群C2の各パッチは、校正用濃度センサ28によって濃度が計測される。2つの校正パッチ群C1,C2は、駆動方向Tに対して垂直な方向の端部である第1境界27E1,第2境界27E2の近傍に、それぞれの中心線27T1,27T2を有して駆動方向Tに並べて配置されている。
【0023】
図3(b)は、一実施形態に係る中間転写ベルト27の転写面27Sを示している。転写面27Sには、一実施形態に係るCMYK階調校正用の校正パッチ群P1(Pc1,Pm1,Py1,Pk1)及び校正パッチ群P2(Pc2,Pm2,Py2,Pk2)が形成されている。一実施形態に係る校正パッチ群P1及び校正パッチ群P2は、比較例に係る校正パッチ群C1及び校正パッチ群C2と主走査方向の幅と副走査方向の長さにおいて同一であるとともに、転写面27Sにおける配置位置も同一である。ただし、一実施形態に係る校正パッチ群P1及び校正パッチ群P2は、比較例に係る校正パッチ群C1及び校正パッチ群C2と相違する輪郭形状(外形)を有している。
【0024】
図4は、一実施形態に係る校正用濃度センサ28及び校正パッチの形状を示す説明図である。図4(a)は、一実施形態に係る校正用濃度センサ28の構成を示している。校正用濃度センサ28は、拡散反射方式と正反射方式とを併用した濃度センサである。拡散反射方式は、高濃度まで検出可能な方式としてCMYのカラートナーに対して使用される。正反射方式は、中間転写ベルト27の転写面27Sを光学的な基準面とし、基準面からの正反射光量がKのトナー付着により低下する度合いでトナー量(濃度)を検出することができる。
【0025】
校正用濃度センサ28は、発光ダイオードLEDと、拡散反射光検出用フォトダイオードPD1と、正反射光検出用フォトダイオードPD2とを有している。発光ダイオードLEDは、光照射部とも呼ばれ、中間転写ベルト27の転写面27Sに対して所定の確度で赤外光を出射する。拡散反射光検出用フォトダイオードPD1は、赤外光が転写面27Sで拡散反射(乱反射とも呼ばれる。)した拡散反射光を検出する。正反射光検出用フォトダイオードPD2は、赤外光が転写面27Sで正反射(鏡面反射)した正反射光を検出する。
【0026】
図4(b)は、一実施形態に係る校正用濃度センサ28の計測領域Saと校正パッチCk1,Pk1の外形を拡大して示している。計測領域Saは、この例では、半径Dを有する真円として構成されている。校正パッチCk1,Pk1は、いずれも主走査方向に幅Wを有している。幅Wは、主走査方向のパッチ形成位置の最大誤差Emを想定して設定されている幅である。これにより、校正パッチCk1,Pk1は、いずれも最大誤差Emだけ主走査方向にシフトしていても校正用濃度センサ28の照射領域Saを校正パッチCk1,Pk1の各内部領域に配置することができる。
【0027】
この例では、校正用濃度センサ28は、照射領域Saが校正パッチCk1,Pk1の各内部領域に入って反射光量が最も低減された状態の光量に基づいて校正パッチCk1,Pk1の濃度を計測する。校正用濃度センサ28は、校正パッチCk1,Pk1における照射領域Saの全体の反射光量に基づいて校正パッチCk1,Pk1の濃度を計測するからである。
【0028】
比較例に係る校正パッチCk1は、4カ所の不使用領域Vaを有している。不使用領域Vaとは、発光ダイオードLEDによって円形の光が照射されても反射光量が濃度計測に利用できない領域である。すなわち、不使用領域Vaは、不使用領域Vaに光が照射されているときには、必ず照射領域Saの一部が副走査方向にはみ出していることになるので、その反射光量が濃度計測に利用できない領域である。
【0029】
一実施形態に係る校正パッチPk1は、比較例に係る校正パッチCk1から不使用領域Vaを削除することによって構成されている。すなわち、校正パッチPk1は、照射光の中間転写ベルト27の転写面27S上への照射領域Sa(半径D/2)の外形に沿った形状を有している。これにより、一実施形態に係るCMYK階調校正用の校正パッチ群P1(Pc1,Pm1,Py1,Pk1)及び校正パッチ群P2(Pc2,Pm2,Py2,Pk2)は、無駄なトナー消費を回避することができる。
【0030】
このように、一実施形態に係る画像形成装置1は、光が照射されても反射光量が濃度計測に利用できない不使用領域Vaが削除された校正パッチを利用することができる。これにより、画像形成装置1は、校正用のパッチの形状を工夫することによって簡易に色材の消費量を抑制することができる。
【0031】
本発明は、上記実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0032】
変形例1:上記実施形態では、校正パッチの形状は、照射領域Saが円形であることを仮定し、その形状に合わせて削除対象となる不使用領域が円弧状の形状に設定されているが、校正パッチの形状は、このような形状に限定されず、他の形状でもよい。具体的には、たとえば変形例に係る校正パッチPmのように直線状の面取りCaを有する外形としてもよい(図5(a))。
【0033】
さらに、転写面27Sに対する発光ダイオードLEDの傾斜角度に起因して、円形の照射光の照射領域が楕円となることを想定して、楕円の形状に沿った面取りとしてもよい。すなわち、角部は、中間転写ベルトに対する円形の照射光の角度に応じて決定される円形を扁平化した楕円形状に沿った円弧状の形状を有するようにしてもよい。このように、本発明は、校正パッチとして角部を面取りした形状を有する校正パッチを使用するものであればよい。なお、「面取り」には、直線や折れ線、曲線(真円や楕円を含む)といった形状が利用可能である。また、「沿った」とは、照射領域の外形に一致する場合や照射領域の外形を包含する場合を含んでいる。
【0034】
変形例2:上記実施形態では、校正パッチの形状を工夫することによって色材の消費量を抑制しているが、不使用領域が削除された校正パッチの形状を利用して校正パッチの主走査方向(中間転写ベルトの移動方向に対して交差する方向の一例)のずれを検知するようにしてもよい。
【0035】
具体的には、たとえば図5(b)に示されるように、比較例の校正パッチを使用する場合には、校正パッチの形成位置が主走査方向にずれていない場合には、照射領域Saが副走査方向に移動し、照射領域Sa3と照射領域Sa4の間において比較例の校正パッチCk1に照射領域の全体が入った状態となる(曲線L1参照)。これにより、濃度がピークとなる状態がピーク時間P1だけ継続する。
【0036】
一方、比較例の校正パッチの形成位置が主走査方向にずれている場合には、照射領域Saが副走査方向に移動し、照射領域Sa1と照射領域Sa2の間において比較例の校正パッチCk1の搬送方向(副走査方向)の範囲内に照射領域の搬送方向の全体が入った状態となる(曲線L2参照)。この際、比較例の校正パッチCk1の主走査方向の範囲内から照射領域がはみ出す量は一定となる。このように、校正パッチが矩形の形状を有している場合には、校正パッチの形成位置が主走査方向にずれていない場合と同様に、濃度がピークとなる状態がピーク時間P1だけ継続する。
【0037】
これに対して、一実施形態の校正パッチを使用する場合には、校正パッチの形成位置が主走査方向にずれていない場合には、照射領域Saが副走査方向に移動し、照射領域Sa3aと照射領域Sa4aの間において一実施形態の校正パッチPk1に照射領域の全体が入った状態となる(曲線L1a参照)。これにより、濃度がピークとなる状態がピーク時間P1だけ継続する。
【0038】
一方、一実施形態の校正パッチの形成位置が主走査方向にずれている場合には、照射領域Saが副走査方向に移動し、照射領域Sa1aと照射領域Sa2aの間において一実施形態の校正パッチPk1の搬送方向の範囲内に照射領域の搬送方向の全体が入った状態となる(曲線L2a参照)。この場合には、校正用濃度センサ28は、濃度がピークとなる状態がピーク時間P2だけ継続する。ピーク時間P2は、ピーク時間P1よりも短い時間である。このように、一実施形態の校正パッチPk1を使用する場合には、濃度がピークとなるピーク時間を監視することによって校正パッチの形成位置のずれを検知することができる。
【0039】
変形例3:上記実施形態では、CMYK階調校正用の校正パッチが例示されているが、階調校正用の校正パッチに限られず、現像工程の現像バイアス電圧の調整(バイアス調整)や露光工程の光量調整用の校正パッチにも適用可能である。一方、校正パッチの検出タイミングに基づいて構成を行う色ずれ調整に対しては、上述の観点から適用の際に留意が必要である。本発明は、広く一般に校正パッチの計測濃度に基づいて行われる校正処理に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成装置
10 制御部
20 画像形成部
21 色変換処理部
22 ハーフトーン処理部
27 中間転写ベルト
28 校正用濃度センサ
29 露光部
30c〜30k 感光体ドラム
40 記憶部
50 画像読取部
60 給紙カセット
70 筐体
100c〜100k 現像部

図1
図2
図3
図4
図5