特許第6957023号(P6957023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957023
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】幌及び幌を備えた育児器具
(51)【国際特許分類】
   B62B 9/14 20060101AFI20211021BHJP
   A47D 9/00 20060101ALN20211021BHJP
   A47D 13/02 20060101ALN20211021BHJP
   A47D 13/04 20060101ALN20211021BHJP
   B60N 2/26 20060101ALN20211021BHJP
【FI】
   B62B9/14
   !A47D9/00
   !A47D13/02
   !A47D13/04 Z
   !B60N2/26
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-16639(P2018-16639)
(22)【出願日】2018年2月1日
(65)【公開番号】特開2019-131111(P2019-131111A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年12月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】益 子 恵 里
(72)【発明者】
【氏名】黒 巣 広 子
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−159371(JP,U)
【文献】 特開2016−064679(JP,A)
【文献】 特開2006−015883(JP,A)
【文献】 特開2011−195053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00− 9/28
A47D 9/00
A47D 13/02
A47D 13/04
A47C 29/00
B60N 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌であって、
前記シートクッションを覆う幌本体と、
前記幌本体の縁部の少なくとも一部に接続して、前記シートクッションと前記支持部との間に配置されるベースと、を備え、
前記支持部は、前記シートクッションとともに育児器具を構成する育児器具本体であって、座板と背板とを含む幌。
【請求項2】
支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌であって、
前記シートクッションを覆う幌本体と、
前記幌本体の縁部の少なくとも一部に接続して、前記シートクッションと前記支持部との間に配置されるベースと、を備え、
前記支持部は、前記シートクッションとともに乳母車を構成する乳母車本体であって、座席を含む幌。
【請求項3】
支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌であって、
前記シートクッションを覆う幌本体と、
前記幌本体の縁部の少なくとも一部に接続して、前記シートクッションと前記支持部との間に配置されるベースと、を備え、
前記支持部に設けられて前記シートクッションに形成された貫通孔を通過して延びるベルト材が通過する穴が、前記ベースに形成されている幌。
【請求項4】
支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌であって、
前記シートクッションを覆う幌本体と、
前記幌本体の縁部の少なくとも一部に接続して、前記シートクッションと前記支持部との間に配置されるベースと、を備え、
前記支持部に三つのベルト材が設けられ、
前記シートクッションには、前記三つのベルト材がそれぞれ通過する三つの貫通孔が形成されており、
前記ベースには、前記三つのベルト材がそれぞれ通過する三つの穴が形成されている幌。
【請求項5】
支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌であって、
前記シートクッションを覆う幌本体と、
前記幌本体の縁部の少なくとも一部に接続して、前記シートクッションと前記支持部との間に配置されるベースと、を備え、
前記支持部に股ベルト材及び一対の腰ベルト材が設けられ、
前記シートクッションには、前記股ベルト材及び前記一対の腰ベルト材がそれぞれ通過する三つの貫通孔が形成されており、
前記ベースには、前記股ベルト材及び前記一対の腰ベルト材がそれぞれ通過する三つの穴が形成されている幌。
【請求項6】
前記シートクッションは、子供の臀部に対面するようになる座部と、前記子供の背中に対面するようになる背部と、を有し、
前記ベースは、前記背部の一部分及び前記座部と前記支持部との間に配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の幌。
【請求項7】
前記幌本体の前記縁部の一部分に設けられ、前記一部分を前記シートクッション及び前記支持部の少なくとも一方に接触させる接触手段を、更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の幌。
【請求項8】
前記接触手段は、前記幌本体の前記縁部の一部分に沿って設けられたゴムである、請求項7に記載の幌。
【請求項9】
前記幌本体は、布地と、前記布地に取り付けられた棒状の補強材と、を有し、
前記ベースは、前記幌本体の前記布地よりも高強度の布地を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の幌。
【請求項10】
前記ベースは、布地を有し、
前記幌本体の前記布地は、前記ベースの前記布地よりも可視光透過率の高い布地を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の幌。
【請求項11】
前記幌本体は、メッシュ材と、前記メッシュ材に取り付けられた棒状の補強材と、を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の幌。
【請求項12】
育児器具本体として構成された支持部と、
前記支持部上に支持された前記シートクッションと、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の幌と、を備える育児器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幌及び幌を備えた育児器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳母車や揺動椅子等の育児器具の多くには、幌が設けられている。従来の幌は、通常、育児器具本体としての支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌本体と、幌本体を支持部に接続するための接続部と、を有する。また、育児器具本体としての支持部には、幌の接続部が接続されて幌を保持する保持部が設けられている。幌本体は、幌布と幌布に取り付けられた複数の幌骨とを含む。幌骨は、略U字状に形成され、その両基端部に接続された接続部に対して揺動可能に取り付けられている。そして、幌骨を接続部に対して揺動させることにより、幌布を広げることができる。幌は、その広げられた状態において、支持部と幌布とで囲まれた空間を形成する。このような幌は、日差しや照明光、風雨等を遮って、前記空間内にいる乳幼児に快適な環境を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−276874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような幌へのニーズの一つとして、様々な支持部及び/またはシートクッションに適用可能であることがある。幌が様々な支持部に適用可能であれば、幌と支持部及び/またはシートクッションとを、所望のように組み合わせて使用することができる。
【0005】
しかしながら、一般に、幌の接続部は、当該接続部に対応して設計された保持部にのみ接続可能である。接続部が対応しない保持部に接続されたとしても、幌は、保持部に所望のように保持されない。この場合、幌にぐらつきが生じたり、幌と支持部及び/またはシートクッションとの間に望ましくない隙間が形成されたりして、幌は所望の機能を発揮することができない。また、そもそも、一般に、幌は、保持部が設けられていない支持部及び/またはシートクッションには接続することができない。
【0006】
本開示の実施形態は、以上の点を考慮してなされたものであり、様々な支持部及び/またはシートクッションに適用可能な幌を提供することを目的とする。また、そのような幌を有する育児器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による幌は、支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌であって、
前記シートクッションを覆う幌本体と、
前記幌本体の縁部の少なくとも一部に接続して、前記シートクッションと前記支持部との間に配置されるベースと、を備えている。
【0008】
この場合、前記支持部に設けられて前記シートクッションに形成された貫通孔を通過して延びるベルト材が通過する穴が、前記ベースに形成されていてもよい。
【0009】
例えば、前記支持部に三つのベルト材が設けられ、
前記シートクッションには、前記三つのベルト材がそれぞれ通過する三つの貫通孔が形成されており、
前記ベースには、前記三つのベルト材がそれぞれ通過する三つの穴が形成されていてもよい。
【0010】
より具体的には、前記支持部に股ベルト材及び一対の腰ベルト材が設けられ、
前記シートクッションには、前記股ベルト材及び前記一対の腰ベルト材がそれぞれ通過する三つの貫通孔が形成されており、
前記ベースには、前記股ベルト材及び前記一対の腰ベルト材がそれぞれ通過する三つの穴が形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明による幌において、前記シートクッションは、子供の臀部に対面するようになる座部と、前記子供の背中に対面するようになる背部と、を有し、
前記ベースは、前記背部の一部分及び前記座部と前記支持部との間に配置されていてもよい。
【0012】
また、本発明による幌において、前記幌本体の前記縁部の一部分に設けられ、前記一部分を前記シートクッション及び前記支持部の少なくとも一方に接触させる接触手段を、更に備えていてもよい。
【0013】
例えば、前記接触手段は、前記幌本体の前記縁部の一部分に沿って設けられたゴムであってよい。
【0014】
また、本発明による幌において、前記支持部は、育児器具本体であって、前記シートクッションとともに育児器具を構成してもよい。
【0015】
また、本発明による幌において、前記幌本体は、布地と、前記布地に取り付けられた棒状の補強材と、を有し、
前記ベースは、前記幌本体の前記布地よりも高強度の布地を有していてもよい。
【0016】
また、本発明による幌において、前記ベースは、布地を有し、
前記幌本体の前記布地は、前記ベースの前記布地よりも可視光透過率の高い布地を有していてもよい。
【0017】
また、本発明による幌において、前記幌本体は、メッシュ材と、前記メッシュ材に取り付けられた棒状の補強材と、を有していてよい。
【0018】
あるいは、本発明による育児器具は、
育児器具本体として構成された支持部と、
前記支持部上に支持された前記シートクッションと、
上述の幌と、を備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明による幌によれば、幌を、様々な支持部及び/またはシートクッションに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態を説明する図であって、幌が閉鎖されて全展開状態にある育児器具を示す斜視図。
図2図1に示す育児器であって、幌が開放されて折り畳み状態にある育児器具を示す斜視図。
図3図1及び図2に示す育児器具の育児器具本体を示す斜視図。
図4図1及び図2に示すシートクッションを示す斜視図。
図5図1に示す育児器具の、前後方向に沿った左右方向中心面における部分断面図。
図6図1に示す育児器具に含まれる幌を全展開状態で示す斜視図。
図7図6に示す幌の側面図。
図8】支持部に装着された幌を、支持部の子供側とは反対の側から見た図。
図9図6及び図7に示す幌の支持部及びシートクッションへの装着方法を示す斜視図。
図10図6及び図7に示す幌の支持部及びシートクッションへの装着方法を示す斜視図。
図11図6及び図7に示す幌の支持部及びシートクッションへの装着方法を示す斜視図。
図12図6及び図7に示す幌の他の適用例を示す側面図。
図13図6及び図7に示す幌の更に他の適用例を示す斜視図。
図14図1に示す育児器具の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0022】
図1及び図2は、本発明による幌を有する育児器具を示す斜視図である。図1には、幌が、閉鎖された全展開状態で示されており、図2には、幌が、開放された折り畳み状態で示されている。育児器具は、乳母車、チャイルドシート、揺動椅子、歩行器等の器具であり、典型的には子供(乳児、幼児、児童等の年少者)を育てる過程において子供を世話するために使用される器具である。例えば、乳母車は、子供を乗せる手押し車であり、チャイルドシートは、車の座席や自転車のフレーム、椅子等に取り付けて用いられる子供用の補助座席である。また、揺動椅子は、子供用の座席または寝台であり、ベビーチェア、ハイアンドローチェア、ローチェア、ロッキングチェア、ベビーラック、ロッキングラックとも呼ばれる。
【0023】
図1及び図2に示す例では、育児器具10は、揺動椅子として構成されている。図1及び図2に示すように、育児器具10は、育児器具本体として構成された支持部20と、支持部20上に支持されたシートクッション30と、シートクッション30を覆う幌70と、を含む。また、育児器具10は、支持部20の下方に設けられるとともに育児器具本体部20を支持する脚部40を含む。育児器具10に乗り込む子供は、シートクッション30上に寝ころび、または着座する。
【0024】
ところで、本明細書中において、育児器具及びその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」の用語は、特に指示がない場合、育児器具及びその構成要素に着座する子供を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向」とは、図1乃至図4並びに図6における紙面の左下と右上とを結ぶ方向であって、図5及び図7における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、育児器具及びその構成要素に着座する子供が向く側であり、図1乃至図4並びに図6における紙面の左下側、並びに、図5及び図7における紙面の左側が前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「左右方向」とは幅方向であって、「前後方向」及び「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0025】
まず、図3を参照して、育児器具本体としての支持部20について説明する。図3に示すように、支持部20は、全体的に、前後方向に沿った左右方向中心面を中心として概ね対称な構成となっている。図3に示す例において、支持部20は、座板21aと、この座板21aの後端に取り付けられた背板21bと、座板21aの側方に設けられた一対のアームレスト22,22と、を有している。背板21bの座板21a側の端部とは反対側の端部には、ヘッドレスト21eが設けられている。座板21aの前端にはフットレスト21dが設けられている。背板21bは、座板21aに対して、後方に倒伏させ(図3参照)また上方に起立させることができる構成となっている。また、ヘッドレスト21eは、背板21bに対して子供が配置される側(以下、単に「子供側」と呼ぶ)に起立させ(図3参照)、また背板21bに沿うように背板21bに対して倒伏させることができる構成となっている。
【0026】
脚部40は、支持部20を支持するものであり、この脚部40は、左右一対の前脚40a,40a及び後脚40b,40bからなっている。各前脚40a及び各後脚40bは、図1及び図2によく示されているように、それぞれの中間部において互いに回動自在に連結され、育児器具10を側方から見てX字状に配置されている。なお、脚部40は、揺動部45を介して支持部20を支持するようになっている。揺動部45は、支持部20を脚部40に対して前後方向に往復運動可能に支持している。
【0027】
前脚40a,40a及び後脚40b,40bの下方端には、それぞれ前輪40c及び後輪40dが設けられている。前輪40c及び後輪40dの各々は、当該前輪40c及び当該後輪40dを固定するストッパ40eを有している。前輪40c及び後輪40dを固定することにより、脚部40全体が床面Fに対して固定される。
【0028】
このような育児器具本体としての支持部20は、図3に示すように、背板21bを座板21aに対して倒伏させ、さらにヘッドレスト21eを背板21bに対して上方に起立させることにより、子供用の寝台として用いることができる。また、支持部20は、背板21bを座板21aに対して上方に起立させ、さらにヘッドレスト21eを背板21bに沿うように背板21bに対して倒伏させることにより、子供用の椅子として用いることもできる。さらに、脚部40の各前脚40a及び各後脚40bは、それぞれの中間部において互いに回動自在に連結されているので、前脚40aの前輪40cと後脚40bの後輪40dとの距離を広げることにより支持部20の位置を低くすることができる。また、前脚40aの前輪40cと後脚40bの後輪40dとの距離を狭めることにより支持部20の位置を高くすることができる。
【0029】
図3に示すように、支持部20には、子供用ベルト50が取り付けられている。子供用ベルト50によって、支持部20に乗り込んだ子供の身体が、支持部20上に保持されるようになる。子供用ベルト50は、股ベルト及び肩ベルトを有する三点式ベルトとして形成されてもよいが、図示の例では、股ベルト、腰ベルト及び肩ベルトを有する五点式ベルトとして形成されている。
【0030】
図3によく示されているように、子供用ベルト50は、股ベルトとして機能する股ベルト材51と、腰ベルトとして機能する一対の腰ベルト材52,53と、肩ベルトとして機能する一対の肩ベルト材54,55と、を有している。股ベルト材51の一端は、座板21aの略中央に取り付けられている。一対の腰ベルト材52,53の一端は、背板21bの座板21a側の端部の近傍に位置する腰区域内に、互いから左右方向に離間して取り付けられている。一対の肩ベルト材54,55の一端は、背板21bの略中央に位置する肩区域内に、互いから左右方向に離間して取り付けられている。
【0031】
股ベルト材51の他端には、第1接続具としてのバックル56が取り付けられている。また、各腰ベルト材52,53の他端には第2接続具としてのタング57が取り付けられており、各肩ベルト材54,55の他端には、第3接続具としてのタング58が取り付けられている。第2接続具57及び第3接続具58は、第1接続具56に係止される構成になっている。
【0032】
なお、上述の子供用ベルト50は、揺動椅子に限らず、乳母車等の多くの育児器具に、一般に設けられている。
【0033】
次に、図4及び図5を参照しながら、支持部20に装着されるシートクッション30について説明する。図4は、シートクッション30の斜視図である。また、図5は、幌70と共に支持部20に装着されたシートクッション30の、前後方向に沿った左右方向中心面における部分断面図である。図4から理解されるように、シートクッション30は、全体的に前後方向に沿って延びる左右方向中心面を中心として概ね対称な構成となっている。
【0034】
図4に示すように、シートクッション30は、座部31と、座部31と接続されて座部31の後方に位置する背部32と、座部31及び背部32の側方に位置する一対の側壁部33と、を有している。座部31は、支持部20の座板21aによって支持され、育児器具10に乗り込んだ子供の臀部に主として対面するようになる。一方、背部32は、支持部20の背板21bによって支持され、育児器具10に乗り込んだ子供の背中に主として対面するようになる。側壁部33は、座部31及び背部32の左右の側縁から延び出ている。側壁部33は、支持部20のアームレスト22に支持される。また、シートクッション30は、背部32の座部31とは反対側の縁部に接続された頭側部34をさらに有している。頭側部34は、左右の側壁部33を連結しており、支持部20のヘッドレスト21eに支持される。また、シートクッション30は、座部31の背部32とは反対側の縁部に接続された足側部35をさらに有している。足側部35は、左右の側壁部33を連結しており、フットレスト21dに支持される。さらに、シートクッション30は、側壁部33及び頭側部34の背部32とは反対側の外縁部に接続されたカバー36を有している。図4に示されているように、カバー36は、シートクッション30の子供側とは反対の側に延び出している。そして、図5に示すように、カバー36は、シートクッション30が支持部20に装着された状態において、支持部20のヘッドレスト21e及び背板21bの一部を覆い隠すようになっている。
【0035】
図4に示すように、シートクッション30には、支持部20の五つのベルト材51〜55がそれぞれ通過する五つの貫通孔61〜65が形成されている。第1の貫通孔61は、シートクッション30の座部31の中央に設けられ、股ベルト材51が通過する。第2及び第3の貫通孔62,63は、背部32の座部31側の端部の近傍に位置する腰区域に、互いから左右方向に離間して設けられている。第2及び第3の貫通孔62,63は、それぞれ、腰ベルト材52,53が通過する。また、第4及び第5の貫通孔64,65は、背部32の略中央に位置する肩区域に、互いから左右方向に離間して設けられている。第4及び第5の貫通孔64,65は、肩ベルト材54,55が通過する。
【0036】
ところで、図示のような育児器具には、支持部上に支持されたシートクッションを覆う幌が設けられる。このような幌へのニーズの一つとして、様々な支持部やシートクッションに適用可能であることがある。幌が様々な支持部やシートクッションに適用可能であれば、幌と支持部及び/またはシートクッションとを、所望のように組み合わせて使用することができる。しかしながら、一般に、幌は当該幌に対応して設計された支持部やシートクッションにのみ接続可能であるか、接続できたとしてもその機能を所望のように発揮することができない。具体的には、一般に、幌は、支持部またはシートクッションに接続するための接続部を有している。また支持部またはシートクッションは、幌の接続部が接続され、幌を保持する保持部を有している。幌は、その接続部に対応して設計されていない保持部には接続不可能であるか、接続できたとしても、ぐらついたり、幌と支持部またはシートクッションとの間に望ましくない隙間が形成されたりして、その機能を所望のように発揮することができない。また、そもそも、一般に、幌は、保持部を有さない支持部やシートクッションには接続することができない。
【0037】
このような事情を考慮して、本実施の形態の幌は、様々な支持部やシートクッションに適用可能とするための工夫がなされている。
【0038】
以下、図5乃至図8を参照して、幌について説明する。図6及び図7は、支持部及びシートクッションに装着される前の幌を示す。図6は、全展開状態にある幌を示す斜視図であり、図7は、図6に示す幌の側面図である。図8は、支持部及びシートクッションに装着された幌を、支持部の子供側とは反対の側から示す図である。
【0039】
図5に示すように、幌70は、シートクッション30を覆う幌本体71と、幌本体71の周状の縁部の少なくとも一部に接続したベース72と、を有する。図示の例では、幌70は、蚊帳として機能する。
【0040】
まず、ベース72について説明する。図示の例では、図6に示すように、ベース72は、略四角形の布地で形成されている。もちろん、ベース72は、布地以外の材料を含んでいてもよい。また、ベース72は、布地以外の材料で形成されていてもよい。図示の例では、図5に示すように、ベース72は、支持部20のフットレスト21dと座板21aと背板21bの腰区域との大部分を覆うのに十分な大きさを有している。ベース72で座板21aと背板21bとの間の隙間、及び、座板21aとフットレスト21dとの間の隙間を覆うことにより、当該隙間を通じて幌70の内部に、蚊等の害虫が侵入する虞が低減される。
【0041】
図5に示すように、ベース72は、シートクッション30と支持部20との間に配置される。これにより、ベース72がシートクッション30及び支持部20に対して移動することが抑制される。図示の例では、ベース72は、少なくとも、シートクッション30の背部32の一部(腰区域)及び座部31と、支持部20の背板21bの一部(腰区域)及び座板21aと、の間に配置される。シートクッション30及び支持部20のこれらの部位は、育児器具10に乗り込んだ子供の体重の大半を受ける部位である。ベース72がシートクッション30及び支持部20のこれらの部位の間に配置されることにより、ベース72が(したがって幌70が)シートクッション30及び支持部20に対して移動することが、効果的に防止される。
【0042】
さらに図示の例では、ベース72には、支持部20に設けられたベルト材51〜53が通過する穴81〜83が形成されている。ベース72の穴81〜83にベルト材51〜53を通過させることにより、ベース72をベルト材51〜53で保持することができる。この結果、ベース72がシートクッション30及び支持部20に対して移動することが、さらに効果的に防止される。なお、ベルト材51〜53は、上述のように、育児器具10に一般に設けられているものである。このような部材を用いてベース72(したがって幌70)を保持することにより、支持部20やシートクッション30に、幌70を保持するための専用の保持部を形成する必要がない。
【0043】
図示の例では、ベース72には、三つの穴81〜83が設けられている。第1の穴81は、ベース72の中央に設けられており、股ベルト材51が通過する。また、第2及び第3の穴82,83は、ベース72の後方周縁部72rの近傍の領域であって、背板21bの腰区域を覆う領域に、互いに左右方向に離間して設けられている。第2及び第3の穴82,83は、それぞれ、腰ベルト材52,53が通過する。複数のベルト材51〜53がベース72に設けられた複数の穴81〜83を通過することにより、ベース72が、ベルト材51〜53が通過する複数箇所で保持される。これにより、ベース72がシートクッション30及び支持部20に対して移動することが、一層効果的に防止される。
【0044】
なお、ベース72に設けられる穴は、股ベルト材51や腰ベルト材52,53以外のベルト材、すなわち肩ベルト材54,55が通過する穴であってもよい。この場合、ベース72は、背板21bの肩区域を覆うように形成される。このようにベース72に設けられる穴は、ベルト材51〜55の任意のベルト材が通過する穴であってよい。また、ベース72に設けられる穴の数も任意である。しかしながら、腰ベルト材52,53は使用されないことも多い。このため、ベース72に設けられる穴のいずれかは、股ベルト材51または肩ベルト材54,55が通過する穴であることが好ましい。
【0045】
上述のように、ベース72は、シートクッション30及び支持部20との間に配置される。このため、ベース72と、シートクッション30及び支持部20との間には、摩擦が生じる。また、図示の例では、ベース72は、ベルト材51〜53によって保持されているため、ベルト材51〜53によって引っ張られることもある。さらに、ベース72は、幌本体71に接続されているため、幌本体71によって引っ張られることもある。このようにベース72には様々な力が加わるため、ベース72は、これらの力に耐えられるよう、十分に強度の高い布地で作製されている。図示の例では、幌本体71の布地90よりも高強度の布地で形成されている。なお、本明細書において「高強度の布地」とは、引裂強さや破裂強さ、摩耗強さの高い布地をいう。
【0046】
次に、幌本体71について説明する。幌本体71は、柔軟な布地90と、布地90に取り付けられた棒状の複数の補強材73と、を有している。上述のように、幌70は、蚊帳として機能する。そこで、図示の例では、幌本体71の布地90として、メッシュ状の布地が採用されている。幌本体71の布地90がメッシュ状であることにより、幌70内部への蚊等の害虫の侵入を抑制しつつ、幌70の外部と内部の通気性を確保することができる。もちろん、布地90の代わりに布地以外のメッシュ材を採用してもよい。補強材73は、布地90に縫い付けられることによって保持され、U字状を成している。補強材73は、例えばポリアセタール(POM)で形成されている。補強材73は、図1に示す幌70の全展開状態において、その剛性により、幌本体71の布地90を張った状態に維持する。これにより、布地90とシートクッション30との間に、子供を収容するスペースを安定して確保することができる。なお、図5に示すように、各補強材73の両端部は、シートクッション30の側壁部33と支持部20のアームレスト22との間に配置されるため、シートクッション30上の子供が、補強材73の両端部に接触してけがをすることが防止される。
【0047】
なお、幌本体71の布地90としては、幌70に求められる機能に応じて、種々の公知の材料を用いることができる。例えば、幌70の機能として、幌70が全展開状態であっても幌70の外部から内部あるいは内部から外部を視認可能とすること、が要求される場合には、幌本体71の布地90として、可視光透過率の高い布地が採用され得る。また、幌70の機能として、日差しや照明光を遮ることが要求される場合には、幌本体71の布地90として、遮光性の高い布地が採用され得る。また、幌70の機能として、風雨を遮ることが要求される場合には、幌本体71の布地90として、通気性が低く、撥水性や防水性、耐水性の高い布地が採用され得る。もちろん、幌本体71の布地90としては、互いに異なる機能を有する複数種類の布地が採用され得る。
【0048】
図5に示すように、布材90は、幌70の全展開状態においてシートクッション30の前方から上方を覆う第1主布部91及び第2主布部92と、支持部20及びシートクッション30の子供側とは反対の側を覆う副布部93と、を有する。主布部91,92には、上述の複数の補強材73が縫い付けられている。
【0049】
図6及び図7に示すように、第1主布部91は、ベース72の前方周縁部72fに接続されている。第1主布部91は、幌本体71の布地90の前方縁部をなし、ベース72に接続される第1縁部91aと、第2主布部92に接続される第2縁部91bと、を有している。第1縁部91aは、ベース72の前方周縁部72fに縫着されている。これにより、第1主布部91とベース72との間から、蚊等の害虫が幌70の内部に侵入する虞が低減される。
【0050】
第2主布部92は、第1主布部91に接続される第3縁部92aと、副布部93に接続される第4縁部92bと、を有している。第4縁部92bは、副布部93に縫着されている。これにより、第2主布部92と副布部93との間から、蚊等の害虫が幌70の内部に侵入する虞が低減される。
【0051】
第1主布部91と第2主布部92とは、スライドファスナー95を介して接続されている。より具体的には、第1主布部91の第2縁部91bには、スライドファスナー95の一対のファスナーストリンガー95a,95bのうち一方のファスナーストリンガー95aが設けられている。また、第2主布部92の第3縁部92aには、他方のファスナーストリンガー95bが、一方のファスナーストリンガー95aに対応して設けられている。スライドファスナー95は、さらに、一対のファスナーストリンガー95a,95bの各エレメント列を係合させるスライダー96を有しており、スライダー96を移動させることにより、スライドファスナー95を開閉することができるようになっている。そして、スライドファスナー95を閉じることによって、第1主布部91の第2縁部91bと第2主布部92の第3縁部92aとを隙間なく接続して、第1主布部91と第2主布部92との間から害虫が幌70内に侵入することを防止することができる。また、スライドファスナー95を開いて第1主布部91と第2主布部92とを引き分けることにより(図2参照)、幌70を支持部20に装着したまま、幌70内の子供を取り出すことができる。
【0052】
副布部93は、第2主布部92に接続する第5縁部93aと、幌本体71の布地90の後方縁部をなす第6縁部93bと、を有する。上述のように、副布部93は、幌70が支持部20に取り付けられた状態において、支持部20及びシートクッション30の子供側とは反対の側を覆う(図5及び図8参照)。これにより、副布部93と支持部20及びシートクッション30との間から害虫が幌70の内部に侵入する虞が、低減される。図5及び図8によく示されているように、第6縁部93bには、副布部93を支持部20あるいはシートクッション30のカバー36に接触させる接触手段94が設けられている。副布部93を支持部20あるいはシートクッション30のカバー36に接触させることにより、副布部93と支持部20あるいはシートクッション30との間から害虫が幌70の内部に侵入する虞が、効果的に低減される。図示の例では、接触手段94は、第6縁部93bに沿って設けられたゴムである。接触手段94としてゴムを採用することにより、支持部20あるいはシートクッション30が動作しても(例えば座板21aに対して背板21bを動かしても)、副布部93の第6縁部93bを、支持部20あるいはシートクッション30の動きに追随させることができる。したがって、副布部93の第6縁部93bを、支持部20あるいはシートクッション30に接触させ続けることができる。なお、接触手段94としては、他の材料も採用可能であり、例えば紐であってもよい。また、接触手段94を用いない他の方法により、副布部93をシートクッション30あるいは支持部20に接触させてもよい。接触手段94を用いずに副布部93をシートクッション30あるいは支持部20に接触させる方法としては、例えば、副布部93の第6縁部93b側の端部をシートクッション30のカバー36と支持部20の背板21bとの間に挟み込む等、様々な方法が採用可能である。
【0053】
なお、図6及び図7から理解されるように、副布部93の前端部は、第1主布部91の後端部及びベース72の後方周縁部72rに接続されており、幌70は、シートクッション30の側周部を連続的に覆うことができるようになっている。
【0054】
次に、図9乃至図11を参照して、本実施の形態によるシートクッション及び幌の支持部への取り付け方法について説明する。
【0055】
まず、図9に示すように、支持部20のフットレスト21dと座板21aと背板21bの腰区域との上に、幌70のベース72を配置する。このとき、幌本体71を、前方に折り畳んでおく。そして、ベース72の第1の穴81に股ベルト材51を通し、第2及び第3の穴82,83に、それぞれ、一対の腰ベルト材52,53を通す。このようにして、幌70のベース72が、ベルト51〜53によって保持される。
【0056】
次に、図10に示すように、シートクッション30をベース72の上に配置する。そして、シートクッション30の第1貫通孔61に股ベルト材51を通し、第2及び第3貫通孔62,63に、それぞれ、一対の腰ベルト材52,53を通し、また、第4及び第5貫通孔64,65に、それぞれ、一対の肩ベルト材54,55を通す。また、シートクッション30のカバー36を、支持部20のヘッドレスト21e及び背板21bに被せる。このようにして、シートクッション30が支持部20に装着される。
【0057】
次に、図11に示すように、幌本体71の副布部93を後方に引っ張って幌本体71を広げながら、副布部93を、シートクッション30のカバー36の上から、支持部20のヘッドレスト21e及び背板21bに被せる(図5及び図8参照)。これにより、副布部93の第6縁部93bは、支持部20のヘッドレスト21e及び背板21bあるいはこれらに被せられたシートクッション30のカバー36に接触する。このようにして、幌70が、支持部20及びシートクッション30に装着される。
【0058】
一方、幌70及びシートクッション30を支持部20から取り外すには、上述した装着手順と逆の手順で取り外せばよい。
【0059】
図12及び図13に示すように、上述してきた幌70は、揺動椅子以外の育児器具にも適用可能である。図12は、幌70を乳母車としての育児器具100に適用した例を示す。図12に示す例において、乳母車100は、乳母車本体としての支持部120と、支持部120に支持されたシートクッション130と、を備えている。より具体的には、乳母車本体120は、シートクッション130を支持する座席121と、座席121を支持する脚部140及びハンドル141を含む。座席121は、座部121aと背もたれ121bとを含む。シートクッション130は、子供の臀部に主として対面する座部131と、子供の背中に主として対面する背部132とを有する。そして、幌70のベース72は、座席121の座部121a及び背もたれ121bの一部と、シートクッション130の座部131及び背部132の一部との間に配置される。また、幌本体71の副布部93が、座席121の背もたれ121bとシートクッション130の背部132に被せられ、これらの子供側の面とは反対側の面を覆っている。副布部93の第6縁部93bが、接触手段94によって、シートクッション130の背部132または座席121の背もたれ121bの少なくとも一方に接触している。図12に示す例においても、幌70は、シートクッション130および座席121との間に害虫が幌70内に侵入可能な隙間が形成されることを抑制しつつ、シートクッション130および座席121を覆っている。このように、幌70は、その機能を損なうことなく乳母車100に適用することができる。
【0060】
また、上述してきた幌70は、床上に置かれた子供用敷き布団やマット、簡易ベッドにも適用可能である。図13は、幌70を床に置かれた簡易ベッドに適用した例を示す。図13に示す例において、シートクッション230は、簡易ベッドであり、支持部220は簡易ベッド230を支持する床である。簡易ベッド230は、子供の臀部及び脚に主として対面する第1領域231と、子供の背中及び頭部に主として対面する第2領域232とを有する。そして、幌70のベース72は、床220と簡易ベッド230の第1領域231及び第2領域232の一部との間に配置される。また、幌本体71の副布部93が、簡易ベッド230の第2領域232に被せられ、第2領域232の子供側の面とは反対側の面を覆っている。さらに、当該面に、副布部93の第6縁部93bが、接触手段94によって接触している。図13に示す例においても、幌70は、簡易ベッド230との間に害虫が幌70内に侵入可能な隙間が形成されることを抑制しつつ、簡易ベッド230を覆っている。このように、幌70は、その機能を損なうことなく簡易ベッド230に適用することができる。
【0061】
もちろん、上述してきた幌70は、ペット用カートやペット用ベッド等のペット用飼育器具にも適用可能である。この場合、シートクッション30は、ペット用のシートクッションやペット用ベッドであり、支持部20は、シートクッション30を支持するペット用飼育具本体や、ペット用ベッドを支持する床であってよい。
【0062】
なお、図14に示すように、幌70を備えた育児器具10は、更に第2の幌370を有していてもよい。この場合、第2の幌370は、幌70とは異なる機能を有していることが望ましい。例えば、図示の例では、幌70の布地90は光を通すメッシュ状の布地であるので、第2の幌370の布地390は、遮光性の布地であることが望ましい。なお、図示の例では、第2の幌370は、支持部20に形成された保持手段に300よって保持されているが、幌70と同様の方法により支持部20及びシートクッション30に装着されてもよい。
【0063】
以上に説明してきた上述の一実施の形態において、幌70は、支持部20上に支持されたシートクッション30を覆う幌であって、シートクッション30を覆う幌本体71と、幌本体71の縁部の少なくとも一部91aに接続して、シートクッション30と支持部20との間に配置されるベース72と、を備えている。
【0064】
本実施の形態の幌70によれば、シートクッション30や支持部20,120,220に、幌70を保持するための専用の保持手段を設ける必要がない。このため、幌70は、様々なシートクッション30や支持部20,120,220に適用可能である。
【0065】
また、上述した一実施の形態において、支持部20に設けられてシートクッション30に形成された貫通孔61〜63を通過して延びるベルト材51〜53が通過する穴81〜83が、ベース72に形成されている。これにより、幌70のベース72を、支持部20に他の用途のために設けられたベルト材51〜53を用いて保持することができる。そして、ベース72が支持部20及びシートクッション30に対して移動することを防止することができる。
【0066】
この場合、例えば、支持部20に三つのベルト材51〜53が設けられ、シートクッション30には、三つのベルト材51〜53がそれぞれ通過する三つの貫通孔61〜63が形成されており、ベース72には、三つのベルト材51〜53がそれぞれ通過する三つの穴81〜83が形成されている。具体的には、支持部20に股ベルト材51及び一対の腰ベルト材52,53が設けられ、シートクッション30には、股ベルト材51及び一対の腰ベルト材52,53がそれぞれ通過する三つの貫通孔61〜63が形成されており、ベース72には、股ベルト材51及び一対の腰ベルト材52,53がそれぞれ通過する三つの穴81〜83が形成されている。この場合、幌70のベース72は、三つのベルト材51〜53によって、三箇所で保持される。このため、ベース72が支持部20及びシートクッション30に対して移動することが、より効果的に防止される。
【0067】
また、上述した一実施の形態において、シートクッション30は、子供の臀部に対面するようになる座部31と、子供の背中に対面するようになる背部32と、を有し、ベース72は、背部32の一部分及び座部31と支持部20との間に配置される。ここで、シートクッション30の座部31や背部32及び支持部20の座板21aや背板21bは、育児器具10に乗り込んだ子供の体重の大半を受ける部位である。シートクッション30及び支持部20のこれらの部位の間にベース72が配置されることにより、ベース72がシートクッション30及び支持部20に対して移動することが、効果的に抑制される。
【0068】
また、上述した一実施の形態において、幌70は、幌本体71の縁部の一部分93bに設けられ、前記一部分93bをシートクッション30及び支持部20の少なくとも一方に接触させる接触手段94を、更に備えている。これにより、幌本体71とシートクッション30及び支持部20の少なくとも一方との間に隙間が形成されることを、抑制することができる。接触手段94は、例えば、幌本体71の縁部の一部分93bに沿って設けられたゴムである。接触手段94がゴムであることにより、シートクッション30や支持部20を動作させた場合、幌本体71の縁部の一部分93bを、シートクッション30や支持部20の動きに追随させることができる。このため、当該一部分93bを、シートクッション30及び支持部20の少なくとも一方に接触させ続けることができる。なお、上述のように、幌本体71の縁部の一部分93bは、接触手段94を用いない他の方法によっても、シートクッション30及び支持部20の少なくとも一方に接触させることができる。
【0069】
また、上述した一実施の形態において、支持部20は、育児器具本体であって、シートクッション30とともに育児器具10を構成する。なお、支持部20は、ペット用飼育具本体であって、ペット用シートクッションと共に、ペット用カート等のペット用飼育器具を構成してもよい。
【0070】
また、上述した一実施の形態において、幌本体71は、布地90と、布地90に取り付けられた棒状の補強材73と、を有し、ベース72は、幌本体71の布地90よりも高強度の布地を有する。この場合、様々な力が加わるベース72の強度を高くすることができ、幌70全体を長寿命化させることができる。
【0071】
また、上述した一実施の形態において、ベース72は、布地を有し、幌本体71の布地90は、ベース72の布地よりも可視光透過率の高い布地を有する。これにより、幌70が全展開状態であっても、幌70の外部から内部を観察することができる。また、幌70の内部から外部を観察することができる。
【0072】
また、上述した一実施の形態において、幌本体71は、メッシュ材と、メッシュ材に取り付けられた棒状の補強材73と、を有する。これにより、幌70内部と外部との間での通気性を高めることができる。
【0073】
以上に説明してきた上述の一実施の形態において、育児器具10は、育児器具本体として構成された支持部20と、支持部20上に支持されたシートクッション30と、上述の幌70と、を備える。
【0074】
本実施の形態の育児器具10によれば、シートクッション30や支持部20に、幌70を保持するための専用の保持手段を設ける必要がない。このため、シートクッション30や支持部20の設計の自由度が高くなる。
【0075】
なお、以上において上述した実施例の形態に対する幾つかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 育児器具
20 支持部
30 シートクッション
31 座部
32 背部
33 側壁部
34 頭側部
35 足側部
51 股ベルト材
52,53 腰ベルト材
54,55 肩ベルト材
61〜65 貫通孔
70 幌
71 幌本体
72 ベース
73 補強材
81〜83 穴
90 布地
94 接触手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14