(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、容器不使用時における飲料の温度上昇にともなって、容器の内部圧力が上昇することもある。この状態からキャップを開くと、飲み口から液体が噴出され得る。この点、特許文献1に開示された飲料容器では、開いている途中のキャップが、弁体を保持している筒状の部分に外方から接触して、弁体を開くよう筒状の部分に作用する。しかしながら、キャップが直接弁体に作用しないので、キャップを開く際の弁体の開閉動作は安定しない。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、キャップを開いた際に飲み口から飲料が噴出することを効果的に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による飲料容器は、
容器本体と、
前記容器本体に取り付けられ、飲み口部を有する飲み口アダプターと、
前記飲み口アダプターに相対動作することで開閉し、閉じた状態で前記飲み口部を覆うキャップと、を備え、
前記飲み口アダプターに、前記容器本体に通じる通気穴が形成され、
前記飲み口アダプターは、前記通気穴内に配置されて前記通気穴を閉鎖する弁部を有し、
前記キャップは、前記飲み口アダプターに対して相対動作可能なキャップ本体と、当該キャップが閉じた状態で前記通気穴を塞ぐ栓部と、当該キャップが閉じた状態で前記弁部に接触して前記弁部による前記通気穴の閉鎖を解除する開放突出部と、を有し、
前記キャップを開く際、前記栓部が前記通気穴を開放した後に前記開放突出部が前記弁部から離間する。
【0008】
本発明による飲料容器において、前記キャップが閉じた状態で、飲み口部が閉鎖されるようにしてもよい。
【0009】
本発明による飲料容器において、
前記弁部は、互いに対向して配置された複数の弾性板状部を有し、
前記複数の弾性板状部の各々は、基端から先端に向けて前記容器本体の側へ傾斜し、
前記複数の弾性板状部は、前記開放突出部から離間した状態で、その先端を互いに接触させて前記通気穴を閉鎖するようにしてもよい。
【0010】
本発明による飲料容器において、
前記弁部は、互いに対向して配置された二つの弾性板状部を有し、
前記二つの弾性板状部は、前記開放突出部から離間した状態で、その先端となる直線状の縁部を互いに接触させて前記通気穴を閉鎖するようにしてもよい。
【0011】
本発明による飲料容器において、前記弾性板状部は平板状であるようにしてもよい。
【0012】
本発明による飲料容器において、前記開放突出部は板状であるようにしてもよい。
【0013】
本発明による飲料容器において、
前記開放突出部は、板状であり、
前記キャップが閉じた状態での配置における前記開放突出部の、前記弾性板状部の直線状の前記縁部の長手方向に沿った、長さは、
前記キャップが閉じた状態での配置における前記開放突出部の、前記弾性板状部の直線状の前記縁部の長手方向と直交する方向に沿った、長さよりも短くなっていてもよい。
【0014】
本発明による飲料容器において、前記開放突出部の先端は、当該先端の長手方向における両側において、丸味を有していてもよい。
【0015】
本発明による飲料容器において、
前記飲み口アダプターは、前記通気穴を形成する筒状部を有し、
前記弁部は、筒状部の内部に設けられていてもよい。
【0016】
本発明による飲料容器において、前記筒状部は、前記飲み口部と接続し前記飲み口部と一体的に形成されていてもよい。
【0017】
本発明による飲料容器において、前記開放突出部は、前記栓部から突出し、前記栓部と一体的に形成されていてもよい。
【0018】
本発明による飲料容器において、
前記飲み口アダプターは、前記容器本体に取り付けられるアダプター本体と、アダプター本体に保持されて前記通気穴を形成する弾性部材と、を有し、
前記弾性部材は、前記飲み口部と、前記弁部と、前記飲み口部に接続し前記アダプター本体へ取り付けられる取り付け部と、前記取り付け部と接続し前記容器本体との間でシールを形成するベース部と、を有し、
前記飲み口部、前記弁部、前記取り付け部および前記ベース部は、一体的に形成されていてもよい。
【0019】
本発明によるキャップ組立体は、
容器本体に取り外し可能に取り付けられるキャップ組立体であって、
前記容器本体に取り付けられ、飲み口部を有する飲み口アダプターと、
前記飲み口アダプターに相対動作することで開閉し、閉じた状態で前記飲み口部を覆うキャップと、を備え、
前記飲み口アダプターに、前記容器本体に通じる通気穴が形成され、
前記飲み口アダプターは、前記通気穴内に配置されて前記通気穴を閉鎖する弁部を有し、
前記キャップは、前記飲み口アダプターに対して相対移動可能なキャップ本体と、当該キャップが閉じた状態で前記通気穴を塞ぐ栓部と、当該キャップが閉じた状態で前記弁部を押圧して前記弁部による前記通気穴の閉鎖を解除する開放突出部と、を有し、
前記キャップを開く際、前記栓部が前記通気穴を開放した後に前記開放突出部が前記弁部から離間する。
【0020】
本発明によるキャップ組立体において、前記キャップは、前記飲み口アダプターに揺動可能に接続していてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、キャップを開いた際に飲み口から飲料が噴出することを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図15は、本発明による飲料容器及びキャップ組立体の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1は飲料容器の全体構成示す側面図であり、
図2はキャップ組立体を示す斜視図であり、
図3は飲料容器の縦断面図である。以下、図面に示した具体例を参照して一実施の形態について説明する。
【0024】
図1に示された飲料容器10は、容器本体15と、容器本体15に取り外し可能に取り付けられたキャップ組立体18と、を有している。キャップ組立体18は、容器本体15に取り外し可能に取り付けられる飲み口アダプター20と、飲み口アダプター20に対して相対動作可能なキャップ70と、を有している。飲み口アダプター20は、飲料容器10に収容した飲料(液体)を飲むための飲み口を形成している。図示された例において、キャップ70は、飲み口アダプター20に対して揺動軸線Asを中心として揺動可能になっている。キャップ70は、飲み口アダプター20に相対揺動することで、飲み口を有した飲み口アダプター20を開閉する。キャップ70は、
図1(及び後述する
図8)に示された閉じた状態において、飲み口を覆う。すなわち、この飲料容器10において、飲料を飲まない不使用時には、キャップ70を閉じて飲み口を隠す。また、飲料を飲む使用時には、キャップ70を開いて、飲み口を露出させることができる。
【0025】
そして、本実施の形態による飲料容器10は、キャップ70を閉じた状態から開いた際に飲み口から飲料が噴出することを効果的に防止するための工夫がなされている。さらに、本実施の形態による飲料容器10は、口内の圧力を自力で変化させることを身につけていない乳幼児が保護者の手助けなしで飲料を飲むことを補助するための工夫がなされている。
【0026】
図3に示すように、容器本体15は、内部に飲料を収容する。容器本体15は、開口15Xを有している。この開口15Xを介して、容器本体15の内部に飲料を充填することができる。飲料容器10を水平面に載置した状態において、開口15Xは鉛直方向における上方に向けて開口し、水平面に広がる。図示された例において、開口15Xの近傍となる容器本体15の外周面に、外螺子16が形成されている。容器本体15は、例えば、透明な樹脂材料によって形成された樹脂成形物とすることができる。
【0027】
なお、本明細書において、「上」や「下」との用語は、特に説明が無い限り、飲料容器10を水平面上に配置した状態を基準としている。また、図面間での方向の関係を明確化するため、いくつかの図面には、第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3を図面間で共通する方向として示している。第1方向dx及び第2方向dyは、開口15Xが広がる面上に方向としている。とりわけ、第1方向dx及び第2方向dyは互いに対向している。第3方向dzは、開口15Xが広がる面への法線方向としている。
【0028】
次に、飲み口アダプター20について説明する。飲み口アダプター20は、容器本体15に取り外し可能に取り付けられる。
図3に示すように、飲み口アダプター20は、容器本体15の外螺子16と噛み合う内螺子21を有している。飲み口アダプター20は、容器本体15の開口15Xを覆うように容器本体15に対して固定される。飲み口アダプター20は、飲み口を有するとともに、容器本体15に通じる通気穴25を形成されている。通気穴25には、飲料容器10の内部と外部の連通および遮断を切り替える弁が設けられている。
【0029】
図3に示すように、飲み口アダプター20は、具体的な構成として、アダプター本体30及び弾性部材40を有している。アダプター本体30は、内螺子21を形成され、容器本体15に取り付け可能となっている。アダプター本体30は、例えば樹脂材料によって形成された樹脂成形物とすることができる。弾性部材40は、アダプター本体30によって保持されている。弾性部材40は、アダプター本体30よりも弾性率が低くて弾性変形し易い材料(例えばゴムや樹脂)を用いて形成され、上述した飲み口をなす飲み口部50および弁をなす弁部65を形成している。
【0030】
図5に示すように、アダプター本体30は、周壁部32と、周壁部32に接続した天壁部34と、を有している。図示された例において、周壁部32及び天壁部34は、樹脂成形物として一体的に形成されている。周壁部32は、第3方向dzに開口した円筒状となっている。周壁部32の内面に、内螺子21が形成されている。天壁部34は、筒状の周壁部32の一方の開口を覆うように形成され、概ね第3方向dzに直交する面上に広がっている。
【0031】
図5に示すように、天壁部34には、保持開口34aが形成されている。保持開口34aは、弾性部材40を保持する部位となる。保持開口34aの周縁は、他の部分よりもいくらか厚みが厚くなり、すなわち肉厚となって、補強されている。保持開口34aが形成されている領域は、当該領域の周囲に位置し周壁部32に接続する周囲領域よりも、僅かに(具体的には数mm)隆起して段差を形成している。この段差の部分に開閉凹部35が形成されている。開閉凹部35は、キャップ70と係合してキャップ70を閉じた状態に維持する開閉係合部(
図8参照)として機能する。また、
図4に示すように、天壁部34は、保持開口34aに隣接する位置に、支持突起36を有している。支持突起36は、後述する弾性部材40の操作突起68を引っ掛けられるように構成されている。支持突起36は、引っ掛けられた操作突起68を弾性変形した状態に維持する。さらに、
図3に示すように、天壁部34は、その縁部に接続隆起部37を更に有している。接続隆起部37には、貫通孔37aが形成されている。接続隆起部37は、飲み口アダプター20とキャップ70との接続に用いられる。
【0032】
弾性部材40は、
図6に示すように、ベース部42と、ベース部42上に設けられた取り付け部46と、取り付け部46上に設けられた飲み口部50及び通気穴形成部60と、を有している。ベース部42、取り付け部46、飲み口部50及び通気穴形成部60は、例えばゴムにより、一体的に形成されている。
【0033】
図6に示すように、ベース部42は、平板状に形成されたベース板状部43と、ベース板状部43上に設けられた環状凸部44と、を有している。ベース板状部43は、円板状に形成されている。ベース板状部43は、その中央にベース開口43aを設けられている。ベース開口43aは後述する飲み口部50の中空区間に通じている。また、ベース開口43aは、後述する通気穴形成部60の中空区間に通じ、通気穴25の一部分を形成している。環状凸部44は、ベース板状部43の円周状の縁部に沿って設けられている。ベース板状部43から第3方向dzにおける天壁部34の側に向けて突出している。
【0034】
図3に示すように、容器本体15の外螺子16と飲み口アダプター20の内螺子21とを噛み合わせて、飲み口アダプター20を容器本体15に固定した際、容器本体15の開口15Xを画成する円周状の先端面17がベース板状部43に当接する。ベース板状部43は、容器本体15の先端面17と液密なシールを形成する。環状凸部44は、容器本体15の先端面17と、ベース板状部43を挟んで第3方向dzに対向している。したがって、環状凸部44は、アダプター本体30の天壁部34に当接することで、ベース板状部43を先端面17に向けて押圧する。すなわち、環状凸部44によって、容器本体15とキャップ組立体18との間の密閉性を向上させることができる。
【0035】
図3、
図4及び
図6に示すように、取り付け部46は、ベース板状部43のベース開口43aを形成する縁部に沿って設けられている。図示された例において、取り付け部46は、天壁部34の保持開口34aを形成する縁部を受ける凹部または溝部として形成されている。取り付け部46が天壁部34に係合することで、弾性部材40がアダプター本体30に保持されるようになっている。弾性部材40の安定した保持を確保する上で、弾性部材40は取り付け部46において肉厚になっていることが好ましい。
【0036】
次に、飲料容器10の飲み口を形成する飲み口部50について説明する。
図6及び
図7に示すように、飲み口部50は、ベース板状部43のベース開口43aに対面する位置に配置されている。飲み口部50は、飲み口アダプター20を貫通する飲料の流路を形成することができる。飲み口部50は、先端部52及び基端部56を有している。先端部52は、ベース部42及び取り付け部46から第3方向dzに離間した先端側に位置している。基端部56は、先端部52及び取り付け部46の間に位置している。図示された例において、基端部56は、先端部52及び取り付け部46に接続している。基端部56は、先端部52よりも幅広となっている。例えば、
図7に示すように、基端部56の第1方向dxに沿った長さは、先端部52の第1方向dxに沿った長さよりも長く、
図3に示すように、基端部56の第2方向dyに沿った長さは、先端部52の第2方向dyに沿った長さよりも長くなっている。
【0037】
先端部52は、第3方向dzに細長く延びた筒状に形成されている。先端部52の幅は、僅かであるが、第3方向dzに沿って基端部56に接近するにつれて広がっていく。先端部52は、中空部に飲料の流路を絞るオリフィス部53を形成されている。オリフィス部53が飲み口部50内の飲料通路を絞ることで、適切な量の飲料だけが飲み口部50を通過するようになる。また、先端部52の中空部は、基端部56の側において拡径している。拡径した部分は、筒状部材保持部54として、ストロー等の筒状部材39を保持する。この筒状部材39は、容器本体15の底部まで延び、容器本体15内の飲料に浸され得る。したがって、飲み口部50から吸い込んだ際には、容器本体15内の空気(気体)ではなく飲料(液体)が吸い出され得る。なお、筒状部材39は、
図1、
図3及び後述する
図15以外の図において図示を省略している。
【0038】
基端部56は、
図2及び
図6に示されているように、外方に向けて膨出した曲面状の外輪郭を有している。基端部56は、少なくとも先端部52に近接する側の一部分において、回転体の形状を有している。図示された例において、基端部56は、すくなくとも部分的に、第3方向dzに延びる軸線を中心とした回転体の形状を有している。とりわけ図示された例において、基端部56は、後述する通気穴形成部60との接続する部分を除き、第3方向dzに延びる軸線を中心とした回転体の形状を有している。
【0039】
なお、先端部52も、少なくとも部分的に第3方向dzに延びる軸線を中心とした回転体の形状を有するようにしてもよい。図示された先端部52は、その全体において、第3方向dzに延びる軸線を中心とした回転体の形状を有している。
【0040】
図6及び
図7に示すように、基端部56の幅は、第3方向dzに沿って先端部52に近接する側で最も狭い。すなわち、基端部56の幅は、先端部52に接続する位置において最も狭い。基端部56の幅は、第3方向dzに沿って取り付け部46に近接側で最も広い。すなわち、基端部56の幅は、取り付け部46に接続する位置において最も広い。とりわけ図示された例において、基端部56の幅は、第3方向dzに沿って先端部52の側から取り付け部46の側へ向けて、連続的に広がっていく。同様に、基端部56の内幅は、第3方向dzに沿って先端部52に近接する側で最も狭い。基端部56の内幅は、第3方向dzに沿って取り付け部46に近接側で最も広い。とりわけ図示された例において、基端部56の内幅は、第3方向dzに沿って先端部52の側から取り付け部46の側へ向けて、連続的に広がっていく。
【0041】
なお、飲み口部50に対して用いる「幅」とは、第1方向dx及び第2方向dyによって画成される面上に位置する方向に沿った、言い換えると第3方向dzに直交する方向に沿った飲み口部50の寸法のことを指している。また、飲み口部50に対して用いる「内幅」とは、第1方向dx及び第2方向dyによって画成される面上に位置する方向に沿った、言い換えると第3方向dzに直交する方向に沿った、飲み口部50の内寸法、つまり飲み口部50の中空部の寸法、更に言い換えると飲み口部50の内表面間の寸法のことを指している。
【0042】
図7に示すように、基端部56の肉厚は、第3方向dzに沿って先端部52に近接する側で最も厚い。すなわち、基端部56の肉厚は、先端部52に接続する位置において最も厚い。基端部56の肉厚は、第3方向dzに沿って取り付け部46に近接側で最も薄い。すなわち、基端部56の肉厚は、取り付け部46に接続する位置において最も薄い。とりわけ図示された例において、基端部56の肉厚は、第3方向dzに沿って先端部52の側から取り付け部46の側へ向けて、連続的に薄くなっていく。そして、図示された例において、基端部56の肉厚は、いずれの位置においても、先端部52のいずれの位置の肉厚よりも薄い。また、基端部56の肉厚は、いずれの位置においても、取り付け部46のいずれの位置の肉厚よりも薄い。
【0043】
また、
図7に示すように、基端部56は、その先端部52に接続する端部において、第3方向dzに直交する方向へ先端部52から延び出している。そして、飲み口部50は、先端部52が基端部56に接続する位置において、当該飲み口部50の内部に突出する角部50aを形成している。すなわち、飲み口部50は、その外表面において、先端部52及び基端部56の接続位置において環状の凹部(くびれ部)を形成している。飲み口部50は、その内表面において、先端部52及び基端部56の接続位置において環状の凸部を形成している。一方、基端部56は、その取り付け部46に接続する端部において、第3方向dzへ取り付け部46から延び出している。
【0044】
以上の構成を有する飲み口部50では、後述するように、基端部56を直接押すことで、或いは、先端部52を基端部56の側に向けて押すことで、基端部56の内部容積が減少するように基端部56が変形する。
【0045】
次に、通気穴形成部60について説明する。
図4に示すように、通気穴形成部60は、ベース板状部43のベース開口43aに対面する位置に配置されている。通気穴形成部60は、飲み口アダプター20を貫通する通気穴25を形成している。具体的な構成として、通気穴形成部60は、取り付け部46上に設けられた筒状部62を有している。筒状部62内に、通気穴25が形成されている。
【0046】
筒状部62は、後述するキャップ70の栓部78が当接するようになる座面63を有している。座面63は、円環状の面となっている。座面63は、第3方向dzに直交する面上に位置している。通気穴形成部60は、座面63を取り囲む環状壁部64を更に有している。環状壁部64は、第3方向dzに沿って容器本体15とは反対側へ、座面63から延び出している。環状壁部64は、第3方向dzに沿って座面63に近接する側で内幅が小さくなるよう、円錐台の側面の形状をなす内壁面64aを有している。この内壁面64aが座面63に接続している。
【0047】
図示された例において、筒状部62は飲み口部50と第2方向dyに並べられている。筒状部62は飲み口部50と直接接続している。筒状部62は飲み口部50と一体的に形成されている。
【0048】
通気穴形成部60は、通気穴25内に配置されて通気穴25を閉鎖する弁部65を有している。弁部65は、筒状部62の内部に設けられている。弁部65は、後述するキャップ70の開放突出部80に接触することで開放される。弁部65は、開放突出部80が離間している状態において、通気穴25を閉鎖し得る。
【0049】
図2に示すように、弁部65は、互いに対向して配置された複数の弾性板状部(弁板部)66を有している。弾性板状部66は、その基端において、筒状部62の内壁面に接続している。複数の弾性板状部66の各々は、第3方向dzに直交する面に対して傾斜している。各弾性板状部66は、筒状部62に接続した基端よりも先端において容器本体15の側に位置するよう、傾斜している。複数の弾性板状部66は、その先端を互いに接触させることで、通気穴25を閉鎖するようになっている。弾性板状部66が先端側で容器本体15の内部側へ寄るように傾斜していることで、弾性板状部66は、容器本体15の内部側へ傾斜又が湾曲して変形し易くなっている。その一方で、弾性板状部66は、容器本体15の内部側へ傾斜又が湾曲する変形よりも容器本体15の外部側へ傾斜又は湾曲する変形に対して、より高い剛性を有する。
【0050】
とりわけ図示された例において、弁部65は、互いに対向して配置された二つの弾性板状部66を有している。各弾性板状部66は、概ね半円状の輪郭を有している。各弾性板状部66は、半円の弧となる部分によって基端を形成されている。そして、半円の弧となる部分が、筒状部62の内壁面に接続している。一方、弾性板状部66は、半円の弦となる部分によって先端を形成されている。半円の弦となる部分は、半円の弧のうちの当該弦から最も離間した位置よりも、第3方向dzにおいて容器本体15の側に位置している。二枚の弾性板状部66は、先端をなす直線状の縁部66aを互いに接触させて、通気穴25を閉鎖することができる。後述するように開放突出部80が突き当たることによって、二枚の弾性板状部66は変形し、通気穴25が開放され得る。図示された例において、各弾性板状部66は、平板状に形成されている。
図2〜
図4に示すように、弾性板状部66の直線状の縁部66aは、第1方向dxに沿って延びている。
【0051】
さらに、
図2、
図4及び
図6に示すように、通気穴形成部60は、筒状部62から延出した操作突起68を更に有している。操作突起68は、第3方向dzに直交する方向であって弾性板状部66の縁部66aに沿った方向へ、筒状部62から延出している。
図4に示すように、操作突起68は、通常の状態において、アダプター本体30の支持突起36の内部に入っている。後述するように、操作突起68を弾性変形させることで、操作突起68を支持突起36の内部から引き出して支持突起36上に配置することもできる。
【0052】
次に、キャップ70について説明する。
図8に示すように、キャップ70は、飲料容器10の不使用時に飲み口部50を塞ぐようになっている。図示された例において、キャップ70は、飲み口アダプター20に揺動可能に接続している。具体的な構成として、キャップ70は、飲み口アダプター20に接続したキャップ本体72と、キャップ本体72に保持された栓部78及び開放突出部80を有している。キャップ70は、全体としてドーム状またはお椀状の形状を有している。
図8に示すように、キャップ70は、閉じた状態において、ドーム状またはお椀状をなす膨出部内に飲み口部50や通気穴形成部60を収容することができる。
【0053】
図3及び
図8に示すように、キャップ本体72は、飲み口アダプター20の接続隆起部37に形成された貫通孔37aを通過する軸部72aを有している。軸部72aは円柱状の部位として形成さている。軸部72aの軸線がキャップ70の揺動軸線Asを形成する。なお、第2方向dyにおいて、軸部72aと飲み口部50との間に通気穴形成部60が設けられている。また、キャップ本体72は、飲み口アダプター20の開閉凹部35と係合し得る開閉凸部73を有している。開閉凸部73は、飲み口アダプター20の開閉凹部35と係合してキャップ70を閉じた状態に維持する開閉係合部として機能する。
【0054】
図2及び
図8に示すように、キャップ本体72は、キャップ70が閉じた状態において飲み口部50を収容する収容凹部74を有している。
図8に示すように、キャップ70が閉じている間、キャップ70は、飲み口部50の先端部52に基端部56とは反対側から接触する。さらにキャップ70は、概ね第3方向dzに沿って、飲み口部50を容器本体15の側へ向けて押す。
【0055】
キャップ70を閉じている間、飲み口部50は、キャップ70の収容凹部74内へと誘導される。
図8に示すように、キャップ70の開閉凸部73が飲み口アダプター20の開閉凹部35に嵌まりキャップ70が閉じた状態において、キャップ70によって第3方向dzに押された飲み口部50は、アダプター本体30からの突出量を低減するように変形している。具体的には、肉厚が薄くて変形し易い飲み口部50の基端部56が、外方にせり出して屈曲することで潰れるように変形する。
【0056】
また、キャップ本体72は、収容凹部74内に挿入凸部75を有している。キャップ70を閉じた状態において、挿入凸部75は、飲料の流路をなす先端部52の開口に嵌まりこむ。このとき、収容凹部74と先端部52との間で液密なシールが形成され、飲み口部50からの飲料の漏れ出しを規制することができる。すなわち、キャップ70が閉じた状態で、飲み口部50が閉鎖される。また、収容凹部74内には、飲み口部50の先端部52の向きを誘導するための誘導凸部76が設けられている。誘導凸部76は、飲み口アダプター20に対してキャップ70が揺動して閉じる際、先端部52の先端に接触して、先端部52の先端を挿入凸部75に向けて案内することができる。
【0057】
図2及び
図8に示すように、キャップ本体72には、栓部78及び開放突出部80が設けられている。栓部78は、キャップ70が閉じた状態で通気穴25を塞ぐようになっている。図示された例において、栓部78は、キャップ70が閉じた状態で、筒状部62の上方の開口を塞ぐようになっている。図示された栓部78は、円筒状の筒状部62に対応して、円柱状に形成されている。
図8に示すように、キャップ70が閉じた状態で、栓部78は、筒状部62の座面63上に位置し、座面63との間で液密なシールを形成する。また、キャップ70が閉じた状態で、栓部78の先端は、筒状部62の環状壁部64内に挿入されている。環状壁部64の内径は、栓部78の外径よりわずかに小さく設定されている。したがって、キャップ70が閉じた状態において、環状壁部64は周長をますように弾性変形して栓部78の先端部を受け入れる。この結果、栓部78は、環状壁部64の内壁面64aとの間でも液密なシールを形成することができる。
【0058】
ここで、
図9は、キャップ70が完全に閉じた状態から少し揺動した状態を示している。キャップ70が完全に閉じた状態とは、
図8に示された状態であって、キャップ70の開閉凸部73が飲み口アダプター20の開閉凹部35と係合している状態である。上述したように、キャップ70が閉じた状態において、基端部56が潰れるように変形して、飲み口部50の第3方向dzへの全長を短くしている。
図9に示された状態において、基端部56は概ね復元し、キャップ70の収容凹部74に設けられた挿入凸部75による飲み口部50の閉鎖が解除される直前となっている。すなわち、
図9に示された状態では、飲み口部50は閉鎖された状態にある。その一方で、
図9に示された状態において、栓部78は、座面63から離間し、環状壁部64内に入り込んでいない。すなわち、図示された例では、キャップ70を閉じる際、栓部78が通気穴25を閉鎖する前に、挿入凸部75によって飲み口部50が閉鎖される。また図示された例では、閉じた状態にあるキャップ70を開く際、飲み口部50が閉鎖されているままの状態で、まず、栓部78が通気穴25を開放する。
【0059】
次に、開放突出部80について説明する。開放突出部80は、
図8に示すように、キャップ70が閉じた状態で弁部65に接触して、弁部65による通気穴25の閉鎖を解除する。上述したように、通気穴25を閉鎖する弁部65の弾性板状部(弁板部)66は、第3方向dzに直交する面に対して、その基端から先端に向けて容器本体15の側へ傾斜している。したがって、開放突出部80が、容器本体15とは反対側から弾性板状部66に接触することで、対向配置された弾性板状部66の先端をなす縁部66aの接触が解除される。
図8及び
図9に示すように、開放突出部80と接触した弾性板状部66は、容器本体15の側へ撓み、弁部65による通気穴25の閉鎖が解除される。
【0060】
図示された例において、開放突出部80は平板状となっている。
図2から理解されるように、弁部65に挿入される平板状の開放突出部80は、平板の板厚の方向が弁部65の切り込みをなす弾性板状部66の直線状縁部66aの長手方向(第1方向dx)に沿っていることが好ましい。言い換えると、開放突出部80の板面が、弾性板状部66の直線状縁部66aの長手方向(第1方向dx)に直交していることが好ましい。図示された例において、開放突出部80の板面は、第1方向dxに直交する第2方向dyに沿っている。そして、
図10に示すように、キャップ70が閉じた状態での配置における開放突出部80の、弾性板状部66の縁部66aの長手方向(第1方向dx)に沿った、長さLaは、縁部66aの長手方向(第1方向dx)と直交する方向(第2方向dy)に沿った開放突出部80の長さLbよりも短くなっている。このような例によれば、
図11に示すように、対向する弾性板状部66の縁部66aを互いから大きく離間させることができ、しかも、縁部66aの間に形成された隙間を開放突出部80が大きく塞いでしまうことを効果的に防止することができる。
【0061】
なお、
図2に示すように、開放突出部80は、リブ81等によって適宜補強されていてもよい。このようなリブ81は、単に開放突出部80を補強するだけでなく、弾性板状部66の変形を促進および誘導し、且つ、弁部65を通過する気体を整流することできる。とりわけ、
図2に示された例のように、平板状の開放突出部80の法線方向(第2方向dy)に突出したリブ81によれば、弾性板状部66の安定した変形と気体の円滑な誘導とを効果的に実現することができる。
【0062】
また、
図9に示すように、開放突出部80の先端82は、当該先端82の長手方向(略第2方向dy)における両側において、例えば面取りにより、丸味82aを有している。この丸味82aによって、開放突出部80との弁部65との摩擦を低減し、且つ、弁部65の弾性板状部66の損傷を効果的に防止することが可能となる。
【0063】
ところで、上述したように、
図9に示された状態において、基端部56は概ね復元し、飲み口部50の閉鎖は解除される直前となっている。すなわち、
図9に示された状態では、飲み口部50は閉鎖された状態にある。そして、
図9に示された状態において、開放突出部80は、弁部65に接触して弁部65による通気穴25の閉鎖を解除している。図示された例では、キャップ70を閉じる際、挿入凸部75によって飲み口部50が閉鎖される前に、開放突出部80が弁部65に接触して弁部65による通気穴25の閉鎖を解除する。また図示された例において、閉じた状態にあるキャップ70を開く際、飲み口部50が開放された際に、開放突出部80は弁部65に接触したままであって弁部65による通気穴25の閉鎖は解除されている。
【0064】
図示された例において、栓部78及び開放突出部80は、キャップ本体72に固定されたブロック体77によって形成されている。そして、開放突出部80は、栓部78から突出し、栓部78と一体的に形成されている。
【0065】
次に、以上の構成からなる飲料容器10の作用について説明する。
【0066】
まず、
図8に示すように、飲料容器10の不使用時、キャップ70の開閉凸部73を飲み口アダプター20の開閉凹部35に係合させて、キャップ70を飲み口アダプター20に対して閉じた状態に維持する。このとき、
図8に示すように、飲み口部50及び通気穴25は、キャップ70によって覆われており、衛生面において好ましい。
【0067】
また、
図8に示すように、キャップ70が第3方向dzから飲み口部50の先端に接触することで、飲み口部50の基端部56は、外側に膨らみ且つ屈曲して、第3方向dzに潰れている。基端部56の弾性変形により、飲み口部50の先端は、キャップ70の収容凹部74に向けて押し付けられる。この結果、キャップ70の挿入凸部75が飲み口部50の先端部52の開口に嵌まり込み、飲み口部50を液密に閉鎖することができる。したがって、飲料容器10が意図せず倒れたり、鞄等の内部で適切な姿勢に維持されなかったとしても、飲み口部50から飲料が漏れ出すことを効果的に防止することができる。
【0068】
なお、キャップ70が閉じた状態において、
図8に示すように、キャップ70に設けられた開放突出部80が、弁部65に接触して、弁部65による通気穴25の閉鎖が解除されている。ただし、キャップ70が閉じた状態において、栓部78が筒状部62の座面63上に着座し、且つ、栓部78が環状壁部64に嵌まり込んでいる。すなわち、キャップ70に設けられた栓部78によって通気穴25は閉鎖されている。したがって、飲料容器10が意図せず倒れたり、鞄等の内部で適切な姿勢に維持されなかったとしても、通気穴25から飲料が漏れ出すことを効果的に防止することができる。
【0069】
ところで、飲料容器の内部に収容した飲料が、時間の経過にともなって、温度が上昇することもある。飲料の温度が上昇すると、飲料容器の内部圧力が上昇する。そして、この状態からキャップを開くと、内部圧力によって飲料が飲み口から噴出することも想定される。
【0070】
このような不具合に対し、本実施の形態では、キャップ70が閉じている状態において、開放突出部80が弁部65を開放している。ただし、キャップ70が閉じている状態において、栓部78が通気穴25を閉鎖しているので、通気穴25からの飲料の漏れ出しを効果的に防止することができる。そして、キャップ70を開き始めると、まず、栓部78が、座面63から離間して環状壁部64から抜け出す。このとき、
図9に示すように、飲み口部50の先端は、キャップ70の収容凹部74内に位置し、且つ、飲み口部50は挿入凸部75によって閉鎖されている。一方、開放突出部80は、弁部65に接触したままであり、弁部65は開放された状態に維持されている。したがって、キャップ70を開き始めた際、飲み口部50から飲料が噴出することなく、通気穴25を介して飲料容器10の内部が外部に連通する。通気穴25は、飲み口部50とは異なり、ストロー等の筒状部材39に接続していない。したがって、飲料容器10が適切な姿勢に維持されていれば、通気穴25が飲料中に浸されていることはない。これにより、キャップ70の開き始めに通気穴25を介して飲料容器10の内部から気体を排出し、飲料容器10の内部圧力を解放することができる。このようにして、キャップ70の開き始めにおける飲料の吹き出しを効果的に回避することができる。
【0071】
飲料容器10の内部圧力を解放した後、さらにキャップ70を開くことで、キャップ70の挿入凸部75が飲み口部50から離間して、飲み口部50の閉鎖が解除される。さらにキャップ70を開くと、開放突出部80が弁部65から離間し、弁部65が通気穴25を閉鎖するようになる。
【0072】
キャップ70を開くことによって、飲み口部50を咥えて、飲料容器10内の飲料を飲むことができる。飲み口部50から飲料を排出する際、通気穴25を介して飲料容器10の内部に空気を送り込むことができる。これにより、飲み口部50からの飲料の吸い出しを円滑に行うことができる。とりわけ、図示された例では、弾性板状部66が先端側で容器本体15の内部側へ寄るように傾斜している。したがって、弾性板状部66は、容器本体15の内部側へ傾斜又は湾曲しやすくなっている。これにより、容器本体15の内部への空気の供給が円滑に行われ、飲料容器10から飲料を飲むことを阻害することを効果的に防止することができる。
【0073】
その一方で、弁部65の弾性板状部66は、飲料容器10の内部側へ傾斜又は湾曲する変形よりも、飲料容器10の外部側へ傾斜又は湾曲する変形に対して、より高い剛性を有する。すなわち、弁部65の弾性板状部66は、飲料容器10の外側へ傾斜又は湾曲しにくくなっている。したがって、飲料容器10の転倒時等に、弁部65を介して飲料が漏れ出すことを効果的に防止することができる。
【0074】
なお、
図4に示すように、通気穴25を形成する筒状部62に操作突起68が接続している。飲料容器10から飲料を飲む際に、
図4に二点鎖線で示すように、操作突起68を飲み口アダプター20の支持突起36上に引っ掛けるようにしてもよい。
図12に示すように、この操作によって、筒状部62は第1方向dxへ圧縮されるようになる。このとき、対向する弾性板状部66の縁部66aは互いにから離間して、一対の縁部66aの間に隙間が形成される。これにより、飲料容器10の内部が大気圧に維持され、飲料容器10から飲料を飲むことを阻害されなくなる。
【0075】
ところで、低月齢の乳幼児は、口内の圧力を下げることができない。このような乳幼児に対しては、保護者が飲料容器を押して飲料容器の内部圧力を上げることで、飲み口から飲料を押し出していた。本実施の形態の飲料容器10では、飲み口部50は、先端に位置する筒状の先端部52と、先端部52に接続し先端部52よりも幅広の基端部56と、を有している。そして、先端部52の肉厚よりも基端部56の肉厚の方が薄くなっている。このため、
図13に示すように、飲み口部50を咥えた唇が基端部56を直接押すことで、基端部56の容積が減少するように基端部56が変形する。また、
図14に示すように、先端部52を基端部56の側に向けて押すことで、基端部56の容積が減少するように基端部56が変形する。これにより、飲料容器10の内部圧力が上昇し、飲料が飲み口部50から送り出されるようになる。これにより、口内の圧力を自力で変化させることを身につけていない乳幼児でも、保護者の手助け無しで、飲料容器10内の飲料を飲むことが可能となる。また、この飲料容器10を用いることで、乳幼児は、飲料を吸って飲む練習を行うことができる。
【0076】
以上に説明してきた一実施の形態において、容器本体15に通じる通気穴25が飲み口アダプター20に形成され、飲み口アダプター20は通気穴25内に配置されて通気穴25を閉鎖する弁部65を有している。キャップ70は、飲み口アダプター20に対して相対移動可能なキャップ本体72と、当該キャップ70が閉じた状態で通気穴25を塞ぐ栓部78と、当該キャップ70が閉じた状態で弁部65に接触して弁部65による通気穴25の閉鎖を解除する開放突出部80と、を有している。キャップ70を開く際、栓部78が通気穴25を開放した後に開放突出部80が弁部65から離間する。
【0077】
すなわち、キャップ70を開く際、キャップ70の栓部78が通気穴25を開いた後にキャップ70の開放突出部80が弁部65から離間して弁部65が通気穴25を閉鎖する。したがって、キャップ70の開き始めに、弁部65および栓部78の両方が通気穴25を開放することができる。これにより、収容した飲料の温度変化等に起因して容器本体15の内部圧力が上昇していたとしても、キャップ70を開く動作中に、言い換えるとキャップ70を開き終わる前に、通気穴25が容器本体15の内部を外部に開放して、容器本体15の内部の空気を外部に排出することができる。とりわけ、本実施の形態において、弁部65の開放は、開放突出部80が弁部65に接触することにより実現されている。したがって、弁部65の適切な開放を安定して確保することができる。
【0078】
図示された例では、キャップ70の開き始めの一時期の間だけ、さらに好ましくは、飲み口部50がドーム状のキャップ70内に位置して当該キャップ70に覆われている一時期の間だけ、通気穴25が容器本体15の内部を外部に開放して、容器本体15の内部の空気を外部に排出することができる。これにより、飲み口部50から飲料が噴出することを効果的に防止することができる。
【0079】
上述した一実施の形態の具体例において、弁部65は、互いに対向して配置された複数の弾性板状部(弁板部)66を有している。複数の弾性板状部66の各々は、基端から先端に向けて容器本体15の側へ傾斜している。そして、複数の弾性板状部66は、開放突出部80から離間した状態で、その先端を互いに接触させて通気穴25を閉鎖する。より具体的には、弁部65は、互いに対向して配置された二つの弾性板状部66を有し、二つの弾性板状部66は、開放突出部80から離間した状態で、その先端となる直線状の縁部66aを互いに接触させて通気穴25を閉鎖する。
【0080】
このような具体例では、基端から先端に向けて容器本体15の側へ弾性板状部66が傾斜しているので、外部から容器本体15の内部に流体(とりわけ気体)が入りやすく、容器本体15の内部から外部へ流体(とりわけ気体)が流出しにくくすることができる。したがって、飲料を飲む際に、容器本体15の内部の飲料の減少にともない、通気穴25を介して円滑に空気が容器本体15の内部に流入することができる。すなわち、大きな吸引力を必要とせずに、容器本体15の内部の飲料を飲むことができる。その一方で、飲料容器10が倒れたこと等に起因して通気穴25を介して飲料が意図せず漏れ出すことを効果的に防止することができる。
【0081】
また、弁部65が互いに対向して配置された二つの弾性板状部66を有する例では、当該二つの弾性板状部66によって通気穴25を安定して閉鎖することができる。その一方で、開放突出部80が接触することによって、弁部65をより確実に開放することができる。
【0082】
上述した一実施の形態の具体例において、弾性板状部66は平板状となっている。このような弾性板状部66によれば、凹部状に湾曲した板状部と比較して、開放突出部80が接触しやすくなる。これにより、キャップ70の閉鎖にともなって、弁部65による通気穴25の閉鎖をより安定して解除することができる。
【0083】
上述した一実施の形態の具体例において、開放突出部80は板状となっている。このような例によれば、開放突出部80が板状に形成されていることから、開放突出部80それ自体が通気穴25を大きく閉鎖してしまうことを効果的に防止することができる。したがって、キャップ70の開き始めに通気穴25を開放して、容器本体15の内部の空気を外部に安定して排出することができる。
【0084】
上述した一実施の形態の具体例において、開放突出部80は板状となっている。そして、キャップ70が閉じた状態での配置において、開放突出部80の、弾性板状部66の縁部66aの長手方向にあたる第1方向dxに沿った開放突出部80の長さLaは、第1方向dxに直交する第2方向dyに沿った開放突出部80の長さLbよりも短くなっている。このような例によれば、開放突出部80それ自体が通気穴25を大きく閉鎖してしまうことを効果的に防止することができるので、キャップ70の開き始めに容器本体15の内部の空気を外部に安定して排出することができる。また、開放突出部80の弁部65に対する向きによって、開放突出部80が、弾性板状部66間に大きな隙間を形成することができる。これにより、容器本体15の内部の空気を外部に更に安定して排出することができる。
【0085】
上述した一実施の形態の具体例において、開放突出部80の先端82は、当該先端82の長手方向における両側において丸味82aを有している。このような例によれば、開放突出部80と弁部65との摩擦を低減することができる。これにより、弁部65の円滑な開放動作を確保することができ、また弁部65の損傷を効果的に回避することができる。
【0086】
上述した一実施の形態の具体例において、飲み口アダプター20は、通気穴25を形成する筒状部62を有しおり、弁部65は筒状部62の内部に設けられている。このような例によれば、筒状部62によって、弁部65を保護することができる。また、外部との接触等に起因して意図せず弁部65の通気穴25の閉鎖が解除されることを効果的に防止することができる。
【0087】
上述した一実施の形態の具体例において、筒状部62は、飲み口部50と接続し飲み口部50と一体的に形成されている。このような例によれば、筒状部62の剛性が向上するので、筒状部62の変形を効果的に抑制することができる。これにより、筒状部62の変形等に起因して弁部65の通気穴25の閉鎖が意図せず解除されることを効果的に防止することができる。
【0088】
上述した一実施の形態の具体例において、開放突出部80は、栓部78から突出し、栓部78と一体的に形成されている。このような例によれば、栓部78および開放突出部80の相対位置のずれを効果的に防止することができる。したがって、栓部78および開放突出部80の組み合わせが、通気穴25の意図した開閉を安定して行うことができる。すなわち、キャップ70の開き始めに通気穴25を開放して、容器本体15の内部の空気を外部に安定して排出することができる。
【0089】
上述した一実施の形態の具体例において、飲み口部50、弁部65、取り付け部46およびベース部42は、一体的に形成されている。このような例によれば、部品点数を低減することができ、洗浄時等の取り扱い性を改善することができる。
【0090】
また、上述してきた一実施の形態において、飲み口部50は、先端に位置する筒状の先端部52と、先端部52に接続し先端部52よりも幅広の基端部56と、を含んでいる。基端部56の肉厚は先端部52の肉厚よりも薄い。すなわち、基端部56は先端部52よりも幅広且つ薄肉であることから変形し易い。したがって、先端部52を咥えた口によって基端部56が直接押されることや、又は、先端部52を基端部56に向けて押すことによって、基端部56が変形して飲み口部50の内部容積を減少させることができる。飲料容器10の内部容積が減少すると、飲み口部50によって形成される飲み口から飲料が送り出されることになる。これにより、口内の圧力を自力で変化させることを身につけていない乳幼児でも、保護者の手助け無しで、飲料容器10内の飲料を飲むことが可能となる。そして、この飲料容器10を用いることで、乳幼児は、飲料を吸って飲む練習を行うことができる。
【0091】
上述した一実施の形態の具体例において、先端部52を基端部56の側に向けて押すことで、基端部56の容積が減少するように基端部56が変形する。この例によれば、先端部52を基端部56の側へ押すことによって、飲料容器10の内部容積を大きく変化させることができる。これにより、飲み口からの飲料の送り出しを効果的に促進することができる。
【0092】
上述した一実施の形態の具体例において、基端部56の幅は、先端部52に接近するにつれて小さくなっていく。この例によれば、先端部52を咥えた口によって押された際や、先端部52を介して押された際に、内部容積を減少させる基端部56の変形を安定して引き起こすことができる。
【0093】
上述した一実施の形態の具体例において、基端部56は、外方に向けて膨出した曲面状の外輪郭を有する。この例によれば、先端部52を咥えた口によって押された際に、基端部56は内側に撓んで、内部容積を大きく減少させることができる。また、先端部52を介して押された際に、基端部56は外方に撓んで潰れ易くなる。したがって、内部容積を減少させる基端部56の変形を安定して引き起こすことができる。
【0094】
上述した一実施の形態の具体例において、飲み口部50の肉厚は、先端部52が基端部56に接続する位置において、最も大きくなる。この例によれば、先端部52での変形を抑制する一方で、基端部56での変形を促進することができる。つまり、先端部52を咥えた口によって押された際や、先端部52を介して押された際に、内部容積を減少させる基端部56の変形を安定して引き起こすことができる。
【0095】
上述した一実施の形態の具体例において、先端部52が基端部56に接続する位置に、飲み口部50の内部に突出する角部50aが形成されている。この例によれば、先端部52を介して押された際に、基端部56が外方に撓んで潰れ易く且つ先端部52が基端部56側に移動し易くなる。したがって、飲み口部50の内部容積を減少させる基端部56の変形を安定して引き起こすことができる。
【0096】
上述した一実施の形態の具体例において、飲み口部50の肉厚は、基端部56が取り付け部46に接続する位置において、最も小さくなる。この例によれば、アダプター本体30に固定された取り付け部46に対して、取り付け部46に隣接した基端部56が変形し易くなる。つまり、先端部52を咥えた口によって押された際や、先端部52を介して押された際に、内部容積を減少させる基端部56の変形を安定して引き起こすことができる。
【0097】
上述した一実施の形態の具体例において、取り付け部46の肉厚は、基端部56の肉厚よりも大きい。この例によれば、アダプター本体30に固定された取り付け部46に対して、取り付け部46に隣接した基端部56を更に変形し易くすることができる。
【0098】
上述した一実施の形態の具体例において、基端部56の内幅は、基端部56が取り付け部46に接続する位置において、最も大きくなる。この例によれば、先端部52を介して押された際に、基端部56は外方に撓んで潰れやすくなる。したがって、内部容積を減少させる基端部56の変形を安定して引き起こすことができる。
【0099】
上述した一実施の形態の具体例において、基端部56は、少なくとも先端部52側の一部分において、回転体の形状を有するこの例によれば、種々の方向からの力によって基端部56が変形することができる。
【0100】
上述した一実施の形態の具体例において、飲み口部50、取り付け部46およびベース部42は、一体的に形成されている。このような例によれば、部品点数を低減することができ、洗浄時等の取り扱い性を改善することができる。
【0101】
上述した一実施の形態の具体例において、キャップ70が閉じた状態において、キャップ70は、先端部52の基端部56は反対側から先端部52に接触し、基端部56の側へ向けて押圧する。この例によれば、キャップ70が閉じた状態で、先端部52を基端部56の側に移動させ且つ基端部56を外方に撓ませ潰すように変形させることができる。したがって、キャップ70が閉じた状態において、飲み口部50の弾性変形を利用した先端部52とキャップ70との当接により、飲み口部50を安定して閉鎖することができる。これにより、飲料容器10の不使用時に、飲料の漏れを効果的に防止することができる。
【0102】
加えて、この具体例によれば、基端部56の変形量を制御することで、キャップ70の開き始めから飲み口部50が開放されるまでのキャップ70の相対移動量を十分に確保することができる。したがって、飲み口部50よりも先に通気穴25を安定して開放することができる。これにより、飲料容器10の内部圧力を解放し、飲み口部50からの飲料の吹き出しを効果的に防止することができる。
【0103】
一実施の形態を具体例に基づいて説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0104】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0105】
例えば上述した具体例において、先端部52及び基端部56を有した飲み口部50との組み合わせにおいて、通気穴25の開閉に関連する構成を用いる例について説明した。しかしながら、上述した通気穴25の開閉に関連する構成は、先端部52及び基端部56を有した飲み口部50に限られず、キャップ70を開く際の飲料の吹き出しを効果的に防止することができる。例えば、
図15に示すように、ストロー形状を有した飲み口部50とともに、上述した通気穴25の開閉に関連する構成を用いることも可能である。