【文献】
坂口 琢哉,外国人名変換システムにおける最適な漢字選択に向けた一考察,第109回 知識ベースシステム研究会資料 (SIG−KBS−B505),日本,一般社団法人人工知能学会,2016年11月01日,pp.43-47
【文献】
黄 海湘、藤井 敦,中国語への翻字における関連語抽出の応用,自然言語処理,日本,言語処理学会,2010年04月10日,第17巻 第2号,pp.3-24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、英文表記された外国人の名前、特に欧米人の名前をその発音から宛字にて漢字表記することが行われてきた。例えば英文表記「DONALD」(日本語の読み:ドナルド)であれば、「曇成駑」または「水今塁度」といったような宛字にて漢字表記されるものである。
【0003】
近時の日本ブームや訪日外国人観光客の急増に伴って、宛字による漢字表記は、土産物として宛字表記の判子、ネームタグ及び名入れ木札等の作製需要も増してきている。
【0004】
下記特許文献1には、外国人の名前を、その人の性別に対応したより利用し易い宛字に変換する宛字変換人名入力装置、人名入力方法および人名入力プログラムが開示されている。このものにあっては、仮名文字列に対して起動時に予め入力された性別に対応する漢字文字を予め記憶された性別対応辞書記憶部から検索してこれを変換候補として出力する性別対応変換候補検索部と、出力された変換候補の中からユーザの入力操作によって決定された漢字文字列を出力する漢字文字列出力部とを有し、また、可能な限り文字数が少なくなる変換候補を予め記憶された多音節辞書記憶部から検索してこれを変換候補として出力する多音節変換部と、仮名文字列に対応する漢字文字列を変換履歴の中から検索してこれを変換候補として出力する変換履歴検索部を備える構成としている。これにより、外国人の名前を、その人の性別に対応したより利用し易い宛字に変換可能としたものである。
【0005】
下記特許文献2には、宛字を容易に生成可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラムが開示されている。即ち、このものにあっては、情報処理システムが、第1言語(英語)による第1文字(英字)を入力する入力部と、第1文字を第2言語(日本語)による宛字となる第2文字(漢字)に変換する変換部と、変換部が変換を行う変換単位を決める区切りを設定する設定部と、第2文字で構成される出力文字を表示する表示部と、データベースを含んで構成され、情報処理システムは、データベースを用いて英字を片仮名に変換し、情報処理システムはデータベースを用いて変換された片仮名と同一または類似の音となる漢字に片仮名を変換して宛字を生成するものである。これにより、宛字の言語に慣れていない人であっても宛字を容易に生成できるようにしたものである。
【0006】
また、下記非特許文献1には、欧米外国人の名前や片仮名語を宛字へと変換するWEBサービスが開示されている。このものにあっては、WEB画面上で英文表記または片仮名表記の名前を入力すると、漢字表記の宛字に変換が行われ、当該変換結果は書道文字にてその意味とともに出力表示されるようにしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
さて、上述したように英文表記された外国人の名前をその発音や読みから宛字にて漢字表記する変換方法は種々提供されてきた。しかしながら、変換された宛字は、漢字の本来の意味や用法とは関係なくその音読みや訓読みを借りて単に当て嵌めたに過ぎないものであった。このため、変換された宛字は無味乾燥的な文字列の様相を呈するものであった。
【0010】
また、例えば英文表記「DONALD」(日本語の読み:ドナルド)であれば、「怒鳴奴」と宛字に漢字表記されると、「曇成駑」または「水今塁度」と表記された場合に比べて受ける印象も異なるので、機械的に宛字に変換するだけでは、違和感が生じる虞もあった。
【0011】
従来より日本人が名前を付ける場合、使用する漢字の意味、字画数及び思いや印象等を考慮することが間々あった。しかし、上述の宛字表記に際しては、このようなことは一切考慮されず、機械的に宛字に変換されるのが一般的であった。宛字による漢字表記された外国人の名前が、どのような意味であるか、どのような印象を持つものか或いはどのような運勢であるか等、興味・関心を持つ外国人は少なくはないものである。
【0012】
また、日本国に長期に亘って滞在・在住する外国人の中には、宛字による漢字表記でビジネスを営んだり、在留資格、永住権または国籍取得をする者もみられる。このような場合に於いても、宛字による漢字表記された名前が、どのような意味であるか、どのような印象を持つものか或いはどのような運勢であるか等、興味・関心を持つ者は少なくはないものである。
【0013】
しかしながら、現時点では、宛字による漢字表記される名前に関し、どのような意味であるか、どのような印象を持つものか或いはどのような運勢であるか等を考慮して付ける場合、簡易なサービスは提供されておらず、限られた専門家に個別に相談して宛字による漢字表記の名前を検討するしか術はないのが実情である。
【0014】
特許文献1に開示されたものは、外国人の名前を、その人の性別を考慮した利用し易い宛字に変換することを目的としたものであり、宛字による漢字表記の名前が、どのような意味であるか、どのような印象を持つものか或いはどのような運勢であるか等を考慮したものではない。また、そのような思想は見出せないものである。
【0015】
特許文献2に開示されたものは、宛字の言語に慣れていない人であっても宛字を容易に生成できることを目的としたものであり、宛字による漢字表記の名前が、どのような意味であるか、どのような印象を持つものか或いはどのような運勢であるか等は全く考慮されていないものである。また、そのような思想は見出せないものである。
【0016】
非特許文献1に開示されたものは、そもそも日本の伝統文化である書道を広める活動の一環として、WEB画面上で漢字表記の宛字に変換を可能としたものであり、変換された宛字は、あたかも書家によって書かれたかのようなブラシ文字として出力表示されるとともに、当該表示画像をダウンロード可能としたものである。また、宛字による漢字表記の意味を提供はするものの、その意味はサービス提供者側からの一方的なものである。従って、宛字による漢字表記の名前が一体全体どのような印象を持つものか或いはどのような運勢であるか等は全く考慮したものではないものである。また、そのような思想は見出せないものである。
【0017】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、上述した不具合を解消し、誰でも容易に英文表記された名前を宛字による漢字表記に変換可能とするとともに、変換に際しては使用する漢字の意味、字画数及び思いや印象等を考慮可能とした英文表記名漢字変換システム及び英文表記名漢字変換方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、シンプルでコンパクトな構成で使い勝手がよく実用性の高い英文表記名漢字変換システム及び英文表記名漢字変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0019】
(1) 英文表記名情報に対応する日本語の読み情報を格納する読み情報辞書部と、この読み情報辞書部に格納された日本語の読み情報に対応する漢字情報を格納する漢字情報辞書部と、この漢字情報辞書部に格納される漢字情報に関し、意味情報、字画数情報及び思い情報の属性情報を付与するとともに当該属性情報に関連付けられた出力の優先度情報を記憶する属性情報記憶部と、入力される英文表記名情報に基づいて上記読み情報辞書部を検索し入力される日本語の読み情報に基づいて上記漢字情報辞書部を検索し入力される優先度情報に基づいて上記属性情報記憶部を検索する検索部と、この検索部の検索結果を出力する出力部とを具備し、上記入力される英文表記名情報または上記入力される読み情報に対応する漢字情報を上記入力される優先度情報に基づいて上記検索部は検索し、当該検索結果を上記出力部にて優先度順に出力するよう機能構成した。
【0020】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記検索部にて検索抽出される日本語の読み情報に関し所望の日本語の読み情報を選択する第一の選択部と、上記検索部にて検索抽出される漢字情報に関し所望の漢字情報を選択する第二の選択部と、上記属性情報である意味情報、字画数情報及び思い情報の中から所望の上記関連付けられた優先度情報を選択指定可能とする優先度情報選択部とを設け、上記読み情報辞書部は国籍または言語圏の情報を上記日本語の読み情報に関連付けて格納し、上記検索部は、入力される国籍または言語圏の情報並びに上記優先度情報に基づいて検索するよう機能構成した。
【0021】
(3) 英文表記名情報及び当該情報に係わる国籍または言語圏情報を入力し、意味情報、字画数情報または思い情報の中から所望する情報を少なくとも一つは入力し、これらの入力情報に基づいて英文表記名情報に対応する日本語の読み情報を国籍または言語圏情報とともに格納する読み情報辞書部を検索して対応する読み情報を抽出し、この抽出された読み情報が複数ある場合所望の読み情報を選択し、この選択された読み情報に対応する漢字情報に関し日本語の読み情報に対応する漢字情報を格納する漢字情報辞書部及び当該漢字情報に関連付けられた意味情報、字画数情報及び思い情報の属性情報が優先度情報が付与されて格納された属性情報記憶部を検索して対応する漢字情報を抽出し、この抽出された漢字情報を上記入力された意味情報、字画数情報または思い情報に基づいて優先度順に出力するよう機能構成した。
【0022】
上記構成によれば、誰でも簡単に英文表記された名前を宛字による漢字表記に変換・作成できるものであり、しかも変換・作成に際しては、使用する漢字の意味、字画数及び思いや響き・印象等を考慮可能としたので、従来の機械的な無味乾燥な変換に比べて意味ある変換結果を得ることが可能となるものである。
【0023】
また、上記構成によれば、シンプルでコンパクトな構成で実現でき、さらに使い勝手が良く実用的に優れた効果を奏するものである。
【0024】
さらに、上記構成によれば、従来のような宛字漢字の提供者側からの一方的なサービス提供ではなく、利用者側の要望を反映可能としたので、ユーザフレンドリーな有用性の高いサービスを提供できるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、誰でも容易に英文表記された名前または当該英文表記に対応する日本語読みを宛字による漢字表記に変換可能とし、しかも変換に際しては使用する漢字の意味、字画数及び思いや響き・印象等を考慮可能としたので、意味ある宛字変換を実現可能としたものである。
また、本発明は、シンプルでコンパクトな構成で使い勝手がよく実用性が高い宛字変換を提供でき、実用的に優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0028】
本実施形態に係わる英文表記名漢字変換システム100は、制御処理部110、入力部120、読み情報選択部(第一の選択部)132、漢字情報選択部(第二の選択部)134、出力部140、メモリ150、読み情報辞書部160、漢字情報辞書部170、属性情報記憶部180及び検索エンジン部(検索部)190を内設し、夫々が信号線112を介して接続されている。
【0029】
そして、英文表記名漢字変換システム100は、出力部140にて出力表示される意味情報、字画数情報を含む運勢情報、思い情報または国籍・言語圏情報の中から所望のものを少なくとも一つ選択して優先度情報として入力部120を介して入力し、入力部120を介して入力される英文表記名情報に対応する読み情報に関し英文表記名情報に対応する日本語の読み情報を格納する読み情報辞書部160を検索して合致するものを抽出し、この抽出された読み情報が複数ある場合優先度順に表示して所望の読み情報を読み情報選択部132にて選択し、この選択された読み情報に対応する漢字情報に関し日本語の読み情報に対応する漢字情報を格納する漢字情報辞書部170を検索して対応する漢字情報を抽出し、この抽出された漢字情報が複数ある場合、前記入力された優先度情報に関し、上記漢字情報に関連付けられた意味情報、字画数情報及び思い情報の属性情報が優先度情報が付与されて格納された属性情報記憶部180を参照し、対応する漢字情報を優先度順に出力部140に出力する機能を有するものである。
なお、優先度情報を入力するタイミングは、検索の際に都度入力しても良いし、事前に入力するようにしても良く、適宜変更可能なものである。
【0030】
さて、制御処理部110は、メモリ150に格納された所定のプログラム情報を参照してシステム全体の制御処理を司る機能を有する。また、制御処理部110は、入力部120からの入力情報に基づいて検索エンジン部190を起動させて読み情報辞書部160、漢字情報辞書部170及び属性情報記憶部180を参照・検索させて、当該参照・検索し抽出した結果をメモリ150に格納させ、出力部140に出力させる機能を有する。
【0031】
入力部120は、制御処理部110の管理下で、内設するキーボードからのキー入力等による入力情報や外部から送出されてくる情報をメモリ150に格納する機能を有する。即ち、入力部120は、制御処理部110の管理下で、英文表記名やその日本語読みの情報が入力され、当該入力情報をメモリ150に格納する機能を有する。
【0032】
また、入力部120は、後述する属性情報である意味情報、字画数情報(運勢情報を含む)及び思い情報の中から関連付けられた優先度情報、並びに国籍・言語圏情報による優先度情報を選択指定可能とする優先度情報選択部としての機能を有するものでもある。
【0033】
読み情報選択部132は、制御処理部110の管理下で、入力部120からの英文表記名に対応する日本語読みの候補が複数ある場合に、所望の候補を選択・確定する機能を有する。そして、読み情報選択部132は、選択・確定した日本語読み情報をメモリ150に格納させる機能を有する。
【0034】
漢字情報選択部134は、制御処理部110の管理下で、英文表記名の日本語読みに対応する宛字による漢字の候補が複数ある場合に、所望の候補を選択・確定する機能を有する。そして、漢字情報選択部134は、選択・確定した漢字情報をメモリ150に格納させる機能を有する。
【0035】
出力部140は、制御処理部110の管理下で、各種情報を表示出力、印字出力または音声出力する機能を有する。特に、本実施形態にあっては、入力される英文表記名、その日本語読み及びこれらに対応する宛字による漢字情報等を出力する機能を有するものである。また、出力部140は、制御処理部110の管理下で、各種情報を通信ネットワーク(不図示)を介して外部へ送出する機能を有する。
【0036】
メモリ150はリード/ライト可能な記憶装置である。メモリ150は、制御部110が各種制御処理・管理をするために参照するプログラム情報を格納するプログラム情報記憶領域150a、選択・確定された読み情報及び漢字情報並びに優先度情報を学習記憶するための学習情報記憶領域150b、入力情報や変換情報等を一時的に格納しておくための一時記憶領域150c及び各種作業を行うための作業領域150d等の記憶領域を有する。
【0037】
読み情報辞書部160は、英文表記名に対応する日本語読みの情報を、それが使用される国籍・言語圏及び使用頻度の情報を付加してテーブル形式にて対応させて格納・記憶させたものである。
【0038】
図2に示すように、例えば「MICHAEL」という英文表記名については、国籍や言語圏別を考慮した種々の読みが存在する。「マイケル」(英語圏)、「ミッシェル」(フランス語圏)、「ミヒャエル」(ドイツ語圏)」、「ミハイル」(ロシア語圏)、「ミケーレ」(イタリア語圏)、「ミヒール」(オランダ語圏)、「ミゲル」(ポルトガル語圏)、「ミゲール」(スペイン語)及び「ミカエル」(スウェーデン語,ラテン語)といった具合に種々の読み情報があり、夫々について国籍・言語圏及び使用頻度の情報が付されているものである。なお、英文表記名については、国籍・言語圏別による表記の揺れを考慮してある。また、使用頻度はビッグデータによる例えば来日外国人名の読みに於ける趨勢を考慮した使用が多い順の順位付情報であり、優先度情報としても機能するものである。而して、他の英文表記名についても、同様である。
【0039】
漢字情報辞書部170は、英文表記名の日本語読みの情報に対応する宛字による漢字情報をテーブル形式にて、字画数情報(運勢に利用される総画数、部分別の画数を含む)及び使用頻度の情報とともに、対応する宛字・漢字ついて格納・記憶させたものである。
【0040】
図3に示すように、例えば前述の英文表記の「MICHAEL」に対応する読み「マイケル」(英語圏)については、「舞蹴」、「毎蹴」、「毎(足偏に夬)」、「目池瑠」、…、「魔伊毛流」、「真位家流」、…といった具合に種々の変換候補があり、夫々について字画数情報及び使用頻度の情報が付されているものである。ここで、使用頻度は優先度情報としても機能するものである。
なお、字画数情報とは、例えば3画または5画であれば信用、6画、23画、31画、32画または33画であれば名誉、8画または31画であれば金運、11画または39画であれば堅実、13画、15画または32画であれば家族円満、16画であれば達成、24画、35画または38画であれば芸術、25画であれば商売(ビジネス)、29画または36画であれば頭脳明晰、地位31画または33画であれば地位または33画であれば出世、といったような宛字による漢字の字画数が有する運勢情報のことである(
図4(b)の「3:運勢情報」を参照)。
【0041】
属性情報記憶部180は、漢字情報辞書部170に格納される漢字情報に関し当該漢字情報に付与された意味情報、思い情報及び運勢情報等の属性情報を、出力の優先度情報とともにテーブル形式にて格納・記憶させたものである。例えば、
図4に示すように、宛字による漢字情報夫々に関し、意味情報、思い情報及び運勢情報が優先度情報とともにテーブル形式に対応付けられているものである。而して、検索時にこれらの項目が参照されて、合致するものが優先的に抽出されることになる。
【0042】
ここで、意味情報とは、宛字による漢字情報が有する意味のことである。即ち、宛字が複数の漢字により構成されている場合、全体として有する意味と宛字を構成する個々の漢字が有する両方の意味であっても良いし、いずれか一方のみであっても良く、任意に選択可能である。本実施形態では、デフォルトで全体としての意味に設定されている。
【0043】
また、思い情報とは、例えば家族、友人、恋人、両親、名誉、名声、仕事、財力、健康、自然、美しさ、力強さ、優しさ、賢さ、正直さ、謙虚さ、穏やかさ、長寿、勉学、祖先、民族、宗教、スポーツ、芸術、愛、平和、人類、動物または宇宙といったようなカテゴリーに関して宛字表記による漢字名に込めたい思いの情報のことである。そして、個々の漢字名に対して該当する思いのカテゴリーが事前に付されているものである。
【0044】
さらに、運勢情報とは、前述した字画数情報に関連して、姓名判断で用いる天格、人格、地格、外格及び総格の画数情報による運勢に参照される情報である。
【0045】
なお、優先度情報は、読み情報や宛字による漢字情報を選出する際に参照される情報である。特に、宛字による漢字名を選出する際に、意味情報、思い情報及び字画数情報(運勢情報を含む)に重きを置いて宛字変換するに際して参照される出力優先度、即ち出力順に関する情報である。また、出力部140を介して表示出力される属性情報に関し、所望の優先度を入力部120を介して選択指定し、当該指定情報に従って、検索結果を出力するよう機能させるものである。ここで、表示出力される属性情報の優先度情報ついては、例えばビッグデータを活用した過去の趨勢から人工知能を応用したエキスパートシステム機能を利用して付与された情報を利用するものとするが、他の手段によるものであっても良いことは勿論である。
【0046】
検索エンジン部190は、制御処理部110の管理下で、入力部120からの英文表記による入力情報に合致する日本語の読み情報を読み情報辞書部160を参照して候補を抽出し、また日本語の読み情報に合致する宛字による漢字情報を漢字情報辞書部170を参照して候補を抽出し、出力部140に出力させる機能を有する。ここで、漢字情報の出力に際しては、検索エンジン部190は、属性情報記憶部180を参照して、入力部120にて指定された優先度情報に基づいて、またはシステムにて予め設定された優先度情報に基づいて、出力部140にて出力させるよう機能するものである。
【0047】
上記構成につき、その作用を以下に説明する。
【0048】
先ず、英文表記の名前を宛字による漢字表記への変換処理の大きな流れを説明する。即ち、英文表記の名前を宛字による漢字表記に変換するには、英文表記名漢字変換システム100を起動させて、変換の対象となる英文表記の名前を入力部120を介して例えば英文字キーにて入力する。このとき、所望の優先度情報があれば入力部120を介して入力する。すると、検索エンジン部190が読み情報辞書部160及び属性情報記憶部180を参照して合致する読み情報を抽出して一時記憶領域150cに格納し、出力部140に出力することになる(
図5のステップS100参照)。
なお、英文表記の名前は、姓名若しくはその何れか一方、または通称等でも構わない。要は、宛字による漢字への変換を行う英文表記名であればよい。また、優先度情報が未入力の場合、システムにて予め設定された優先度情報を用いるものとする。
【0049】
次に、出力された読み情報の中から所望の読み情報を読み情報選択部132を介して選択・確定する。選択・確定された読み情報及び優先度情報に基づいて、検索エンジン部190は、漢字情報辞書部170及び属性情報記憶部180を参照して合致する漢字情報を抽出する。抽出結果の情報は、一時記憶領域150cに格納されることになる(ステップS200)。
なお、優先度情報は英文表記の入力の際に入力した情報に限らず、読み情報の選択・確定の際にあらためて入力した情報であっても良い。
【0050】
一時記憶領域150cに格納された漢字情報は、候補が複数ある場合は、優先度順に出力部140にて表示出力されることになる。候補が一つの場合は、単独で出力部140にて表示出力される(ステップS300)。
ここで、優先度順に表示出力されるとは、優先度を付けて一括して画面表示されることをも含むことは勿論である。
【0051】
表示出力される漢字情報が複数ある場合、換言すれば宛字による漢字表記の候補が複数ある場合、漢字情報選択部134を介して所望の変換候補を選択・確定する。而して選択・確定された漢字表記は、学習情報記憶領域150bに学習情報として格納されるものである。当該学習情報は、次回以後の同種の宛字変換の際に反映させ、変換効率の向上に寄与するものである(ステップS400)。
なお、表示出力される漢字情報とともに、その属性情報を表示出力するようにしても良いことは勿論である。
【0052】
さて、ステップS100の処理(「英文表記入力による処理」)について、
図6及び
図10を参照して詳述する。
【0053】
先ず、宛字による漢字に変換したい英文表記の名前を、入力部120を介して英文字キーにてキー入力する。例えば英文表記の名前「MICHAEL」を表示画面1100のダイアログボックス1120にキー入力する(ステップS602)。このとき、優先度情報の入力が可能である(ステップS604)。優先度情報の入力を希望する場合、システム側にて予め設定された項目をダイアログボックス1130,1140,1150,1160にプルダウンメニューにて出力表示させて所望の項目を選択する、或いはダイアログボックスに直接所望の情報をキー入力すればよい。ここでは、優先度情報として当該名前に関する国籍・言語圏の情報を任意に入力するとともに、システム側からの提供項目のうち運勢の項目または該当する良い字画数が選択されるものとする。即ち、「英語圏」と「出世運(とても良い)」が選択・指定されるものとする(
図10の(a)参照)。
【0054】
キー入力が終了すると、検索エンジン部190が読み情報辞書部160及び属性情報記憶部180を参照し、合致する読み情報を抽出することになる(ステップS606またはステップS608)。「MICHAEL」に対応する読み情報の候補としては、「マイケル」(英語圏)、「ミッシェル」(フランス語圏)、「ミヒャエル」(ドイツ語圏)」、「ミハイル」(ロシア語圏)、「ミケーレ」(イタリア語圏)、「ミヒール」(オランダ語圏)、「ミゲル」(ポルトガル語圏)、「ミゲール」(スペイン語)及び「ミカエル」(スウェーデン語,ラテン語)の9種の候補が抽出される。
【0055】
ここで、国籍・言語圏情報が入力されている場合(ステップS604のY)、優先度情報に基づく検索処理が実行され(ステップS606)、合致する国籍・言語圏情報に於ける読み情報を最優先に出力する(ステップS610)。例えば、英語圏として入力または選択・指定されていた場合、英語圏の属性情報が付された「マイケル」が最優先に表示画面1200の読み検索結果領域1210に表示出力されることになる(
図10の(b)参照)。
なお、他にも優先度情報が入力されている場合は、当該優先度情報の重み付け具合により、重み付け具合の大きいものを優先して出力されることになる。本実施形態では、国籍・言語圏情報を最優先のものとして取り扱う。
【0056】
国籍・言語圏情報が未入力で他の優先度情報も未入力の場合は(ステップS604のN)、該当する読み情報を予めシステム側にて設定された優先度に基づいて検索処理が実行され(ステップS608)、当該検索結果を頻度順に出力することになる(ステップS610)。即ち、例えば「マイケル」、「ミッシェル」、「ミヒャエル」、「ミハイル」、「ミゲル」、…といった具合に順に表示出力されることになる。
【0057】
そして、表示出力された読み情報の候補の中から、読み情報選択部132を介して所望の読みを選択・確定することになる(ステップS612)。選択・確定された情報は、学習情報として学習情報記憶領域150bに格納され、次回以後の同種の変換処理に反映される。
【0058】
次に、ステップS200の処理(「読み入力による処理」)について、
図7を参照して詳述する。
【0059】
所望の読み情報に関する選択・確定の入力処理がなされると(ステップS702)、検索エンジン部190は検索を開始することになる。
【0060】
ここで、優先度情報が入力されている場合(ステップS704のY)、優先度情報に基づく検索処理が実行される(ステップS706)。即ち、検索エンジン部190は、漢字情報辞書部170及び属性情報記憶部180を参照して合致する漢字情報の候補を抽出する。即ち、運勢の良い字画数の漢字が高い優先度として抽出されることになる。即ち、出世運勢の良い字画数の順に例えば「舞化瑠」を最優先に、続いて「舞蹴」及び「真位家流」が抽出される。
なお、優先度情報は、当初の英文表記入力に際しての情報に限らず、読み情報の選択・確定の際にあらためて入力した情報であっても良い。この場合、直近に入力した優先度情報に重きを置くものとする。
【0061】
優先度情報が未入力の場合は(ステップS704のN)、宛字による漢字に関し、予めシステム側にて設定された優先度情報に基づいて検索処理が実行される(ステップS708)。即ち、検索エンジン部190は、漢字情報辞書部170及び属性情報記憶部180を参照して合致する漢字情報の候補をシステム設定の優先度順に抽出する。
【0062】
ステップS706またはステップS708のようにして検索が実行されて抽出された漢字情報の候補は、一時記憶領域150cに格納されることになる(ステップS710)。
【0063】
続いて、ステップS300の処理(「検索結果の出力処理」)について、
図8及び
図10の(c)を参照して詳述する。
【0064】
一時記憶領域150cに格納された漢字情報の候補に関し、前述したような優先度情報の指定がなされていた場合(ステップS802のY)、指定された優先度情報に基づいて漢字情報の候補が優先度順に表示出力される(ステップS804)。本実施形態にあっては、出世運勢の良い字画数の候補を順に表示出力されることになる。即ち、検索結果が表示画面1300の漢字変換結果領域1310に順に表示出力される。他方、優先度情報の指定がない場合は(ステップS802のN)、システム側にて予め設定された優先度情報に基づいて漢字情報の候補が優先度順に表示出力される(ステップS806)。
なお、漢字情報の候補が一つの場合は、単独で表示出力される。
【0065】
ここで、漢字情報の候補の属性情報の表示出力の指示があると(ステップS808のY)、候補漢字とともにその属性情報が併記されて表示出力される(ステップS810)。なお、併記される属性情報は事前に指定され項目に限らず、他の項目も一緒に表示されるようにして、選択・確定の判断材料に供することも可能である。また、属性情報の表示出力の指示は、英文表記入力時、読み情報選択・確定時または検索結果の表示出力時のいずれのタイミングであってもよい。属性情報の表示出力の指示がない場合は(ステップS808のN)、漢字情報の候補のみの表示出力となる(ステップS812)。
【0066】
而してステップS400の処理(「宛字漢字の確定処理」)について、
図9を参照して詳述する。
【0067】
斯様にして優先度順に表示出力された漢字表記の候補の中から、所望の漢字表記を選択・確定することになる。即ち、漢字情報選択部134を介して所望の漢字表記を選択・確定する(ステップS902)。例えば最も出世運の良い「舞化瑠」を選択・確定する。候補が一つの場合は、当該候補が確定したものと見做される。
【0068】
選択・確定された漢字表記の情報は、学習情報記憶領域150bに学習情報として格納される(ステップS904)。そして、次回以後の同種の宛字変換の際に反映される。
【0069】
上記実施形態によれば、誰でも簡単に英文表記された名前を宛字による漢字表記に変換できるものである。変換に際しては、国籍・言語圏、使用する漢字の意味、字画数(運勢を含む)及び想いや響き・印象等を考慮可能としてあるので、従来の機械的な無味乾燥な変換に比べて意味ある変換結果を得ることができるものである。しかも、所望する優先度にて検索・出力可能としたので、短時間で適切な希望する宛字漢字を得ることができるものである。
【0070】
また、上記実施形態によれば、シンプルでコンパクトな構成で宛字による漢字変換を実現でき、使い勝手が良く実用的に優れた効果を奏するものである。
【0071】
さらに、上記実施形態によれば、従来のような宛字漢字の提供者側からの一方的なサービス提供ではなく、利用者側の要望を反映可能としたので、ユーザフレンドリーな有用性の高いサービスを提供できるものである。
【0072】
さて、
図11は、本実施形態の変形例である。本変形例では、ネットワークを介して英文表記名漢字変換サービスを提供するものである。同一部分、同一機能には同一符号を付して説明は省力する。
【0073】
本変形例の英文表記名漢字変換システムは、英文表記名漢字変換サーバ102と、このサーバ102とインターネット回線等の通信ネットワーク200を介して接続される複数端末機器300,400,500とから構成される。ここで、端末機器300はPCであり、端末機器400はタブレット型端末であり、端末機器500はスマートフォンである。これらの端末機器は、英文表記名及び国籍または言語圏情報並びに優先度情報の入力が可能であり、サーバ102から送出されてくる情報を表示出力でき、所望の情報を選択・確定可能なものである。
【0074】
即ち、端末機器300,400,500側から英文表記名及び国籍または言語圏情報並びに優先度情報を入力し、当該入力情報に基づいてサーバ102が該当する日本語読み情報や宛字による漢字情報に関し、属性情報等を考慮して検索・抽出し、抽出結果の情報を優先度を付して端末機器300,400,500側に送出するように機能構成したものである。而して、所望の情報を端末機器300,400,500側で選択・確定可能とするものである。
【0075】
斯様に構成することにより、いつでも誰でも簡単にWEB環境にて英文表記名漢字変換サービスの提供を受けることが可能となるものである。
【0076】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。