(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、廃液処理などにおいては、オゾンガスを用いて廃液を浄化して再利用する技術が知られている。
オゾンガスを用いた廃液処理は、解離して酸素分子と発生期の酸素になるオゾンの酸化力を用いて、消毒、脱臭、脱色等を目的として行なう技術であり、無機塩濃度の増加や汚泥の発生がないことや、有機塩素化合物類等の有害生成物も生じないこと、難分解性有機物の分解除去も可能である等の利点があることから広く用いられている。
例えば、塗装ブースなどにおける塗装作業で発生する余剰分の塗料(スプレーガンからの飛散塗料)の処理は、洗浄水循環ポンプによって廃液槽中の水を吸引して、ワークの後部に設置された飛散塗料受けの上部から滝のように落下させる洗浄水とともに回収するようにしている。
この廃液槽の中では塗料粒子同士がくっつきスラッジ状やヘドロ状になっており、定期的に除去しなければならず、除去作業は相当の負担になっている。
そして、使用する洗浄水は循環使用しているため、廃液槽の貯水は汚れたり、腐敗したりして異臭を放ち、作業環境を悪化させる要因となっていた。
このような洗浄水を循環使用するには洗浄水中の有機物を分解処理する必要があり、洗浄水中にオゾンガスを散気し、溶解したオゾンに触れた有機物を酸化分解させ、殺菌浄化する技術が提案されている。
オゾンを用いた廃液処理に関連するものとして、例えば、特許文献1記載の「廃液の処理装置」や特許文献2記載の「流体浄化装置」がある。
【0003】
特許文献1記載の「廃液の処理装置」は、オゾン発生装置で生成されたオゾンガスと、オゾン処理槽内からポンプで抜き出された廃液とをマイクロバブル発生装置へ供給して生成されたオゾンマイクロバブルを、当該オゾン処理槽内に配置されたガス吹き出しパイプの開口部から廃液中へ通気することによって廃液中の有機物を酸化分解するものである。
また、特許文献2記載の「流体浄化装置」は、反応容器を構成する外筒と内筒との間の密閉空間に酸素を供給するとともに、外筒と内筒との間で放電することによって発生させたオゾンを内筒に流入する流体に混合させるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、微細なマイクロバブルとなったオゾンガスがオゾン処理槽に吹き込まれるので、突発的な気泡発生による吹き出しが避けられず工程管理上のトラブルが発生しやすいという問題があった。
また、特許文献2では、外筒と内筒との間で放電によって発生させたオゾンを反応ガスとして用いるので、処理システム自体の安全性が懸念されるとともにシステムの構成が複雑化してメンテナンスコストが増大しがちになるという問題もあった。
【0006】
また、前記従来技術による廃液の処理方法では、オゾン処理によって発生するオゾン気泡がオゾン処理槽中に充満して、オゾン処理槽から処理液が溢れることがあった。
特に、汚水処理において活性剤を添加する場合は、オゾン処理槽中にオゾンガスを投入すると、活性剤が添加された被処理液においてオゾンを含有した気泡が大量に発生し、被処理液中にもオゾンガスが残留し、外部に浄水として排出できない。
【0007】
本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたもので、被処理液に含まれるオゾン残存エアー(オゾン気泡)の排出を促進させ、容易に気液分離を行い、再利用可能な浄水とすることができる、廃液処理方法及び廃液処理装置を提供することを目的とする。
また、オゾンガスは分解して外部に排出しオゾン汚染が発生しない廃液処理方法及び廃液処理装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前記課題を解決するためになされた本発明の廃液処理方法は、
廃液にオゾンガスを投入して浄化する廃液処理方法であって、
第1処理槽に供給された被処理液にオゾンガスを投入する工程と、
前記オゾンガスを投入された被処理液を仕切板Aの下方開口部を通過させて第2処理槽に移行させる工程と、
前記被処理液を第2処理槽に設けた仕切板Bの上端部を乗り越えさせて前記仕切板Bに対向させて
設けられた補助板を伝わらせて落下させる工程と、
前記被処理液の流れを前記補助板の下方に設置した水流変更板によって仕切板C方向に変える工程と、
前記被処理液の流れを仕切板Cの下方開口部を通過させて第3処理槽に設けられた傾斜板に当接させて上昇させる工程と、
前記被処理液に含有されたオゾン気泡を分離して前記第3処理槽の上方から排出ガス貯留槽に排出する工程と、を備え、
前記オゾン気泡が分離された被処理液を前記第3処理槽から排出して浄水として再利用するようにしたことを特徴とする廃液処理方法であって、
前記第2処理槽に設けられている補助板は、
その下端を回転軸芯として上端を開くようにその角度を変えられるようになっており、
前記水流変更板は、
前記補助板を伝って下降する被処理液の
流れを受け止め、その流れを仕切板C方向へ変えるとともに水流変更板の先端と仕切板Cとの隙間から下方へ流すため、
その一端が前記仕切板Bに上下方向移動可能に取り付けられている板状の片持ち部材であり、
その上下位置を調節し補助板と水流変更板の隙間を変えて流水量を
調節できるようになっており、
前記仕切板Cの上部は、
オゾン気泡を第3処理槽に流入させるために、第2処理槽13との間に隙間C2が設けられていることを特徴とする。
(2)本発明の廃液処理装置は、上記した廃液処理方法に用いるオゾン処理槽を備えたオゾン処理措置であって、
前記オゾン処理槽には、
その内部に仕切板A、仕切板B及び仕切板Cが設けられており、
前記仕切板A及び仕切板Cによって第1処理槽、第2処理槽、第3処理槽に分割され、
第1処理槽には、
被処理液が供給される供給口及び被処理液にオゾンガスを投入するための散気管が設けられ、
第2処理槽には、
第1処理槽から受け入れた被処理液をその上端部を乗り越えさせて混合撹拌するための仕切板Bと、仕切板Bを乗り越えた被処理液を伝わらせて落下させるため仕切板Bに対向させて配置された補助板と、
前記仕切板Bに取り付けられ、補助板を伝って落下する流れの方向を前記仕切板C方向に変更させるための水流変更板が設けられ、
第3処理槽には、
仕切板Cの下方開口部を通過させて第3処理槽に流入した被処理液を上昇させるための傾斜板と、被処理液から分離されたオゾン気泡を上方から排出ガス貯留槽に排出するオゾン排出口と、オゾン気泡が分離された被処理液を排出する浄水排水口とが設けられており、
前記第2処理槽に設けられている補助板は、
その下端を回転軸芯として上端を開くようにその角度を変えられるようになっており、
前記水流変更板は、
前記補助板を伝って下降する被処理液の
流れを受け止め、その流れを仕切板C方向へ変えるとともに水流変更板の先端と仕切板Cとの隙間から下方へ流すため、
その一端が前記仕切板Bに上下方向移動可能に取り付けられている板状の片持ち部材であり、
その上下位置を調節し補助板と水流変更板の隙間を変えて流水量を
調節できるようになっており、
前記仕切板Cの上部は、
オゾン気泡を第3処理槽に流入させるために、第2処理槽13との間に隙間C2が設けられていることを特徴とする。
(3)また、本発明の廃液処理装置は、上記(2)の廃液処理装置において、
さらに、第3処理槽にレベルセンサを設け、第3処理槽に貯留された被処理液のレベルを所定の範囲に維持するため、第3処理槽に貯留された被処理液を排出する排出ポンプを設けたことを特徴とする。
(4)また、本発明の廃液処理装置は、上記(3)の廃液処理装置において、
さらに、前記第3処理槽に気泡センサを設け、第3処理槽におけるオゾン気泡の上昇を検知して、第3処理槽に貯留させる被処理液のレベルを所定の範囲に維持することを特徴とする請求項3に記載の廃液処理装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オゾン処理された処理液からのオゾン含有エアー(オゾン気泡)の分離を容易にし、処理液をオゾンガスが分離された浄水として再利用することができる。
また、余剰オゾンは分解して排気しているので環境に優しい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の実施形態1の廃液処理装置10を、概略全体構成を示す
図1、オゾン処理槽の概略構成を示す
図2を用いて説明する。
<オゾン処理槽>
図示するように、実施形態に係る廃液処理装置10は、オゾン処理槽11の内部に仕切板A、仕切板B、仕切板Cを設け、オゾン処理槽11を、第1処理槽12、第2処理槽13、第3処理槽14に3分割している。
オゾン処理槽11は、供給される廃液中に、オゾン発生器17で生成した規定濃度のオゾンガスを接触反応させて廃液を浄化するための方形状の槽である。
オゾン処理槽11は、その内部に、上下に隙間が設けられた仕切板Aと、上に隙間が設けられた仕切板Bと、上下に隙間が設けられた仕切板Cとが設けられている。
次に、オゾン処理槽11を分割した第1処理槽12、第2処理槽13、第3処理槽14について説明する。
【0012】
<第1処理槽>
第1処理槽12には、上方に被処理液投入口12a、下方にオゾンガス投入用の散気管12bが設けられており、被処理液中にオゾンガスが投入され、被処理液の殺菌や有機物の分解がされる。
被処理液は、仕切板Aの下方に設けられた下方開口部A1を通り抜け第2処理槽13に移行する。
なお、第1処理槽12においては、供給された廃液の飛び散りなどで汚染された壁面を洗浄するため、上部にシャワーヘッド12dが設けられ、適宜な間隔でシャワーを散水するようにしている。
【0013】
<オゾンガス発生>
オゾン処理に用いるオゾンガスは、放電法や、紫外線ランプ法などの方法を用いたオゾン発生器17により発生させることができる。
放電法によるオゾンの生産コストは最も安価であり、紫外線ランプ法ではオゾン濃度は低いものの簡易にオゾンが発生できる。
また、発生オゾンの原料源となるガスとしては大気の他、PSA酸素濃縮器を用いて大気を濃縮して得られる高濃度の酸素を利用することもできる。
【0014】
<第2処理槽>
第1処理槽12においてオゾンガスを投入された被処理液は、仕切板Aの下方開口部A1を通過して第2処理槽13に移行される。
第2処理槽13では、被処理液のオゾン処理を十分行わせるため、被処理液を混合撹拌する。
この混合撹拌のため、第2処理槽13内に堰(仕切板B)を設けている。
すなわち、被処理液を、第2処理槽13に設けた仕切板Bの上端部B1を乗り越えさせて仕切板Bに対向させて設けられ補助板13aを伝わらせて落下させるようにしている。
これにより、被処理液とオゾンガスとが十分に混合撹拌され、被処理液のオゾン反応を進行させ、被処理液の消臭処理や有機物分解などを行うことができる。
【0015】
<補助板>
なお、被処理液が仕切板Bの上端部B1を乗り越えて落下する際に、空気を巻き込んで泡が発生するおそれがあるので、空気を巻き込まないように、落下する被処理液を補助板13aに当接させるとともに、この補助板13aの表面を伝って流れ落ちるようにして流れの整流化を図るようにする。
これにより、被処理液中への気泡の巻き込みを抑制することができる。
【0016】
<水流変更板>
さらに、被処理液の流れを補助板13aの下方に設置した水流変更板13bによって仕切板C方向に変え、仕切板Cの下方開口部C1を通過させて第3処理槽14に設けられた傾斜板14aに当接させて上昇させる。
【0017】
<第3処理槽>
第3処理槽14には、仕切板Cの下方開口部C1を通過して第3処理槽14に流入した被処理液を上昇させるための傾斜板14aと、被処理液から分離されたオゾン気泡を上方から排出ガス貯留槽20に排出するオゾン排出口14bと、オゾン気泡が分離された被処理液を排出する浄水排水口14cとが設けられている。
これにより、被処理液に含有されたオゾン気泡を分離して第3処理槽14の上方から排出ガス貯留槽20に排出させる。
一方、オゾン気泡が分離された被処理液を第3処理槽14から排出して浄水として再利用するようにする。すなわち、気液分離を行うことができる。
【0018】
<オゾン処理>
なお、本発明の、廃液にオゾンガスを投入して浄化する廃液処理方法は、解離して酸素分子と発生期の酸素になるオゾンの酸化力を用いて、廃液の消毒、脱臭、脱色等を目的として行なう処理方法である。
オゾンガスを用いた廃液処理方法は、無機塩濃度の増加や汚泥の発生がないことや、有機塩素化合物類等の有害生成物も生じないこと、難分解性有機物の分解除去も可能である等の利点がある。
【0019】
<レベルセンサ>
さらに、第3処理槽14には、レベルセンサ14dを設け、第3処理槽14に貯留された被処理液のレベルを所定の範囲に維持するため、第3処理槽14に貯留された被処理液を排出する排出ポンプ14eを設けている。
図3は、第3処理槽14において、被処理液からオゾン気泡が分離される、気液分離の様子を示す模式的説明図である。
レベルセンサ14dにより、第3処理槽14内の被処理液が上レベルに達したら排出ポンプ14eをONにし、被処理液が下レベルに達したら排出ポンプ14eをOFFとするよう制御することができる。
これによって、第3処理槽14内の処理液のレベルを所定範囲に維持して、オゾン処理の工程を円滑に行なうことを可能としている。
【0020】
<気泡センサ>
また、第3処理槽14に気泡センサ14fを設け、第3処理槽14におけるオゾン気泡の上昇を検知して、第3処理槽14の下部に貯留した被処理液を排出する排出ポンプ14eを作動させることができる。
図4に、第3処理槽14において、分離されたオゾン気泡の増加による気泡センサ14fの動作の状態を示す模式的説明図を示す。
気泡センサ14fとは、2枚の電極を対向して設置し、この電極間に気泡が接触したときの導通状態を検知するものである。
第3処理槽14おいてオゾン気泡の発生が多い場合、気泡センサ14fによって排出ポンプ14eを作動させて第3処理槽14に貯留されている被処理液を排出し、オゾン気泡がオゾン処理槽11から溢れ出ないようにしている。
これによって、第3処理槽14に貯留させる被処理液のレベルを所定の範囲に維持することができる。
【0021】
<水抜きバルブ>
なお、メンテナンスのため、オゾン処理槽内の水を抜くための水抜きバルブ11a、11bを設けている。
【0022】
<第3処理槽>
第3処理槽においては、仕切板Cを伝って下降した被処理液は、仕切板Cの下部の下方開口部C1から流入するとともに、第3処理槽の底部に設けられた傾斜板14aに当接してその流れを上方向に変更させられる。
【0023】
<傾斜板>
傾斜板14aは、その一端が第3処理槽14の底部に固定され、他端が上方に傾斜した板状の部材であり、仕切板Cの下部に設けられた下方開口部C1を通り抜けた水流を当接させて、その流れを上方向に変更させる機能を有している。
これによって、第2処理槽で混合撹拌された被処理液の流れを上昇方向に変え、被処理液に含まれたオゾン気泡が分離され上方に浮上しやすくなる。
【0024】
<気液分離>
被処理液をオゾン処理槽内に一定の時間留め置くことにより、第3処理槽14内でオゾン気泡を浮上させる。
これにより、排出ポンプ14eからはオゾン気泡が分離された浄水が排出される(気液分離)。
【0025】
<排出ガス貯留槽>
また、第3処理槽14の上部にはオゾン排出口14bが設けられており、第3処理槽14においてオゾン気泡が万が一オーバーフローした場合に、排出ガス貯留槽20に貯留するようにしている。
なお、メンテナンスのため、排出ガス貯留槽20内の水を抜くための水抜きバルブ20aを設けている。
【0026】
<排出ガス分解槽>
排出ガス分解槽21は、排出ガス貯留槽20から外部に放出されるオゾンガスを分解する槽であって、オゾンガスを無害化する。
すなわち、排出ガス分解槽21にはオゾン分解剤が内包されており、流入したオゾンガスは分解され外部に放出されるためオゾン汚染が生じないようになっている。
これによって、大気中に放出するオゾンガスを完全に分解し無害化することができ、環境に優しい廃液処理装置を提供することができる。
【0027】
<処理液の排出ポンプ>
一方、オゾン気泡が分離された被処理液は、浄水として、排出ポンプ14eの作動によって下部の浄水排出口から排出される。
第3処理槽14の下部には、気液分離された被処理液を浄水を排出するための排出ポンプ14eが設けられており、被処理液を浄水として再利用するようにしている。
【0028】
次に、実施形態2に係る廃液処理装置について説明する。
図5は、廃液処理装置の概略全体構成図である。
【0029】
<Wの変更>
実施形態2に係る廃液処理装置では間隔Wを変更可能とした。その他の部分は実施形態1と同様である。
実施形態1では補助板13aは垂直に立設されているが、実施形態2ではその角度を変えられるように設定した。
例えば、多量の被処理液が流れ込む場合などにおいては、補助板13aの下端を回転軸芯として上端を開くようにして、仕切板Bとの間隔Wを広く設定する。
これにより、仕切板Bの上端部B1を乗り越えて落下する際の被処理液の流れ込みを容易にすることができる。
【0030】
<水流変更板>
また、補助板13aを伝って落下する被処理液の流れを水流変更板13bで仕切板C方向に変更させる。
これにより、被処理液は仕切板Cを伝って下降する。
水流変更板13bは、その一端が仕切板Bに上下方向移動可能に取り付けられている板状の片持ち部材であり、補助板13aを伝って下降する被処理液の流れ受け止め、その流れを仕切板C方向へ変える役割を有する。
被処理液は、水流変更板13bの先端と仕切板Cとの隙間13cから下方へ流れる。
【0031】
<水流変更板の上下位置を調節>
また、水流変更板13bの上下位置を調節できる機構を設け流水量を調節をすることができる。
すなわち、第2処理槽中では、気泡発生を抑制しつつ補助板13aを伝って落下させ、被処理液を水流変更板13bに当接させて仕切板C方向に流れを変更し、仕切板Cを伝って被処理液を落下させるが、仕切板Bを越える流水量が多い場合は、水流変更板13bの上下位置を調節して、補助板13aと水流変更板13bの隙間13cを大きくして、水流変更板13bに当接した流水の流れをよくすることができる。
【0032】
<仕切板Cの上部にオゾン気泡抜きのための隙間C2>
なお、第2処理槽13においては、上部に溜まったオゾン含有エアー(オゾン気泡)で、オゾン処理槽11が破壊されないように、仕切板Cの上部にオゾン気泡抜きのための隙間C2を設け、隣接する第3処理槽に流入させるようにしている。
【0033】
<実施形態3>
次に、実施形態3に係る廃液処理装置について説明する。
図6は、廃液処理装置の概略全体構成図である。(a)は装置平面図、(b)は装置正面図である。
【0034】
実施形態3に係る廃液処理装置は、実施形態1の第1処理槽に2枚の仕切板を追加設置した例であり、その他の部分は実施形態1と同様である。
第1処理槽でのオゾンガスとの混合撹拌を行うためである。
このため、第1処理槽に仕切り板D、E、Fを追加し、第1混合槽12e、第2混合槽12f、第3混合槽12gに分割した。
これにより、被処理水は、まず第1混合槽12eに上方から供給され、第1混合槽12eの下部に設けられた散気管12bから供給されるオゾンガスと混合され、仕切板Dの下方開口部を通過させて第2混合槽12fに移行させ、仕切板Eの上端部を乗り越えさせて第3混合槽12gに移行させる。
そして、第3混合槽12gと第2処理槽13との間の仕切板F2の下方開口部を通過させて第2処理槽13に移行させる。
なお、第1混合槽12e及び第2混合槽12fと、第2処理槽13との間の仕切板F1は、
上下とも開口部は設けられていない。
【0035】
<実施例>
以下、本発明の実施例として、塗装ブース30から排出される洗浄廃液の浄化に適用する場合を説明する。
図7はその概略構成図である。
【0036】
例えば、ワーク31にスプレー塗装を行なう塗装ブース30では、飛散塗料の処理は、洗浄水循環ポンプ32によって廃液槽33の貯水を吸引して、ワーク31の後部に設置された飛散塗料受け34の上部から滝のように落下させる洗浄水とともに回収している。
【0037】
塗装ブース30の廃液槽33に貯留された廃液をオゾン処理槽11内でオゾンガスと接触させ、このオゾン処理によって浄化された処理液を塗装ブース30に循環させて再利用するようにしている。
【0038】
塗装ブース30には、ワーク31に塗料液を散布するためのスプレーガン35と、塗装ブース30の下部に配置された廃液槽33と、洗浄水循環ポンプ32が備えられている。
【0039】
さらに、塗装ブース30には、廃液槽33に貯留される塗装廃液を吸引するための廃液回収ポンプ36と、廃液中のスラッジなどの固形分を回収するためのスラッジ回収器37とが備えられ、スラッジが除去された塗装廃液(廃液)が被処理液としてオゾン処理槽11に投入されるようにしている。
【0040】
そして、オゾン処理槽11の第1処理槽12において、塗装廃液(被処理液)にオゾン発生器17で発生されたオゾンガスが散気管から供給され、塗装廃液を浄化する。
なお、オゾン発生器17へは、PSA装置によって生成した濃縮酸素ガス(オゾンガスの原料)が供給されるようになっている。
本実施例ではオゾン発生器17は、例えば、時間当たり20gのオゾン含有大気を毎分約4リットルの流量で供給する能力を有している。
なお、オゾン発生量と供給量は、適宜変更可能である。
【0041】
第2処理槽13では、第1処理槽12でオゾンガスが投入された被処理液が、仕切板Aの下方に設けられてる下方開口部C1を介して供給される。
第2処理槽13には、仕切板B、補助板13a、水流変更板13bが設けられており、これらにより、被処理液をオゾンガスとの反応を促進させる。
第3処理槽14には、仕切板C、傾斜板14aが設けられており、傾斜板14aにより上昇させられた被処理液は気液が分離される。
また、第3処理槽14は、排出ポンプ14eを作動させて廃液槽12に戻すまでの槽内の被処理液を一時的に貯留する機能を有している。
【0042】
さらに、第3処理槽14内の被処理液の液面レベルを検知するためのレベルセンサ14dが配置されており、これらレベルセンサ14dの測定値信号を受けて、コントローラ14gが排出ポンプ14eの作動を制御して被処理液を廃液槽12に戻すように構成されている。
【0043】
さらに、第3処理槽14には、槽内におけるオゾン気泡の上部到達位置を検知するための気泡センサ14fが備えられており、第3処理槽14内のオゾン気泡がオーバーフローするおそれがある場合は、この気泡センサ14fからコントローラ14gに信号を送り、第3処理槽14の底部に設けられた排出ポンプ14eを作動させ、被処理液を廃液槽33に還流させて再利用するようになっている。
また、排出ガス貯留槽20の上部には、オゾン分解器21が設けられており、オゾン気泡中の残留オゾンを分解して、大気中に放出している。
被処理液からオゾン気泡を分離した浄水は、排出ポンプ14eによって廃液槽33に戻すようにしている。
【0044】
以上説明したように、従来の塗装廃液処理装置では、廃液槽の処理水は定期的に交換して産廃として処理しているが、本発明の塗装廃液処理装置ではリサイクル使用が可能となる。
また、廃液槽の処理水は腐敗して悪臭が発生していたが、本発明の塗装廃液処理装置ではオゾンで殺菌脱臭するので、作業環境が改善される。