(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電位付与器および前記被覆膜剤供給部を介して送水された微細気泡水を、前記貯蔵タンクへ流す配管が接続された一方の流出ポートと、前記中空ナノカプセル吸着貯蔵容器に通じる配管が接続された他方の流出ポートとへの流路を切り替える三方弁を備え、
前記中空ナノカプセル吸着貯蔵容器が前記貯蔵タンクに配管により接続され、前記三方弁の流路が前記他方の流出ポートに切り替えられ、前記微細気泡混合器を停止させた状態で、中空ナノカプセルを含む微細気泡水を周回させる第2流路が形成された請求項2記載の微細気泡水生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の中空マイクロカプセルは、生分解性高分子溶液中に微細気泡を発生させ、周囲に重合反応等によって高分子の殻を形成することで、生成される。そのため、高分子の殻が微細気泡の縮小を阻害するので、中空マイクロカプセルの内圧は微細気泡が生成されたときの圧力のままであり、被覆膜剤が高分子系に限られる。また、微細気泡が生成されたときの内圧のままの中空マイクロカプセルでは、圧壊の程度が低く、微細気泡水の容量が同じであれば、気泡サイズの大きい中空マイクロカプセルでは、その微細気泡水に含まれる数も少ない。そのため、中空マイクロカプセルの性能を有効に発揮させることは難しい。
【0007】
そこで本発明は、高い性能を有する中空ナノカプセルが発生できる微細気泡水生成装
置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の微細気泡水生成装置は、原水に気体を微細化した微細気泡を混合して微細気泡水として送水する微細気泡混合器と、前記微細気泡混合器からの微細気泡水の微細気泡に一方の電位を帯電させる電位付与器と、前記電位付与器からの微細気泡水における微細気泡の気液界面への付着により被覆する液状の被覆膜剤であり、表面張力により縮小した微細気泡を中空ナノカプセルとして機能させるための被覆膜剤を供給する被覆膜剤供給部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、微細気泡混合器により微細気泡を発生させ、電位付与器により周囲に強い一方の電位を帯電させる。そうすることで、一方の電位に帯電した微細気泡と他方の電位に帯電した微細気泡とが引き寄せられ接触することで微細気泡同士が結合してしまうことが防止できる。そして、被覆膜剤供給部により供給された被覆膜剤を、一方の電位に帯電させた微細気泡に吸着させる。微細気泡が表面張力により、縮小するなかで被覆膜の密着度が高まり、気体の漏れを防止する。また、微細気泡が縮小することで、気体が圧縮され、内圧が高まる。従って、微細気泡内の気体の容量が減少しない状態で中空ナノカプセルを生成することができる。
【0010】
前記電位付与器からの中空ナノカプセルを含む微細気泡水が流れる中空糸および前記中空糸を収容する本体ケースを有する中空ナノカプセル吸着貯蔵容器と、前記中空糸を他方の電位に帯電させ、前記中空ナノカプセルを前記中空糸に吸着させ、貯蔵するための静電気発生器を備えたものとすることができる。
【0011】
前記微細気泡混合器から前記電位付与器および前記被覆膜剤供給部を介して送水された微細気泡水を貯留する貯蔵タンクを備え、前記貯蔵タンクが前記微細気泡混合器に配管に接続されることで、微細気泡水を周回させる第1流路が形成されたものとすることができる。
第1流路を微細気泡水が循環することで、微細気泡水に含まれる微細気泡の気泡サイズをより細かなものとすることができる。
【0012】
前記中空ナノカプセルが通過する中空糸および前記中空糸を収容する本体ケースを有する中空ナノカプセル吸着貯蔵容器と、前記中空糸を他方の電位に帯電させる静電気発生器を備えたものとすることができる。
中空糸が他方の電位に帯電しているため、一方の電位に帯電した微細気泡は中空糸に引き寄せられ、補足される。従って、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器の中空糸に大量の微細気泡水に含まれる微細気泡を大量に貯蔵することができる。
【0013】
前記電位付与器および前記被覆膜剤供給部を介して送水された微細気泡水を、前記貯蔵タンクへ流す配管が接続された一方の流出ポートと、前記中空ナノカプセル吸着貯蔵容器に通じる配管が接続された他方の流出ポートとへの流路を切り替える三方弁を備え、前記中空ナノカプセル吸着貯蔵容器が前記貯蔵タンクに配管により接続され、前記三方弁の流路が前記他方の流出ポートに切り替えられ、前記微細気泡混合器を停止させた状態で、中空ナノカプセルを含む微細気泡水を周回させる第2流路が形成されたものとすることができる。
三方弁の流路が他方の流出ポートに切り替えられた第2流路を、微細気泡混合器が停止した状態で微細気泡水が循環することで、微細気泡混合器による新たな気泡サイズの大きい微細気泡を混合させることなく、微細気泡水に含まれる中空ナノカプセルとなった一方の電位に帯電した微細気泡を、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器に順次溜め込むことができる。従って、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器内の微細気泡水に、大量の中空ナノカプセルを含ませることができるので、高い濃度の中空ナノカプセルを含む微細気泡水を生成することができる。
【0014】
前記第1流路に微細気泡水を所定時間周回させた後に、前記三方弁を前記第1流路から前記第2流路に切り替える制御装置を備え、前記制御装置は、前記三方弁を前記第1流路から前記第2流路に切り替える前に、前記貯蔵タンク内の微細気泡水の微細気泡が縮小することにより被覆膜剤を吸着させた中空ナノカプセルを生成させるために、微細気泡水の周回を停止させるものとすることができる。
そうすることで、微細気泡混合器による新たに気泡サイズの大きい微細気泡を混合させることなく、貯蔵タンク内の微細気泡を縮小させ、中空ナノカプセルとすることができる。
【0015】
前記微細気泡混合器は、気体を微細化しながら原水に混合する複数の混合器が直列に接続され、前記複数の混合器には、異なる複数の気体を送気する配管が接続されたものとすることができる。
原水に気体を一度に混合すると、原水が気体を溶解し難くなるため、複数の混合器が直列に接続されて順番に気体の量を分けて混合することで、多くの量の気体を液体に溶解させたり、液体中に微細気泡として浮遊させたりすることができるため、気体の溶解量や微細気泡の数量を増加させることができる。このとき、複数の混合器に、異なる複数の気体を送気する配管が接続されているため、気体と他の気体とを微細気泡として混合した微細気泡水を生成させることができる。
【0016】
前記被覆膜剤供給部を、複数種類の被覆膜剤を供給するものとすることができる。複数種類の被覆膜剤が供給できれば、複数の機能を有する被覆膜剤を微細気泡水に混合することができ、高機能な中空ナノカプセルが生成できる。
【0017】
本発明の中空ナノカプセル吸着貯蔵容器は、微細気泡混合器により生成された原水に気体を微細化した微細気泡を混合した微細気泡水に、電位付与器からの一方の電位を付与することにより帯電させた微細気泡であり、被覆膜剤供給部から液状の被覆膜剤を供給して、表面張力により縮小した微細気泡を中空ナノカプセルとして機能させた微細気泡が流れる中空糸と、前記中空糸を収容し、前記中空糸を他方の電位に帯電させ、中空ナノカプセルを前記中空糸に吸着し、貯蔵するための静電気発生器が接続された本体ケースとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の微細気泡水生成装置によれば、液状の被覆膜剤が周囲に付着して縮小した微細気泡を中空ナノカプセルとして生成することができるので、高い性能を有する中空ナノカプセルを発生できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係る微細気泡水生成装置を図面に基づいて説明する。なお、
図1に示す微細気泡水生成装置10では、各所に逆止弁が配置されているが、説明は省略している。
図1に示すように、微細気泡水生成装置10は、第1の気体と第2の気体とを微細化した微細気泡を原水とした水に混合し、薬液や有用成分の溶液による殻を形成した中空ナノカプセルを生成するものである。
【0021】
第1の気体は、水素ガス、空気とすることができる。また、第2の気体は、酸素ガス、炭酸ガス、空気とすることができる。
第1の気体と第2の気体との組み合わせは、第1の気体を水素ガスとしたときには第2の気体を酸素ガスとすることができる。また、第2の気体を炭酸ガスとして、第1の気体の水素ガスと組み合わせることができる。更に、第1の気体のみとしたり、第1の気体の水素ガスまたは空気に、第2のガスの酸素ガス、炭酸ガスまたは空気のいずれかを組み合わせたりすることもできる。
【0022】
微細気泡水生成装置10では、この第1の気体が貯留された貯留容器である第1ボンベB1と、第2の気体が貯留された貯留容器である第2ボンベB2により気体が供給される。
第1ボンベB1は、配管P11により調整弁V1に接続されている。調整弁V1は、配管P12により微細気泡混合器20に接続されている。また、第2ボンベB2は、配管P21により調整弁V2に接続されている。調整弁V2は、配管P22により微細気泡混合器20に接続されている。調整弁V1,V2は、三方向自動弁である。
【0023】
微細気泡混合器20は、複数の混合器として、第1混合器21と、第2混合器22と、ターボミキサー23とを備え、これらが直列に接続されている。第1混合器21には、原水である水が貯留される気密性を有する密封タンクである貯蔵タンクTが配管P13により接続されている。
【0024】
配管P12には、第1ボンベB1から微細気泡混合器20に流れる流量を測定する流量計24a,24bが配置されている。また、配管P22には、第2ボンベB2からから微細気泡混合器20に流れる流量を測定する流量計24cが配置されている。ターボミキサー23の下流側には、配管P31により高圧ポンプ30に接続されている。
【0025】
高圧ポンプ30は、微細気泡混合器20からの微細気泡水を圧送する送水ポンプである。高圧ポンプ30は、微細気泡水に、例えば、1.5MPa〜9MPaの圧力を付与するものが使用できる。本実施の形態では、高圧ポンプ30として、無給油式真空ポンプを採用している。高圧ポンプ30の下流側には、配管P32により磁気高圧処理器40に接続されている。
【0026】
図2(A)に示すように、磁気高圧処理器40(磁気処理器)は、高圧ポンプ30から微細気泡水が流れ込む導水管41と、導水管41からの微細気泡水が通過する配管となる高圧スリーブ43と、高圧スリーブ43を挟んで異極同士を対向させた一対の磁石42a,42bと、一対の磁石42a,42bの間に配置された高圧スリーブ43に設けられた誘電体の一例であるトルマリン44とを備えている。
【0027】
図2(A)に示すように、導水管41の下流側には、流量調整金具411が装着されている。流量調整金具411は、
図2(B)および同図(C)に示すように、導水管41の先端に嵌め込まれる円筒部411aと、円筒部411aの下流側の端部に設けられた蓋部411bとを備えている。蓋部411bには、管路の軸線を中心にして放射状に小径の貫通孔411cが形成されている。
【0028】
図2(A)に示すように、磁石42aは、N極を高圧スリーブ43側に向けて配置された永久磁石である。高圧スリーブ43を挟んで磁石42aと反対側に位置する磁石42bは、S極を高圧スリーブ43側に向けて配置された永久磁石である。磁石42a,42bは、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石が使用できる。磁石42a,42bは、電磁石でもよい。磁石42a,42bは、電磁石としたときには、磁気が一定方向を向くように電流を流してもよいし、磁気が交互に入れ替わるようにして電流を流してもよい。
【0029】
高圧スリーブ43は、磁気透過な材質のもので形成されている。例えば、高圧スリーブ43は、樹脂製とすることができる。
トルマリン44は、電気石とも称される鉱物である。トルマリン44は、球体状に形成され、高圧スリーブ43と、高圧スリーブ43の上流側に位置する導水管41の流量調整金具411および後述するダンパー50の流量調整金具52(
図2(A)参照)とに囲まれた空間に、互いが接触した状態で収納されている。
【0030】
導水管41には、流量調整金具411を被せるように、高圧スリーブ43が接続されている。高圧スリーブ43の下流側の端部43aには、下流方向に向かって拡径するダンパー50の上流側の端部51が嵌め込まれるようにして接続されている。
高圧スリーブ43の下流側の端部43aとダンパー50の上流側の端部51との間の流路には、流量調整金具52がダンパー50の上流側の端部51に被さるように配置されている。
流量調整金具52は、流量調整金具411と同様に、円筒部52aと、管路の軸線を中心にして放射状に小径の貫通孔52cが形成された蓋部52bとを備えている。
【0031】
図1に示すように、ダンパー50の下流側には、通過する微細気泡水を撹拌する撹拌器53が接続されている。この撹拌器53には、電位付与器61が接続されている。
電位付与器61は、微細気泡混合器20からの微細気泡水の微細気泡に一方の電位を帯電させるものである。本実施の形態では、電位付与器61は、微細気泡を静電気により帯電させ、帯電した微細気泡の中から、一方の電位の微細気泡を排出することで、一方の電位の微細気泡を得るものとしている。電位付与器61は、例えば、株式会社TAMURA社製の「ディレカ」が使用できる。
【0032】
電位付与器61には、配管P33により三方弁V3が接続されている。
三方弁V3の一方の流出ポート側であるが、配管P41により撹拌器63に接続されている。また、撹拌器63は、配管P42により貯蔵タンクTに接続されている。配管P41と配管P42との間には、被覆膜剤供給部90が接続されている。
【0033】
被覆膜剤供給部90は、薬液や有用成分の溶液などの液状の被覆膜剤を貯留する輸液バッグ91と、輸液バッグ91からの流れを通過させたり、閉鎖させたりする二方向自動弁V4と、二方向自動弁V4からの流量を調整する調整弁V5と、被覆膜剤供給部90を配管P41,P42に接続するためのアスピレータ92とを備えている。
被覆膜剤は、ビタミン等の栄養剤、抗ガン剤、酵素剤等の液状の溶液であれば使用することが可能である。
【0034】
一方、
図1に示す三方弁V3の他方の流出ポート側には、配管P51により紫外線殺菌装置71と、小型フィルタ72と、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80とが順次接続され、配管P52により貯蔵タンクTに接続されている。紫外線殺菌装置71は、微生物を死滅させるためのものである。小型フィルタ72は、不純物を除去するためにものである。
【0035】
ここで、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80について、
図3に基づいて詳細に説明する。
図3に示す中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80は、本体ケースである中空の筒状部81と、筒状部81の内部に長さ方向に沿って配置された中空糸82とを備えている。
筒状部81は、
図1に示す三方弁V3から紫外線殺菌装置17と小型フィルタ72とを介して繋がる配管P51が接続された注入口81aが一端側に形成され、貯蔵タンクTへの配管P52が接続された排出口81bが他端側に形成されている。筒状部81の一端側の周面および他端側の周面から突出し、微細気泡水(中空ナノカプセル)を流入させ、排出させるために内部に連通した突出管81c,81dには、開口をキャップ83が閉鎖している。
筒状部81には、中空糸82にプラス電位を付与するために、静電気発生器62(
図1参照)が接続されている。
【0036】
中空糸82は、両端に開口部が形成され、筒状部81の注入口81aからの微細気泡水が一端に流入し、中空糸82の他端からの微細気泡水が排出口81bへ流出するように、筒状部81に接続されている。本実施の形態では、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80は、血液透析の際に使用されるダイアライザー(血液透析濾過器)が使用でき、中空糸82は多孔質中空糸により形成されている。例えば、多孔質中空糸の微細孔82aが最大で約15nm、内径が180μm、外径が210μmのものを使用している。
中空糸82は、例えば、ポリスルホン、ポリビニルピロリドン(PVP)などから形成されている。
中空糸82の微細孔82aが最大でも約15nmであるため、150μm程度の微細気泡が微細孔82aから漏れ出ることがない。
筒状部81には、生理食塩水が満たされ、中空糸82の周囲を覆っている。なお、本実施の形態では、生理食塩水が筒状部81に充填されているが、静電気を中空糸82に透過、伝達させるものであれば他のものでもよい。
【0037】
図1に示す微細気泡水生成装置10では、自動弁である、調整弁V1,V2と、三方弁V3、二方向自動弁V4、調整弁V5の開閉、流量調整を、弁制御信号により制御する制御装置Sを備えている。
制御装置Sは、駆動系装置である、第1混合器21、第2混合器22、ターボミキサー23、高圧ポンプ30、撹拌器53,63の始動および停止を、駆動系制御信号により制御する機能を備えている。
【0038】
このように微細気泡水生成装置10が構成されることで、マイクロバブルに殻を形成した中空マイクロカプセルを生成する第1流路R1と、中空マイクロカプセルの微細気泡が縮小して更に微細な気泡としたナノバブルに殻が形成された中空ナノカプセルが周回して、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80にて捕捉する第2流路R2とが形成される。
第1流路R1は、貯蔵タンクTから、第1混合器21、第2混合器22、ターボミキサー23、高圧ポンプ30,磁気高圧処理器40、ダンパー50,撹拌器53、電位付与器61、三方弁V3に至り、アスピレータ92,撹拌器63から貯蔵タンクTに戻る経路である。
【0039】
また、第2流路R2は、第1流路R1と、貯蔵タンクTから、第1混合器21、第2混合器22、ターボミキサー23、高圧ポンプ30,磁気高圧処理器40、ダンパー50,撹拌器53、電位付与器61、三方弁V3まで共通し、紫外線殺菌装置71、小型フィルタ72、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80から貯蔵タンクTに戻る経路である。
【0040】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る微細気泡水生成装置10の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
(第1流路の周回)
まず、制御装置Sが、三方弁V3の流路を第1流路R1の方向に向けて、中空マイクロカプセルルートを形成する。
第1ボンベB1に貯留された第1の気体は、第1ボンベB1が開栓され、制御装置Sにより調整弁V1の開放が指示されることで、配管P11を通じて送気される。
また、第2ボンベB2に貯留された第2の気体は、第2ボンベB2が開栓され、制御装置Sにより調整弁V2が開放指示されることで、配管P21を通じて送気される。
微細気泡混合器20内の複数の混合器(第1混合器21、第2混合器22およびターボミキサー23)には、調整弁V1,V2により調整された流量の第1,2の気体が流入する。
第1混合器21には、貯蔵タンクTに接続された配管P13により、貯蔵タンクTに貯留された原水が吸い上げられて流入する。例えば、原水は純水としたり、水道水としたり、様々な水溶液が使用できる。
【0041】
第1混合器21により、原水に第2の気体が混合されることで大きな泡状となった第2の気体を混合した気泡水が、第2混合器22に流入する。
第2混合器22では、第1混合器21からの気泡水に、第1の気体が更に混合される。第2混合器22により、第2の気体が更に細かな気泡となると共に、第1の気体が気泡となって気泡水に混合され、混合気泡水となってターボミキサー23に流入する。
【0042】
ターボミキサー23では、内部で撹拌用のブレードが回転することで発生した負圧により、第2混合器22からの混合気泡水と、流量計24bにより流量が調整された第1の気体とを吸引し、ブレードにより撹拌して、第1の気体を微細化すると共に、混合気泡水に溶解させる。これにより、混合気泡水は、第1の気体が混合気泡水に溶解して第1の気体の濃度が上がった微細気泡水となる。この微細気泡水は、高圧ポンプ30により磁気高圧処理器40に圧送される。
【0043】
このように、直列に接続された複数の混合器(第1混合器21、第2混合器22およびターボミキサー23)に、第1の気体を送気する配管P11,P12および第2気体を送気する配管P21,P22が接続されているため、気体の量を分けて、液体に溶解させたり、液体中に微細気泡として浮遊させたりすることができる。従って、気体の溶解量や微細気泡の数量を増加させることができる。
【0044】
また、配管P12,P22には、流量計24a〜24cが設けられているため、第1混合器21、第2混合器22およびターボミキサー23のそれぞれにて混合させる第1の気体および第2の気体の流量を微調整することができる。
第1の気体と第2気体とは、いずれか一方または両方の選択について、制御装置Sからの弁制御信号により調整弁V1,V2を選択することにより可能性である。
【0045】
磁気高圧処理器40では、まず、高圧ポンプ30により圧送された微細気泡水が、導水管41の流量調整金具411を通過する。その際に、微細気泡水が、流量調整金具411の小径の貫通孔411cを通過することで、更に、流速が高速となる。
高圧スリーブ43では、異極同士が対向した磁石42a,42bによる磁場により、微細気泡水の水分子に結合の変化を生じさせることができ、表面張力を減少させることができる。従って、微細気泡水の溶解度を向上させることができるため第1の気体や第2の気体を、微細気泡水の液体に溶解させることができ、高濃度化を図ることができる。
【0046】
また、高圧スリーブ43に収納されたトルマリン44は、磁石42a,42bによる磁場に位置しているため、磁石42a,42bによる磁場内でのトルマリン44によって、更に、溶解度を高めることができる。また、磁石42a,42bによる磁場内では、トルマリン44が静電気を発生するため、微細気泡水に浮遊する微細気泡に電荷を付与することができる。電荷が付与された微細気泡は、微細気泡同士が反発し合い結合しないため、微細気泡同士が結合して気泡径が大きくなることを抑止することができる。
従って、微細気泡水生成装置10は、微細気泡水を水中に数多く存在させつつ、より効率的に微細気泡水の液体の溶解度を高めることができる。よって、微細気泡水の効果を発揮させることができる。
【0047】
高圧ポンプ30により圧送されることで高速に流れる微細気泡水が、高圧スリーブ43に収納されたトルマリン44に圧力を付与しながら通過する。トルマリン44に圧力が付与されることで、更なる静電気が生じるため、微細気泡に効率よく電荷を付与することができる。従って、より多くの微細気泡を水中に浮遊させることができる。
磁気高圧処理器40から流出した微細気泡水は、ダンパー50により流速が緩やかになり、電位付与器61に流入する。
【0048】
電位付与器61では、静電気発生器62が発生した静電気により、微細気泡水に含有された微細気泡にマイナス電位を帯電させる。
例えば、マイナス電位に帯電した微細気泡とプラス電位に帯電した微細気泡とが混合していると、マイナス電位に帯電した微細気泡に引き寄せられ接触することで結合してしまい、気泡サイズが大きくなる。
電位付与器61からの微細気泡水に含まれる微細気泡をマイナス電位に帯電させることで、プラス電位の微細気泡に引き寄せられ接触することが防止でき、気泡サイズを維持することができる。
【0049】
電位付与器61によりマイナス電位の微細気泡を含む微細気泡水は、第1流路R1へ流路が向いた三方弁V3を経由して、アスピレータ92に流れる。アスピレータ92では、輸液バッグ91からの被覆膜剤の供給量が、二方向自動弁V4により調整されて、三方弁V3からの微細気泡水に混合される。
そして、被覆膜剤が混合された微細気泡水は、撹拌器63を経由して、貯蔵タンクTに戻る。そして、再び、微細気泡水は、貯蔵タンクTから汲み上げられ、第1流路R1を流れる。
【0050】
このように、微細気泡水を、所定時間、第1流路R1を周回させることで、気泡サイズが大きな気泡から、
図4(A)に示すような、細かなマイクロバブル、またマイクロバブルからナノバブルとすることができる。本実施の形態では、制御装置Sが第1流路R1を5分間周回させる。
【0051】
(周回の停止)
次に、制御装置Sが、微細気泡水の養生期間として、駆動系装置である、微細気泡混合器20のほか、各撹拌器、ポンプ等を停止する。例えば、制御装置Sは5分間ほど停止する。
貯水タンクTでは、第1流路R1内の被覆膜剤が混合された微細気泡水が、
図4(B)に示すように、帯電した微細気泡に被覆膜剤が吸着されて膜状態となり、
図4(C)に示すように、中空マイクロカプセルと呼べるものとなる。
【0052】
そして、液状の被覆膜剤が膜状態となった微細気泡が、表面張力(界面張力)により縮小する。例えば、微細気泡に、重合反応等によって高分子の殻を形成すると、縮小が阻害される。また、被覆膜剤が吸着していない状態の微細気泡は縮小しても内部の圧力が上昇して気体が漏れ出し破損して消滅する。
しかし、液状の被覆膜剤が周囲(気液界面)に付着することで殻となった微細気泡は、微細気泡が縮小することで、被覆膜の密着度が高まるため、微細気泡の内部における気体の漏れが防止できる。
また、微細気泡が更に縮小することで、内部の気体の量を減少させることなく、微細気泡の内圧を高めることができるので、激しい圧壊を発生させる微細気泡とすることができる。
【0053】
更に、帯電により被覆膜剤が吸着して膜となった微細気泡は、粒径の均一化と、長時間の安定化とを図ることができる。
このように、微細気泡混合器20による新たに気泡サイズの大きい微細気泡を混合させることなく、貯蔵タンクT内の微細気泡が縮小することで、中空マイクロカプセルは、
図4(D)に示すように、中空マイクロカプセルより粒径が小さい、被覆膜剤を殻とした中空ナノカプセルと呼べるものとなる。
従って、微細気泡水生成装置10は、高い性能を有する中空ナノカプセルを発生することができる。
【0054】
(第2流路の周回)
次に、制御装置Sが、三方弁V3を第2流路R2の方向へ切り替え、微細気泡混合器20を停止させた状態で、ポンプ等を始動させる。
貯蔵タンクTからの中空ナノカプセルを含む微細気泡水は、第1流路R1のときと同様に、微細気泡混合器20、磁気高圧処理器40、撹拌器53、電位付与器61を流れる。
【0055】
そして、三方弁V3を通過して、紫外線殺菌装置71へ流入する。
紫外線殺菌装置71では、紫外線が照射されるため、微細気泡水に含まれる微生物を死滅させることができる。また、微細気泡水は、紫外線殺菌装置71を通過した後に、小型フィルタ72を通過することで、微細気泡水に含まれる不純物を除去することができる。
【0056】
小型フィルタ72を通過した、中空ナノカプセルを含む微細気泡水は、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80へ流入する。
静電気発生器62が静電気を発生することで、プラス電位またはマイナス電位に帯電させるが、本実施の形態では、
図3に示す中空糸82がプラス電位となるように帯電させる。
そのため、
図3に示すようにプラス電位を帯びた中空糸82に、マイナス電位を帯びた中空ナノカプセルCが吸着する。
【0057】
中空糸82に吸着しなかった中空ナノカプセルCを含む微細気泡水は、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80から貯蔵タンクTへ戻る。そして、再び、微細気泡水は、貯蔵タンクTから汲み上げられ、第2流路R2を流れる。
【0058】
このように、微細気泡混合器20による新たに気泡サイズの大きい微細気泡を混合させることなく、中空ナノカプセルCを含む微細気泡水を、所定時間、第2流路R2を周回させることで、微細気泡水に含まれる中空ナノカプセルCを、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80に捕捉させ、回収することができる。従って、中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80内の微細気泡水に、大量の中空ナノカプセルを含ませることができるので、高い濃度の中空ナノカプセルを含む微細気泡水を生成することができる。
本実施の形態では、制御装置Sが第2流路R2に微細気泡水を5分間周回させている。
【0059】
このような中空ナノカプセルCは、粒径が10μmであれば生成された状態のままで0.3kg/cm
2、1μmであれば3kg/cm
2、0.1μm(100nm)で30kg/cm
2になる。
【0060】
中空ナノカプセルCを回収した中空ナノカプセル吸着貯蔵容器80を、第2流路R2から取り外せば、高濃度の中空ナノカプセルを含む微細気泡水を輸液として搬送することができ、活用することができる。
【0061】
貯蔵タンクTに貯留された微細気泡水を輸液として使用するときには、第1の気体または第2の気体を水素ガスとすると、血管の内壁に付着した脂質やコルステロールなどの付着物を分解して血管から引き剥がし除去することができる。
また、第2の気体を炭酸ガスとするときには、血液中に溶解した老廃物を吸着して排出することができ、血行を促進するため、血行状態を良好なものとすることができる。更に、炭酸ガスを含有する微細気泡水は、消化機能を活性化させることができる。
また、第1の気体または第2の気体を酸素ガスとし、栄養液を添加すれば、血液中の酵素に対する栄養素が添加されるため酵素を活性化させることができる。
【0062】
また、貯蔵タンクTに貯留された微細気泡水を洗浄液として使用するときには、第1の気体または第2の気体を水素ガスとすると、水素ガスによる微細気泡は、マイナス電位により、水中に分散していたり、被洗浄物に付着したりするウィルスや細菌に吸着して、死滅させたり、不活性化したりすることができる。
第2の気体を炭酸ガスとするときには、汚れを浮かせる効果を更に増加させることができる。
【0063】
なお、本実施の形態に係る微細気泡水生成装置10では、電位付与器61にて微細気泡にマイナス電位を付与していたが、一方の電位として、プラス電位を付与するものでもよい。しかし、被覆膜剤を癌治療用の薬液とし、微細気泡水を治療液として使用するときは、腫瘍部がプラス電位に帯電しているため、微細気泡をマイナス電位に帯電させるのが望ましい。
また、高圧スリーブ43内に誘電体の一例としてトルマリンを収納していたが、磁場により水の溶解度を向上させ、圧力により静電気を発生するものであれば他の誘電体でもトルマリンの代わりに使用できる。例えば、セラミック,水晶などとしてもよい。
更に、被覆膜剤供給部90は、一種類の輸液バッグ91から被覆膜剤を供給するものであったが、複数種類の被覆膜剤を供給して、配管P41に混合するものであってもよい。
そうすることで、薬液だけでなく、栄養剤などを混合させた中空ナノカプセルを生成することができる。