(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面に水平面が設けられるとともに装置本体に回転可能に設けられ、注湯後に解体された砂鋳型から回収されて篩によって分離された鋳物砂が前記水平面上に供給される円盤状テーブルと、
前記円盤状テーブルの前記水平面上の外周側および中央側の一方側に設けられ前記鋳物砂を供給する鋳物砂供給部と、
前記円盤状テーブルの前記水平面上の前記外周側および前記中央側の他方側に設けられ前記鋳物砂を前記円盤状テーブル上から排出する鋳物砂排出部と、
前記円盤状テーブルの軸心を中心に前記円盤状テーブルを回転させるテーブル回転駆動部と、
前記円盤状テーブルの前記水平面上の前記外周側と前記中央側との間に位置するように前記装置本体に設けられ、前記円盤状テーブルとともに回転する前記鋳物砂の回転コースを前記鋳物砂供給部側から前記鋳物砂排出部側へ前記円盤状テーブルの半径方向に変位させる回転コース変位装置と、
前記円盤状テーブルの前記水平面上の前記外周側と前記中央側との間に位置するように前記装置本体に設けられ、前記円盤状テーブルの前記水平面上の前記鋳物砂を撹拌する撹拌装置と、
を備えた回収鋳物砂の冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)
本件発明にかかる回収鋳物砂の冷却装置を利用した回収鋳物砂再生設備の第一実施形態について、
図1〜
図12に基づいて以下に説明する。
第一実施形態の回収鋳物砂再生設備1は、
図1および
図2に示すように、装置本体2、回収鋳物砂の冷却装置3、バケットエレベータ4、篩装置5、サンドビン6および砂切り出し装置7を備えている。
【0012】
(装置本体)
装置本体2は、
図1および
図2に示すように、例えば、鉄鋼製部材からなる複数の角パイプが溶接等で組み付けられて立体的矩形枠状に形成されている。装置本体2は、床面GDに立設され後で詳述する回収鋳物砂の冷却装置3の上端部まで延在する四本の柱部材21と、四本の柱部材21間の下部2L、中間部2M、上部2Uおよび上端部2Tの高さ位置において横架された複数本の梁部材22とを有している。柱部材21および梁部材22は、夫々角パイプで形成されている。装置本体2は、回収鋳物砂の冷却装置3およびサンドビン6を囲むように配設されている。
【0013】
装置本体2の上端部には、後述する天井板32を支持する上端フレーム部23が形成されている。上端フレーム部23は、上部2Uの梁部材22からさらに上方に延在する柱部材21により固定支持されている。
上端フレーム部23は、
図4に示すように、短梁部材23aと長梁部材23bとで長方形の枠状に形成されている。さらに、上端フレーム部23は、対向する短梁部材23aの間に横架される二本の第一中梁部材23c、対向する二本の第一中梁部材23cの間に横架される第二中梁部材23dおよび対向する第二中梁部材23dの間に横架される二本の第三中梁部材23eを備えている。上端フレーム部23は、短梁部材23aと第一中梁部材23cとが結合する結合部分23ac、および二本の第一中梁部材23cの結合部分の反対側端部付近23c1において、例えば溶接により夫々柱部材21に固定支持されている。対向する第三中梁部材23eと第三中梁部材23eが横架された二本の第二中梁部材23dとにより正方形枠状部23fが形成されている。
【0014】
上端フレーム部23には、後述する回収鋳物砂の冷却装置3の天井板32が固定されている。天井板32は、上端フレーム部23の短梁部材23a、長梁部材23b、第一中梁部材23cおよび第二中梁部材23dの下端面に、例えば、ボルト・ナット等で固定されている。正方形枠状部23fの下面には、後述する天井軸受部材35eが天井板32を貫通させて固定されている。
【0015】
(回収鋳物砂の冷却装置)
回収鋳物砂の冷却装置3は、
図3に示すように、円盤状テーブル31、天井板32、鋳物砂供給部33、鋳物砂排出部34、テーブル回転駆動部35、回転コース変位装置36、撹拌装置37、散水装置38、冷却終了段階散水装置39およびならし装置40等を備えている。
【0016】
(円盤状テーブル)
円盤状テーブル31は、上面に水平面としての円環状の水平面板31aと、水平面板31aを支持する円環状の基礎板31bと、水平面板31a上の鋳物砂MSが外周側から外へ落下するのを防止する砂止め板31cとを、備えている。水平面板31aは、
図5に示すように、例えば、ステンレス鋼製部材より形成され、中央部には、後述する鋳物砂排出部34を構成する貫通穴31a1が設けられている。水平面板31aの下方には、基礎板31bが、例えば、ボルト・ナット或いは溶接等によって接着されている。基礎板31bの中央部には、後述する鋳物砂排出部34を構成する排出穴34aが形成されている。基礎板31bには、
図3に示すように、排出穴34aの内壁を十字状に交差して半径方向に横架した十字支持部31b4が設けられ、十字支持部31b4の中央部には嵌合穴31b5が形成されている。嵌合穴31b5には、後述する天井板32に向って延在する支持軸35dの下端部が嵌合固定されている(
図1および
図5参照)。支持軸35dの先端部は、天井板32に固定された天井軸受部材35eによって回転自在に支承されている。
基礎板31bの外径は、水平面板31aの外径よりも少し大きく形成され、水平面板31aよりも半径方向に突出した外端周縁の上面には縁部材31b1が固定されている(
図5参照)。
【0017】
水平面板31aの外周端縁と縁部材31b1との間には、水平面板31aの上面より上方に向かって所定長さで延在する砂止め板31cが周設されている。砂止め板31cは、例えば、ステンレス鋼製部材で形成されている。
基礎板31bの外周下端面には、下方に向って所定長さで突出する軌道板31b2が基礎板31bの外周縁に沿って筒状に設けられている。軌道板31b2は、例えば、縞鋼板製部材で形成され、基礎板31bの下面に、例えば、溶接により一体に固定されている。軌道板31b2の外周面には、後述する駆動ローラ35bの外周部が接触するようになっている。
【0018】
基礎板31bの下面には、複数(本実施形態では6個)のテーブル受けローラ35cが設けられている(
図3および
図5参照)。テーブル受けローラ35cは、基礎板31bの下面に固定された軸受部35c1と軸受部35c1に回転自在に軸支された車輪部35c2とを有している。各車輪部35c2は、
図1において、装置本体2の下から三段目(上部2U)の梁部材22の上面に敷設された円環状のレールRWの上に転動可能に載置されている。なお、駆動ローラ35b、テーブル受けローラ35c、支持軸35d、天井軸受部材35eおよび軌道板31b2は、後述するテーブル回転駆動部35の一部を構成する。
【0019】
水平面板31aの上面には、
図3に示すように、五つの同心環状の回転コースRO(外側からRO1,RO2,RO3,RO4,RO5)が形成されている。これらの回転コースROは、夫々半径方向の長さ(コース幅)が同じで、円周方向に沿った長さが外側になるほど長く形成されている。これらの回転コースRO1,RO2,RO3,RO4,RO5は、実際には鋳物砂供給部33および回転コース変位装置36により形成されるものであるが、説明の便宜上円盤状テーブル31において回転コースRO1,RO2,RO3,RO4,RO5を記載する。
【0020】
(天井板)
天井板32は、例えばステンレス鋼板製部材から、
図3および
図4に示すように、長方形の板状に形成され回収鋳物砂の冷却装置3の上面を蓋するように形成されている。天井板32は、上端フレーム部23の下端面に、例えば、ボルト・ナットにより固定されている。天井板32の下面には、
図5〜
図7に示すように、高さ方向の長さが短い円筒状の囲い壁32aが下方に向って所定幅で突設されている。囲い壁32aの上端面は、天井板32の下面に、例えば、溶接によって固定されている。囲い壁32aの外径は、砂止め板31cの内径よりも少し小さく形成され、囲い壁32aの下端縁は、砂止め板31cの上端縁と所定の隙間tを介して対向している(
図11、
図12および
図13参照)。囲い壁32aには、
図3、
図5および
図7に示すように、外周に沿って所定間隔で四箇所に外気吸入口32bが設けられている。囲い壁32aには、後述する砂受けホッパ33aに対向する反対側の位置に吸引ダクト接続口32cが設けられている(
図3参照)。吸引ダクト接続口32cは、図略の集塵装置の集塵パイプ(図略)が接続され、回収鋳物砂の冷却装置3内で生じる塵埃を集めて廃棄するとともに、外気吸入口32bより外気を取り入れることで、天井板32、円盤状テーブル31、囲い壁32aおよび砂止め板31cで形成される空間内の温度を冷却するようになっている。天井板32の中央部には、貫通穴が形成され、天井軸受部材35eが正方形枠状部23fに、天井板32を貫通して、例えば、ボルト・ナット(図略)により固定されている。
【0021】
(鋳物砂供給部)
鋳物砂供給部33は、
図1、
図5、
図10および
図11に示すように、砂受けホッパ33a、上限感知センサ33b、下限感知センサ33cおよび砂有無感知センサ33dを備えている。鋳物砂供給部33は、円盤状テーブル31の上方であって、半径方向外側の一箇所に砂止め板31cに接して設けられている。
【0022】
砂受けホッパ33aは、例えば、ステンレス鋼板製部材により、上部が長方形に開口する筒状に形成され、下方に向って内壁の開口が漸減される漏斗状に形成されている。砂受けホッパ33aは、上端フレーム部23の一方の短梁部材23aに図略のブラケットを介して固定されている。砂受けホッパ33aの上方には、後述する篩装置(篩)5の選別口の一方(搬出口5i)が開口し、篩装置5により細かい方に選り分けられた鋳物砂MSが砂受けホッパ33aに投入されるよう構成されている。砂受けホッパ33aの下部には、円盤状テーブル31の回転方向の下流側に開口する供給口33a1が開口し、供給口33a1から鋳物砂MSを円盤状テーブル31の外縁部(後述する一番外側の回転コースRO1)に所定の幅で供給するようになっている(
図10および
図11参照)。供給口33a1の上縁部には、砂切り出し高さ調整板33a2が設けられ、供給口33a1の開口高さが調節可能となっている。
円盤状テーブル31の水平面板31a上には、鋳物砂供給部33の供給口33a1から水平面板31a上に供給される所定の半径方向の幅で鋳物砂MSの回転コースRO1が形成される。
【0023】
(砂有無感知センサ)
供給口33a1の上縁部には、
図10および
図11に示すように、砂有無感知センサ33dが設けられている。砂有無感知センサ33dは、例えば、リミットスイッチで構成されている。このリミットスイッチは、例えば、円盤状テーブル31の半径方向に沿って延在する回転軸周りに回転可能に上端部が支持され重力により垂下する棒材33d1と、回転方向に直角な面を有し、棒材33d1の下端部に設けられた板材33d2とを、有している。板材33d2は、鋳物砂MSが供給口33a1から流出すると、鋳物砂MSに接触するようになっている。棒材33d1は、リミットスイッチのレバーを構成する。例えば、流出する鋳物砂MSに板材33d2が接触することで、棒材33d1が垂直位置に対して形成する傾動角度が、所定角度以上である場合、鋳物砂MSが円盤状テーブル31の上に存在することを検出する。また、傾動角度が所定角度以下である場合、鋳物砂MSが円盤状テーブル31上に存在しないことを検出する。鋳物砂MSの有無が検出された検出信号は、図略の制御装置に伝達される。制御装置は、伝達された検出信号に基づいて鋳物砂MSの供給量を制御する。
【0024】
また、砂有無感知センサは、
図3に示すように、冷却終了段階砂有無感知センサ33eとして、後述する冷却終了段階砂温センサ84の上流側に対応する天井板32にも固定されている。砂有無感知センサ33dと冷却終了段階砂有無感知センサ33eとは、同様の構造のものである。冷却終了段階砂有無感知センサ33eは、鋳物砂MSの有無を検出することで、冷却終了段階砂有無感知センサ33eの下流側に設けられた冷却終了段階砂温センサ84および冷却終了段階水分センサ82が検出する検出値の有効性を担保するとともに、注水を実行するか否かを判断する基準となる。
【0025】
(上限感知センサ)
砂受けホッパ33aの上部外側には、
図5および
図10に示すように、検出部33b1が砂受けホッパ33a内に突出する上限感知センサ33bが設けられている。上限感知センサ33bは、砂受けホッパ33aに投入されて貯留されて積み重なった鋳物砂MSの上限の高さを検知する。上限の高さを超えることが検知された場合、その検知信号は制御装置に送られる。制御装置は、篩装置5からの鋳物砂MSの投入を停止させ、砂受けホッパ33aから鋳物砂MSが溢れて外部に落下するのを防止する。また、制御装置は、後述する下限感知センサ33cにより鋳物砂MSの下限の高さが検知されて、円盤状テーブル31の回転が停止している場合に、上限感知センサ33bによる上限の高さが検知されることで、円盤状テーブル31の回転を再開させる。
【0026】
(下限感知センサ)
砂受けホッパ33aの下部外側には、
図5および
図10に示すように、検出部33c1が砂受けホッパ33a内に突出する下限感知センサ33cが設けられている。下限感知センサ33cは、砂受けホッパ33aに投入されて積み重なった鋳物砂MSの下限の高さを検知する。下限の高さ以下が検知された場合、その検知信号は制御装置に送られる。制御装置は、例えば、円盤状テーブル31の回転を停止させ、上限感知センサ33bが鋳物砂MS上限を検知して鋳物砂MSの供給が可能となるまで、円盤状テーブル31の回転停止を継続させる。
【0027】
上限感知センサ33bおよび下限感知センサ33cは、例えば、静電容量式レベルスイッチであり、図略の絶縁された検出電極と接地電極とから構成され、この二つの電極間に生じる静電容量の変化から測定物である鋳物砂MSの有無を検出する。
【0028】
(鋳物砂排出部)
鋳物砂排出部34は、
図3、
図5および
図7に示すように、水平面板31aの中央部に設けられた貫通穴31a1と、基礎板31bの中央部に設けられた排出穴34aとを、備えている。貫通穴31a1と排出穴34aとは、同心で同様の内径寸法で形成されている。基礎板31bの中央部は、排出穴34aの内周壁を形成するように下方に向って所定長さで突出し、冷却された鋳物砂MSが排出される際のガイドとなっている。排出穴34aには、前述のように十字支持部31b4が設けられ、十字支持部31b4は排出穴34aの内壁空間内で十字状に交差するように横架されている。十字支持部31b4の中央部には嵌合穴31b5が形成されている。嵌合穴31b5は、排出穴34aと同軸に構成されている。嵌合穴31b5には、後述する天井軸受部材35eに回転自在に支承された支持軸35dが嵌合固定される。
【0029】
(テーブル回転駆動部)
テーブル回転駆動部35は、
図5に示すように、電動モータ35aと駆動ローラ35bと軌道板31b2とテーブル受けローラ35cとを備えている。電動モータ35aは、装置本体2の上部2Uにおける鋳物砂供給部33側の梁部材22に取付部材35a1を介して固定されている。電動モータ35aの駆動軸35a2は、垂直に延在するように配置され、駆動軸35a2の先端には、例えばゴム製部材で円盤状に形成された駆動ローラ35bが固定されている。駆動ローラ35bが、軌道板31b2の外周縁に接触して電動モータ35aの駆動力を円盤状テーブル31に伝達する。円盤状テーブル31の下面には、円環状のレールRW上を転動する六機のテーブル受けローラ35cが設けられている。これによって、円盤状テーブル31は、天井板32に固定された天井軸受部材35eに支承された支持軸35dの軸心CL(円盤状テーブル31の軸心CLと同じ)を中心に回転する。
【0030】
(回転コース変位装置)
回転コース変位装置36は、
図3、
図7、
図8および
図9に示すように、円盤状テーブル31の水平面板31aの五つの回転コースRO1,RO2,RO3,RO4,RO5に夫々対応させて天井板32より垂下されている。
各回転コース変位装置36は、
図3および
図7に示すように、例えば、ステンレス鋼板製部材から薄板部材36aが逆T字状に形成されている。薄板部材36aは、円盤状テーブル31に配置される半径方向外側が凸の円弧状になるように下部が湾曲されている。円弧状に形成された薄板部材36aの下部は、円盤状テーブル31の円環状の各回転コースRO1,RO2,RO3,RO4,RO5の接線方向に対して夫々前端が内側に傾斜する傾斜面36afを構成している。なお、前端とは、円盤状テーブル31の回転方向(
図3において反時計回り)の前側に対応する端部をいう。薄板部材36aの上部は、
図8および
図9に示すように、円柱状の固定部材36bの下端に上下方向に延在して形成された取付溝に嵌入され、例えば、ねじ75で固定部材36bに固定されている。固定部材36bは、上端にフランジ部36b1が周設され、フランジ部36b1は天井板32に例えば、ボルト・ナット74で固定されている。
薄板部材36aは、
図3に示すように、五枚の薄板部材36a1,36a2,36a3,36a4,36a5で構成されている。薄板部材36a1は、鋳物砂供給部33が位置する一番外周の回転コースRO1に配置されている。薄板部材36a5は、鋳物砂排出部34に隣接する一番内周の回転コースRO5に配置されている。薄板部材36a1が、水平方向に延在する幅が一番大きく、薄板部材36a5が、水平方向に延在する幅が一番小さく形成されている。薄板部材36a2、薄板部材36a3および薄板部材36a4は、水平方向に延在する幅が順に小さく形成され、回転コースRO2,RO3,RO4に夫々対応して配置されている。
各薄板部材36aは、円盤状テーブル31の各回転コースRO1,RO2,RO3,RO4,RO5の接線方向に対して夫々前端が内側に傾斜しており、半径方向の幅が、対応する一つの回転コースROの外端より隣接する内側の回転コースROの外端まで延在している。また、薄板部材36a1,36a2,36a3,36a4,36a5の下端部は、水平面板31aの上面に摺動可能に当接した状態で設けられている。そのため、薄板部材36a(例えば、薄板部材36a1)は、供給される鋳物砂MSの回転コース(例えば、RO1)を隣接する内側の回転コース(例えば、RO2)に変位するようになっている。円盤状テーブル31が回転すると、鋳物砂MSは、薄板部材36aに接触する度に隣接する内側の回転コースROに変位し、鋳物砂排出部34に至ると排出穴34aから下方のサンドビン6の中央部に排出される。
【0031】
鋳物砂MSの回転コースROは、五枚の薄板部材36aによって、五つの同心円状の回転コースRO(外側からRO1,RO2,RO3,RO4,RO5)が形成される。なお、上記五枚の薄板部材36a1,36a2,36a3,36a4,36a5のいずれかを特定する必要がない場合、単に薄板部材36aと表記する。
【0032】
(ならし装置)
ならし装置40は、
図3に示すように、回転コース変位装置36に対して円盤状テーブル31の軸心CLを対称の中心として点対称となる位置に設けられている。ならし装置40は、外側から三枚の薄板部材40a1,40a2,40a3が配置されている。ならし装置40の薄板部材40a1,40a2,40a3は、
図7に示すように下端が水平面板31aの上面に当接しておらず、水平面板31aに、例えば、10cm〜15cm程度隙間を空けて対向するように設けられている点において回転コース変位装置36の薄板部材36aと相違する。薄板部材40a1,40a2,40a3のその他の形状および取付構造は、回転コース変位装置36の薄板部材36aと同様であるため、説明を省略する。
【0033】
内側の回転コースROに変位する程、回転コースROの円周の長さが短くなるため、回転コースRO上に沿って載置された鋳物砂MSの層が厚くなって鋳物砂MSが嵩高となる。鋳物砂MSの層が厚くなって嵩高になると、水平面板31a上での鋳物砂MSの冷却効率が低下する。そのため、ならし装置40は、薄板部材40a1,40a2、40a3によって、盛り上がった鋳物砂MSの頂部を平らにならして、鋳物砂MSの層が厚くなるのを防止することで、高い冷却効率を維持することができる。
【0034】
(撹拌装置)
撹拌装置37は、
図3、
図6および
図10に示すように、撹拌回転軸37a、撹拌回転駆動装置37bおよび羽板部材37a2を備えている。撹拌回転軸37aは、回転コース変位装置36に対して、円盤状テーブル31の回転方向の逆方向に約50度ずれた位置と、ならし装置40に対して、円盤状テーブル31の回転方向の逆方向に約50度ずれた位置とに、円盤状テーブル31の半径長さに対応する長さで設けられている。
撹拌回転軸37aの一方は、
図6に示すように、天井軸受部材35eのケーシング35e1の一方の側部より下方に垂下する一方の支持アーム35e2と、天井板32より半径方向外側に突出した上端フレーム部23の下面に垂下する一方の端部支持アーム32d1との間に横架されている。撹拌回転軸37aの他方は、
図6に示すように、天井軸受部材35eのケーシング35e1の他方の側部より下方に垂下する他方の支持アーム35e2と、天井板32より半径方向外側に突出した上端フレーム部23の下面に垂下する他方の端部支持アーム32d1と、の間に横架されている。撹拌回転軸37aの回転軸心SCLは、円盤状テーブル31の軸心CLに直交して設けられている。
【0035】
そして、撹拌回転軸37aは、支持アーム35e2の先端に夫々設けられたベアリング35e3と、端部支持アーム32d1の先端に夫々設けられた端部ベアリング32d2とに回転自在に支承されている。撹拌回転軸37aは、端部ベアリング32d2よりさらに半径方向に突出した突出部を有し、突出部にはプーリ37dが撹拌回転軸37aと相対回転不能に固定されている。プーリ37dの上方に位置する上端フレーム部23の長梁部材23bには電動モータ37eが配置されている。電動モータ37eは、半径方向に延在する駆動軸37e1を備え、駆動軸37e1の先端には駆動プーリ37e2が相対回転不能に固定されている。プーリ37dの撹拌回転軸37aと駆動プーリ37e2の駆動軸37e1とは、平行に配置され、プーリ37dと駆動プーリ37e2との間に掛けられたベルト37fによって回転トルクが伝達可能になっている。プーリ37d、電動モータ37e、駆動プーリ37e2およびベルト37fによって、主に撹拌回転駆動装置37bが構成される。
【0036】
撹拌回転軸37aの周りには、
図10に示すように、「かざぐるま」の羽根のように四方向に突出する複数の回転部材37a1が固定され、回転部材37a1の四つの先端には回転方向に直角な面を有する羽板部材37a2が夫々固定されている。羽板部材37a2の半径方向外側の端部は、回転部材37a1が回転する際に、水平面板31aの上面に狭小の隙間を介して対向するよう構成されている。回転部材37a1の回転は、
図10において反時計回りに回転し、これは円盤状テーブル31の撹拌装置37に対する相対的移動方向(
図10において矢印で示す右方向)に沿う方向となっている。これによって、回転部材37a1による撹拌の際に、鋳物砂MSが過度に飛散するのを抑制している。
【0037】
撹拌装置37の上流側および下流側には、撹拌した際に生じる砂の飛散を抑制する砂飛散防止板371,372が半径方向に延在して夫々設けられている。これらの砂飛散防止板371,372は、例えば、弾力性のあるゴム製部材より形成されている。砂飛散防止板371,372に飛散した鋳物砂MSが当たった際に、その弾性によって砂飛散防止板371,372が振動し、或いは弾発によって鋳物砂MSの砂飛散防止板371,372自体への付着を防止することができる。
【0038】
(散水装置)
散水装置38は、
図3、
図10および
図13に示すように、散水ノズル38aと、図略の水供給源と、散水ノズル38aと水供給源との間に設けられた図略の電磁切替弁と、を備えている。この散水装置38は、半径方向に並べられた二つの散水ノズル38aが、円盤状テーブル31の回転方向における鋳物砂供給部33から下流側の直後の位置となる回転コースRO1に対向するように設けられている。これらの散水ノズル38aは天井板32に固定され、散水口38a1が円盤状テーブル31の水平面板31aに向って設けられている。散水ノズル38aの基端側には、水の供給遮断を手動で行うことが可能な開閉コック38bが夫々設けられている。
この散水装置38は、鋳物砂供給部33から円盤状テーブル31の水平面板31a上に供給された鋳物砂MSに散水する。
【0039】
また、散水装置としての冷却終了段階散水装置39は、
図3に示すように、回転コースRO4に対向する天井板32に散水ノズル39aが固定されている。回転コースRO4には、冷却終了段階にある鋳物砂MSが載置されて回転している。冷却終了段階散水装置39と散水装置38とは、同様の構成の装置である。冷却終了段階散水装置39の散水ノズル39aは、鋳物砂排出部34の上流側の鋳物砂MSの回転コースRO4上に半径方向に並べて一対設けられている。鋳物砂MSを排出するサンドビン6内で熟成するためには、適量の水分が残存している必要がある。そのため、後述する冷却終了段階水分センサ82で残存水分量を測定し、必要な水分を冷却終了段階散水装置39で追加する。散水ノズル38a,39aは、水を粒状或いは霧状にして散布するものであり、公知技術であるので説明を省略する。なお、冷却終了段階散水装置39は、回転コースRO5に設けられていてもよい。
【0040】
(水分センサ)
水分センサ81は、
図3、
図10および
図12に示すように、回転コースRO1における鋳物砂供給部33と散水装置38の散水ノズル38aとの間に対向する天井板32に固定されている。水分センサ81は、例えば、電気抵抗式のものを使用することができる。電気抵抗式の水分センサ81は、砂中に配置した二枚の電極板81aの間に電圧を加え、砂中の水分量によって変化する抵抗値を、電流量から求めることで、水分量を求めるものである。水分センサ81で検出された鋳物砂MSの水分量は、制御装置に伝達される。制御装置は、散水装置38の散水量を制御して冷却する鋳物砂MSに含有させる水分量を調整する。
【0041】
また、水分センサは、冷却終了段階水分センサ82として、
図3に示すように、回転コースRO4における冷却終了段階散水装置39の散水ノズル39aの上流側に対向する天井板32にも固定されている。鋳物砂MSを排出するサンドビン6内で熟成するためには、適量の水分が残存している必要がある。そのため、冷却終了段階水分センサ82は、冷却されて残存水分量も減少した冷却終了段階の鋳物砂MSの残存水分量を検出する。そして、制御装置は、検出された残存水分量に基づいて熟成に必要な所要の水分を冷却終了段階散水装置39により追加する。
【0042】
(砂温センサ)
砂温センサ83は、
図3および
図10に示すように、回転コースRO1における供給口33a1と水分センサ81との間に対向する天井板32の位置に設けられている。砂温センサ83は、例えば、赤外放射温度計であり、鋳物砂MSから放射される赤外線の強度を測定して鋳物砂MSの表面温度を測定する。
【0043】
測定された鋳物砂MSの温度は、検出信号として制御装置に伝達される。制御装置は、伝達された温度の値に基づいて、例えば、散水装置38の散水量を制御する。散水装置38の散水量を増加させることで、充分に冷却することができる。
【0044】
また、砂温センサは、冷却終了段階砂温センサ84として、回転コースRO4における冷却終了段階水分センサ82の上流側に対応する天井板32の位置に固定されている。砂温センサ83と冷却終了段階砂温センサ84とは、同様のものである。鋳物砂MSを排出するサンドビン6内で熟成するためには、適量の水分の残存と適切な砂温とが必要である。そのため、冷却終了段階砂温センサ84は、冷却されて鋳物砂排出部34に至る直前の鋳物砂MSの温度を測定し、制御装置は、測定された鋳物砂MSの温度に基づいて、鋳物砂MSの冷却に必要な所要の水分を冷却終了段階散水装置39により追加する。
【0045】
鋳物砂MSは、砂鋳型から解体され、図略のシェイクアウトマシンを経て、例えば、図略の振動コンベヤによって搬送され、バケットエレベータ4および篩装置5を経由して回収鋳物砂の冷却装置3に供給される。
【0046】
(バケットエレベータ)
バケットエレベータ4は、
図1に示すように、複数のバケツ4aが装着されたエンドレスチェーン4bを上下方向に回転循環させることで、鋳物砂MSを上方位置へ垂直搬送する。垂直搬送された鋳物砂MSは、篩装置5に搬入される。バケットエレベータ4は、公知技術であるので説明を省略する。バケットエレベータ4として、例えば、特開2002−35889号公報に記載されたバケットエレベータを挙げることができる。
【0047】
(篩装置)
篩装置5は、回収鋳物砂の冷却装置3の上方に設けられている。
篩装置5は、
図1および
図2に示すように、鋳物砂MSを張架され振動が加えられた網部材5bの上で通過させ、網部材5bの網目を通過して落下するものと、通過せずに残るものとを選別する。本実施形態の篩装置5では、回収鋳物砂の冷却装置3の上方を水平方向に沿ってバケットエレベータ4側から排出シュート51側へ延在するケーシング5aと、ケーシング5aの中ほどの高さ位置に張架された網部材5bと、網部材5bの上に設けられた網上通路5cと、網部材5bの下に設けられた網下通路5dとを備えている。
ケーシング5aの上流側には、網上通路5cに鋳物砂MSを搬入する搬入口5gが設けられ、ケーシングの下流側には、網上通路5cから鋳物砂MSを排出する排出口5hと、網下通路5dから鋳物砂MSを搬出する搬出口5iとが設けられている。さらに、ケーシング5aを振動させる振動電動機5eとケーシング5aの振動が下方の回収鋳物砂の冷却装置3に伝わるのを防止する防振ばね5fとを備えている。
網部材5bを通過して網下に落下した細かい粒の鋳物砂MSは、網下通路5dを経由して搬出口5iから回収鋳物砂の冷却装置3の砂受けホッパ33aに搬入される。網上に残った砂ダマ、中子など粗い粒は、網上通路5cを経由して排出口5hから排出シュート51を介して砂ダマ受け箱52に排出される。篩装置5は、公知技術であるので、詳しい説明を省略する。篩装置5として、例えば、特開平5−57249号公報に記載された篩装置を挙げることができる。
【0048】
(サンドビン)
サンドビン6は、
図1および
図2に示すように、冷却された鋳物砂MSを貯留する装置であり、一般に円筒状の容器に鋳物砂MSを入れ、先入れ先出しの順番を維持しながら、所定時間貯留することで、鋳物砂MSを熟成させる。このように鋳物砂MSを熟成することで、造型時に模型がきれいに抜けるとか、練り易い鋳物砂MSになる等の効果を生じることが知られている。
【0049】
本実施形態のサンドビン6は、
図1に示すように、回収鋳物砂の冷却装置3の下方に設けられ、回収鋳物砂の冷却装置3の鋳物砂排出部34から排出される鋳物砂MSが上部から搬入される。サンドビン6は、筒状本体6aと、回転テーブル6bと、回転テーブル6bに相対回転不能に立設され筒状本体6aを支持する支持中心軸6cとを、備えている。
筒状本体6aは、上端部に天板部6a1が円筒状の上端部を封止するように設けられている。天板部6a1の中央には、搬入口6a2が開口され、鋳物砂排出部34の排出穴34aと連通するよう構成されている。
支持中心軸6cは、上部中間部において四方に90度の間隔で水平方向に延在する上部支持杆6cuおよび下部中間部において四方に90度の間隔で水平方向に延在する下部支持杆6cdを備えている。各上部支持杆6cuおよび各下部支持杆6cdは、斜め補強材6cfによって支持中心軸6cに強固に保持されている。各上部支持杆6cuおよび各下部支持杆6cdは、先端部が夫々筒状本体6aの内壁に、例えば溶接で固定されている。支持中心軸6cの下部は、下方に向って外径が増加するテーパ部6dが形成されている。このテーパ部6dは、後述する砂切り出し装置7(
図2参照)が鋳物砂MSを切り出す際に、外側への鋳物砂MSの流れを形成するようになっている。
【0050】
筒状本体6aの下端と回転テーブル6bとの間には、搬出口6a3が設けられ、搬出口6a3は筒状本体6aの下端に沿って開口している。搬出口6a3には、半径方向外側に対向する位置に後述する砂切り出し装置7が設けられている。
【0051】
回転テーブル6bの下面には、中心に回転軸6eが設けられている。回転軸6eは、垂直方向に延在し基台Bに設けられた軸受6fに回転自在に支承されている。回転テーブル6bの下面には、円形のサンドビンレールSRWが一体に設けられている。サンドビンレールSRWに対向する基台Bの回りには、等間隔で配列された6個の回転テーブル受けローラ6gが設けられている。回転テーブル受けローラ6gに支持された回転テーブル6bは、サンドビンレールSRWと共に回転軸6e周りに回転可能となっている。
【0052】
回転テーブル6bの下面には、電動モータ6h1と回転テーブル6bの下端部に回転軸6eの周りに周設されたギヤ機構6h2とを備えた駆動機構6hが設けられている。この駆動機構6hは、電動モータ6h1のトルクをギヤ機構6h2に伝達して、回転テーブル6bを回転させるよう構成されている。
【0053】
筒状本体6a、支持中心軸6cおよび回転テーブル6bは、一体となって支持中心軸6c(および回転軸6e)の軸心(円盤状テーブル31の軸心CLと同軸)を中心に回転する。この一体となった回転により、鋳物砂MSが搬入されて搬出されるまでの間に筒状本体6a内で生じる偏流現象を防止し、均一な鋳物砂MSの流れを維持することができる。これによってサンドビン6の筒状本体6a内で、投入され搬出される鋳物砂MSの先入れ先出しの順番を維持し、鋳物砂MSに均一の熟成を生じさせることができる。
【0054】
(砂切り出し装置)
砂切り出し装置7は、
図2および
図14に示すように、サンドビン6の下部に配設された搬出口6a3に対向して設けられている。砂切り出し装置7は、必要に応じてサンドビン6に貯留された鋳物砂MSを搬出口6a3より掻き出す。
砂切り出し装置7は、鞘部材7aと、鞘部材7aから進退する切り出しアーム7bと、切り出しアーム7bを進退させるアーム駆動装置7cとを備えている。鞘部材7aは、鉄鋼製部材から棒状に形成され、切り出しアーム7bが挿通する断面矩形状の保持穴7a1が穿設されている(
図14参照)。鞘部材7aは、サンドビン6の回転テーブル6bの回転方向の接線方向に対して後端が内側に傾斜するように装置本体2に固定されている。なお、後端とは、回転テーブル6bの回転方向(
図14において反時計回り)の後側に対応する鞘部材7aの端部をいう。切り出しアーム7bは、鞘部材7aの保持穴7a1に挿入されて進退可能に構成されている。切り出しアーム7bは、先端7b1が一方(外側)の側辺と成す角が鋭角となるように形成されている。
アーム駆動装置7cは、例えば、油圧によるシリンダピストン機構で構成される。なお、本実施形態において、アーム駆動装置7cは、油圧によるシリンダピストン機構としたが、これに限定されず、例えば、リニアモータや電磁ソレノイドを使用したアクチュエータでもよい。砂繰り出し装置7に切り出された鋳物砂MSは、ベルトコンベヤVC2に載置され次工程である混錬工程に搬送される。
【0055】
本実施形態における回収鋳物砂の冷却装置3は、円盤状テーブル31に鋳物砂MSを広く散布した状態で冷却でき、高さが低く設定することができるので、篩装置5やサンドビン6と重ねて組み合わせても、全体として高さの低いコンパクトな設備とすることができる。回収鋳物砂の冷却装置3は、篩装置5やサンドビン6と重ねて組み合わせることで、設備が占める床面積が狭い省スペースを実現する設備とすることができる。
【0056】
(作動)
次に、上記のように構成された回収鋳物砂の冷却装置3を使用した回収鋳物砂の再生設備1の作動を中心に以下に説明する。
鋳物砂MSは、鋳物品と分離された砂鋳型から解体され、図略のシェイクアウトマシンを経て図略の振動コンベヤによって搬送される。振動コンベヤで搬送された鋳物砂MSは、
図1に示すように、ベルトコンベヤVC1からバケットエレベータ4に移され、バケットエレベータ4によって上方位置に垂直移動される。そして、鋳物砂MSは、回収鋳物砂の冷却装置3の上方に設けられた篩装置5に搬入される。この時点での鋳物砂MSは、砂ダマ、中子ガラおよび玉金等が中に混在している。
【0057】
篩装置5は、振動電動機5eの駆動により網上通路5cおよび網下通路5dを含むケーシング5a全体が振動する。篩装置5に搬入された鋳物砂MSは、網部材5bの上を振動しながら移動し、網上通路5cと網下通路5dとに選別される。この際、砂ダマ、中子ガラおよび玉金等の比較的大きな固まりは、網上通路5cに残り、細かい砂粒は、網部材5bの網目を通過して網下通路5dに落とされる。網上通路5cに残された比較的大きな固まりは、網上通路5cを移動して、排出シュート51に排出されて砂ダマ受け箱52に貯められる。細かい砂粒は、
図5に示すように、網下通路5dを振動しながら移動して、網下通路5dの下流端より回収鋳物砂の冷却装置3の砂受けホッパ33aに搬入される。
【0058】
砂受けホッパ33aに搬入された鋳物砂MSは、この時点で、例えば、約90℃であり、さらなる冷却が必要である。砂受けホッパ33aに貯留される鋳物砂MSの貯留量は、上限感知センサ33bおよび下限感知センサ33cにより上限および下限が検出されて管理される。
【0059】
砂受けホッパ33aに搬入された鋳物砂MSは、供給口33a1から吐出されて円盤状テーブル31の水平面板31a上に供給される。本実施形態では、水平面板31a上の一番外側の回転コースRO1上に沿って供給される。円盤状テーブル31は、
図3において反時計回りに例えば2rpmで回転している。円盤状テーブル31の回転は、電動モータ35aの駆動力が駆動ローラ35bが接触する軌道板31b2を回転させることにより行われる。円盤状テーブル31の回転速度は、制御装置により適宜変更が可能である。
【0060】
そして、回転コースRO1上で、砂有無感知センサ33dにより鋳物砂MSが水平面板31a上に有ることが検出される。続いて、砂温センサ83により鋳物砂MSの回転コースRO1上での温度が検出される。さらに、水分センサ81によって鋳物砂MSの水分量を検出する。砂温センサ83で検出された鋳物砂MSの温度の値、および水分センサ81で検出された水分量の値は、制御装置に伝達される。制御装置は、伝達された温度の値および水分量の値に基づいて、散水装置38で散水する水の量を調整する。
【0061】
次に、鋳物砂MSは、回転コースRO1上を移動し、撹拌装置37により撹拌される。撹拌装置37は、回転コースRO1上に供給された際に、積み重ねられて下となった鋳物砂MSを掻き揚げることで、鋳物砂MSに含まれる熱を発散させる。また、散水された鋳物砂MSを撹拌することで、水分が気化する状態を高め、冷却を促進することができる。
【0062】
鋳物砂MSは、
図3に示すように、回転コースRO1上を180度移動し、その間に冷却が進行する。そして、鋳物砂MSは、再度、撹拌装置37によって、撹拌されて、鋳物砂MSの内部にこもった熱が発散される。
【0063】
鋳物砂MSは、回転コースRO1上を移動することで、回転コース変位装置36の一番外側の薄板部材36a1に接触する。薄板部材36a1に接触した鋳物砂MSは、円弧状の傾斜面36afに沿って半径方向内側に移動することで、回転コースRO1から隣接する内側の回転コースRO2に変位する。
【0064】
回転コースRO2上に変位した鋳物砂MSは、
図3に示すように、回転コースRO2上を撹拌装置37によって同様に撹拌されながら回転し、360度回転したところで回転コース変位装置36の外側から二つ目の薄板部材36a2に接触する。
【0065】
鋳物砂MSは、薄板部材36a2に接触することで回転コースRO3に変位する。回転コースRO3は、
図3に示すように、回転コースRO1,RO2に比較して外径が小さく、円周長さが短くなっている。そのため、回転コースRO3に沿って載置される鋳物砂MSが積み重なった厚みは、
図7に示すように、厚くなっていく。回転コースRO3をさらに180度回転したところで、鋳物砂MSが積み重なって厚くなった頂部は、ならし装置40の薄板部材40a1に接触して平らに均される。これによって、鋳物砂MSが厚くなって鋳物砂MSの冷却効果が低下するのを防止することができる。鋳物砂MSは、ならし装置40の薄板部材40a2および薄板部材40a3に接触した場合も、同様に平らに均される。
以下、鋳物砂MSは、同様に回転して、外側から三番目の薄板部材36a3に接触し、外側から四番目の回転コースRO4まで変位する。
【0066】
外側から四番目の回転コースRO4まで変位した鋳物砂MSは、冷却終了段階砂温センサ84により砂の温度が検出される。この場合、冷却終了段階砂有無感知センサ33eにより、回転コースRO4上に鋳物砂MSが存在することが確認されることが前提となる。また、鋳物砂MSは、冷却終了段階水分センサ82により残存水分量が測定される。検出された鋳物砂MSの温度の値および残存水分量の値は、制御装置に伝達される。制御装置は、伝達された鋳物砂の温度の値および残存水分量の値に基づいて、水分を冷却終了段階散水装置39で追加する。この追加される水分は、次工程にあるサンドビン6内での鋳物砂MSの熟成に必要な水分であり、また、さらに冷却するために必要な水分である。この時点で冷却終了段階砂温センサ84により検出される鋳物砂MSの温度は、例えば、40℃である。
【0067】
残存水分量が調整された鋳物砂MSは、
図1および
図7に示すように、外から四番目の薄板部材36a4および五番目の薄板部材36a5に接触することで、鋳物砂排出部34の排出穴34aからサンドビン6に排出される。
【0068】
サンドビン6に搬出される鋳物砂MSは、サンドビン6内に上部の搬入口6a2から搬入される。サンドビン6は、筒状本体6a、支持中心軸6cおよび回転テーブル6bが、駆動機構6hによって一体となって回転している。サンドビン6は、例えば、一時間当たり一〜二回程度でゆっくり回転し、その間に鋳物砂MSを熟成させる。
【0069】
サンドビン6は、筒状本体6a、回転テーブル6b及び支持中心軸6cが一体となって回転している。サンドビン6の内部で、鋳物砂MSの偏流(後から搬入した一部の鋳物砂MSが先に搬出口6a3に到達してしまう鋳物砂MSの流れ。)を生じさせない。そのため、先行してサンドビン6に搬入された鋳物砂MSは、必ず先行して切り出される。これによって、鋳物砂MSは、サンドビン6内で均一な熟成を図ることができる。
【0070】
熟成した鋳物砂MSは、サンドビン6の筒状本体6aの下端にある搬出口6a3より砂切り出し装置7によって切り出される。制御装置は、砂切り出し装置7のアーム駆動装置7cを駆動させ、
図14に示すように、切り出しアーム7bを搬出口6a3内に前進させる。テーパ部6dの側面下部に切り出しアーム7bの先端部を当接させる。筒状本体6aの下端まで降下した鋳物砂MSは、回転テーブル6b等の回転に伴って、切り出しアーム7bの側面にガイドされてベルトコンベヤVC2に搬出される。ベルトコンベヤVC2に搬入された鋳物砂MSは、例えば、混錬工程等の次工程に搬送される。
【0071】
上記の説明で明らかなように、第一実施形態の回収鋳物砂の冷却装置3は、上面に水平面を有する水平面板31aが設けられるとともに装置本体2に回転可能に設けられている。注湯後に解体された砂鋳型から回収されて篩装置5によって分離された鋳物砂MSが水平面板31a上に供給される円盤状テーブル31と、円盤状テーブル31の水平面板31a上の外周側31oおよび中央側31iの一方側に設けられ鋳物砂MSを供給する鋳物砂供給部33と、円盤状テーブル31の水平面板31a上の外周側31oおよび中央側31iの他方側に設けられ鋳物砂MSを円盤状テーブル31上から排出する鋳物砂排出部34と、を備えている。円盤状テーブル31の軸心CLを中心に円盤状テーブル31を回転させるテーブル回転駆動部35と、円盤状テーブル31の水平面板31a上の外周側31oと中央側31iとの間に位置するように装置本体2に設けられ、円盤状テーブル31とともに回転する鋳物砂MSの回転コースROを鋳物砂供給部33側から鋳物砂排出部34側へ円盤状テーブル31の半径方向に変位させる回転コース変位装置36と、を備えている。円盤状テーブル31の水平面板31a上の外周側31oと中央側31iとの間に位置するように装置本体2に設けられ、円盤状テーブル31の水平面板31a上の鋳物砂MSを撹拌する撹拌装置37と、を備えている。
【0072】
これによると、回収された鋳物砂MSは、円盤状テーブル31の回転に伴って鋳物砂供給部33から円盤状テーブル31の水平面板31aの回転コースRO上に沿って薄い層状に散布される状態で供給される。このように、回転コースRO上に薄い層状に散布され外気に接触する部分が多くなった鋳物砂MSは、水平面板31a上で効率よく冷却される。そして、鋳物砂MSは、回転コース変位装置36により回転コースROを鋳物砂供給部33側から鋳物砂排出部34側へ変位することで少しずつ移動し、回転コースRO上にある間に時間をかけて充分に冷却することができる。
【0073】
さらに鋳物砂MSは、積み重ねられて熱が溜まり易い鋳物砂MSの内部が、撹拌装置37による撹拌によって掻き揚げられて溜まった熱が発散される。このようにして、本件回収鋳物砂の冷却装置3は、鋳物砂MSが円盤状テーブル31上の回転コースROに沿って移動する間に、高温であった鋳物砂MSを効率よく冷却することができる。
【0074】
また、回収鋳物砂の冷却装置3は、円盤状テーブル31の水平面板31a上に供給された鋳物砂MSに散水する散水装置38をさらに備えている。
これによると、散水装置38は、円盤状テーブル31の水平面板31a上に広く散布された状態の鋳物砂MSに散水する。広く散布された鋳物砂MSは、砂の層が薄い状態でかつ砂の層の上面の面積が広い状態であり、接触した水分を効率よく蒸発させることができる。水分の接触による冷却と、この効率的な蒸発に伴って奪われる気化熱とによって、鋳物砂MSを効果的に冷却することができる。
【0075】
また、回転コース変位装置36は、装置本体2に固定され、円盤状テーブル31の回転方向に対して傾斜する傾斜面36afを有し、円盤状テーブル31が回転する際に、円盤状テーブル31とともに回転する鋳物砂MSと接触する薄板部材36aである。
これによると、円盤状テーブル31上の回転コースRO上に配置された鋳物砂MSが、装置本体2に固定された薄板部材36aの傾斜面に接触する度に、外周側31oまたは中央側31iの隣接する回転コースRO上へ変位する。このように、鋳物砂MSは、薄板部材36aという簡素な構造の回転コース変位装置36により鋳物砂供給部33から時間をかけて少しずつ鋳物砂排出部34に向って移動するので、鋳物砂MSを充分に冷却することができる。
【0076】
また、撹拌装置37は、円盤状テーブル31の軸心CLに対して直交する回転軸心SCLを備え、円盤状テーブル31の水平面板31aの上方に中央側31iと外周側31oとの間で装置本体2に回転自在に横架された撹拌回転軸37aを備えている。また、撹拌回転軸37aを回転させる撹拌回転駆動装置37bと、撹拌回転軸37aに設けられ撹拌回転軸37aが回転すると鋳物砂MSを撹拌する羽板部材37a2と、を備えている。
これによると、撹拌装置37は、撹拌回転軸37aに設けた羽板部材37a2という簡素な構成で、円盤状テーブル31の中央側31iと外周側31oとの間の水平面板31a上に散布された鋳物砂MSを、万遍なく撹拌することができる。
【0077】
また、冷却終了段階散水装置39は、散水装置として、円盤状テーブル31上での冷却が進行して冷却終了段階となった鋳物砂MSに散水するものである。円盤状テーブル31の回転方向において、冷却終了段階散水装置39の上流側に鋳物砂MSの残存水分量を検出する冷却終了段階水分センサ82をさらに設ける。冷却終了段階散水装置39は、冷却終了段階水分センサ82が検出した残存水分量に基づいて散水する。
これによると、冷却が終了段階となり残存水分量も減少した排出される直前の鋳物砂MSの残存水分量を冷却終了段階水分センサ82で検出する。そして、検出された残存水分量に基づいて、次工程での鋳物砂MSの熟成に必要な水分を、冷却終了段階散水装置39により追加することができる。
【0078】
(第二実施形態)
次に、本件発明にかかる回収鋳物砂の冷却装置の第二実施形態について、
図15〜
図17に基づいて以下に説明する。
第二実施形態の回収鋳物砂の冷却装置103は、第一実施形態における回転コース変位装置36と撹拌装置37との二つの機能を備えた回転コース変位撹拌装置137を備えることが第一実施形態と相違する。さらに、篩装置5が回収鋳物砂の冷却装置103の上方に設けられておらず、図略の篩装置によって選別された鋳物砂MSがベルトコンベヤVC3により搬送されて供給されること、サンドビン6が第一実施形態のように回収鋳物砂の冷却装置103の下方に設けられておらず、排出穴34aから排出された鋳物砂MSはベルトコンベヤVC4により図略のサンドビンに搬送されることが第一実施形態と相違する。
さらに、装置本体102は、回収鋳物砂の冷却装置103を囲むように矩形状に形成されたフレームであること、天井軸受部材135eは、支持アーム35e2が、軸心を中心に120度の間隔で3本設けられていること、端部支持アーム32d1が支持アーム35e2に対応する位置に三本設けられていること、これらの点において第一実施形態と相違する。その他の構成は、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0079】
(装置本体)
第二実施形態における装置本体102は、
図15および
図16に示すように、例えば、鉄鋼製部材からなる複数の角パイプが溶接等で組み付けられて立体的矩形枠状に形成されている。装置本体102は、第一実施形態の装置本体のようにサンドビンを合せて囲うものではないため、四本の柱部材21が短く、四本の柱部材21間の下部2L、中間部2Mに相当する梁部材がない構造となっている。
装置本体102の上端部に設けられる上端フレーム部23は、第一実施形態における上端フレーム部23と同様の構造であるため、同じ符号を付与して説明を省略する。上端フレーム部23には、第一実施形態と同様に天井板32が支持され、天井軸受部材135eが天井板32を間に介して固定される。
装置本体102は、床面GDより回収鋳物砂の冷却装置3の上端部まで延在する四本の柱部材21と、第一実施形態における上部2Uおよび上端部2Tの高さ位置において横架されたものと同様な複数本の梁部材22とを有している。
【0080】
(回転コース変位撹拌装置)
回転コース変位撹拌装置137は、変位撹拌回転軸137aと傾斜板137b1とを備えている。
変位撹拌回転軸137aは、
図15および
図16に示すように、天井軸受部材35eの支持アーム35e2と、天井板32より半径方向外側に突出した上端フレーム部23の下面に垂下する端部支持アーム32d1との間に、横架されている。変位撹拌回転軸137aは、排出穴34aの軸心を中心に、例えば、120度の間隔で三本横架されている。変位撹拌回転軸137aは、支持アーム35e2の先端に夫々設けられたベアリング35e3と、端部支持アーム32d1の先端に夫々設けられた端部ベアリング32d2とに回転自在に支承されている。なお、変位撹拌回転軸137aの回転軸心SCLは、円盤状テーブル31が回転する軸心CLに対して直交している。
【0081】
変位撹拌回転軸137aは、端部ベアリング32d2よりさらに半径方向外側に突出した突出部を有し、突出部にはプーリ37dが変位撹拌回転軸137aと相対回転不能に固定されている。プーリ37dの上方に位置する上端フレーム部23の長梁部材23bには、電動モータ37eが配置されている。電動モータ37eは、半径方向に延在する駆動軸37e1を備え、駆動軸37e1の先端には駆動プーリ37e2が相対回転不能に固定されている。プーリ37dの変位撹拌回転軸137aと駆動プーリ37e2の駆動軸37e1とは、平行に配置され、プーリ37dと駆動プーリ37e2との間に掛けられたベルト37fによって回転トルクが伝達可能になっている。プーリ37d、電動モータ37e、駆動プーリ37e2およびベルト37fによって、主に変位撹拌回転駆動装置137cが構成される。変位撹拌回転駆動装置137cは、第一実施形態における撹拌回転駆動装置37bと同様な構造であるため、部品に付与する符号を共通して使用する。
【0082】
変位撹拌回転軸137aの周りには、
図16および
図17に示すように、変位撹拌回転軸137aに直角の四方向に90度の間隔で突出する傾斜板137b1が固定されている。各傾斜板137b1は、変位撹拌回転軸137aに対して直交する平面に対し、例えば30度傾斜した傾斜面137b2で構成されている。この傾斜面137b2は、同時に円盤状テーブルの回転方向に対して、
図15に示すように、例えば、30度傾斜した傾斜面を構成する。そして、傾斜板137b1が四枚で一組となる傾斜板車137bが、本実施形態では一本の変位撹拌回転軸137aに複数個(本実施形態では14個)相対回転不能に固定されている。
これらの傾斜板車137bは、
図17において反時計回りに回転している。この回転方向は、円盤状テーブル31の回転コース撹拌装置137に対する相対的移動方向(
図17において矢印で示す右方向)に沿う方向に、傾斜板車137bの下方先端が動くようになっている。これによって、傾斜板車137bによる撹拌の際に、鋳物砂MSが過度に飛散するのを抑制している。
変位撹拌回転軸137aの回転速度が早すぎると、接触した鋳物砂MSが半径方向内側へ変位する量が大きくなり、供給口33a1から供給された鋳物砂MSが短い時間で排出穴34aに到達してしまう。そのため、制御装置は、水平面板31a上で冷却するために充分な時間が確保されるように変位撹拌回転軸137aの回転速度を調整する。
【0083】
砂受けホッパ33aの上流側には、回転コース変位装置36が一つ設けられている。一番外側の回転コースを移動してきた鋳物砂MSが砂受けホッパ33aに接触するのを防止するものである。
【0084】
(作動)
次に、上記のように構成された回収鋳物砂の冷却装置103の作動を以下に説明する。
第二実施形態における回収鋳物砂の冷却装置103は、鋳物砂MSの回転コースの変位が、回転コース変位撹拌装置137によって水が舟のスクリューで一方向に連続して送られるように、実施される。そのため、回転コース毎の境界は、第一実施形態のようには明確ではない。しかし、回転コース上の鋳物砂MSは、回転コース変位撹拌装置137の傾斜板137b1に接触する度に半径方向内側へ変位しかつ撹拌され、冷却が促進される。
【0085】
回転コース変位装置と撹拌装置との二つの機能を備えた回転コース変位撹拌装置137によって、部品点数を低減するとともに高温の鋳物砂MSを効率よく冷却することができる。
このように、回収鋳物砂の冷却装置103は、篩装置5やサンドビン6と独立して設置することもできる。
上記の説明で明らかなように、第二実施形態の回収鋳物砂の冷却装置103は、回転コース変位装置と撹拌装置とは、一つの装置からなる回転コース変位撹拌装置137である。回転コース変位撹拌装置137は、円盤状テーブル31の軸心CLに対して直交する回転軸心SCLを備え、円盤状テーブル31の水平面板31aの上方に中央側31iと外周側31oとの間で装置本体102に回転自在に横架された変位撹拌回転軸137aと、変位撹拌回転軸137aを回転させる変位撹拌回転駆動装置137cと、変位撹拌回転軸137aに設けられ、円盤状テーブル31の回転方向に対して傾斜した傾斜面137b2を有し、変位撹拌回転軸137aが回転すると鋳物砂MSを、撹拌するとともに鋳物砂MSの回転コースを鋳物砂供給部33側から鋳物砂排出部34側へ変位させる傾斜板137b1と、を備えている。
【0086】
これによると、回転コース変位装置と撹拌装置とを兼用する回転コース変位撹拌装置137は、変位撹拌回転軸137aが回転すると、傾斜板137b1が、円盤状テーブル31上に散布された鋳物砂MSに接触し、鋳物砂MSの回転コースを鋳物砂排出部34側へ変位させる。そして、同時に鋳物砂MSを撹拌して鋳物砂MSに含まれる熱を発散させる。このように、一つの装置で鋳物砂MSの変位と撹拌との両方の作用を行うことができ、部品点数を減少させ設備コストの低減を図ることができる。
【0087】
(第三実施形態)
次に、本件発明にかかる回収鋳物砂の冷却装置203の第三実施形態について、
図18および
図19に基づいて以下に説明する。
第三実施形態では、円盤状テーブル231が、サンドビン206の筒状本体206aの上方に、筒状本体206aと一体に形成されており、篩装置205が回収鋳物砂の冷却装置203の直前の工程ではなく、バケットエレベータ4の前工程に配置されている。これらの点が第一実施形態と相違し、その他の構成は第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0088】
回収鋳物砂の冷却装置203は、円盤状テーブル231が、第一実施形態では基礎板31bの軌道板31b2に相当する部分が、サンドビン206の筒状本体206aと連続して一体に形成されている。円盤状テーブル231を回転させる専用のテーブル回転駆動部は存在しない。円盤状テーブル231は、筒状本体206a、回転テーブル6bおよび支持中心軸6cを回転させるサンドビン回転駆動部としての駆動機構6hにより、サンドビン206とともに一体となって回転する。
【0089】
篩装置205の搬入口205a側には、鋳物砂MS(砂ダマ、中子ガラおよび玉金が混在)を搬送するベルトコンベヤVC5が設けられている。篩装置205の搬出口205b側には、砂受けホッパ205dと、篩い分けられた鋳物砂MSをバケットエレベータ4に搬送するベルトコンベヤVC6とが、設けられている。篩装置205の排出口205c側には、排出シュート51が設けられている。篩装置205自体の構造は、第一実施形態の篩装置5と同様であるので、説明を省略する。
【0090】
バケットエレベータ4は、ベルトコンベヤVC6で搬送された鋳物砂MSを、上方の高位置に移動し、回収鋳物砂の冷却装置203の砂受けシュート233aに搬入するように構成されている。
【0091】
(作動)
ベルトコンベヤVC5で搬送され篩装置205に搬入された鋳物砂MSは、篩装置205で粒子の細かい砂だけ選別されて、ベルトコンベヤVC6でバケットエレベータ4に搬入される。バケットエレベータ4は、上方に位置する回収鋳物砂の冷却装置203に、鋳物砂MSを搬入する。回収鋳物砂の冷却装置203では、砂受けシュート233aの設けられた鋳物砂供給部33から、円盤状テーブル31の水平面板31aに供給される。この際、円盤状テーブル31は、サンドビン206と一体になって回転している。その他の作動は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0092】
上記の説明で明らかなように、第三実施形態に係る回収鋳物砂の冷却装置203は、鋳物砂供給部33は、円盤状テーブル31の外周側31oに設けられ、鋳物砂排出部34は、円盤状テーブル31の中央側31iに設けられ、円盤状テーブル31は、鋳物砂排出部34より排出された鋳物砂MSを貯留する円筒状のサンドビン206の上方に設けられ、テーブル回転駆動部は、サンドビン206を回転させるサンドビン回転駆動部(駆動機構6h)である。円盤状テーブル31は、サンドビン206と一体になって回転する。
これによると、円盤状テーブル31とサンドビン206とを一つの駆動機構6hで回転させるので、設備を簡略化して設備コストの低減を図ることができる。
【0093】
(第四実施形態)
次に、本件発明にかかる回収鋳物砂の冷却装置の第四実施形態について、
図20〜
図25に基づいて以下に説明する。
第四実施形態の回収鋳物砂の冷却装置303は、鋳物砂MSを供給する鋳物砂供給部333が円盤状テーブル331の中央側31iに配置され、鋳物砂MSを排出する鋳物砂排出部334が円盤状テーブル331の外周側31oに設けられている。回転コース変位装置336が、鋳物砂MSを中央側31iの回転コース2RO1から外周側31oの回転コース2RO5に向って変位させるものである。円盤状テーブル331の回転中心となる支持軸335dが円盤状テーブル331の下面側に設けられている(
図21参照)。砂止め板が存在しない。篩装置が、回収鋳物砂の冷却装置303の上方に設けられておらず、図略の篩装置によって選別された鋳物砂MSがベルトコンベヤVC7により搬送されて供給される(
図21および
図22参照)。サンドビンが、回収鋳物砂の冷却装置303の下方に設けられておらず、排出口334aから排出された鋳物砂MSはベルトコンベヤVC8により図略のサンドビンに搬送される。これらの点において、第一実施形態の回収鋳物砂の冷却装置3と相違する。その他の構成については同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
以下、相違点について詳述する。
【0094】
(鋳物砂供給部)
鋳物砂供給部333は、円盤状テーブル331の中央側31iに設けられている。鋳物砂供給部333は、円筒状の砂受けホッパ333aと、円盤状テーブル331の基礎板331b(
図21参照)の中心に設けられ砂受けホッパ333aを内側から支持する支持回転軸333bと、砂受けホッパ333aの下部に供給された鋳物砂MSを半径方向外側へ切出す砂切出し板333cとを、備えている。砂切出し板333cは、天井板32(
図21参照)に固定されている。
砂受けホッパ333aは、例えば、ステンレス鋼板製部材から形成されている。砂受けホッパ333aの円筒状の下端は、円盤状テーブル331の上面(水平面板31a)から間を空けて支持回転軸333bに支持されることで、供給口333a1が円筒状の下端縁に沿って周設されている。
【0095】
支持回転軸333bは、テーパ部333b1と円柱部333b2と支持枝部333b3とを有している。テーパ部333b1は、上方に向かって外径が縮小する円錐状の側面の一部で形成され、下端部が円盤状テーブル331の基礎板331bに例えば溶接等で接合されている。円柱部333b2は、テーパ部333b1の上端に連続し、上方に向かって均等な外径で延在する。支持枝部333b3は、円柱部333b2の途中下部に設けられた下部支持枝部333b3dと、途中上部に設けられた上部支持枝部333b3uとを備えている。下部支持枝部333b3dおよび上部支持枝部333b3uは、円柱部333b2から連続して夫々水平な四方向に突出し、各先端部が砂受けホッパ333aの内壁に例えば溶接等で結合されている。
【0096】
供給口333a1には、
図20に示すように、三枚の砂切出し板333cが、支持回転軸333bの回りに、120度の等間隔で配置されている。砂切出し板333cは、例えば、ステンレス鋼板製部材から薄板で逆T字状に形成され、下部を湾曲することで外側が凸の円弧状に形成されている。逆T字は、T字の縦部分と横部分の接合位置が円盤状テーブル331の外側に偏った位置になっており、砂切出し板333cの横部分の外側部分よりも内側部分が多く突出した形状となっている。円弧状に形成された砂切出し板333cの下部は、円盤状テーブル31の回転方向の接線方向に対して切出し板333cの先端が鋭角を形成するように、円盤状テーブル31の回転方向の接線方向に対して後端が内側に傾斜する傾斜面を構成している。なお、後端とは、円盤状テーブル31の回転方向(
図20において反時計回り)の後側に対応する切出し板333cの端部をいう。
【0097】
砂切出し板333cの上部は、円柱状の固定部材333dの下端に上下方向に延在して形成された取付溝(図略)に嵌入され、例えば、ねじ(図略)で固定部材333dに固定されている。固定部材333dは、上端にフランジ部(図略)が周設され、フランジ部は天井板32に例えば、ボルト・ナット(図略)で固定されている。
砂切出し板333cの内側部分は、支持回転軸333bに接近し、テーパ部333b1の外周面に当接している。円盤状テーブル331が回転すると、砂受けホッパ333aの下部に搬入された鋳物砂MSは、砂切出し板333cによって半径方向外側へ切出されて、水平面板31aの一番内側の回転コース2RO1上に供給される。
【0098】
(鋳物砂排出部)
鋳物砂排出部334は、円盤状テーブル331の外周側31oに設けられている。鋳物砂排出部334は、囲い壁332aの下端と円盤状テーブル331の外側縁上面とで形成する排出口334aと、排出口334aから鋳物砂MSを切出す砂切出し装置307とを備えている。
排出口334aを構成する囲い壁332aは、天井板32の下面に、例えば、溶接等で固定されている。囲い壁332aは、高さ方向の長さが短い円筒状に形成されている。囲い壁332aの下端は、円盤状テーブル331の水平面板31aに所定の隙間を介して対向している。この所定の隙間が排出口334aに相当する。
【0099】
砂切出し装置307は、鞘部材307aと、鞘部材307aから進退する切り出しアーム307bと、切り出しアーム307bを進退させるアーム駆動装置307cとを備えている。切り出しアーム307bは、円盤状テーブル331の回転方向の接線と切り出しアーム307bの長手方向に平行な方向に沿った直線とにより、回転方向の前側で形成する挟角が、鋭角を形成するように配置されている。切出しアーム307bは、前進した場合に、先端部が一番外側の回転コース2RO5まで突出するようになっている。そのため、一番外側の回転コース2RO5上の鋳物砂MSを切出す。その他の構成は、第一実施形態のサンドビン6における砂切出し装置7と同様であるので、説明を省略する。
砂切出し装置307の下方には、砂受けガイド50が設けられ、切出された鋳物砂MSが落下してベルトコンベヤVC8で受けられるようになっている。
【0100】
(回転コース変位装置)
回転コース変位装置336は、
図20に示すように、例えば、ステンレス鋼板製部材から形成され逆T字状の薄板部材336a(板部材)が、下部を湾曲することで外側が凸の円弧状に形成されている。円弧状に形成された薄板部材336aの下部は、円盤状テーブル331の回転方向の接線方向に対して後端が内側に傾斜する傾斜面336afを構成している。なお、「後端」とは、円盤状テーブル331の回転方向(
図20において、反時計回り)の後側に対応する薄板部材336aの端部をいう。薄板部材336aの上部は、
図21に示すように、円柱状の固定部材36bの下端に上下方向に延在して形成された取付溝に嵌入され、第一実施形態と同様に、天井板32に固定部材36bを介して固定されている。薄板部材36aは、
図20に示すように、横幅の小さい薄板部材336aより中央側31iから鋳物砂供給部33が設けられた外周側31oに順に四枚の薄板部材336a1,336a2,336a3,336a4が配置されている。
なお、円盤状テーブル331上には、鋳物砂供給部333の供給口333a1から水平面板31a上に供給される所定の幅で鋳物砂MSの回転コース2ROが形成されている。この鋳物砂MSの回転コース2ROは、四枚の薄板部材336a1,336a2,336a3,336a4によって、五つの同心円状の回転コース2RO(中央側31iから2RO1,2RO2,2RO3,2RO4,2RO5)が形成される。円盤状テーブル331は、一番外周側31oに位置する回転コース2RO5の外側に外周縁331ooが設けられている。なお、上記4枚の薄板部材336a1,336a2,336a3,336a4のいずれかを特定する必要がない場合、単に薄板部材336aと表記する。
【0101】
各薄板部材336a1,336a2,336a3,336a4は、円盤状テーブル331の回転方向の接線方向に対して後端が内側に傾斜しており、半径方向の幅が、一つの回転コース2RO(例えば、2RO1)の内端より隣接する外側の回転コース2RO(例えば、2RO2)の内端まで延在している。また、各薄板部材336a1,336a2,336a3,336a4の下端部は、水平面板31aの上面に摺動可能に当接した状態で設けられている。そのため、薄板部材336a(例えば、薄板部材336a1)は、供給される鋳物砂MSの回転コース(後述する例えば、2RO1)を隣接する外側の回転コース(後述する例えば、2RO2)に半径方向外側に変位するようになっている。円盤状テーブル331が回転すると、鋳物砂MSは、薄板部材336aに接触する度に隣接する外側の回転コース2ROに変位し、一番外側の回転コース2RO5に至る。そして、一番外側の回転コース2RO5にある鋳物砂MSが排出口334aから砂切出し装置307によって切出される。
【0102】
(作動)
上記のように構成された第四実施形態の回収鋳物砂の冷却装置303の作動について、
図20〜
図22に基づいて以下に説明する。
まず、鋳物砂MSが、
図21に示すように、回収鋳物砂の冷却装置303の上方に設けられたベルトコンベヤVC7により搬送され、円盤状テーブル331の中央側31iに設けられた鋳物砂供給部333の砂受けホッパ333aに搬入される。搬入された鋳物砂MSは、図略の篩装置により既に選別された粒の細かい鋳物砂MSである。
円盤状テーブル331は、
図20に示すように、反時計回りに回転している。砂受けホッパ333aに搬入された鋳物砂MSは、円盤状テーブル331の回転に伴って相対回転する砂切出し板333cにより供給口333a1から切出される。切出された鋳物砂MSは、中央側31iに一番近い内側の回転コース2RO1上に供給される。一番内側の回転コース2RO1に載置された鋳物砂MSは、第一実施形態と同様に、砂の有無、砂温度、水分含有量が各センサにより検出され、散水装置38により水分が追加される。回転コース変位装置336による回転コースの変位は、鋳物砂MSが、回転方向の接線方向に対して後端が内側に傾斜した傾斜面336afに接触することで、内側から外側に変位することが、第一実施形態と相違する。その他の作用は同様である。また、鋳物砂MSは、外側に変位していくことで回転コースが長くなっている。そのため、ならし装置は、不要となっている。
一番外周側31oの回転コース2RO5に到達した鋳物砂MSは、砂切出し装置307によって、切出される。砂切出し装置307のアーム駆動装置307cを駆動させて、切出しアーム307bを突出させ、回転コース2RO5の鋳物砂MSを切出す。切出された鋳物砂MSは、ベルトコンベヤVC8に移され、ベルトコンベヤVC8により図略のサンドビンに搬送される。その他の作動は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
このように回収鋳物砂の冷却装置は、鋳物砂供給部33が円盤状テーブル31の外周側31oにあり、かつ鋳物砂排出部34が円盤状テーブル31の中央側31iにある回収鋳物砂の冷却装置3のタイプと、鋳物砂供給部333が円盤状テーブル331の中央側31iにあり、かつ鋳物砂排出部334が円盤状テーブル331の外周側31oにある回収鋳物砂の冷却装置303のタイプとがある。これらの両方のタイプを必要に応じて選定することができるので、工場設備のレイアウトに柔軟に対応することができる。
【0103】
(第四実施形態の別例)
この第四実施形態における回収鋳物砂の冷却装置303を利用して、
図23〜
図25に示すように、鋳物砂の再生設備301を構成することができる。回収鋳物砂の再生設備301は、解体された鋳型の鋳物砂MSを搬送するベルトコンベヤVC9、ベルトコンベヤVC9から鋳物砂MSを受け渡され上方位置に搬送するバケットエレベータ41を備えている。さらに、バケットエレベータ41で上方へ移動された鋳物砂MSを選別する篩装置5を回収鋳物砂の冷却装置303の上方に備えている。回収鋳物砂の冷却装置303は選別された細かい粒状の鋳物砂MSを冷却する。
【0104】
さらに、回収鋳物砂の再生設備301は、回収鋳物砂の冷却装置303の下方に二機のサンドビン61,62を備えている。また、回収鋳物砂の再生設備301は、鋳物砂混練装置9を備えている。また、二機のサンドビン61,62で熟成された鋳物砂MSを鋳物砂混練装置9まで搬送するベルトコンベヤVC10,バケットエレベータ42、鋳物砂混練装置9から図略の造型装置に再生された鋳物砂MSを搬送するベルトコンベヤVC11を備えている。
【0105】
この別例における回収鋳物砂の冷却装置303は、鋳物砂MSを供給する鋳物砂供給部333が円盤状テーブル331の中央側31iに配置されている。鋳物砂MSを排出する鋳物砂排出部334が円盤状テーブル331の外周側31oの二箇所に設けられ、夫々砂切出し装置307が設けられている。サンドビン61,62は、二機設けられ、各サンドビン61,62の上方には、砂切出し装置307に対向する位置に夫々漏斗状の砂受けガイド44,45が設けられている。そして、二箇所の鋳物砂排出部334から冷却された鋳物砂MSが各サンドビン61,62に搬入される。鋳物砂MSは、二つのサンドビン61,62で夫々熟成される。
【0106】
二つのサンドビン61,62の下部には、
図24に示すように、夫々搬出口6a3に砂切出し装置7が設けられている。ベルトコンベヤVC10には、夫々漏斗状の砂受けガイド46,47が設けられ、砂切出し装置7で切出された鋳物砂MSが外部へ零れ落ちることなくベルトコンベヤVC10が受け止めるように構成されている。鋳物砂MSは、ベルトコンベヤVC10から、さらにバケットエレベータ42によって上方位置に搬送される。鋳物砂MSは、バケットエレベータ42から鋳物砂混練装置9に搬入される。鋳物砂MSは、鋳物砂混練装置9の搬入口設けられた砂受けシュート48によって、外部に零れ落ちることなく鋳物砂混練装置9に搬入される。
【0107】
鋳物砂混練装置9は、例えば、新砂、粘結剤および水分等を配合して練る作業を行なう。この混練作業によって、回収された鋳物砂MSの再生が完成され、ベルトコンベヤVC11で造型機(図略)に送られて造型に使用される。鋳物砂混練装置9は、公知技術であるため説明を省略する。鋳物砂混練装置として、例えば、実開平2−57140号公報に記載の粉粒体混練混合装置を挙げることができる。
バケットエレベータ41,42、篩装置5、サンドビン61,62および砂切出し装置7(サンドビン用)は、第一実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0108】
上記の説明で明らかなように、第四実施形態の別例の回収鋳物砂の冷却装置303は、鋳物砂供給部333は、円盤状テーブル331の中央側31iに設けられ、鋳物砂排出部334は、円盤状テーブル331の外周側31oの複数箇所(本実施形態では二箇所)に設けられ、二箇所に設けられた鋳物砂排出部334は、円盤状テーブル331の下方に設けられた二機のサンドビン61,62に鋳物砂MSを夫々排出する。
【0109】
これによると、回収鋳物砂の冷却装置303で効率よく冷却された鋳物砂MSを大掛かりな搬送設備を使用することなく二機のサンドビン61,62に分配して排出することができる。
【0110】
なお、上記実施形態において、散水装置38の散水ノズル38aを撹拌装置37の上流側に配置したが、これに限定されず、例えば、撹拌装置で撹拌する位置で散水装置が散水できるようにしてもよい。また、篩装置の直後に散水装置の散水ノズルを設けてもよい。
また、砂温センサ83および水分センサ81の検出値に基づいて、散水装置38による散水量を制御するものとしたが、これに限定されず、例えば、円盤状テーブル31の回転速度を増減させるものでもよい。例えば、回転速度を遅くすることで、鋳物砂MSが円盤状テーブル31上にとどまる時間を延長して、鋳物砂MS冷却を進行させることができる。
また、円盤状テーブル31を回転駆動させる装置として、軌道板31b2に駆動ローラ35bの外周を接触させる装置としたが、これに限定されず、例えば円盤状テーブルの外周にローラーチェーンを配設し、このローラーチェーンに噛合するスプロケットを電動モータで回転させてもよい。
【0111】
また、薄板部材36a(板部材)をステンレス鋼板製部材から形成されたものとしたが、これに限定されず、例えば耐熱性の硬質樹脂製部材(具体的には、超高分子ポリエチレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等)の板でもよい。
薄板部材の形状を外側に凸の円弧状としたが、これに限定されず、例えば、上から見て断面が直線状に形成され、円盤状テーブルの回転方向に向って、前傾或いは後傾した状態で、ひとつの回転コースの半径方向の幅にわたって延在するものでもよい。
撹拌装置37において、四枚の羽板部材を備えた回転部材37a1が複数であるものとしたが、これに限定されない。例えば、撹拌回転軸に沿って延在する幅広の羽板部材とし、これが、撹拌回転軸の回りに、2〜5枚(回転部材に相当するものとしては一つ)設けられていてもよい。
また、散水装置は。鋳物砂供給部33の下流側(散水装置38)と、鋳物砂供給部34の上流側(冷却終了段階散水装置39)との二箇所に設けたが、これに限定されない。例えば、二箇所にある散水装置の一方だけが設けられていてもよい。また、円盤状テーブル31上には、散水装置が設けられておらず、回収鋳物砂の冷却装置に搬入される前の鋳物砂MSに散水する散水装置を設けてもよい。
【0112】
また、上記第二実施形態において、回転コース変位撹拌装置137の変位撹拌回転軸137aの回転軸心SCLが円盤状テーブル31の軸心CLに直交するものとしたが、これに限定されない。例えば、円盤状テーブルの軸心CLを中心とする一つの円(例えば、排出穴34aの内径と同程度の径の円)に対して、変位撹拌回転軸137aの回転軸心SCLが、当該円と同一の平面上において接線の関係(軸心CLと回転軸心SCLとが、ねじれの位置)となるように配置されていてもよい。この場合、傾斜板137b1は、変位撹拌回転軸137aに対して平行な面で形成されていても、円盤状テーブル31の回転方向に対して傾斜した面を形成する。これによって、鋳物砂MSの回転コースを半径方向に変位することができる。
【0113】
また、第四実施形態の別例において、サンドビン61,62を二機としたが、これに限定されない。例えば、回収鋳物砂の冷却装置303の下方に配置するサンドビンを3つ以上としてもよい。
【0114】
また、回収鋳物砂の冷却装置が二段に配置されたものでもよい。例えば、
図26に示すように、鋳物砂供給部33を円盤状テーブル31の半径方向外側の一箇所に設け、かつ鋳物砂排出部34を円盤状テーブル31の中央部に設けた上方の回収鋳物砂の冷却装置3と、鋳物砂供給部333を円盤状テーブル331の中央部に設け、かつ鋳物砂排出部334を円盤状テーブル331の半径方向外側に設けた下方の回収鋳物砂の冷却装置303とを二段に構成してもよい。
【0115】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。