特許第6957067号(P6957067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6957067人とコミュニケーションを行うシステム及びそのためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6957067
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】人とコミュニケーションを行うシステム及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/048 20130101AFI20211021BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   G06F3/048
   G06F13/00 540E
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2021-57736(P2021-57736)
(22)【出願日】2021年3月30日
【審査請求日】2021年3月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514317496
【氏名又は名称】ユニロボット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 佐知夫
(72)【発明者】
【氏名】小山 高史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 裕行
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓麻
(72)【発明者】
【氏名】南 浩一
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−323388(JP,A)
【文献】 特開2020−064593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人との間でコミュニケーションを行うシステムであって、
前記システムにより人に情報の発信を行う事業者のユーザを情報発信側ユーザとし、前記システムとの間でコミュニケーションを行い前記システムから情報を受信するユーザを情報受信側ユーザとし、前記システムが行う人とのコミュニケーションの雛形を示すデータをシナリオデータとし、特定の事業者のために作成されたシナリオデータをプライベートシナリオデータとし、任意の事業者のために作成されたシナリオデータをパブリックシナリオデータとし、情報受信側ユーザが使用する装置が前記システムに発出する情報をユーザ発出データとするとき、
複数の事業者のいずれかに属する情報発信側ユーザが使用する装置から当該情報発信側ユーザの属する事業者のために作成されたプライベートシナリオデータを受信するシナリオ受信手段と、
パブリックシナリオデータを記憶し、前記シナリオ受信手段が受信したプライベートシナリオデータを当該プライベートシナリオデータの送信元の装置を使用する情報発信側ユーザの属する事業者のプライベートシナリオデータとして記憶するシナリオ記憶手段と、
報受信側ユーザが使用する装置から当該情報受信側ユーザが前記複数の事業者のいずれかから情報を得るために発出したユーザ発出データを受信するユーザ発出データ受信手段と、
前記ユーザ発出データ受信手段が受信したユーザ発出データに基づき、前記シナリオ記憶手段が記憶している複数のシナリオデータのうちパブリックシナリオデータと当該ユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザが得たい情報の発信元の事業者のプライベートシナリオデータとを含む選択肢の中から使用するシナリオデータを選択するシナリオ選択手段と、
前記シナリオ選択手段が選択したシナリオデータに従い、前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を決定するシステム発出データ決定手段と、
前記システム発出データ決定手段が決定した情報を示すシステム発出データをユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザが使用する装置に送信するシステム発出データ送信手段と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記シナリオ受信手段は、前記複数の事業者のいずれかに属する情報発信側ユーザが使用する装置から当該情報発信側ユーザの属する事業者が共用の許可をしたシナリオデータを受信し、
前記シナリオ記憶手段は、前記シナリオ受信手段が受信した共用の許可されたシナリオデータをパブリックシナリオデータとして記憶する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シナリオ記憶手段が記憶しているプライベートシナリオデータに関し、当該プライベートシナリオデータに応じた事業者に属する情報発信側ユーザが指示した更新内容を示すシナリオ更新指示データを、当該情報発信側ユーザが使用する装置から受信するシナリオ更新指示受信手段
を備え、
前記シナリオ記憶手段は、前記シナリオ更新指示受信手段が受信したシナリオ更新指示データに従い記憶しているプライベートシナリオデータを更新する
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
指定された条件を満たす情報を取得するための処理を示すデータをスクリプトデータとし、特定の事業者のために作成されたスクリプトデータをプライベートスクリプトデータとし、任意の事業者のために作成されたスクリプトデータをパブリックスクリプトデータとするとき、
複数の事業者のいずれかに属する情報発信側ユーザが使用する装置から当該情報発信側ユーザの属する事業者のために作成されたプライベートスクリプトデータを受信するスクリプト受信手段と、
パブリックスクリプトデータを記憶し、前記スクリプト受信手段が受信したプライベートスクリプトデータを当該プライベートスクリプトデータの送信元の装置を使用する情報発信側ユーザの属する事業者のプライベートスクリプトデータとして記憶するスクリプト記憶手段と、
前記シナリオ選択手段が選択したシナリオデータがスクリプトデータの実行を指示している場合、前記スクリプト記憶手段が記憶している複数のスクリプトデータのうち当該シナリオデータに指示されるスクリプトデータに従う処理を実行するスクリプト実行手段と
を備え、
前記システム発出データ決定手段は、前記スクリプト実行手段がスクリプトデータの実行により取得した情報を用いて、前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を決定する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記スクリプト受信手段は、前記複数の事業者のいずれかに属する情報発信側ユーザが使用する装置から当該情報発信側ユーザの属する事業者が共用の許可をしたスクリプトデータを受信し、
前記スクリプト記憶手段は、前記スクリプト受信手段が受信した共用の許可されたシナリオデータをパブリックスクリプトデータとして記憶する
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記スクリプト記憶手段が記憶しているプライベートスクリプトデータに関し、当該プライベートスクリプトデータに応じた事業者に属する情報発信側ユーザが指示した更新内容を示すスクリプト更新指示データを、当該情報発信側ユーザが使用する装置から受信するスクリプト更新指示受信手段
を備え、
前記スクリプト記憶手段は、前記スクリプト更新指示受信手段が受信したスクリプト更新指示データに従い記憶しているプライベートスクリプトデータを更新する
請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
複数の情報受信側ユーザの各々に関し、当該情報受信側ユーザの属性を示すユーザ属性データを記憶するユーザ属性記憶手段
を備え、
前記システム発出データ決定手段は、前記シナリオ選択手段が選択したシナリオデータがユーザ属性データの使用を指示している場合、前記ユーザ属性記憶手段が記憶しているユーザ属性データのうち当該シナリオデータに指示されるユーザ属性データを用いて、前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を決定する
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
複数の情報受信側ユーザの各々に関し、当該情報受信側ユーザの属性を示すユーザ属性データを記憶するユーザ属性記憶手段
を備え、
前記スクリプト実行手段は、使用するスクリプトデータがユーザ属性データの使用を指示している場合、前記ユーザ属性記憶手段が記憶しているユーザ属性データのうち当該スクリプトデータに指示されるユーザ属性データを用いて情報を取得する
請求項4乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユーザ発出データ受信手段が受信したユーザ発出データに基づき、当該ユーザ発出データの送信元の装置を使用する情報受信側ユーザの属性を特定するユーザ属性特定手段
を備え、
前記ユーザ属性記憶手段は、前記ユーザ属性特定手段が特定した属性を記憶する
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザ発出データ受信手段が受信したユーザ発出データが示す情報に含まれる言語情報を特定する言語情報特定手段
を備え、
前記ユーザ属性特定手段は、前記言語情報特定手段が特定した言語情報に基づき、当該言語情報の特定に用いたユーザ発出データの送信元の装置を使用する情報受信側ユーザの属性を特定する
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ユーザ発出データ受信手段が受信したユーザ発出データが示す情報に含まれる非言語情報を特定する非言語情報特定手段
を備え、
前記ユーザ属性特定手段は、前記非言語情報特定手段が特定した非言語情報に基づき、当該非言語情報の特定に用いたユーザ発出データの送信元の装置を使用する情報受信側ユーザの属性を特定する
請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ユーザ発出データ受信手段が受信したユーザ発出データが示す情報に含まれる言語情報を特定する言語情報特定手段
を備え、
前記システム発出データ決定手段は、前記言語情報特定手段が特定した言語情報に基づき、前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を決定する
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザ発出データ受信手段が受信したユーザ発出データが示す情報に含まれる非言語情報を特定する非言語情報特定手段
を備え、
前記システム発出データ決定手段は、前記非言語情報特定手段が特定した非言語情報に基づき、前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を決定する
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
人との間でコミュニケーションを行うシステムをコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記システムにより人に情報の発信を行う事業者のユーザを情報発信側ユーザとし、前記システムとの間でコミュニケーションを行い前記システムから情報を受信するユーザを情報受信側ユーザとし、前記システムが行う人とのコミュニケーションの雛形を示すデータをシナリオデータとし、特定の事業者のために作成されたシナリオデータをプライベートシナリオデータとし、任意の事業者のために作成されたシナリオデータをパブリックシナリオデータとし、情報受信側ユーザが使用する装置が前記システムに発出する情報をユーザ発出データとするとき、
複数の事業者のいずれかに属する情報発信側ユーザが使用する装置から当該情報発信側ユーザの属する事業者のために作成されたプライベートシナリオデータを受信する処理と、
パブリックシナリオデータを記憶している記憶装置に、受信したプライベートシナリオデータを当該プライベートシナリオデータの送信元の装置を使用する情報発信側ユーザの属する事業者のプライベートシナリオデータとして記憶させる処理と、
報受信側ユーザが使用する装置から当該情報受信側ユーザが前記複数の事業者のいずれかから情報を得るために発出したユーザ発出データを受信する処理と、
受信したユーザ発出データに基づき、前記記憶装置記憶ている複数のシナリオデータのうちパブリックシナリオデータと当該ユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザが得たい情報の発信元の事業者のプライベートシナリオデータとを含む選択肢の中から使用するシナリオデータを選択する処理と、
選択したシナリオデータに従い、前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を決定する処理と、
決定した前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を示すシステム発出データを当該情報受信側ユーザが使用する装置に送信する処理と
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人とコミュニケーションを行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人工知能の発達に伴い、人とコミュニケーションを行うシステムの実用化が進んでいる。そのようなシステムの例として、チャットボットと呼ばれるコミュニケーションシステムがある。チャットボットは、従来、人間が行っていた顧客からの問い合わせ等に対する応対を行う人工知能を用いたシステムである。
【0003】
そのようなコミュニケーションシステムに関する技術を開示した特許文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、所定のグループごとに備えられた対話処理部が、情報共有部から供給されるデータを用いて、予め定められた手順情報に基づいて擬似的な対話を行うことで、グループに応じて柔軟に変更可能な対話サービスを提供できるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019−139573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、消費者等の情報を受信する側のユーザ(以下、「情報受信側ユーザ」という)に対し事業者等の情報を発信する側のユーザ(以下、「情報発信側ユーザ」という)が発信したい情報は事業者毎に異なる。従って、情報発信側ユーザに代わり情報受信側ユーザとコミュニケーションを行うシステムは、情報発信側ユーザ毎に、そのニーズに応じて個別に開発されるのが一般的である。
【0006】
しかしながら、異なる情報発信側ユーザが利用するコミュニケーションシステムの間で共通して使用される機能がある。従って、そのような機能を共用できる仕組みがあれば、各情報発信者側ユーザは効率的に自らのニーズを満たすコミュニケーションシステムを開発できる。
【0007】
上記の事情に鑑み、本発明は、情報発信側ユーザが、情報受信側ユーザに対し情報発信を行うコミュニケーションシステムを効率的に開発可能な仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、人との間でコミュニケーションを行うシステムであって、前記システムにより人に情報の発信を行う事業者のユーザを情報発信側ユーザとし、前記システムとの間でコミュニケーションを行い前記システムから情報を受信するユーザを情報受信側ユーザとし、前記システムが行う人とのコミュニケーションの雛形を示すデータをシナリオデータとし、特定の事業者のために作成されたシナリオデータをプライベートシナリオデータとし、任意の事業者のために作成されたシナリオデータをパブリックシナリオデータとし、情報受信側ユーザが使用する装置が前記システムに発出する情報をユーザ発出データとするとき、複数の事業者のいずれかに属する情報発信側ユーザが使用する装置から当該情報発信側ユーザの属する事業者のために作成されたプライベートシナリオデータを受信するシナリオ受信手段と、パブリックシナリオデータを記憶し、前記シナリオ受信手段が受信したプライベートシナリオデータを当該プライベートシナリオデータの送信元の装置を使用する情報発信側ユーザの属する事業者のプライベートシナリオデータとして記憶するシナリオ記憶手段と、報受信側ユーザが使用する装置から当該情報受信側ユーザが前記複数の事業者のいずれかから情報を得るために発出したユーザ発出データを受信するユーザ発出データ受信手段と、前記ユーザ発出データ受信手段が受信したユーザ発出データに基づき、前記シナリオ記憶手段が記憶している複数のシナリオデータのうちパブリックシナリオデータと当該ユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザが得たい情報の発信元の事業者のプライベートシナリオデータとを含む選択肢の中から使用するシナリオデータを選択するシナリオ選択手段と、前記シナリオ選択手段が選択したシナリオデータに従い、前記システムがユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザに対し発出する情報を決定するシステム発出データ決定手段と、前記システム発出データ決定手段が決定した情報を示すシステム発出データをユーザ発出データの発出元の情報受信側ユーザが使用する装置に送信するシステム発出データ送信手段とを備えるシステムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシステムによれば、情報発信側ユーザは、自分が属する事業者のためのシナリオデータを作成しシステムに送信することで、その事業者が発信したい情報を情報受信側ユーザに発信するコミュニケーションシステムを利用できる。そのため、情報発信者ユーザは、効率的に情報受信側ユーザに対し情報発信を行うコミュニケーションシステムを開発できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るシステムと、当該システムとの間でデータ通信を行う装置を示した図。
図2】一実施形態に係るシステムの機能構成を示した図。
図3】一変形例に係るシステムの一例の構成を模式的に示した図。
図4】一変形例に係るロボットの機能構成を例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態に係るシステム1を説明する。図1は、システム1と、システム1との間でデータ通信を行う装置を示した図である。
【0012】
システム1は、システム1により人に情報の発信を行う事業者のユーザである情報発信側ユーザX(1)〜X(n)が使用する端末装置2(1)〜2(n)と、システム1との間でコミュニケーションを行いシステム1から情報を受信する消費者等のユーザである情報受信側ユーザY(1)〜Y(m)が使用する端末装置3(1)〜3(m)と、システム1が情報受信側ユーザY(1)〜Y(m)に対し発出する情報を決定するために必要な情報をシステム1に対し提供するサーバ装置4(1)〜4(p)との間でデータ通信を行う。
【0013】
以下、情報発信側ユーザX(1)〜(n)を各々区別しない場合、それらを情報発信側ユーザXと総称する。また、情報受信側ユーザY(1)〜(m)を各々区別しない場合、それらを情報受信側ユーザYと総称する。また、端末装置2(1)〜2(n)を各々区別しない場合、それらを端末装置2と総称する。また、端末装置3(1)〜2(m)を各々区別しない場合、それらを端末装置3と総称する。また、サーバ装置4(1)〜4(p)を各々区別しない場合、それらをサーバ装置4と総称する。
【0014】
システム1は、例えば1台の装置で構成されてもよいし、例えば互いにデータ通信を行い連係動作する複数の装置により構成されてもよい。システム1のハードウェアは、例えば、サーバ装置用のコンピュータ(又はコンピュータ群)である。その場合、サーバ装置用のコンピュータ(又はコンピュータ群)が、システム1用のプログラムに従い各種データ処理を行うことにより、以下に説明する機能を備えるシステム1が実現される。
【0015】
システム1のハードウェアとして用いられるコンピュータは、プログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサと、プログラム等の各種データを記憶するメモリ(記憶装置の一例)と、外部の装置との間で通信ネットワークを介してデータ通信を行う通信インタフェースを備える。
【0016】
端末装置2及び端末装置3のハードウェアは、例えば、端末装置用のコンピュータである。端末装置用のコンピュータの種別は、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、通話機能を備えるスマートホン等のいずれであってもよい。
【0017】
端末装置2及び端末装置3ハードウェアとして用いられるコンピュータは、プログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサと、プログラム等の各種データを記憶するメモリと、外部の装置との間で通信ネットワークを介してデータ通信を行う通信インタフェースと、外部の装置との間で通信ネットワークを介さずにデータの受け渡しを行う入出力インタフェースを備える。
【0018】
端末装置2及び端末装置3のハードウェアとして用いられるコンピュータの入出力インタフェースには、ユーザに対し各種情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示装置と、ユーザがコンピュータに対し行うデータ入力等の操作を受け付けるキーボード、タッチパネル等の操作装置が接続されている。なお、表示装置及び操作装置は、コンピュータの筐体の内部、外部のいずれに配置されていてもよい。また、表示装置と操作装置がタッチスクリーンのように一体の装置で構成されてもよい。
【0019】
端末装置3のハードウェアとして用いられるコンピュータの入出力インタフェースには、表示装置及び操作装置に加え、ユーザが発する音声を拾音する拾音装置(マイク)、ユーザに対し合成音声等の音を発音する発音装置(スピーカ)、ユーザの顔等を撮影する撮影装置(カメラ)等が接続されていてもよい。
【0020】
サーバ装置4は、例えば、指定された地域及び時間帯の天気に関する情報を提供するサーバ装置、様々な飲食店の提供可能な飲食物(メニュー)及び予約状況等の情報を提供するサーバ装置、等に例示される、要求に応じて各種情報を提供するサーバ装置である。
【0021】
サーバ装置4のハードウェアは、例えば、サーバ装置用のコンピュータ(又はコンピュータ群)である。サーバ装置4のハードウェアとして用いられるコンピュータは、プログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサと、プログラム等の各種データを記憶するメモリと、外部の装置との間で通信ネットワークを介してデータ通信を行う通信インタフェースを備える。
【0022】
図2は、システム1の機能構成を示した図である。すなわち、コンピュータ(又はコンピュータ群)が、システム1用のプログラムに従うデータ処理を行うと、図2に示す構成部を備えるシステム1が実現される。以下、システム1が備える機能構成部を説明する。
【0023】
ユーザ発出データ受信手段101は、端末装置3から情報受信側ユーザYが発出した情報を示すユーザ発出データを受信する。
【0024】
ユーザ発出データには、情報受信側ユーザYが入力したテキストを示すテキストデータ、情報受信側ユーザYが発した音声を表す音データ、情報受信側ユーザYの顔の画像を表す画像データ等が含まれる。
【0025】
言語情報特定手段102は、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データが示す情報に含まれる言語情報を特定する。言語情報は言語で表現される情報である。なお、言語情報は、音声、ジェスチャー(手話等)、画面や紙面などの媒体の上に記される文字列等のいずれの方法により発出されてもよい。
【0026】
例えば、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データがテキストデータであれば、通常、そのテキストデータは言語情報を示す。その場合、言語情報特定手段102は単にその言語情報を特定する。また、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データが情報受信側ユーザYの音声を表す音データであれば、言語情報特定手段102はその音データが表す音声が示す言語情報を認識する。また、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データが情報受信側ユーザYを撮影した動画を表す画像データであり、その画像データが手話による発話を表していれば、言語情報特定手段102は情報受信側ユーザYの手の動きを認識し、認識した手の動きを言語情報に変換する。
【0027】
言語情報特定手段102は、例えば、ルールベース型及び機械学習型の一方又は両方の人工知能を有し、その人工知能により、言語情報の特定を行う。
【0028】
非言語情報特定手段103は、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データが示す情報に含まれる非言語情報を特定する。非言語情報は、例えば、声の抑揚、瞬きの増減、首をかしげる動作、視線を外す動作等に例示される言語以外の方法で表現された情報であり、発出者の感情等を表す。
【0029】
例えば、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データが情報受信側ユーザYの音声を表す音データであれば、非言語情報特定手段103はその音データが表す音声の抑揚や声色を特定し、特定したそれらの情報から、情報受信側ユーザYの感情等を特定する。また、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データが情報受信側ユーザYを撮影した動画を表す画像データであれば、言語情報特定手段102は情報受信側ユーザYの手の動きや表情等を認識し、認識したそれらの情報から、情報受信側ユーザYの感情等を特定する。
【0030】
ログデータ記憶手段104は、言語情報特定手段102が特定した言語情報、非言語情報特定手段103が特定した非言語情報、後述するシステム発出データ決定手段114が決定しシステム発出データ送信手段116が端末装置3に送信したシステム発出データを、それらの情報の特定又は決定が行われた時刻を示す時刻情報に対応付けたログデータとして記憶する。
【0031】
シナリオ記憶手段105は、複数のシナリオデータを記憶する。シナリオデータとは、人とのコミュニケーションの雛形を示すデータであり、過去に行われた相手とのコミュニケーションの内容に応じた、次に発出すべき情報を示す。シナリオデータは、後述するシナリオ選択手段113により選択され、システム発出データ決定手段114により利用される。
【0032】
シナリオ記憶手段105が記憶するシナリオデータには、任意の事業者のために、例えばシステム1の管理者等により作成されたパブリックシナリオデータと、特定の事業者のために作成され、その事業者に属する情報発信側ユーザXが使用する端末装置2からシステム1が受信したプライベートシナリオデータが含まれる。
【0033】
例えば、情報受信側ユーザYが、事業者Aから情報を得るために端末装置3を用いてシステム1にアクセスした場合、シナリオ選択手段113は、その情報受信側ユーザYとのコミュニケーションにおいて、パブリックシナリオデータと、事業者Aのプライベートシナリオデータの中から使用するシナリオデータを選択する。
【0034】
シナリオ受信手段106は、端末装置2から、特定の事業者のために作成されたプライベートシナリオデータを受信する。例えば、シナリオ受信手段106は、事業者Aに属する情報発信側ユーザXが使用する端末装置2から、事業者Aのために作成されたプライベートシナリオデータを受信する。シナリオ受信手段106が受信したプライベートシナリオデータはシナリオ記憶手段105に記憶される。
【0035】
シナリオ更新指示受信手段107は、端末装置2からシナリオ更新指示データを受信する。シナリオ更新指示データとは、シナリオ記憶手段105が記憶しているプライベートシナリオデータに関し、そのプライベートシナリオデータに応じた事業者に属する情報発信側ユーザXが指示した更新内容を示すデータである。
【0036】
例えば、シナリオ更新指示受信手段107は、事業者Aのために作成されたプライベートシナリオデータに関し、事業者Aに属する情報発信側ユーザXが指示した更新内容を示すシナリオ更新指示データを、その情報発信側ユーザXが使用する端末装置2から受信する。
【0037】
なお、シナリオ更新指示データがプライベートシナリオデータに対し更新を指示する形式は、例えば、更新前のプライベートシナリオデータを更新後のプライベートシナリオデータで上書きすることを指示する形式、更新前のプライベートシナリオデータの一部を書き換えることを指示する形式、のいずれであってもよい。
【0038】
シナリオ更新指示受信手段107は、例えば、HTML等のWebブラウザが解釈可能な言語で記述されたシナリオデータの編集用ページの表示を指示するデータを端末装置2に送信する。端末装置2は、システム1から送信されてくるデータに従いブラウザ上にシナリオデータの編集用ページを表示し、情報発信側ユーザXによる編集作業を受け付ける。端末装置2は、情報発信側ユーザXによる編集作業において指示されたシナリオデータの更新の指示を示すシナリオ更新指示データを生成し、端末装置2に送信する。シナリオ更新指示受信手段107は、そのように端末装置2から送信されてくるシナリオ更新指示データを受信する。
【0039】
シナリオ記憶手段105は、シナリオ更新指示受信手段107が受信したシナリオ更新指示データに従い、記憶しているプライベートシナリオデータを更新する。
【0040】
スクリプト記憶手段108は、複数のスクリプトデータを記憶する。スクリプトデータとは、指定された条件を満たす情報を取得するための処理を示すデータである。スクリプトデータが示す処理には、例えば「XとYを乗じた値を取得する」といったサーバ装置4を利用する必要のない処理や、例えば「2021年12月24日の東京地域の天気情報を取得する」といったサーバ装置4を利用する必要のある処理が含まれる。
【0041】
スクリプトデータは、シナリオデータに記述されたコードに従い後述するシステム発出データ決定手段114により呼び出され、後述するスクリプト実行手段115により実行される。なお、スクリプトデータの実行とは、スクリプト実行手段115がスクリプトデータが示す処理を実行することを意味する。
【0042】
スクリプト記憶手段108が記憶するスクリプトデータには、システム1を利用する任意の事業者のために、例えばシステム1の管理者等により作成されたパブリックスクリプトデータと、システム1を利用する特定の事業者のために作成され、その事業者に属する情報発信側ユーザXが使用する端末装置2からシステム1が受信したプライベートスクリプトデータが含まれる。
【0043】
例えば、情報受信側ユーザYが、事業者Aから情報を得るために端末装置3を用いてシステム1にアクセスした場合、シナリオ選択手段113により選択されるシナリオデータに記述されているコードにより呼び出されるスクリプトデータは、パブリックスクリプトデータ又は事業者Aのプライベートスクリプトデータである。
【0044】
スクリプト受信手段109は、端末装置2から、特定の事業者のために作成されたプライベートスクリプトデータを受信する。例えば、スクリプト受信手段109は、事業者Aに属する情報発信側ユーザXが使用する端末装置2から、事業者Aのために作成されたプライベートスクリプトデータを受信する。スクリプト受信手段109が受信したプライベートシナリオデータはスクリプト記憶手段108に記憶される。
【0045】
スクリプト更新指示受信手段110は、端末装置2からスクリプト更新指示データを受信する。スクリプト更新指示データとは、スクリプト記憶手段108が記憶しているプライベートスクリプトデータに関し、そのプライベートスクリプトデータに応じた事業者に属する情報発信側ユーザXが指示した更新内容を示すデータである。
【0046】
例えば、スクリプト更新指示受信手段110は、事業者Aのために作成されたプライベートスクリプトデータに関し、事業者Aに属する情報発信側ユーザXが指示した更新内容を示すスクリプト更新指示データを、その情報発信側ユーザXが使用する端末装置2から受信する。
【0047】
なお、スクリプト更新指示データがプライベートスクリプトデータに対し更新を指示する形式は、例えば、更新前のプライベートスクリプトデータを更新後のプライベートスクリプトデータで上書きすることを指示する形式、更新前のプライベートスクリプトデータの一部を書き換えることを指示する形式、のいずれであってもよい。
【0048】
スクリプト更新指示受信手段110は、例えば、HTML等のWebブラウザが解釈可能な言語で記述されたスクリプトデータの編集用ページの表示を指示するデータを端末装置2に送信する。端末装置2は、システム1から送信されてくるデータに従いブラウザ上にスクリプトデータの編集用ページを表示し、情報発信側ユーザXによる編集作業を受け付ける。端末装置2は、情報発信側ユーザXによる編集作業において指示されたスクリプトデータの更新の指示を示すスクリプト更新指示データを生成し、端末装置2に送信する。スクリプト更新指示受信手段110は、そのように端末装置2から送信されてくるスクリプト更新指示データを受信する。
【0049】
スクリプト記憶手段108は、スクリプト更新指示受信手段110が受信したスクリプト更新指示データに従い、記憶しているプライベートスクリプトデータを更新する。
【0050】
ユーザ属性記憶手段111は、情報受信側ユーザY(1)〜Y(m)の各々に関し、当該情報受信側ユーザYの属性を示すユーザ属性データを記憶する。ユーザ属性データが示す属性の例としては、情報受信側ユーザYの氏名、情報受信側ユーザYのあだ名、情報受信側ユーザYの年齢、情報受信側ユーザYの性別、情報受信側ユーザYの趣味、情報受信側ユーザYの食の嗜好、情報受信側ユーザYが過去に行った活動、情報受信側ユーザYが属している集団、情報受信側ユーザYの性格等が挙げられるが、これらに限られない。ユーザ属性データが示す属性には、性別のように、通常は変化しないものもあれば、情報受信側ユーザYが過去に行った活動のように、頻繁に変化するものもある。また、それらの属性の種別の数は一定ではない。
【0051】
ユーザ属性特定手段112は、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データに基づき、当該ユーザ発出データの送信元の端末装置3を使用する情報受信側ユーザYの属性を特定する。本実施形態において、ユーザ属性特定手段112は、例えば情報受信側ユーザY(1)の属性を、ログデータ記憶手段104に記憶されている情報受信側ユーザY(1)とシステム1が過去に行ったコミュニケーションの内容(過去に言語情報特定手段102が特定した言語情報、過去に非言語情報特定手段103が特定した非言語情報を含む)に基づき、情報受信側ユーザY(1)の属性を特定する。
【0052】
ユーザ属性特定手段112が特定した属性を示すユーザ属性データはユーザ属性記憶手段111に記憶される。
【0053】
ユーザ属性特定手段112は、例えば、ルールベース型及び機械学習型の一方又は両方の人工知能を有し、その人工知能により、情報受信側ユーザYの属性の特定を行う。
【0054】
ユーザ属性記憶手段111が記憶しているユーザ属性データは、システム1を利用する複数の異なる事業者間で共用される。すなわち、例えば、情報受信側ユーザY(1)が事業者Aから情報を得るためにシステム1との間でコミュニケーションした内容に基づきユーザ属性特定手段112が特定した属性を示すユーザ属性データと、情報受信側ユーザY(1)が事業者Bから情報を得るためにシステム1との間でコミュニケーションした内容に基づきユーザ属性特定手段112が特定した属性を示すユーザ属性データは、共に情報受信側ユーザY(1)のユーザ属性データとしてユーザ属性記憶手段111に記憶される。
【0055】
また、例えば、情報受信側ユーザY(1)が事業者Aから情報を得るためにシステム1との間でコミュニケーションした内容に基づきユーザ属性特定手段112が特定した属性を示すユーザ属性データが、その後、情報受信側ユーザY(1)が事業者Bから情報を得るためにシステム1との間でコミュニケーションした内容に基づきユーザ属性特定手段112が特定した属性を示すように更新されてもよい。
【0056】
上記のようにユーザ属性記憶手段111に記憶され、更新される情報受信側ユーザY(1)に関するユーザ属性データは、その後、情報受信側ユーザY(1)がいずれかの事業者(事業者A、事業者B、事業者C等)から情報を得るためにシステム1との間でコミュニケーションをする際に使用される。
【0057】
シナリオ選択手段113は、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データに基づき、シナリオ記憶手段105が記憶している複数のシナリオデータの中から使用するシナリオデータを選択する。
【0058】
本実施形態において、シナリオ選択手段113は、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データから言語情報特定手段102が特定した直近の言語情報と、ユーザ発出データ受信手段101が受信したユーザ発出データから非言語情報特定手段103が特定した直近の非言語情報と、ログデータ記憶手段104に記憶されているログデータが示す、今のコミュニケーションの相手の情報発信側ユーザXとシステム1が過去に行ったコミュニケーションの内容とに基づき、使用するシナリオデータを選択する。
【0059】
既述のように、例えば、情報受信側ユーザYが、事業者Aから情報を得るために端末装置3を用いてシステム1にアクセスした場合、シナリオ選択手段113により選択されるシナリオデータは、パブリックシナリオデータ又は事業者Aのプライベートシナリオデータである。
【0060】
シナリオ選択手段113は、例えば、ルールベース型及び機械学習型の一方又は両方の人工知能を有し、その人工知能により、シナリオデータの選択を行う。
【0061】
システム発出データ決定手段114は、シナリオ選択手段113が選択したシナリオデータに従い、システム1が情報受信側ユーザYに対し発出する情報(言語情報及び非言語情報)を決定する。例えば、システム発出データ決定手段114は、シナリオデータが示すコミュニケーションの内容の雛形に対し、情報受信側ユーザYとのコミュニケーションにおいて必要な具体的な情報を適用し、実際に情報受信側ユーザYに対し発出する情報を決定する。
【0062】
システム発出データ決定手段114が情報受信側ユーザYに対し発出する情報を決定するために、シナリオデータにより示される雛形に対し適用する情報、すなわち、シナリオデータにより使用が指示される情報には、以下の種類の情報が含まれる。
【0063】
(1)言語情報特定手段102が特定した直近の言語情報から特定される情報
(2)非言語情報特定手段103が特定した直近の非言語情報から特定される情報
(3)ログデータ記憶手段104に記憶されているログデータが示す過去のコミュニケーションの内容から特定される情報
(4)ユーザ属性記憶手段111に記憶されているユーザ属性データが示す情報受信側ユーザYの属性から特定される情報
(5)上記の(1)〜(4)のパラメータに基づき、演算等の処理により特定される情報
(6)上記の(1)〜(5)のパラメータに基づき、サーバ装置4から取得される情報
【0064】
シナリオデータには、上記(5)又は(6)のパラメータを取得するために、スクリプトデータの実行を指示するコードが含まれる場合がある。その場合、システム発出データ決定手段114は、シナリオデータに含まれるコードにより指示されるスクリプトデータをスクリプト記憶手段108から読み出し、スクリプト実行手段115に引き渡す。
【0065】
スクリプト実行手段115は、シナリオ選択手段113が選択したシナリオデータがスクリプトデータの実行を指示している場合、スクリプト記憶手段108が記憶している複数のスクリプトデータのうち当該シナリオデータに指示されるスクリプトデータに従う処理を実行する。
【0066】
既述のように、例えば、情報受信側ユーザYが、事業者Aから情報を得るために端末装置3を用いてシステム1にアクセスした場合、シナリオ選択手段113により選択されるシナリオデータに既述されているコードにより呼び出されるスクリプトデータ、すなわち、スクリプト実行手段115により実行されるスクリプトデータは、パブリックスクリプトデータ又は事業者Aのプライベートスクリプトデータである。
【0067】
スクリプト実行手段115は、システム発出データ決定手段114から引き渡されたスクリプトデータに従う処理を行い、取得した情報をシステム発出データ決定手段114に引き渡す。
【0068】
スクリプト実行手段115は、スクリプトデータに従い、いずれかのサーバ装置4との間でデータ通信を行い、サーバ装置4から情報を取得する場合がある。例えば、スクリプト実行手段115は、天気情報の取得に関するスクリプトデータに従い、地域及び時期を示すデータを含む要求を天気情報の提供を行うサーバ装置4に送信し、その応答として、当該サーバ装置4から送信されてくる天気情報を取得する。
【0069】
また、スクリプト実行手段115は、スクリプトデータに従い、ユーザ属性記憶手段111に記憶されているユーザ属性データを取得する場合がある。例えば、スクリプト実行手段115は、情報受信側ユーザYの食の嗜好の取得に関するスクリプトデータに従い、ユーザ属性記憶手段111が記憶しているユーザ属性データの中から、当該情報受信側ユーザYの食の嗜好に関するユーザ属性データを読み出す。
【0070】
システム発出データ送信手段116は、システム発出データ決定手段114が決定した情報を示すシステム発出データを端末装置3に送信する。端末装置3は、システム1から送信されてくるシステム発出データを受信すると、受信したシステム発出データが示す情報を情報受信側ユーザYに対し発出する。
【0071】
システム発出データ決定手段114が決定する情報、すなわち、システム発出データ送信手段116が端末装置3に送信するシステム発出データが示す情報の種別や形式は、当該システム発出データの送信先の端末装置3の構成や当該端末装置3を使用する情報受信側ユーザYの希望等に応じて異なる。
【0072】
例えば、情報受信側ユーザYがシステム1との間でテキストによるコミュニケーションを希望する場合、システム発出データ送信手段116が端末装置3に送信するシステム発出データは、テキストを示すテキストデータを含む。その場合、端末装置3はシステム1から受信するシステム発出データに含まれるテキストデータが示すテキストを表示する。
【0073】
また、端末装置3がマイクとスピーカを備え、情報受信側ユーザYがシステム1との間で音声によるコミュニケーションを希望する場合、システム発出データ送信手段116が端末装置3に送信するシステム発出データは、合成音声を表す音データを含む。その場合、システム発出データ決定手段114は、シナリオデータに従い特定した発話内容を、シナリオデータに従い特定した抑揚、声色等で発生した音声を合成し、合成した音声を表す音データを生成する。
【0074】
なお、音声の合成処理は、システム発出データ決定手段114により行われてもよいし、音声合成を行うサーバ装置4により行われてもよい。後者の場合、スクリプト実行手段115がスクリプトデータに従い音声合成を行うサーバ装置4に発話内容、抑揚、声色等のパラメータを含む要求を送信し、その応答として当該サーバ装置4から送信されてくる音データを取得し、システム発出データ決定手段114に引き渡す。
【0075】
端末装置3は、システム1から音データを含むシステム発出データを受信した場合、システム発出データに含まれる音データが表す音を発音する。
【0076】
システム1が情報受信側ユーザYに対し発出する情報の形式はテキスト、音声に限られず、例えば、アニメーション等であってもよい。
【0077】
上述したシステム1によれば、情報発信側ユーザXは、シナリオデータとスクリプトデータを作成し、システム1に送信し、必要に応じてそれらのシナリオデータ又はスクリプトデータを更新することによって、自分が属する事業者からの情報の受信を希望する情報受信側ユーザYに対し、システム1に適切な応答を行わせることができる。シナリオデータ及びスクリプトデータの送信及び更新において、情報発信側ユーザXはシステム1の管理者等とやりとりを行う必要がないため、情報発信側ユーザXは、システム1から情報受信側ユーザYに対し発信される情報を容易に改善できる。
【0078】
また、上述したシステム1においては、異なる複数の事業者間でユーザ属性データが共用される。従って、システム1によれば、個々の事業者では収集や更新が十分にできない情報受信側ユーザYの属性を利用して、情報受信側ユーザYに対しより適切な情報の提供が行われる。
【0079】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形されてよい。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す変形の例の2以上が適宜、組み合わされてもよい。
【0080】
(変形例1)
上述した実施形態において、パブリックシナリオデータは全て、システム1の管理者等が作成したシナリオデータであり、個々の事業者のために作成されたシナリオデータは全てプライベートシナリオデータ(すなわち、そのシナリオデータを作成した事業者のためにシステム1が情報受信側ユーザYとの間で行うコミュニケーションにおいてのみ、使用されるシナリオデータ)であるものとした。
【0081】
個々の事業者のために作成されたシナリオデータが、例えば、そのシナリオデータを作成した事業者の同意の下に、パブリックシナリオデータとして、任意の事業者のためにシステム1が情報受信側ユーザYとの間で行うコミュニケーションにおいて使用されてもよい。
【0082】
この変形例においては、例えば、事業者Aに属する情報発信側ユーザXが端末装置2を用いてシステム1に送信したシナリオデータのうち、事業者Aが共用の許可をしたものは、パブリックシナリオデータとしてシナリオ記憶手段105に記憶される。同様に、事業者Bに属する情報発信側ユーザXが端末装置2を用いてシステム1に送信したシナリオデータのうち、事業者Bが共用の許可をしたものは、パブリックシナリオデータとしてシナリオ記憶手段105に記憶される。従って、例えば、事業者Cから情報を受信したい情報受信側ユーザYがシステム1とコミュニケーションを行う際に、システム1は、システム1の管理者等により任意の事業者のために作成されたパブリックシナリオデータと、事業者Cのために作成されたプライベートシナリオデータに加え、元々は事業者Aや事業者Bのために作成されたが共用されているパブリックシナリオデータの中からも、使用するシナリオデータを選択できる。
【0083】
(変形例2)
上述した実施形態において、パブリックスクリプトデータは全て、システム1の管理者等が作成したスクリプトデータであり、個々の事業者のために作成されたスクリプトデータは全てプライベートスクリプトデータ(すなわち、そのスクリプトデータを作成した事業者のためにシステム1が情報受信側ユーザYとの間で行うコミュニケーションにおいてのみ、使用されるスクリプトデータ)であるものとした。
【0084】
個々の事業者のために作成されたスクリプトデータが、例えば、そのスクリプトデータを作成した事業者の同意の下に、パブリックスクリプトデータとして、任意の事業者のためにシステム1が情報受信側ユーザYとの間で行うコミュニケーションにおいて使用されてもよい。
【0085】
この変形例においては、例えば、事業者Aに属する情報発信側ユーザXが端末装置2を用いてシステム1に送信したスクリプトデータのうち、事業者Aが共用の許可をしたものは、パブリックスクリプトデータとしてスクリプト記憶手段108に記憶される。同様に、事業者Bに属する情報発信側ユーザXが端末装置2を用いてシステム1に送信したスクリプトデータのうち、事業者Bが共用の許可をしたものは、パブリックスクリプトデータとしてスクリプト記憶手段108に記憶される。従って、例えば、事業者Cから情報を受信したい情報受信側ユーザYがシステム1とコミュニケーションを行う際に、システム1は、システム1の管理者等により任意の事業者のために作成されたパブリックスクリプトデータと、事業者Cのために作成されたプライベートスクリプトデータに加え、元々は事業者Aや事業者Bのために作成されたが共用されているパブリックスクリプトデータの中からも、使用するシナリオデータを選択できる。
【0086】
(変形例3)
上述した実施形態において、ユーザ属性特定手段112は、情報受信側ユーザYがいずれかの事業者からの情報の受信を行う目的でシステム1とコミュニケーションを行う際にシステム1が情報受信側ユーザYから得る情報(ユーザ発出データ)に基づいて、情報受信側ユーザYの属性を特定する。
【0087】
これに加えて、もしくは代えて、ユーザ属性データが、いずれかの事業者からの情報の受信を行う目的以外の目的でシステム1とコミュニケーションを行う際にシステム1が情報受信側ユーザYから得る情報(ユーザ発出データ)に基づいて、情報受信側ユーザYの属性を特定してもよい。
【0088】
図3は、この変形例に係るシステム10の一例の構成を模式的に示した図である。図3に示すシステム10は、上述した実施形態におけるシステム1に加え、システム1との間でデータ通信を行うロボット5(1)〜5(m)を備える。
【0089】
ロボット5(1)〜5(m)は、各々、情報受信側ユーザY(1)〜Y(m)により使用されるロボットである。以下、ロボット5(1)〜12(m)を互いに区別しない場合、それらをロボット5と総称する。
【0090】
ロボット5は、例えば、コンピュータと、コンピュータに接続された撮影装置、拾音装置、表示装置、発音装置、駆動装置、胴部、頭部、右腕部、左腕部を備える。
【0091】
図4は、ロボット5の機能構成を例示した図である。図4に示されるロボット5の機能構成は、図2に示したシステム1の機能構成と類似している。ロボット5が備える機能構成部のうち、システム1が備える機能構成部と共通の役割を果たすものには、システム1において用いた符号と同じ符号が付されている。例えば、ロボット5が備える言語情報特定手段102は、上述した実施形態におけるシステム1が備える言語情報特定手段102と共通の役割を果たす構成部である。以下、ロボット5が備える機能構成部のうち、上述した実施形態におけるシステム1が備える機能構成部のなかに共通の役割を果たすものがないものに関して説明する。
【0092】
ユーザ発出データ取得手段501は、情報受信側ユーザYが発出した情報を取得する。ユーザ発出データ取得手段501は、撮影装置を有し、撮影装置により、情報受信側ユーザYの表情、身振り等の非言語情報を含む画像を表す画像データをユーザ発出データとして生成する。また、ユーザ発出データ取得手段501は、拾音装置を有し、拾音装置により、情報受信側ユーザYが発する言語情報である発話内容と、非言語情報である抑揚、声色等を表す音データをユーザ発出データとして生成する。ユーザ発出データ取得手段501により取得された情報を表すユーザ発出データは、言語情報特定手段102及び非言語情報特定手段103に使用される。
【0093】
システム情報発出手段516は、システム発出データ決定手段114が決定した情報を情報受信側ユーザYに対し発出する。システム情報発出手段516は、表示装置を有し、表示装置により、情報受信側ユーザYに対し表情を表示する。また、システム情報発出手段516は、発音装置を有し、発音装置により、情報受信側ユーザYに対し音声を発音する。また、システム情報発出手段516は、駆動装置を有し、駆動装置により、胴部に対する頭部、左腕部、右腕部の位置を変更することにより、情報受信側ユーザYに対し身振り、手振り、ジェスチャー等を行う。
【0094】
ユーザ属性送信手段517は、ユーザ属性特定手段112が特定した情報受信側ユーザYの属性を示すユーザ属性データをシステム1に送信する。システム1は、ロボット5から送信されてくるユーザ属性データを受信し、ユーザ属性記憶手段111に記憶する。
【0095】
ユーザ属性要求手段518は、システム発出データ決定手段114又はスクリプト実行手段115からの指示に従い、システム1に対しユーザ属性データを要求する。ユーザ属性受信手段511は、ユーザ属性要求手段518が行った要求に応じてシステム1から送信されてくるユーザ属性データを受信し、ユーザ属性要求手段518に対し当該ユーザ属性データの要求を指示したシステム発出データ決定手段114又はスクリプト実行手段115に受信したユーザ属性データを引き渡す。
【0096】
ロボット5が備えるログデータ記憶手段104は、ロボット5が自装置を使用する情報受信側ユーザYとの間で行ったコミュニケーションの内容を示すログデータを記憶している。
【0097】
ロボット5が備えるシナリオ記憶手段105は、システム10の管理者等が作成した汎用的なシナリオデータ(パブリックシナリオデータ)を記憶している。ロボット5が備えるスクリプト記憶手段108は、システム10の管理者等が作成した汎用的なスクリプトデータ(パブリックスクリプトデータ)を記憶している。
【0098】
図4に示す構成を備えるロボット5は、自装置を使用する情報受信側ユーザYとの間で日常的に行うコミュニケーションに伴い、ユーザ属性特定手段112により特定した情報受信側ユーザYの属性を示すユーザ属性データをシステム1に送信する。その結果、情報受信側ユーザYがいずれかの事業者から情報の受信を希望して端末装置3を用いてシステム1にアクセスを行う頻度が少なくても、ロボット5とのコミュニケーションにおいてロボット5が特定した情報受信側ユーザYの属性を示すユーザ属性データが、情報受信側ユーザYがシステム1とコミュニケーションを行う際に利用されるため、情報受信側ユーザYは、より適切な情報をシステム1から得ることができる。
【0099】
なお、ロボット5が端末装置3の役割を兼ねてもよい。その場合、ロボット5が、システム1に代わって、情報受信側ユーザYに対し事業者からの情報を情報受信側ユーザYに発信することになる。
【符号の説明】
【0100】
1…システム、2…端末装置、3…端末装置、4…サーバ装置、5…ロボット、10…システム、101…ユーザ発出データ受信手段、102…言語情報特定手段、103…非言語情報特定手段、104…ログデータ記憶手段、105…シナリオ記憶手段、106…シナリオ受信手段、107…シナリオ更新指示受信手段、108…スクリプト記憶手段、109…スクリプト受信手段、110…スクリプト更新指示受信手段、111…ユーザ属性記憶手段、112…ユーザ属性特定手段、113…シナリオ選択手段、114…システム発出データ決定手段、115…スクリプト実行手段、116…システム発出データ送信手段、501…ユーザ発出データ取得手段、511…ユーザ属性受信手段、516…システム情報発出手段、517…ユーザ属性送信手段、518…ユーザ属性要求手段。
【要約】
【課題】情報発信側ユーザが、情報受信側ユーザに対し情報発信を行うコミュニケーションシステムを効率的に開発可能な仕組みを提供する。
【解決手段】シナリオ記憶手段105は、情報の発信元の情報発信側ユーザが使用する端末装置2から送信されるシナリオデータを記憶する。スクリプト記憶手段108は、端末装置2から送信されるスクリプトデータを記憶する。システム発出データ決定手段114は、シナリオデータが示すコミュニケーションの雛形を用いて、情報受信側ユーザYが発出した情報(音声等)に対し応答する情報を決定する。スクリプト実行手段115はシナリオデータにより指示されるスクリプトデータを実行し、例えばサーバ装置4から情報を取得し、システム発出データ決定手段114に引き渡す。システム発出データ決定手段114が決定した情報を示すシステム発出データは端末装置3に送信される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4