(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突っ張り構造体の前記第1の方向における圧力を可変とするよう配置される弾性部材をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の突っ張り構造体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る突っ張り構造体は、対向する2つの面間にテンションを維持した状態で取り付けられる。突っ張り構造体は、筒状であって、第1端部および第1端部に対して長手方向である第1の方向の反対側に位置する第2端部を有する第1の筒状部と、筒状であって、第3端部および第3端部に対して第1の方向の反対側に位置する第4端部を有し、少なくとも第3端部を含む領域を第1の筒状部の内周側に収容可能な第2の筒状部と、第1の筒状部に取り付けられ、第1の筒状部に対する第2の筒状部の第1の方向における移動を規制するジョイント部と、を備える。ジョイント部は、ねじ溝が形成され、第1の方向に垂直な第2の方向に貫通するねじ孔を有し、第1の筒状部の外周面に取り付けられるスリーブ部と、第1の方向に垂直な第2の方向に移動可能であり、スリーブ部に取り付けられるねじと、を含む。ねじは、第2の方向に沿って延びる軸部と、軸部の外周側の端部に取り付けられる頭部と、を含む。軸部は、軸部の内周側の先端部を含み、先端部に向かうにしたがい第2の方向に垂直な断面の断面積が小さくなる第1領域と、第1領域と連なって配置され、第2の方向に沿う外周面を有する第2領域と、第2領域と連なって第2領域と頭部との間に配置され、外周面にねじ溝と係合するねじ山が形成された第3領域と、を含む。
【0010】
突っ張り構造体は、第1の筒状部の内周側から第2の筒状部を所定の長さだけ引き出し、対向する2つの面間の距離に応じた所望の長さとする。そして、ジョイント部に含まれるねじを回転させて軸部を第1の方向に垂直な第2の方向に押し進め、ねじの軸部を第2の筒状部に貫通させることにより、第1の筒状部に対して第2の筒状部を固定する。このようにして、第1の方向における第1の筒状部に対する第2の筒状部の移動を規制する。第1の方向の長さが決められた突っ張り構造体は、対向する2つの面間にテンションを維持した状態で取り付けられる。
【0011】
本開示の突っ張り構造体によると、軸部は、軸部の内周側の先端部を含む第1領域と、第1領域と連なって配置される第2領域と、第2領域と連なって第2領域と頭部との間に配置される第3領域と、を含む。第1領域は、先端部に向かうにしたがい第2の方向に垂直な断面の断面積が小さくなっている。よって、ねじを回転させて軸部を内周側に押し進め、第1領域を第2の筒状部に突き刺す際に、第2の筒状部の外周面に先端部を突き刺しやすくすることができる。第2領域は、第2の方向に沿う外周面を有する。よって、軸部の先端部により第2の筒状部の外周面に穴をあけて軸部を内周側に押し進めていく際に、第2領域が配置された位置における抵抗を小さくすることができる。したがって、軸部を内周側に推し進める際の力を小さくすることができる。第3領域は、外周面にねじ溝に係合するねじ山を有する。よって、ねじの回転時において第3領域のねじ山とスリーブ部に含まれるねじ孔のねじ溝とを係合させて、軸部の第2の方向における進行および後退を円滑に行うことができる。また、ねじ山とねじ溝の係合によりスリーブ部からのねじの脱落等を抑制することができる。したがって、このような突っ張り構造体は、長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0012】
上記突っ張り構造体において、ジョイント部は、棒状部をさらに含んでもよい。棒状部の一方側の端部は、頭部に固定されていてもよい。このようにすることにより、フリーな状態である棒状部の他方側の端部を持ってねじを回転させることができる。よって、ねじを容易に回転させることができ、長さを調整する際のねじの押し進めやねじの退行をより容易に行うことができる。
【0013】
上記突っ張り構造体において、棒状部は、第1の筒状部に対する第2の筒状部の移動が規制された状態において、第1の方向に沿って配置されてもよい。このようにすることにより、第2の筒状部の移動が規制された状態において、棒状部を第1の筒状部の外周面に沿った状態とすることができる。よって、棒状部の他方側の端部が第1の方向に交差して第1の筒状部の外周面から突出した状態となることを避けることができる。また、第1の筒状部に対する第2の筒状部の移動が規制された状態であることを、容易に視覚的に認識することができる。
【0014】
上記突っ張り構造体において、突っ張り構造体の第1の方向における圧力を可変とするよう配置される弾性部材をさらに備えてもよい。このようにすることにより、弾性部材による弾性変形を利用して、突っ張り構造体の第1の方向におけるテンションを維持した状態として対向する2つの面間に取り付けることが容易となる。よって、より容易に2つの面間に突っ張り構造体を取り付けることができる。
【0015】
上記突っ張り構造体において、第2の方向における第2領域の長さは、第1の筒状部の肉厚よりも大きくてもよい。このようにすることにより、より確実にねじ山が設けられていない第2領域において円滑にねじを推し進めることができる。よって、より確実に長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0016】
上記突っ張り構造体において、第2の方向における第2領域の長さは、2.0mm以上8.0mm以下であってもよい。このような突っ張り構造体は、より確実にねじを円滑に推し進めることができる。より確実に長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0017】
上記突っ張り構造体において、スリーブ部は、円筒状であってもよい。このようにすることにより、スリーブ部の第1の筒状部からの脱落のおそれを低減することができる。よって、より確実に長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0018】
上記突っ張り構造体において、第2の筒状部の材質は、鉄であってもよい。このようにすることにより、剛性の高い突っ張り構造体において、長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0019】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本開示の突っ張り構造体の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0020】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における突っ張り構造体の一種である突っ張り棒の構成について説明する。
図1は、実施の形態1における突っ張り棒の構成を示す外観図である。
図1は、実施の形態1における突っ張り棒の外観の側面図である。
図2は、
図1に示す突っ張り棒の断面図である。
図2中において、突っ張り棒が取り付けられる2つの対向する壁面も図示している。
図2は、後述する円筒状の第1の筒状部14aの中心軸を通り、第1の筒状部14aの長手方向に沿う平面で切断した場合の断面図である。
図3は、
図1に示す突っ張り棒の分解断面図である。
図4および
図5はそれぞれ、
図1に示す突っ張り棒の外観の斜視図である。
図4および
図5は、互いに異なる角度から見た図である。
【0021】
図1〜
図5を参照して、実施の形態1における突っ張り棒11aの長手方向である第1の方向は、矢印D
1で示す向きまたはその逆の向きで示される。突っ張り棒11aは、対向する2つの面、具体的には、第1の壁面12および第1の壁面12と対向する第2の壁面13間にテンションを維持した状態で取り付けられる(特に
図2参照)。この場合、2つの壁面12,13は、矢印D
1で示す方向において対向している。なお、
図2において、第1の方向に垂直な方向は、矢印D
2で示す向きまたはその逆の向きで示される。
図2において、矢印D
2で示す向きは、天から地へ向かう向きを示している。壁面12,13間に取り付けられた突っ張り棒11aを利用して、例えばハンガーやフックが引っ掛けられる。また、突っ張り棒11aにカーテンレールを取り付けてカーテンの開閉に利用することもできる。また、第1の方向、すなわち長手方向を鉛直方向として天井の天壁面とタンス等の家具の天井側に位置する面との間にテンションを維持した状態で取り付け、家具を転倒から防止する転倒防止具としても利用することができる。また、天井の天壁面と床面との間にテンションを維持した状態で取り付け、支柱として利用することもできる。
【0022】
突っ張り棒11aは、筒状である第1の筒状部14aと、取り付け時において第1の壁面12と当接する第1の当接部15aと、筒状である第2の筒状部16aと、取り付け時において第2の壁面13と当接する第2の当接部17aと、ジョイント部18aと、を備える。
【0023】
第1の筒状部14aは、円筒状である。第1の筒状部14aの長手方向である第1の方向の長さとして、例えば300mm以上1600mm以下のものが用いられる。具体的には、390mm以上1540mm以下のものが用いられる。第1の筒状部14aの内径として、例えば20.0mm以上32.0mm以下のものが用いられる。具体的には、21.0mm以上31.8mm以下のものが用いられる。第1の筒状部14aの外径として、例えば22.0mm以上35.0mm以下のものが用いられる。具体的には、22.2mm以上33.5mm以下のものが用いられる。第1の筒状部14aの肉厚、すなわち、第1の筒状部14aの外周面21aから内周面22aに至る径方向の長さとして、例えば0.3mm以上2.0mm以下のものが用いられる。具体的には、0.4mm以上1.0mm以下のものが用いられる。第1の筒状部14aは、第1の方向の一方側に位置し、第1の筒状部14aの一方側の開口を含む第1端部23aと、第1端部23aと第1の方向の反対側に位置し、第1の筒状部14aの他方側の開口を含む第2端部24aと、を有する。第1の筒状部14aの材質としては、例えば鉄が用いられる。
【0024】
第1の当接部15aは、ケース部31aと、第1の方向における圧力を可変とするよう配置される弾性部材としてのばね32aと、第1キャップ33aと、第1パッド34aと、を含む。ケース部31aは、円筒状であって、一方側の端部は閉塞しており、他方側の端部は開口している。ケース部31aには、一方側の端部における外周面35aと径方向に間隔をあけて形成される取り付け部36aが形成されている。ケース部31aは、一方側の端部が、第1の筒状部14aの第1端部23a側から挿入される。この時、取り付け部36aと外周面35aとの間の径方向の隙間に第1端部23aが嵌め込まれる。このようにして、ケース部31aは、第1の筒状部14aに取り付けられる。
【0025】
ばね32aは、いわゆるコイル状であって、長手方向に押し縮めることができる。ばね32aは、長手方向に押し縮められた際の力が解放されると、復元力により元の長さに戻る。すなわち、ばね32aには、長手方向に押し縮められると、ばね32aの復元力により元の長さに戻ろうとする付勢力が働く。
【0026】
第1キャップ33aは、一方側の端部は開口しており、他方側の端部は閉塞している円筒状の部分を有する。開口された一方側の端部の内周側にケース部31aの他方側の端部が嵌め込まれる。このようにして、第1キャップ33aは、ケース部31aに取り付けられる。上記したばね32aは、ケース部31aの内周面によって囲まれた空間37a内に配置される。この場合、ばね32aの長手方向が第1の方向に沿うように配置される。ばね32aは、長手方向において自然長の状態で、すなわち、長手方向に押し縮められていない状態で空間37a内に配置される。すなわち、ばね32aは、弾性変形により突っ張り棒11aの第1の方向における圧力を可変とするよう配置される。
【0027】
第1パッド34aは、ケース部31aが嵌め込まれた側と長手方向の反対側において、第1キャップ33aに取り付けられる。本実施形態においては、第1パッド34aは板状であり、厚み方向、すなわち、第1の方向に見た場合の外形形状は正方形である。本実施形態においては、第1の方向に見た場合に、第1パッド34aの4隅の角には面取りが施され、丸められている。第1パッド34aは、厚み方向の一方側の面38aが取り付け時において第1の壁面12と対向する。すなわち、突っ張り棒11aの使用時において、第1の壁面12と面38aとが当接する。
【0028】
第2の筒状部16aは、円筒状である。第2の筒状部16aの長手方向である第1の方向の長さとして、例えば400mm以上1700mm以下のものが用いられる。具体的には、440mm以上1600mm以下のものが用いられる。第2の筒状部16aの内径として、例えば15.0mm以上30.0mm以下のものが用いられる。具体的には、17.8mm以上27.8mm以下のものが用いられる。第2の筒状部16aの外径として、例えば15.0mm以上32.0mm以下のものが用いられる。具体的には、19.0mm以上29.5mm以下のものが用いられる。第2の筒状部16aの肉厚、すなわち、第2の筒状部16aの外周面26aから内周面27aに至る径方向の長さとして、例えば0.3mm以上2.0mm以下のものが用いられる。具体的には、0.4mm以上1.0mm以下のものが用いられる。第2の筒状部16aの肉厚は、
図3中の長さL
3で示される。第2の筒状部16aは、第1の方向の一方側に位置し、第2の筒状部16aの一方側の開口を含む第3端部28aと、第3端部28aに対して第1の方向の反対側に位置し、第2の筒状部16aの他方側の開口を含む第4端部29aと、を有する。第2の筒状部16aは、第3端部28aを含む領域を第1の筒状部14aの内周側に収容可能である。本実施形態においては、突っ張り棒11aは、第1の筒状部14aの内周側から第2の筒状部16aを所定の長さだけ引き出し、対向する2つの壁面12,13間の距離に応じた所望の長さとして使用される。第2の筒状部16aの材質としては、例えば第1の筒状部14aと同様に、鉄が用いられる。
【0029】
第2の当接部17aは、第1ジャッキ部41aと、第2ジャッキ部42aと、第2キャップ43aと、第2パッド44aと、を含む。第1ジャッキ部41aは、円筒状であって、他方側の開口を含み、外周面におねじが形成されておらず、平滑な円筒面を有する第1嵌合部45aと、一方側の開口を含み、外周面にねじ山(おねじ)が形成されている第2嵌合部46aと、を含む。第1ジャッキ部41aは、第2の筒状部16aの第4端部29a側から第2の筒状部16a内に第1嵌合部45aを差し込み、第4端部29aをかしめることにより、第2の筒状部16aに取り付けられる。
【0030】
第2ジャッキ部42aは、円筒状である。第2ジャッキ部42aの一方側の端部に近い領域には、内周面を接続するように棒状に延びるリブ49aが複数設けられている。本実施形態において、リブ49aは3本設けられており、周方向に60度ずつ間隔をあけて放射状に形成されている。なお、
図3は、リブ49aを含む断面で切断した場合の断面となっている。リブ49aが設けられた位置から第2ジャッキ部42aの長手方向の中央の領域に至る内周面には、ねじ溝(めねじ)が設けられた第3嵌合部47aが形成されている。第2ジャッキ部42aは、第2ジャッキ部42aを回転させながら第2嵌合部46aのおねじを第2ジャッキ部42aの第3嵌合部47aのめねじに係合させることにより、第1ジャッキ部41aに取り付けられる。
【0031】
第2キャップ43aは、一方側の端部は閉塞しており、他方側の端部は開口している円筒状の部分を有する。開口された他方側の端部に第2ジャッキ部42aが嵌合される。具体的には、第2ジャッキ部42aの一方側の端部の外周面が第2キャップ43aの内周面に嵌め込まれる。なお、第1キャップ33aと第2キャップ43aとは、同じ形状の部材を用いることにしてもよい。
【0032】
第2パッド44aは、第2ジャッキ部42aが嵌め込まれた側と長手方向の反対側において、第2キャップ43aに取り付けられる。本実施形態においては、第2パッド44aは板状であり、厚み方向、すなわち、第1の方向に見た場合の外形形状は正方形である。本実施形態においては、第1の方向に見た場合に、第2パッド44aの4隅の角には面取りが施され、丸められている。第2パッド44aは、厚み方向の一方側の面48aが取り付け時において第2の壁面13と対向する。すなわち、突っ張り棒11aの使用時において、第2の壁面13と面48aとが当接する。なお、第1パッド34aと第2パッド44aとは、同じ形状の部材を用いることにしてもよい。
【0033】
ジョイント部18aは、スリーブ部51aと、ねじ52aと、を含む。本実施形態においては、ジョイント部18aは、棒状部67aを含む。次に、スリーブ部51aの構成について説明する。
図6は、スリーブ部51aの概略斜視図である。
図7は、
図6に示すスリーブ部51aを第1の方向に見た外観図である。
図7は、スリーブ部51aを、矢印D
1で示す向きから見た図である。
図8は、
図7中の線分VIII−VIIIで切断した場合のスリーブ部51aの概略断面図である。
図6〜
図8は、ジョイント部18aに含まれるねじ52aの図示を省略した状態の図である。なお、
図6において、後述するナット部62aの図示を省略している。
【0034】
図6〜
図9を併せて参照して、スリーブ部51aは、筒状である。具体的には、スリーブ部51aは、円筒状である。スリーブ部51aは、一方側の端部53aを含み、径方向の厚さが大きい第1部分54aと、第1部分54aと第1の方向において隣り合って配置され、他方側の端部55aを含み、第1部分54aよりも径方向の厚さが小さい第2部分56aと、を含む。また、スリーブ部51aは、第1部分54aの配置される領域において、外周面57aに形成され、外周側に突出する突出部58aを含む。スリーブ部51aは、第1の筒状部14aの第2端部24aが位置する領域において、第1の筒状部14aの外周面21aと第2部分56aの内周面60aとが当接するよう嵌め込まれて取り付けられる。第1部分54aの内周面59aと第2部分56aの内周面60aとの段差50aに第2端部24aが当接するように、スリーブ部51aは、第1の筒状部14aに取り付けられる。第1部分54aの内周面59aは、第2の筒状部16aの外周面26aに対向するように配置される。スリーブ部51aの第1の方向における長さは、端部53aから端部55aまでの長さL
1によって示される。
【0035】
突出部58aは、第1の方向に垂直な第2の方向に延びる形状である。突出部58aは、円柱状である。突出部58aには、第2の筒状部16aの径方向、すなわち、第2の方向に貫通する貫通孔61aが形成されている。スリーブ部51aは、ナット部62aを含む。ナット部62aは、ねじ溝(めねじ)63aが形成され、第2の方向に貫通するねじ孔64aを有する。ナット部62aを除くスリーブ部51aは、樹脂製である。ナット部62aは、金属製である。具体的には、ナット部62aは、真鍮製である。ナット部62aは、貫通孔61a内に配置される。貫通孔61a内に嵌め込まれたナット部62aのねじ孔64aは、第2の筒状部16aの径方向である第2の方向に貫通して配置されることになる。スリーブ部51aは、ねじ溝63aが形成され、第2の方向に貫通するねじ孔64aを有する。ねじ孔64aは、内周面59aに開口を有する。
【0036】
次に、ねじ52aの構成について説明する。
図9は、ジョイント部18aに含まれるねじ52aおよび棒状部67aの概略斜視図である。
図10は、
図9に示すねじ52aおよび棒状部67aを第2の方向に見た外観図である。
図10は、ねじ52aおよび棒状部67aを矢印D
2で示す向きと逆の向きから見た図である。
図11は、
図10中の線分XI−XIで切断した場合のねじ52aおよび棒状部67aの概略断面図である。
【0037】
図9〜
図11を併せて参照して、ねじ52aは、軸部65aと、頭部66aと、を含む。軸部65aは、第2の方向に沿って延びている。すなわち、ねじ52aは、軸部65aが第2の方向に沿って延びるようスリーブ部51aに取り付けられている。
図11中の一点鎖線で示すねじ52aの回転軸70aは、軸部65aの中心軸を通る。頭部66aは、軸部65aの一方側の端部である外周側の端部に取り付けられる。ねじ52aは、金属製である。
【0038】
棒状部67aは、樹脂製である。棒状部67aの一方側の端部68aは、ねじ52aの頭部66aに取り付けられる。具体的には、樹脂製の棒状部67aの一方側の端部68aにねじ52aの頭部66aが埋め込まれるようにして固定されている。棒状部67aの他方側の端部69aはフリーな状態、すなわち、突っ張り棒11aを構成する部材に取り付けられていない状態である。突っ張り棒11aを利用するユーザーは、棒状部67aの他方側の端部69aを掴み、棒状部の一方側の端部68a側を支点として回転させることにより、ねじ52aを回転させることができる。本実施形態においては、棒状部67aの長手方向の長さを長さL
2とすると、スリーブ部51aの第1の方向における長さL
1は、長さL
2よりも大きい。このようにすることにより、棒状部67aの形状をよりコンパクトにすることができる。一方、長さL
2を長さL
1よりも大きくすることにより、ねじ52aを回転させる際の力の軽減を図ることが容易になる。棒状部67aは、第1の筒状部14aに対する第2の筒状部16aの移動が規制された状態において、第1の方向に沿って配置される。
【0039】
ここで、軸部65aは、第1領域71aと、第2領域72aと、第3領域73aと、を含む。第1領域71aは、軸部65aの内周側の先端部74aを含む。第2領域72aは、第1領域71aと連なって配置される。第2領域72aは、第2の方向において、第1領域71aと第3領域73aとの間に配置される。第3領域73aは、第2領域72aと連なって配置される。第3領域73aは、第2の方向において、第2領域72aと頭部66aとの間に配置される。第2領域72aおよび第3領域73aは、第2の方向において、第1領域71aと頭部66aとの間に配置される。第2の方向における第1領域71aの長さ、第2領域72aの長さおよび第3領域73aの長さは、それぞれ長さL
4,L
5,L
6で示される。
【0040】
第1領域71aは、先端部74aに向かうにしたがい第2の方向に垂直な断面の断面積が小さくなる。第1領域71aは、先端部74aが鋭角で尖った形状である。
図11に示す断面において表れる外周面75aをなす線76aと線77aとのなす角度は、鋭角である。第1領域71aの外周面75aは、円錐面から構成されている。外周面75aには、ねじ山およびねじ溝は形成されていない。
【0041】
第2領域72aは、第2の方向に沿う外周面78aを有する。第2領域72aの外周面78aは、円柱面から構成されている。外周面78aには、ねじ山およびねじ溝は形成されていない。
図11に示す断面において、外周面78aをなす線79aと線81aとは、平行である。なお、ここでいう平行とは、幾何学的に厳密に2本の線が平行関係を有している場合のみならず、例えば第2の方向において、第1領域71aに向かうにつれて、間隔がやや狭くなっている場合も含む。第2の方向における第2領域72aの長さL
5は、第2の筒状部16aの肉厚よりも大きい。具体的には、長さL
5は、2.0mm以上8.0mm以下である。
【0042】
第3領域73aの外周面82aには、ねじ溝63aと係合するねじ山(おねじ)83aが形成されている。ねじ山83aは、第3領域73aの長手方向の全域にわたって形成されている。第2の方向における第2領域72aと第3領域73aとの境界は、ねじ山の有無によって定められる。
【0043】
ここで、上記突っ張り棒11aの取り付け方法の一例について簡単に説明する。まず、ねじ52aを緩めた状態の
図1等に示す突っ張り棒11aを準備する。ねじ52aを緩めた状態では、第1の筒状部14aの内周側にある第2の筒状部16aを出し入れすることができる。第1の筒状部14aの内周側から第2の筒状部16aを第1の方向に引き出して、突っ張り棒11aの長手方向の長さを変えることができる。
【0044】
第1の筒状部14aの内周側から第2の筒状部16aを所定の長さだけ引き出し、対向する2つの壁面12,13間の距離に応じた所望の長さとする。本実施形態においては、2つの壁面12,13間と同じ長さか、または2つの壁面12,13間よりもやや短い長さとする。そして、ジョイント部18aに含まれるねじ52aを回転させて軸部65aを第1の方向に垂直な第2の方向に押し進める。ねじ52aの回転に際しては、棒状部67aの他方側の端部69aを持って力を加え、回転軸70aを回転の中心軸として回転させる。ここで、ねじ52aの第3領域73aは、外周面82aにねじ溝63aに係合するねじ山83aを有する。よって、第3領域73aのねじ山83aとスリーブ部51aに含まれるねじ孔64aのねじ溝63aとを係合させて、軸部65aの第2の方向における進行および後退を円滑に行うことができる。なお、ねじ山83aとねじ溝63aの係合によりスリーブ部51aからのねじ52aの脱落等を抑制することができる。
【0045】
第3領域73aの外周面82aに設けられたねじ山83aと、ねじ孔64aのねじ溝63aとが係合しており、ねじ52aの回転により、軸部65aが矢印D
2と逆の向きに進行していく。
図12は、ねじ52aを押し進める前の状態の突っ張り棒11aの一部を拡大して示す概略断面図である。
図12を参照して、ねじ52aを回転させて、ねじ52aの軸部65aを第2の方向、具体的には、矢印D
2示す向きと逆の向きに押し進める。そうすると、軸部65aの第1領域71aに含まれる先端部74aが第2の筒状部16aの外周面26aに当接する。その後、ねじ52aの回転により先端部74aが第2の筒状部16aに食い込んでいく。
【0046】
ここで、上記突っ張り棒11aによると、第1領域71aは、先端部74aに向かうにしたがい第2の方向に垂直な断面の断面積が小さくなっている。よって、ねじ52aを回転させて軸部65aを内周側に押し進め、第1領域71aを第2の筒状部16aに突き刺す際に、第2の筒状部16aの外周面26aに先端部74aを突き刺しやすくすることができる。本実施形態においては、第1領域71aの外周面75aは、円錐面から構成されており、外周面75aには、ねじ山およびねじ溝は形成されていない。よって、より先端部74aを突き刺しやすい。また、第2領域72aは、第2の方向に沿う外周面78aを有する。よって、軸部65aの先端部74aにより第2の筒状部16aの外周面26aに穴をあけて軸部65aを内周側に押し進めていく際に、第2領域72aが配置された位置における抵抗を小さくすることができる。したがって、軸部65aを内周側に推し進める際の力を小さくすることができる。
【0047】
図13は、ねじ52aを押し進めた後の状態の突っ張り棒11aの一部を拡大して示す概略断面図である。
図13は、
図2におけるXIIIで示す部分の拡大図に相当する。
図13を併せて参照して、このようにねじ52aの軸部65aを第2の筒状部16aに貫通させることにより、第1の筒状部14aに対して第2の筒状部16aを固定する。このようにして、第1の方向における第1の筒状部14aに対する第2の筒状部16aの移動を規制する。この場合、第1の筒状部14aに対する第2の筒状部16aの周方向の移動も規制される。その後、第1の方向における長さが決められた突っ張り棒11aは、
図2に示すように対向する2つの壁面12,13間に取り付けられる。
【0048】
ここで、壁面12,13間に突っ張り棒11aを取り付ける際には、2つの壁面12,13間の長さに応じて長手方向の長さが調整された突っ張り棒11aが2つの壁面12,13間に配置される。突っ張り棒11aを壁面12,13間に配置後、第2ジャッキ部42aを回転させる。この場合、突っ張り棒11aが長手方向に長くなる方向に第2ジャッキ部42aを回転させる。そうすると、突っ張り棒11aは、長手方向に長くなろうとするが、壁面12,13間に配置されているため、空間37a内に配置されたばね32aが長手方向に押し縮められる。その結果、ばね32aが自然長の長さに戻ろうとする付勢力によってテンションを維持した状態で、突っ張り棒11aは、壁面12,13間に取り付けられる。このようにして、突っ張り棒11aは、対向する2つの壁面12,13間に取り付けられる。
【0049】
以上より、このような突っ張り棒11aは、長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0050】
本実施形態において、ジョイント部18aは、棒状部67aを含む。棒状部67aの一方側の端部68aは、頭部66aに固定されている。したがって、フリーな状態である棒状部67aの他方側の端部69aを持ってねじ52aを回転させることができる。よって、上記突っ張り棒11aは、ねじ52aを容易に回転させることができ、長さを調整する際のねじ52aの押し進めやねじ52aの退行をより容易に行うことができる突っ張り棒となっている。
【0051】
本実施形態において、棒状部67aは、第1の筒状部14aに対する第2の筒状部16aの移動が規制された状態において、第1の方向に沿って配置されている。したがって、第2の筒状部16aの移動が規制された状態において、棒状部67aを第1の筒状部14aの外周面21aに沿った状態とすることができる。よって、上記突っ張り棒11aは、棒状部67aの他方側の端部69aが第1の方向に交差して第1の筒状部14aの外周面21aから突出した状態となることを避けることができる突っ張り棒となっている。また、上記突っ張り棒11aは、第1の筒状部14aに対する第2の筒状部16aの移動が規制された状態であることを、容易に視覚的に認識することができる突っ張り棒となっている。
【0052】
本実施形態において、第2の方向における第2領域72aの長さL
5は、第1の筒状部14aの肉厚よりも大きい。したがって、より確実にねじ山83aが設けられていない第2領域72aにおいて円滑にねじ52aを推し進めることができる。よって、上記突っ張り棒11aは、より確実に長手方向の長さの調整を容易に行うことができる突っ張り棒となっている。
【0053】
本実施形態において、第2の方向における第2領域72aの長さL
5は、2.0mm以上8.0mm以下である。したがって、より確実にねじ52aを円滑に推し進めることができる。よって、上記突っ張り棒11aは、より確実に長手方向の長さの調整を容易に行うことができる突っ張り棒となっている。
【0054】
本実施形態において、スリーブ部51aは、円筒状である。したがって、スリーブ部51aの第1の筒状部14aからの脱落のおそれを低減することができる。よって、上記突っ張り棒11aは、より確実に長手方向の長さの調整を容易に行うことができる突っ張り棒となっている。
【0055】
本実施形態において、第2の筒状部16aの材質は、鉄である。よって、上記突っ張り棒11aは、剛性の高い突っ張り棒であって、長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0056】
本実施形態において、突っ張り棒11aは、第1の方向における圧力を可変とするよう配置される弾性部材としてのばね32aを含む。したがって、ばね32aによる弾性変形を利用して、突っ張り棒11aの第1の方向におけるテンションを維持した状態として対向する2つの壁面12,13間に取り付けることができる。よって、このような突っ張り棒11aは、より確実に2つの壁面12,13間に取り付けることができる突っ張り棒となっている。
【0057】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図14は、実施の形態2における突っ張り構造体としての突っ張り棒を示す正面図である。
図15および
図16はそれぞれ、
図14に示す突っ張り棒の外観の斜視図である。
図15および
図16は、互いに異なる角度から見た図である。実施の形態2の突っ張り棒は、実施の形態1の突っ張り棒に含まれる第1の当接部および第2の当接部の形状が異なる点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0058】
図14〜
図16を参照して、実施の形態2における突っ張り棒11bは、第1の筒状部14bと、第1の当接部15bと、第2の筒状部16bと、第2の当接部17bと、ジョイント部18bと、を含む。第1の筒状部14b、第2の筒状部16bおよびジョイント部18bの構成は、実施の形態1における第1の筒状部14a、第2の筒状部16aおよびジョイント部18aの構成とそれぞれ同様である。よって、これらの説明を省略する。
【0059】
第1の当接部15bにおいて、第1パッド34bは板状であり、厚み方向に見た場合の外形形状は長方形である。本実施形態においては、第1の方向に見た場合に、第1パッド34bの4隅の角には面取りが施され、丸められている。また、第2の当接部17bにおいて、第2パッド44bは板状であり、厚み方向に見た場合の外形形状は長方形である。本実施形態においては、第1の方向に見た場合に、第2パッド44bの4隅の角には面取りが施され、丸められている。
【0060】
このような突っ張り棒11bは、例えば家具の転倒を防止する家具転倒防止具として有効に利用される。具体的には、突っ張り棒11bは、天地方向が長手方向になるように取り付けられる。例えば第1パッド34bの面38bが天井を構成する天壁面と当接し、第2パッド44bの面48bがタンス等の家具の天壁面と対向する面と当接するように、突っ張り棒11bが取り付けられる。より具体的には、長方形の長手方向がタンスの引き出しを引き出す方向と同じ方向になるように取り付けられる。このように取り付けることにより、地震等が発生した際の家具の転倒を防止することができる。
【0061】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図17は、実施の形態3における突っ張り構造体としての突っ張り棚を示す概略斜視図である。実施の形態3の突っ張り棚は、実施の形態1の突っ張り棒と同様の構成の部分を2つ含み、棚として利用される点において、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0062】
図17を参照して、実施の形態3における突っ張り棚86は、2本の突っ張り棒11c,11dと、突っ張り棒11a,11c間に配置される網部87と、を含む。突っ張り棒11cは、第1の筒状部14cと、第1の当接部15cと、第2の筒状部16cと、第2の当接部17cと、ジョイント部18cと、を含む。突っ張り棒11dは、第1の筒状部14dと、第1の当接部15dと、第2の筒状部16dと、第2の当接部17dと、ジョイント部18dと、を含む。突っ張り棒11c、11dの構成はそれぞれ、実施の形態1における突っ張り棒11aの構成と基本的に同様である。よって、これらの説明を省略する。
【0063】
突っ張り棚86に含まれる網部87は、複数の棒状部材を格子状に組み合わせて構成されている。本実施形態において、網部87は、複数の棒状部材を第1の方向および第1の方向と直交する方向に配置して組み合わせることにより形成されている。突っ張り棒11c,11dはそれぞれ平行となるように配置される。突っ張り棒11c,11d間に網部87が配置される。具体的には、網部87は、突っ張り棒11cに含まれる第1の筒状部14cの外周面21cおよび突っ張り棒11dに含まれる第1の筒状部14dの外周面21dのそれぞれと接続されている。
【0064】
このような突っ張り棚86は、2本の突っ張り棒11c,11dを、テンションを維持した状態で対向する壁面間に取り付けられた際に、網部87の上に物を載置することができる。また、網部87にハンガー等を引っ掛けて使用することもできる。
【0065】
このような突っ張り棚86についても、長手方向の長さの調整を容易に行うことができる。
【0066】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、第1領域に含まれるねじの先端部は、尖っていることとしたが、これに限らず、ねじの先端部は、尖っていなくてもよく、例えば先端が丸められた円弧面で形成されていてもよく、第2の方向に垂直な面で切断した形状であってもよい。
【0067】
また、上記の実施の形態においては、ジョイント部は、ねじ溝が形成された金属製のナット部を含むこととしたが、これに限らず、ジョイント部は、肉厚の第1部分に直接ねじ溝が形成されたねじ孔を設けることにしてもよい。
【0068】
なお、上記の実施の形態において、ジョイント部は、棒状部を含むこととしたが、これに限らず、ジョイント部は、棒状部を含まなくてもよい。また、ジョイント部は、円筒状でなくともよく、第1の筒状部の端部よりも長手方向の中央側に取り付けられていてもよい。また、ジョイント部は、第1の筒状部に対して、着脱自在な構成であってもよい。
【0069】
また、上記の実施の形態において、弾性部材をさらに備える構成としたが、これに限らず、弾性部材を備えない構成としてもよい。また、弾性部材の配置については、例えば第2の筒状部の内周側に配置されていてもよい。また、弾性部材は、ばねに限らず、ゴム状の部材であってもよい。
【0070】
また、上記の実施の形態において、第1の筒状部および第2の筒状部は、円筒状であることとしたが、これに限らず、他の形状、例えば断面の外形形状が楕円形状であってもよいし、角筒状であってもよい。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
突っ張り構造体は、第1端部および第2端部を有する第1の筒状部と、第3端部および第4端部を有し、少なくとも第3端部を含む領域を第1の筒状部の内周側に収容可能な第2の筒状部と、第1の筒状部に対する第2の筒状部の第1の方向における移動を規制するジョイント部と、を備える。ジョイント部は、ねじ溝が形成され、第1の方向に垂直な第2の方向に貫通するねじ孔を有し、第1の筒状部の外周面に取り付けられるスリーブ部と、スリーブ部に取り付けられるねじと、を含む。ねじは、軸部と、頭部と、を含む。軸部は、軸部の内周側の先端部を含み、先端部に向かうにしたがい第2の方向に垂直な断面の断面積が小さくなる第1領域と、第1領域と連なって配置され、第2の方向に沿う外周面を有する第2領域と、第2領域と連なって第2領域と頭部との間に配置され、外周面にねじ溝と係合するねじ山が形成された第3領域と、を含む。