(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属/準金属含有半導体が、IV族半導体、IV族化合物半導体、VI族半導体、III−V半導体、II−VI半導体、I−VII半導体、IV−VI半導体、V−VI半導体、II−V半導体、及びI−III−VI2半導体のうちから選択された1以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の正極。
前記金属/準金属含有半導体が、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の酸化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の硫化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の窒化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の窒素酸化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属のリン化物、及び第2族ないし第16族に属する金属/準金属のヒ素化物のうちから選択された1以上を含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の正極。
前記第1炭素系材料が、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、フラーレンスート、メゾカーボンマイクロビード(MCMB)、炭素ナノチューブ(CNT)、炭素ナノファイバ、炭素ナノベルト、ソフトカーボン、ハードカーボン、ピッチ炭化物、メゾ相ピッチ炭化物及び焼成コークスのうちから選択された1以上を含むことを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の正極。
前記複合炭素が、酸素の酸化反応または還元反応に関与する金属または金属酸化物のナノ粒子触媒を含まないことを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の正極。
前記正極を含む空気電池の充放電時、リチウム金属対比2.0Vにおけるカットオフ時の放電容量が、最初サイクルでの放電容量の80%以上に維持されるサイクル数が20回超過であることを特徴とする請求項1から20の何れか1項に記載の正極。
前記正極を含む空気電池の充放電時、10回目サイクルでの二酸化炭素発生量に比べ、15回目サイクルでの二酸化炭素発生量がさらに少ないことを特徴とする請求項1から21の何れか1項に記載の正極。
前記金属/準金属含有半導体の含量は、第1炭素系材料及び第2炭素系材料のうちから選択された1以上100重量部を基準にして、1ないし300重量部であることを特徴とする請求項1から22の何れか1項に記載の正極。
前記蒸着が、ALD(atomic layer deposition)法、PVD(physical vapor deposition)法またはCVD(chemical vapor deposition)法によって遂行されることを特徴とする請求項26に記載の正極製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、例示的な具現例による正極、それを含むリチウム空気電池、及び該正極の製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0040】
本明細書において「非絶縁性(non-insulating)コーティング層」は、絶縁性材料を含まないコーティング層を意味する。例えば、伝導性材料、半導体性材料のうちから選択された1以上を含むコーティング層を意味する。
【0041】
一具現例による正極は、コアと、前記コア上に配置された非絶縁性コーティング層と、を含み、前記コアが、第1炭素系材料、及び該第1炭素系材料の熱処理結果物である第2炭素系材料のうちから選択された1以上を含み、前記コーティング層が、金属/準金属含有半導体を含む複合炭素を含み、酸素を正極活物質として使用する。第1炭素系材料を含むコア上に、金属/準金属含有半導体を含む非絶縁性コーティング層が配置されることにより、第1炭素系材料の欠陥を治癒(healing)し、第1炭素系材料の耐久性を向上させ、前記正極を採用したリチウム空気電池の寿命特性が向上する。
【0042】
例えば、リチウム空気電池の充放電時、電解液が含むリチウムイオンと、外部から供給される酸素とが接触して電気化学反応が起こる反応地点である第1炭素系材料の表面に欠陥が存在すれば、第1炭素系材料の表面でのリチウム酸化物の生成/分解過程において、第1炭素系材料の酸化、亀裂、分離などが増大してしまう。該第1炭素系材料の酸化、亀裂及び分離の増大により、該第1炭素系材料と電解液との副反応が増大、結果として、正極の劣化が促進される。このような正極劣化により、二酸化炭素のようなガス発生が増大する。しかし、第1炭素系材料の表面欠陥が、非絶縁性コーティング層によって被覆されれば、該第1炭素系材料の表面に、黒鉛のような構造を有し、欠陥がない結晶性炭素が主に露出される。このような結晶性炭素領域においては、リチウム酸化物の生成/分離過程において、該第1炭素系材料の酸化、亀裂、分離などが抑制されるので、電解液との副反応が低減され、結果として、正極劣化が抑制される。該第1炭素系材料の表面が非絶縁性コーティング層によって改質される。
【0043】
また、該非絶縁性コーティング層は、絶縁性コーティング層と異なって伝導性を有するので、該第1炭素系材料を含む正極の内部抵抗増大を抑制することができる。従って、該第1炭素系材料上に、該非絶縁性コーティング層が追加されるにもかかわらず、正極の内部抵抗増大が抑制され、前記正極を含むリチウム空気電池において、電気化学反応の可逆性が維持される。それに反して、絶縁性コーティング層は、該第1炭素系材料の表面を、実質的に絶縁体で密封し、該第1炭素系材料表面におけるリチウムイオンと酸素との反応を遮断するので、該絶縁性コーティング層が表面に配置された炭素系材料を含む正極の内部抵抗が顕著に増大し、前記正極を採用したリチウム空気電池の充放電特性、例えば、電池容量及び寿命特性が顕著に低下してしまう。
【0044】
また、リチウム空気電池の作動電圧及び電流量の範囲で、該非絶縁性コーティング層は、電気化学反応に関与せず、電解液とも反応しない。従って、該リチウム空気電池の充放電時、該非絶縁性コーティング層は、リチウムと合金を形成せず、酸素及び電解液と反応しない。すなわち、該非絶縁性コーティング層は、リチウム、酸素及び電解液に対して不活性であり、単に電子伝導体及び/またはイオン伝導体としてのみ作用する。言い換えれば、該非絶縁性コーティング層が含む金属/準金属含有半導体は、酸素酸化/還元反応、すなわち、電気化学反応に関与せず、電解液とも反応しない。すなわち、該非絶縁性コーティング層が含む金属/準金属含有半導体は、酸素酸化/還元反応の活性化のための触媒ではない。
【0045】
該正極において、該非絶縁性コーティング層は、コアとも複合化される。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コアと単に混合せず、化学的または機械化学的な結合によって連結される。従って、該コア及び該非絶縁性コーティング層を含む複合炭素は、該コアと該非絶縁性材料との単純混合物と区別される。
【0046】
該正極において、金属/準金属含有半導体が元素周期律表第2族ないし第16族に属する金属/準金属元素を含んでもよい。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体が、IV族半導体、IV族化合物半導体、VI族半導体、III−V半導体、II−VI半導体、I−VII半導体、IV−VI半導体、V−VI半導体、II−V半導体及びI−III−VI2半導体のうちから選択された1以上を含んでもよい。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体が、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の酸化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の硫化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の窒化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属の窒素酸化物、第2族ないし第16族に属する金属/準金属のリン化物、及び第2族ないし第16族に属する金属/準金属のヒ素化物のうちから選択された1以上を含んでもよい。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体が、Zn
aO
b(0<a≦2、0<b≦2)、Sn
aO
b(0<a≦2、0<b≦2)、Sr
aTi
bO
c(0<a≦2、0<b≦2、0<c≦2)、Ti
aO
b(0<a≦2、2<b≦4)、Ba
aTi
bO
c(0<a≦2、0<b≦2、2<c≦4)、Cu
aO
b(1<a≦3、0<b≦2)、Cu
aO
b(0<a≦2、0<b≦2)、Bi
aO
b(1≦a≦3、2≦b≦4)、Fe
aS
b(0<a≦2、1≦b≦3)、Sn
aS
b(0<a≦2、0<b≦2)、Bi
aS
b(1≦a≦3、2≦b≦4)、Bi
aSe
b(1≦a≦3、2≦b≦4)、Bi
aTe
b(1≦a≦3、2≦b≦4)、Sn
aS
b(0<a≦2、1≦b≦3)、Pb
aS
b(0<a≦2、0<b≦2)、Zn
aS
b(0<a≦2、0<b≦2)、Mo
aS
b(0<a≦2、1≦b≦3)、Pb
aTe
b(0<a≦2、0<b≦2)、Sn
aTe
b(0<a≦2、0<b≦2)、Ga
aN
b(0<a≦2、0<b≦2)、Ga
aP
b(0<a≦2、0<b≦2)、B
aP
b(0<a≦2、0<b≦2)、Ba
aS
b(0<a≦2、0<b≦2)、Ga
aAs
b(0<a≦2、0<b≦2)、Zn
aSe
b(0<a≦2、0<b≦2)、Zn
aTe
b(0<a≦2、0<b≦2)、Cd
aTe
b(0<a≦2、0<b≦2)、及びCd
aSe
b(0<a≦2、0<b≦2)のうちから選択された1以上を含んでもよい。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体が、ZnO、SnO、SrTiO、TiO
2、BaTiO
3、Cu
2O、CuO、Bi
2O
3、FeS
2、SnS、Bi
2S
3、Bi
2Se
3、Bi
2Te
3、SnS
2、PbS、ZnS、MoS
2、PbTe、SnTe、GaN、GaP、BP、BaS、GaAs、ZnSe、ZnTe、CdTe及びCdSeのうちから選択された1以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、金属/準金属含有半導体として絶縁体ではなければ、いずれも可能である。
【0047】
該正極において、金属/準金属含有半導体は、エネルギーバンドギャップ(energy bandgap)が5.0eV以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体のエネルギーバンドギャップが、0eV超過5.0eV未満でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体のエネルギーバンドギャップが1.0eVないし4.5eVでもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体のエネルギーバンドギャップが1.5eVないし4.0eVでもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体のエネルギーバンドギャップが2.0eVないし4.0eVでもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体のエネルギーバンドギャップが2.5eVないし4.0eVでもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体のエネルギーバンドギャップが3.0eVないし4.0eVでもある。該エネルギーバンドギャップは、価電子帯(valence band)と伝導帯(conduction band)とのエネルギー差であり、該エネルギーバンドギャップが5eV超過であるならば、絶縁体である。該絶縁体は、常温において伝導帯が完全に空いているので、電流が流れない。例えば、Al
2O
3バンドギャップは、8.4eVであって絶縁体である。該エネルギーバンドギャップが5eV以下であるならば、半導体である。該半導体は、常温において、伝導帯に電子が部分的に充填されるので、電流が制限的に流れる。例えば、ZnOバンドギャップは、3.3eVであり、ZnSバンドギャップは、3.54〜3.91eVである。伝導体は、価電子帯と伝導帯とが互いに重なるので、エネルギーバンドギャップが0eVである。
【0048】
該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗(resisitivity)が20℃において1×10
7Ω・cm以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において1×10
6Ω・cm以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において1×10
5Ω・cm以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において1×10
4Ω・cm以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において1×10
3Ω・cm以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において800Ω・cm以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において600Ω・cm以下でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において0.001Ω・cm以上でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において0.01Ω・cm以上でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において0.1Ω・cm以上でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において1Ω・cm以上でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において10Ω・cm以上でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において50Ω・cm以上でもある。例えば、該正極において、金属/準金属含有半導体の比抵抗が、20℃において100Ω・cm以上でもある。例えば、Al
2O
3比抵抗は、10
11−10
14Ω・cmであり、ZnO比抵抗は、380Ω・cm以下である。
【0049】
該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが20nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが10nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが8nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが5nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが4nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが3nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが2.5nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが2nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが1.5nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが1nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが0.5nm以下でもある。例えば、該正極において、非絶縁性コーティング層の厚さが0.1nm以上でもある。該非絶縁性コーティング層の厚さが過度に厚ければ、複合炭素の伝導度が低下し、複合炭素を含む正極を採用したリチウム空気電池の内部抵抗が上昇し、リチウム空気電池の充放電特性が低下してしまう。
【0050】
該正極において、非絶縁性コーティング層がコア上に不連続に配置されてもよい。例えば、該非絶縁性コーティング層がコア上に海島(sea island)状に配置されてもよい。例えば、非絶縁性コーティング層のコアが含む第1炭素系材料の欠陥(defect)部分に主に配置され、欠陥がない結晶性炭素部分には配置されない。該非絶縁性コーティング層のコア上に不連続に配置されることにより、該非絶縁性コーティング層を含む複合炭素の伝導度低下を最小化させることができる
【0051】
また、該正極において、コア、及びコア上の少なくとも一部に、非絶縁性コーティング層が配置されてもよい。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の0.01%以上をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の0.05%以上をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の0.1%以上をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の0.5%以上をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の1.0%以上をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の5.0%以上をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の10.0%以上をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の90%以下をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の80%以下をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の70%以下をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の60%以下をコーティングすることができる。例えば、該非絶縁性コーティング層は、コア表面の50%以下をコーティングすることができる。該非絶縁性コーティング層のコーティング面積が過度に狭ければ、第1炭素系材料の表面欠陥を効果的に治癒し難い。該非絶縁性コーティング層のコーティング面積が過度に広ければ、第1炭素系材料の表面のほとんどがコーティング層に被覆され、伝導度が低下してしまう。
【0052】
該正極において、第1炭素系材料を含むコアが、球形、ロッド形、板状及びチューブ型のうち1以上の構造を有することができるが、必ずしもこのような構造に限定されるものではなく、当該技術分野において、コアとして使用することができる構造であるならば、いずれも可能である。例えば、該第1炭素系材料が広い比表面積を有し、気孔を有する多孔性材料でもある。
【0053】
該正極において、第1炭素系材料がカーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛、グラフェン(graphene)、酸化グラフェン(graphene oxide)、フラーレンスート(fullerene soot)、メゾカーボンマイクロビード(MCMB)、炭素ナノチューブ(CNT)、炭素ナノファイバ(carbon nanofiber)、炭素ナノベルト(carbon nanobelt)、ソフトカーボン、ハードカーボン、ピッチ炭化物、メゾ相ピッチ炭化物及び焼成コークスのうちから選択された1以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、炭素系材料として使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0054】
該正極において、第1炭素系材料が結晶性炭素(crystalline carbon)を含んでもよい。該第1炭素系材料が結晶性炭素を含むことにより、表面欠陥が減少する。従って、充放電時、該第1炭素系材料と該非絶縁性コーティング層とを含む複合炭素の劣化が抑制される。例えば、該第1炭素系材料の結晶化度が50%以上でもある。該結晶化度は、該第1炭素系材料において、該結晶性炭素が占める割合である。例えば、該第1炭素系材料の結晶化度が50.5%以上でもある。例えば、該第1炭素系材料の結晶化度が51%以上でもある。例えば、該第1炭素系材料の結晶化度が51.5%以上でもある。例えば、該第1炭素系材料の結晶化度が52%以上でもある。例えば、該第1炭素系材料が非晶質炭素ではない。
【0055】
該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、第1炭素系材料に対するI
DとI
Gとの強度比(または、高さ比)(I
D/I
G)が1.0以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.99以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.98以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.97以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.96以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.95以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.90以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.85以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.80以下でもある。例えば、該正極が含む複合炭素のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が0.75以下でもある。該I
Dは、ラマンスペクトルの1,353cm
−1近傍で得られるDバンドピークであり、表面欠陥、または炭素のsp3オービタルに由来するダイヤモンド構造であり、I
Gは、ラマンスペクトルの1,583cm
−1近傍で得られるGバンドピークであり、炭素のsp2オービタルからなる黒鉛構造に由来する。I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)は、炭素系材料の結晶化度を示す尺度である。例えば、炭素系材料の強度比(I
D/I
G)が1であるならば、該炭素系材料の結晶化度が50%であることを意味する。前記強度比(I
D/I
G)が低下するほど、複合炭素の結晶化度が上昇する。
【0056】
該正極において、複合炭素が、酸素の酸化反応または還元反応に関与する金属または金属酸化物のナノ粒子触媒を含まないこともある。例えば、該複合炭素が第1炭素系材料を含むコア、及びコア上に配置された金属/準金属含有半導体を含む非絶縁性コーティング層を含むが、コアまたは非絶縁性コーティング層上に、酸素の酸化/還元反応、すなわち、リチウム空気電池の電気化学反応に関与する金属触媒または金属酸化物触媒を追加して含まないこともある。すなわち、該複合炭素のコアまたは非絶縁性コーティング層上に、酸素の酸化/還元反応に関与する金属触媒または金属酸化物触媒が追加して配置されないこともある。すなわち、該正極において、該複合炭素が、酸素の酸化反応または還元反応に関与する金属触媒または金属酸化物触媒を含まなくても、正極、及びそれを含むリチウム空気電池において、酸素の酸化反応または還元反応である電池の充放電特性を十分に発揮することができる。一方、該複合炭素が金属/金属酸化物触媒を含まないという意味は、該複合炭素のコア及び/または非絶縁性コーティング層上に、金属/金属酸化物触媒が配置され、コア及び/または非絶縁性コーティング層と複合化されないという意味である。本明細書において「複合」または「複合化」は、複数の材料が化学的結合及び/または機械化学的結合によって連結されたことを意味し、単純混合によるファンデルワールス結合のような物理的結合によって物理的に連結されたものは含まない。従って、該正極において、該複合炭素と金属/金属酸化物触媒との単純混合による接触は、該複合炭素が、金属/金属酸化物触媒を含むものではない。例えば、該複合炭素の表面は、酸素の酸化/還元のための金属及び/または金属酸化物ナノ粒子触媒を含まない。
【0057】
該正極において、コアが、第1炭素系材料の熱処理結果物である第2炭素系材料を含んでもよい。例えば、該コアが第1炭素系材料を熱処理し、結晶化度を高め、欠陥を低減させた第1炭素系材料の焼成物である第2炭素系材料を含んでもよい。
【0058】
熱処理温度は、700℃ないし2,500℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,000℃ないし2,500℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,500℃ないし2,500℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,700℃ないし2,300℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,800℃ないし2,200℃でもある。前記温度範囲で熱処理することにより、第2炭素系材料の結晶性が向上し、表面欠陥が減少する。
【0059】
熱処理時間は、30分ないし24時間でもある。例えば、熱処理時間は、1時間ないし10時間でもある。例えば、熱処理時間は、1時間ないし5時間でもある。前記熱処理時間範囲において、第2炭素系材料の結晶性が向上し、表面欠陥が効果的に減少する。
【0060】
熱処理により、第2炭素系材料の表面欠陥が減少し、第2炭素系材料の比表面積が第1炭素系材料に比べて減少する。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の95%以下でもある。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の90%以下でもある。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の85%以下でもある。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の60%以上でもある。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の65%以上でもある。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の70%以上でもある。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の75%以上でもある。例えば、該第2炭素系材料の比表面積は、該第1炭素系材料の比表面積の75%ないし85%であることがある。前記範囲で比表面積が減少することにより、第2炭素系材料の欠陥が効果的に減少する。
【0061】
熱処理により、第2炭素系材料のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(または、高さ比)(I
D/I
G)が第1炭素系材料の強度比に比べて低下する。例えば、第2炭素系材料のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が該第1炭素系材料の強度比の99%以下でもある。例えば、第2炭素系材料のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が該第1炭素系材料の強度比の97%以下でもある。例えば、第2炭素系材料のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が該第1炭素系材料の強度比の95%以下でもある。例えば、第2炭素系材料のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が該第1炭素系材料の強度比の93%以下でもある。例えば、第2炭素系材料のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が該第1炭素系材料の強度比の90%以下でもある。例えば、第2炭素系材料のラマンスペクトルにおいて、I
DとI
Gとの強度比(I
D/I
G)が該第1炭素系材料の強度比の90%以下でもある。前記範囲で強度比が低下することにより、該第2炭素系材料の結晶性が効果的に上昇する。従って、該第2炭素系材料は、該第1炭素系材料と同じであるか、あるいはそれよりさらに高い結晶化度を有することができる。
【0062】
該正極を含むリチウム空気電池の充放電時、リチウム金属対比2.0Vにおけるカットオフ(cut-off)時の放電容量が、最初のサイクルでの放電容量の80%以上に維持されるサイクル数が20回超過でもある。例えば、該正極を含む空気電池の充放電時、リチウム金属対比2.0Vにおけるカットオフ時の放電容量が、最初サイクルでの放電容量の80%以上が維持されるサイクル数が30回以上でもある。例えば、該正極を含む空気電池の充放電時、リチウム金属対比2.0Vにおけるカットオフ時の放電容量が、最初サイクルでの放電容量の80%以上が維持されるサイクル数が40回以上でもある。例えば、該正極を含む空気電池の充放電時、リチウム金属対比2.0Vにおけるカットオフ時の放電容量が、最初サイクルでの放電容量の80%以上が維持されるサイクル数が50回以上でもある。例えば、該正極を含む空気電池の充放電時、リチウム金属対比2.0Vにおけるカットオフ時の放電容量が、最初サイクルでの放電容量の80%以上が維持されるサイクル数が60回以上でもある。例えば、該正極を含む空気電池の充放電時、リチウム金属対比2.0Vにおけるカットオフ時の放電容量が、最初サイクルでの放電容量の80%以上が維持されるサイクル数が70回以上でもある。該正極が複合炭素を含むことにより、リチウム空気電池の劣化が抑制され、寿命特性が顕著に向上する。
【0063】
該正極を含むリチウム空気電池の充放電時、10回目サイクルでの二酸化炭素発生量に比べ、15回目サイクルでの二酸化炭素発生量がさらに少ない。該正極が複合炭素を含むことにより、充放電時、炭素系材料を含むコアの劣化が抑制され、炭素の表面劣化によって生成される二酸化炭素の発生量が減少する。例えば、該リチウム空気電池の10回目サイクルまで初期副反応が発生した後、複合炭素表面が安定化し、さらなる劣化が減少する。
【0064】
該正極が含む複合炭素において、金属/準金属含有半導体の含量は、第1炭素系材料及び第2炭素系材料のうちから選択された1以上100重量部を基準にして、1ないし300重量部、1ないし250重量部、2ないし250重量部、2ないし200重量部、3ないし200重量部、または3ないし150重量部でもある。
【0065】
該正極には、酸素の酸化/還元のための触媒が添加され、このような触媒としては、白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウムのような貴金属系触媒;マンガン酸化物、鉄酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物のような酸化物系触媒;またはコバルトフタロシアニンのような有機金属系触媒を使用することができるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、酸素の酸化/還元触媒として使用されるものであるならば、いずれも可能である。また、該触媒は、担体に担持される。担体は、酸化物、ゼオライト、粘土系鉱物、カーボンなどでもある。該酸化物は、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、二酸化チタンなどの酸化物を1以上含んでもよい。Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、Tm、Yb、Sb、Bi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo及びWから選択される1以上の金属を含む酸化物でもある。該カーボンは、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラック類;天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛などの黒鉛類;活性炭類;炭素ファイバ類などでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、担体として使用されるものであるならば、いずれも可能である。選択的には、酸素酸化/還元触媒は、省略されてもよい。
【0066】
該正極は、バインダを追加して含んでもよい。バインダは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含んでもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン−ブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合剤などを単独または混合して使用することができるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、バインダとして使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0067】
該正極は、固体電解質、液体電解質、またはそれらの混合物のうちから選択された1以上を追加して含んでもよい。該固体電解質は、常温において一定形態を維持する状態で存在し、リチウムイオン伝導性を有する電解質を意味する。該液体電解質は、リチウムイオン伝導性を有し、常温において一定形態を有さず、液体を込める容器形態により、その形態が決定され、流れる(flow)ことができる電解質を意味する。
【0068】
該固体電解質は、イオン性液体高分子(PIL:polymeric ionic liquid)とリチウム塩とを含む固体電解質、イオン伝導性高分子とリチウム塩とを含む固体電解質、イオン伝導性無機物を含む固体電解質でもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、固体電解質として使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0069】
該リチウム塩の例としては、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、LiC
4F
9SO
3、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ただし、x及びyは、自然数である)、LiCl、LiI、またはそれらの混合物があるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、リチウム塩として使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0070】
該イオン性液体高分子は、i)アンモニウム系、ピロリジニウム系、ピリジニウム系、ピリミジニウム系、イミダゾリウム系、ピペリジニウム系、ピラゾリウム系、オキサゾリウム系、ピリダジニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、トリアゾール系、及びその混合物のうちから選択された1以上の陽イオンと、ii)BF
4−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−、AlCl
4−、HSO
4−、ClO
4−、CH
3SO
3−、CF
3CO
2−、(CF
3SO
2)
2N
−、Cl
−、Br
−、I
−、BF
4−、SO
4−、PF
6−、ClO
4−、CF
3SO
3−、CF
3CO
2−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)(CF
3SO
2)N
−、NO
3−、Al
2Cl
7−、AsF
6−、SbF
6−、CF
3COO
−、CH
3COO
−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
3C
−、(CF
3CF
2SO
2)
2N
−、(CF
3)
2PF
4−、(CF
3)
3PF
3−、(CF
3)
4PF
2−、(CF
3)
5PF
−、(CF
3)
6P
−、SF
5CF
2SO
3−、SF
5CHFCF
2SO
3−、CF
3CF
2(CF
3)
2CO
−、(CF
3SO
2)
2CH
−、(SF
5)
3C
−、(O(CF
3)
2C
2(CF
3)
2O)
2PO
−及び(CF
3SO
2)
2N
−のうちから選択された1以上の陰イオンと、を含む反復単位を含んでもよい。
例えば、該イオン性液体高分子は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホニルイミド)(TFSI)、ポリ(1−アリル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホニルイミド)及びポリ(N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)(poly((N-methyl-N-propylpiperidinium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide))などでもある。
【0071】
該イオン伝導性高分子は、イオン伝導性反復単位(conductive repeating unit)を、主鎖または側鎖に含んでいる高分子を示す。該イオン伝導性反復単位は、イオン伝導性を有するユニットであるならば、全て使用可能であり、例えば、酸化エチレンのような酸化アルキレンユニット、親水性ユニットなどを挙げることができる。例えば、該イオン伝導性高分子は、エーテル系、アクリル系、メタクリル系及びシロキサン系のモノマーのうちから選択された1以上のイオン伝導性反復単位を含んでもよい。例えば、該イオン伝導性高分子は、ポリ酸化エチレン、ポリ酸化プロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリブチルメタクリルレート、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリデシルアクリレート及びポリエチレンビニルアセテートからなる群から選択された1以上を有することができる。例えば、該イオン伝導性高分子として、ポリエチレン(PE)誘導体、ポリ酸化エチレン(PEO)誘導体、ポリ酸化プロピレン(PPO)誘導体、リン酸エステル高分子、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、Li置換されたナフィオン(Nafion)のようなイオン性解離基を含む重合体などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、イオン伝導性高分子として使用するものであるならば、いずれも可能である。例えば、該イオン伝導性高分子は、ポリ酸化エチレン(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルスルホン、及びそれらの組み合わせ物のうちから選択された1つの高分子を含んでもよい。例えば、該固体電解質は、リチウム塩がドーピングされたポリ酸化エチレンでもある。
【0072】
該イオン伝導性無機物は、BaTiO
3、Pb(Zr,Ti)O
3(PZT)、Pb
1−xLa
xZr
1−yTi
yO3(PLZT)(0≦x<1、0≦y<1)、Pb(Mg
3Nb
2/3)O
3−PbTiO
3(PMN−PT)、HfO
2、SrTiO
3、SnO
2、CeO
2、Na
2O、MgO、NiO、CaO、BaO、ZnO、ZrO
2、Y
2O
3、Al
2O
3、TiO
2、SiO
2、SiC、リチウムホスフェート(Li
3PO
4)、リチウムチタンホスフェート(Li
xTi
y(PO
4)
3、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(Li
xAl
yTi
z(PO
4)
3、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、Li
1+x+y(Al,Ga)
x(Ti,Ge)
2−xSi
yP
3−yO
12(0≦x≦1、0≦y≦1)、リチウムランタンチタネート(Li
xLa
yTiO
3、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(Li
xGe
yP
zS
w、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、窒化リチウム(Li
xN
y、0<x<4、0<y<2)、SiS
2(Li
xSi
yS
z、0<x<3、0<y<2、0<z<4)系ガラス、P
2S
5(Li
xPyS
z、0<x<3、0<y<3、0<z<7)系ガラス、Li
2O、LiF、LiOH、Li
2CO
3、LiAlO
2、Li
2O−Al
2O
3−SiO
2−P
2O
5−TiO
2−GeO
2系セラミックス、ガーネット(garnet)系セラミックス(Li
3+xLa
3M
2O
12(M=Te、Nb、Zr))のうちから選択された1以上、またはそれらの組み合わせ物でもある。
【0073】
該液体電解質は、有機系電解質または水系電解質でもある。
【0074】
該有機系電解質は、非プロトン性溶媒を含んでもよい。該非プロトン性溶媒としては、例えば、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系またはアルコール系の溶媒を使用することができる。カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)などが使用され、エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、n−プロピルアセテート、酢酸ジメチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使用される。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用され、ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使用される。また、アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用されるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用されるプロトン性溶媒であるならば、いずれも可能である。また、非プロトン性溶媒としては、R−CN(Rは、炭素数2ないし20の直鎖状構造、分枝状構造または環式構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含んでもよい)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類なども使用される。非プロトン性溶媒は、単独または1以上混合して使用することができ、1以上混合して使用する場合の混合比率は、電池性能によって適切に調節することができるが、それは、当業者に自明である。
【0075】
該有機系電解質は、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の塩を含んでもよい。アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の塩は、有機溶媒に溶解され、電池内において、アルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンの供給源として作用することができ、例えば、正極と負極との間のアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンの移動を促進する役割を行う。例えば、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩の陽イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、ルビジウムイオン、ストロンチウムイオン、セシウムイオン、バリウムイオンなどでもある。該有機系電解質に含まれた塩の陰イオンは、PF
6−、BF
4−、SbF
6−、AsF
6−、C
4F
9SO
3−、ClO
4−、AlO
2−、AlCl
4−、C
xF
2x+1SO
3−(ここで、xは、自然数である)、(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)N
−(ここで、x及びyは、自然数である)、及びハライドからなる群のうちから選択された1以上でもある。例えば、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の塩は、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiN(SO
2C
2F
5)
2、Li(CF
3SO
2)
2N、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、x及びyは、自然数である)、LiF、LiBr、LiCl、LiI及びLiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB:lithium bis(oxalato)borate)からなる群のうちから選択される1または2以上でもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の塩として使用されるものであるならば、いずれも可能である。該有機系電解質において、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩の含量が100mMないし10Mでもある。例えば、前記含量は、500mMないし2Mでもある。しかし、前記含量は、必ずしもこのような範囲に限定されるものではなく、該有機系電解質が充放電過程において、効果的にリチウムイオン及び/または電子を伝達することができる範囲であるならば、いずれも可能である。
【0076】
該有機系電解質は、イオン性液体を含んでもよい。該イオン性液体としては、直鎖状及び分枝状の置換されたアンモニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウムの陽イオンと、PF
6−、BF
4−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(CN)
2N
−などの陰イオンとから構成された化合物を使用することができる。例えば、該イオン性液体は、[emim]Cl/AlCl
3(emim=ethylmethyl imidazolium)、[bmpyr]NTf
2(bppyr=butylmethyl pyridinium)、[bpy]Br/AlCl
3(bpy=4,4’−bipyridine)、[choline]Cl/CrCl
3・6H
2O、[Hpy(CH
2)
3pyH][NTf
2]
2(NTf=trifluoromethanesulfonimide)、[emim]OTf/[hmim]I(hmim=hexyl methyl imidazolium)、[choline]Cl/HOCH
2CH
2OH、[Et
2MeN(CH
2CH
2OMe)]BF
4(Et=ethyl、Me=methyl、Pr=propyl、Bu=butyl、Ph=phenyl、Oct=octyl、Hex=hexyl)、[Bu
3PCH
2CH
2C
8F
17]OTf(OTf=trifluoromethane sulfonate)、[bmim]PF
6(bmim=butyl methyl imidazolium)、[bmim]BF
4、[omim]PF6(omim=octyl methyl imidazolium)、[Oct
3PC
18H
37]I、[NC(CH
2)
3mim]NTf
2(mim=methyl imidazolium)、[Pr
4N][B(CN)
4]、[bmim]NTf
2、[bmim]Cl、[bmim][Me(OCH
2CH
2)
2OSO
3]、[PhCH
2mim]OTf、[Me
3NCH(Me)CH(OH)Ph]NTf
2、[pmim][(HO)
2PO
2](pmim=propyl methyl imidazolium)、[b(6−Me)quin]NTf
2(bquin=butyl quinolinium)、[bmim][Cu
2Cl
3]、[C
18H
37OCH
2mim]BF
4(mim=methyl imidazolium)、[heim]PF
6(heim=hexyl ethyl imidazolium)、[mim(CH
2CH
2O)
2CH
2CH
2mim][NTf
2]
2(mim=methyl imidazolium)、[obim]PF
6(obim=octyl butyl imidazolium)、[oquin]NTf
2(oquin=octyl quinolinium)、[hmim][PF
3(C
2F
5)
3]、[C
14H
29mim]Br(mim=methyl imidazolium)、[Me
2N(C
12H
25)
2]NO
3、[emim]BF
4、[mm(3−NO
2)im][dinitrotriazolate]、[MeN(CH
2CH
2OH)
3]、[MeOSO
3]、[Hex
3PC
14H
29]NTf
2、[emim][EtOSO
3]、[choline][ibuprofenate]、[emim]NTf
2、[emim][(EtO)
2PO
2]、[emim]Cl/CrCl
2、[Hex
3PC
14H
29]N(CN)
2などでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、イオン性液体として使用されるものであるならば、いずれも可能である。例えば、該イオン性液体は、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラボレート([DEME][BF4])、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート([dema][TfO])、ジメチルプロピルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート([dmpa][TfO])、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホニルイミド([DEME][TFSI])及びメチルプロピルピペリジニウムトリフルオロメタンスルホニルイミド([mpp][TFSI])のうちから選択された1以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用することができるイオン性液体であるならば、いずれも可能である。
【0077】
該水系電解質は、水を含む溶媒に、前述のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の塩が添加されて準備される。
【0078】
該正極は、例えば、複合カーボン及びバインダを混合した後、適切な溶媒を添加し、正極スラリーを製造した後、集電体表面に塗布して乾燥させるか、あるいは選択的には、電極密度の向上のために集電体に圧縮成形して製造することができる。また、該正極は、選択的には、リチウム酸化物またはリチウムハライド系酸化還元促進剤(redox mediator)を含んでもよい。
【0079】
他の具現例によるリチウム空気電池は、前記正極を含む。
【0080】
該リチウム空気電池は、前記正極と、リチウムを吸蔵放出することができる負極と、前記正極と負極との間に配置される電解質膜と、を含んでもよい。
【0081】
リチウムを吸蔵放出することができる負極として、リチウム金属薄膜がそのまま使用される。該負極として、該リチウム金属薄膜がそのまま使用される場合、集電体が占める体積及び重量を減少させることができるので、リチウム空気電池のエネルギー密度が向上する。代案としては、該リチウム金属薄膜が、集電体である伝導性基板上に配置された状態でも使用される。該リチウム金属薄膜は、集電体と一体を形成することができる。該集電体は、ステンレススチール、銅、ニッケル、鉄及びチタンからなる群のうちから選択された一つでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用される伝導性にすぐれる金属性基板であるならば、いずれも可能である。また、リチウムを吸蔵放出することができる負極として、リチウム金属と異なる負極活物質の合金も使用される。該他の負極活物質は、リチウムと合金可能な金属でもある。リチウムと合金可能な金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si−Y合金(Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn−Y合金(Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などでもある。元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせでもある。例えば、該リチウム合金は、リチウムアルミニウム合金、リチウムシリコン合金、リチウムスズ合金、リチウム銀合金、リチウム鉛合金でもある。該負極の厚みは、10μm以上でもある。例えば、負極の厚みは、10ないし20μm、20ないし60μm、60ないし100μm、100ないし200μm、200ないし600μm、600ないし1,000μm、1mmないし6mm、6ないし10mm、10mmないし60mm、60ないし100mm、及び100mmないし600mmでもある。
【0082】
該電解質膜は、セパレータに液体電解質が注入された構成でもある。
【0083】
該セパレータは、リチウム空気電池の使用範囲に耐えることができる組成であるならば、限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン素材の不織布や、ポリフェニレンスルフィド素材の不織布などの高分子不織布;ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の多孔性フィルムを例示することができ、それらを2種以上併用することも可能である。例えば、該セパレータは、グラスファイバからもなる。該セパレータは、以下で説明するリチウムイオン伝導性固体電解質膜が使用される場合、省略されてもよい。
【0084】
該液体電解質は、有機系電解質または水系電解質でもある。該液体電解質は、前述の正極に使用される電解質と同一電解質が使用される。
【0085】
代案としては、該電解質膜は、リチウムイオン伝導性固体電解質膜でもある。該リチウムイオン伝導性固体電解質膜は、セパレータの一面上に追加して配置されるか、あるいはセパレータの代わりに配置されてもよい。該リチウムイオン伝導性固体電解質膜は、水系電解質内に含まれた水及び酸素などの不純物が、負極に含まれたリチウムと直接反応することがないように保護する保護膜の役割を行う。このようなリチウムイオン伝導性固体電解質膜としては、リチウムイオン伝導性ガラス、リチウムイオン伝導性結晶(セラミックスまたはガラス・セラミックス)、またはそれらの混合物を含む無機物質を例示することができるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、リチウムイオン伝導性を有し、空気極または負極を保護することができる固体電解質膜であって、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも可能である。一方、化学的安定性を考慮するとき、リチウムイオン伝導性固体電解質膜は、酸化物を例として挙げることができる。例えば、リチウムイオン伝導性結晶としては、Li
1+x+y(Al,Ga)
x(Ti,Ge)
2−xSi
yP
3−yO
12(ただし、O≦x≦1、O≦y≦1であり、例えば、0≦x≦0.4、0<y≦0.6であり、または0.1≦x≦0.3、0.1<y≦0.4である)でもある。リチウムイオン伝導性ガラス・セラミックスは、例えば、リチウム−アルミニウム−ゲルマニウム−リン酸塩(LAGP)、リチウム−アルミニウム−チタン−リン酸塩(LATP)、リチウム−アルミニウム−チタン−シリコン−リン酸塩(LATSP)などでもある。
【0086】
該リチウムイオン伝導性固体電解質膜は、ガラス・セラミックス成分以外に、高分子固体電解質成分をさらに含んでもよい。このような高分子固体電解質は、リチウム塩がドーピングされたポリ酸化エチレン(PEO)であり、リチウム塩としては、LiN(SO
2CF
2CF
3)
2、LiBF
4、LiPF
6、LiSbF
6、LiAsF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、LiN(SO
2CF
3)
2、LiN(SO
2C
2F
5)
2、LiC(SO
2CF
3)
3、LiN(SO
3CF
3)
2、LiC
4F
9SO
3、LiAlCl
4などを例示することができる。
【0087】
該リチウムイオン伝導性固体電解質膜は、ガラス・セラミックス成分以外に、無機固体電解質成分をさらに含んでもよい。このような無機固体電解質は、Cu
3N、Li
3N、LiPONなどを含んでもよい。
【0088】
該リチウム空気電池は、例えば、次のように製造されてもよい。
【0089】
まず、複合炭素を含む正極と、リチウムを吸蔵放出することができる負極と、セパレータとが準備される。
【0090】
次に、ケース内の一面上に負極を設け、負極上にセパレータを設け、セパレータ上に正極を設ける。続けて、該正極上に多孔性集電体を配置し、その上に、空気が空気極に伝達されるプレス部材で押してセルを固定させ、リチウム空気電池が完成される。該リチウム空気電池の製造時、負極上に設けられたセパレータに、リチウム塩が含まれた液体電解液を注入する。ケースは、負極が接触する上部と、空気極が接触する下部とに分離され、上部と下部との間に絶縁樹脂が介在され、空気極と負極とを電気的に絶縁させる。該リチウム空気電池は、リチウム一次電池、リチウム二次電池にいずれも使用可能である。また、その形状は、特別に限定されるのではなくて、例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層型、円筒状、扁平型、円錐形などを例示することができる。また、電気自動車などに利用する大型電池にも適用される。
【0091】
図15は、一具現例によるリチウム空気電池30を模式的に図示したものである。リチウム空気電池30は、酸素を活物質として使用する正極36と負極33との間に、電解質膜34が配置された構造を有する。負極33は、負極集電体32の上に配置される。電解質膜34は、セパレータに液体電解質が注入されて準備される。電解質膜34と正極36との間には、固体電解質膜35がさらに配置されてもよい。固体電解質膜35は、省略されてもよい。正極36上に、ガス拡散層37が配置される。ガス拡散層37上に、空気が正極36に伝達されるように、プレス部材39が配置される。正極36と負極33との間に、絶縁樹脂材質のケース31が介在され、正極36と負極33とを電気的に分離する。空気は、空気注入口37aに供給され、空気排出口37bから排出される。リチウム空気電池30は、ステンレススチール反応器内に収納されてもよい。
【0092】
本明細書において使用される用語である「空気」は、大気空気に制限されるものではなく、酸素を含むガスの組み合わせ、または純粋酸素ガスを含んでもよい。このような用語「空気」に係わる広い定義が全ての用途、例えば、空気電池、空気空気極などにも適用される。
【0093】
一具現例による正極製造方法は、第1炭素系材料を準備する段階と、前記第1炭素系材料上に、金属/準金属含有半導体を含むコーティング層を配置し、複合炭素を準備する段階と、を含む。該正極製造方法において、第1炭素系材料上に、金属/準金属含有半導体を含む非絶縁性コーティング層が配置されることにより、正極の劣化が防止され、該正極を採用するリチウム空気電池の寿命特性が向上する。
【0094】
該正極製造方法において、非絶縁性コーティング層が蒸着(deposition)によって配置されてもよい。該蒸着は、ALD(atomic layer deposition)法、PVD(physical vapor deposition)法またはCVD(chemical vapor deposition)法によっても行われるが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、基材上に20nm以下の薄膜を形成することができる方法であるならば、いずれも可能である。
【0095】
蒸着される金属/準金属含有半導体の種類は、正極で説明した内容を参照する。非絶縁性コーティング層の厚み、形態なども、正極で説明した内容を参照する。
【0096】
該正極製造方法において、非絶縁性コーティング層が配置された第1炭素系材料を含む複合炭素、または非絶縁性コーティング層が配置されていない第1炭素系材料を700℃ないし2,500℃で熱処理する段階を追加して含んでもよい。該第1炭素系材料を熱処理することにより、結晶性が向上し、表面欠陥が減少することにより、複合炭素の耐久性が向上し、複合炭素を含む正極の劣化が防止され、正極を採用するリチウム空気電池の寿命特性がさらに向上する。
【0097】
熱処理温度は、700℃ないし2,500℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,000℃ないし2,500℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,500℃ないし2,500℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,700℃ないし2,300℃でもある。例えば、熱処理温度は、1,800℃ないし2,200℃でもある。前記温度範囲で熱処理することにより、第2炭素系材料の結晶性が向上し、表面欠陥が減少する。
【0098】
熱処理時間は、30分ないし24時間でもある。例えば、熱処理時間は、1時間ないし10時間でもある。例えば、熱処理時間は、1時間ないし5時間でもある。前記熱処理時間範囲で第2炭素系材料の結晶性が向上し、表面欠陥が効果的に減少する。
【0099】
熱処理雰囲気は、酸素が含まれていないN
2、Ar、Heなどの不活性ガス雰囲気でもある。
【0100】
以下、実施例及び比較例を介して、本発明についてさらに詳細に説明する。ただし、該実施例は、本発明を例示するためのものであり、それらだけにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例】
【0101】
(正極の製作)
実施例1:ZnO 0.5nm/炭素ナノチューブ(CNT)複合炭素自立膜正極
ALD(atomic layer deposition)法によって、炭素ナノチューブ(CNT)自立膜(free standing film)上に、ZnOをコーティングして正極を製造した。
【0102】
炭素ナノチューブ(CNT)(CM250;ハンファ化学、韓国)粉末を、ポリスチレンスルホン酸(PSS)に分散させ、分散された溶液に対して、減圧フィルタ方式を実施し、フィルム状の自立膜を製造した。製造された自立膜は、減圧乾燥及び450℃熱処理を介してPSSをいずれも焼き、CNTだけの自立膜を製造する。
【0103】
該ALD法は、連続フロー(continuous-flow)ステンレススチール反応器で遂行された。炭素ナノチューブ(CNT)自立膜が、ステンレススチールトレイ(tray)上に配置され、ステンレススチールメッシュカバーがトレイの上に保持され(clamped)、固定されたベッド(fixed bed)内に前記粉末が含まれながらも、ALD前駆体蒸気(precursor vapor)の到達(access)を依然として可能にした。該炭素ナノチューブ自立膜が、ガス放出(outgas)のために、30分間1Torr圧力の高純度窒素キャリアガスの連続フロー下で、150℃の反応器内に保管され(hold)、熱平衡を得た。ZnO−ALD 1サイクルを、150℃で、ジエチル亜鉛(diethyl zinc)とH
2O(水蒸気)とに相互に露出させる方法を使用した。ZnO前駆体露出(exposure)時間−窒素(N
2)パージ(purge)時間−H
2O(水蒸気)露出時間−窒素パージ時間として、0.5秒−10秒−1秒−10秒を使用した。該炭素ナノチューブ自立膜上に、8回のZnO−ALDサイクルが遂行され、炭素ナノチューブ自立膜上にZnOがコーティングされた複合炭素正極が製造された。コーティングされたZnOの厚みは、0.5nmであった。
【0104】
該複合炭素正極の全体重量において、ZnO量は、8.8wt%であり、炭素ナノチューブの含量は、91.2wt%であった。
【0105】
実施例2:ZnO 2.5nm/CNT複合炭素自立膜正極
ALDコーティング厚みを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、炭素ナノチューブ(CNT)自立膜上に、ZnOをコーティングした。
【0106】
コーティングされたZnOの厚みは、2.5nmであった。ZnO 2.5nmがコーティングされた炭素ナノチューブ(CNT)の透過電子顕微鏡(TEM)イメージが、
図2A及び
図2Bに図示されている。
図2A及び
図2Bから分かるように、炭素ナノチューブ(CNT)自立膜上にZnOがコーティングされている。
【0107】
該複合炭素正極の全体重量においてZnO量は、26.6wt%であり、炭素ナノチューブ膜の含量は、73.4wt%であった。
【0108】
実施例3:ZnO 10nm/CNT複合炭素自立膜正極
ALDコーティング厚みを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、炭素ナノチューブ(CNT)自立膜上に、ZnOをコーティングした。
【0109】
コーティングされたZnOの厚みは、10nmであった。
【0110】
複合炭素正極の全体重量において、ZnO量は、59.4wt%であり、炭素ナノチューブの含量は、40.6wt%であった。
【0111】
実施例4:ZnO 0.5nm/13C複合炭素正極
炭素ナノチューブ(CNT)自立膜の代わりに、
13C(99%;Sigma−Aldrich、米国)カーボンとバインダ(Kynar 2810)とを9:1で混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)溶液に混合した後、ニッケル−メッシュ基板上にコーティングして乾燥させ、面積当たり1mg重量の正極を製造する。
【0112】
複合炭素を使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、13C上にZnOをコーティングした。該コーティング方法は、実施例1と同一に遂行した。
【0113】
コーティングされたZnOの厚みは、0.5nmであった。熱処理されていない
13Cカーボンの比表面積(S
BET)は、194.7m
2/gであった。
【0114】
該複合炭素正極の全体重量において、ZnO量は、14.0wt%であり、
13Cカーボンの含量86.0wt%であった。
【0115】
実施例5:ZnO 0.5nm/熱処理された13C複合炭素正極
炭素ナノチューブ(CNT)自立膜の代わりに、熱処理された
13C(99%;Sigma−Aldrich、米国)を使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、
13C上にZnOをコーティングした。
【0116】
熱処理された
13Cは、
13C炭素を、窒素雰囲気の2,000℃において2時間熱処理して得られて黒鉛化された
13Cである。熱処理された
13Cの比表面積(S
BET)は、181.1m
2/gであった。
【0117】
複合炭素正極の全体重量において、ZnO量は、3.7wt%であり、
13Cカーボンの含量は、96.3wt%であった。
【0118】
コーティングされたZnOの厚みは、0.5nmであった。
【0119】
実施例6:ZnS 0.5nm/CNT複合炭素自立膜正極
ZnO前駆体であるジエチル亜鉛(diethyl zinc)とH
2Oとの代わりに、ZnS前駆体であるジエチル亜鉛(diethyl zinc)とH
2Sとを使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、炭素ナノチューブ(CNT)自立膜上にZnSをコーティングした。
【0120】
コーティングされたZnOの厚みは、0.5nmであった。
【0121】
実施例7:SnS
2 0.5nm/CNT複合炭素自立膜正極
ZnO前駆体であるジエチル亜鉛(diethyl zinc)とH
2Oとの代わりに、SnS
2前駆体であるテトラキス(ジメチルアミノ)スズ(IV)(tetrakis(dimethlyamino)tin(IV))とH
2Sとを使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、炭素ナノチューブ(CNT)自立膜上にSnS
2をコーティングした。
【0122】
コーティングされたSnS
2の厚みは、0.5nmであった。
【0123】
実施例8:TiO
2 0.5nm/13C複合炭素正極
炭素ナノチューブ(CNT)自立膜の代わりに、
13C(99%;Sigma−Aldrich、米国)カーボンとバインダ(Kynar 2810)とを9:1で混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)溶液に混合した後、ニッケル−メッシュ基板上にコーティングして乾燥させ、面積当たり1mg重量の正極を製造する。
【0124】
複合炭素を使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、13C上にTiO
2をコーティングした。該コーティング方法は、実施例1と同一に遂行した。
【0125】
コーティングされたTiO
2の厚みは、0.5nmであった。
【0126】
比較例1:CNT自立膜正極
ZnOコーティングなしに、実施例1で使用された炭素ナノチューブ(CNT)自立膜をそのまま炭素材料として使用した。使用された炭素ナノチューブ(CNT)自立膜が含む炭素ナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)イメージを
図1に示した。
【0127】
比較例2:
13C自立膜正極
ZnOコーティングなしに、実施例4で使用された
13Cをそのまま炭素材料で使用した。
【0128】
比較例3:Al
2O
3 0.5nm/CNT複合炭素自立膜正極
ZnO前駆体であるジエチル亜鉛(diethyl zinc)とH
2Oとの代わりに、A
2O
3前駆体であるトリメチルアルミニウム(TMA)とH
2Oとを使用したことを除いては、実施例1と同一方法で、ALD法によって、炭素ナノチューブ(CNT)自立膜上に絶縁体であるAl
2O
3をコーティングした。
【0129】
(リチウム空気電池の製造)
実施例9
実施例1で製造された正極、負極としてのリチウム金属薄膜を使用して、セパレータとしてのグラスファイバ(glass fiber)素材であるglass fiber separator(Whatman GF/D microfiber filter paper、2.7μm pore size)を使用し、電解液として、前記セパレータに、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)に、1M LiTFSI(lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)が溶解されたものを150μL注入した。
【0130】
ステンレスケース上に、リチウム金属薄膜負極を設け、負極上に、セパレータを配置し、セパレータ上に、実施例1で製造された正極を配置し、該正極上にガス拡散膜(gas diffusion layer)(SGL社、BA35)を配置した。続けて、ガス拡散膜上に、ステンレススチールメッシュを配置し、その上に、空気が正極に伝達されるように、プレス部材で押し、セルを固定させ、リチウム空気電池を製造した。ステンレスケースは、負極と接触する下部と、正極と接触する上部とに分離され、上部と下部との間に、絶縁樹脂が介在され、正極と負極とを電気的に絶縁している。リチウム空気電池の例示的な構造は、
図15に図示される。
【0131】
実施例10ないし16
実施例2ないし8で製造された正極を使用したことを除いては、実施例9と同一方法で、リチウム空気電池を製造した。
【0132】
比較例4ないし6
比較例1ないし3で製造された正極を使用したことを除いては、実施例9と同一方法で、リチウム空気電池を使用した。
【0133】
評価例1:ラマンスペクトル測定
実施例1及び2、並びに比較例1で製造された正極に対してラマンスペクトルを測定し、1,353cm
−1近傍のDバンドピークの強度(I
D)、及び1,583cm
−1近傍のGバンドピークの強度(I
G)との強度比(I
D/I
G)を計算し、その結果を下記表1、並びに
図3A及び
図3Bに示した。実施例5で製造された正極に対してラマンスペクトルを測定し、1,353cm
−1近傍のDバンドピークの強度(I
D)、及び1,583cm
−1近傍のGバンドピークの強度(I
G)の強度比(I
D/I
G)を計算し、その結果を下記表1に示した。
【0134】
【表1】
【0135】
表1、並びに
図3A及び
図3Bから分かるように、炭素ナノチューブ(CNT)表面に、半導体性ZnOコーティングが配置される複合炭素である実施例1及び2、並びに実施例5においては、欠陥、または無秩序な(disordered)炭素(ダイヤモンド)構造に由来するDバンドピークの強度(I
D)が低下し、黒鉛構造に由来するGバンドピークの強度(I
G)が上昇した。
【0136】
すなわち、実施例1及び2、並びに実施例5の複合炭素表面において、無秩序な構造が減少し、黒鉛化された結晶性(crystalline)炭素構造が増大し、結晶化度が上昇した。それは、非絶縁性ZnOコーティングが、炭素ナノチューブ表面の欠陥部位にコーティングされ、炭素ナノチューブの欠陥が治癒されたためであると判断された。
【0137】
また、ZnOコーティングの厚みが増大した実施例2が、実施例1に比べ、ピーク強度比がさらに低下し、結晶化度がさらに上昇したということを確認した。また、熱処理によって結晶化度が上昇した実施例5が、実施例1及び2に比べ、ピーク強度比がさらに低下したということを確認した。
【0138】
評価例2:充放電特性評価;CNT自立膜正極
25℃、1atmにおいて、実施例9,14及び15、並びに比較例4,6で製造されたリチウム空気電池を、200mA/g
carbonの定電流で2.0V(対Li)、または1,000mAh/g
carbonまで放電させた後、同一電流で4.6Vまで充電させる充放電サイクルを遂行し、放電時、2.0V(対Li)において、放電容量600mAh/g
carbon以上が維持されるサイクル数を測定した。充放電試験の結果の一部を下記表2、及び
図4ないし
図8に示した。
【0139】
【表2】
【0140】
表2、及び
図4ないし
図8から分かるように、炭素系コア上に、非絶縁性コーティング層が配置された複合炭素を含む正極を採用した実施例9,14、及び15のリチウム空気電池は、炭素系コアのみを含む正極を採用した比較例4、及び絶縁性コーティング層が配置された複合炭素を含む正極を採用した比較例6のリチウム空気電池に比べ、寿命特性が向上した。
【0141】
評価例3:充放電特性評価;
13C正極
25℃、1atmにおいて、実施例12、実施例16及び比較例5で製造されたリチウム空気電池を、130mA/g
carbonの定電流で2.0V(対Li)、または0.5mAhまで放電させた後、同一電流で4.6Vまで充電させる充放電サイクルを遂行し、放電時、2.0V(対Li)で放電容量0.3mAh以上が維持されるサイクル数を測定した。
【0142】
25℃、1atmにおいて、実施例13で製造されたリチウム空気電池を、200mA/g
carbonの定電流で2.0V(対Li)、または1,000mAh/g
carbonまで放電させた後、同一電流で4.6Vまで充電させる充放電サイクルを遂行し、放電時、2.0V(対Li)で放電容量800mAh/g
carbon以上が維持されるサイクル数を測定した。該充放電試験結果の一部を、下記表3、及び
図9ないし
図12に示した。
【0143】
【表3】
【0144】
表3、及び
図9ないし
図12から分かるように、炭素系コア上に、非絶縁性コーティング層が配置された複合炭素を含む正極を採用した実施例12及び13、並びに実施例16のリチウム空気電池は、炭素系コアのみを含む正極を採用した比較例5のリチウム空気電池に比べ、寿命特性が顕著に向上した。また、熱処理によって、複合炭素の結晶化度が向上し、欠陥が低減された正極を採用した実施例13のリチウム空気電池は、寿命特性が3倍以上上昇した。
【0145】
評価例4:二酸化炭素発生量の測定
25℃、1atmにおいて、実施例12及び比較例5で製造されたリチウム空気電池を、200mA/gの定電流で2.0V(対Li)まで放電させた後、同一電流で4.6Vまで充電させる充放電サイクルを遂行しながら、充放電過程で発生する二酸化炭素の量を、DEMS(differential electrochemcial mass spectometer)を使用して測定し、その結果を
図13及び
図14に示した。
【0146】
図13から分かるように、実施例12のリチウム空気電池においては、充放電初期に二酸化炭素の発生量が増加していて、5サイクル後には、二酸化炭素の発生量が減少した。5サイクル後のこのような二酸化炭素の発生量減少は、複合炭素表面にZnOがコーティングされることにより、複合炭素表面の劣化が抑制され、複合炭素表面から炭素が分離される副反応が減少したためであると判断される。
【0147】
一方、
図14から分かるように、比較例5のリチウム空気電池においては、サイクル数が増加することにより、二酸化炭素発生量が持続的に増加した。このような二酸化炭素発生量の持続的な増加は、炭素表面が持続的に劣化され、炭素基材表面から炭素が分離される副反応が増大したためであると判断される。
【0148】
炭素系コアに
13Cを使用し、
13CO
2放出が炭素系コアの劣化に起因するということを確認した。