特許第6957092号(P6957092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957092
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/00 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   B60R1/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-144808(P2017-144808)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-25974(P2019-25974A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】山下 誠二
【審査官】 浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−073751(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0340516(US,A1)
【文献】 特開平10−026667(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202015004188(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内最後部座席のヘッドレストが、リヤウインドウガラスに近接して対向配置される車両構造であって、
前記ヘッドレストと前記リヤウインドウガラスとの間に、車両後方に向く安全確認装置を備え
前記安全確認装置は、前記ヘッドレストと前記リヤウインドウガラスとで挟まれるように前記ヘッドレスト及び前記リヤウインドウガラスに固定されている、
車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内最後部座席のヘッドレストが、リヤウインドウガラスに近接して対向配置される車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂製のバンパを持たないトラックにおいて、トラックの後方を確認する後方確認装置(安全確認装置)をリヤコンビネーションランプに内蔵する技術が開示されている。後方確認装置は、例えばトラック後進時に後方の状況を確認するために用いられる超音波送受波器やカメラである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−232204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラックは、一般の道路と比較して粉塵や泥はね等が多い過酷な環境を走行することが多い。そのため、リヤコンビネーションランプは、汚れたり損傷したりする虞があり、リヤコンビネーションランプに内蔵された安全確認装置も、汚れたり損傷したりする虞がある。この場合、安全確認装置によって正確なデータを取得し難い。
【0005】
また、リヤコンビネーションランプに安全確認装置を内蔵する場合、その取り付けコストや作業性が悪化し易い。
【0006】
そこで、本発明の目的の一つは、車両後方を確認する安全確認装置を簡易な構成で取り付けられ、かつ安全確認装置からのデータ取得の悪化を抑制できる車両構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る車両構造は、
車室内最後部座席のヘッドレストが、リヤウインドウガラスに近接して対向配置される車両構造であって、
前記ヘッドレストと前記リヤウインドウガラスとの間に、車両後方に向く安全確認装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
ヘッドレストとリヤウインドウガラスとの間には、電装部品が配置されることが少ない又は配置されない。そのため、上記車両構造は、ヘッドレストとリヤウインドウガラスとの間に安全確認装置を取り付け易く、その取り付けコストや作業性に優れる。
【0009】
上記車両構造は、車室内に安全確認装置が取り付けられているため、車両が過酷な環境を走行した場合であっても、安全確認装置が汚れたり損傷したりすることを防止でき、安全確認装置からのデータ取得の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る車両構造を車室内から見た斜視図である。
図2】実施形態1に係る車両構造の側面図である。
図3】実施形態1に係る車両構造を車両後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の車両構造の実施形態を以下に図面を参照しつつ説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。図面において、車両前方をFr、車両後方をRr、車両左方をLh、車両右方をRh、車両上方をUp、車両下方をLwとして矢印で示す。
【0012】
≪実施形態1≫
図1図3を参照して、実施形態1の車両構造を説明する。
実施形態1の車両構造1は、図1及び図3に示すように、エンジン(図示せず)の上方に設けられる車室110(図1)と、この車室110を形成するバックパネル111の後方に設けられる荷台120(図3)とを備える小型トラック100に適用される。荷台120は、床面(デッキパネル)と側面及び後面(あおり)とを備え、車室110のバックパネル111を前面として、これら床面、側面、後面、前面によって上方に開放して形成されている。バックパネル111には、リヤウインドウガラス20が取り付けられている。車室110には、運転席及び助手席が配設されており、小型トラック100の場合、この運転席及び助手席が最後部座席10となる。この最後部座席10のヘッドレスト11は、図2に示すように、リヤウインドウガラス20に近接して対向配置されている。実施形態1の車両構造1は、ヘッドレスト11とリヤウインドウガラス20との間に、車両後方に向く安全確認装置30を備える点を特徴の一つとする。
【0013】
本例では、最後部座席10のヘッドレスト11は、リヤウインドウガラス20に並列配置されるようにバックパネル111に固定されている。各ヘッドレスト11は、リヤウインドウガラス20側の後面において、上部の中央部には上方に延びるブラケット12aが取り付けられ、下部の左右方向端部にはそれぞれ左右方向に延びるブラケット12bが取り付けられている。ヘッドレスト11は、これら各ブラケット12a,12bによってバックパネル111に固定されている。
【0014】
本例では、安全確認装置30は、ヘッドレスト11のリヤウインドウガラス20側の後面に取り付けられている。安全確認装置30は、その検知方向である車両後方に向いている。安全確認装置30は、代表的には、例えば小型トラック100が後進する際の状況を確認するために用いられるカメラやレーザーレーダー、ミリ波レーダー等が挙げられる。安全確認装置30は、ガラスやプラスチック等、ウインドウに利用できる透明材料を介して光学的、電磁気的、又は音響的に車両後方の安全確認に関わる物理量を検知できる装置であれば、種々のものが利用できる。本例では、安全確認装置30は、ヘッドレスト11の後面から突出するようにヘッドレスト11に張付けられて固定されていると共に、その突出した先端部分が弾性材40を介してリヤウインドウガラス20に圧接して固定されているカメラである。
【0015】
安全確認装置30から取得したデータは、ワイヤーハーネス等の有線伝送装置や、ブルートゥース(登録商標)等の無線伝送装置等でECU(electric control unit)に入力される。入力されたデータは、ECUで処理され、運転者に警告として提示される。
【0016】
安全確認装置30は、ヘッドレスト11に取り付けられる場合、車両後方の正確なデータを取得可能であれば、ヘッドレスト11に埋め込まれていてもよい。この場合、ヘッドレスト11の後面から安全確認装置30が突出しないため、安全確認装置30が埋め込まれたヘッドレスト11とリヤウインドウガラス20との間に隙間を有することができる。また、安全確認装置30は、可動式のヘッドレストや、スライドシートのヘッドレストに取り付けられていてもよい。ただし、ヘッドレスト11の可動に伴い安全確認装置30が可動する場合、安全確認装置30により取得したデータは、ヘッドレスト11の原点位置からの変位量を加味する処理を行う。
【0017】
安全確認装置30は、運転席のヘッドレスト11及び助手席のヘッドレスト11の双方に取り付けられることが好ましい。この場合、図3に示すように、運転席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30は、車両の車幅方向の運転席側(図3の右側)を主たる視界とし、助手席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30は、車両の車幅方向の助手席側(図3の左側)を主たる視界とする。よって、得られる車両後方のデータは、運転席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30から取得したデータと、助手席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30から取得したデータとの合成値となる。
【0018】
実施形態1の車両構造1は、車室110内に安全確認装置30が取り付けられているため、車両(小型トラック100)が過酷な環境を走行した場合であっても、安全確認装置30が粉塵や泥はね等によって汚れたり損傷したりすることを防止できる。よって、上記車両構造1は、車両(小型トラック100)が過酷な環境を走行した場合であっても、安全確認装置30からのデータ取得の悪化を抑制できる。
【0019】
上記車両構造1は、ヘッドレスト11に安全確認装置30が取り付けられているため、ヘッドレスト11に安全確認装置30を張付けたり埋め込んだりすることで安全確認装置30を配置でき、その取り付けコストや作業性に優れ、安全確認装置30のメンテナンスも行い易い。特に、上記車両構造1は、バックパネル111に固定されたヘッドレスト11に安全確認装置30が取り付けられているため、安全確認装置30から取得したデータを補正する(ヘッドレスト11の原点位置からの変位量を加味する)必要がなく、正確な車両後方のデータを取得できる。更に、上記車両構造1は、安全確認装置30が弾性材40を介してリヤウインドウガラスに圧接されているため、より正確な車両後方のデータを取得できる。
【0020】
上記車両構造1は、運転席のヘッドレスト11及び助手席のヘッドレスト11の双方に安全確認装置30が取り付けられているため、運転席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30から取得したデータと、助手席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30から取得したデータとを合成することによって、得られる車両後方の視界を広くでき、かつデータの精度を向上できる。また、万一、運転席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30及び助手席のヘッドレスト11に取り付けられる安全確認装置30の一方の安全確認装置30が故障等により動作しなくても、他方の安全確認装置30で車両後方の安全確認を行える。
【0021】
≪実施形態2≫
安全確認装置は、バックパネルに設けられた支持部材に取り付けられていてもよい。支持部材は、リヤウインドウガラスに対向配置される。例えば、支持部材は、リヤウインドウガラスを上下に跨ぐようにヘッドレストと並列配置されることが挙げられる。実施形態2の車両構造は、上記支持部材に安全確認装置が取り付けられることで、ヘッドレストとリヤウインドウガラスとの間に、車両後方に向く安全確認装置を備える。安全確認装置が支持部材に取り付けられることで、安全確認装置はヘッドレストと独立して固定されるため、可動式のヘッドレストや、スライドシートのヘッドレストであっても、安全確認装置から取得したデータを補正する(ヘッドレストの原点位置からの変位量を加味する)必要がなく、正確な車両後方のデータを取得できる。
【0022】
≪実施形態3≫
安全確認装置は、リヤウインドウガラスに張付けられる等して取り付けられていてもよい。実施形態3の車両構造は、リヤウインドウガラスに安全確認装置が取り付けられることで、ヘッドレストとリヤウインドウガラスとの間に、車両後方に向く安全確認装置を備える。安全確認装置がリヤウインドウガラスに取り付けられることで、安全確認装置はヘッドレストと独立して固定されるため、可動式のヘッドレストや、スライドシートのヘッドレストであっても、安全確認装置から取得したデータを補正する(ヘッドレストの原点位置からの変位量を加味する)必要がなく、正確な車両後方のデータを取得できる。
【0023】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0024】
1 車両構造
10 最後部座席
11 ヘッドレスト
12a,12b ブラケット
20 リヤウインドウガラス
30 安全確認装置
40 弾性材
100 小型トラック
110 車室
111 バックパネル
120 荷台
図1
図2
図3