(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
個人ごとに、個人が過去に横断歩道以外の場所で道路区間に進入した履歴を示す進入履歴情報を記憶する進入履歴記憶部と、各個人の前記進入履歴情報に基づいて、個人ごとに、個人が横断歩道以外の場所で道路区間に進入する傾向である進入傾向を判定する進入傾向判定部と、を備える注意喚起装置による注意喚起方法であって、
前記注意喚起装置の個人関連情報取得部が、個人が携帯する端末から、その個人の現在位置を示す個人位置情報を取得する第1のステップと、
前記注意喚起装置の注意喚起部が、前記個人位置情報に基づいて、車両の周辺に存在する道路区間の近辺に位置する個人を特定し、特定した各個人の前記進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、車両の周辺に存在する道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う第2のステップとを含み、
前記進入履歴記憶部は、道路区間ごとに、個人ごとの前記進入履歴情報を記憶し、
前記進入傾向判定部は、各道路区間の各個人の前記進入履歴情報に基づいて、道路区間と個人との組み合わせごとに前記進入傾向を判定し、
前記第2のステップにおいて前記注意喚起部は、前記個人位置情報に基づいて、車両の周辺に存在する道路区間の近辺に位置する個人を特定し、特定した各個人の当該道路区間についての前記進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、当該道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う
ことを特徴とする注意喚起方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る注意喚起システム1の構成例を示す図である。注意喚起システム1は、車両を運転する運転手に対して、歩行者に関する注意喚起を行うシステムであり、
図1に示すように、注意喚起装置2と、車載装置3と、携帯端末4とを備えている。これら装置は、それぞれ、インターネット、電話網、その他の通信網を含んで構成されたネットワークNにアクセス可能である。これら装置の機能構成および処理については後述する。
【0011】
図2は、車載装置3および携帯端末4の機能構成例を示すブロック図である。
【0012】
車載装置3は、車両に設けられた装置であり、車両の現在位置(以下、「自車位置」という)を検出する機能、および、自車位置が明示された地図を表示する機能を備えている。車載装置3は、例えば、ナビゲーション装置である。ただし、車載装置3は、車両に固定された装置である必要はなく、車両の搭乗者が所有する携帯端末(スマートフォンや、タブレット型PC、ノート型PC等)であってもよい。すなわち、車載装置3は、注意喚起装置2から受信した情報に基づいて、後述する態様で運転手に対して歩行者に関する注意喚起を行うことができる装置であればよい。
【0013】
図2に示すように、車載装置3には、ディスプレイ5が接続されている。ディスプレイ5は、液晶表示パネルや有機ELパネル等の画像を表示する機能を有する表示装置である。ディスプレイ5は、車両のダッシュボードの中央部等、少なくともその表示領域を運転手が視認可能な位置に設けられている。また、車載装置3は、その機能構成として、車載装置側通信部10、自車位置検出部11および地図画面表示部12を備えている。また、車載装置3は、地図データ記憶部13を備えている。
【0014】
上記各機能ブロック10〜12は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック10〜12は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。以上のことは、後述する他の機能ブロックについても同様である。
【0015】
地図データ記憶部13は、地図データを記憶する。地図データは、背景の描画に用いられるデータや、道路の描画に用いられるデータ、道路名や、交差点名、地名等の文字列の描画に用いられるデータ等の地図の描画に用いられるデータを含んでいる。
【0016】
車載装置側通信部10は、所定の通信規格に従って、ネットワークNにアクセスし、ネットワークNと接続する機器(注意喚起装置2を含む)と通信する。本実施形態では、車載装置3がネットワークNにアクセスする機能を有しているが、車載装置3が当該機能を有さず、ネットワークNにアクセスする機能を有する端末と通信し、当該端末を介してネットワークNにアクセスする構成でもよい。
【0017】
自車位置検出部11は、図示しないGPSや、ジャイロセンサ、加速度センサ、車速センサ等からの入力、および、地図データに含まれる情報に基づいて、自車位置を検出する。自車位置を検出する方法はどのような方法であってもよい。
【0018】
地図画面表示部12は、ディスプレイ5に、自車位置を明示した状態で、自車位置周辺の地図(以下、「地図画面」という)を表示する。さらに、地図画面表示部12は、注意喚起装置2からの指示に基づいて、地図画面に、所定の情報を表示し、運転手に対して歩行者に関する注意喚起を行う。歩行者に関する注意喚起に係る情報を表示するときの地図画面表示部12の処理、および、当該情報の内容については後述する。
【0019】
携帯端末4は、ユーザが歩行している間、そのユーザについての個人関連情報(後述)を注意喚起装置2に送信することを目的としてユーザが携帯する端末である。本実施形態では、携帯端末4を携帯する者を特に「ユーザ」と表現し、車両の運転手と区別する。携帯端末4は、ユーザが持ち運び可能な端末であればよく、例えば、携帯電話や、腕時計型のウェアラブル端末である。後述するように、本実施形態に係る注意喚起システム1は、携帯端末4のユーザの安全な歩行にも寄与する。このことを踏まえ、一例として、携帯端末4は、小学生程度の子供や、認知に関して衰えが生じている年配者に対して、その関係者が付与する。なお、本実施形態において、「歩行」とは、ユーザが、屋外において、徒歩または自転車によって移動することを意味する。
【0020】
図2に示すように、携帯端末4は、その機能ブロックとして、携帯端末側通信部20、個人位置検出部21、移動方向検出部22、計時部23および個人関連情報送信部24を備えている。携帯端末4は、ユーザが歩行している間、電源がオンされると共に、所定のアプリケーションが立ち上げられる等して個人関連情報(後述)を送信する機能が有効とされる。これにより、ユーザが歩行している間、携帯端末4により、随時、個人関連情報が送信される。
【0021】
携帯端末側通信部20は、所定の通信規格に従って、ネットワークNにアクセスし、ネットワークNと接続する機器(注意喚起装置2を含む)と通信する。
【0022】
個人位置検出部21は、周期S1で、図示しないGPSからの入力等に基づいて、携帯端末4を携帯するユーザの現在位置(以下、「ユーザ位置」という)を検出し、ユーザ位置を示す個人位置情報を個人関連情報送信部24に出力する。本実施形態では、ユーザ位置は、経度と緯度との組み合わせで表現される。個人位置検出部21がユーザ位置を検出する方法はどのような方法でもよく、また、ユーザ位置の検出にあたってGPS以外のセンサを使用してもよい。
【0023】
移動方向検出部22は、図示しないGPSや、加速度センサからの入力等に基づいて、周期S1で、携帯端末4を携帯するユーザの移動方向(以下、「ユーザ移動方向」という)を検出し、ユーザ移動方向を示す移動方向情報を個人関連情報送信部24に出力する。本実施形態では、ユーザ移動方向は、方位角(北を「0°」とする水平面内での角度)と、加速度の大きさとの組み合わせにより表現される。移動方向検出部22がユーザ移動方向を検出する方法はどのような方法でもよく、また、ユーザ移動方向の検出にあたってGPSおよび加速度センサ以外のセンサを使用してもよい。
【0024】
計時部23は、RTC(real-time clock)等の計時手段により時刻を計時し、周期S1で、そのときの時刻を示す計測時刻情報を個人関連情報送信部24に出力する。
【0025】
個人関連情報送信部24は、周期S1で個人関連情報を生成し、携帯端末側通信部20を制御して、生成した個人関連情報を注意喚起装置2に送信する。以下、個人関連情報送信部24の処理について詳述する。
【0026】
図3は、個人関連情報に含まれる情報を示す図である。
図3に示すように、個人関連情報は、ユーザIDと、個人位置情報と、移動方向情報と、計測時刻情報とを含んでいる。ユーザIDとは、携帯端末4を携帯するユーザを識別する識別情報であり、予め携帯端末4に登録されている。個人関連情報送信部24は、予め登録されたユーザID、周期S1で個人位置検出部21から入力した個人位置情報、移動方向検出部22から入力した移動方向情報、および、計時部23から入力した計測時刻情報に基づいて、個人関連情報を生成する。
【0027】
個人関連情報を生成した後、個人関連情報送信部24は、携帯端末側通信部20を制御して、生成した個人関連情報を注意喚起装置2に送信する。注意喚起装置2のアドレスや、通信に使用するプロトコル等の個人関連情報を注意喚起装置2に送信するために必要な通信に関する情報は、携帯端末4に事前に登録される。
【0028】
携帯端末4の各機能ブロックにより以上の処理が行われる結果、ユーザが歩行している間、携帯端末4から注意喚起装置2に対して、周期S1で、随時、個人関連情報(
図3)が送信される。
【0029】
図4は、注意喚起装置2の機能構成例を示すブロック図である。注意喚起装置2は、ネットワークNに接続されたサーバである。
図1および
図4では、注意喚起装置2を1つのブロックにより表しているが、これは注意喚起装置2が単一のサーバ装置により構成されることを意味するするものではない。注意喚起装置2は、複数のサーバ装置により構成されていてもよく、所定のシステムの一部であってもよい。すなわち、注意喚起装置2は、後述する機能を有していればよく、その形態はどのようなものであってもよい。
【0030】
図4に示すように、注意喚起装置2は、その機能構成として、注意喚起装置側通信部30、個人関連情報取得部31、履歴更新部32、進入傾向判定部33および注意喚起部34を備えている。また、注意喚起装置2は、道路データ記憶部40、個人関連情報記憶部41および進入履歴記憶部42を備えている。
【0031】
注意喚起装置側通信部30は、所定の通信規格に従って、ネットワークNにアクセスし、ネットワークNと接続する機器(車載装置3および携帯端末4を含む)と通信する。
【0032】
道路データ記憶部40は、道路データ401を記憶する。道路データ401は、ノードに関するノードテーブルTB1、および、リンクに関するリンクテーブルTB2を含んでいる。ノードは、交差点、その他の道路網における結節点ごとに定義された点であり、リンクは、ノードとノードとの間の道路区間ごとに定義された線である。
【0033】
ノードテーブルTB1は、地図上のノードごとにノードデータを有するテーブルである。
図5(A)は、ノードデータが有する情報の一部を示す図である。
図5(A)に示すように、ノードデータは、ノードIDと、ノード位置情報と、接続進入リンク情報と、接続退出リンク情報とを含む。
【0034】
ノードIDは、ノードを識別する識別情報である。ノード位置情報は、ノードの地図上の位置を示す情報である。接続進入リンク情報は、ノードに接続するリンクであって、ノードに進入する方向を進行方向とするリンクのそれぞれのリンクID(後述)を示す情報である。接続退出リンク情報は、ノードに接続するリンクであって、ノードから退出する方向を進行方向とするリンクのそれぞれのリンクIDを示す情報である。なお、ノードデータに含まれる情報として例示した情報は、一部の情報であり、ノードデータには、例示した情報の他に、ノードが交差点である場合にその交差点に設けられたレーンに関するレーン情報や、ノード属性等のノードに関する他の情報が含まれている。
【0035】
リンクテーブルTB2は、地図上のリンクごとにリンクデータを有するテーブルである。
図5(B)は、リンクデータが有する情報の一部を示す図である。
図5(B)に示すように、リンクテーブルTB2の1件のレコードは、リンクIDと、リンク長情報と、リンク方位情報と、リンク種別情報と、車線数情報と、歩道有無情報と、第1ノードIDと、第2ノードIDと、を有する。
【0036】
リンクIDは、リンクを識別する識別情報である。リンク長情報は、リンクの長さを示す情報である。リンク方位情報は、リンクの方位を方位角(北を「0°」とする水平面内での角度)によって示す情報である。リンク種別情報は、リンクに対応する道路区間の種別を示す情報である。車線数情報は、リンクに対応する道路区間の車線数を示す情報である。歩道有無情報は、リンクに対応する道路区間における歩道の有無を示す情報である。第1ノードIDは、リンクの一方の端に接続されたノードのノードIDを示す情報である。第2ノードIDは、リンクの他方の端に接続されたノードのノードIDを示す情報である。
【0037】
なお、リンクデータに含まれる情報として例示した情報は、一部の情報であり、リンクデータには、例示した情報の他に、リンクコスト等のリンクに関する他の情報が含まれている。
【0038】
個人関連情報記憶部41は、ユーザごとに、個人関連情報データベースDB1を記憶する。各ユーザに係る個人関連情報データベースDB1は、各ユーザのユーザIDと対応付けられた状態で、個人関連情報記憶部41に記憶される。個人関連情報データベースDB1の内容については後述する。
【0039】
個人関連情報取得部31は、携帯端末4が送信した個人関連情報を、注意喚起装置側通信部30を制御して受信し、取得する。個人関連情報取得部31は、取得した個人関連情報を、個人関連情報記憶部41が記憶する個人関連情報データベースDB1のうち、取得した個人関連情報に含まれるユーザIDと対応付けられた個人関連情報データベースDB1に登録する。以下、個人関連情報取得部31の処理について詳述する。
【0040】
上述したように、注意喚起装置2には、異なる複数の携帯端末4から、随時、個人関連情報が送信されてくる。個人関連情報取得部31は、取得した個人関連情報のそれぞれについて、以下の処理を実行する。すなわち、個人関連情報取得部31は、個人関連情報を取得した場合、当該個人関連情報に含まれるユーザIDを認識する。次いで、個人関連情報取得部31は、個人関連情報データベースDB1のうち、認識したユーザIDと対応付けられたデータベースを特定する。次いで、個人関連情報取得部31は、特定した個人関連情報データベースDB1に、個人関連情報を追加的に登録する。個人関連情報取得部31により以上の処理が行われる結果、1のユーザに係る個人関連情報データベースDB1には、当該1のユーザが携帯する携帯端末4が送信した個人関連情報が、累積的に記憶された状態となる。
【0041】
進入履歴記憶部42は、リンクが定義された道路区間ごとに、進入履歴情報データベースDB2を記憶する。各道路区間に係る進入履歴情報データベースDB2は、各道路区間のリンクIDと対応付けられた状態で、進入履歴記憶部42に記憶される。
【0042】
図6は、一の道路区間に係る進入履歴情報データベースDB2の内容の一例を模式的に示す図である。
図6に示すように、進入履歴情報データベースDB2は、ユーザごとにレコードを有している。
図6に示すように、進入履歴情報データベースDB2の各レコードは、第1時間帯情報と、第2時間帯情報と、第3時間帯情報とを有している。以下、第1時間帯情報、第2時間帯情報および第3時間帯情報を区別しない場合、単に、「時間帯情報」という。
【0043】
図6に示すように、時間帯情報は、進入履歴情報と、進入傾向情報とを有している。進入履歴情報は、進入回数情報と、非進入回数情報とを有している。このように、進入履歴記憶部42は、各個人について、道路区間ごとに、時間帯ごとの進入履歴情報を記憶している。進入履歴情報データベースDB2の1件のレコードが有する各情報については後述する。
【0044】
履歴更新部32は、一のユーザ(個人)の個人位置情報および移動方向情報に基づいて、当該一のユーザが横断歩道以外の場所で道路区間に進入したか否かを判定し、判定結果に基づいて、進入履歴記憶部42が記憶する進入履歴情報(上述したように、進入回数情報と、非進入回数情報との組み合わせ)を更新する。以下、履歴更新部32の処理について詳述する。
【0045】
上述したように、携帯端末4は、携帯端末4を携帯するユーザが歩行している間、周期S1で、個人位置情報および移動方向情報を含む個人関連情報を注意喚起装置2に送信する。また、一のユーザに係る個人関連情報データベースDB1には、当該一のユーザが携帯する携帯端末4が過去に送信した個人関連情報が累積的に記憶される。そして、履歴更新部32は、一定期間ごとに、ユーザのそれぞれについて、直近の一定期間の間に個人関連情報データベースDB1に累積的に記憶された個人関連情報に基づいて以下の処理を実行する。一定期間は、例えば、一日である。
【0046】
以下、履歴更新部32が、一のユーザを処理対象として実行する処理について説明する。なお、直近の一定期間の間に、当該一のユーザに係る個人関連情報データベースDB1に個人関連情報が十分に記憶された状況であるものとする。
【0047】
まず、履歴更新部32は、処理対象とする一のユーザに係る個人関連情報データベースDB1を参照し、各レコードの計測時刻情報に基づいて、当該個人関連情報データベースDB1に累積的に記憶された個人関連情報のうち、直近の一定期間の間に記憶された個人関連情報を取得する。
【0048】
次いで、履歴更新部32は、取得した個人関連情報に基づいて以下の処理を実行する。すなわち、履歴更新部32は、道路データ記憶部40が記憶する道路データ401に基づいて、リンクとノードとの組み合わせにより構築される道路網(以下、「道路地図」という)に対して、個人関連情報に含まれる個人位置情報が示すユーザ位置のそれぞれをマップマッチングする。
【0049】
図7(A)および
図7(B)は、それぞれ、道路地図に、個人関連情報に含まれる個人位置情報が示すユーザ位置をマップマッチングした結果を、説明に適した態様で模式的に示す図である。
図7の各図において、方位は、図中で示す方位に従うものとする。
図7の各図で例示する道路地図では、ノードND1に対して、南側に南北に延びるリンクLK1が接続され、東側に東西に延びるリンクLK2が接続され、北側に南北に延びるリンクLK3が接続され、西側に東西に延びるリンクLK4が接続されている。
【0050】
また、
図7の各図において、点P1〜点P6は、それぞれ、個人位置情報が示すユーザ位置をマップマッチングした結果を道路地図上にプロットした点である。点P1〜点P6は、点P1から点P6に向かって時間的に後(対応する計測時刻情報が示す時刻が時間的に後)に送信された個人位置情報に基づく点である。また、点P1〜点P6のそれぞれについて、各点を起点として延びる矢印Y1〜矢印Y6は、各点に対応する個人関連情報に含まれる移動方向情報が示す「ユーザの移動方向および加速度の大きさ」を表すものである。矢印Y1〜矢印Y6について、矢印の向きは、ユーザの移動方向を示し、矢印の基点から先端までの長さは加速度の大きさを示している。
【0051】
以下の説明では、ユーザが横断歩道以外の場所で道路区間に進入することを「道路区間進入」という。道路区間進入は、横断歩道ではない場所で道路区間を横断することを含む。歩行者は、例えば、近道することを意図したり、横断歩道まで移動することが煩雑であったりする場合に、意図的に横断歩道をではない場所で道路区間を横断することがある。また、道路区間進入は、横断歩道ではない場所で道路区間を横断はしないが、車両が走行する領域まで歩行者が進入することを含む。小学生やそれ以下の子供や、認知に関して衰えが生じている年配者等は、不規則な行動をとることがあり、道路区間を横断することを意図することなく道路区間に進入することがある。
【0052】
履歴更新部32は、ユーザ位置がマッチングされたリンク(道路区間)のそれぞれを、道路区間進入の有無を判定する対象とする。
図7の例では、リンクLK1およびリンクLK2に対してユーザ位置がマッチングされている。この場合、履歴更新部32は、リンクLK1およびリンクLK2に対応する道路区間を、道路区間進入の有無を判定する対象とする。
【0053】
一のリンクに対応する道路区間についての道路区間進入の有無の判定に際し、履歴更新部32は、当該一のリンクにマッチングされたユーザ位置(ただし、当該一のリンクの両端部のノードにマッチングされたユーザ位置を除く)のそれぞれについて、以下の判定を行う。すなわち、履歴更新部32は、対応する個人関連情報に含まれる移動方向情報に基づいて、マッチングされたユーザ位置における移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上か否かを判定する。
【0054】
図8は、第1範囲を示す図である。
図8に示すように、第1範囲は、ユーザ位置からリンクの方位に対して右に向かって延びる半直線T1a(リンクと半直線T1aとの角度は直角)を中心として角度θ1の範囲、および、ユーザ位置からリンクの方位に対して左に向かって延びる半直線T1b(リンクと半直線T1bとの角度は直角)を中心として角度θ1の範囲である。
【0055】
マッチングされたユーザ位置における移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上の場合、ユーザが、そのユーザ位置において、道路区間が延びる方向と交わる方向に、十分な勢い、速度を持って歩行した状態であり、そのユーザ位置に対応する位置において、道路区間を横断したか、道路区間において車両が走行する領域にまで進入したものと推定できる。これを踏まえ、履歴更新部32は、マッチングされたユーザ位置における移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上の場合は、そのユーザ位置において道路区間進入が発生したと判定する。なお、第1範囲および第1閾値は、道路区間進入の有無を判定するときの閾値として用いるという観点の下、事前のテストやシュミレーションに基づいて適切に設定される。
【0056】
履歴更新部32は、一のリンクに対応する道路区間についての道路区間進入の有無の判定に際し、当該一のリンクにマッチングされたユーザ位置の中に、1つでも、道路区間進入が発生したと判定したユーザ位置(移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上のユーザ位置)がある場合は、当該一のリンクに対応する道路区間において、道路区間進入があったと判定する。一方、履歴更新部32は、当該一のリンクにマッチングされたユーザ位置の中に、1つも、道路区間進入が発生したと判定したユーザ位置がない場合は、当該一のリンクに対応する道路区間において、道路区間進入がなかったと判定する。
【0057】
なお、横断歩道は、通常、道路地図上のノードに対応する位置に設けられる。従って、ユーザが横断歩道を横断しているときに携帯端末4が送信する個人関連情報に基づくユーザ位置は、道路地図上でノードにマッチングされる。従って、一のリンクに対応する道路区間での道路区間進入の有無の判定に際し、当該一のリンクの両端部のノードにマッチングされたユーザ位置を除いたユーザ位置に基づいて当該判定を行うことにより、横断歩道以外の場所での道路区間への進入を的確に判定できる。
【0058】
この点について、以下の構成でもよい。すなわち、道路データ401が、横断歩道の位置を示す情報を含んでいる場合は、履歴更新部32は、一のリンクに対応する道路区間についての道路区間進入の有無の判定に際し、横断歩道の位置を示す情報に基づいて、その道路区間の横断歩道の位置を認識する。そして、履歴更新部32は、当該一のリンクにおいて横断歩道の位置に対応する領域を除いて、各ユーザ位置において道路区間進入の発生の有無を判定する。この構成によれば、道路データ401が横断歩道の位置を示す情報を含んでいることを好適に利用して、一のリンクに対応する道路区間についての道路区間進入の有無を適切に判定できる。
【0059】
また、以下の構成でもよい。すなわち、道路データ401が横断歩道の位置を示す情報を含んでおらず、信号機の位置を示す情報を含んでいる場合は、履歴更新部32は、一のリンクに対応する道路区間についての道路区間進入の有無の判定に際し、信号機の位置を示す情報に基づいて、その道路区間に対応して設けられた信号機の位置を認識する。そして、履歴更新部32は、当該一のリンクにおいて信号機の位置に対応する領域を除いて、各ユーザ位置において道路区間進入の発生の有無を判定する。ここで、道路区間において、横断歩道は信号機に対応する位置に設けられるケースが多い。このことを踏まえ、上記構成によれば、道路データ401が信号機の位置を示す情報を含んでることを好適に利用して、一のリンクに対応する道路区間についての道路区間進入の有無を適切に判定できる。
【0060】
例えば、
図7(A)のリンクLK1が道路区間進入の有無を判定する対象のリンクの場合、履歴更新部32は、以下の処理を実行する。すなわち、履歴更新部32は、リンクLK1にマッチングされた点のうち、ノードND1にマッチングされた点P5を除く、点P1〜点P4のそれぞれについて、各位置におけるユーザの移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上か否かを判定する。
図7(A)の例では、履歴更新部32は、点P1〜点P4の全てについて、「各位置におけるユーザの移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上」ではないと判定する。従って、履歴更新部32は、リンクLK1に対応する道路区間において、道路区間進入がなかったと判定する。
【0061】
また例えば、
図7(B)のリンクLK1が道路区間進入の有無を判定する対象のリンクの場合、履歴更新部32は、以下の処理を実行する。すなわち、履歴更新部32は、リンクLK1にマッチングされた点P1〜点P4のそれぞれについて、各位置におけるユーザの移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上か否かを判定する。
図7(B)の例では、履歴更新部32は、点P2について、「各位置におけるユーザの移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上」であり、当該点P2において道路区間進入が発生したと判定する。また、履歴更新部32は、他の点P1、P3、P4について「各位置におけるユーザの移動方向が第1範囲に属し、かつ、加速度の大きさが第1閾値以上」でないと判定する。従って、履歴更新部32は、リンクLK1に対応する道路区間において、道路区間進入があったと判定する。
【0062】
以上のようにして、履歴更新部32は、ユーザ位置がマッチングされたリンク(道路区間)のそれぞれについての道路区間進入の有無を判定する。その後、履歴更新部32は、道路区間進入の有無の判定の対象となった道路区間のそれぞれについて、道路区間進入の有無に応じて、対応する進入履歴情報(進入回数情報と、非進入回数情報との組み合わせ)を更新する。
【0063】
以下、一のユーザによる一の道路区間での道路区間進入の有無に応じて、対応する進入履歴情報を更新するときの履歴更新部32の処理について説明する。まず、履歴更新部32は、当該一の道路区間にマッチングしたユーザ位置に対応する個人関連情報に含まれる計測時刻情報に基づいて、ユーザが当該一の道路区間の近辺を歩行したときの時刻を特定する。次いで、履歴更新部32は、特定した時刻が属する時間帯(以下、「特定時間帯」という)を特定する。本実施形態では、時間帯は、朝に対応する第1時間帯(例えば、午前6時から午前10時までの時間帯)、昼に対応する第2時間帯(例えば、午前10時から午後4時までの時間帯)、夜に対応する第3時間帯(例えば、午後4時から翌日の午前6時までの時間帯)の3つの時間帯に分けられている。そして、上述した第1時間帯情報は、第1時間帯に対応する情報であり、第2時間帯情報は、第2時間帯に対応する情報であり、第3時間帯情報は、第3時間帯に対応する情報である。
【0064】
次いで、履歴更新部32は、進入履歴記憶部42に記憶された進入履歴情報データベースDB2のうち、当該一の道路区間に対応するリンクIDと対応付けられた進入履歴情報データベースDB2を特定する。次いで、履歴更新部32は、特定した進入履歴情報データベースDB2のレコードのうち、当該一のユーザのユーザIDを有するレコードを特定する。次いで、履歴更新部32は、当該一の道路区間について道路区間進入があったと判定した場合、特定したレコードの時間帯情報のうち、特定時間帯に対応する時間帯情報の進入回数情報の値を「1」増加する。一方、履歴更新部32は、当該一の道路区間について道路区間進入がなかったと判定した場合、特定したレコードの時間帯情報のうち、特定時間帯に対応する時間帯情報の非進入回数情報の値を「1」増加する。なお、進入回数情報および非進入回数情報は、それぞれ、初期値は「0」である。
【0065】
履歴更新部32によって以上の処理が行われる結果、一の道路区間に係る進入履歴情報データベースDB2において、一のユーザの一の時間帯に係る進入回数情報の値は、当該一の時間帯において当該一の道路区間の近傍を当該一のユーザが通ったときに道路区間進入を行った回数を示し、非進入回数情報の値は、当該一の時間帯において当該一の道路区間の近傍を当該一のユーザが通ったときに道路区間進入を行わなかった回数を示した状態となる。
【0066】
さて、
図4で示す進入傾向判定部33は、一のユーザの進入履歴情報(進入回数情報と非進入回数情報との組み合わせ)に基づいて、当該一のユーザが横断歩道以外の場所で道路区間に進入する傾向(道路区間進入を行う傾向)である進入傾向を時間帯ごとに判定する。以下、一の時間帯に対応する進入傾向を判定する場合の進入傾向判定部33の処理について説明する。
【0067】
まず、進入傾向判定部33は、所定のタイミングで、進入履歴情報データベースの1つのレコードを処理対象とする。例えば、進入傾向判定部33は、あるレコードの一の時間帯に対応する進入回数情報または非進入回数情報が履歴更新部32により更新されたときに、そのレコードを処理対象とする。進入傾向判定部33は、処理対象としたレコードの一の時間帯に対応する進入回数情報と非進入回数情報とを取得する。次いで、進入傾向判定部33は、「進入回数情報と非進入回数情報との合算値」に対する進入回数情報の割合(以下、「道路区間進入割合」という)を算出する。例えば、
図6で例示した進入履歴情報データベースの1件目のレコードの場合、第1時間帯に対応する進入回数情報および非進入回数情報(進入回数情報:3、非進入回数:2)に基づいて算出される道路区間進入割合は「60パーセント」となる。
【0068】
ここで、道路区間進入割合は、ユーザが道路区間の近傍を歩行した回数に対する、横断歩道以外の場所で、その道路区間に進入した回数の割合である。従って、一の道路区間に係る道路区間進入割合が大きいほど、ユーザは、横断歩道以外の場所で当該一の道路区間に進入する傾向が強く、道路区間進入割合が小さいほど、ユーザは、横断歩道以外の場所で当該一の道路区間に進入する傾向が弱い。
【0069】
次いで、進入傾向判定部33は、算出した道路区間進入割合に基づいて、進入傾向を判定する。本実施形態では、進入傾向は、横断歩道以外の場所で道路区間に進入する傾向の強さに応じた3つのレベルによって表される。具体的には、進入傾向は、横断歩道以外の場所で道路区間に進入する傾向が強いことを示す強レベルと、当該傾向が弱いことを示す弱レベルと、当該傾向が強レベルと弱レベルとの中間程度であることを示す中レベルとによって表される。進入傾向の判定に際し、進入傾向判定部33は、道路区間進入割合が閾値T1(例えば、「80パーセント」)以上の場合、進入傾向を強レベルと判定し、道路区間進入割合が閾値T1より小さい閾値T2(例えば、閾値T1が「80パーセント」の場合において「20パーセント」)を下回る場合、進入傾向を弱レベルと判定し、道路区間進入割合が閾値T1を下回り閾値T2以上の場合、進入傾向を中レベルと判定する。
【0070】
進入傾向を判定した後、進入傾向判定部33は、対応する進入傾向情報の値を、判定した進入傾向(強レベル、中レベルまたは弱レベル)を示す値に更新する。進入傾向判定部33によって以上の処理が行われる結果、各進入履歴情報データベースDB2の各レコードの進入傾向情報の値は、履歴更新部32により更新された進入回数情報および非進入回数情報を反映した値となる。
【0071】
さて、
図4で示す注意喚起部34は、個人関連情報取得部31により取得された個人位置情報に基づいて、一の道路区間の近辺に位置する個人を特定し、特定した各個人の進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、当該一の道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う。特に、本実施形態に係る注意喚起部34は、個人位置情報に基づいて、一の道路区間の近辺に位置する個人を特定し、特定した各個人の当該一の道路区間についての進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、当該一の道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う。さらに、本実施形態に係る注意喚起部34は、個人位置情報に基づいて、一の道路区間の近辺に位置する個人を特定し、特定した各個人の現在時刻が属する時間帯に対応する当該一の道路区間についての進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、当該一の道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う。以下、注意喚起部34の処理について後述する。
【0072】
ここで、車載装置3は、機能として、注意喚起機能を有している。運転手(他の搭乗者であってもよい)は、注意喚起機能のオン/オフを切り替えることができる。運転手により注意喚起機能がオンされた場合、車載装置3の地図画面表示部12は、注意喚起機能がオンされたことを示す情報を、注意喚起装置2に送信する。そして、地図画面表示部12は、注意喚起機能がオンの間、自車位置検出部11が検出した自車位置を示す情報(以下、「自車位置情報」という)を所定の周期で注意喚起装置2に送信する。以下、一の車載装置3の注意喚起機能がオンされているものとし、当該一の車載装置3から自車位置情報を受信したときの注意喚起部34の処理について説明する。
【0073】
まず、注意喚起部34は、注意喚起装置側通信部30を介して、自車位置情報を受信する。次いで、注意喚起部34は、道路データ401を参照し、自車位置情報が示す自車位置の周辺に存在するリンク(以下、「自車位置周辺リンク」という)を特定する。次いで、注意喚起部34は、個人関連情報記憶部41が記憶する個人関連情報データベースDB1を参照し、自車位置周辺リンクごとに、自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザのユーザIDを特定する。
【0074】
一の自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザのユーザIDを特定するときの処理について説明すると、上述したように、各ユーザの個人関連情報データベースDB1には、各ユーザの個人関連情報が累積的に記憶されている。また、個人関連情報には、個人位置情報と、計測時刻情報とが含まれている。これを踏まえ、注意喚起部34は、各個人関連情報データベースDB1に記憶された個人関連情報に含まれる個人位置情報および計測時刻情報に基づいて、現在時刻(現在時刻に近接した時刻を含む)に自車位置周辺リンクの近辺に位置しているユーザのユーザIDを特定する。なお、自車位置周辺リンクの近辺とは、例えば、自車位置周辺リンクから10メートルの範囲内の領域である。
【0075】
自車位置周辺リンクごとに、自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザのユーザIDを特定した後、注意喚起部34は、特定したユーザIDのユーザ(=自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザ)が携帯する携帯端末4から直近で受信した個人関連情報に含まれる個人位置情報を取得する。
【0076】
次いで、注意喚起部34は、自車位置周辺リンクのそれぞれに対応する進入履歴情報データベースDB2を参照し、各進入履歴情報データベースDB2のレコードのうち、特定したユーザIDに対応するレコードを特定する。次いで、注意喚起部34は、特定したレコードが有する進入傾向情報のうち、現在時刻が属する時間帯に対応する進入傾向情報を取得する。ここで注意喚起部34が取得した進入傾向情報は、自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザの、現在時刻が属する時間帯における進入傾向を示す情報である。
【0077】
以上の処理を行って、注意喚起部34は、自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザのそれぞれについて、個人位置情報および進入傾向情報を取得する。ここで取得された個人位置情報は、ユーザの現在の位置を示す情報であり、また、進入傾向情報は、ユーザが、現在が属する時間帯において、自車位置周辺リンクに道路区間進入する傾向を示す情報である。
【0078】
自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザのそれぞれの個人位置情報および進入傾向情報を取得した後、注意喚起部34は、注意喚起指示情報を生成する。注意喚起指示情報は、地図画面に、後述する態様で歩行者マークM2(後述)を表示することを指示する情報であり、ユーザのそれぞれについての個人位置情報と進入傾向情報との組み合わせを含んでいる。なお、本実施形態では、注意喚起指示情報に個人位置情報と進入傾向情報とが含まれた構成であるが、注意喚起指示情報に、これら情報そのものが含まれない構成でもよい。すなわち、注意喚起指示情報は、車載装置3の地図画面表示部12が歩行者マークM2を表示するために必要な情報が含まれていればよく、例えば、歩行者マークM2が描画された画像の画像データであってもよい。注意喚起指示情報を生成した後、注意喚起部34は、注意喚起装置側通信部30を制御して、生成した注意喚起指示情報を車載装置3に送信する。
【0079】
車載装置3の地図画面表示部12は、車載装置側通信部10を介して、注意喚起指示情報を受信する。次いで、地図画面表示部12は、受信した注意喚起指示情報に基づいて、地図画面に歩行者マークM2を表示する。
【0080】
図9は、自車位置を示す自車位置マークM1および歩行者マークM2が表示された地図画面の一例を示す図である。
図9に示すように、歩行者マークM2は、所定の色で塗りつぶされた円状のマークである。地図画面表示部12は、注意喚起指示情報に含まれる個人位置情報と進入傾向情報との組み合わせのそれぞれに基づいて、ユーザごとに歩行者マークM2を描画する。すなわち、地図画面表示部12は、歩行者マークM2のそれぞれを、地図画面において、対応する個人位置情報が示すユーザ位置に対応する位置に描画する。従って、地図画面において、歩行者マークM2は、ユーザの実際の位置に相当する位置に描画される。
【0081】
さらに、地図画面表示部12は、歩行者マークM2を、対応する進入傾向情報が示す進入傾向によって、異なる色によって描画する。本実施形態では、地図画面表示部12は、進入傾向が強レベルの場合は、歩行者マークM2の色を赤色とし、進入傾向が中レベルの場合は、歩行者マークM2の色を黄色とし、進入傾向が弱レベルの場合は、歩行者マークM2の色を青色とする。
【0082】
このように、本実施形態では、注意喚起装置2の注意喚起部34は、注意喚起指示情報を送信することによって、車載装置3に、ユーザの実際の位置、および、ユーザの進入傾向が反映された歩行者マークM2を地図画面に表示させる。より具体的には、注意喚起部34は、車載装置3の地図画面表示部12に、地図画面上で、ユーザの実際の位置に対応する位置に歩行者マークM2を表示させると共に、各歩行者マークM2の色を、各ユーザの進入傾向に応じた色で表示させる。これにより、注意喚起部34は、車両の運転手に対して、歩行者に関する注意喚起を行っている。
【0083】
そして、本実施形態では、以上のような態様で、運転手に対して、歩行者に関する注意喚起が行われるため、以下の効果を奏する。すなわち、運転手が運転に際して払うべき注意の度合いは、道路区間の近辺に実際に存在する歩行者の進入傾向(横断歩道を使わずに道路区間に進入する傾向)に影響を受ける。横断歩道を使わずに道路区間に進入する傾向が強い歩行者がいる場合は、その歩行者が車両が走行する道路で飛び出してくる可能性を考慮して運転する必要があり、運転手は、高い注意力を持って運転する必要があるからである。このことを踏まえ、運転手は、歩行者マークM2を参照することにより、自車位置周辺の道路区間の近辺に位置するユーザについて、その位置だけでなく、各ユーザの進入傾向を認識できる。このため、運転手は、走行中の道路区間や、走行する予定の道路区間の近辺に、その道路区間についての進入傾向が強い歩行者がいる場合、そのことを認識することができ、このような道路区間を走行するときに、進入傾向が強い歩行者がいない場合と比較して、高い注意を払って車両を運転する等の対応をとることができる。すなわち、運転手は、一の道路区間の近辺に実際にいる各ユーザの進入傾向を反映した注意喚起を受けることができ、各ユーザの進入傾向を踏まえて、運転に際して払うべき注意の度合いを的確に判断できる。
【0084】
特に、本実施形態では、進入履歴記憶部42は、道路区間ごとに、ユーザ(個人)ごとの進入履歴情報を記憶する。また、進入傾向判定部33は、各道路区間の各ユーザの進入履歴情報に基づいて、道路区間とユーザとの組み合わせごとに進入傾向を判定する。そして、注意喚起部34は、個人位置情報に基づいて、一の道路区間の近辺に位置するユーザを特定し、特定した各ユーザの当該一の道路区間についての進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、当該一の道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う。このような構成のため、以下の効果を奏する。
【0085】
すなわち、ユーザの進入傾向は、道路区間ごとに異なるものと想定される。例えば、ユーザは、横断歩道が遠い場所にあったり、横断歩道を使わないことにより近道できる等の事情の下、特定の道路区間では、横断歩道を通らずに、その特定の道路区間の特定の箇所で、高い頻度で道路区間を横断する一方、他の道路区間では、道路区間を横断する場合、高い頻度で横断歩道を通るという場合がある。このような場合、そのユーザについての進入傾向は、道路区間ごとに異なったものとなる。このことを踏まえ、本実施形態では、注意喚起部34は、ある道路区間の近辺に位置するユーザについて、歩行者マークM2を表示させる場合、その道路区間についてのユーザの進入傾向を反映した色で歩行者マークM2を表示させる。この構成のため、運転手は、道路区間に対応したユーザの進入傾向を把握でき、ユーザの進入傾向が道路区間ごとによって異なることを踏まえ、より的確に、運転に際して払うべき注意の度合いを判断できる。
【0086】
さらに、本実施形態では、進入履歴記憶部42は、時間帯ごとに、道路区間とユーザとの組み合わせごとの進入履歴情報を記憶する。また、進入傾向判定部33は、道路区間とユーザとの組み合わせごとに、各時間帯の進入傾向を判定する。そして、注意喚起部34は、個人位置情報に基づいて、一の道路区間の近辺に位置するユーザを特定し、特定した各ユーザの現在時刻が属する時間帯に係る当該一の道路区間についての進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、当該一の道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う。このような構成のため、以下の効果を奏する。
【0087】
すなわち、ユーザの進入傾向は、時間帯によって変わるものと想定される。例えば、ユーザは、同じ道路区間についても、朝や昼は、高い頻度で横断歩道を通らずに道路区間を横断する一方、朝や昼に比べて視界の悪い夜は、高い頻度で横断歩道を通るという場合がある。このような場合、そのユーザについての進入傾向は、時間帯ごとに異なったものとなる。このことを踏まえ、上記構成によれば、運転手は、現在時刻が属する時間帯に対応したユーザの進入傾向を把握でき、ユーザの進入傾向が時間帯によって変化することがあることを踏まえ、より的確に、運転に際して払うべき注意の度合いを判断できる。
【0088】
図10は、本実施形態に係る注意喚起装置2の注意喚起部34および車載装置3の地図画面表示部12の処理の一例を示すフローチャートである。
図10において、フローチャートFAは車載装置3の地図画面表示部12の処理の一例を示し、フローチャートFBは注意喚起装置2の注意喚起部34の処理の一例を示している。
図10のフローチャートが示す処理は、車載装置3が上述した自車位置情報を注意喚起装置2に送信したことをトリガとして実行される。
【0089】
フローチャートFAに示すように、車載装置3の地図画面表示部12は、自車位置情報を注意喚起装置2に送信する(ステップSA1)。上述したように、地図画面表示部12は、注意喚起機能がオンの間、所定の周期で、自車位置情報を送信する。
【0090】
フローチャートFBに示すように、注意喚起装置2の注意喚起部34は、自車位置情報を受信する(ステップSB1)。次いで、注意喚起部34は、自車位置周辺リンクを特定する(ステップSB2)。次いで、注意喚起部34は、自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザのユーザIDを特定する(ステップSB3)。次いで、注意喚起部34は、各ユーザの個人位置情報を取得する(ステップSB4)。
【0091】
次いで、注意喚起部34は、自車位置周辺リンクの近辺に位置するユーザの進入傾向情報を取得する(ステップSB5)。次いで、注意喚起部34は、ユーザごとの個人位置情報および進入傾向情報を含む注意喚起指示情報を生成し、車載装置3に送信する(ステップSB6)。
【0092】
フローチャートFAに示すように、車載装置3の地図画面表示部12は、注意喚起指示情報を受信する(ステップSA2)。次いで、地図画面表示部12は、受信した注意喚起指示情報に基づいて、表示画面に歩行者マークM2を付加する(ステップSA3)。
【0093】
車載装置3によって間欠的に行われる自車位置情報の送信に応じて、車載装置3および注意喚起装置2によって以上の処理が行われる結果、車載装置3のディスプレイには、自車位置の周辺の道路区間の近辺に位置するユーザについて、ユーザの実際の位置と、ユーザの進入傾向とが反映された状態で、歩行者マークM2が継続して表示される。なお、一例として、車載装置3による自車位置情報の送信はHTTPリクエストにより行われ、注意喚起装置2による注意喚起指示情報の送信はHTTPレスポンスにより行われる。
【0094】
以上詳しく説明したように、本実施形態に係る注意喚起装置2は、ユーザ(個人)ごとに、ユーザが過去に行った横断歩道以外の場所での道路区間の進入の履歴を含む進入履歴情報を記憶し、一のユーザの進入履歴情報に基づいて、当該一のユーザが横断歩道以外の場所で道路区間に進入する傾向である進入傾向を判定する。その上で、本実施形態に係る注意喚起装置2は、個人位置情報に基づいて、一の道路区間の近辺に位置するユーザを特定し、特定した各ユーザの進入傾向を反映した態様で、車両の運転手に対して、当該一の道路区間の歩行者に関する注意喚起を行う。
【0095】
この構成によれば、上述したように、運転手は、車両を走行させているときに、道路区間の近辺に実際にいる各個人の進入傾向を反映した注意喚起を受けることができ、各個人の進入傾向を踏まえて、運転に際して払うべき注意の度合いを的確に判断できる。
【0096】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
図11は、第2実施形態に係る注意喚起装置2Aの機能構成例を示すブロック図である。
図11と
図4との比較で明らかなとおり、本実施形態に係る注意喚起装置2Aは、機能構成として、履歴更新部32に代えて履歴更新部32Aを有し、進入傾向判定部33に代えて進入傾向判定部33Aを有し、注意喚起部34に代えて注意喚起部34Aを有する。また、注意喚起装置2Aは、進入履歴記憶部42に代えて進入履歴記憶部42Aを有する。この進入履歴記憶部42Aは、進入履歴情報データベースDB2に代えて、進入履歴情報データベースDB2Aを記憶する。
【0097】
図12は、本実施形態に係る進入履歴情報データベースDB2Aの内容の一例を示す図である。上述した第1実施形態では、進入履歴記憶部42が記憶する進入履歴情報データベースDB2の1件のレコードは、時間帯ごとに、進入履歴情報と、進入傾向情報とを有していた。一方、本実施形態に係る進入履歴情報データベースDB2Aの1件のレコードは、時間帯で区分されない状態で進入履歴情報と進入傾向情報とを有している。
【0098】
本実施形態において、履歴更新部32Aは、時間帯にかかわらず、一のユーザにより、一の道路区間で道路区間進入が行われたと判定した場合、当該一の道路区間に対応する進入履歴情報データベースDB2Aの当該一のユーザに係る進入回数情報を「1」増加する。一方、履歴更新部32Aは、道路区間進入が行われなかったと判定した場合、非進入回数情報を「1」増加する。また、進入傾向判定部33Aは、時間帯ごとに区分されていない進入回数情報および非進入回数情報に基づいて、進入傾向を判定する。また、注意喚起部34Aは、車載装置3の地図画面表示部12に、一のユーザに係る歩行者マークM2を表示させる場合、時間帯ごとに区分されていない進入傾向に対応する色で表示させる。
【0099】
第2実施形態の構成の場合、運転手は、注意喚起部34Aによる歩行者に関する注意喚起に基づいて、道路区間ごとのユーザの進入傾向を認識することができ、各ユーザの進入傾向を踏まえて、運転に際して払うべき注意の度合いを的確に判断できる。
【0100】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。
図13は、第3実施形態に係る注意喚起装置2Bの機能構成例を示すブロック図である。
図13と
図4との比較で明らかなとおり、本実施形態に係る注意喚起装置2Bは、機能構成として、履歴更新部32に代えて履歴更新部32Bを有し、進入傾向判定部33に代えて進入傾向判定部33Bを有し、注意喚起部34に代えて注意喚起部34Bを有する。また、注意喚起装置2Bは、進入履歴記憶部42に代えて進入履歴記憶部42Bを有しており、進入履歴記憶部42Bは、進入履歴情報データベースDB2に代えて、進入履歴情報データベースDB2Bを記憶する。
【0101】
上述した第1実施形態では、進入履歴記憶部42は、道路区間ごとに進入履歴情報データベースDB2を記憶し、各進入履歴情報データベースDB2において、ユーザごとの、進入履歴情報と進入傾向情報とが対応付けて管理されていた。一方、第3実施形態では、進入履歴記憶部42Bは、道路区間ごとに進入履歴情報データベースDB2を記憶するのではなく、
図12の進入履歴情報データベースDB2Aと同一の内容の進入履歴情報データベースDB2Bを1つ記憶する。
【0102】
本実施形態において、履歴更新部32Bは、道路区間にかかわらず、一のユーザにより道路区間進入が行われたと判定した場合、進入履歴情報データベースDB2Bの当該一のユーザに係る進入回数情報を「1」増加する。一方、履歴更新部32Bは、道路区間進入が行われなかったと判定した場合、非進入回数情報を「1」増加する。履歴更新部32Bにより以上の処理が行われる結果、進入履歴情報データベースDB2Bの進入履歴情報(進入回数情報と非進入回数情報との組み合わせ)は、ユーザが道路区間にかかわらず過去に横断歩道以外の場所で道路区間に進入した履歴を示す情報になる。
【0103】
また、進入傾向判定部33Bは、道路区間ごとに区分されていない進入回数情報および非進入回数情報に基づいて、進入傾向を判定する。進入傾向判定部33Bにより判定された進入傾向は、ユーザごとの、道路一般に対する進入傾向である。また、注意喚起部34Bは、車載装置3の地図画面表示部12に、一のユーザに係る歩行者マークM2を表示させる場合、道路区間ごとに区分されていない進入傾向に対応する色で表示させる。
【0104】
ここで、人間には、道路区間にかかわらず、横断歩道以外の場所で道路に進入する傾向が強い者と、そうではない者とが存在する。運転手は、自車位置の周辺に、道路区間にかかわらず、横断歩道以外の場所で道路に進入する傾向が強い者が存在する場合は、存在しない場合と比較して、より高い注意度を持って運転する必要がある。以上を踏まえ、第3実施形態の構成によれば、運転手は、注意喚起部34Bによる歩行者に関する注意喚起に基づいて、自車位置の周辺に実際に存在するユーザのそれぞれについて、道路一般に対する進入傾向を認識することができ、各ユーザの道路一般に対する進入傾向を踏まえて、運転に際して払うべき注意の度合いを的確に判断できる。
【0105】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。
図14は、第4実施形態に係る注意喚起装置2Cの機能構成例を示すブロック図である。
図14と
図4との比較で明らかなとおり、本実施形態に係る注意喚起装置2Cは、機能構成として、履歴更新部32に代えて履歴更新部32Cを有し、進入傾向判定部33に代えて進入傾向判定部33Cを有し、注意喚起部34に代えて注意喚起部34Cを有する。注意喚起装置2Cは、進入履歴記憶部42に代えて進入履歴記憶部42Cを有しており、進入履歴記憶部42Cは、第1実施形態に係る道路区間ごとの進入履歴情報データベースDB2に加えて、一般進入履歴情報データベースDB2Cを記憶する。
【0106】
一般進入履歴情報データベースDB2Cは、上述した第3実施形態に係る進入履歴情報データベースDB2Bと同一の内容のデータベースである。すなわち、一般進入履歴情報データベースDB2Cは、ユーザごとに、ユーザが道路区間にかかわらず過去に横断歩道以外の場所で道路区間に進入した履歴を示す進入履歴情報(以下、「一般進入履歴情報」という)と、進入傾向情報とを対応付けて記憶する。一般進入履歴情報は、具体的には、ユーザが道路区間にかかわらず過去に横断歩道以外の場所で道路区間に進入した回数を示す進入回数情報と、進入しなかった回数を示す非進入回数情報との組み合わせである。履歴更新部32Cは、第3実施形態に係る履歴更新部32Bと同様の処理を行って、一般進入履歴情報データベースDB2Cの一般進入履歴情報を更新する。また、進入傾向判定部33Cは、第3実施形態に係る進入傾向判定部33Bと同様の処理を行って、一般進入履歴情報に基づいて進入傾向(以下、「一般進入傾向」という)を判定する。一般進入傾向は、ユーザの道路一般に対する進入傾向である。
【0107】
注意喚起部34Cは、車載装置3の地図画面表示部12に、一のユーザに係る歩行者マークM2を表示させる場合、道路区間ごとの進入履歴情報データベースDB2における進入傾向に基づいて、第1実施形態と同様、歩行者マークM2の色を当該進入傾向に対応する色で表示させる。さらに、本実施形態では、注意喚起部34Cは、一般進入履歴情報データベースDB2Cにおける一般進入傾向に基づいて、道路区間にかかわらず、一般進入傾向が強いユーザ(道路一般について横断歩道以外の場所で道路に進入する傾向の強いユーザ)については、そのことを明示する。
【0108】
図15は、本実施形態に係る注意喚起部34Cが、車載装置3の地図画面表示部12に表示させる画面の一例を示す図である。
図15の例では、注意喚起部34Cは、一般進入傾向が強いユーザについては、対応する歩行者マークM2を、リングQで囲むことにより、そのユーザの一般進入傾向が強いことを明示している。
【0109】
本実施形態によれば、運転手は、自車位置の周辺の道路区間の近辺に実際に存在するユーザの道路区間ごとの進入傾向を認識することができると共に、各ユーザの道路区間にかかわらない道路一般に対する進入傾向を認識することができ、より的確に、運転に際して払うべき注意の度合いを判断できる。
【0110】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。
図16は、第5施形態に係る注意喚起装置2Dの機能構成例を示すブロック図である。
図16と
図4との比較で明らかなとおり、本実施形態に係る注意喚起装置2Dは、機能構成として、履歴更新部32に代えて履歴更新部32Dを有し、進入傾向判定部33に代えて進入傾向判定部33Dを有し、注意喚起部34に代えて注意喚起部34Dを有する。また、注意喚起装置2Dは、進入履歴記憶部42に代えて進入履歴記憶部42Dを有しており、進入履歴記憶部42Dは、第1実施形態に係る道路区間ごとの進入履歴情報データベースDB2に加えて、道路区間の属性ごとに属性別進入履歴情報データベースDB2Dを記憶する。
【0111】
本実施形態では、道路区間の属性とは、道路区間の車線数と、道路区間における歩道の有無との組み合わせである。なお、道路区間の属性は、本実施形態で例示する道路区間の車線数と、道路区間における歩道の有無との組み合わせに限らない。道路区間の属性は、横断歩道以外の場所での道路への進入に影響を与える道路の特徴であればよく、一例として、道路区間の種別(国道)を含んでもよい。
【0112】
図17は、属性別進入履歴情報データベースDB2Dの内容の一例を示す図である。
図17に示すように、属性別進入履歴情報データベースDB2Dは、ユーザごとにレコードを有し、各レコードは、情報として、ユーザIDと、属性別進入履歴情報と、属性別進入傾向情報とを有する。属性別進入履歴情報は、属性別進入回数情報と、属性別非進入回数情報とを有する。各情報については、後述する。
【0113】
本実施形態において、履歴更新部32Dは、第1実施形態に係る履歴更新部32と同様、適宜、個人関連情報に基づいて、道路区間ごとの進入履歴情報データベースDB2の進入履歴情報を更新する。さらに、履歴更新部32Dは、進入履歴情報の更新に応じて、対応する属性別進入履歴情報を更新する。
【0114】
詳述すると、履歴更新部32Dは、一のユーザについて、一の道路区間に対応する進入履歴情報を更新した場合、道路データ401を参照し、当該一の道路区間に係る車線数情報と、歩道有無情報とを取得する。次いで、履歴更新部32Dは、取得した車線数情報と歩道有無情報とに基づいて、当該一の道路区間の属性(本実施形態では、車線数と歩道有無との組み合わせ)を認識する。
【0115】
次いで、履歴更新部32Dは、認識した属性に対応する属性別進入履歴情報データベースDB2Dを参照し、当該データベースのレコードのうち、当該一のユーザに対応するレコードを特定する。次いで、履歴更新部32Dは、特定したレコードの属性別進入履歴情報について、当該一の道路区間への道路区間進入があったと判定した場合は属性別進入回数情報を「1」増加し、道路区間進入がなかったと判定した場合は属性別非進入回数情報を「1」増加する。履歴更新部32Dにより以上の処理が行われる結果、一の属性に対応する属性別進入履歴情報データベースDB2Dには、各ユーザについて、ユーザが過去に横断歩道以外の場所で当該一の属性の道路区間に進入した履歴を示す属性別進入履歴情報が記憶された状態となる。
【0116】
本実施形態において、進入傾向判定部33Dは、第1実施形態に係る進入傾向判定部33と同様、適宜、進入履歴情報に基づいて、進入傾向を判定し、進入傾向情報を更新する。さらに、進入傾向判定部33Dは、属性別進入履歴情報データベースDB2Dについて、属性別進入履歴情報に基づいて、属性別進入傾向を判定し、属性別進入傾向情報を更新する。属性別進入傾向は、ユーザが対応する属性の道路区間に横断歩道以外の場所で進入する傾向である。進入傾向判定部33Dは、進入傾向を判定するときと同様の方法で、属性別進入履歴情報に基づいて、属性別進入傾向を判定する。進入傾向判定部33Dにより以上の処理が行われる結果、一の属性に対応する属性別進入履歴情報データベースDB2Dには、各ユーザについて、ユーザが当該一の属性の道路区間に横断歩道以外の場所で進入する傾向を示す属性別進入傾向情報が記憶された状態となる。
【0117】
本実施形態において、注意喚起部34Dは、車載装置3の地図画面表示部12に、一のユーザに係る歩行者マークM2を表示させる場合、道路区間ごとの進入履歴情報データベースDB2における進入傾向に基づいて、第1実施形態と同様、歩行者マークM2の色を当該進入傾向に対応する色で表示させる。さらに、注意喚起部34Dは、属性別進入履歴情報データベースDB2Dにおける属性別進入傾向に基づいて、一の道路区間の近辺に位置するユーザについて、その一の道路区間の属性と同一の属性の道路区間に横断歩道以外の場所で進入する傾向が強い場合は、そのことを明示する。例えば、注意喚起部34Dは、一の道路区間の近辺に位置するユーザについて、その一の道路区間の属性と同一の属性の道路区間に横断歩道以外の場所で進入する傾向が強い場合は、そのユーザに係る歩行者マークM2を、
図15のようにリングで囲み、当該傾向が強いことを明示する。
【0118】
ここで、ユーザの進入傾向は、道路区間の属性によって変化する場合があるものと想定される。例えば、ユーザによって、歩道がある場合、ない場合と比較して、道路区間進入を行う傾向が強い場合や、両側一車線の場合、片側一車線の場合と比較して、道路区間進入を行う傾向が強い場合がある。このことを踏まえ、上記本実施形態の構成によれば、運転手は、自車位置の周辺の道路区間の近辺に実際に存在するユーザの道路区間ごとの進入傾向を認識することができると共に、特定の属性の道路について道路区間進入を行う傾向が強いユーザが、当該特定の属性の道路の近辺に位置している場合には、そのことを認識することができ、より的確に、運転に際して払うべき注意の度合いを判断できる。
【0119】
なお、上述した第1実施形態では、注意喚起部34が送信する注意喚起指示情報に基づいて車載装置3のディスプレイ5に表示される画面を、
図9を用いて具体的に例示した。しかしながら、車載装置3のディスプレイ5に表示される画面は、
図9で例示した画面に限られない。例えば、第1実施形態では、進入傾向が弱レベルの場合は、青色の歩行者マークM2が地図画面上に表示される構成であったが、進入傾向が弱レベルの場合には、歩行者マークM2を表示しない構成でもよい。また例えば、進入傾向が強レベルのユーザが近辺に存在する道路区間と、進入傾向が強レベルのユーザが近辺に存在しない道路区間の色とを異なる色で描画する構成でもよい。この場合、歩行者マークM2は表示してもしなくてもよい。また、注意喚起に関する情報が表示される装置は、ディスプレイ5に限らず、例えば、ヘッドアップディスプレイによりフロントガラスに当該情報が表示される構成でもよく、また例えば、ディスプレイ5以外の表示装置に情報が表示されることによって案内が行われる構成でもよい。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0120】
また、上述した第1実施形態では、注意喚起部34は、ディスプレイ5への表示によって、注意喚起を行っていた。この点に関し、車載装置3が音声を出力する機能を有している場合は、注意喚起部34が、表示に代えて、または、表示と併せて、音声により、注意喚起を行う構成でもよい。例えば、注意喚起部34が、自車位置の周辺の道路区間の近辺に進入傾向が強レベルのユーザが位置している場合、車載装置3に、『道路に飛び出す傾向がある人が近くにいます。ご注意ください。』等の音声を出力させ、注意喚起を行う構成でもよい。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0121】
また、上述した第1実施形態では、注意喚起部34は、車載装置3から自車位置情報を取得し、自車位置の周辺の道路区間の近辺に位置するユーザについて、歩行者マークM2を表示させていた。この点に関し、注意喚起部34は、車両が新たに道路区間に進入したときに、そのことを検出し、車両が新たに進入した道路区間の近辺に位置するユーザについて、歩行者マークM2を表示させる構成でもよい。また、車載装置3が目的地までの経路(以下、「案内経路」という)を探索し、案内するナビゲーション機能を有している場合に、注意喚起部34は、車載装置3と通信して、案内経路を示す情報を取得し、案内経路に含まれる道路区間について、適宜、道路区間の近辺に位置するユーザの歩行者マークM2を表示させる構成でもよい。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0122】
また、上述した第1実施形態では、進入履歴記憶部42は、リンクが定義された道路区間ごとに、進入履歴情報データベースDB2を記憶する構成であった。この点に関し、リンクが定義された全ての道路区間について進入履歴情報データベースDB2を記憶する必要はなく、限定された道路区間についてのみ、進入履歴情報データベースDB2を記憶する構成でもよい。限定された道路区間は、例えば、国道等の主要な道路であり、また、事故が多く発生する道路区間である。また、運転手ごとに、道路区間を登録する構成でもよい。この場合、履歴更新部32、進入傾向判定部33および注意喚起部34は、それぞれ、限定された道路区間を対象として、上述した処理を実行する。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0123】
また、上述した第1実施形態では、履歴更新部32は、一定期間ごとに、ユーザのそれぞれについて、直近の一定期間の間に個人関連情報データベースDB1に累積的に記憶された個人関連情報に基づいて、進入履歴情報を更新する構成であった。この点に関し、履歴更新部32が、各携帯端末4からの個人関連情報の情報の受信に応じて、リアルタイムで、処理を実行する構成でもよい。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0124】
また、上述した第1実施形態では、履歴更新部32が、一の道路区間で道路区間進入があったか否かを判定する方法について、具体的に説明した。しかしながら、説明した方法は、あくまで一例であり、履歴更新部32が他の方法で道路区間進入があったか否かを判定する構成でもよい。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0125】
また、上述した第1実施形態では、進入傾向判定部33は、道路区間進入割合を算出し、算出した道路区間進入割合に基づいて、進入傾向を判定した。この点に関し、進入傾向判定部33が、他の方法で進入傾向を判定する構成でもよい。例えば、一の道路区間についての一のユーザの進入傾向の判定について、進入傾向判定部33は、進入回数情報の値に基づいて、当該値が多いほど、進入傾向が強いと判定する構成でもよい。また、進入傾向判定部33は、進入回数情報と非進入回数情報との差の値に基づいて、当該値が多いほど、進入傾向が強いと判定する構成でもよい。以上のことは他の実施形態についても同様である。
【0126】
その他、上記各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。