(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957101
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電気自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 1/00 20060101AFI20211021BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20211021BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
B60K1/00
B62D25/20 G
B60L15/20 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-201945(P2017-201945)
(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公開番号】特開2019-73222(P2019-73222A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】須藤 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】高本 大介
【審査官】
渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−51375(JP,A)
【文献】
特開平11−115516(JP,A)
【文献】
実開昭56−59482(JP,U)
【文献】
特開2007−223588(JP,A)
【文献】
実開昭56−48204(JP,U)
【文献】
特開2005−73458(JP,A)
【文献】
特開平11−89009(JP,A)
【文献】
米国特許第9673433(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00− 6/12
B60K 7/00− 8/00
B60K 16/00
B62D 17/00− 25/08
B62D 25/14− 29/04
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00− 13/00
B60L 15/00− 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸を有するモータと、
前記モータからの動力を左右の駆動輪に分配するデファレンシャルギヤと、
車室のフロア面を形成するフロアパネルと、
フレームと、
電動エアコンプレッサとを含み、
前記フロアパネルは、運転席の足下から前記車室の後端までフラットに延びており、
前記デファレンシャルギヤは、前記フロアパネルの下方に配置され、
前記モータは、前記フロアパネルの下方かつ前記デファレンシャルギヤの前方または後方において、前記出力軸が前後方向に延びる縦置きで配置され、
前記モータおよび前記電動エアコンプレッサは、前記フレームに防振マウントを介して支持される支持板に固定されている、電気自動車。
【請求項2】
出力軸を有するモータと、
前記モータからの動力を左右の駆動輪に分配するデファレンシャルギヤと、
車室のフロア面を形成するフロアパネルと、
フレームと、
電動エアコンプレッサとを含み、
前記モータおよび前記デファレンシャルギヤは、前記フロアパネルの下方に配置され、
前記モータの前記出力軸は、前記デファレンシャルギヤに直結または高さ方向における寸法が前記モータまたは前記デファレンシャルギヤの少なくとも一方よりも小さい減速機構を介して接続され、
前記モータおよび前記電動エアコンプレッサは、前記フレームに防振マウントを介して支持される支持板に固定されている、電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンボックスカー、とくにワンボックスタイプの軽自動車(軽バン)では、エンジンの上方に前席(運転席および助手席)を配置する構造、いわゆるキャブオーバ構造によって、限られた外形寸法の中で室内空間が最大限に確保されており、その室内寸法が最も重要な商品力の1つとなっている。
【0003】
ワンボックスカーの商品力向上には、室内空間のさらなる拡大が必要であり、室内空間のさらなる拡大には、車室のフラットフロア化(床のフラット面の拡大)およびその低床化が有効である。車室の前方にボンネットを有するツーボックスカーまたは短いボンネットを有する1.5ボックスカーでは、ボンネットの下方かつ車室の前方にエンジンが配置されるので、車室のフラットフロア化および低床化が比較的容易である。これに対し、ワンボックスカーでは、車室のフラットフロア化および低床化が非常に困難である。そのため、前席の足下から車室後端に至るまでフラットフロア化かつ低床化されたワンボックスカーは提供されておらず、市販のワンボックスカーでは、前席の下方にエンジンを配置するために車室の床面を形成するフロアパネルが前席の下方で嵩上げされているのが現状である。
【0004】
車室後部のデッキの下方にエンジンが配置されるRR(Rear-engine Rear-wheel-drive:リヤエンジン・リヤドライブ)方式では、前席の下方の床面をフラットに形成できる。しかも、車室の後方にエンジンを配置することによる室内長の制限を受けない。しかしながら、デッキの位置を高くして、デッキの下方にエンジンを配置しなければならず、低床化を達成できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−245847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワンボックスカーの車室のフラットフロア化および低床化が困難であるという問題は、走行用の駆動源がエンジンである場合に限らず、モータが走行用の駆動源として搭載される場合にも存在する。そのため、キャブオーバ構造を採用したワンボックスタイプの電気自動車の開発に際し、本願発明者らは、車室のフラットフロア化および低床化の難題に直面し、その難題を解決すべく鋭意研究を重ねた。
【0007】
本発明は、かかる背景の下になされたものであり、その目的は、運転席の足下から車室後端に至るまでのフラットフロア化かつ低床化を図ることができる、電気自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る電気自動車は、出力軸を有するモータと、モータからの動力を左右の駆動輪に分配するデファレンシャルギヤと、車室のフロア面を形成するフロアパネルとを含み、フロアパネルは、運転席の足下から車室の後端までフラットに延びており、デファレンシャルギヤは、フロアパネルの下方に配置され、モータは、フロアパネルの下方かつデファレンシャルギヤの前方または後方において、出力軸が前後方向に延びる縦置きで配置されている。
【0009】
この構成によれば、フロアパネルが運転席の足下から車室の後端までフラットに延び、そのフラットなフロアパネルの下方において、モータからの動力を左右の駆動輪に分配するデファレンシャルギヤが配置され、そのデファレンシャルギヤの前方または後方に、モータが縦置きで配置されている。
【0010】
モータが横置きで配置される構成では、モータの出力軸とデファレンシャルギヤのリングギヤとの連結に平行軸歯車を用いなければならない。そのため、モータの出力軸とデファレンシャルギヤとの間での減速比によっては、平行軸歯車の外径が大きくなり、フロアパネルの下方に大きなスペースを確保しなければならず、車室の低床化を図ることができない。
【0011】
モータが縦置きで配置されることにより、モータの出力軸が前後方向に延びるので、その出力軸とデファレンシャルギヤのリングギヤとの連結に直交軸歯車(かさ歯車)が用いられる。そのため、平行軸歯車の外径が大きいことによるスペースの問題がなく、車室の低床化を図ることができる。
【0012】
よって、運転席の足下から車室後端に至るまでのフラットフロア化かつ低床化を図ることができる。フラットフロア化および低床化により、キャブオーバ構造を採用したワンボックスタイプの電気自動車における室内空間(室内寸法)の拡大を図ることができ、その電気自動車の商品力を向上させることができる。
【0013】
モータが横置きで配置される構成では、モータとデファレンシャルギヤとが車幅方向に横並びで配置されるので、それらを配置するスペースを車幅方向にも確保する必要がある。そのため、転舵輪である前輪の切れ角が制限される場合がある。
【0014】
これに対し、モータが縦置きで配置される構成では、モータとデファレンシャルギヤとが車幅方向に横並びで配置されないので、デファレンシャルギヤの車幅方向側方にスペースを確保することができる。そのため、前輪の切れ角を大きく確保することができる。
【0015】
また、モータの車幅方向側方にもスペースを確保することができるので、そのスペースに、たとえば、車室内の空調のための電動エアコンプレッサが配置されて、電動エアコンプレッサがモータとともに電気自動車のフレームに防振マウントを介して支持される支持板に取り付けられてもよい。
【0016】
この構成により、モータが錘(マス)となって、電動エアコンプレッサの稼働による振動を抑制することができる。
【0017】
本発明の他の局面に係る電気自動車は、出力軸を有するモータと、モータからの動力を左右の駆動輪に分配するデファレンシャルギヤと、車室のフロア面を形成するフロアパネルとを含み、モータおよびデファレンシャルギヤは、フロアパネルの下方に配置され、モータの出力軸は、デファレンシャルギヤに直結または高さ方向における寸法がモータまたはデファレンシャルギヤの少なくとも一方よりも小さい減速機構を介して接続されている。
【0018】
この構成によれば、車室のフロア面を形成するフロアパネルの下方において、モータの出力軸がモータからの動力を左右の駆動輪に分配するデファレンシャルギヤに直結または高さ方向における寸法がモータまたはデファレンシャルギヤの少なくとも一方よりも小さい減速機構(たとえば、遊星歯車機構)を介して接続されている。
【0019】
モータの出力軸とデファレンシャルギヤとの間に減速機構が介在される構成では、その減速機構を配置するためのスペースを高さ方向に確保しなければならず、車室の低床化を図ることができない場合がある。
【0020】
モータの出力軸がデファレンシャルギヤに直結される構成では、フロアパネルの下方に減速機構を収容するスペースを高さ方向に確保する必要がないので、フロアパネルをフラットに形成して低い位置に設けることができる。
【0021】
また、モータの出力軸が減速機構を介してデファレンシャルギヤに接続される構成であっても、減速機構がモータまたはデファレンシャルギヤの少なくとも一方よりも高さ方向の寸法が小さい構成であれば、フロアパネルをフラットに形成して低い位置に設けることができる。
【0022】
よって、運転席の足下から車室後端に至るまでのフラットフロア化かつ低床化を図ることができる。フラットフロア化および低床化により、キャブオーバ構造を採用したワンボックスタイプの電気自動車における室内空間(室内寸法)の拡大を図ることができ、その電気自動車の商品力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、運転席の足下から車室後端に至るまでのフラットフロア化かつ低床化を図ることができる。フラットフロア化および低床化により、キャブオーバ構造を採用したワンボックスタイプの電気自動車における室内空間の拡大を図ることができ、その電気自動車の商品力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電気自動車の構成を図解的に示す左側面図である。
【
図2】電気自動車の要部の構成を図解的に示す平面図である。
【
図3】
図2に示される切断面線A−Aにおけるフロアパネルの下側部分の断面図である。
【
図4】他の実施形態に係る電気自動車の要部の構成を図解的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
<電気自動車の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る電気自動車1の構成を図解的に示す左側面図である。
図2は、電気自動車1の要部の構成を図解的に示す平面図である。
【0027】
電気自動車1は、モータ2を走行用駆動源として搭載し、キャブオーバ構造が採用されたワンボックスタイプの車両である。
【0028】
電気自動車1の車体11の下部には、一対のサイドフレーム12が設けられている。一対のサイドフレーム12は、左右対称に構成され、車幅方向(左右方向)に互いに間隔を空けてそれぞれ前後方向に延びている。
【0029】
一対のサイドフレーム12上には、フロアパネル13が設けられている。フロアパネル13は、一対のサイドフレーム12に跨がって、サイドフレーム12の上面に溶接によって接合されている。フロアパネル13の上方には、車室14が設けられている。車室14の前端部には、車幅方向に横並びの運転席および助手席からなる前部座席15が配置されている。フロアパネル13は、少なくとも前部座席15の足下から車室14の後端までフラットに延びて、車室14のフロア面としてフラットなフロア面を提供している。
【0030】
なお、「フラット」とは、大略的にフラットであればよい。フロアパネル13が大略的にフラットに延びていれば、そのフロアパネル13に補強のためのビード(凹凸)が形成されていてもよい。
【0031】
図3は、
図2に示される切断面線A−Aにおけるフロアパネル13の下側部分の断面図である。
【0032】
モータ2は、
図1に示されるように、前部座席15の足下部分の下方であって、フロアパネル13よりも下方に配設されている。具体的には、前部座席15の足下部分の下方には、
図3に示されるように、一対のサイドフレーム12のそれぞれから垂下する防振マウント21に支持される支持板22が設けられている。モータ2は、
図1に示されるように、出力軸23がモータ本体24から前後方向に沿って前側に延びる縦置きの状態で支持板22上に配置されて、支持板22に固定されている。
【0033】
電気自動車1には、
図2に示されるように、モータ2以外に、モータ2の動力を左右の駆動輪である前輪31L,31Rに分配するデファレンシャルギヤ32、車室内の空調のための電動エアコンプレッサ33、モータ2を駆動するためのインバータなどを内蔵するPCU(Power Control Unit:パワーコントロールユニット)34、モータ2の駆動用の電力を蓄積する電池パック35および電池パック35の充電のための充電器36などが搭載されている。
【0034】
デファレンシャルギヤ32は、モータ2の前方に配置されて、モータ2に結合されている。デファレンシャルギヤ32は、通常の構成であり、デフケース内で回転可能に設けられる2個のピニオンギヤ、2個のピニオンギヤにそれぞれ噛合する2個のサイドギヤおよびデフケースに固定されるリング状のリングギヤを備えている。デフケースには、左右のドライブシャフト37L,37Rの一端部が挿入されており、その一端部は、それぞれサイドギヤに接続されている。また、デフケースには、デフケースの外周を取り囲むリング状のリングギヤが固定されている。モータ2の出力軸23には、
図1に示されるように、かさ歯車38が固定されており、そのかさ歯車38は、リングギヤに形成された斜歯と噛合している。これにより、モータ2の出力軸23の動力により、デフケースがリングギヤと一体に回転する。そして、デフケースの回転がピニオンギヤを介して各サイドギヤの回転に変換されて、各サイドギヤと一体に左右のドライブシャフト37L,37Rが回転し、ドライブシャフト37L,37Rの回転がそれぞれ前輪31L,31Rに伝達される。
【0035】
電動エアコンプレッサ33は、
図3に示されるように、モータ2と車幅方向に横並びに配置されて、支持板22に固定されている。
【0036】
PCU34は、モータ2の後方に配置されている。PCU34に内蔵されているインバータには、高電圧ケーブル39の一端が結線されている。高電圧ケーブル39は、PCU34からモータ2に向けて延び、高電圧ケーブル39の他端は、モータ2に接続されている。
【0037】
電池パック35は、PCU34の後方であって、一対のサイドフレーム12の間に配置されている。
【0038】
充電器36は、電動エアコンプレッサ33の後方かつPCU34の右方であって、電池パック35の前方の位置に配置されている。
【0039】
<作用効果>
以上にように、フロアパネル13が前部座席15の足下から車室14の後端までフラットに延び、そのフラットなフロアパネル13の下方において、モータ2からの動力を左右の駆動輪に分配するデファレンシャルギヤ32が配置され、そのデファレンシャルギヤ32の後方に、モータ2が縦置きで配置されている。
【0040】
そして、前後方向に延びるモータ2の出力軸23にかさ歯車38が固定されて、かさ歯車38がデファレンシャルギヤ32のリングギヤに噛合することにより、モータ2の出力軸23とデファレンシャルギヤ32とが直結されている。そのため、平行軸歯車からなる減速ギヤ機構を配置するためのスペースを高さ方向に確保する必要がなく、フロアパネル13の下方に上下方向に大きなスペースを必要としないので、フロアパネル13をフラットに形成して低い位置に設けることができる。
【0041】
よって、前部座席15の足下から車室14の後端に至るまでのフラットフロア化かつ低床化を図ることができる。フラットフロア化および低床化により、キャブオーバ構造を採用したワンボックスタイプの電気自動車1における室内空間(室内寸法)の拡大を図ることができ、その電気自動車1の商品力を向上させることができる。
【0042】
モータ2が横置きで配置される構成が電気自動車1に採用された場合、モータ2とデファレンシャルギヤ32とが車幅方向に横並びで配置されるので、それらを配置するスペースを車幅方向にも確保する必要がある。そのため、転舵輪である前輪31L,31Rの切れ角が制限される。
【0043】
これに対し、モータ2が縦置きで配置される構成では、モータ2とデファレンシャルギヤ32とが車幅方向に横並びで配置されないので、デファレンシャルギヤ32の車幅方向側方にスペースを確保することができる。そのため、前輪31L,31Rの切れ角を大きく確保することができる。
【0044】
また、モータ2の車幅方向側方にもスペースを確保することができるので、そのスペースに、車室14内の空調のための電動エアコンプレッサ33が配置されている。電動エアコンプレッサ33は、モータ2とともに電気自動車1のフレームに防振マウント21を介して支持される支持板22に固定されている。これにより、モータ2が錘(マス)となって、電動エアコンプレッサ33の稼働による振動を抑制することができる。
【0045】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0046】
たとえば、前述の実施形態では、キャブオーバ構造が採用されたワンボックスタイプの電気自動車1を取り上げたが、本発明は、
図4に示されるように、RR方式の電気自動車101に適用することが可能である。
【0047】
電気自動車101は、
図2に示される電気自動車1の構成を前後反転させた構成を有している。なお、
図4では、
図2に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の詳細な説明を省略する。
【0048】
具体的には、電気自動車101では、モータ2がフロアパネル13の後端部、つまり車室の後部でデッキを構成する部分の下方に配設されている。モータ2は、一対のサイドフレーム12に防振マウント21に支持される支持板22上に、出力軸23がモータ本体24から前後方向に沿って前側に延びる縦置きの状態で固定されている。
【0049】
モータ2の動力を左右の駆動輪である後輪102L,102Rに分配するデファレンシャルギヤ32は、モータ2の後方に配置されて、モータ2に結合されている。モータ2の出力軸23の動力により、デファレンシャルギヤ32のデフケースが回転する。そして、デフケースの回転に伴って、左右のドライブシャフト37L,37Rが回転し、ドライブシャフト37L,37Rの回転がそれぞれ駆動輪である後輪102L,102Rに伝達される。
【0050】
モータ2の右隣には、電動エアコンプレッサ33が配置されて支持板22に支持されている。モータ2の前方には、PCU34が配置されている。PCU34の前方には、一対のサイドフレーム12の間に、電池パック35が配置されている。電動エアコンプレッサ33の後方かつPCU34の右方であって、電池パック35の前方の位置には、充電器36が配置されている。
【0051】
また、モータ2の出力軸23にかさ歯車38が固定され、そのかさ歯車38がデファレンシャルギヤ32のリングギヤに形成された斜歯と噛合している構成を取り上げたが、モータ2またはデファレンシャルギヤ32の少なくとも一方よりも高さ方向の寸法が小さい構成の減速機構であれば、かさ歯車38が出力軸23とは別の軸に保持されて、その軸とモータ2の出力軸23との間に減速機構(たとえば、遊星歯車機構など)が介装されてもよい。
【0052】
さらに、前述の説明では、後部座席について触れられていないが、車室14内には、前部座席15の後方に後部座席が配置されてもよい。後部座席が設けられる場合、その後部座席は、シートクッションとシートバックとが重なるように折り畳み可能に構成されて、フロア面のフラット化により前部座席15とフロア面との間に生じる空間に、その折り畳まれた後部座席を収容可能に構成されてもよい。これにより、後部座席が不要である場合に、前部座席15の後方に最大限に拡大された荷室を提供することができる。
【0053】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1,101:電気自動車
2:モータ
13:フロアパネル
14:車室
15:前部座席(運転席)
23:出力軸
31L,31R:前輪
32:デファレンシャルギヤ
102L,102R:後輪