特許第6957118号(P6957118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6957118変性澱粉、その用途、及び変性澱粉の製造方法
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  • 特許6957118-変性澱粉、その用途、及び変性澱粉の製造方法 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957118
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】変性澱粉、その用途、及び変性澱粉の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 30/12 20060101AFI20211021BHJP
   D21H 19/54 20060101ALI20211021BHJP
   A23L 29/212 20160101ALI20211021BHJP
   A23L 7/10 20160101ALN20211021BHJP
【FI】
   C08B30/12
   D21H19/54
   A23L29/212
   !A23L7/10 Z
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-152906(P2018-152906)
(22)【出願日】2018年8月15日
(65)【公開番号】特開2020-26500(P2020-26500A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231453
【氏名又は名称】日本食品化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹本 紘基
(72)【発明者】
【氏名】森本 和樹
(72)【発明者】
【氏名】高口 均
【審査官】 小堀 麻子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−275585(JP,A)
【文献】 特開2012−096226(JP,A)
【文献】 特許第4472464(JP,B2)
【文献】 特公昭55−046160(JP,B1)
【文献】 特表平10−501691(JP,A)
【文献】 特許第5494900(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
D21H
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10質量%糊液のRVAピーク粘度が原料となる未変性澱粉のRVAピーク粘度の5%以下である変性澱粉であって、前記変性澱粉は、その糊液の粒子径分布測定において、粒子径分布波形が単一ピークを示し、最大粒子径と最小粒子径の差が2μm以下であり、平均粒子径が1μm以下である変性澱粉。
【請求項2】
請求項1に記載の変性澱粉を含む食品用添加剤。
【請求項3】
請求項1に記載の変性澱粉を含む食品用食感改良剤。
【請求項4】
請求項1に記載の変性澱粉を含む粉末化基材。
【請求項5】
請求項1に記載の変性澱粉を含むバインダー用添加剤。
【請求項6】
請求項1に記載の変性澱粉を含む製紙用添加剤。
【請求項7】
請求項1に記載の変性澱粉を含む建材用添加剤。
【請求項8】
澱粉にハロゲン化塩を添加し、50〜200℃で0.5時間〜30日間、加熱変性処理を行う変性澱粉の製造方法であって、前記加熱変性処理は、得られる変性澱粉の10質量%糊液のRVAピーク粘度が原料となる未変性澱粉のRVAピーク粘度の5%以下であり、かつ、得られる変性澱粉の糊液の粒子径分布測定における最大粒子径と最小粒子径の差が2μm以下となるような処理条件にて行う、該変性澱粉の製造方法。
【請求項9】
得られる変性澱粉の糊液の粒子径分布測定における平均粒子径が1μm以下となるように加熱変性処理を行う、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ハロゲン化塩を、澱粉100質量部あたり0.1〜20質量部添加する、請求項8又は請求項9に記載の変性澱粉の製造方法。
【請求項11】
前記ハロゲン化塩が塩化鉄(II、III)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、臭化鉄(II、III)、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化リチウム、及びヨウ化ナトリムからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の変性澱粉の製造方法。
【請求項12】
前記ハロゲン化塩が塩化カルシウムである、請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の変性澱粉の製造方法。
【請求項13】
前記加熱変性処理の後に、更に、α化処理を行う、請求項8〜請求項12のいずれか1項に記載の変性澱粉の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性澱粉、その用途、及び変性澱粉の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
澱粉に加工処理を施しその性質を改変する手法は、酵素加工処理、化学加工処理及び物理加工処理の3つに大別される。このなかで物理加工処理は、酵素加工処理に比べ安価・簡便に処理可能であり、化学加工処理に比べ安全性への懸念が低く法的自由度が高いという特徴がある。
【0003】
澱粉の物理加工処理法の1つとして、澱粉に金属塩を添加して加熱する手法に関していくつかの報告例がある。例えば、特許文献1には、湿熱処理の効率化を目的として、澱粉質材料に湿熱処理促進剤として金属塩類を加えて湿熱処理を施す湿熱処理澱粉の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、馬鈴薯澱粉の最高粘度を示す温度を高めること及び粘度低下を抑えることを目的として、pH約6〜約8の馬鈴薯澱粉懸濁液に塩化カルシウムを加え約45℃〜約55℃で加温する馬鈴薯澱粉の製造方法が記載されている。また、特許文献3には、低粘性の、非還元性でメーラード反応を起こし難く、食品分野にも広く活用できる変性澱粉を提供することを目的として、澱粉、水分及び塩類を含む湿混合物を加熱処理する変性澱粉の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−145203号公報
【特許文献2】特開平07−196701号公報
【特許文献3】特開2001−275585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
澱粉にはその用途に応じ様々な物性が求められる。本発明の目的は、安価で簡便に、新たな性質を有する変性澱粉を提供すること、並びにその変性澱粉の用途及びその変性澱粉の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的達成のため、鋭意検討の結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、その第1の観点においては、粒子径分布波形が単一ピークを示す変性澱粉であって、10質量%糊液のRVAピーク粘度が原料となる未変性澱粉のRVAピーク粘度の5%以下でありかつ最大粒子径と最小粒子径の差が2μm以下である変性澱粉を提供するものである。
【0007】
本発明の変性澱粉においては、平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。
【0008】
本発明は、その第2の観点においては、上記変性澱粉を含む食品用添加剤を提供するものである。
【0009】
本発明は、その第3の観点においては、上記変性澱粉を含む食品用食感改良剤を提供するものである。
【0010】
本発明は、その第4の観点においては、上記変性澱粉を含む粉末化基材を提供するものである。
【0011】
本発明は、その第5の観点においては、上記変性澱粉を含むバインダー用添加剤を提供するものである。
【0012】
本発明は、その第6の観点においては、上記変性澱粉を含む製紙用添加剤を提供するものである。
【0013】
本発明は、その第7の観点においては、上記変性澱粉を含む建材用添加剤を提供するものである。
【0014】
一方、本発明は、その第8の観点においては、澱粉にハロゲン化塩を添加し加熱変性処理を行う変性澱粉の製造方法であって、得られる変性澱粉の10質量%糊液のRVAピーク粘度が原料となる未変性澱粉のRVAピーク粘度の5%以下でありかつ最大粒子径と最小粒子径の差が2μm以下となるように加熱変性処理を行う製造方法を提供するものである。
【0015】
本発明の変性澱粉の製造方法においては、得られる変性澱粉の平均粒子径が1μm以下となるように加熱変性処理を行うことが好ましい。
【0016】
また、本発明の変性澱粉の製造方法においては、前記ハロゲン化塩を、澱粉100質量部あたり0.1〜20質量部添加することが好ましい。
【0017】
また、本発明の変性澱粉の製造方法においては、前記ハロゲン化塩が塩化鉄(II、III)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、臭化鉄(II、III)、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化リチウム、及びヨウ化ナトリムからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の変性澱粉の製造方法においては、前記ハロゲン化塩が塩化カルシウムであることが好ましい。
【0019】
また、本発明の変性澱粉の製造方法においては、前記加熱変性処理を50〜200℃で0.5時間〜30日間行うことが好ましい。
【0020】
また、前記加熱変性処理の後に、更に、α化処理を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により提供される変性澱粉は、安価かつ簡便に製造可能であり、低粘度かつ澱粉糊液の粒子径が均一であるという特徴を有しており、食品に添加した場合その物性を改良することができる。具体的には、例えば口溶けを改良したり滑らかさを改良したりと食感改良効果を発揮することができる。また、粉末化基材やバインダー、紙、建材などの化学工業製品用の原料として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】試験例1において評価した試料1−2、試料1−6及び比較試料1−1のそれぞれの澱粉試料について得られた粒子径分布波形を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、粒子径分布波形が単一ピークを示す変性澱粉であって、10質量%糊液のRVAピーク粘度が原料となる未変性澱粉のRVAピーク粘度の5%以下であり、かつ最大粒子径と最小粒子径の差が2μm以下である変性澱粉に関するものである。
【0024】
すなわち、本発明の変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すという特徴を有する。ここで澱粉の粒子径とは、糊液の粒子径分布測定を行った際に得られる粒子径のことを指す。また、粒子径分布波形とは、粒子径ごとの粒子の存在割合が表わされたヒストグラムを指す。粒子径分布波形は、例えばつぎのようにして測定することができる。
【0025】
(粒子径分布波形)
澱粉試料の糊液を固形分濃度が0.02質量%となるように水に分散させて分散液を調製し、例えば大塚電子株式会社製ELSZ−2000ZSなどの動的光散乱測定器を用いて測定することができる。粒子径分布波形は散乱強度分布より算出される。なお、本発明において、粒子径分布波形が「単一ピークを示す」とは、散乱強度分布のピーク値が複数の粒子径値に存在しない状態を意味する。後述の実施例のように、ピーク自体が複数確認されなくても、ピークがブロードとなったりショルダーが確認されたりするなど、明らかに複数のピークが混在している場合は、単一ピークとはみなさない。
【0026】
また、本発明の変性澱粉は、10質量%糊液のRVAピーク粘度が原料となる未変性澱粉のピーク粘度の5%以下であるという特徴を有する。なお、以下、本明細書において、未変性澱粉の10質量%糊液におけるRVAピーク粘度を100%とした場合の変性澱粉の10質量%糊液におけるRVAピーク粘度の割合(%)を、単に「ピーク粘度比」と記載する場合がある。また、単に「ピーク粘度」と記載した場合、このRVAピーク粘度を意味する。RVAピーク粘度は、例えばつぎのようにして測定することができる。
【0027】
(RVAピーク粘度)
澱粉試料を10質量%となるように水に分散させて分散液を30g調製し、パドルにて160rpmの回転数で撹拌しながら50℃にて1分間保持し、50℃から3分42秒間で95℃に至る連続的な加温状態を与え、2分30秒間95℃で保温し、3分48秒間で50℃に至る連続的な冷却状態を与え、50℃にて2分間保持する。この条件下において、ピーク粘度(最高粘度)を測定する。ピーク粘度は、ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて測定することができ、ラピッドビスコアナライザー(RVA)としては、例えばPerten Instruments社製のものを用いることができる。
【0028】
更に、本発明の変性澱粉は、最大粒子径と最小粒子径の差が2μm以下であるという特徴を有する。この最大粒子径と最小粒子径は、上記粒子径分布波形を得るのと同様の手法で測定することができる。
【0029】
より典型的には、上記ラピッドビスコアナライザー(RVA)による測定直後の糊液を固形分濃度が0.02質量%となるまで蒸留水で希釈して分散液を調製し、ガラス製標準セルに充填し、動的光散乱測定器(例えば大塚電子株式会社製ELSZ−2000ZS)を用いて分析する。測定は、積算回数25回、室温の条件にて、また、溶媒の屈折率、粘度、誘電率は水の値を使用して実施することができる。
【0030】
なお、上記の粒子径分布波形、RVAピーク粘度、最大粒子径及び最小粒子径並びに後記の平均粒子径の測定は、後述の通り、変性澱粉の調製にハロゲン化塩が用いられた場合、その変性処理の後に水洗(洗浄)した変性澱粉を用いて実施する。
【0031】
上記の通り、本発明の変性澱粉は、低粘度かつ澱粉粒の粒子径が均一であるという特徴を有しており、当該特徴に起因し顕著な食品の食感改良効果を発揮するものと考えられる。加えて、本発明の変性澱粉は、澱粉糊液中の粒子径がナノレベルと極めて小さいという特徴を有する場合があり、これによれば、前述の両特徴を共に有することで特に顕著な性能を発揮するため好ましい。例えば、本発明の変性澱粉は、平均粒子径が1μm以下であるものとすることができる。変性澱粉の平均粒子径は、上記粒子径分布波形や、上記最大粒子径及び最小粒子径を得るのと同様の手法で測定することができ、例えばキュムラント解析により算出される。
【0032】
なお、本発明の技術的範囲から、特にα化処理等の加工処理を施したものが除かれる理由はない。すなわち、α化処理等による加工澱粉を原料にした変性澱粉や、後述するハロゲン化塩等を用いた調製の後にα化処理等の加工処理を施した変性澱粉が含まれ得る。
【0033】
本発明の変性澱粉は、食品材料として使用した際、前述の特徴に起因し食品を改質することができる。例えば、食品の原料として用いることができ、口溶けの改良や滑らかさの改良を目的として用いることができる。食品材料としてすなわち食品用添加剤として用いる場合、その添加量は特に制限はなく、添加する食品に求められる性質や他の原料により適宜決定すればよいが、例えば食品原料中の0.1〜99質量%となるように添加することができる。
【0034】
本発明の変性澱粉を添加する食品としては、チーズ、チョコレート、グミ、キャンディ、クリーミングパウダー、フラワーペースト、アイスクリーム、米飯、チャーハン、ピラフ、水畜肉加工食品などが好適であり、本発明の変性澱粉により比較的高価な魚肉、畜肉、乳成分、カカオマス、ゼラチン等を代替することができる。
【0035】
また、本発明の変性澱粉は、上述の特徴を生かして食品以外にも粉末化基材やバインダー、紙、建材などの化学工業製品用の原料として用いることができる。バインダーとしては、接着剤、結着剤などが挙げられ、紙としてはオフセット印刷紙、段ボールなどが挙げられ、建材としては石膏ボード、セメントなどが挙げられる。当該用途における変性澱粉の添加量も特に制限はなく、用途や他の原料により適宜決定すればよいが、例えば原料中の0.1〜99質量%となるように添加することができる。
【0036】
本発明の変性澱粉は、粉末化基材として使用した際、前述の特徴に起因し、低粘度であり、粉末化効率がよい。本発明の変性澱粉は、バインダー用添加剤として使用した際、前述の特徴に起因し高い均質性及び結着性を発現することができる。本発明の変性澱粉は、製紙用添加剤として使用した際、前述の特徴に起因し溶解性が高かく、他成分と均一に混合することができる。本発明の変性澱粉は、建材用添加剤として使用した際、前述の特徴に起因し他成分と均一に混合することができる。
【0037】
以下には、本発明の変性澱粉を調製する手段について説明する。ただし、以下の記載は、本発明の変性澱粉の技術的範囲を、その調製手段により限定する趣旨ではない。
【0038】
上記変性澱粉の調製方法は、澱粉にハロゲン化塩を添加して加熱変性処理するものであり、所望の性能を有する変性澱粉が得られる限り、その加熱変性方法は特に制限はないが、生産効率や環境負荷の点から乾式反応で加熱するのが好ましい。なお、本明細書において「乾式反応」とは、水分40質量%未満で加熱変性処理することを意味する。加熱温度や加熱時間の条件も特に制限はないが、得られる変性澱粉のピーク粘度比が5%以下でありかつ最大粒子径と最小粒子径の差が2μm以下となるように加熱変性処理する必要がある。変性澱粉が上記パラメータを満たすように加熱変性処理することで、粒子径分布波形が単一ピークを示し澱粉粒の粒子径が均一な変性澱粉を得ることができる。ハロゲン化塩の添加量を増やす、加熱温度を高くする、加熱時のpHを下げる、又は加熱時間を長くすることにより加熱変性条件を強めることで変性澱粉のピーク粘度比が低下する傾向にある。また、同様に加熱変性条件を強めることで変性澱粉の最大粒子径と最小粒子径の差が低下し、加熱変性条件が一定範囲を超えると逆に最大粒子径と最小粒子径の差が増大する傾向にある。また、添加するハロゲン化塩の種類によりピーク粘度比の低下度合いが若干異なる。よって、上記点を指標に、用いるハロゲン化塩の種類、その添加量、加熱温度、pH、加熱時間といった加熱変性処理の条件を適宜調整することで所望の変性澱粉を得ることができる。
【0039】
上記変性澱粉の調製の原料となる澱粉は、通常の食品・化学品用途に用いられる澱粉であれば特に制限はなく、コーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉、マメ澱粉等を用いることができ、粳種、餅(ワキシー)種、ハイアミロース種などの何れも用いることができる。また、複数の澱粉を組み合わせて用いてもよい。また、原料となる澱粉は各種加工澱粉を使用することも可能である。すなわち、澱粉に、酸化処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理といった化学修飾処理や、α化処理、造粒処理、湿熱処理、ボールミル処理、微粉砕処理、加熱処理、温水処理、漂白処理、殺菌処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理といった加工処理、あるいはそれらの2種以上の処理を施した澱粉を使用してもよい。
【0040】
上記変性澱粉の調製に用いるハロゲン化塩は、工業的に入手可能なものであれば特にその種類に制限はないが、例えば塩化物塩(塩化鉄(II、III)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ナトリウムなど)、臭化物塩(臭化鉄(II、III)、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウムなど)、ヨウ化物塩(ヨウ化鉄(II)、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリムなど)等を用いることができ、その効果の点から塩化物塩が好ましく、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウムがより好ましく、粒子径分布及び味質の点から塩化カルシウムが特に好ましい。ハロゲン化塩は、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
上記変性澱粉の調製において、加熱変性条件は上記の通りピーク粘度比及び最大粒子径と最小粒子径の差を指標に適宜調整すればよいが、例えば、塩化カルシウムを添加する場合は澱粉100質量部あたりの塩化カルシウムの添加率を0.8〜15質量部とし、50〜200℃で0.5時間〜30日間加熱変性処理することができ、塩化アンモニウムを添加する場合は澱粉100質量部あたりの塩化アンモニウムの添加率を0.1〜5質量部とし50〜200℃で0.5時間〜30日間加熱変性処理することができ、塩化マグネシウムを添加する場合は澱粉100質量部あたりの塩化マグネシウムの添加率を0.1〜8質量部とし50〜200℃で0.5時間〜30日間加熱変性処理することができる。
【0042】
加熱変性処理を施した変性澱粉には、必要に応じて水洗・乾燥処理を施すことができる。すなわち、変性澱粉の用途によっては、ハロゲン化塩が残存することで食品の味に悪影響などのデメリットが生じる場合があるため、水洗・乾燥処理を施し残存する塩を除去するのが好ましい。一方、用途によっては、水洗・乾燥処理は施さなくてもよく、この場合には、その分の製造コストを抑制することができる。
【0043】
なお、上記に説明した変性澱粉の調製の後には、更にα化処理等の他の加工処理を施してもよい。その加工処理は、通常の澱粉加工処理法に準じて行うことができ、例えば、α化処理としては、ドラムドライヤー処理する方法や、スプレードライヤー処理する方法、エクストルージョンする方法等が挙げられる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
(試料の分析)
以下に示す試験例においては、下記手法を用いて各試料の(1)RVAピーク粘度、(2)粒子径分布波形(ピーク数)、(3)平均粒子径、(4)最大粒子径及び最小粒子径を測定した。
【0046】
(1)RVAピーク粘度
ラピッドビスコアナライザー(RVA)(Perten Instruments社製)を用いて下記の通り測定した。
【0047】
各試料を10質量%となるように水に分散させて分散液を30g調製し、パドルにて160rpmの回転数で撹拌しながら50℃にて1分間保持し、50℃から3分42秒間で95℃に至る連続的な加温状態を与え、2分30秒間95℃で保温し、3分48秒間で50℃に至る連続的な冷却状態を与え、50℃にて2分間保持する条件によりピーク粘度(最高粘度)を測定した。
【0048】
(2)粒子径分布波形(ピーク数)
動的光散乱測定器(大塚電子株式会社製ELSZ−2000ZS)を用いて、下記の通り、粒子径分布を分析した。
【0049】
ラピッドビスコアナライザー(RVA)による測定直後の糊液を固形分濃度が0.02質量%となるまで蒸留水で希釈して分散液を調製し、ガラス製標準セルに充填し、積算回数25回、室温の条件にて、また、溶媒の屈折率、粘度、誘電率は水の値を使用して、測定を実施した。得られた粒子径分布波形からピーク数を求めた。
【0050】
(3)平均粒子径
上記(2)の粒子径測定において、キュムラント解析により算出し、平均粒子径を求めた。
【0051】
(4)最大粒子径及び最小粒子径
上記(2)の粒子径分布測定により得られた粒子径分布波形から最大粒子径値及び最小粒子径値を求めた。
【0052】
[試験例1](コーンスターチ原資の各試験区)
水20質量部に表1に示した割合(対澱粉質量当たり)となるように塩化カルシウムを添加し、予め溶解させた。塩化カルシウム水溶液をコーンスターチ100質量部に添加して、ブレンダーを用いて均質になるまで攪拌した。攪拌後、ステンレスバット上に移し、10mm以下の厚さとなるように澱粉を分散させた(いずれの試料も澱粉の水分は30質量%)。予め130℃に加温したオーブンに、アルミバットを移し、表1に示した通り加熱変性処理を実施した。加熱変性処理後、室温中で30分間放冷した。放冷後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2000質量部の水を加え、水洗、脱水した後、乾燥させ、比較試料1−2、及び試料1−1〜試料1−9の変性澱粉を得た。
【0053】
得られた変性澱粉について上記測定による分析を行った。その結果を表1に示す。また、図1には、評価した試料のうち、典型例として、試料1−2、試料1−6及び比較試料1−1のそれぞれの澱粉試料について得られた粒子径分布波形を示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示されるように、塩化カルシウムを添加して一定程度の加熱変性処理を施すことで、生コーンスターチである未変性澱粉(比較試料1−1)とのピーク粘度比が5%以下であり、かつB−Aが2000nm以下である変性澱粉が得られた。また、当該パラメータを有する変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すものであった(図1参照)。一方で、未変性澱粉(比較試料1−1)とのピーク粘度比が5%以下であり、かつB−Aが2000nm以下であるというパラメータを満たさない変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すものではなかった(図1参照)。特に、特開2001−275585号公報の実施例に記載された変性澱粉である比較試料1−2は、ピーク粘度比が5%以下であったが、B−Aが2000nmを上回る値であり、粒子径分布波形は単一ピークを示すものではなかった。よって、特開2001−275585号公報に記載の変性澱粉は本発明のパラメータを満たす澱粉ではないことが示された。
【0056】
[試験例2](ワキシーコーンスターチ原資の各試験区)
水20質量部に表2に示した割合(対澱粉質量当たり)となるように塩化カルシウムを添加し、予め溶解させた。塩化カルシウム水溶液をワキシーコーンスターチ100質量部に添加して、ブレンダーを用いて均質になるまで攪拌した。攪拌後、ステンレスバット上に移し、10mm以下の厚さとなるように澱粉を分散させた(いずれの試料も澱粉の水分は30質量%)。予め130℃に加温したオーブンに、アルミバットを移し、表2に示した通り加熱変性処理を実施した。加熱変性処理後、室温中で30分間放冷した。放冷後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2000質量部の水を加え、水洗、脱水した後、乾燥させ、比較試料2−2〜比較試料2−3、及び試料2−1〜試料2−4の変性澱粉を得た。
【0057】
得られた変性澱粉について上記測定による分析を行った。その結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示されるように、塩化カルシウムを添加して一定程度の加熱変性処理を施すことで、生ワキシーコーンスターチである未変性澱粉(比較試料2−1)とのピーク粘度比が5%以下であり、かつB−Aが2000nm以下である変性澱粉が得られた。また、当該パラメータを有する変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すものであった。一方で、塩化カルシウムを添加せずに変性処理を行った変性澱粉(比較試料2−2、比較試料2−3)は前記パラメータを満たさず、粒子径分布波形が単一ピークを示すものではなかった。
【0060】
[試験例3](タピオカ原資の各試験区)
水20質量部に表3に示した割合(対澱粉質量当たり)となるように塩化カルシウムを添加し、予め溶解させた。塩化カルシウム水溶液をタピオカ澱粉100質量部に添加して、ブレンダーを用いて均質になるまで攪拌した。攪拌後、ステンレスバット上に移し、10mm以下の厚さとなるように澱粉を分散させた(いずれの試料も澱粉の水分は30質量%)。予め130℃に加温したオーブンに、アルミバットを移し、表3に示した通り加熱変性処理を実施した。加熱変性処理後、室温中で30分間放冷した。放冷後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2000質量部の水を加え、水洗、脱水した後、乾燥させ、比較試料3−2、及び試料3−1〜試料3−2の変性澱粉を得た。
【0061】
得られた変性澱粉について上記測定による分析を行った。その結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
表3に示されるように、塩化カルシウムを添加して一定程度の加熱変性処理を施すことで、生タピオカである未変性澱粉(比較試料3−1)とのピーク粘度比が5%以下であり、かつB−Aが2000nm以下である変性澱粉が得られた。また、当該パラメータを有する変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すものであった。一方で、未変性澱粉(比較試料3−1)とのピーク粘度比が5%以下であり、かつB−Aが2000nm以下であるというパラメータを満たさない変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すものではなかった。また、塩化カルシウムを添加せずに変性処理を行った変性澱粉(比較試料3−2)も同様に前記パラメータを満たさず、粒子径分布波形が単一ピークを示すものではなかった。
【0064】
[試験例4](塩の種類を変更した各試験区)
水20質量部に表4に示した割合(対澱粉質量当たり)となるように各塩を添加し、予め溶解させた。各塩の水溶液をコーンスターチ100質量部に添加して、ブレンダーを用いて均質になるまで攪拌した。攪拌後、ステンレスバット上に移し、10mm以下の厚さとなるように澱粉を分散させた(いずれの試料も澱粉の水分は30質量%)。予め130℃に加温したオーブンに、アルミバットを移し、表4に示した通り加熱変性処理を実施した。加熱変性処理後、室温中で30分間放冷した。放冷後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2000質量部の水を加え、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料4−1〜試料4−9の変性澱粉を得た。
【0065】
得られた変性澱粉について上記測定による分析を行った。その結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
表4に示されるように、塩化アンモニウムや塩化マグネシウムを添加して一定程度の加熱変性処理を施すことで、生コーンスターチである未変性澱粉(比較試料4)とのピーク粘度比が5%以下であり、かつB−Aが2000nm以下である変性澱粉が得られた。また、当該パラメータを有する変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すものであった。一方で、未変性澱粉(比較試料4)とのピーク粘度比が5%以下であり、かつB−Aが2000nm以下であるというパラメータを満たさない変性澱粉は、粒子径分布波形が単一ピークを示すものではなかった。
【0068】
これらの結果より、塩化カルシウムに限らずハロゲン化塩であれば所望の変性処理により前記パラメータを満たす変性澱粉が得られることが確認された。
【0069】
[試験例5](フラワーペースト)
全卵をガラスボウルに入れ、砂糖を入れてかき混ぜた後、乳性蛋白、牛乳、菜種油、水飴、クエン酸を入れホイッパーで撹拌した。ミキサーボウルに移して加熱しながらホモミキサーにて5000rpmで5分間ホモジナイズした。その後、上記液に澱粉素材を少しずつ加え均一に分散するまで撹拌し、90℃以上で4〜5分間加熱し歩留まり90%となるように煮上げ、火からおろしてバニラオイルを添加した。得られたフラワーペーストを真空包装し、流水で冷却した。各原料の配合比を表5に示した。
【0070】
【表5】
【0071】
澱粉素材としては、試験例1で調製した試料1−3(変性澱粉)、比較試料1−1(未変性のコーンスターチ)、及び市販の低粘度化澱粉であるアセチル化酸化澱粉(TSK−13、日本食品化工社)を用いた。
【0072】
得られたフラワーペーストについて、製造後(常温)及び7日間冷蔵後に官能評価を実施した。官能評価は、以下の基準に基づき5名のパネラーで実施し、各パネラーの評価点の平均点を算出した。
【0073】
<口どけ>
フラワーペーストを口に入れた際の口どけを1点〜6点の6段階で評価した(評価点が高いほど口どけが良い)。
【0074】
<滑らかさ>
フラワーペーストを口に入れた際の滑らかさを1点〜6点の6段階で評価した(評価点が高いほど滑らか)。
【0075】
<離水抑制効果>
フラワーペースト自体の離水抑制効果を1点〜4点の4段階で評価した(評価点が高いほど離水が少ない)。なお、製造直後は離水が生じないため、冷蔵後のフラワーペーストのみ離水抑制効果を評価した。
【0076】
各澱粉素材を添加したフラワーペーストの官能評価結果を表6に示した。
【0077】
【表6】
【0078】
表6に示されるように、試料1−3の変性澱粉を用いたフラワーペーストは、製造直後の口どけ及び滑らかさが未変性のコーンスターチ(比較試料1−1)を用いた場合と比べて優れたものであった。また、市販の低粘度化澱粉(アセチル化酸化澱粉)と比較しても優れた性能であった。さらに、冷蔵保存後の評価においても、試料1−3の変性澱粉を用いたフラワーペーストは、口どけ及び滑らかさのいずれも未変性のコーンスターチ(比較試料1−1)を用いた場合と比べて顕著に優れたものであり、離水性も優れていた。
【0079】
[試験例6](グミキャンディー)
ゼラチン及び溶解水を量り取り20分間湯煎してゼラチンを溶解させ、鍋に水飴、上白糖、澱粉素材(予め糊化させた糊液)を加え、117℃まで加熱した。鍋底を水で冷却して液温を100℃に調整し、溶解したゼラチンを加えて撹拌し、クエン酸溶液、オレンジ果汁、香料を加え、3分間撹拌した。得られたグミ液を脱気用ビニール袋に移し入れ、80℃に設定したオーブン内に20分間静置し、脱気した。脱気したグミ液をシリコン丸型に15gずつ分注し、上からコーンスターチを茶こしで濾しながら振りかけ、冷蔵庫内で冷却固化させた。一晩冷却固化後、型から抜き、グミを得た。各原料の配合比を表7に示した。
【0080】
【表7】
【0081】
澱粉素材としては、試験例1で調製した試料1−3(変性澱粉)、比較試料1−1(未変性のコーンスターチ)、及び市販の低粘度化澱粉であるアセチル化酸化澱粉(TSK−13、日本食品化工社)を用いた。
【0082】
得られたグミについて、下記通り破断荷重の測定及び官能評価を実施した。なお、硬さ及び弾力の評価は、以下の基準に基づき5名のパネラーで実施して各パネラーの評価点の平均点を算出し、作業性の評価は、以下の基準に基づきグミの製造者が判断した。
【0083】
<破断荷重>
直径3cmのセルクルで楕円状のグミをカットし、測定に供した。測定は、クリープメーター(製品名:山電REONERIICREEP METER RE2−33005B、山電社製)を用いて以下の条件で実施した(n=3)。
プランジャー:カッター背
歪率設定:300%
ロードセル:200N
【0084】
<硬さ>
グミを咀嚼した際の硬さについて、澱粉試料無添加(澱粉の代わりに水を添加)の比較区を0点とし−3点〜3点の7段階で評価した(評価点が高いほど硬い)。
【0085】
<弾力>
グミを咀嚼した際の弾力について、澱粉試料無添加の比較区を0点とし−3点〜3点の7段階で評価した(評価点が高いほど弾力がある)。
【0086】
<作業性>
グミ製造時の作業性を以下の基準に基づき×、○、◎の3段階で評価した。
×:煮上げ時間が長い、グミ溶液のえい糸性が高く型への充填が困難
○:煮上げ時間がやや短い、グミ溶液のえい糸性がやや低く型への充填が容易
◎:煮上げ時間が短い、グミ溶液のえい糸性が低く型への充填が非常に容易
【0087】
各澱粉素材を添加したグミの測定・評価結果を表8に示した。
【0088】
【表8】
【0089】
表8に示されるように、試料1−3の変性澱粉を用いたグミは、破断荷重及び硬さの評価結果が未変性のコーンスターチ(比較試料1−1)を用いた場合と比べて特に優れたものであり、作業性の点からも優れていた。一方、市販の低粘度化澱粉(アセチル化酸化澱粉)を用いたグミは、未変性のコーンスターチ(比較試料1−1)を用いた場合と比べ破断荷重及び硬さの評価結果は優れていたが、弾力の点で大きく劣るものであった。
【0090】
[配合例1](魚介エキス粉末)
表9の配合で水に変性澱粉を加え糊化しその後糊液に魚介エキスを加え当該溶液をスプレードライヤーで粉末化することにより、本発明の変性澱粉を粉末化基材として魚介エキス粉末を製造することができる。
【0091】
【表9】
【0092】
[配合例2](天井タイルボード用バインダー)
表10の配合で変性澱粉(糊液状)、架橋剤、促進剤及び界面活性剤を混合し、当該混合液を天井タイルボードにスプレーを用いて噴霧し乾燥させることにより、本発明の変性澱粉を添加剤とした天井タイルボード用バインダーを得ることができる。
【0093】
【表10】
【0094】
[配合例3](塗工紙)
表11の配合で水に変性澱粉を加え糊化しその後糊液に合成ラテックス及び重質炭酸ナトリウムを加え、ブレードコーターを用いて当該混合液を原紙に塗工し乾燥させることにより、本発明の変性澱粉を添加剤として塗工紙を得ることができる。
【0095】
【表11】
【0096】
[配合例4](建材)
ホバートミキサーを用いて表12の配合で変性澱粉(糊液状)、バーミキュライト及びアロフェンを混合し、当該混合物をケイ酸カルシウムボードにロールコーター法を用いて厚さ2mmに塗布し乾燥させることにより、本発明の変性澱粉を添加剤として建材を得ることができる。
【0097】
【表12】
図1