【実施例】
【0011】
図1は、本実施例のレンズ鏡筒(レンズ装置)の縦断面図である。この
図1を用いて本実施例のレンズ鏡筒の構成の概略を説明する。
【0012】
カメラボディと着脱可能なマウント101に対し、外装環102が径嵌合し、光軸方向で当接して光軸方向が規制されて、ビスで締結されている。マウント101には、カバーガラス121が保持されている。案内筒103は、外装環102に対し径嵌合し、光軸方向で当接して光軸方向が規制されて、ビスで締結される。
【0013】
カム環104は案内筒103に対して径嵌合し、且つ案内筒とバヨネット結合することで光軸方向への移動が規制され定位置回転をする。
【0014】
案内筒103とカム環104には、レンズを保持する1群鏡筒105とネジ結合されたフィルター枠106を直進ガイドする直進溝(不図示)およびカム溝(不図示)が形成されている。また、レンズを保持する2群鏡筒107をコロ吊りする2群ベース108を光軸方向へ進退させるために、それぞれ直進ガイドする直進溝(不図示)およびカム溝(不図示)が形成されている。
【0015】
また、案内筒103とカム環104によって、絞りユニット(光量調整装置)109と3群ユニット(像振れ補正装置)110と4群鏡筒111と5群鏡筒112が一体的に結合された後群ユニットを光軸方向へ進退させる。そのために、それぞれに直進ガイドする直進溝(不図示)およびカム溝(不図示)が形成されている。
【0016】
フィルター枠106に設けられたカムフォロア(不図示)が、前記案内筒103とカム環104に設けられた直進ガイドする直進溝(不図示)・カム溝(不図示)に係合されている。2群ベース108に設けられるカムフォロア(不図示)が、前記案内筒103とカム環104に設けられた直進ガイドする直進溝(不図示)・カム溝(不図示)に係合されている。また、後群ユニットは、3群ユニット110内の3群ベース部材113に取り付けられるカムフォロア(不図示)が、前記案内筒103とカム環104に設けられた直進ガイドする直進溝(不図示)・カム溝(不図示)に係合されている。
【0017】
5群鏡筒112は3群ベース部材113と位置決めピンと孔が係合して径方向の位置が決まり、光軸方向で当接してビスで締結されている。4群鏡筒111はフォーカス群であり、3群ベース部材113と調整コマ114に両端を保持されたガイドバー115で保持されている。調整コマ114は、5群鏡
筒112に当接し、固定される。4群鏡筒111の光軸方向へ進退させる駆動手段は、駆動源となるモータ(不図示)を有する。また、モータ(不図示)により回転される送りねじ(不図示)と、レンズを保持する4群鏡筒111と、4群鏡筒111に取り付けられ、送りねじ(不図示)に係合するラック(不図示)とにより構成されている。ラック(不図示)は送りねじ(不図示)の回転を光軸方向への駆動力に変換し、4群鏡筒111を光軸方向に移動させる。4群鏡筒111は、光軸方向に延びる前述のガイドバー115に摺動可能に係合することで直進ガイドされる。
【0018】
ラック(不図示)は、4群鏡筒111に対して、光軸方向に延びる軸(不図示)を中心として回転可能に保持される。そして、ラック(不図示)は、ねじりコイルばね(不図示)が発生するねじり方向の付勢力によって回転方向に付勢され、送りねじ(不図示)とガイドバー115に対してそれらの径方向のうち一方向から押圧されている。またラック(不図示)は、ねじりコイルばね(不図示)が発生する光軸方向の付勢力によって付勢され、4群鏡筒111に対して、光軸方向のうち一方向から押圧されている。これらの付勢力によってラック(不図示)、送りねじ(不図示)、ガイドバー115および4群鏡筒111が互いに押圧されて、これらの間のガタつきが防止される。
【0019】
116はズーム操作環である。ズーム操作環116は、外装環102に対してバヨネット結合により光軸方向への移動が規制され、定位置回転する。カム環104の外径部には、ズームキーが固定され(不図示)、ズームキーがズーム操作環116と係合することで、ズーム操作環116の光軸周りの回転と連動して、カム環104が回転する。
【0020】
フォーカスリング117は、外装環102と規制枠118とで光軸方向で挟みこまれて、光軸方向への移動が規制され、外装環102に対し径嵌合する。規制枠118は外装環102に対し径嵌合し、外装環102の被写体側端面と当接する。また、規制枠118は一体的に形成された弾性を有する複数の係止爪(不図示)によって、外装環102に締結される。
【0021】
フォーカスリング117の内周部のフランジ部119には、周方向に周期的なスリット形状が設けられる。フォーカスリング117の回転量・回転方向を検出する検出部材(不図示)は、このスリット形状の回転方向への移動を光学的に検出するように周方向に所定の間隔をもって並んだ2つのフォトインタラプタにより構成されている。
【0022】
4群鏡筒111は、検出部材(不図示)の出力に基づいて基板120上の制御回路からの所定の駆動信号によってモータ(不図示)が回転し、光軸方向へ進退する。
【0023】
また、3群ベース
部材113に組み込まれたフォーカスリセットスイッチ(不図示)は、
フォトインタラプタにより構成されている。フォトインタラプタは、4群鏡筒111に形成された遮光壁(不図示)の光軸方向への移動を光学的に検出する
。フォーカスリセットスイッチは、4群鏡筒
111が基準位置に位置していることを検出するために設けられている。
【0024】
以下、
図2から
図9を用いて、本実施例の特徴的な構成について説明する。
図2、3は本実施例のレンズ鏡筒(レンズ装置、交換レンズ)の横断面図であり、
図2はズーム位置がワイド端のときの断面図、
図3はテレ端のときの断面図である。
図4はワイド状態の断面の一部を拡大した図、
図5はテレ状態の断面の一部を拡大した図である。次に、
図6は本実施例の主要部について固定筒を外側から見た図であり、
図7は本実施例の主要部の光軸と垂直な面における断面図である。また、
図8はフレキシブルプリント基板の幅方向に延出する延出部の一例を拡大した図であり、
図9は同じく延出部の別の例を示す図である。
【0025】
フレキシブル基板9は光量調整装置109を駆動するための電力及び駆動信号を基板120を介して、カメラ本体から供給する
。フレキシブルプリント基板
9は、光量調整装置のモータに接続されている。このフレキシブルプリント基板
9は、固定筒
(第1の接続部)と移動筒の両方に
電気的に接続されており、移動筒が移動した際には、フレキシブルプリント基板が適宜変形することにより、両方の筒の接続を維持する構成となっている。
【0026】
また、不図示ではあるが10は同様に像振れ補正ユニット110に電力及び駆動信号を供給するフレキシブルプリント基板であり、光量調整装置109とは別位相に位置する。以下実施例での説明は、前記2つのフレキシブルプリント基板9、10は発明において同様の構造、効果をもたらすものであるため、前者の光量調整装置109に接続されたフレキシブルプリント基板9を取り上げて行う。
【0027】
[フレキシブルプリント基板の厚み方向規制]
図2から
図5を用いてフレキシブルプリント基板の厚み方向規制について説明する。光量調整装置109
(第2の接続部)に接続されているフレキシブルプリント基板9の一部である9aは両面テープ、接着剤等を用いて3群ベース部材(移動筒)113に固定される。
【0028】
フレキシブルプリント基板9はそのうちの一箇所で略180度に折り曲げられ、この折り曲げ部9c
(屈曲部)は案内筒(固定筒)103に設けられた開口部(フレキシブルプリント基板を挟み込む第1規制部)103bに挿入されている。この開口部103bがフレキシブルプリント基板を挟み込む(折り曲げられた部分が広がらないように挟み込む)ことによって、この開口部103bよりも移動筒側の基板を固定筒側に近づける機能を果たしている。ここでは、この開口部103bの開口の縁の一部を構成する第1の凸部(第1規制部、第1のフレキシブルプリント基板厚み方向規制部)103aと9dとで径方向で当接(接触)する。このとき折り曲げ部9cが開こうとする反力により案内筒103の第1の凸部および案内筒103dとの間で、9dの位置は固定される。
【0029】
フレキシブルプリント基板9は基板(固定筒の一部)120の光量調整装置用コネクタ120aまでの間で、固定筒103の第2の凸部(第2規制部、第2のフレキシブルプリント基板厚み方向規制部)103cと9eとで径方向で当接(接触)する。このように、第2の凸部は、移動筒に向かって突起した形状をしているため、フレキシブルプリント基板9は、第1の凸部(第1規制部)103aで径方向の内側が規制され、第2の凸部(第2規制部)103cで径方向の外側が規制される。つまり、第1規制部は、フレキシブルプリント基板9のうち第1規制部で規制されている位置よりも、3群ベース部材(移動筒)の固定部9a側の基板を、固定筒103側に近づくように、(厚み方向の)移動を規制している。そして、第2規制部は、同じくフレキシブルプリント基板のうち第1規制部で規制されている位置よりも、3群ベース部材(移動筒)の固定部9a側の基板を、固定筒103から押し出す(離れる)ように、(厚み方向の)移動を規制している。尚、このような機能を果たすように、第1規制部及び第2規制部を配置しさえすれば、第1規制部を移動筒(3群ベース部材)に設けても構わない。
【0030】
フレキシブルプリント基板9は第1の凸部(固定筒に設けられた第1規制部)103aと3群ベース部材(移動筒)113との固定部9aとの間でR部9b
(湾曲部)が形成される。ズーム操作環116によりズーム動作がなされると、3群ベース部材113が光軸方向に進退する。このため、案内筒103とフレキシブルプリント基板9の固定部(移動筒側の固定部)9aとの光軸方向の相対関係が変化し、R部9bの光軸方向の位置も進退する。
【0031】
[フレキシブルプリント基板の光軸方向規制]
図6から
図9を用いてフレキシブルプリント基板9の光軸方向規制、つまりフレキシブルプリント基板の長手方向(光軸方向)への移動規制について説明する。
【0032】
固定筒103に設けられた第2の凸部(第2規制部、第2のフレキシブルプリント基板厚み方向規制部)103cと当接するフレキシブルプリント基板9の9eは、その幅方向に突出した(延出した)延出部9fおよび9gを持つ。ここで幅方向とは、フレキシブルプリント基板の厚み方向や、長手方向(光軸方向)のいずれとも垂直な方向である。この延出部9f、9gは案内筒103に設けられた開口部(穴)103f、103gにそれぞれ挿入される。この開口部は、フレキシブルプリント基板の幅方向、つまり延出部の延出方向に開けられた穴であり、フレキシブルプリント基板の長手方向(光軸方向)、及び厚み方向(光軸の径方向)については両側に端部がある。従って、この両側の端部が延出部の移動を規制することにより、延出部9f、9gは開口部103f、103gの光軸方向範囲内(開口している範囲内)でしか移動することが出来ず、フレキシブル基板の光軸方向の移動範囲が規制される。
【0033】
ここで、光軸方向の移動範囲を決定する開口部103f、103gの光軸方向長さは、フレキシブルプリント基板の
延出部9f、9gの幅よりも若干長くなるように構成されている(5%以上20%未満の範囲内で長いことが望ましい)。このように構成すれば、組み立てが容易で、且つフレキシブルプリント基板がほぼ光軸方向に移動させないようにすることができる。更には、フレキシブルプリント基板が擦れて劣化したり、音が鳴ったりする可能性を下げることができる。より好ましい形態として、光軸方向の移動範囲を決定する開口部103f、103gの光軸方向長さと、フレキシブルプリント基板
の延出部9f、9gの幅は同一としても良い。このように構成すれば、
延出部9f、9gが開口部103f、103gにそれぞれ挿入された後に光軸方向に実質的に動かない構成となるため、上述の効果をより顕著に得ることができる。
【0034】
このとき9f、9gは案内筒103に設けられた突出部103d及び103eを乗り越えて内径側から挿入される。つまり、挿入後は103d及び103eによって9f及び9gが内径側へ脱落しない様に規制される。このとき、挿入が容易となる様、9eから幅方向への突出形状は、
図9に記載した9h、9iのように種々の形状を取れる。尚、これらの突出部の形状は適宜組み合わせても構わない。
【0035】
また、フレキシブルプリント基板の一部で、第2規制部と接触している9eの位置から、第1規制部の位置、或いはその手前までの基板に、フレキシブルプリント基板を変形しにくくする補強板(補強部材)をくっつけても良い。くっつけ方は、接着でもテープでもいずれでも構わない。またこの補強板は、フレキシブルプリント基板の変形を多少なりとも低減できる程度に曲がりにくい素材(金属でも樹脂でも構わない)、形状(板ではなく棒状でも良い)であれば足りる。
【0036】
[ズーム駆動で得られる効果]
本実施例では、ズーム動作によって3群ベース部材113とともに、3群ベース部材113に固定されたフレキシブルプリント基板9の固定部9aが光軸方向に進退する。フレキシブルプリント基板9は、折り曲げ部9cが開こうとする反力により案内筒103の第1の凸部および案内筒103dとの間で位置が固定された9dと固定部9aとの間で形成される9bも光軸方向に進退する。ここで本実施例の特徴として、フレキシブルプリント基板9は、第1の凸部(第1規制部)103aで径方向の内側が規制され、第2の凸部(第2規制部)103cで径方向の外側が規制される。
【0037】
このような構成を採ることによって、ズーム動作によって9bが光軸方向に進退してもフレキシブルプリント基板9の9dと9e間で、厚み方向に動くことがほぼ無くなる。このため、フレキシブルプリント基板の切断などの可能性が低く、信頼性の高いレンズ装置を提供することができる。また開口部103f、103gによって9e位置の幅方向に突出した突出部(延出部)9f、9gの光軸方向移動範囲が規制されるため、同様に信頼性の高い構成が取れる。
【0038】
また本発明は、光電変換素子等の撮像素子と、被写体からの撮影光を上述の撮像素子に導くように構成された上記実施例に記載のレンズ装置とを備える撮像装置にも適用可能であることは言うまでもない。また、撮像装置以外の観察装置、双眼鏡や、望遠鏡等の光学機器にも適用可能である。