(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生物学的インジケータ分析の結果を、前記生物学的インジケータアナライザから遠くに位置するデバイスに通信するように構成されている通信ポートを更に備える、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
複数のインジケータセンサを更に備え、それぞれのインジケータセンサは、インジケータが前記複数のウェルのうちの対応するウェルに配置されているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
対照例インジケータがウェル内に既に配置されているのを検出し、前記対照例インジケータをインキュベートし、かつ前記対照例インジケータを分析して、生物学的汚染が存在しているかどうかを判定し、生物学的汚染が存在する場合には、前記対照例インジケータテストが成功裏に実施されたことを示し、前記対照例インジケータを前記インジケータ選択と関連付ける通知を、前記タッチスクリーンを介して表示するように、前記プロセッサが更に構成されている、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
生物学的汚染が前記対照例インジケータ内に存在しない場合に、前記インジケータロットからの第2の対照例インジケータを、異なるウェルで実行しなければならないという通知を表示するように、前記プロセッサが更に構成されている、請求項5に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(a)ユーザーがインジケータをウェルに配置する意図があると示す信号を受信したのに応じて、化学的インジケータガイドを、前記タッチスクリーンを介して表示するよう更に構成されているプロセッサを更に備え、前記化学的インジケータガイドは、元々の化学的インジケータと、滅菌後の化学的インジケータとを表示するように構成され、前記プロセッサは、前記インジケータの前記化学的インジケータが、前記元々の化学的インジケータ又は前記滅菌後の化学的インジケータにマッチしているかどうかを示す、ユーザーからの選択を受け入れるように更に構成されており、かつ
(b)前記プロセッサと通信するメモリを更に備える、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(a)ユーザーがインジケータをウェルに配置する意図があると示す信号を受信したのに応じて、インジケータアクティベーションガイドを、前記タッチスクリーンを介して表示するよう更に構成されているプロセッサを更に備え、前記インジケータアクティベーションガイドは、前記インジケータのガラスアンプルを破壊し、前記アンプルの化学溶液を前記生物学的材料と混合するための指示のセットを表示するように構成され、前記プロセッサは、前記ガラスアンプルが破壊されているかどうか、及び前記化学溶液が混合されたかどうかを示す、ユーザーからの選択を受け入れるように更に構成され、かつ
(b)前記プロセッサと通信するメモリを更に備える、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(a)それぞれのウェルをグラフィカルに表現したものを、前記タッチスクリーンを介して表示するように構成されたプロセッサを更に備え、前記グラフィカルに表現したものは、インジケータが前記対応するウェル内に存在するかどうか、対応するウェル内のインジケータに対して現在実施中のテストの残り時間、及び対応するウェル内で実行中のテストは成功裏に終わったか又は失敗に終わったかを示すように構成され、かつ
(b)前記プロセッサと通信するメモリを更に備える、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(a)失敗したインジケータテストに応じて、前記インジケータアナライザのユーザーからの識別情報を受信し、前記ユーザーから前記失敗の認知を受信し、前記タッチスクリーンを介して前記ユーザーに検疫の指示のセットを表示し、前記失敗したインジケータに関連する1つ以上の外科手術用器具を特定するためにリモートのサーバーにアクセスし、かつ前記失敗したインジケータに関連する前記1つ以上の外科手術用器具の説明を含む通知を生成するように構成されているプロセッサ、及び
(b)前記プロセッサと通信するメモリ、を更に備える、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
インジケータスキャナーを更に備え、前記インジケータスキャナーは、前記生物学的インジケータからインジケータ識別情報を読み取り、かつ前記インジケータ識別情報に基づいて、インジケータデータセットを決定するように動作可能であり、前記インジケータデータセットが、固有の識別子とインジケータ履歴を含む、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
プロセッサ及び通信ポートを更に備え、前記プロセッサは、分析結果のセットをサーバーに前記通信ポートを介して提供するように構成され、前記分析結果は、結果データと前記固有の識別子とのセットを含む、請求項11に記載の生物学的インジケータアナライザ。
前記ウェルを画定し、前記生物検出機能部を含むハウジングを更に備え、前記ハウジングは、前記ハウジングを表面の上に支持するように構成されているベースを提供し、前記タッチスクリーンは、前記ベースに対して斜めに向けられている、請求項1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために使用されるべきではない。本技術のその他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本明細書で説明される本技術は、全て本技術から逸脱することなく、その他種々の明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明を、限定的ではなく、例示的な性質のものとみなすべきである。
【0012】
本明細書に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものを、本明細書に述べられる他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上のものと組み合わせることができる点も更に理解されたい。したがって、以下に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適当な方法が、当業者には明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0013】
I.例示的な滅菌システム及び装置の概要
図1は、医療器具を滅菌する方法を実行するのに構成され得る、相互接続された装置からなる例示的システム(10)の概略図を示す。本例のシステム(10)は、滅菌庫(100)、生物学的インジケータアナライザ(102)、通信ハブ(104)、及びサーバー(106)を含む。本例においては、滅菌庫(100)は、滅菌するために1つ以上の医療器具を受け入れるように構成されている滅菌室を含む。滅菌庫(100)はまた、キックプレートの作動に応じて滅菌室を開閉するドアも含む。そのため操作者は、手を使わずに滅菌室を開閉し得る。滅菌庫(100)はまた、滅菌室内に収容されている医療器具を滅菌するために滅菌剤を滅菌室の中に分注するように動作可能である、滅菌モジュールをも含む。本例においては、滅菌モジュールは、一定の量の滅菌剤を収容する、交換可能な滅菌剤カートリッジを受容するよう構成されている。
【0014】
本例の滅菌庫(100)は、タッチスクリーンディスプレイを更に含む。タッチスクリーンディスプレイは、様々なユーザーインターフェイスディスプレイ画面を描き出すように動作可能である。タッチスクリーンディスプレイは、従来のタッチスクリーン技術にしたがってユーザーがタッチスクリーンディスプレイをタッチするという形での、ユーザーからの入力を受け付けるように更に構成されている。本例の滅菌庫(100)は、通信モジュールを更に含む。通信モジュールは、滅菌庫(100)と通信ハブ(104)との間の双方向通信を可能にするよう構成されている。それに加えて、あるいはそれに替えて、通信モジュールは、滅菌庫(100)とサーバー(106)との間の双方向通信を可能にするように構成され得る。
【0015】
本例の滅菌庫(100)は、本明細書に説明するように生物学的インジケータの識別タグを読み取るよう動作可能である読み取り器を更に含む。あくまでも例としてであるが、読み取り器は、生物学的インジケータの光学的識別タグ(例えば、バーコード、QRコード等)を読み取るよう動作可能である、光学的読み取り器を備え得る。それに加えて、あるいはそれに替えて、読み取り器は、生物学的インジケータの無線ID識別タグ(例えば、バーコード、QRコード等)を読み取るよう動作可能である、無線ID読み取り器を備え得る。本明細書の教示を鑑みて、読み取り器を形成するのに使用できる種々の適切な構成要素及び構成が、当業者に明らかとなるであろう。読み取り器を通じて受信したデータは、プロセッサを通じて処理される。
【0016】
前述のことに加えて、滅菌庫(100)は、本明細書に引用される米国特許出願、参照により開示が本明細書で援用される米国特許第6,939,519号、参照により開示が本明細書で援用される米国特許第6,852,279号、参照により開示が本明細書で援用される米国特許第6,852,277号、及び/又は参照により開示が本明細書で援用される米国特許第6,447,719号、のうちの任意のものの、少なくとも一部の教示にしたがって構成され、かつ動作可能であり得る。
【0017】
サーバー(106)は、病院の記録サーバー、又は病院のローカルエリアネットワークサーバーを含み得る。サーバー(106)は、滅菌処理の持続時間や結果;ある特定の滅菌処理が生物学的汚染の新たな兆候をもたらしたか否か;滅菌処理を始動、取消し、若しくは完了したユーザー、又は技師の識別情報;滅菌処理中に使用された消費材若しくは物資;診断情報及びシステムエラー、並びに/又は他の情報など、滅菌庫(100)により実施された滅菌処理に関する情報を、滅菌庫(100)から受信可能である。更に、サーバー(106)は、ソフトウェア更新、構成更新、ユーザー認証情報、生物学的インジケータ使用プロトコル、及び他の情報などの情報を、滅菌庫(100)に供給できる。滅菌庫(100)とサーバー(106)との間の通信は、Ethernet、Wi−Fi、Bluetooth、USB、赤外線、NFC、及び/又は他の技術等の任意の適切な有線及び/又は無線通信技術を介して、実現可能である。
【0018】
本例のシステム(10)では、更に、滅菌庫(100)は、通信ハブ(104)とも通信し、この通信ハブは、それ自体が1つ以上の生物学的インジケータアナライザ(102)と通信する。以下でより詳細に説明するように、生物学的インジケータアナライザ(102)は、卓上型又は壁据え付け型の装置を備え得るが、同装置は、生物学的インジケータを受信し、かつ、この生物学的インジケータに関する1つ以上の特性を測定し、その生物学的インジケータが、滅菌処理後に汚染が存在することを示す陽性、又は滅菌処理後に汚染が存在しないことを示す陰性の試験結果を示したかを判定するのに使用可能なデータを収集する。
【0019】
幾つかの形態では、生物学的インジケータアナライザ(102)は、データを測定し、通信ハブ(104)に送って、この通信ハブは、データを処理して、汚染があるか否かを判定する。他の形態では、生物学的インジケータアナライザ(102)自体が、データを測定、解析して、汚染があるか否かを判定し、更に、通信ハブ(104)を使用して、このような情報を受信、収集し、滅菌庫(100)及び/又は他の装置に送信できる。これについては、以下でより詳細に説明する。更に別の形態では、生物学的インジケータアナライザ(102)と通信ハブ(104)とは、単一装置の異なる構成部品であっても、又は滅菌庫(100)の構成部品であってもよい。このような変形形態は、滅菌庫(100)、通信ハブ(104)、及び生物学的インジケータアナライザ(102)を組み込んだ単一装置が、移動式装置として望ましいような特定の実装環境やユーザー要件に応じて望ましくなり得る一方、滅菌庫(100)と生物学的インジケータアナライザ(102)との間の1対多の関係をサポートする実装形態は、多くのユーザーがいる大規模な病院内での恒久的な取り付けで有利となり得る。
【0020】
生物学的インジケータアナライザ(102)から、成功が疑わしい可能性がある滅菌サイクル、ひいては無菌状態が疑わしい可能性がある医療器具を識別する情報を受信した後、通信ハブ(104)は、このような医療器具が別の滅菌処理に送られる前に使用されるのを防止するため、通知を種々の他の装置に自動で送信し得る。あくまでも例としてであるが、通信ハブ(104)は、成功が疑わしい滅菌サイクル、ひいては無菌状態が疑わしい医療器具を示すプッシュ通知を、滅菌庫(100)に供給し得る。滅菌庫(100)は、この通知をユーザーに中継し得る。それに加えて、あるいはそれに替えて、通信ハブ(104)は、成功が疑わしい滅菌サイクル、ひいては無菌状態が疑わしい医療器具を示すプッシュ通知を、サーバー(106)に供給し得る。当然のことながら、通信ハブ(104)はまた、いつ生物学的インジケータが分析に合格したかを示すプッシュ通知、並びに/又は滅菌庫(100)及び/若しくは生物学的インジケータアナライザ(102)の動作に関係したその他の情報を示すプッシュ通知も、サーバー(106)に供給し得る。
【0021】
それに加えて、あるいはそれに替えて、通信ハブ(104)は、成功が疑わしい滅菌サイクル、ひいては無菌状態が疑わしい医療器具を示すプッシュ通知を、システム(10)の操作者等、1つ以上のモバイルデバイスに供給し得る。一部の形態において、通信ハブ(104)は、そのようなプッシュ通知を、滅菌庫(100)のユーザーとして識別された人間、及び/又は生物学的インジケータアナライザ(102)のユーザーとして識別された人間に関係したモバイルデバイスに提供する。当然のことながら、通信ハブ(104)はまた、いつ生物学的インジケータが分析に合格したかを示すプッシュ通知、並びに/若しくは滅菌庫(100)及び/又は生物学的インジケータアナライザ(102)の動作に関係したその他の情報を示すプッシュ通知も、1つ以上のモバイルデバイスに提供し得る。
【0022】
生物学的インジケータアナライザ(102)と滅菌庫(100)はそれぞれ、Ethernet、Wi−Fi、Bluetooth、USB、赤外線、NFC、及び/又は他の技術等の任意の適切な有線及び/又は無線通信技術を介して、通信ハブ(104)と連結され得る。なお、通信ハブ(104)は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルコンピュータ装置、スマートフォン等を含む(ただしそれらに限られない)様々な他の構成要素と、有線又は無線を介して通信し得るということも、理解すべきである。更に、通信ハブ(104)は、有線又は無線を介してサーバー(106)と通信し得る。通信ハブ(104)がサーバー(106)と通信する形態では、通信ハブ(104)が、滅菌庫(100)とサーバー(106)との間の中継手段として働くように、通信ハブ(104)は、滅菌庫(100)とサーバー(106)との間でデータ等を中継し得る。それゆえ、幾つかの形態では、滅菌庫(100)は、サーバー(106)と直接通信する代わりに、通信ハブ(104)を介して、サーバー(106)と通信し得るということを理解すべきである。
【0023】
あくまでも例としてであるが、参照により、開示が本明細書で援用される、2016年8月18日出願の、「Apparatus and Method to Link Medical Device Sterilization Equipment(医療器具滅菌設備をリンクするための装置及び方法)」と題する、米国特許仮出願第62/376,517号の教示するところの少なくとも一部にしたがって、通信ハブ(104)は作成され、かつ動作し得る。本明細書の教示を鑑みて、通信ハブ(104)を形成するのに使用できる種々の適切な構成要素及び構成が、当業者に明らかとなるであろう。
【0024】
II.例示的な滅菌プロセス及びインターフェイス
図2は、システム(10)が医療器具を滅菌するのに実行することが可能なステップの例示的なセットのハイレベルフローチャートを示す。以下でより詳しく説明するとおり、ユーザーは、滅菌庫(100)のキーボード又はタッチスクリーンなどのユーザーインターフェイスを介して、又は滅菌庫(100)と通信する入力装置を介して、システムと相互作用し得る。最初に、滅菌庫(100)は、ディスプレイを介して、1つ以上の滅菌サイクルを表示してから、滅菌サイクル選択(ブロック200)をユーザーから受信し得る。滅菌庫(100)は、1つ以上の滅菌サイクルを実行するよう構成し得るが、異なる滅菌サイクルは、型式と数量の異なる医療器具に適合するようになっている。
【0025】
滅菌庫(100)はまた、選択された滅菌サイクルについて、生物学的インジケータを使用すべきか否かを示す命令を表示し、生物学的インジケータ識別情報を受信し得る(ブロック202)。生物学的インジケータは、滅菌サイクルが開始する前に、滅菌庫(100)の滅菌室内に挿入し得るが、滅菌サイクル中、滅菌室に入れたままにもし得る。このようにユーザーは、滅菌室に挿入される特定の生物学的インジケータを、その挿入前に識別可能である(ブロック202)。生物学的インジケータは、特定の滅菌サイクルに反応する微生物を含められる。滅菌サイクルの完了次第、滅菌サイクルの有効性の測度を提供するために、微生物について、生物学的インジケータを試験できる。生物学的インジケータは、全ての滅菌サイクルについて必ずしも必要とされるわけではなく、病院の規則、あるいは、地元の法規制に基づいて、要求され得るものである。使用される場合には、生物学的インジケータは、生物学的インジケータの種類、あるいは、識別子のキーボード入力等の手入力によって特定し得るか、又は光学識別子の光学スキャン、若しくは無線IDや他の固有の識別子の無線スキャンによってなど、自動で識別し得る。
【0026】
滅菌サイクルの選択(ブロック200)及び生物学的インジケータの識別(ブロック202)によって、滅菌庫(100)内の医療器具の構成や配置に関する1つ以上の要件が定義され得る。滅菌サイクルの準備(ブロック204)には、生物学的インジケータの配置、医療器具の配置、滅菌庫(100)の滅菌室の扉の閉鎖、及び/又は準備中の他の変更が含まれるが、その準備を通じてユーザーをガイドするための指示が、滅菌庫(100)の滅菌室の扉を開けると、表示され得る。実際の滅菌サイクル(ブロック208)を開始する前に、更に、滅菌庫(100)は、滅菌庫(100)の滅菌室内に装填された医療器具の負荷調整(ブロック206)も実施し得る。このような負荷調整(ブロック206)には、滅菌室が封止されていることを検証すること、滅菌室の中身を検証すること、水分量、含有物の体積、含有物重量、内部温度、又はその他の特性などの滅菌室内の含有物に関する物理特性を確認すること、及び/又は熱処理、化学処理、プラズマ処理、若しくは水分を低減し、温度を上昇させ、且つ/又は滅菌サイクル用に滅菌室内の医療器具を準備するための他の種類の処理を含み得る1つ以上の調整ステップを実行することが、含まれ得る。
【0027】
負荷調整(ブロック206)が完了したら、選択した滅菌サイクルそのものを実施できる(ブロック208)。滅菌サイクル(ブロック208)には、滅菌室内の1つ以上の医療機器を、加圧滅菌ガス、更なる熱処理、化学処理、プラズマ処理、真空処理、及び/又は他の種類の滅菌処理に晒すことが、含まれ得る。滅菌サイクル(ブロック208)が完了したら、滅菌庫のディスプレイを介して、完了した滅菌結果をユーザーに表示し、サーバー(106)に送信し、ローカル上で印刷し、かつ/又は望まれ得るように、他の装置を介して表示、送信、及び/又は格納し得る。
【0028】
滅菌庫(100)はまた、滅菌サイクルの結果の提供(ブロック210)もし得る。この結果の提供(ブロック210)には、以下で述べる生物学的インジケータアナライザ(102)を介した生物学的インジケータの分析からの結果が含まれ得る。これらの結果には、滅菌サイクル(ブロック208)の完了時に生物学的インジケータ中に存在する汚染の陽性又は陰性の表示が含まれ得る。生物学的インジケータによって、滅菌サイクル(ブロック208)の完了後、汚染が存在することが示唆された場合、ユーザーに試験結果が陽性であった旨を警告通知したり、過去に実施した他のサイクルが汚染の原因であり得るかどうか、かつ/又は続いて滅菌した医療機器を再滅菌しなければならないかどうかを判定するために、滅菌サイクル履歴の分析をしたりといった追加の措置が取られ得る。
【0029】
III.例示的な生物学的インジケータアセンブリ
既に述べたように、滅菌プロセス(ブロック208)が成功したことを確認するため、滅菌プロセス(ブロック208)中、生物学的インジケータが、医療機器とともに滅菌庫(100)内に入れられている。
図3は、こうした生物学的インジケータがとり得る例示的な形状を示す。特に、
図3は、ハウジング(710)と、キャップ(720)と、アンプル(730)と、キャリア(740)とを含む、生物学的インジケータ(700)を示す。ハウジング(710)は、透明な材料(例えば、透明なプラスチック、ガラス等)から形成され、その内部に挿入されるアンプル(730)をハウジング(710)が受容するように、中空になっている。アンプル(730)もまた、透明な材料(例えば、透明なプラスチック、ガラス等)から形成され、流体(732)を収容している。あくまでも例としてであるが、流体(732)は、液体増殖培地を含み得る。そのような液体増殖培地がそこで生存可能な任意の微生物に接触すると、インキュベートすることによって、その微生物の増殖を促進することが可能である。流体(732)はまた、その蛍光発光が媒体に含まれる微生物の量に依存するフルオロフォアを含む。流体(732)は、アンプル(730)内部に封入されている。
【0030】
キャリア(740)は、微生物又は活性酵素の源を提供する。あくまでも例としてであるが、キャリア(740)は、細菌胞子、その他の形の細菌(例えば、植物性のもの)、及び/又は活性酵素をしみこませてある。あくまでも例としてであるが、バチルス、ゲオバチルス、及びクロストリジウム種の胞子を用い得る。キャリア(740)は、吸水性を有するものであり得るが、ろ紙により形成されていてもよい。例えば布、不織布ポリプロピレン、レーヨン、又はナイロンのようなシート状の材料、及び多孔質高分子材料もまた、キャリア(740)を形成するために用いられ得る。例えば金属(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)、ガラス(例えば、ガラスビーズ又はガラス繊維)、磁器、又はプラスチックのような吸水性のない材料もまた、キャリア(740)を形成するために用いられ得る。当然のことながら、上に挙げた材料を組み合わせたものもまた、キャリア(740)を形成するために用いられ得る。
【0031】
アンプル(730)は、流体(732)をハウジング(710)内に放出するためにハウジング内で破砕され得るように、生物学的インジケータ(700)の、折って壊せる部品として構成される。アンプル(730)の破砕の助けとなるよう、一組の破砕用形成部(750)が、ハウジング(710)の底部に配設されている。
図3においては、破砕用形成部(750)はスパイク様のものとして図示されているが、これは単に例として示しているにすぎないということを理解すべきである。破砕用形成部(750)は、任意の他の好適な形状を取り得る。アンプル(730)の破砕の更なる助けとなるように、キャップ(720)は、ハウジング(710)に沿って下方に摺動して、アンプル(730)を破砕用形成部(750)に押し付けるように構成されている。後で詳しく説明するように、この摺動と破砕は、生物学的インジケータ(700)がインジケータアナライザ(102、800)に挿入される直前に行われてよい。滅菌プロセス中、生物学的インジケータ(700)が滅菌庫(100)内にある間は、アンプル(730)はそのままであるということを理解すべきである。
【0032】
キャップ(720)がハウジング(710)に対して相対的に下方に押し下げられてアンプル(730)を破砕する前に、気体(例えば、空気又は滅菌剤等)がハウジング(710)の中にキャップ(720)を通過して入るのを可能にする、1つ以上の開口部をキャップ(720)は含み得る。このように、これらの開口部は、キャリア(740)上の微生物を、滅菌プロセス(ブロック208)により絶滅させるのを可能にする。しかしながら、キャップ(720)がハウジング(710)に対して相対的に下方に押し下げられてアンプル(730)を破砕した後は、放出された流体(732)をハウジング(710)内にとどめるよう、これらの1つ以上の開口部は封止され得る。流体(732)がアンプル(730)から放出されると、放出された流体は最終的にはキャリア(740)に到達し、それにより、キャリア(740)上に残留している任意の生きている微生物でのインキュベーションのプロセスが開始されるが、これについては後で詳しく説明する。
【0033】
図3には示されていないが、ハウジング(710)はまた、識別タグをも含み得る。そのような識別タグには、滅菌庫(100)の読み取り器及びインジケータアナライザ(102)が読み取ることが可能である、機械読み取り可能機能部を含み得る。言い換えると、識別タグは、
図3を参照して既に説明したような、インジケータスキャニング(ブロック302、ブロック308)のステップを実行するために読み取られ得る。あくまでも例としてであるが、識別タグは、光学的コード(例えば、バーコード、QRコード等)、無線IDタグ、及び/又は任意のその他の好適な種類の、機械読み取り可能な識別子を備え得る。加えて、識別タグは、テキスト、数字、色によるコード等人間によって読み取り可能な機能部を含み得る。
【0034】
キャップ(720)はまた、変色機能部を含み得る。このような変色機能部は、生物学的インジケータ(700)が、滅菌庫(100)の滅菌剤にさらされた場合に変色する、化学的インジケータとして役立ち得る。一部の形態では、変色機能部は、単に特徴的な2色の間を変化し、そのうちの1色は、滅菌剤にさらされていないことを示し、もう1色は、滅菌剤に少なくとも幾分かさらされたことを示す。他の一部の形態では、変色機能部は、生物学的インジケータ(700)が滅菌剤にさらされた程度に基づいて、ある範囲の色に沿って変化する。言い換えると、色の変化は、滅菌剤へさらされた程度に比例し得る。
【0035】
上に述べたことに加えて、あるいはそれに替えて、生物学的インジケータ(700)は、その開示を、参照により本明細書で援用する、2016年3月1日付け出願の、「Self−Contained Biological Indicator(自己格納型生物学的インジケータ)」と題する米国特許出願第15/057,768号の開示の少なくとも一部にしたがって構成され、動作し得る。本明細書の教示を鑑みて、生物学的インジケータ(700)がとり得る他の適切な形態が、当業者に明らかになることであろう。
【0036】
IV.例示的な生物学的インジケータアナライザ
A.例示的な生物学的インジケータアナライザのハードウェア
図4は、生物学的インジケータアナライザ(102)に組み込み可能な例示的な構成要素のセットを示す。本例の生物学的インジケータアナライザ(800)は、複数のウェル(810)を備え、そのそれぞれは、そこに挿入される、それぞれ対応する生物学的インジケータ(700)を受け入れるように構成されている。2つのウェル(810)が図示されているものの、8個のウェル(810)、8個未満のウェル(810)、又は9個以上のウェル(810)を含めて、他の任意の適切な数のウェル(810)が提供され得ることを理解すべきである。生物学的インジケータアナライザ(800)はまた、指示や制御アルゴリズムを実行したり、情報を処理したり等するよう動作可能なプロセッサ(820)も、含む。
【0037】
各ウェル(810)は、関連する光源(830)及びセンサ(840)を有する。各光源(830)は、対応するウェル(810)に挿入される生物学的インジケータ(700)のハウジング(710)を通じて光を投射するよう構成されており、各センサ(840)は、ハウジング(710)に収容されている流体(732)により蛍光発光した光を検出するように動作可能である。あくまでも例としてであるが、光源(830)は、紫外線を放射するよう構成されたレーザー形態であり得る。本明細書の教示を鑑みて、光源(830)がとり得る他の種々の形態が、当業者には明らかとなるであろう。あくまでも更なる例としてであるが、センサ(840)は、電荷結合素子(CCD)を備え得る。本明細書の教示を鑑みて、センサ(840)がとり得る他の種々の形態が、当業者には明らかとなるであろう。既に述べたように、流体(732)の蛍光発光は、流体(732)の媒体内に含有される、生きた微生物の量に依存する。したがって、センサ(840)は、光源(830)からの光に対して流体(732)が蛍光発光する程度に基づいて、流体(732)内の生きた微生物の存在を検出することが可能となるであろう。
【0038】
更に、本例の生物学的インジケータアナライザ(800)は、タッチスクリーンディスプレイ(850)を含む。タッチスクリーンディスプレイ(850)は、生物学的インジケータアナライザ(800)の動作に関連する種々のユーザーインターフェイスディスプレイスクリーンを表示するよう、動作可能である。更に、タッチスクリーンディスプレイ(850)は、従来型タッチスクリーン技術にしたがって、ユーザーがタッチスクリーンディスプレイ(850)にタッチする形態でのユーザー入力を受信するように構成されている。それに加えて、あるいはそれに替えて、生物学的インジケータアナライザ(800)は、様々な他の種類のユーザー入力機能部を含み得るが、それには、キーパッド、キーボード、マウス、トラックボール等が含まれるが、それらに限られない。タッチスクリーンディスプレイ(850)を通じて提供される表示は、プロセッサ(820)により駆動され得る。タッチスクリーンディスプレイ(850)を通じて受信されたユーザー入力は、プロセッサ(820)によって処理され得る。
【0039】
更に、本例の生物学的インジケータアナライザ(800)は、通信モジュール(860)も含む。通信モジュール(860)は、生物学的インジケータアナライザ(800)と通信ハブ(104)との間の双方向通信を可能とするよう構成されている。それに加えて、あるいはそれに替えて、通信モジュールは、生物学的インジケータアナライザ(800)とサーバー(106)との間の双方向通信を可能とするよう構成され得る。あくまでも例としてであるが、通信モジュール(860)は、Ethernet、Wi−Fi、Bluetooth、USB、赤外線、NFC、及び/又は他の技術等を介した有線及び/又は無線通信を提供するよう構成し得る。本明細書の教示を鑑みて、通信モジュール(860)を形成するのに使用できる種々の適切な構成要素及び構成が、当業者に明らかとなるであろう。通信モジュール(860)との間で送信、又は受信された通信は、プロセッサ(820)を介して処理される。
【0040】
本例の生物学的インジケータアナライザ(800)は、読み取り器(870)を更に含み、この読み取り器(870)は、本明細書で説明したとおり、生物学的インジケータ(700)の識別タグを読み取るように動作可能である。読み取り器(870)は、生物学的インジケータ(700)が分析される(ブロック512)に先立って、生物学的インジケータ(700)を識別するために用いられ得るということを理解すべきである。あくまでも例としてであるが、読み取り器(870)は、生物学的インジケータの光学的識別タグ(例えば、バーコード、QRコード等)を読み取るように動作可能である、光学的読み取り器を備え得る。それに加えて、あるいはそれに替えて、読み取り器(870)、生物学的インジケータの無線ID識別タグ(例えば、バーコード、QRコード等)を読み取るよう動作可能である、無線ID読み取り器を備え得る。本明細書の教示を鑑みて、読み取り器(870)を形成するのに使用できる種々の適切な構成要素及び構成が、当業者に明らかとなるであろう。読み取り器(870)を通じて受信されたデータは、プロセッサ(820)を介して処理される。
【0041】
本例の生物学的インジケータアナライザ(800)は、メモリ(880)を更に含み、そのメモリ(880)は、例えば光源(830)、タッチスクリーンディスプレイ(850)、通信モジュール(860)、及び読み取り器(870)のような構成要素を駆動するためにプロセッサ(820)により実行される、制御ロジック及び指示を格納するよう動作可能である。更に、メモリー(880)は、生物学的インジケータ分析実行に関連する結果、及び/又は他の種々の種類の情報を格納するために使用し得る。本明細書の教示を鑑みて、メモリー(880)が取り得る種々の好適な形態、及びメモリー(880)が使用できる様々な方法が、当業者に明らかとなるであろう。
【0042】
図5は、インジケータアナライザ(800)がとり得る例示的な形状を示す。特に、
図5は、ハウジング(952)を含むインジケータアナライザ(950)を示すが、そのハウジング(952)は、8つのウェル(954)のセット、タッチスクリーンディスプレイ(956)、及び読み取り器(960)を有する。ハウジング(952)は、卓上又はその他の水平面上に置かれると、タッチスクリーン(956)が、ハウジング(952)が載っている表面に対して斜めの角度で提示されるように構成されている。ウェル(954)は、既に説明したウェル(810)と同様に構成され、動作可能である。タッチスクリーンディスプレイ(956)は、既に説明したタッチスクリーンディスプレイ(850)と同様に構成され、動作可能である。タッチスクリーンディスプレイ(850、956)を介して表示され得るインタラクティブスクリーンの様々な例については、後で詳しく説明する。読み取り器(960)は、既に説明した読み取り器(870)と同様に構成され、動作可能である。インジケータアナライザ(950)は、インジケータアナライザ(800)に関して既に説明したその他の特徴を更に含み得るということ、及びインジケータアナライザ(800)に関して既に説明したのと同じ機能性及び動作性を更に提供し得るということを理解すべきである。本明細書の教示を考慮すれば、インジケータアナライザ(102、800、950)がとり得る他の好適な形態が、当業者には明らかになるであろう。
【0043】
B.例示的な生物学的インジケータのプロセス及びインターフェイス
図6は、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)により生物学的インジケータ(700)の分析サイクルを開始するために用いられ得るステップの、例示的なセットを示す。最初のステップでは、ユーザーは、どのウェル(810、954)が空いているかを見て(ブロック900)、空いているウェルを選択(ブロック902)し得る。一部の形態では、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、空いているウェル(810、954)それぞれの隣にある番号を提示し、これにより、操作者は、空いているウェルを選択するために、選択した空きウェル(810、954)に関連する番号に触れるだけで良い(ブロック902)。次に、生物学的インジケータ(700)の識別タグの、読み取り器(870、960)による読み取りが可能になるように、生物学的インジケータ(700)の識別タグを読み取り器(870、960)の近くに配置するように、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)上に表示されるスクリーンがユーザーに指示し得る。この指示の一部として、ユーザーが読み取り器(870、960)を見つけるのをアシストするために、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、読み取り器(870、960)の位置を指し示し得る。次にユーザーは、読み取り器(870、960)を用いて、生物学的インジケータ(700)の識別タグを読み取らせ得る(ブロック904)。
【0044】
次に、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)上のディスプレイスクリーンがユーザーに、自己識別するよう指示し得る。次にユーザーは、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)を操作して、自己識別をし得る(ブロック906)。次に、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)上に表示されるディスプレイスクリーンがユーザーに、生物学的インジケータ(700)のキャップ(720)上の化学的インジケータがその色を変えたかどうかを示すように指示し得る。次に、ユーザーはタッチスクリーンディスプレイ(850、956)を操作して、生物学的インジケータ(700)のキャップ(720)上の化学的インジケータがその色を変えたかどうかを示し得る(ブロック908)。
【0045】
次に、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)上に表示されるスクリーンがユーザーに、アンプル(730)を破砕し生物学的インジケータ(700)を振動させることにより、生物学的インジケータ(700)を選択されたウェル(810、954)の中に装填するための準備をするよう指示し得る。次に、操作者は、キャップ(720)を押圧してアンプル(730)を破砕し、次に生物学的インジケータ(700)を振動させて(ブロック910)、流体(732)がキャリア(740)に適切に混合されるよう確保し得る。次に、ユーザーは、選択されたウェル(810、954)に、生物学的インジケータ(700)を素早く配置し得る(ブロック912)。一部の例においては、アンプル(730)を破砕し、生物学的インジケータ(700)を振動させた(ブロック910)直後に、生物学的インジケータ(700)を選択されたウェル(810、954)に挿入する(ブロック912)ことが望ましいことがあり得る。
【0046】
一部の形態では、生物学的インジケータ(700)を選択されたウェル(810、954)に挿入する(ブロック912)前に、アンプル(730)を破砕し生物学的インジケータ(700)を振動させるステップ(ブロック910)をユーザーが適切に完了したかどうかを、インジケータアナライザ(102、800、950)が判定するよう構成される。あくまでも例としてであるが、この判定は、生物学的インジケータ(700)が選択されたウェル(810、954)に挿入された後で、どのようにセンサ(840)が光源(830)から発せられた光を検出するかに基づいて実施し得る。万一、生物学的インジケータ(700)を選択されたウェル(810、954)に挿入する(ブロック912)前に、アンプル(730)を破砕し生物学的インジケータ(700)を振動させるステップ(ブロック910)をユーザーが適切に完了できなかったと、インジケータアナライザ(102、800、950)が判定した場合には、生物学的インジケータ(700)をウェル(810、954)から引き抜いて、アンプル(730)を破砕し生物学的インジケータ(700)を振動させるステップ(ブロック910)を適切に完了するよう、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)がユーザーに指示し得る。
【0047】
ユーザーがアンプル(730)を破砕し生物学的インジケータ(700)を振動させるステップ(ブロック910)を適切に完了して、生物学的インジケータ(700)を選択されたウェルに挿入する(ブロック912)まで、生物学的インジケータ(700)をウェル(810、954)内に、インキュベーション期間として置いておくこと(ブロック914)が可能である。インキュベーション期間(ブロック914)中、選択されたウェル(810、954)に関連付けられた光源(830)を作動させ、センサ(840)は、インジケータ(700)内の流体(732)の、応答蛍光発光を監視する。インキュベーション期間(ブロック914)中、ウェル(810、954)はまた、(例えば、約60℃に)加熱され得る。既に述べたように、流体(732)は、その蛍光発光が媒体に含まれる微生物の量に依存するフルオロフォアを含む。したがってセンサ(840)は、流体(732)の蛍光発光に基づいて、(キャリア(740)から)流体(732)中の生きている微生物の存在を検知可能である。それゆえ、好適なインキュベーション期間が経過した後、インジケータアナライザ(102、800、950)は、センサ(840)により検知した流体(732)の蛍光発光に基づいて、キャリア(740)上に(すなわち、滅菌庫(100)内での滅菌サイクル前に)存在した微生物のいずれかが、滅菌庫(100)内での滅菌サイクルを生き延びたかどうかについて結論を出すようになっているということを理解すべきである。
【0048】
あくまでも例としてであるが、インキュベーション期間(ブロック914)は、約30分であり得る。あるいは、このインキュベーション期間は、かなり長いか(例えば、1時間以上)、短いか、又は他の適切な持続時間であり得る。インキュベーション期間(ブロック914)中、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、インキュベーション期間の残り時間の長さを、グラフィカルに表現したものを提供し得る。2つ以上のウェル(810、954)が対応する生物学的インジケータ(700)により占有されている場合、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、それぞれの対応するウェル(810、954)に対して、そのインキュベーション期間の残り時間の長さを、グラフィカルに表現したものを提供し得る。
【0049】
図7は、インキュベーション期間(ブロック914)が完了した後で実施し得る例示的ステップのセットを示す。既に述べたように、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)は、センサ(840)により検知された流体(732)の蛍光発光に基づいて、キャリア(740)上に(すなわち、滅菌庫(100)内での滅菌サイクル前に)存在した微生物のいずれかが、滅菌庫(100)内での滅菌サイクルを生き延びたかどうかについて、判定することが可能である。したがって、生物学的インジケータ(700)が分析に合格するか不合格となるかを、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)は判定することが可能である(ブロック1000)。この意味で、「合格」という結果は、生物学的インジケータ(700)内に、生きている微生物が存在しないということを示し、そのことは、滅菌庫(100)内での滅菌サイクル(ブロック208)が成功裏に終わったことを示す。「不合格」という結果は、生物学的インジケータ(700)内に、生きている微生物が存在することを示し、そのことは、滅菌庫(100)内での滅菌サイクル(ブロック208)が不首尾に終わったことを示す。
【0050】
「合格」という結果になった場合、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、生物学的インジケータ(700)が分析に合格したことを示すスクリーンをユーザーに提示し得る(ブロック1002)。タッチスクリーンディスプレイ(850、956)はまた、ユーザーに、生物学的インジケータ(700)をウェル(810、954)から取り出して(ブロック1004)、使用済みの生物学的インジケータ(700)を適切に廃棄するよう指示し得る。後で詳しく説明するように、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)はまた、通信モジュール(860)を介して、「合格」という結果(及び関連データ)を通信ハブ(104)に送信し得る(ブロック1006)。一部の形態では、この「合格」という結果(及び関連データ)の通信ハブ(104)(ブロック1006)への送信は、「合格」という結果(及び関連データ)が、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)から通信ハブ(104)によって引き出されるように、通信ハブ(104)からのクエリに対して実施される。他の一部の形態では、「合格」という結果(及び関連データ)は、通信ハブ(104)からのクエリを必要とすることなく、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)によって、通信ハブ(104)(ブロック1006)にプッシュ送信される。
【0051】
「不合格」という結果になった場合、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、生物学的インジケータ(700)が分析(ブロック1010)で不合格になったことを示すスクリーンをユーザーに対して提示し得る。次に、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、ユーザーに自己識別するよう指示し得る。次にユーザーは、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)を操作して、自己識別をし得る(ブロック1012)。次に、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)は、生物学的インジケータ(700)をウェル(810、954)から取り出して(ブロック1014)、使用済みの生物学的インジケータ(700)を適切に廃棄するよう指示し得る。後で詳しく説明するように、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)はまた、通信モジュール(860)を介して「不合格」という結果(及び関連データ)を通信ハブ(104)に送信し得る(ブロック1016)。一部の形態では、この「不合格」という結果(及び関連データ)の通信ハブ(104)への送信(ブロック1016)は、「不合格」という結果(及び関連データ)が、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)から通信ハブ(104)によって引き出されるように、通信ハブ(104)からのクエリに対して実施される。他の一部の形態では、「不合格」という結果(及び関連データ)は、通信ハブ(104)からのクエリを必要とすることなく、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)によって、通信ハブ(104)(ブロック1016)にプッシュ送信される。
【0052】
図8は、既に実行された滅菌サイクルからの生物学的インジケータ(700)をテストする場合に、実験用の対照例の使用を採用するために、インジケータアナライザ(102、800、950)により実行され得る例示的なハイレベルステップのセットを示す。ユーザーが、スキャン対象のインジケータ(700)を選択すると、インジケータアナライザ(102、800、950)が、通信ハブ(104)を介してサーバー(106)からのデータにアクセスすることにより、インジケータ(700)と同じロット又はグループからの対照例インジケータが分析されたことを確認する(ブロック212)。
【0053】
対照例インジケータ(700)は、関連する生物学的インジケータ(700)のグループから選択され、まず最初に滅菌サイクルを通すことなく分析された、正常な生物学的インジケータ(700)であり、もし対照例が選択されたグループが生存可能なインジケータ(700)である場合、対照例インジケータ(700)は、滅菌されていないので、汚染に関して陽性を示す結果となるであろう。インジケータ(700)のグループからの対照例をテストすることによって、ユーザーは、正しく保管されたり取り扱われたりしなかったインジケータ(700)のグループが、そうとは知らずにシステムで用いられる機会を最小化し得る。選択されたインジケータ(700)に対して対照例を実行したことを検証する(ブロック212)ように対照例を構築することによって、システムは、対照例のテストを部分的に自動化して実施することが可能となる。対照例インジケータ(700)を検証したら(ブロック212)、テストインジケータ(700)をテストウェル(810、954)内に配置して、汚染菌が滅菌サイクルを生き延びたかどうかを判定するために、インジケータアナライザ(102、800、950)が同インジケータ(700)の生物学的成分をインキュベートし分析する(ブロック214)のを可能にすることで、同インジケータ(700)は、インジケータアナライザ(102、800、950)により分析され得る(ブロック214)。テスト(ブロック214)の結果が利用可能になると、インジケータアナライザ(102、800、950)のタッチスクリーンディスプレイ(850、956)を介して結果を表示して、その結果に基づいたガイダンス又は推奨事項を提供することによってテストは確定され得る(ブロック216)が、更に結果は、通信ハブ(104)を介して、滅菌庫(100)、サーバー(106)、又はその両者に送信される。
【0054】
図9は、対照例インジケータ(700)の使用を検証し実施するために、インジケータアナライザ(102、800、950)により実施され得る例示的なステップのセットを示す。ユーザーは、インジケータアナライザ(102、800、950)のタッチスクリーンディスプレイ(850、956)のようなユーザーインターフェイスを介して、インジケータアナライザ(102、800、950)により受容(ブロック218)されるウェル(810、954)の選択とインジケータ(700)の選択とに結果としてなる選択をすることによって、インジケータテストの構成を開始し得る。既に述べたように、インジケータアナライザ(102、800、950)は、複数のインジケータ(700)が同時に処理され得るように、インジケータ(700)を受容することが可能でかつインキュベーションと分析とを実施可能な複数のテストウェル(810、954)を有し得る。インジケータの選択は、インジケータ(700)上の、機械読み取り可能なコード又は固有の識別子を読み取り器(870、960)を用いてスキャンする又は読み取ることによって、又はインジケータ(700)情報を手動で入力することで、インジケータアナライザ(102、800、950)がインジケータ(700)を特定することを可能にすることによって、実行され得る。インジケータ(700)を特定することにより、インジケータアナライザ(102、800、950)がサーバー(106)上の記録に、通信ハブ(104)を介してアクセスすることが可能となり、それにより、特定されたインジケータ(700)が、対照例の試験を受けたインジケータ(700)のバッチ又はグループから取られたものであるかどうかを判定すること、インジケータ(700)が既にインキュベートされて分析されたかどうかを判定して誤りによる再テストを回避すること、又はインジケータ(700)を用いて実行された滅菌サイクルを特定することが可能となる。
【0055】
図12は、ウェル(810、954)の選択をするための、例示的なユーザーインターフェイスのスクリーンショットを示す。その例示的なインターフェイスにおいて、8つの異なる、それぞれ数字を付されたウェル(810、954)が数字により表現され、所望のウェル(810、954)に対するウェル番号(418)とインタラクトすることにより(例えば、ウェル番号(418)をタッピングすることにより)、選択可能となっている。一部の実施形態は、選択されたウェル(810、954)が、対照例インジケータ(700)を受容するか又はテストインジケータ(700)を受容するかを、それぞれ「対照例」インジケータボタン又は「テスト」インジケータボタンとインタラクトすることにより選択するための、例示的なユーザーインターフェイスを含み得る。一部の実施形態は、インジケータ(700)の機械的識別子をインジケータアナライザ(102、800、950)の読み取り器(870、960)を介してスキャンすることに関するガイダンスをユーザーに提供するための例示的なユーザーインターフェイスを含み得る。
【0056】
図13は、インジケータ(700)の機械的識別子をインジケータアナライザ(102、800、950)の読み取り器(870、960)を介してスキャンすることに関する更なるガイダンス(472)をユーザーに提供するための例示的なユーザーインターフェイスのスクリーンショットを示す。このガイダンスには、インジケータ(700)を読み取り器(870、960)に対してどのように位置決めするかに関する文章による指示とともに、インジケータアナライザ(950)上の読み取り器(960)の位置を指し示す矢印をアクティベートすることが含まれ得る。一部の形態では、あるインジケータアナライザ(102、800、950)が、サーバー(106)と即座に通信することが不可能であるような環境下で用いられている場合、又は読み取り器(870、960)が利用可能でない場合には、識別情報及び滅菌サイクル情報は、インジケータ(700)情報及びサイクル情報(例えば、特定の滅菌庫(100)、滅菌サイクルのタイプ、滅菌サイクル番号、滅菌サイクル開始時間、滅菌サイクル終了時間等を識別する情報)を入力するための手動入力欄を有するユーザーインターフェイスを介して手動で入力され得る。この追加的な情報は、特定のインジケータ(700)と、滅菌庫(100)を用いて先に実行された滅菌サイクルとの間のリンクを提供するものである。
【0057】
ウェル(810、954)が選択され、インジケータ(700)のタイプが選択されると(ブロック218)、インジケータアナライザ(102、800、950)は、サーバー(106)からの記録を問い合わせて、選択又はスキャンされたインジケータ(700)と関連するロット又はグループを特定し、当該ロット又はグループからの対照例インジケータ(700)で最近分析されたものがあるかどうかを判定し得る(ブロック220)。例えば、インジケータ(700)が24個入りのロットで用意される場合、その24個のインジケータ(700)のそれぞれは、おおよそ同じ時に、同じ構成部品から製造された可能性が高く、かつ、同様のやり方で梱包され、出荷され、保管され、更にその他取り扱われた可能性が高い。そのため、24個入りのそのロットからの1つのインジケータ(700)が、対照例インジケータ(700)としてテストされ、汚染について陽性として報告されない場合、同じロットの他のインジケータ(700)もまた不備のあるものであり得る可能性が高くなり得るので、それらのインジケータ(700)は廃棄して、滅菌サイクルが成功裏に終わったと誤って示唆する誤った陰性を回避するべきである。それぞれのロットにつき1つの対照例インジケータ(700)が分析され、その結果がサーバー(106)に記録され、それぞれのロットに関連付けられて、システムが後でその対照例を確認する(ブロック220)ことを可能とするのをインジケータアナライザ(102、800、950)が要求するように、システムは構成され得る。一部の形態では、対照例インジケータ(700)の分析が、ロットごとに1回、又はロットごとかつ24時間ごとに1回、必要とされ得るが、ロットごとに任意の他の回数、対照例の再テスト間の任意の他の長さ、又は他の同様の構成可能なテスト要件を必要とされてもよい。
【0058】
もし、選択されたインジケータのロットに対して対照例の要件が満たされたと判定された(ブロック220)場合には、その対照例が検証された上で、システムは、選択されたテストインジケータ(700)のテストに進むようユーザーに指示し得る。もし、選択されたインジケータのロットに対して対照例の要件が満たされなかったと判定された(ブロック220)場合には、上のようにする代わりにシステムは、ユーザーに、1つの対照例について分析を実施するという要件について通知し、選択されたウェル(810、954)に、選択されたロットからの1つの対照例インジケータ(700)を挿入するようユーザーをガイドするようになっている。システムは、対照例インジケータ(700)の化学的インジケータを、変化していない化学的インジケータと変化した化学的インジケータとの間の見た目の違いを提供するグラフィックを示すインターフェイススクリーンを介して、追加的に検証し得る(ブロック224)。生物学的インジケータ(700)の化学的インジケータは、当初は、第1の色であるが、滅菌サイクル中に、温度又は滅菌中に用いられる物質に対する化学反応により、化学的インジケータが第2の色に変化し、特定のインジケータ(700)が滅菌サイクルにかけられたかどうかについての視覚的指標を提供する。したがって、そのようなインターフェイスにより、ユーザーは、滅菌サイクルにかけられていない対照例インジケータ(700)が、まだ元々の色をその化学的インジケータを通じて示しているということを確認し、指し示すことが可能になる。先に選択した対照例インジケータ(700)は、不備があるものであるか又は滅菌サイクルで使用されたものであるため、ユーザーが上記以外の選択をした場合には、システムはユーザーに対して、別の対照例インジケータ(700)を選択するよう指示し得る。
【0059】
化学的インジケータがユーザー及びシステムにより確認されると(ブロック224)、対照例インジケータ(700)を選択されたウェル(810、954)に挿入した後に、システムが、対照例インジケータをインキュベートし始める(ブロック226)ようになっている。インジケータアナライザ(102、800、950)のそれぞれのウェル(810、954)には、ボタン、光膜スイッチ、又はその他のセンサが装備され、インキュベーションが自動的に開始され得るように、いつインジケータ(700)をウェル(810、954)に挿入したか、インジケータアナライザ(102、800、950)が判定するのを可能にするようになっている。一部の形態では、いつインジケータ(700)をウェル(810、954)に挿入したかを判定するために、光源(830)及びセンサ(840)が用いられる。本明細書の教示を考慮すれば、ウェル(810、954)内のインジケータ(700)の存在を検知し得る様々な好適な方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0060】
図14は、インジケータアナライザ(102、800、950)のそれぞれのウェル(810、954)についての更新情報をユーザーに提供するために、表示され得るユーザーインターフェイスを示す。
図14においては、様々な状態の8つのウェル(810、954)が示されており、それぞれのウェル(810、954)のインキュベーション及び分析の進行度が、漸増する一連のダッシュマーク又はその他のシンボル(429)で示されるか、あるいは又は色付きの円又はシンボル(427)で、インキュベーション又は分析を最近開始したか、あるいはインキュベーション又は分析を最近完了したウェル(810、954)について、その状態の最近の変化を示すようになっている。
図14のユーザーインターフェイスを介して、特定のウェル(810、954)を選択することにより、インジケータアナライザ(102、800、950)に選択されたウェル(810、954)についてのより詳細な状態を示すスクリーンを表示させ得るが、そのスクリーンは、ウェル(810、954)が対照例インジケータ(700)又はテストインジケータ(700)のいずれを使用しているかをユーザーが判定し得るように現在実行中のテストのタイプを示し、かつユーザーが、インキュベーション及び分析の残り時間のより正確なイメージを持ち得るように、より詳細な時間の状態を示すものである。
【0061】
対照例インジケータ(700)のインキュベーション及び分析が完了すると(ブロック226)、インジケータアナライザ(102、800、950)が、対照例インジケータ(700)のテスト結果が汚染について陽性となるかどうかを判定するようになっており、陽性となった場合には、対照例インジケータが合格したことを示す。対照例インジケータ(700)の結果が合格である場合(ブロック228)、対照例インジケータ(700)の結果が、インジケータアナライザ(102、800、950)のタッチスクリーンディスプレイ(850、956)を介して表示され(ブロック230)、更に、対照例インジケータ(700)が選択されたロットに関連付けて、将来、そのロットからのテストインジケータ(700)が、中断なく分析され得るようにするため、サーバー(106)に送信され得る。対照例が不合格であると判定された場合(ブロック228)、システムはユーザーに不合格であった旨を通知するようになっており、この通知は、不合格となった対照例インジケータ(700)が配置されているウェル(810、954)を示していてもよい。もしこの対照例が初めての不合格であるという場合には(ブロック232)、システムは、それが最初の不合格である旨を示し、ユーザーにウェル(810、954)を変えて、第2の対照例インジケータでテストを行うように指示する(ブロック234)ようになっている。
【0062】
対照例インジケータ(700)が始めて不合格となった場合、あるインターフェイスが表示され得る。あくまでも例としてであるが、そのようなインターフェイスは、2番目の対照例をそこから選択すべきであるロットを特定し、更に、第2の対照例で、どのウェル(810、954)の使用を避けるべきかを特定するための追加的なガイダンスをユーザーに提供し得る。第2の対照例インジケータ(700)のテストを異なるウェル(810、954)で実施することにより、システムが不具合のある試験用ウェル(810、954)を分離することが可能になる。
【0063】
あくまでも例示的な別の例として、インターフェイスは、ユーザーを識別するのを可能にし、第2の対照例インジケータ分析を実施することを通じてユーザーをガイドすることを可能とし得る。ユーザーの識別は、システム管理者により、対照例インジケータ(700)分析の結果を審査し、万一対照例インジケータ(700)が不合格となった場合正しいステップがとられるように確保するために使用され得る。提供された指示に従って、ユーザーは新たな対照例インジケータ(700)を選択し、化学的インジケータを確認するステップに戻り得る(ブロック224)。ステップを進めても、再び第2の対照例が不合格となる結果に終わった場合には(ブロック228)、代わりにシステムがユーザーに、先に不合格となった対照例がそこから選択されたロットを廃棄し、別のロットからの対照例とテストインジケータ(700)を試験する(ブロック236)よう、更に指示し得るが、それは、影響を受けた医療機器に対して別のロットからの新たなテストインジケータ(700)を用いて、当該ロットに対して有効な対照例が実行可能なように、ユーザーが滅菌サイクルを再度実行すること(ブロック220)を必要とし得る。
【0064】
万一、第2の対照例インジケータ(700)が不合格となった場合、あるインターフェイスが表示され得る。あくまでも例としてであるが、そのようなインターフェイスは、ユーザーに、第2の対照例インジケータ(700)の不合格を取り扱うためのガイダンスを提供し得る。審査の目的でユーザーの識別を行うため、及び万一、第2の対照例インジケータ不合格の場合の、追加的ガイダンスを提供するため、追加的なユーザーインターフェイスが用いられ得る。
【0065】
図10は、対照例インジケータ(700)が検査された(ブロック212)後に、テストインジケータ(700)にインキュベーション及びテストを実施するために(ブロック214)、インジケータアナライザ(102、800、950)により実行され得る、例示的なステップのセットを示す。まず、インジケータアナライザ(102、800、950)は、テストインジケータ(700)の化学的インジケータが、滅菌サイクルにかけられた後で、陽性を示しているのを確認し得る(ブロック237)。一部の例においては、タッチスクリーンディスプレイ(850、956)が、ユーザーに、化学的インジケータが元々の色を示しているか、又は滅菌サイクルを示す色を示しているかについてのガイダンスを提供し、ユーザーからの選択を入力するためのインターフェイススクリーンを提供し得るが、滅菌サイクルにかけたため、化学的インジケータが陽性を示しているということを確認する(ブロック237)。そのようなインターフェイススクリーンは、インジケータ(700)を、異なる色でグラフィカルに、その色に関連付けられた、どの色がユーザーにより観察されているかを示す入力ボタンとともに表現したものを含み得る。
【0066】
インジケータアナライザ(102、800、950)はまた、
図15に示されたもののようなユーザーインターフェイスを介してユーザーによって、インジケータ(700)がアクティベートされていることをも確認し得るが(ブロック238)、そのユーザーインターフェイスは、インキュベーション及び分析に先立って、テストインジケータ(700)をアクティベートしてそのアクティベーションを確認するための、アクティベーションを確認するユーザーの選択を受け付けるための(ブロック238)、図を用いたガイド(446)を提供する。インジケータのアクティベーションが確認されたら(ブロック238)、インジケータ(700)は、選択されたテストウェル(810、954)の中に配置され得る(ブロック240)。テストウェル(810、954)のセンサが、インジケータ(700)が既に置かれているのを検出しない(ブロック240)場合に、インターフェイスは、ユーザーにインジケータ(700)を、選択されたテストウェル(810、954)の中に配置するように、文章による及び/又はグラフィックによる指示を介して指示する(ブロック242)ために表示され得る。テストウェル(810、954)の、例えばボタン又は光膜スイッチのようなセンサによって、インジケータ(700)が既に配置されていると判定された(ブロック240)場合には、インキュベーションが実行され得る(ブロック244)。
【0067】
インキュベーションが完了する(ブロック246)のを待っている間に、インジケータアナライザ(102、800、950)は、ユーザーがアクティブなウェル(810、954)についての情報を見直し得るように、ウェルディスプレイ画面を定期的に更新する(ブロック248)ようになっている。一部の例示的なインターフェイスは、ウェル(810、954)の状態についての現行の情報を反映させるように、維持され更新され得る(ブロック248)。
図16は、ウェル(810、954)内で現在インキュベートされ分析されているインジケータ(700)に関する、より詳細な言葉による情報(450)を提供するために、インジケータアナライザ(102、800、950)のタッチスクリーンディスプレイ(850、956)を介して表示され得る、追加的なユーザーインターフェイスを示す。そのような詳細な言葉による情報には、例えば、分析中の生物学的インジケータ(700)のタイプ(例えば、対照例インジケータ(700)かテストインジケータ(700)か)、インジケータ(700)がそこから選択されたロットの番号、シリアル番号、有効期限、ユーザーの識別情報、インキュベーションの開始時間、インキュベーションの日付、化学的インジケータ状況の確認、インキュベータの温度、それが利用可能であればインキュベーション及び分析の結果、インジケータ(700)と関連する滅菌サイクル、サイクルのタイプ、サイクルの番号、サイクルの開始時間と終了時間、及びインジケータアナライザ(102、800、950)を介して表示されるのが望ましいとされ得るその他の情報が含まれ得る。
【0068】
インキュベーションが完了したら(ブロック246)、インジケータアナライザ(102、800、950)は、インキュベートされたインジケータ(700)を分析し、インキュベーション後に、いずれかの生物的汚染菌が発育又は残留したかどうかを判定し得る(ブロック250)。既に述べたように、一部の形態では、インジケータ(700)は生物的汚染菌と反応する溶液を収容するようになっており、第1の色が示されている場合には、汚染がなく、滅菌サイクルが成功裏に終わったことを示し、第2の色が示されている場合には、汚染が存在し、滅菌サイクルが不首尾に終わったことを示すようになっている。そのような形態においては、インジケータ(700)が、汚染について陽性であるか陰性であるかの分析は、既に説明したように、インジケータ(700)による蛍光発光を検知するための光源(830)及びセンサ(840)を用いて実施され得る。
【0069】
図11は、テスト結果を表示し、テストを確定する(ブロック216)ために実施し得る、例示的なステップのセットを示す。インジケータ分析(ブロック250)が、テストインジケータ(700)が汚染について陰性であるということを示した場合には、インジケータ(700)は合格し(ブロック252)、インジケータアナライザ(102、800、950)は、ウェル表示インターフェイスを更新して、ユーザーに対して、テストインジケータ(700)が合格したことを示し得る(ブロック254)。インジケータアナライザ(102、800、950)のウェルが、汚染について陰性という結果をもってテストを完了したことをユーザーに示すため、インターフェイスが表示され得る。ウェルインジケータは、例えば緑色のような成功を意味する特定の色を有するように構成され得るが、それに加えて/それに替えて、成功を意味する、例えばチェックマーク、星印、又はその他のシンボルのような特定のシンボル、色、又は視覚的インジケータを含み得る。
【0070】
インジケータが合格した(ブロック252)後、より詳細な説明とガイダンスとをユーザーに対して与えるためのインターフェイスが表示され得る。次に、インジケータアナライザ(102、800、950)は、いつインジケータ(700)がテストウェルから取り除かれたか(ブロック256)を、テストウェル(810、954)内に位置するセンサを介して検知し、テストインジケータ分析の結果を表示して送信し得る(ブロック258)。一部の形態では、結果が通信ハブ(104)により、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)から引き出されるように、インジケータアナライザ(102、800、950)から通信ハブ(104)に、通信ハブ(104)からのクエリに対して結果が送信される(ブロック258)。他の一部の形態では、結果は、通信ハブ(104)からのクエリを必要とせず、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)によって、通信ハブ(104)にプッシュ送信される(ブロック258)。
【0071】
インターフェイスは、例えば完了したテストが対照例インジケータ(700)に対するものであったかテストインジケータ(700)に対するものであったかという情報、インジケータ(700)がそこから選択されたロットの番号、シリアル番号、有効期限、及び既に説明した状況インターフェイスに関連して示し説明されたのと同様のその他の情報のような様々な情報を含む、テスト結果の詳細なサマリを提供し得る。同じインターフェイスが、滅菌サイクルについての情報を提供し得るが、それには、滅菌サイクルが実行された滅菌庫(100)の識別情報、実行された滅菌サイクルのタイプ、滅菌サイクルの番号、滅菌サイクルの開始時間、滅菌サイクルの終了時間等が含まれるが、それらに限られない。更に追加的に、テストインジケータの分析結果は印刷されたり、インジケータアナライザ(102、800、950)内にローカルレベルで保存されたり、通信ハブ(104)を介して滅菌庫(100)に送信されたり、かつ/又は通信ハブ(104)を介してリモートのサーバー(106)に送信されたりし得る。
【0072】
逆に、インジケータの分析(ブロック250)が、インジケータ(700)が汚染菌について陽性であるということを示した場合には、システムは、インジケータ(700)が不合格となったと判定し(ブロック260)、その不合格を反映するように、インジケータアナライザ(102、800、950)のウェル表示を更新し得る(ブロック262)ようになっている。特定のウェル内のインジケータ(700)が不合格となったことをユーザーに示すため、及びユーザーから、不合格の確認又は認知を受け取るためのインターフェイスが表示され得る。
【0073】
インジケータ(700)が不合格になった(ブロック260)後、ユーザーに対して追加的な情報及びガイダンスを提供するため、インターフェイスがユーザーに対して表示され得る。審査及び事後点検目的で、ユーザーの識別情報を受け入れる(ブロック264)ため、更に、汚染された設備に対する検疫と再滅菌の手順についての追加的なガイダンスを提供する(ブロック266)ため、別のインターフェイスがユーザーに対して表示され得る。ユーザーの識別情報(ブロック264)は、管理者が、後に、検疫の手順が正しく守られたということを確認したくなった場合に有益であり得る。
【0074】
ユーザーからの、検疫の手順又は指示を読み、承認したという確認を受け入れるために、インターフェイスが表示され得る(ブロック266)。次に、不合格となったインジケータを取り外すようユーザーに指示するために、インジケータアナライザ(102、800、950)がユーザーインターフェイスを表示させ得る。インジケータアナライザ(102、800、950)は、インジケータアナライザ(102、800、950)のセンサを介して、インジケータが取り外されたことを検知し得る(ブロック268)が、それに対してテスト結果を表示し、送信し得る(ブロック270)。一部の形態では、結果が通信ハブ(104)により、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)から引き出されるように、インジケータアナライザ(102、800、950)から通信ハブ(104)に、通信ハブ(104)からのクエリに対して結果が送信される(ブロック270)。他の一部の形態では、結果は、通信ハブ(104)からのクエリを必要とせず、生物学的インジケータアナライザ(102、800、950)によって、通信ハブ(104)にプッシュ送信される(ブロック270)。
【0075】
テスト結果の詳細な言葉によるサマリを提供するためのインターフェイスが表示され得るが、それは、例えば、テストのタイプ、ロット番号、シリアル番号、ロットの有効期限、滅菌サイクルの情報、及び追加的情報のような情報を含み得る。不合格となったテストから生成された情報もまた、印刷されたり、インジケータアナライザ(102、800、950)にローカルで保存されたり、又は通信ハブ(104)を介して1つ以上のサーバー(106)及び滅菌庫(100)に送信されたりし得る。不合格となったテストから生成された情報は、滅菌庫(100)、サーバー(106)、又はその両者により、検疫され又は再滅菌される必要があり得る医療機器を特定するため、不具合のある滅菌庫(100)を特定するため、正しい滅菌手順を守っていないユーザーを特定するため、又は、サーバー(106)又は滅菌庫(100)に保存されている将来の滅菌サイクルの有効性を向上するために使用され得るデータとのその他の関連を特定するために使用され得る。
【0076】
C.例示的な酵素分析方法
既に論じたように、インジケータアナライザ(102、800、950)は、活性酵素が流体(732)中に存在しているかどうかを、流体(732)の蛍光発光を検知することにより判定するために、生物学的インジケータ(700)を分析するように構成されている。これは、光源(830)をアクティベートし、ウェル(810、954)内でのインキュベーション期間中の光源(830)からの発光に対して流体(732)中のいかなる蛍光発光をも検出するセンサ(840)を用いることによって実現される。
図17は、インジケータアナライザ(102、800、950)により検知された、ある期間(すなわちインキュベーション期間)にわたる、生物学的インジケータ(700)の第1のグループ(1200)の蛍光発光を示す。第1のグループ(1200)の生物学的インジケータ(700)は、滅菌庫(100)内で効果的ではない滅菌サイクルにかけられたものである。
図17においては、蛍光発光が、既知の測定単位である相対蛍光単位(RFUs)で示されている。図からわかるように、インキュベーション期間の初期に、蛍光発光の値は低下する。あくまでも例としてであるが、この蛍光発光の低下は、インジケータアナライザ(102、800、950)のウェル(810、954)中の流体(732)が加熱されることがその原因であり得る。この初期の低下の後、蛍光発光の値は、残りのインキュベーション期間にわたり上昇する。蛍光発光の値が上昇することは、第1のグループ(1200)のそれぞれの生物学的インジケータ(700)が、活性酵素を含むことを示す。したがって、第1のグループ(1200)の生物学的インジケータ(700)が受ける滅菌プロセスは、不合格となった。
【0077】
図18は、インジケータアナライザ(102、800、950)により検知された、ある期間(すなわちインキュベーション期間)にわたる、生物学的インジケータ(700)の第2のグループ(1202)の、蛍光発光を示す。第2のグループ(1202)の生物学的インジケータ(700)は、滅菌庫(100)内で効果的な滅菌サイクルにかけられたものである。
図18においても、蛍光発光は相対蛍光単位(RFUs)で示されている。図からわかるように、インキュベーション期間の初期に、蛍光発光の値は低下する。既に述べたように、この蛍光発光の低下は、インジケータアナライザ(102、800、950)のウェル(810、954)中の流体(732)が加熱されることがその原因であり得る。この初期の低下の後、蛍光発光の値は、残りのインキュベーション期間にわたり実質的に一定の値にとどまっている。蛍光発光の値が一定であることは、第2のグループ(1202)の生物学的インジケータ(700)のいずれにも、活性酵素が含まれていないことを示す。したがって、第2のグループ(1202)の生物学的インジケータ(700)が受ける滅菌プロセスは、成功裏に終わった。
【0078】
蛍光発光の値が低下するインキュベーション期間初期の後、生物学的インジケータ(700)の蛍光発光が上昇するかあるいは実質的に一定の値にとどまるかを判定するために、分析の結果が十分に信頼できる又は信用する価値があるようにするために、蛍光発光の値を相当の期間にわたってモニターすることが望ましい場合があり得る。言い換えると、蛍光発光の値が、活性酵素が存在するということを示す値まで上昇した(滅菌プロセスの不成功を示す)と、又は活性酵素が存在しないことを示す(滅菌プロセスの成功を示す)蛍光発光の値が実質的に一定にとどまっていたと、十分な確からしさをもって判定するためには、インキュベーション期間のうちの、蛍光発光の値が低下する初期の後、相当の期間にわたって蛍光発光の値をモニタリングするのを継続することが望ましいことがあり得る。エンドユーザーに満足可能な待ち時間を提供するために、分析を可能な限り素早く提供することにもまた、利害の衝突があり得る。したがって、生物学的インジケータ(700)の分析を、そのような分析の結果の信頼性を犠牲にせずにできるだけ素早く提供することは望ましいという場合があり得る。
【0079】
生物学的インジケータ(700)の分析をスピードアップするために、生成物の生成速度がその最高になる点を見出して、その最高速度を限界値と比較することは望ましい場合があり得る。酵素の濃度に対して基質が過剰であると、この最高速度は、存在する酵素の値、更にはそれにより滅菌サイクルの有効性と直接関連し得る。
【0080】
図17及び
図18に観察できるように、初期の低下後の曲線の傾斜は、かなりの程度一定である。
図19は、
図17及び
図18のデータの、15分あたり増加分の傾斜の変化を示す。
図19からわかるように、約20分後に傾斜は最高速度に到達し、その後、その値で2時間のインキュベーション期間維持される。読み取り値に幾分かのノイズはあるものの、20〜30分後以降は、傾斜は実質的に増加しない。
図19はまた、第1のグループ(1200)対第2のグループ(1202)で傾斜の最大値に差があることを明白に示す。特に、第1のグループ(1200)の平均最大傾斜は、10,000を超えるが、第2のグループ(1202)の平均最大傾斜は、約1,600である。この傾斜の違いは非常に大きいため、容易に、信頼性高く検出し得る。しかもこの傾斜の差は、かなり素早く(例えば、約20〜30分の時間で)検出され得る。
【0081】
前述のことに鑑みて、蛍光発光の絶対的な値だけを追跡するよりも、蛍光発光の値の変化に関連する傾斜を追跡することがより有益であり得る。傾斜を追跡することで、生物学的インジケータ(700)が、効果的な滅菌サイクル又は効果的でない滅菌サイクルのいずれにかけられたかを示す、比較的素早いが信頼性のある分析が提供され得る。この目的のため、インジケータアナライザ(102、800、950)内でインキュベーション期間が開始された後、インジケータアナライザ(102、800、950)は、当初生物学的インジケータ(700)の蛍光発光をモニターして、その傾斜を計算し得る。次に、インジケータアナライザ(102、800、950)はその傾斜を、限界値(例えば、1,600よりも大きいいずれかの数である、具体的には、2,000、5,000、7,500等)と比較し得る。傾斜が限界値よりも大きい場合には、インジケータアナライザ(102、800、950)は、活性酵素が生物学的インジケータ(700)内に存在すると結論し、本明細書に説明される、様々な滅菌プロセス不合格の通知のいずれかのトリガを引き得る。傾斜が限界値よりも小さい場合には、インジケータアナライザ(102、800、950)は、傾斜が最大値に到達するまで傾斜のモニターを継続し得る。あくまでも例としてであるが、傾斜が最大値に到達するには、約20〜30分かかり得る。この段階でもまだ傾斜が限界値よりも小さい場合には、インジケータアナライザ(102、800、950)は、活性酵素が生物学的インジケータ(700)内に存在しないと結論し、本明細書に説明される、様々な滅菌プロセス成功の通知のいずれかのトリガを引き得る。
【0082】
前述の例は、生物学的インジケータ(700)内の流体(732)の蛍光発光をモニターするという文脈で提供されているが、同じ概念が、流体(732)中の活性酵素の存在に基づいて変化する、他の検出可能なパラメータに対してもいつでも適用され得る(例えば、虹色の発光、吸光度等)ということを理解すべきである。同様に、前述の例は、滅菌庫(100)内での滅菌プロセスを受けた生物学的インジケータ(700)という文脈で提供されたが、同じ概念が、酵素反応を用いる任意の滅菌方法に対しても、及び/又は様々な他の種類の酵素検出の文脈においてもいつでも適用され得るということを理解すべきである。
【0083】
図20及び
図21は、活性酵素が生物学的インジケータ(700)の流体(732)内に存在するかどうかを判定するための、追加的で、例示的な方法を例示するための経時的な蛍光発光(単位はRFU)の追加的プロットを示す。
図17〜
図19に関して既に説明した方法と同様に、以下に説明する方法は、インジケータアナライザ(102、800、950)を用いて実行され得る。
図20及び
図21に関連する方法は、蛍光発光の値が初期の低下(例えば、ウェル(810、954)内の流体(732)の加熱を一因とする)を見せるインキュベーションプロセス初期と関連する蛍光発光データを取り除くことを目的とする。以下に続く例の双方で、変数t’は、蛍光発光の値が初期の低下を完了する時間として定義される。
【0084】
図20に示されるグラフにおいては、曲線(1210)は、活性酵素を有する(有効でない滅菌サイクルを示す)生物学的インジケータ(700)と関連するプロットであるが、曲線(1212)は、活性酵素がない(有効である滅菌サイクルを示す)生物学的インジケータ(700)と関連するプロットである。直線(1214)は、生物学的インジケータ(700)の初期蛍光発光と関連する値で、x軸(時間を表す)に平行に引かれた水平線である。
図20に示した積分式の下限t
1は、直線(1214)が曲線(1210、1212)と交差する点で取っている。テストの統計量は、
図20に示される積分式により与えられる。
【0085】
図21に示されるグラフにおいては、曲線(1210)は、活性酵素を有する(有効でない滅菌サイクルを示す)生物学的インジケータ(700)と関連するプロットであるが、曲線(1212)はここでも、活性酵素がない(有効である滅菌サイクルを示す)生物学的インジケータ(700)と関連するプロットである。直線(1214)はここでも、生物学的インジケータ(700)の初期蛍光発光と関連する値で、x軸(時間を表す)に平行に引かれた水平線である。ここでも、
図21に示した積分式の下限t
1は、直線(1214)が曲線(1210、1212)と交差する点で取っている。しかしながらこの例においては、t’は、負のエリアの面積(1220)(すなわち、線(1214)より下方の部分の面積で、t
1に至るまでの範囲)が半分になる時間として定義されるか、あるいは、負のエリアの(1220)図心の時間として定義される。このことは、曲線(1210、1212)における精密な最小値を見つけることを必要としないが、それでもなお、生物学的に妥当な光度又は蛍光発光が開始する積分開始点を与える。次に、テストの統計値を生成するため、インキュベーション期間分析サイクルの終了を表す光度又は蛍光発光に対する積分が、t
1〜t
fの範囲で実施される。図示されるように、これは、曲線(1210、1212)と新たな水平線(1216)との間の面積を決定する。この水平線は、x軸に平行であり、かつ時間t’と関連する最小の蛍光発光の値と関連する値で引かれている。
【0086】
テストの統計値が、
図20に関連して既に説明した方法を用いて評価されるか、
図21に関連して既に説明した方法を用いて評価されるかに関わらず、テストの統計値は、所定の限界値と比較し得る。限界値は、生物学的インジケータ(700)が活性酵素を含んでいるか、含んでいないかを示す閾値として機能するようになっている。曲線(1210)は、限界値を超えるテストの統計値を与えるようになっていて、有効ではない滅菌サイクルを示し、曲線(1212)は限界値を下回るテストの統計値を与えるようになっていて、有効な滅菌サイクルを示すということを理解すべきである。上述の方法にしたがって積分を実行するために、「台形法」が用いられ得るということも理解すべきである。本明細書に説明された目的のために限界値を特定し得る様々な好適な方法が、当業者には明らかになるであろう。また、生物学的インジケータ(700)の蛍光発光は、他の手法を用いて分析され得るということも理解すべきである。
【0087】
V.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない点は理解されるべきである。一切の放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると思料される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の要素を省略し得ることも思料される。したがって、本発明者によって、又は本発明者の利益となる継承者によって、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は要素のいずれも死活的に重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される要素以外の更なる要素を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる要素は、特許性に関連するいずれの理由によって追加されたものとしても仮定されるべきではない。
【実施例】
【0088】
(実施例1)
医療機器を処理する方法であって、その方法は、(a)複数の利用可能な滅菌サイクルから特定の滅菌サイクルを選ぶユーザーからの入力を受け付けること、(b)選択された滅菌サイクルに関連する、特定の種類の生物学的インジケータを識別すること、(c)医療機器と識別された生物学的インジケータとを滅菌庫の滅菌室の中に配置するようユーザーに指示すること、(d)選択された滅菌サイクルを滅菌室内の医療機器に対して実施すること、及び(e)選択された滅菌サイクルを実施した後に、識別された生物学的インジケータが何らかの生物を含有するかどうかを判定すること、を含む方法。
【0089】
(実施例2)
識別された生物学的インジケータが何らかの生物を含有するかどうかを判定する行為が、識別された生物学的インジケータに関連する蛍光発光を評価することを含む、実施例1に記載の方法。
【0090】
(実施例3)
識別された生物学的インジケータが何らかの生物を含有するかどうかを判定する行為は、識別された生物学的インジケータが生物を含有するということを示し、その方法は、識別された生物学的インジケータが生物を含有するとユーザーに通知することを更に含む、実施例1又は2に記載のいずれか一方又は両方の方法。
【0091】
(実施例4)
識別された生物学的インジケータが生物を含有するとユーザーに通知する行為が、滅菌庫を介して実施される、実施例3に記載の方法。
【0092】
(実施例5)
識別された生物学的インジケータが何らかの生物を含有するかどうかを判定する行為は、生物学的インジケータアナライザを用いて実施され、生物学的インジケータアナライザは滅菌庫とは別体である、実施例1〜4のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0093】
(実施例6)
生物学的インジケータアナライザであって、(a)それぞれのウェルがそれぞれ1つの生物学的インジケータを受容するよう構成される複数のウェル、(b)それぞれの生物検出機能部が、複数のウェルのうちの対応するウェル内に配設された生物学的インジケータが生物を包含しているかどうかを検出するよう構成されている複数の生物検出機能部、及び(c)ユーザーからの入力を受け付け、生物学的インジケータ分析の状況を示す情報をユーザーに提供するよう構成されているタッチスクリーンを備える、生物学的インジケータアナライザ。
【0094】
(実施例7)
生物検出機能部が、(i)ウェル内に配設された生物学的インジケータに向けて光を発するように構成されている光源、及び(ii)ウェル内に配設された生物学的インジケータからの蛍光発光を検出するように構成されているセンサを備える、実施例6に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0095】
(実施例8)
通信ポートを更に備え、その通信ポートは、生物学的インジケータ分析の結果を、生物学的インジケータアナライザから遠くに位置するデバイスに通信するよう構成される、実施例6又は7のいずれか一方又は両方に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0096】
(実施例9)
複数のインジケータセンサを更に備え、それぞれのインジケータセンサは、インジケータが複数のウェルのうちの対応するウェルに配置されているかどうかを判定するように構成されている、実施例6〜8のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0097】
(実施例10)
(a)ユーザーからウェル選択とインジケータ選択とを受け入れて、かつ、それに応じて、インジケータ選択に関連するインジケータロットについて対照例インジケータがテストされたかどうかを判定するためのクエリを、リモートのサーバーに発し、かつ対照例インジケータがテストされていない場合には、タッチスクリーンを介してユーザーに対照例通知を表示するように構成されているプロセッサ、及び(b)プロセッサと通信するメモリを更に備える、実施例6〜9のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0098】
(実施例11)
対照例インジケータがウェル内に既に配置されているのを検出し、対照例インジケータをインキュベートし、かつ対照例インジケータを分析して、生物学的汚染が存在しているかどうかを判定し、生物学的汚染が存在する場合には、対照例インジケータテストが成功裏に実施されたことを示し、対照例インジケータをインジケータの選択と関連付ける通知を、タッチスクリーンを介して表示するように、プロセッサが更に構成されている、実施例10に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0099】
(実施例12)
生物学的汚染が対照例インジケータ内に存在しない場合に、インジケータロットからの第2の対照例インジケータを、異なるウェルでテストしなければならないという通知を表示するように、プロセッサが更に構成されている、実施例11に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0100】
(実施例13)
(a)ユーザーがインジケータをウェルに配置する意図があると示す信号を受信したのに応じて、化学的インジケータガイドを、タッチスクリーンを介して表示するよう更に構成されているプロセッサを更に備え、化学的インジケータガイドは、元々の化学的インジケータと、滅菌後の化学的インジケータとを表示するように構成され、プロセッサは、インジケータの化学的インジケータが、元々の化学的インジケータ又は滅菌後の化学的インジケータにマッチしているかを示す、ユーザーからの選択を受け入れるように更に構成されており、かつ(b)プロセッサと通信可能なメモリを更に備える、実施例6〜12のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0101】
(実施例14)
(a)ユーザーがインジケータをウェルに配置する意図があると示す信号を受信したのに応じて、インジケータアクティベーションガイドを、タッチスクリーンを介して表示するよう更に構成されているプロセッサを更に備え、インジケータアクティベーションガイドは、インジケータのガラスアンプルを破壊し、アンプルの化学溶液を生物学的材料と混合するための指示のセットを表示するように構成され、プロセッサは、ガラスのアンプルが破壊されているかどうか、及び化学溶液が混合されたかどうかを示す、ユーザーからの選択を受け入れるように更に構成され、かつ(b)プロセッサと通信可能なメモリを更に備える、実施例6〜13のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0102】
(実施例15)
(a)それぞれのウェルをグラフィカルに表現したものを、タッチスクリーンを介して表示するように構成されたプロセッサを更に備え、そのグラフィカルに表現したものは、インジケータが対応するウェル内に存在するかどうか、対応するウェル内のインジケータに対して現在実施中のテストの残り時間、及び対応するウェル内で実行中のテストは成功裏に終わったか又は不合格に終わったかを示すように構成され、かつ(b)プロセッサと通信可能なメモリを更に備える、実施例6〜14のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0103】
(実施例16)
(a)失敗したインジケータテストに応じて、インジケータアナライザユーザーからの識別情報を受信し、ユーザーから不合格の認知を受信し、タッチスクリーンを介してユーザーに検疫の指示のセットを表示し、不合格になったインジケータに関連する1つ以上の外科手術用器具を特定するためにリモートのサーバーにアクセスし、かつ不合格になったインジケータに関連する1つ以上の外科手術用器具の説明を含む通知を生成するように構成されているプロセッサと、(b)プロセッサと通信可能なメモリと、を更に備える、実施例6〜15のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0104】
(実施例17)
インジケータスキャナーを更に備え、そのインジケータスキャナーは、生物学的インジケータからインジケータ識別情報を読み取り、かつインジケータ識別情報に基づいて、インジケータデータセットを決定するように動作可能であり、インジケータデータセットが、固有の識別子とインジケータ履歴を含む、実施例6〜16のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0105】
(実施例18)
インジケータスキャナーは、光学的読み取り器、及び無線式読み取り器からなる群から選択される、実施例17に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0106】
(実施例19)
プロセッサ及び通信ポートを更に備え、プロセッサは、分析結果のセットをサーバーに通信ポートを介して提供するように構成され、分析結果は、結果データと固有の識別子のセットを含む、実施例17又は18のいずれか一方又は両方に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0107】
(実施例20)
ウェルを画定し、生物検出機能部を含むハウジングを更に備え、ハウジングは、ハウジングを表面の上に支持するように構成されているベースを提供し、タッチスクリーンは、ベースに対して斜めに向けられている、実施例6〜19のいずれか1つ以上に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0108】
(実施例21)
生物学的インジケータをインジケータアナライザで分析する方法であって、その方法は、(a)指示を、インジケータアナライザのタッチスクリーンを介してユーザーに提示すること、(b)生物学的インジケータを、インジケータアナライザ内の複数のウェルから選択されたウェル内に受け入れること、(c)選択されたウェル内の生物学的インジケータを分析することであって、分析する行為は、選択されたウェル内の生物学的インジケータに関連する蛍光発光を評価することを含む、分析すること、(d)タッチスクリーンを介して分析の結果を表示すること、及び(e)分析の結果が生物学的インジケータが滅菌されていないと示す場合に、検疫の手順を開始すること、を含む方法。
【0109】
(実施例22)
生物学的インジケータ分析の対照例状況を検証することは、(i)生物学的インジケータに関連するロットを特定すること、(ii)そのロットについて、対照例が実行されたかどうかを判定すること、及び(iii)そのロットについて、対照例が実行されなかった場合には、(A)ユーザーに、対照例インジケータを、生物学的インジケータアナライザのウェルに配置させるための指示を表示すること、(B)対照例に対して対照例用分析を実行すること、(C)対照例用分析が初めて不合格になる場合には、ユーザーに、生物学的インジケータの対照例状況の検証を、別のウェルを用いて反復させる指示を表示すること、及び(D)対照例分析が2度目の不合格となった場合には、ユーザーに、生物学的インジケータの対照例状況の検証を、別のロットを用いて反復させる指示を表示すること、を実行する、実施例21に記載の方法。
【0110】
(実施例23)
生物学的インジケータ分析を実行することは、(i)ユーザーに、生物学的インジケータが滅菌サイクルにかけられたことを検証させる指示を表示すること、(ii)ユーザーに、生物学的インジケータの化学的アクティベーションを検証させる指示を表示すること、(iii)生物学的インジケータが、インジケータアナライザのウェル内に配置されたかどうかを判定すること、(iv)生物学的インジケータをインキュベートすること、(v)インジケータアナライザの光源から光を、生物学的インジケータに向けて放出すること、及び(vi)インジケータアナライザのセンサを用いて、生物学的インジケータからの蛍光発光を検出すること、を含む、実施例21又は22のいずれか一方又は両方に記載の方法。
【0111】
(実施例24)
検疫手順は、(i)汚染された可能性のある医療器具のセットを特定すること、及び(ii)汚染された可能性のある医療器具のセットの、汚染された可能性のある医療器具のそれぞれに対して、その汚染された可能性のある医療器具の責任者に通知を提供すること、を含む、実施例21〜23のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0112】
(実施例25)
(a)ユーザーに、生物学的インジケータを、インジケータアナライザのインジケータスキャナーを用いてスキャンさせる指示を表示すること、(b)インジケータの識別情報を生物学的インジケータから受け取ること、及び(c)固有の識別子とインジケータ履歴を含むインジケータデータセットを、インジケータ識別情報に基づいて決定すること、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【0113】
(実施例26)
生物学的インジケータをインジケータアナライザを用いて分析する方法であって、その方法は、(a)生物学的インジケータ分析の対照例状況を検証することを含むが、その検証は、(i)生物学的インジケータに関連するロットを特定すること、(ii)そのロットについて、対照例が実行されたかどうかを判定すること、及び(iii)そのロットについて、対照例が実行されなかった場合には、(A)ユーザーに、対照例インジケータを、生物学的インジケータアナライザのウェルに配置させるための指示を表示すること、(B)対照例に対して対照例用分析を実行すること、(C)対照例用分析が初めて不合格になる場合には、ユーザーに、生物学的インジケータの対照例状況の検証を、別のウェルを用いて反復させる指示を表示すること、及び(D)対照例分析が2度目の不合格となった場合には、ユーザーに、生物学的インジケータの対照例状況の検証を、別のロットを用いて反復させる指示を表示すること、によって実行され、かつその方法は、(b)生物学的インジケータ分析を実行することを含むが、その分析は、(i)ユーザーに、生物学的インジケータが滅菌サイクルにかけられたことを検証させる指示を表示すること、(ii)ユーザーに、生物学的インジケータの化学的アクティベーションを検証させる指示を表示すること、(iii)生物学的インジケータが、インジケータアナライザのウェル内に配置されたかどうかを判定すること、(iv)生物学的インジケータをインキュベートすること、(v)インジケータアナライザの光源から光を、生物学的インジケータに向けて放出すること、及び(vi)インジケータアナライザのセンサを用いて、生物学的インジケータからの蛍光発光を検出すること、によって実行され、かつその方法は(c)生物学的インジケータ分析の結果を配布すること、及び(d)生物学的インジケータ分析の結果が、生物学的インジケータが滅菌されていないと示す場合に検疫の手順を開始すること、を含む。
【0114】
VI.その他
本明細書に参照により組み込まれると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、援用文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0115】
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、別の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記で論じた実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0116】
〔実施の態様〕
(1) 生物学的インジケータアナライザであって、
(a)対応する生物学的インジケータを受け入れるようにそれぞれが構成されている複数のウェル、
(b)前記複数のウェルのうちの対応するウェル内に配設される生物学的インジケータが生物を含有するかどうかを検出するようにそれぞれが構成されている、複数の生物検出機能部、及び
(c)ユーザーの入力を受け付け、かつ生物学的インジケータ分析の状況を示す情報を前記ユーザーに提供するように構成されているタッチスクリーン、を備える、生物学的インジケータアナライザ。
(2) 前記生物検出機能部が、
(i)前記ウェル内に配設された生物学的インジケータに向かって光を放出するように構成されている光源、及び
(ii)前記ウェル内に配設された生物学的インジケータからの蛍光発光を検出するように構成されているセンサ、を備える、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(3) 生物学的インジケータ分析の結果を、前記生物学的インジケータアナライザから遠くに位置するデバイスに通信するように構成されている通信ポートを更に備える、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(4) 複数のインジケータセンサを更に備え、それぞれのインジケータセンサは、インジケータが前記複数のウェルのうちの対応するウェルに配置されているかどうかを判定するように構成されている、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(5) (a)ユーザーからウェル選択とインジケータ選択とを受け入れて、かつ、それに応じて、前記インジケータ選択に関連するインジケータロットについて対照例インジケータがテストされたかどうかを判定するためのクエリを、リモートのサーバーに発し、かつ対照例インジケータがテストされていない場合には、前記タッチスクリーンを介して前記ユーザーに対照例通知を表示するように構成されているプロセッサ、及び
(b)前記プロセッサと通信するメモリ、を更に備える、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0117】
(6) 対照例インジケータがウェル内に既に配置されているのを検出し、前記対照例インジケータをインキュベートし、かつ前記対照例インジケータを分析して、生物学的汚染が存在しているかどうかを判定し、生物学的汚染が存在する場合には、前記対照例インジケータテストが成功裏に実施されたことを示し、前記対照例インジケータを前記インジケータ選択と関連付ける通知を、前記タッチスクリーンを介して表示するように、前記プロセッサが更に構成されている、実施態様5に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(7) 生物学的汚染が前記対照例インジケータ内に存在しない場合に、前記インジケータロットからの第2の対照例インジケータを、異なるウェルで実行しなければならないという通知を表示するように、前記プロセッサが更に構成されている、実施態様6に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(8) (a)ユーザーがインジケータをウェルに配置する意図があると示す信号を受信したのに応じて、化学的インジケータガイドを、前記タッチスクリーンを介して表示するよう更に構成されているプロセッサを更に備え、前記化学的インジケータガイドは、元々の化学的インジケータと、滅菌後の化学的インジケータとを表示するように構成され、前記プロセッサは、前記インジケータの前記化学的インジケータが、前記元々の化学的インジケータ又は前記滅菌後の化学的インジケータにマッチしているかどうかを示す、ユーザーからの選択を受け入れるように更に構成されており、かつ
(b)前記プロセッサと通信するメモリを更に備える、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(9) (a)ユーザーがインジケータをウェルに配置する意図があると示す信号を受信したのに応じて、インジケータアクティベーションガイドを、前記タッチスクリーンを介して表示するよう更に構成されているプロセッサを更に備え、前記インジケータアクティベーションガイドは、前記インジケータのガラスアンプルを破壊し、前記アンプルの化学溶液を前記生物学的材料と混合するための指示のセットを表示するように構成され、前記プロセッサは、前記ガラスアンプルが破壊されているかどうか、及び前記化学溶液が混合されたかどうかを示す、ユーザーからの選択を受け入れるように更に構成され、かつ
(b)前記プロセッサと通信するメモリを更に備える、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(10) (a)それぞれのウェルをグラフィカルに表現したものを、前記タッチスクリーンを介して表示するように構成されたプロセッサを更に備え、前記グラフィカルに表現したものは、インジケータが前記対応するウェル内に存在するかどうか、対応するウェル内のインジケータに対して現在実施中のテストの残り時間、及び対応するウェル内で実行中のテストは成功裏に終わったか又は失敗に終わったかを示すように構成され、かつ
(b)前記プロセッサと通信するメモリを更に備える、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0118】
(11) (a)失敗したインジケータテストに応じて、前記インジケータアナライザのユーザーからの識別情報を受信し、前記ユーザーから前記失敗の認知を受信し、前記タッチスクリーンを介して前記ユーザーに検疫の指示のセットを表示し、前記失敗したインジケータに関連する1つ以上の外科手術用器具を特定するためにリモートのサーバーにアクセスし、かつ前記失敗したインジケータに関連する前記1つ以上の外科手術用器具の説明を含む通知を生成するように構成されているプロセッサ、及び
(b)前記プロセッサと通信するメモリ、を更に備える、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(12) インジケータスキャナーを更に備え、前記インジケータスキャナーは、前記生物学的インジケータからインジケータ識別情報を読み取り、かつ前記インジケータ識別情報に基づいて、インジケータデータセットを決定するように動作可能であり、前記インジケータデータセットが、固有の識別子とインジケータ履歴を含む、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(13) インジケータスキャナーは、光学的読み取り器、及び無線式読み取り器からなる群から選択されている、実施態様12に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(14) プロセッサ及び通信ポートを更に備え、前記プロセッサは、分析結果のセットをサーバーに前記通信ポートを介して提供するように構成され、前記分析結果は、結果データと前記固有の識別子とのセットを含む、実施態様12に記載の生物学的インジケータアナライザ。
(15) 前記ウェルを画定し、前記生物検出機能部を含むハウジングを更に備え、前記ハウジングは、前記ハウジングを表面の上に支持するように構成されているベースを提供し、前記タッチスクリーンは、前記ベースに対して斜めに向けられている、実施態様1に記載の生物学的インジケータアナライザ。
【0119】
(16) 生物学的インジケータをインジケータアナライザを用いて分析する方法であって、
(a)指示を、前記インジケータアナライザのタッチスクリーンを介してユーザーに提示すること、
(b)生物学的インジケータを、前記インジケータアナライザ内の複数のウェルから選択されたウェル内に受け入れること、
(c)前記選択されたウェル内の前記生物学的インジケータを分析することであって、前記分析する行為は、前記選択されたウェル内の前記生物学的インジケータに関連する蛍光発光を評価することを含む、分析すること、
(d)前記タッチスクリーンを介して前記分析の結果を表示すること、及び
(e)前記分析の前記結果が、前記生物学的インジケータは滅菌されていないと示す場合には、検疫手順を開始すること、を含む、方法。
(17) 前記生物学的インジケータ分析を実行することは、
(i)ユーザーに、前記生物学的インジケータが滅菌サイクルにかけられたことを検証させる指示を表示すること、
(ii)ユーザーに、前記生物学的インジケータの化学的アクティベーションを検証させる指示を表示すること、
(iii)前記生物学的インジケータが、前記インジケータアナライザのウェル内に配置されたかどうかを判定すること、
(iv)前記生物学的インジケータをインキュベートすること、
(v)前記インジケータアナライザの光源から光を、前記生物学的インジケータに向けて放出すること、及び
(vi)前記インジケータアナライザのセンサを用いて、前記生物学的インジケータからの蛍光発光を検出すること、を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記検疫手順は、
(i)汚染された可能性のある医療器具のセットを特定すること、及び
(ii)前記汚染された可能性のある医療器具の前記セットの、汚染された可能性のある医療器具のそれぞれに対して、その汚染された可能性のある医療器具の責任者に通知を提供すること、を含む、実施態様16に記載の方法。
(19) (a)ユーザーに、前記生物学的インジケータを、前記インジケータアナライザのインジケータスキャナーを用いてスキャンさせる指示を表示すること、
(b)インジケータ識別情報を前記生物学的インジケータから受け取ること、及び
(c)固有の識別子とインジケータ履歴を含むインジケータデータセットを、前記インジケータ識別情報に基づいて決定すること、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 生物学的インジケータをインジケータアナライザを用いて分析する方法であって、
(a)生物学的インジケータ分析の対照例状況を検証することであって、
(i)前記生物学的インジケータに関連するロットを特定すること、
(ii)前記ロットについて、対照例が実施されたかどうかを判定すること、及び
(iii)前記ロットについて、前記対照例が実施されていなかった場合には、
(A)ユーザーに、対照例インジケータを、前記生物学的インジケータアナライザのウェル内に配置させる指示を表示し、
(B)前記対照例について、対照例分析を実施し、
(C)前記対照例分析が初めて不合格になった場合には、前記ユーザーに、前記生物学的インジケータの前記対照例状況の検証を、別のウェルを用いて反復させる指示を表示し、かつ
(D)前記対照例分析が2度目の不合格となった場合には、前記ユーザーに、前記生物学的インジケータの前記対照例状況の検証を、別のロットを用いて反復させる指示を表示すること、により、生物学的インジケータ分析の対照例状況を検証すること、
(b)前記生物学的インジケータ分析を実行することであって、
(i)ユーザーに、前記生物学的インジケータが滅菌サイクルにかけられたことを検証させる指示を表示すること、
(ii)ユーザーに、前記生物学的インジケータの化学的アクティベーションを検証させる指示を表示すること、
(iii)前記生物学的インジケータが、前記インジケータアナライザのウェル内に配置されたかどうかを判定すること、
(iv)前記生物学的インジケータをインキュベートすること、
(v)前記インジケータアナライザの光源から光を、前記生物学的インジケータに向けて放出すること、及び
(vi)前記インジケータアナライザのセンサを用いて、前記生物学的インジケータからの蛍光発光を検出すること、により、前記生物学的インジケータ分析を実行すること、
(c)前記生物学的インジケータ分析の結果を配布すること、並びに
(d)前記生物学的インジケータ分析の前記結果が前記生物学的インジケータは滅菌されていないと示す場合には、検疫手順を開始すること、を含む方法。