(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列された複数の吐出口列を有し、前記複数の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された記録ヘッドと、
記録される画像の各画素に対するインクの吐出あるいは非吐出を示す画像データと、当該画像の属性を示す属性情報と、を取得する取得手段と、
前記属性情報に基づいて前記画像データを複数の吐出口列に分配することにより、複数の吐出口列それぞれに対応する記録データを生成する生成手段と、
前記記録データにしたがって前記複数の吐出口列からインクを吐出するように記録動作を制御する制御手段と、
を有する記録装置であって、
前記複数の吐出口列は、
各吐出口が第1の距離ごとに配列された第1の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さい第2の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第2の吐出口列と、
を少なくとも含み、
前記属性情報が第1の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分は、前記属性情報が前記第1の属性とは異なる第2の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分よりも大きく、
前記第1の属性は前記画像が文字画像または線画画像であることを示し、前記第2の属性は前記画像がイメージ画像であることを示すことを特徴とする記録装置。
前記属性情報が前記第2の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおいて、前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率は実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
前記属性情報が前記第1の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおいて、前記第2の吐出口列の記録比率は実質的に0%であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
前記属性情報が前記第1の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおいて、(i)所定のタイミングまでは前記第2の吐出口列の記録比率は実質的に0%であり、(ii)前記所定のタイミングからは前記第1の吐出口列の記録比率は実質的に0%であることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
前記記録データにおいて吐出不良が生じている不良吐出口からの吐出を示すデータが含まれる場合、前記複数の吐出口列のうちの当該不良吐出口が含まれる吐出口列とは異なる吐出口列に含まれる吐出口であって、当該不良吐出口と前記所定方向に対応する位置の吐出口を補完吐出口として、当該不良吐出口からの吐出を示すデータの補完記録を行うように、補完吐出口を決定する補完手段を更に有し、
前記補完手段は、前記不良吐出口が前記第1の吐出口列に含まれる場合、(i)前記属性情報が前記第2の属性を示す場合は、前記第2の吐出口列内の吐出口を補完吐出口として決定することが可能か否かを判定し、(ii)前記属性情報が前記第1の属性を示す場合は、前記第2の吐出口列内の吐出口を補完吐出口として決定しないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
前記画像データは、各画素に対するインクの吐出または非吐出を定める1bitの情報と、各画素における属性を示す1bitの情報と、から構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録装置。
前記第2の距離は、前記記録データの前記所定方向の解像度に対応する隣接する2画素の距離よりも小さいことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録装置。
インクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列された複数の吐出口列を有し、前記複数の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された記録ヘッドを用いて記録を行う記録方法であって、
記録される画像の各画素に対するインクの吐出あるいは非吐出を示す画像データと、当該画像の属性を示す属性情報と、を取得する取得工程と、
前記属性情報に基づいて前記画像データを複数の吐出口列に分配することにより、複数の吐出口列それぞれに対応する記録データを生成する生成工程と、
前記記録データにしたがって前記複数の吐出口列からインクを吐出するように記録動作を制御する制御工程と、
を有し、
前記複数の吐出口列は、
各吐出口が第1の距離ごとに配列された第1の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さい第2の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第2の吐出口列と、
を少なくとも含み、
前記属性情報が第1の属性を示す場合に前記生成工程において生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分が、前記属性情報が前記第1の属性とは異なる第2の属性を示す場合に前記生成工程において生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分よりも大きく、
前記第1の属性は前記画像が文字画像または線画画像であることを示し、前記第2の属性は前記画像がイメージ画像であることを示すことを特徴とする記録方法。
インクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列された複数の吐出口列を有し、前記複数の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された記録ヘッドと、
記録される画像の各画素に対するインクの吐出あるいは非吐出を示す画像データと、当該画像の属性を示す属性情報と、を取得する取得手段と、
前記属性情報に基づいて前記画像データを複数の吐出口列に分配することにより、複数の吐出口列それぞれに対応する記録データを生成する生成手段と、
前記記録データにしたがって前記複数の吐出口列からインクを吐出するように記録動作を制御する制御手段と、
を有する記録装置であって、
前記複数の吐出口列は、
各吐出口が第1の距離ごとに配列された第1の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さい第2の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第2の吐出口列と、
を少なくとも含み、
前記属性情報が第1の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分は、前記属性情報が前記第1の属性とは異なる第2の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分よりも大きく、
前記第1の属性はエッジ部に対応することを示し、前記第2の属性は非エッジ部に対応することを示すことを特徴とする記録装置。
インクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列された複数の吐出口列を有し、前記複数の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された記録ヘッドを用いて記録を行う記録方法であって、
記録される画像の各画素に対するインクの吐出あるいは非吐出を示す画像データと、当該画像の属性を示す属性情報と、を取得する取得工程と、
前記属性情報に基づいて前記画像データを複数の吐出口列に分配することにより、複数の吐出口列それぞれに対応する記録データを生成する生成工程と、
前記記録データにしたがって前記複数の吐出口列からインクを吐出するように記録動作を制御する制御工程と、
を有し、
前記複数の吐出口列は、
各吐出口が第1の距離ごとに配列された第1の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さい第2の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第2の吐出口列と、
を少なくとも含み、
前記属性情報が第1の属性を示す場合に前記生成工程において生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分は、前記属性情報が前記第1の属性とは異なる第2の属性を示す場合に前記生成工程において生成される前記記録データにおける前記第1の吐出口列の記録比率と前記第2の吐出口列の記録比率の差分よりも大きく、
前記第1の属性はエッジ部に対応することを示し、前記第2の属性は非エッジ部に対応することを示すことを特徴とする記録方法。
インクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列された複数の吐出口列を有し、前記複数の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された記録ヘッドと、
記録される画像の各画素に対するインクの吐出あるいは非吐出を示す画像データと、当該画像の属性を示す属性情報と、を取得する取得手段と、
前記属性情報に基づいて前記画像データを複数の吐出口列に分配することにより、複数の吐出口列それぞれに対応する記録データを生成する生成手段と、
前記記録データにしたがって前記複数の吐出口列からインクを吐出するように記録動作を制御する制御手段と、
を有する記録装置であって、
前記複数の吐出口列は、
各吐出口が第1の距離ごとに配列された第1の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さい第2の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第2の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さく且つ前記第2の距離よりも大きい第3の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第3の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さく且つ前記第3の距離よりも大きい第4の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第4の吐出口列と、
を少なくとも含み、
前記記録ヘッドは、前記所定方向において、前記第1の吐出口列の吐出口、前記第2の吐出口列の吐出口、前記第3の吐出口列の吐出口、前記第4の吐出口列の吐出口の順番で繰り返し並ぶように、前記複数の吐出口列が配置され、
(i)前記属性情報が第1の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおいて、前記第1の吐出口列、前記第2の吐出口列、前記第3の吐出口列、前記第4の吐出口列それぞれの記録比率は実質的に等しく、且つ、(ii)前記属性情報が前記第1の属性とは異なる第2の属性を示す場合に前記生成手段により生成される前記記録データにおいて、前記第2の吐出口列及び前記第4の吐出口列それぞれの記録比率は実質的に0%であることを特徴とする記録装置。
インクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列された複数の吐出口列を有し、前記複数の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された記録ヘッドを用いて記録を行う記録方法であって、
記録される画像の各画素に対するインクの吐出あるいは非吐出を示す画像データと、当該画像の属性を示す属性情報と、を取得する取得工程と、
前記属性情報に基づいて前記画像データを複数の吐出口列に分配することにより、複数の吐出口列それぞれに対応する記録データを生成する生成工程と、
前記記録データにしたがって前記複数の吐出口列からインクを吐出するように記録動作を制御する制御工程と、
を有し、
前記複数の吐出口列は、
各吐出口が第1の距離ごとに配列された第1の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さい第2の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第2の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さく且つ前記第2の距離よりも大きい第3の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第3の吐出口列と、
前記第1の吐出口列に配列する複数の吐出口に対して前記所定方向において前記第1の距離よりも小さく且つ前記第3の距離よりも大きい第4の距離ずれて、各吐出口が前記第1の距離ごとに配列された第4の吐出口列と、
を少なくとも含み、
前記記録ヘッドは、前記所定方向において、前記第1の吐出口列の吐出口、前記第2の吐出口列の吐出口、前記第3の吐出口列の吐出口、前記第4の吐出口列の吐出口の順番で繰り返し並ぶように、前記複数の吐出口列が配置され、
(i)前記属性情報が第1の属性を示す場合に前記生成工程において生成される前記記録データにおいて、前記第1の吐出口列、前記第2の吐出口列、前記第3の吐出口列、前記第4の吐出口列それぞれの記録比率は実質的に等しく、且つ、(ii)前記属性情報が前記第1の属性とは異なる第2の属性を示す場合に前記生成工程において生成される前記記録データにおいて、前記第2の吐出口列及び前記第4の吐出口列それぞれの記録比率は実質的に0%であることを特徴とする記録方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置(以下、記録装置とも称する)の内部構成を示す図である。
【0015】
供給部101から供給される記録媒体Pは、搬送ローラ対103および104に挟持されながら、+X方向(搬送方向、交差方向)に所定の速度で搬送され、排出部102より排出される。上流側の搬送ローラ対103と下流側の搬送ローラ対104の間には、搬送方向に沿って記録ヘッド105〜108が並んで配列しており、記録データに従ってZ方向にインクを吐出する。記録ヘッド105、106、107、108は、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクを吐出する。また、それぞれのインクは不図示のチューブを介して記録ヘッド105〜109に供給されている。
【0016】
本実施形態において、記録媒体Pは供給部101にロール状に保持された連続紙であっても良いし、あらかじめ規格サイズに切断されたカット紙であっても良い。連続紙の場合は、記録ヘッド105〜108による記録動作が終了した後、カッタ109によって所定の長さに切断され、排出部102にてサイズごとに排紙トレイに分類される。
【0017】
図2は本実施形態における記録ヘッドを示す図である。なお、ここでは記録ヘッド105〜108のうちブラックインクの記録ヘッド108のみを示しているが、他の記録ヘッド105〜107についても記録ヘッド108と同様の構成である。また、記録ヘッドに配列された各吐出口30と対向する位置(記録ヘッドの内部)には記録素子として電気熱変換素子が設けられており、この電気熱変換素子を駆動することにより熱エネルギーを生成してインクの吐出動作を行う。また、電気熱変換素子ではなく圧電素子や静電素子、MEMS素子を用いることもできる。
【0018】
記録ヘッド108は、インクを吐出するための吐出口30がX方向と交差するY方向(配列方向、所定方向)に沿って配列された8列の吐出口列0〜7がX方向に並んで配置されている。ここでは簡単のため各吐出口列0〜17は16個の吐出口30から構成されている様子を示しているが、実際には各吐出口列0〜7は記録媒体のY方向における全幅を記録可能な範囲に吐出口30が配列されている。
【0019】
これらの吐出口列には、各吐出口が1インチ当たり600個の吐出口30が配置されるような解像度(以下、上記の解像度を600dpiと称する)で配置されている。そして、X方向に隣接する2つの吐出口列は、各吐出口の間隔がY方向に2400dpiの距離に対応する解像度だけずれるようにして配置されている。例えば、吐出口列0に対して吐出口列1は−Y方向側に2400dpiだけずれて配置され、吐出口列2は−Y方向側に1200(=2400/2)dpiだけずれて配置されている。したがって、記録ヘッド108は、吐出口列0と吐出口列4がY方向に同じ位置にドットを形成可能なように各吐出口列が配置されている。同様に、吐出口列1、5の組、吐出口列2、6の組、吐出口列3、7の組もまたそれぞれY方向に同じ位置にドットを形成可能となっている。
【0020】
ここで、以降の説明では
図2の左側に示したように、各吐出口列0〜7のY方向に対応する位置に配列された8つの吐出口を同じsegに属する吐出口として分類して説明する。例えば、各吐出口列0〜7の+Y方向側端部に位置する8つの吐出口30はseg0と、−Y方向側端部に位置する8つの吐出口30はseg15と分類する。
【0021】
図3は本実施形態における記録制御系を示すブロック図である。
【0022】
記録装置内の記録制御系13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
ホスト装置HC1では、記録画像の元になる原稿データが生成、あるいは保存される。ここでの原稿データは、例えば、文書ファイルや画像ファイル等の電子ファイルの形式で生成される。この原稿データは、上位装置HC2へ送信され、上位装置HC2では、受信した原稿データを記録制御系13で利用可能なデータ形式、例えばRGBで画像を表現するRGBデータに変換する。変換後のデータは、上位装置HC2から記録装置内の記録制御系13へ送信される。
【0023】
記録制御系13は、メインコントローラ13Aと、エンジンコントローラ13Bとに大別される。メインコントローラ13Aは、処理部131、記憶部132、操作部133、画像処理部134、通信I/F(インタフェース)135、バッファ136および通信I/F137を含む。
【0024】
処理部131は、CPU等のプロセッサであり、記憶部132に記憶されたプログラムを実行し、メインコントローラ13A全体の制御を行う。記憶部132は、RAM、ROM、ハードディスク、SSD等の記憶デバイスであり、処理部131が実行するプログラムや、データを格納し、また、処理部131にワークエリアを提供する。操作部133は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力デバイスであり、ユーザの指示を受け付ける。
【0025】
画像処理部134は例えば画像処理プロセッサを有する電子回路である。バッファ136は、例えば、RAM、ハードディスクやSSDである。通信I/F135は上位装置HC2との通信を行い、通信I/F137はエンジンコントローラ13Bとの通信を行う。
図3において破線矢印は、記録制御系13に入力されたデータの処理の流れを例示している。上位装置HC2から通信IF135を介して受信されたデータは、バッファ136に蓄積される。画像処理部134はバッファ136からデータを読み出し、読み出したデータに所定の画像処理を施してプリントエンジンが用いる記録データを生成し、再びバッファ136に格納する。
【0026】
そして、バッファ136に格納された画像処理後の記録データは、通信I/F137からエンジンコントローラ13Bへ送信される。その後、エンジンコントローラ13Bによって記録データに基づいて各記録ヘッド105〜108に設けられた記録素子が駆動され、記録動作が行われる。
【0027】
なお、ここでは処理部131や記憶部132、画像処理部134をそれぞれ1つずつ有している形態を記載したが、複数の処理部131や記憶部132、画像処理部134を有する形態であっても良い。
【0028】
(画像処理)
図4は本実施形態におけるデータ処理を実行する制御プログラムのフローチャートである。
【0029】
画像処理が開始されると、まずステップS1にて画像処理部134はバッファ136から読み出されたRGBデータを取得する。ここで、本実施形態ではRGBデータはRGB各値8bitで構成される。また、本実施形態ではRGBデータは600dpi×600dpiのデータ解像度を有している。
【0030】
次にステップS2にて、RGBデータを記録に用いるインクの色に対応するCMYKデータに変換する色変換処理を実行する。この色変換処理により、CMYK各値12bitで構成されるCMYKデータが生成される。
【0031】
次にステップS3にて、CMYKデータに対して量子化を行い、CMYK各値3bitで構成される量子化データを生成する。この量子化処理としては、ディザ法や誤差拡散法等を実行することができる。なお、本実施形態では量子化処理によって600dpiのデータ解像度を有する量子化データが生成される。
【0032】
一方、画像処理が開始されると、ステップS1〜S3と並行してステップS4において属性情報が取得される。ここで、属性情報とはその画素に対して記録する画像の属性が文字属性または細線属性であるか、またはそれ以外の属性(イメージ画像属性等)であるかを示す情報であり、1bitで構成されている。詳細には、ある画素に文字、細線が記録される場合には属性情報として「1」を、文字、細線以外が記録される場合には属性情報として「0」が取得されることになる。
【0033】
ここで、本実施形態ではRGBデータとは別に属性情報が取得されると記載したが、あらかじめRGBデータと属性情報が合成された形で取得されても良い。また、RGBデータに基づいて属性情報を生成するような形態であっても良い。
【0034】
これらの処理が終わると、ステップS5で、ステップS3にて量子化処理で生成されたCMYK各値3bitの量子化データとステップS4で取得された1bitの属性情報を合成し、CMYK各値4bitで構成される合成データを生成する。ここで、この合成データのデータ解像度は量子化データと同じであり、600dpi×600dpiである。
【0035】
次にステップS6で合成データに対してインデックス展開処理を行い、CMYK各1bitの情報と1bitの属性情報によって構成される画像データを2プレーン分生成する。ここで、本実施形態でのインデックス展開とは、合成データのうちの600dpi×600dpiの解像度であるCMYK各3bitの量子化データを、インデックスパターンを用いて、2プレーン分、1200dpi×1200dpiの解像度でCMYK各1bitに展開する処理である。ここで、上述の2プレーンのうちのプレーン1が吐出口列0〜3に、プレーン2が吐出口列4〜7にそれぞれ対応している。言い換えると、プレーン1に対応する画像データでインクの吐出が定められている場合、その画像データに基づいて吐出口列0〜3のいずれかで吐出が行われ、プレーン2に対応する画像データでインクの吐出が行われている場合、その画像データに基づいて吐出口列4〜7のいずれかで吐出が行われる。
【0036】
図5は本実施形態で用いるインデックスパターンを模式的に示す図である。このうち、
図5(a)は合成データのうちの量子化データに対応する3bitの情報が示すCMYK値(階調値)を示している。また、
図5(b)は吐出口列0〜3に対応するプレーン1に合成データを展開するために用いるインデックスパターンを示している。また、
図5(c)は吐出口列4〜7に対応するプレーン2に合成データを展開するために用いるインデックスパターンを示している。
【0037】
図5からわかるように、解像度が600dpi×600dpiの領域にレベル0の階調値の合成データが入力された場合、プレーン1、プレーン2ともに解像度が1200dpi×1200dpiの画素それぞれにインクの非吐出を示す「0」の値が定められる。次にレベル1の階調値の合成データが入力された場合、プレーン1の右下の画素にのみインクの吐出を示す「1」の値が定められる。次にレベル2の階調値の合成データが入力された場合プレーン1の右下の画素に加え、プレーン2の左上の画素にも「1」の値が定められる。
【0038】
以下、同様にして合成データの階調値が1つ大きくなるごとに、プレーン1、2いずれかで「1」の値が定められる画素の数が1つずつ多くなっていく。そして、最大のレベルであるレベル8の階調値の合成データが入力された場合には、プレーン1、2ともにすべての画素で「1」の値が定められることになる。
【0039】
上記のようにしてステップS6におけるインデックス展開処理が行われ、プレーン1、2それぞれにおいて1200dpi×1200dpiの解像度でのインクの吐出/非吐出を示す1bitの情報と、1bitの属性情報と、により構成される画像データが生成される。
【0040】
次にステップS7にてプレーン1、2における画像データが記録ヘッド内の吐出口列0〜7のいずれかに振り分けられる分配処理が行われ、記録に用いる記録データが生成される。ここで、本実施形態では記録データはCMYK各値1bitで構成され、1200dpi×1200dpiの解像度を有する。この分配処理については後に詳細に説明する。
【0041】
その後、ステップS8にてエンジンコントローラ13Bへの記録データの送信が行われ、記録データに基づく記録動作が行われる。
【0042】
なお、ここでは
図4に示すようにステップS1〜S3とステップS4が別々の過程で行われるような形態を記載したが、
図22に示すように、ステップS1〜S3の処理を行った後、ステップS4の処理を行うような形態であっても良い。また、ステップS4の処理を行うタイミングも異なっても良く、例えばステップS1、S2、S4、S3の順番で行っても良い。
【0043】
(画像の属性に応じた記録方法)
本実施形態では、画像の属性に応じて画像データに対して異なる分配処理を実行する。詳細には、画像の属性が文字属性または細線属性(以下、第1の属性とも称する)である場合には特定の吐出口列のみに画像データを分配する第1のマスクパターンを、イメージ画像属性等の文字属性、細線属性以外の属性(以下、第2の属性とも称する)である場合にはすべての吐出口列に画像データを分配する第2のマスクパターンを用いて分配処理を行う。ここで、本実施形態では上述の特定の吐出口列とは奇数番目の吐出口列1、3、5、7を指す。したがって、本実施形態では第1の属性の画像は奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみからの吐出で記録され、第2の属性の画像は吐出口列0〜7からの吐出で記録されることになる。
【0044】
図6は第1の属性の画像と第2の属性それぞれの画像を記録する際に分配処理を切り替えた際に形成されるドットを模式的に示す図である。なお、
図6のうちの無彩色で塗りつぶされた箇所がドットが形成される箇所を示している。また、無彩色が濃い(黒に近い)ほど多くの数のドットが重なって形成されていることを示している。なお、
図6(a)、(b)には互いに同じ数のドットが形成されている様子を示している。同様に、
図6(c)、(d)にも互いに同じ数のドットが形成されている様子を示している。
【0045】
図6(a)は第1の属性の画像(ここでは細線画像)を吐出口列2、3のうちの吐出口列3のみで記録した際に形成されるドットを、
図6(b)は第1の属性の画像を吐出口列2、3で分担して記録した際に形成されるドットをそれぞれ示している。
【0046】
図6(a)に示すように、吐出口列3のみを用いる場合にはドットはX方向に直線状に延びて形成される。したがって、鮮鋭性に優れた画像を記録することができる。
【0047】
一方、
図6(b)に示すように、吐出口列2、3で分担記録を行うと、ドットはX方向に沿ってジグザグ状に形成される。
図6(b)に示すドットのうち、−X方向から奇数番目のドットは吐出口列3から、偶数番目のドットは吐出口列2からそれぞれ形成される。
図2に示すように吐出口列2と吐出口列3はY方向に2400dpiだけずれて配置されている。したがって、吐出口列2、3から形成されるドットは記録データの解像度1200dpiよりは小さい(離間距離が短い)が、2400dpiはY方向に異なる位置に形成されてしまう。このため、ドットがジグザグ状に形成され、画像の鮮鋭性を損なってしまう。
【0048】
図6(a)、(b)から、細線や文字を記録する場合には奇数番目の吐出口列と偶数番目の吐出口列の一方のみを用いた方が画像の鮮鋭性を優れたものとすることができるため、好ましいことがわかる。
【0049】
一方、
図6(c)は第2の属性の画像(ここでは1200dpi×1200dpiの解像度の画素に対して2回ずつインクを吐出するようなイメージ画像)を奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみで記録した際に形成されるドットを、
図6(d)は第2の属性の画像をすべての吐出口列0〜7で分担して記録した際に形成されるドットをそれぞれ示している。なお、
図6(c)では同じ位置に対してインクが2回ずつ付与された場合について示しているが、簡単のため同じ位置に付与された2つのインクについても僅かに離間させて示している。
【0050】
図6(c)に示すように、奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみを用いると、各ドットの中心が1200dpi×1200dpiの画素の中心と一致するような位置にのみドットが形成される。例えば、
図6(c)に示す左上の画素には、吐出口列1からの1つと吐出口列5から1つとで合計2つのドットが同じ位置に形成されている。
【0051】
一方、
図6(d)に示すようにすべての吐出口列0〜7を用いると、半分のドットは中心が1200dpi×1200dpiの画素の中心と一致する位置に、残りの半分のドットは中心が1200dpi×1200dpiの画素の中心からY方向に2400dpiだけずれた位置に形成される。例えば、
図6(d)に示す左上の画素には、吐出口列0からの1つのドットと吐出口列1からの1つのドットとで合計2つのドットがY方向に2400dpiだけずれた位置に形成されている。
【0052】
ここで、
図6(c)、(d)を比較するとわかるように、
図6(c)では各位置でのドットの重なり数は2層、4層または8層のみであるのに対し、
図6(d)では位置において様々に異なる層数でドットの重なりが形成されている。したがって、
図6(d)ではドットの形成位置がずれた場合であっても、濃度変化が
図6(c)に示す場合よりも起こらないため、濃度むらを低減することができる。
【0053】
図6(c)、(d)から、イメージ画像等を記録する場合には、すべての吐出口列を用いた方が濃度むらの低減することができることがわかる。
【0054】
(分配処理の詳細)
以上の点を鑑み、本実施形態では画像の属性が第1の属性であるか第2の属性であるかに応じてステップS7における分配処理を異ならせ、記録に用いる吐出口列を異ならせる。詳細には、画像データの属性情報が第1の属性を示す場合には、画像の鮮鋭性を優れたものとするため、その画像データを奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみに分配する。また、画像データの属性情報が第2の情報を示す場合には、ドットの形成位置ずれに由来する濃度むらを低減するため、その画像データをすべての吐出口列0〜7に分配する。
【0055】
図7は本実施形態で用いる第1の属性(細線画像等)の画像データを処理する際に用いる第1のマスクパターン群を示す図である。また、
図8は本実施形態で用いる第2の属性(イメージ画像等)の画像データを処理する際に用いる第2のマスクパターン群を示す図である。なお、ここでは簡単のため、
図7、
図8ともにプレーン1、2のうちのプレーン1における画像データに対して適用するマスクパターン群のみを示している。また、
図7、
図8ともに、(a)〜(d)それぞれに吐出口列0〜3に対応するマスクパターンを示している。なお、
図7、
図8それぞれに示すマスクパターンのうち、黒く塗りつぶされた画素が画像データによってインクの吐出が定められている場合に吐出を許容する画素を、白抜けで示された画素が画像データによってインクの吐出が定められている場合であっても吐出を許容しない画素をそれぞれ示している。
【0056】
上述したように、本実施形態では第1の属性(細線画像等)を記録する場合には、奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみを用いてドットを形成する。プレーン1における画像データは吐出口列0〜3に対応するため、これらの吐出口列のうちの吐出口列1、3のみに画像データを分配する。したがって、本実施形態では、
図7(a)、(c)に示すように、吐出口列0、2に対応する第1のマスクパターンではインクの吐出の許容が定められていない。一方、
図7(b)、(d)に示すように、吐出口列1、3に対応する第1のマスクパターンでは全画素のうちのそれぞれ半数の画素にインクの吐出の許容が定められている。したがって、
図7に示す第1のマスクパターン群を用いると、プレーン1の画像データを吐出口列0、2には分配せず、吐出口列1、3にのみ分配することが可能となる。
【0057】
一方、第2の属性(イメージ画像等)を記録する場合には、吐出口列0〜7のすべてを用いてドットを形成する。したがって、本実施形態では第2の属性の画像データを処理する場合には吐出口列0〜3に対応する画像データを吐出口列0〜3のすべてに分配する。このため、本実施形態では、
図8(a)〜(d)に示すように、吐出口列0〜3に対応する第2のマスクパターンにおいてそれぞれ25%ずつの画素にインクの吐出の許容を定めている。したがって、
図8に示す第2のマスクパターン群を用いることにより、プレーン1の画像データを吐出口列0〜3のすべてに分配することができる。
【0058】
このように、本実施形態では画像データの属性情報に応じて分配処理で用いるマスクパターンを切り替えることにより、それぞれの属性に適した記録方法で記録を行う。また、
図7、8には一例として4画素×4画素の領域からなるマスクパターンを示しているが、上述したようなマスクパターンであればサイズや各画素の配置が異なっていても良い。詳細には、第1のマスクパターン群としては、吐出口列0、2に対応するマスクパターンではインクの吐出の許容が定められておらず、吐出口列1、3に対応するマスクパターンで50%の画素ずつインクの吐出の許容が定められているという条件が満たされていれば良い。また、第2のマスクパターン群としては、吐出口列0〜3に対応するマスクパターンでインク25%の画素ずつインクの吐出の許容が定められているという条件が満たされていれば良い。
【0059】
なお、ここでは吐出口列0〜3に対応するプレーン1の画像データを処理するマスクパターン群を説明したが、吐出口列4〜7に対応するプレーン2の画像を処理する際にも同様の条件を満たしたマスクパターン群を用いる。
【0060】
(生成される記録データの一例)
以下、
図9を参照し、ステップS5である合成データが入力された際に、本実施形態によって生成される記録データを説明する。
図9は処理する合成データの一例を示す図である。なお、
図9の黒く塗りつぶされた画素が階調値がレベル8である画素を、白抜けで示された画素が階調値がレベル0である画素をそれぞれ示している。
【0061】
ここで、
図9では画像Aと画像Bが含まれる画像データを示している。画像Aはイメージ画像等に対応し、第2の属性に属する画像である。また、画像Bは細線属性に対応し、第1の属性の属する画像である。画像A、画像Bともに、それぞれの画像に含まれる600dpi×600dpiの領域の階調値がレベル8の画像である。
【0062】
まず、ステップS6のインデックス展開処理が行われる。
図5を用いて説明したように、600dpi×600dpiの1つの領域にレベル8の階調値の合成データが入力されると、プレーン1用の画像データおよびプレーン2用の画像データともに1200dpi×1200dpiの4つの画素にインクの吐出を定めるようなデータが生成される。したがって、
図9に示す合成データが入力された場合には、画像A,Bともに、吐出口列0〜3で1200dpi×1200dpiの各領域に対してプレーン1の画像データで1回ずつ、プレーン2の画像データでも1回ずつインクの吐出が定められることになる。
【0063】
次に、ステップS7で分配処理が行われ、各吐出口列0〜7に画像データが分配されて記録データが生成される。
図10(a)〜(h)は、生成される吐出口列0〜7に対応する記録データをそれぞれ示している。なお、
図10の黒く塗りつぶされた画素がインクが吐出される画素を、白抜けで示された画素がインクが吐出されない画素をそれぞれ示している。
【0064】
まず、プレーン1用の画像データは、画像A,Bともに上述したように1200dpi×1200dpiの各領域に対して1回ずつインクの吐出を定めている。ここで、画像Aは第2の属性(イメージ画像等)に属するため、
図8を用いて一例を説明した第2のマスクパターン群が適用される。そのため、吐出口列0〜3それぞれにおいて約25%ずつの記録比率でインクの吐出を定めるような記録データが生成される(A0〜A3)。
【0065】
また、画像Bは第1の属性(細線画像等)に属するため、
図7を用いて一例を説明した第1のマスクパターン群が適用される。そのため、吐出口列0、2ではインクが吐出されない、言い換えると記録比率が0%の記録データが生成される(B0、B2)。また、吐出口列1、3それぞれでは約50%ずつの記録比率でインクの吐出を定めるような記録データが生成される(B1、B3)。
【0066】
プレーン2用の画像データについても同様であり、画像A,Bともに1200dpi×1200dpiの各領域に対して1回ずつインクの吐出を定めている。したがって、画像Aに対応する画像データからは吐出口列4〜7それぞれにおいて約25%の記録比率でインクの吐出を定めるような記録データが生成される(A4〜A7)。また、画像Bに対応する画像データからは、吐出口列4、6において0%の記録比率の記録データが生成され(B4、B6)、吐出口列5、7において約50%の記録比率の記録データが生成される(B5、B7)。
【0067】
なお、
図10(a)、(b)ではY方向に同じ位置(ラスタ)にインクの吐出を定めているように記載しているが、実際にはY方向に異なる位置にインクが吐出される。これは、記録データのY方向の解像度が1200dpiであるのに対し、吐出口列間の吐出口のY方向の距離に対応する解像度が2400dpiであるためである。例えば、
図10(a)、(b)での+Y方向端部のラスタは記録データ上では同じ位置に位置するが、実際には
図10(a)の記録データの+Y方向端部のラスタは
図2の吐出口列0のseg0の吐出口に、
図10(b)の記録データの+Y方向端部のラスタは
図2の吐出口列1のseg0の吐出口にそれぞれ対応するため、Y方向に2400dpiだけ離れた位置にドットが形成されることになる。
【0068】
ここで、
図10(a)〜(h)のA0〜A7からわかるように、第2の属性(イメージ画像等)である画像Aについては、吐出口列0〜7から25%ずつの記録比率でインクを吐出する。吐出口列0〜7のすべてを用いるため、形成されるドットのY方向の解像度は2400dpiとなる。したがって、
図6(c)、(d)を用いて説明したように、イメージ画像等についてはドットの形成位置ずれによる濃度むらを低減した記録を行うことができる。
【0069】
一方、
図10(a)〜(h)のB0〜B7からわかるように、第1の属性(細線画像等)である画像Bについては、吐出口列1、3、5、7のみから50%ずつの記録比率でインクを吐出する。このように、吐出口列0、2、4、6は用いないため、形成されるドットのY方向の解像度は1200dpiとなる。したがって、
図6(a)、(b)を用いて説明したように、細線画像については鮮鋭性に優れた記録を行うことが可能となる。
【0070】
以上記載したように、本実施形態によれば画像の属性に応じて鮮鋭性を保ちつつ濃度むらを低減した記録を行うことが可能となる。
【0071】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では細線画像または文字画像を第1の属性、イメージ画像等の細線画像、文字画像以外の画像を第2の属性として判定した。
【0072】
これに対し、本実施形態では画像のエッジ部を第1の属性、非エッジ部を第2の属性と判定する形態について記載する。
【0073】
なお、上述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、
図4に示すステップS4の属性情報取得処理を、ステップS6のインデックス展開処理の後、ステップS7の分配処理の前に実行する。したがって、属性情報取得処理が行われるときにはインデックス展開が既に実行されているため、ステップS4には2プレーン分の1200dpi×1200dpiの解像度のCMYK各1bitの情報で構成される画像データが入力されることになる。
【0075】
図11は本実施形態で実行するステップS4における属性情報取得処理にて行うエッジ判定処理の過程を示すフローチャートである。
【0076】
エッジ判定処理が開始されると、ステップS11である1200dpi×1200dpiのある対象の画素についてインクの吐出が定められ、且つ、対象の画素の周囲8画素についてもインクの吐出が定められているか否かが判定される。言い換えると、対象の画素を含んだ3画素×3画素のすべてに対してインクの吐出が定められているか否かが判定される。
【0077】
ここで、3画素×3画素のすべてに対してインクの吐出が定められていると判定された場合には、ステップS12へと進み、対象の画素が非エッジ部であると判定される。そして、第1の実施形態における文字画像、細線画像以外の画像(イメージ画像等)の場合と同様に、属性情報として「0」を割り当てる。
【0078】
一方、3画素×3画素のいずれかに対してインクの吐出が定められていないと判定された場合には、ステップS13へと進み、対象の画素がエッジ部であると判定される。そして、第1の実施形態における文字画像、細線画像の場合と同様に、属性情報として「1」を割り当てる。
【0079】
以降の処理は第1の実施形態と同様とすることにより、画像のエッジ部では鮮鋭性を優れたものとし、非エッジ部ではドットの形成位置ずれに由来する濃度むらを低減することが可能となる。
【0080】
(第3の実施形態)
本実施形態では、ある吐出口に吐出不良が発生した場合に他の吐出口で補完記録を行う、いわゆる不吐補完処理を実行する形態について記載する。
【0081】
なお、上述した第1、第2の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0082】
図12は本実施形態で実行する不吐補完処理の過程を示すフローチャートである。なお、この不吐補完処理は例えば記録ジョブが入力されたタイミングで行っても良いし、1ページに対する記録が終了する度に行っても良い。
【0083】
まず、ステップS21では、バッファ136に格納されている不良吐出口を示す情報のうち、1つの不良吐出口を選択する。ここで、不良吐出口とは吐出口の製造誤差やインクの詰まり等によってインクが正常に吐出されなくなり、インクの不吐出や吐出量の低下、吐出方向の変化等が生じている吐出口である。この不良吐出口は種々の方法で検出することができる。例えば記録媒体上にテストパターンを記録して画像の白抜け部をユーザが確認して不良吐出を特定する方法や、すべての吐出口からインクを吐出するようなデータを入力した状態で本当にインクが吐出されているか否かを光学センサで読み取って不良吐出口を特定する方法等がある。これらの方法によって特定された不良吐出口を示す情報は、予めバッファ136に格納されている。
【0084】
次に、ステップS22では、不良吐出口と、不良吐出口と同一segに位置する補完候補吐出口と、のそれぞれにおける記録データをバッファ136より読み出す。ここで、不良吐出口における記録データがインクの不吐出を示す場合、吐出不良が発生していてもそもそもインクを吐出しないため、後述するような補完データの生成は行わない。一方、不良吐出口における記録データがインクの吐出を示す場合、その記録データに基づいた不良吐出口からの吐出では正常にインクを吐出できない虞がある。したがって、本来不良吐出口から記録するはずであった画素を補完候補吐出口のいずれかで補完記録するための補完データの生成を行う。
【0085】
次に、ステップS23では、補完候補吐出口のうち、どの吐出口を優先的に補完吐出口として選択するかを決定するための補完優先度テーブルを読み出す。補完優先度手テーブルには、X方向に同じ位置に位置する各カラムごとに、吐出不良が生じた場合にどの吐出口で補完するかを決定するための優先順位が定められている。この補完優先度テーブルについては後に詳細に説明する。
【0086】
次に、ステップS24では、補完優先度テーブルに定められた優先順位にしたがって補完候補吐出口から1つの補完吐出口を決定し、不良吐出口に対応する記録データに対する補完データを生成する。ここで、補完吐出口は、補完候補吐出口の中から補完優先度テーブルの優先順位にしたがって、不良吐出口でないという条件、および記録データによってインクの非吐出が定められているという条件の2つの条件の両方を満たした吐出口を探し、その中で最も優先順位が上位の補完候補吐出口を補完吐出口に決定する。そして、補完吐出口に対して不良吐出口に対応する記録データが示すインクの吐出を示す情報を移動(置換)させることにより、補完吐出口に対応する補完データを生成する。これにより、本来不良吐出口から吐出するはずであった画素に対して、代わりに同一segに属する補完吐出口から吐出することができ、吐出不良による画質の低下を抑制することができる。
【0087】
そして、ステップS25にてすべての不良吐出口で補完データの生成が行われたか否かが判定される。まだ不良吐出口が残っていると判定されると、ステップS21に戻り、残りの不良吐出口についても同様の処理を行う。すべての不良吐出口で終了したと判定されると、不吐補完処理を終了する。
【0088】
ここで、本実施形態では画像の属性に応じて、異なる補完優先度テーブルを用いて補完データの生成を行う。
【0089】
図13は画像の属性が第2の属性(イメージ画像等)である場合に用いる補完優先度テーブルを示している。ここで、
図13(a)は不良吐出口が
図2の吐出口列0、4のいずれかに発生した際に用いる補完優先度テーブルである。同様に、
図13(b)は吐出口列1、5のいずれかに、
図13(c)は吐出口列2、6のいずれかに、
図13(d)は吐出口列3、7のいずれかに不良吐出口が発生した際に用いる補完優先度テーブルをそれぞれ示している。なお、
図13(a)〜(d)それぞれにおいて、−X方向の1列(о)が画像データが奇数カラムに属する場合に適用される優先順位を、+X方向の1列(e)が画像データが偶数カラムに属する場合に適用される優先順位を示している。
【0090】
例えば、
図13(a)の−方向の1列(о)では、上から「0」、「2」、「4」、「6」、「1」、「3」、「5」、「7」の順に優先順位が定められている。これは、吐出口列0、4のいずれかに不良吐出口が生じた場合、奇数カラムの画像データについては吐出口列0、4、1、3、2、6、3、7の順に優先的に補完吐出口とすることができるかどうかを判定する、ということを意味している。
【0091】
図13からわかるように、第2の属性に対応する補完優先度テーブルは、不良吐出口とY方向に近い位置に位置する吐出口が優先的に補完吐出口に決定されるように定められている。これは、Y方向に近い位置に位置する吐出口の方が、不良吐出口が本来吐出するはずだった画素とY方向に近い位置にドットを形成可能であるため、不良吐出口が生じなかった場合と比べても画質の低下を少なくすることができるためである。
【0092】
また、第2の属性に対応する補完優先度テーブルは、優先順位の差はあるが、すべての吐出口列0〜7の吐出口を補完吐出口とすることができるかどうかを判定するように定められている。これは、イメージ画像等の細線画像、文字画像以外の画像を記録する場合には画像の鮮鋭性はそれほど求められないため、Y方向にある程度異なる位置にドットが形成されることで補完記録が行われたとしても、それほど画質の低下に繋がらないからである。
【0093】
一方、
図14は画像の属性が第1の属性(細線画像等)である場合に用いる補完優先度テーブルを示している。
図13と同様に、
図14(a)は吐出口列0、4のいずれかに、
図14(b)は吐出口列1、5のいずれかに、
図14(c)は吐出口列2、6のいずれかに、
図14(d)は吐出口列3、7のいずれかに不良吐出口が発生した際に用いる補完優先度テーブルをそれぞれ示している。なお、
図14(a)〜(d)それぞれにおいても、−X方向の1列(о)が画像データが奇数カラムに属する場合に適用される優先順位を、+X方向の1列(e)が画像データが偶数カラムに属する場合に適用される優先順位を示している。
【0094】
ここで、
図14では、
図13と異なり、各カラムの一部の画素にしか優先順位が定められていない。例えば、
図14(a)の−方向の1列(о)では、上から1番目の画素で「0」、上から5番目の画素で「1」の優先順位が定められており、他の画素では優先順位が定められていない。これは、吐出口列0、4のいずれかに不良吐出口が生じた場合、奇数カラムの画像データについては吐出口列0、4の順に優先的に補完吐出口とすることができるかどうかを判定するが、他の吐出口列1〜3、5〜7については補完吐出口とすることができるか否かを判定しない、ということを意味している。
【0095】
図14からわかるように、第1の属性に対応する補完優先度テーブルでは、不良吐出口とY方向に同じ位置に位置する吐出口は補完吐出口とすることができるか否かを判定するが、Y方向に異なる位置に位置する吐出口は上記の判定を行わない。そのため、第1の属性の画像を記録するときには、不良吐出口が生じたとしても、Y方向に異なる吐出口からは補完記録を行わないことになる。これは、細線画像や文字画像においては、
図6(b)を用いて説明したように、Y方向に異なる位置からドットを形成してしまうと鮮鋭性が低下してしまうためである。
【0096】
図14に示す補完優先度テーブルを用いると、細線画像や文字画像を記録するときに補完記録を行わないことがあるため、結果として本来形成するはずであったドット数よりも少ないドット数で画像が形成される虞がある。例えば、本来吐出口列0と吐出口列4の両方のseg0に属する吐出口からX方向に1つずつドットを形成するような画像データが入力されていた場合に、吐出口列0のseg0に属する吐出口が不良吐出口となってしまうと、本来2つずつドットが形成されるはずであったのに、吐出口列4のseg0に属する吐出口から1つずつしかドットが形成されなくなってしまう虞がある。しかしながら、このような場合であっても吐出口列4のseg0に属する吐出口からは記録が行われているため、濃度こそ低下するものの、細線画像や文字画像の画質としてはそれほど低下しない。この場合、Y方向に異なる位置に位置する吐出口で補完記録を行うことで鮮鋭性が低下してしまう方が、寧ろ画質が大きく低下してしまうのである。
【0097】
以上記載したような理由によって、本実施形態では画像の属性に応じて補完優先度テーブルを切り替えるのである。
【0098】
図15、
図16は本実施形態における不吐補完処理を行った際に生成される補完データの一例を説明するための図である。なお、
図15は不吐補完処理を行う前の記録データを、
図16は不吐補完処理を行った後の補完データをそれぞれ模式的に示している。なお、記録データは
図10に示した第1の実施形態で用いた記録データと同様のデータが生成された場合について説明する。
【0099】
以下の説明では、
図2に示す記録ヘッド内の吐出口30のうち、吐出口列1のseg1に属する吐出口30に吐出不良が生じたとして記載する。
【0100】
吐出口列1は、記録データ上では、
図15(a)〜(h)のうちの
図15(b)に対応する。また、seg1に属する吐出口は+Y方向端部から600dpiだけ−Y方向にずれた位置に位置する吐出口であり、且つ、記録データの1画素の解像度は1200dpiであるため、seg1に属する吐出口は、
図15(b)のうちの+Y方向から3列目、4列目に対応することになる。したがって、吐出口列1のseg1に属する吐出口が吐出不良となった場合、この
図15(b)の+Y方向端部から3列目、4列目に対応する記録データは、インクの吐出が定められていたとしても実際には吐出不良となってしまう(
図15(b)の×印)。
図15(b)に示すように、ここでは+Y方向端部から3列目のうちの、−X方向端部から2画素目の記録データM2、4画素目の記録データM4、5画素目の記録データM5、13画素目の記録データM13、14画素目の記録データM14においてインクの吐出が定められており、これらの5つの記録データについて不吐補完処理が行われる。
【0101】
ここで、記録データM2、記録データM4、記録データM5は、第2の属性(イメージ属性等)に対応する記録データである。したがって、上述したように
図13に示す補完優先度テーブルが用いられる。ここでは不良吐出口は吐出口列1に属するため、
図13(b)に示す補完優先度テーブルが用いられる。
【0102】
まず、記録データM2は、偶数カラムに位置するため、
図13(b)の+X方向の1列(e)に定められた優先順位が適用される。そして、最初に優先順位「0」が定められた吐出口列5が補完可能な吐出口か否かが判定される。吐出口列5に対応する
図15(f)の記録データをみると、seg1に対応する+Y方向端部から3列目の、−X方向端部から2画素目にはインクの吐出を示す記録データが定められていない。そのため、吐出口列5のseg1に属する吐出口は、−X方向端部から2画素目については、補完可能な吐出口と判定される。したがって、
図16(f)に示すように、吐出口列5のseg1に対応する+Y方向端部から3列目のうちの−X方向端部から2画素目において、インクの吐出を定める補完データN2が生成される。
【0103】
次に、記録データM4は、偶数カラムに位置するため、
図13(b)の+X方向の1列(e)に定められた優先順位が適用される。最初に優先順位「0」が定められた吐出口列5が補完可能な吐出口か否かが判定される。吐出口列5に対応する
図15(f)の記録データをみると、seg1に対応する+Y方向端部から3列目のうちの−X方向端部から4画素目には、既にインクの吐出を示す記録データが定められている。そのため、吐出口列5のseg1に属する吐出口は、−X方向端部から4画素目については、補完不可能な吐出口と判定される。
【0104】
次に、優先順位「1」が定められた吐出口列1が補完可能な吐出口か否かが判定されるが、ここではそもそも吐出口列1のseg1に属する吐出口が吐出不良であるため、同様に補完不可能な吐出口と判定される。
【0105】
次に、優先順位「2」が定められた吐出口列6が補完可能な吐出口か否かが判定される。吐出口列6に対応する
図15(g)の記録データをみると、seg1に対応する+Y方向端部から4列目のうちの−X方向端部から4画素目には、既にインクの吐出を示す記録データが定められている。そのため、吐出口列6のseg1に属する吐出口は、−X方向端部から4画素目については、補完不可能な吐出口と判定される。
【0106】
そして、優先順位「3」が定められた吐出口列2が補完可能な吐出口か否かが判定される。吐出口列2に対応する
図15(c)に示す記録データをみると、seg1に対応する+Y方向端部から4列目のうちの−X方向端部から4画素目には、インクの吐出を示す記録データが定められていない。したがって、
図16(c)に示すように、吐出口列2のseg1に対応する+Y方向端部から4列目のうちの−X方向端部から4画素目において、インクの吐出を定める補完データN4が生成される。
【0107】
次に、記録データM5は、奇数カラムに位置するため、
図13(b)の−X方向の1列(о)に定められた優先順位が適用される。最初に優先順位「0」が定められた吐出口列1が補完可能な吐出口か否かが判定されるが、吐出口列1のseg1に属する吐出口がそもそも吐出不良であるため、この吐出口は補完不可能な吐出口と判定される。
【0108】
次に、優先順位「1」が定められた吐出口列5が補完可能な吐出口か否かが判定される。吐出口列5に対応する
図15(f)の記録データをみると、seg1に対応する+Y方向端部から3列目のうちの−X方向端部から5画素目には、既にインクの吐出を示す記録データが定められている。そのため、吐出口列5のseg1に属する吐出口は、−X方向端部から5画素目については、補完不可能な吐出口と判定される。
【0109】
次に、優先順位「2」が定められた吐出口列2が補完可能な吐出口か否かが判定される。吐出口列2に対応する
図15(c)に示す記録データをみると、seg1に対応する+Y方向端部から4列目のうちの−X方向端部から5画素目には、既にインクの吐出を示す記録データが定められている。そのため、吐出口列2のseg1に属する吐出口は、−X方向端部から5画素目については、補完不可能な吐出口と判定される。
【0110】
そして、優先順位「3」が定められた吐出口列6が補完可能な吐出口か否かが判定される。吐出口列6に対応する
図15(g)に示す記録データをみると、seg1に対応する+Y方向端部から4列目のうちの−方向端部から5画素目には、インクの吐出を示す記録データが定められていない。したがって、
図16(g)に示すように、吐出口列6のseg1に対応する+Y方向端部から4列目のうちの−X方向端部から5画素目において、インクの吐出を定める補完データN5が生成される。
【0111】
このように、第2の属性(イメージ画像)である画像Aに対応する記録データM2、M4、M5については、それぞれ吐出口列5、2、6において補完データN2、N4、N5が生成され、補完記録が行われる。このうち、吐出口列5からの補完データN2に基づく記録は吐出口1のseg1に属する吐出口とY方向に同じ位置にドットを形成可能であるが、他の吐出口列2、6からの補完データN4、N5に基づく記録はY方向に異なる位置にドットが形成される。しかし、画像Aは第2の属性であるため、鮮鋭性がそれ程重視されないので、画質が大きく低下することはない。
【0112】
一方、記録データM13、記録データM14は、第1の属性(細線画像等)に対応する記録データである。したがって、上述したように
図14に示す補完優先度テーブルが用いられる。ここでは不良吐出口は吐出口列1に属するため、
図14(b)に示す補完優先度テーブルが用いられる。
【0113】
まず、記録データM13は、奇数カラムに位置するため、
図14(b)の−X方向の1列(о)に定められた優先順位が適用される。最初に優先順位「0」が定められた吐出口列1が補完可能な吐出口か否かが判定されるが、吐出口列1のseg1に属する吐出口は不良吐出口であるため、補完不可能と判定される。
【0114】
次に、優先順位「1」が定められた吐出口列5が補完可能であるか否かが判定される。しかし、吐出口列5に対応する
図15(f)に示すように、seg1に対応する+Y方向端部から3列目の−X方向から13画素目は、インクの吐出を示す記録データが既に定められている。したがって、補完不可能と判定される。
【0115】
ここで、
図14(b)に示す補完優先度テーブルでは優先順位「0」、「1」しか定められていない。これらの優先順位に対応する吐出口がこの段階で補完不可能と判定されたため、記録データM14についての補完データは生成されないことになる。
【0116】
なお、ここでは省略するが、記録データM14についても、補完データは生成されない。
【0117】
これは、記録データM13、M14は第1の画像(細線画像等)である画像Bに対応するためである。上述したように、細線画像や文字画像等の鮮鋭性が重視される場合には、Y方向に異なる位置に位置する吐出口で補完記録を行うよりは、寧ろ補完記録を行わない方が鮮鋭性を保つことができるため、画質として好ましいものとなる。
【0118】
以上記載したように、本実施形態によれば、画像の鮮鋭性を保ちつつ不吐補完処理を行うことが可能となる。
【0119】
(その他の実施形態)
以上に説明した各実施形態では、第1の属性(細線画像等)に対応する画像データを奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみに分配する形態について記載したが、偶数番目の吐出口列0、2、4、6のみに分配するような形態であっても、鮮鋭性を優れたものとすることができる。ここで、記録の際、第1の属性の画像データが入力された場合に常に奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみに分配したり、常に偶数番目の吐出口列0、2、4、6のみに分配したりすると、同じ吐出口列の吐出口ばかりを記録に用いることになってしまうため、それらの吐出口において使用に伴う性能の低下が生じ易くなってしまう。ここで、奇数番目の吐出口列1、3、5、7のみに分配するようなマスクパターン群と、偶数番目の吐出口列0、2、4、6のみに分配するようなマスクパターン群と、を所定のタイミングごとに切り替えることで、上述のような特定の吐出口列のみを集中的に用いることによる性能低下を抑制することができる。この所定のタイミングとは、例えば記録するページが切り替わるタイミングや、入力されるジョブが切り替わるタイミング等、種々のタイミングとすることができる。
【0120】
また、各実施形態では8列の吐出口列から構成される記録ヘッドを用いる形態について記載したが、例えば12列や24列の吐出口列から構成される記録ヘッドを用いても良い。
【0121】
また、各実施形態では第1の属性(細線画像等)の画像を記録する場合には奇数番目の吐出口列1、3、5、7と偶数番目の吐出口列0、2、4、6の一方のみから記録を行い、第2の属性(イメージ画像等)の画像を記録する場合にはすべての吐出口列0〜7のすべてから記録を行う形態を記載したが、他の形態による実施も可能である。詳細には、第1の属性(細線画像等)の画像データを処理する場合における奇数番目の吐出口列1、3、5、7の記録比率と偶数番目の吐出口列0、2、4、6の記録比率の差分が、第2の属性(イメージ画像等)の画像データを処理する場合における奇数番目の吐出口列1、3、5、7の記録比率と偶数番目の吐出口列0、2、4、6の記録比率の差分よりも大きくなっていれば良い。各実施形態では、第1の属性(細線画像等)の画像データを処理する場合における奇数番目の吐出口列1、3、5、7の記録比率がそれぞれ50%、偶数番目の吐出口列0、2、4、6の記録比率がそれぞれ0%であるため、上記の差分は200(50×4−0×4)%となる。また、第2の属性(イメージ画像等)の画像データを処理する場合における奇数番目の吐出口列1、3、5、7の記録比率がそれぞれ25%、偶数番目の吐出口列0、2、4、6の記録比率がそれぞれ25%であるため、上記の差分は0(25×4−25×4)%となる。したがって、上記の条件を満たしていることがわかる。
【0122】
また、各実施形態では吐出口列の解像度が2400dpi、記録データの解像度が1200dpiと、記録データの解像度が吐出口列の解像度よりも低い場合について記載したが、吐出口列、記録データともに解像度を2400dpiとしても良い。但し、この場合には記録データの解像度が高くなってしまうため、データ処理の負荷が増大してしまう虞がある。各実施形態に記載したように記録データの解像度を吐出口列の解像度よりも低くすれば、負荷を増大させることなく、第2の属性の画像の記録時に着弾位置ずれによる濃度むらを抑制することができる。
【0123】
また、各実施形態には記録装置、および記録装置を用いた記録方法について記載したが、各実施形態に記載の記録方法を行うためのデータを生成する画像処理装置または画像処理方法にも適用できる。また、各実施形態に記載の記録方法を行うためのプログラムを記録装置と別体に用意する形態にも適用できる。